関連技術の吐出装置1では、内吐出口部4と前記段部7とでガスケット8を挟持することによってシールが達成され、螺着される内吐出口部4を締めることによって、その締め込み量を調整し締め付け強度を調整することができる。内吐出口部4を締めることによって、ガスケット8が変形し、圧縮気体が漏れるおそれがある。また締め付け限界以上に、過度に締め付けることによって、ガスケット8が破損するおそれがある。さらにガスケットが高粘度流体に曝されているので、高粘度流体による膨潤が生じて破損し、圧縮気体が漏れるおそれがある。ガスケットによってシールを達成しようとすると、このような様々な問題が生じ、またガスケットを設ける分だけ部品点数が増加し、構造が複雑になる。さらにガスケットは、消耗部品であるので、定期的に取り替える必要があり、面倒である。
本考案は、ガスケットを用いないでシールを達成するシール構造、ガスケットホルダーおよび吐出装置を提供することを目的としている。
請求項1の考案に係るシール構造は、液体が充填され、内吐出口部を有するカートリッジと、内方にカートリッジが装填可能であって、外吐出口部を有するカートリッジホルダーとを有し、前記外吐出口部は、その内壁部によって、内吐出口部が着座してシールを達成する着座部を形成し、着座部は、テーパ形状であるものである。
請求項1の考案に係るシール構造によると、着座部がテーパ形状に形成されているので、楔効果が得ることができ、カートリッジホルダーにカートリッジを装填すると、内吐出口部と着座部とによって、シールを達成することができる。
請求項2の考案に係るシール構造は、請求項1の考案において、前記内吐出口部は、合成樹脂から成り、前記着座部は、前記内吐出口部より剛性の高い材料から成るものである。
請求項2の考案に係るシール構造によると、内吐出口部を着座部に当接することによって、合成樹脂の柔軟性により、良好なシールを実現することができる。また着座部が内吐出口部より剛性の高い材料から成るので、シールを達成するとき、内吐出口部が変形し、着座部は変形しない。それ故、使用するとともにカートリッジの変形が大きくなりシール性が低下するが、着座部が変形しないので、カートリッジを交換することによって、元のシール性を確保することができる。
請求項3の考案に係るシール構造は、請求項1または2のいずれか1つの考案において、前記内吐出口部は、その外周面部が前記着座部に嵌合可能なテーパ形状に形成されているものである。
請求項3の考案に係るシール構造によると、内吐出口部の外周面部がテーパ形状に形成されているので、内吐出口部の外周面部が着座部に嵌合し、面接触によるシールを達成することができ、前記外周面部に過度の押圧力が作用して前記外周面部が変形および破損することを防止できる。
請求項4の考案に係るカートリッジホルダーは、液体が充填されるカートリッジを内方に装填可能なカートリッジホルダーであって、カートリッジホルダーの内吐出口部から吐出される前記液体を、外吐出口を通して吐出する外吐出口部と、前記内吐出口部と協働してシールを達成する着座部とを有し、前記着座部は、外吐出口部の内壁部によって形成され、前記外吐出口に向かって先細りのテーパ形状であるものである。
請求項4の考案に係るカートリッジホルダーによると、着座部がテーパ形状であるので、楔効果が得ることができ、カートリッジホルダーにカートリッジを装填すると、内吐出口部と着座部とによって、シールを達成することができる。
請求項5の考案に係る吐出装置は、液体が充填されるカートリッジと、前記カートリッジが内方に装填されるカートリッジホルダーとを含む吐出装置であって、カートリッジは、液体が充填されるカートリッジ本体と、前記充填される液体を内吐出口から吐出する内吐出口部と、前記カートリッジ本体内を前記内吐出口に向かって摺動変位可能であって、摺動変位することによって充填される液体を前記内吐出口から押し出すプランジャとを有し、カートリッジホルダーは、前記内吐出口部から吐出される液体を、外吐出口を通じて吐出する外吐出口部と、前記内吐出口部が着座してシールを達成する着座部を有し、前記着座部は、前記外吐出口部の内壁部によって形成され、前記外吐出口に向かって先細りのテーパ形状であるものである。
請求項5の考案に係る吐出装置によると、カートリッジホルダーに圧縮気体が注入されると、プランジャが内吐出口に向かってカートリッジ本体内を摺動変位し、外吐出口から液体を吐出する。着座部がテーパ形状であるので、楔効果が得ることができ、カートリッジホルダーにカートリッジを装填すると、内吐出口部と着座部とによって、圧縮気体が外吐出口に漏れないようにシールを達成することができる。これによって圧縮気体が前記液体に混入されることを抑制できる。
