JP3117781B2 - 固体電解質型燃料電池用電極材料の作製方法 - Google Patents

固体電解質型燃料電池用電極材料の作製方法

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JP3117781B2
JP3117781B2 JP04093516A JP9351692A JP3117781B2 JP 3117781 B2 JP3117781 B2 JP 3117781B2 JP 04093516 A JP04093516 A JP 04093516A JP 9351692 A JP9351692 A JP 9351692A JP 3117781 B2 JP3117781 B2 JP 3117781B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は固体電解質型燃料電池
用電極材料の作製方法に関し、詳しくは、固体電解質型
燃料電池用の燃料極材料、及び空気極材料の作製方法に
係わるものである。
【0002】
【従来の技術】従来、固体電解質型燃料電池(以下、S
OFCと言う。)の燃料極(燃料側電極)にはニッケル
(Ni),コバルト(Co),ルテニウム(Ru)等の
金属と、酸化ジルコニウム(ZrO2 ),酸化セリウム
(CeO2 )等の混合物(サーメット)が使用されてい
る。 (イ)この燃料極の作製方法は、例えばNi−ZrO2
サーメットの場合、酸化ニッケル又は金属ニッケルの粉
末とジルコニア粉末をポットミルや乳鉢などを使って混
合し、この粉末をスラリー又はペースト状として固体電
解質基体上に塗布または印刷して焼成する工程、或いは
この粉末を固体電解質基体上に直接溶射する工程にて行
なわれている。 (ロ)また、燃料極用のNi−ZrO2 サーメットは電
気化学蒸着(EVD)によって作製する方法がある。こ
の方法はニッケルとジルコニウムの混合過程と電極成膜
を同時に行うことができ、ニッケルとジルコニウムの分
散性が良く分極値が小さく、また長期安定性にも比較的
優れている。
【0003】一方、従来のSOFCの空気極(空気側電
極)には、アルカリ土類元素でドープされたLaMnO
3 ,LaFeO3 ,LaCoO3 ,LaNiO3 ,La
CrO3 等のペロブスカイト酸化物が使用されており、
さらに、電解質との熱膨張の整合性を図るため或いは電
極活性を向上させるために、これら酸化物とイットリア
安定化ジルコニア等の酸化物との混合物が使用されてい
る。 (ハ)この空気極の作製方法はペロブスカイト酸化物の
粉末とジルコニア粉末をポットミルや乳鉢などを使って
混合し、この粉末をスラリー又はペースト状として固体
電解質基体上に塗布或いはスクリーン印刷し、その後、
焼成して電極とされる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記
(イ)における燃料極の作製方法はポットミルや乳鉢に
おけるニッケルとジルコニアの分散性が悪く、またジル
コニア粒子径が不均一で、SOFCの燃料極としての分
極値が大きいと言う問題点があった。そしてSOFCを
長期に運転した場合は、ニッケルが焼結し、粒成長して
活性を失い、時間とともに分極値が増大することより長
期安定性に欠ける問題点があった。更に、混合過程で不
純物が混入し易い工程上の問題点もあった。そして、前
記(ロ)におけるNi−ZrO2 サーメットの作製方法
は高価な大型の蒸着装置を必要とし、現状では広い面積
にわたって均一に成膜する事が難しく、成膜速度も非常
に遅いという問題点があった。
【0005】また、前記(ハ)における空気極の作製方
法はペロブスカイト酸化物とジルコニアの分散性が悪
く、またジルコニア粒子径が不均一で、SOFCの空気
極に適用した場合、電極特性としての分極値が通電によ
り大きく劣化し長期安定性に欠ける問題点があった。ま
た燃料極と同様に、混合過程で不純物が混入