請求項6の考案に係る吐出装置は、請求項5の考案において、前記カートリッジ本体と前記カートリッジホルダーとの間には、圧縮気体を導くための間隙が形成されているものである。
請求項6の考案に係る吐出装置によると、カートリッジ本体とカートリッジホルダーとの間に圧縮気体が介在し、カートリッジ本体の膨張を抑制することができる。これによってカートリッジ本体が膨張してカートリッジ本体とプランジャとの間に隙間ができ、カートリッジ本体に充填される液体がカートリッジホルダー内に漏れる、または前記充填される高粘度流体に圧縮気体が混入することを防止できる。
請求項7の考案に係る吐出装置は、請求項5または6の考案において、液体を吐出する液体吐出装置に、充填される液体を供給する供給装置である。
請求項7の考案に係る吐出装置によると、吐出装置から液体吐出装置に液体を供給することができるので、液体吐出装置に、気体および異物が混入していない純度の高い液体を供給し、吐出させることができる。これによって液体吐出装置から吐出される液体に気泡および異物が含まれることを防ぐことができる。
請求項8の考案に係る吐出装置は、請求項5〜7のいずれか1つの考案において、前記液体が高粘度流体であるものである。
請求項8の考案に係る吐出装置によると、高粘度流体を用いているので、このような簡単な構造であっても充分なシール性を発揮することができ、気体および異物が混入しない品質の高い高粘度流体を吐出することができる。
請求項1、4および5の考案に係るシール構造、カートリッジホルダーおよび吐出装置によると、着座部がテーパ形状であるので、楔効果が得られ、内吐出口部と着座部とによってシールを達成できる、つまりカートリッジおよびカートリッジホルダーだけでシールを達成することができる。これによって関連技術のようなガスケットの変形、破断、脱落、膨潤などの心配がなく、またガスケットが不必要な分、部品点数が少なくなり、構成が簡単である。またカートリッジおよびカートリッジホルダーでシールを達成するので、カートリッジを交換するだけで、元のシール性を確保することができる。またカートリッジは、充填される液体がなくなると交換されるので、ガスケットのように長時間交換されずに経年劣化などが生じ、シールを達成できなくなることを抑制できる。
また着座部がテーパ形状に形成されているので、楔効果を奏し、関連技術より密閉性の高いシールを達成することができ、吐出する液体に対する気体および異物の混入を抑制ができる。これによって気体および異物の混入が少ない純度の高い液体を吐出させることができる。また内吐出口部を外吐出口に向かってさらに押し込むことによって、楔効果によりシールの密閉性をさらに高めることができる。
また請求項5の考案に係る吐出装置によると、内吐出部と着座部とによってシールが達成されているので、プランジャを摺動変位させるときに注入されている圧縮気体が外吐出口部に達することを抑制でき、吐出する液体に圧縮気体が混入することを防ぐことができる。
図1は、本考案の第1の実施の形態の供給装置10を、軸線を含む仮想平面で切断してみた見た断面図である。図2は、供給装置10を示す正面図である。図3は、供給装置10の先端部を拡大して示す拡大断面図である。吐出装置の一形態である供給装置10は、接着剤などの高粘度流体を対象物に吐出する、具体的には、塗布または充填する液体吐出装置、たとえばディスペンサーに高粘度流体を供給する装置である。液体吐出装置は、たとえばロボットアームの先端部に設けられ、供給装置10は、この液体吐出装置に固定されて設けられている。供給装置10は、カートリッジ11と、カートリッジホルダー12とを含む。供給装置10は、基準となる軸線L1を有し、カートリッジ11およびカートリッジホルダー12は、前記軸線L1を基準に構成されている。
カートリッジ11は、供給すべき高粘度流体が充填され、前記高粘度流体を吐出可能な容器である。カートリッジ11は、合成樹脂から成り、好ましくは、ポリエチレン、またはポリプロピレンから成る。カートリッジ11は、基本的に、カートリッジ本体13と、カートリッジ吐出口部14と、プランジャ15とを備える。カートリッジ本体13、カートリッジ吐出口部14、およびプランジャ15は、軸線をそれぞれ有し、各軸線が軸線L1に一致している。
カートリッジ本体13は、有底円筒状に形成されている。内吐出口部であるカートリッジ吐出口部14は、円筒状に形成されている。カートリッジ吐出口部14は、その軸線とカートリッジ本体13の軸線とが一致するように、カートリッジ本体13の底部16に一体的に形成され、前記底部16から外方、本実施の形態では軸線L1方向一方(以下、「X方向」という)に向かって突出している。カートリッジ吐出口部14は、その内方に軸線L1方向(以下、「X方向」という)に貫通する吐出通路17を有し、この吐出通路17がカートリッジ本体13内方の空間18に連通している。カートリッジ吐出口部14は、中間部14aの外周面部に雄ねじが形成されている。プランジャ15は、大略的に円盤状に形成され、シールを達成している状態で、カートリッジ本体13内にX方向に摺動可能に嵌合されている。カートリッジ11は、このプランジャ15と底部16との間の空間18に高粘度流体が充填されている。
カートリッジホルダー12は、カートリッジ11を装填可能な保持具であり、カートリッジ11に充填される高粘度流体を吐出可能に構成されている。カートリッジホルダー12は、基本的に、ホルダー本体21と、ホルダーヘッド22と、ホルダーキャップ23とを備える。ホルダー本体21、ホルダーヘッド22およびホルダーキャップ23は、軸線を有し、各軸線はL1に一致している。ホルダー本体21は、円筒状に形成され、その内方にカートリッジ11を挿通可能に形成されている。またホルダー本体21は、X方向両端部の外周面部に雄ねじが形成されている。
ホルダーヘッド22は、カートリッジ11より剛性の高い材料、具体的には、ステンレス鋼または炭素鋼などから成り、ホルダー本体21のX方向一端部に螺着され、液体を吐出可能に構成されている。ホルダーヘッド22は、キャップ部25と、ホルダー吐出口部26とを有する。キャップ部25は、有底円筒状に形成されて、その開口部の内周部に雌ねじが形成されている。キャップ部25は、ホルダー本体21のX方向一端部が嵌まり込み、前記X方向一端部がシールを達成している状態で螺着されている。キャップ部25の底部27には、X1方向に突出するホルダー吐出口部26が一体的に形成されている。キャップ部25とホルダー吐出口部26とは、その軸線が軸線L1に一致している。
外吐出口部であるホルダー吐出口部26は、円筒状に形成され、その内方がキャップ部25の内方と連通している。ホルダー吐出口部26の内壁部には、そのX方向一端部に雌ねじが形成され、カートリッジ11のカートリッジ吐出口部26が螺着される。またホルダー吐出口部26の内壁部は、X方向中間部に、X1方向に向かって先細りのテーパ形状に形成され、着座部28を形成している。換言すると、ホルダー吐出口部26の内壁部は、開口であるホルダー吐出口29に向かって先細りのテーパ形状に形成され、着座部28を形成している。カートリッジ吐出口部14は、ホルダー吐出口部26に螺着されている状態で、その先端部14bの外周縁部が着座部28に当接し、着座することによって、シールが達成される。着座部28のテーパ角度は、好ましくは45度以上90度以下である。ただしこの角度に限定するものではない。
ホルダーキャップ23は、有底円筒状に形成され、その開口部30の内周部に雌ねじが形成されている。ホルダーキャップ23の開口部30には、ホルダー本体21のX方向他端部が挿入され、前記X方向他端部がシールを達成した状態で螺着されている。またホルダーキャップ23は、その内方にカートリッジ11を挿入可能に構成されている。さらにホルダーキャップ23の底部31には、管継手32が設けられている。管継手32は、大略的に円筒状に形成され、そのX方向一端部が底部31に螺着されている。管継手32の軸線は、軸線L1に一致している。管継手32の内壁部によって形成される供給路33とホルダーキャップ23の内方とは、連通している。管継手32のX方向他端部は、圧縮空気などの圧縮気体を供給する圧縮気体供給源に機械的に接続され、供給路33を介して、圧縮気体をホルダーキャップ23の内方に供給可能に構成されている。
またカートリッジホルダー12は、図示しない位置センサーが設けられており、この位置センサーによって、プランジャ15が下死点に達したか否かを検出する。下死点とは、予め定められる位置であり、たとえばプランジャ15によって押し出される高粘度流体圧力が予め定められる値以下になるプランジャ15のX1方向の位置である。位置センサーは、たとえば磁気センサーであって、下死点に設けられ、磁性体からなるプランジャ15が下死点に達すると、電気信号を出力可能に構成されている。この電気信号は、液体吐出装置の駆動を制御する制御部などに出力される。制御部は、前記電気信号を受信すると、充填される高粘度流体の残量が少ないことを警告する、または液体吐出装置の駆動を停止する。
このような構成を有する供給装置10は、まずカートリッジ11のカートリッジ吐出口部14をホルダー吐出口部26に螺着する。このとき、カートリッジ吐出口部14の先端部14bが着座部28に着座してから、さらに角度90度以上角度270度以下の範囲内の締め込み角度で締め込みを行う。これによってカートリッジ吐出口部14の先端部14bが着座部28に嵌まり込んでいき、楔効果により、カートリッジ吐出口部14と着座部28とによって、充分な密閉性が得られる。ただし締め込み角度は、前記角度の範囲内に限定するものではなく、充分な密閉性が得られればよい。
次にカートリッジ11をホルダー本体21に挿通させるとともに、ホルダー本体21のX方向一端部をホルダーヘッド22に螺着する。さらにカートリッジ11をホルダーキャップ23に嵌め込み、ホルダーキャップ23の開口部30をホルダー本体21のX方向他端部を螺着する。これによってカートリッジホルダー12内に、カートリッジ11が装填される。このようにしてカートリッジ11が装填されているカートリッジホルダー12には、カートリッジホルダー12の内壁部34とカートリッジ11の外壁部35との間に間隙24が形成されている。この間隙24は、カートリッジ吐出口部14と着座部28とでシールを達成することによって、吐出路37と遮断される。吐出路37とは、カートリッジ吐出口部14およびホルダー吐出口部26の内壁部によって形成される、高粘度流体を吐出するための通路である。このようにして構成される供給装置10は、たとえば図示しない液体吐出装置に装着し、ホルダー吐出口部26が配管38を介して液体吐出装置に機械的に接続され、管継手32が配管39を介して圧縮気体の供給源である図示しない圧縮気体供給源、たとえばエアーコンプレッサーに機械的に接続されている。
以下では、供給装置10がカートリッジ11に充填される高粘度流体を吐出し、液体吐出装置に供給する動作を説明する。圧縮気体供給源を駆動して、圧縮気体供給源から、配管39および管継手32を介して、カートリッジホルダー12の内方に圧縮気体、たとえば0.4MPaの圧縮空気が供給され、注入される。このように圧縮気体が注入されると、カートリッジ11内の空間18を除く部分にも圧縮気体が導かれ、この圧縮気体がプランジャ15をX1方向に押圧する。押圧されているプランジャ15は、X1方向に摺動変位し高粘度流体をカートリッジ11内から押し出す。連続的に押し出すことによって、高粘度流体が、カートリッジ吐出口部14の開口であるカートリッジ吐出口36を通じて、ホルダー吐出口部26に吐出され、さらにホルダー吐出口29を通じて吐出され、液体吐出装置に供給される。液体吐出装置から高粘度流体を吐出する場合、上記のような動作が行われて、液体吐出装置に高粘度流体が供給される。これに対し、液体吐出装置からの吐出を停止すると、高粘度流体が流動しなくなり、高粘度流体からの反力によってプランジャ15の摺動変位が停止し、高粘度流体の供給が停止する。液体吐出装置の吐出を再開すると、またプランジャがX1方向に摺動変位し、高粘度流体の供給が再開される。高粘度流体の供給が行われ、充填される高粘度流体の残量が少なくなり、プランジャ15が下死点に達すると、位置センサーから電気信号が出力され、制御部が警告などをする。
また供給装置10では、カートリッジ吐出口部14と着座部28とによってシールを達成してシール構造40を構成し、間隙24と吐出路37とを遮断する。これによって圧縮気体が間隙24から吐出路37に流入することがなく、供給する高粘度流体に圧縮気体および異物が混入することを防ぐことができる。
また間隙24を形成することによって、間隙24に圧縮気体が導かれ、カートリッジ本体13の内外圧を同一にすることができる。これによってカートリッジ本体13が変形し、膨張することを防ぎ、プランジャ15の外周面部とカートリッジ本体13の内周面部との間のシール性を確保することができる。これによって充填される高粘度流体内に圧縮気体および異物が混入することを防ぐことができる。
以下では、このようにして構成される供給装置10に関して行った耐圧試験の方法およびその結果を説明する。まず耐圧試験の前に、カートリッジ11のカートリッジヘッド21に対する、締め込み角度と締め込み量との関係を確認した。締め込み量は、カートリッジ11の先端部14aが着座部に初めて着座した位置を0mmとし、X1方向を正とした。締め込み角度は、前記0mmの位置にあるときを0度とした。締め込み量は、締め込み角度が0度以上360度以下の範囲内では、締め込み角度に比例し、360度以上になると、カートリッジのねじがぼけてしまい、締め込み量が減少する。したがって0度以上360度以下にすることが好ましい。
次に水中において、供給装置10から高粘度流体を吐出させ、シールが達成されているか否かを確認する試験を行った。具体的には、供給装置10を水槽内に入れ、圧縮気体を間歇的に供給し(具体的には、10回繰り返した)、水槽内に気泡が発生していないかを確認し、シールの達成の有無を確認する試験を行った。この試験は、複数の締め付け角度で試験を行った。具体的には、締め付け角度を、0度から始めて、45度間隔で試験を行い、360度まで行った。このような試験を行った結果、締め付け角度が90度以上360度以下の範囲において、気泡が発生しなかった。
さらに上記試験において、圧縮気体の空気圧を1MPaまで上昇させた場合の試験も行った。この試験の結果も、前述の結果同様に、気泡が発生しなかった。これら2つの試験によって供給装置10は、供給する高粘度流体に圧縮気体が混入しないことが確認できる。
以下では、供給装置10が達成する効果について説明する。本実施の形態のシール構造40、カートリッジホルダー12および供給装置10によると、着座部28がテーパ形状であるので、カートリッジ吐出口部14の先端部14bと着座部28とによってシールを達成できる、つまりカートリッジ11およびカートリッジホルダー12だけでシールを達成することができ、ガスケットを必要としない。これによって関連技術のようなガスケットの変形、破断、脱落、膨潤などの心配がなく、またガスケットが不必要な分、部品点数が少なくなり、構成が簡単である。またカートリッジ11およびカートリッジホルダー12でシールを達成するので、カートリッジ11を交換するだけで、元のシール性を確保することができる。またカートリッジ11は、充填される液体がなくなると交換されるので、ガスケットのように長時間交換されずに経年劣化などが生じ、シールを達成できなくなることを抑制できる。
また着座部28がテーパ形状に形成されているので、楔効果を奏し、関連技術より密閉性の高いシールを達成することができ、吐出する高粘度流体に気体および異物が混入することを抑制できる。これによって気体および異物の混入が少ない純度の高い液体を吐出させることができる。またカートリッジ吐出口部14を外吐出口29に向かってさらに押し込むことによって、楔効果によりシールの密閉性をさらに高めることができる。
本実施の形態のシール構造40およびカートリッジホルダー12および供給装置10によると、カートリッジ11を外吐出口29に向かって締め込む、つまりX1方向に締め込むことによって、カートリッジ吐出口部14が着座部28の先端側へと嵌め込まれシールが達成される。このように締め込むことによって、シールを達成するので、締め込み量を調整することによって、締め付け強度を調整することができる。
本実施の形態のシール構造40およびカートリッジホルダー12および供給装置10によると、カートリッジ吐出口部14を着座部28に着座させることによって、合成樹脂の柔軟性によりカートリッジ吐出口部14が変形し、良好なシールを実現することができる。また着座部28がカートリッジ吐出口部14より剛性の高い材料から成るので、シールを達成するとき、カートリッジ吐出口部14が変形し、着座部28は変形しない。それ故、使用するとともにカートリッジの変形が大きくなりシール性が低下するが、着座部28が変形しないので、カートリッジ11を交換することで元のシール性を確保することができる。カートリッジのような消耗品を交換するだけで、元のシール性を確保することができ、利便性が高い。
本実施の形態のシール構造40およびカートリッジホルダー12および供給装置10によると、ホルダー吐出口部26の内壁部をテーパ形状に形成しているので、カートリッジ吐出口部14の先端部14bの外周縁部を前記ホルダー吐出口部14の内壁部に当接することによって、楔効果が得られ、シール構造40は、充分な密閉性を得ることができる。
本実施の形態の供給装置10によると、カートリッジホルダー12に圧縮気体が注入されると、プランジャ15がカートリッジ吐出口36に向かってカートリッジ本体13内を摺動変位し、ホルダー吐出口29から高粘度流体を吐出する。カートリッジ吐出口部14と着座部28とによって、圧縮気体が吐出路37に漏れないようにシールが達成されているので、圧縮気体が高粘度流体に混入されることを抑制できる。
本実施の形態の供給装置10によると、カートリッジ本体13とカートリッジホルダー12との間に圧縮気体が導かれ、これによってカートリッジ本体13に外方から内方に向かう荷重が作用し、カートリッジ本体13が変形し膨張することが抑制される。これによってカートリッジ本体13が膨張してカートリッジ本体13とプランジャ15との間に隙間ができ、カートリッジ本体13に充填される高粘度流体がカートリッジホルダー内に漏れる、または前記充填される高粘度流体に圧縮気体が混入することを防止できる。
本実施の形態の供給装置10によると、供給装置10から液体吐出装置に高粘度流体を供給することができるので、液体吐出装置に気体および異物が混入していない純度の高い高粘度流体を供給し、液体吐出装置によって前記高粘度流体を塗布、または充填などすることができる。これによって液体吐出装置から吐出される高粘度流体に気泡および異物が含まれることを防ぐことができ、品質の高い高粘度流体を塗布または充填などすることができる。
本実施の形態の供給装置10によると、高粘度流体を用いているので、このような簡単な構造であっても充分なシール性を発揮することができ、気体および異物が混入しない品質の高い高粘度流体を吐出することができる。
図4は、本考案の第2の実施の形態の供給装置10Aの先端部を拡大して示す拡大断面図である。実施の第2の形態の供給装置10Aは、第1の実施の形態の供給装置10に構成が類似している。したがって供給装置10Aの構成については、第1の実施の形態の供給装置10と異なる構成についてだけ説明し、同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。カートリッジ11のカートリッジ吐出口部14Aの先端部41は、その外周面部が先端に向かうにつれて先細りになるテーパ形状に形成されている。換言すると、前記先端部41は、カートリッジ吐出口36に向かって先細りのテーパ形状に形成されている。前記先端部41は、そのテーパ面がシート部28のテーパ面と一致し、シート部28に嵌め合い可能に形成されている。
供給装置10Aでは、カートリッジ吐出口部14Aをホルダー吐出口部26に螺着し、X1方向に締め込むことによって、カートリッジ吐出口部14Aの先端部41の外周面部がシート部28に当接して着座してから、さらにX1方向に締め込むことによってシールが達成される。
以下では、本実施の形態の供給装置10Aが達成する効果について説明する。本実施の形態のシール構造40、カートリッジホルダー12および供給装置10Aによると、カートリッジ吐出口部14Aの先端部41の外周面部がテーパ形状に形成されているので、前記先端部41の外周面部が着座部28に嵌合し、面接触によるシールを達成することができ、前記先端部41の外周面部の変形および破損を防止できる。
本実施の形態のシール構造40、カートリッジホルダー12および供給装置10Aによれば、第1の実施の形態のシール構造40、カートリッジホルダー12および供給装置10と同様の効果を奏する。
本実施の形態では、高粘度流体を用いて説明しているけれども、必ずしも高粘度流体に限定するものではなく、液体であればよい。また本実施の形態において、液体に流動体および軟膏を含む。また本実施の形態では、圧縮気体に圧縮空気を用いているけれども、圧縮空気に限定するものではなく、圧縮された窒素などの圧縮気体であればよい。また本実施の形態は、供給装置について説明しているけれども、供給装置に限定するものではなく、液体を吐出するものであればよい。また供給装置10は、液体吐出装置に固定されるものに限定されない。
また本実施の形態では、位置センサーによって、高粘度流体の残量を検出しているけれども、圧力センサーによって、ホルダー吐出口29から吐出される高粘度流体の吐出圧を検出することによって、残量を検出してもよい。
また本実施の形態では、着座部28が、外吐出口29に向かって先細りの内テーパ形状に形成されているけれども、外吐出口29に向かう方向と逆の方向に向かって突出し、かつ前記方向に向かって先細りの外テーパ形状に形成されてもよい。この場合、着座部28には、カートリッジ吐出口部14の内周面部が着座しシールを達成している。
さらに本実施の形態において、カートリッジ本体13の底部16とキャップ22の底部27との間に、図3の二点鎖線で示すような円環状のスペーサ50を介在させてもよい。スペーサ50は、カートリッジ本体13とキャップ22との相対位置を規定するものであり、スペーサ50を介在させることによって、カートリッジ11が予め定められる締め込み量以上の締め込みができないようになる。これによってカートリッジ11が過度に締め込まれることを抑制できる。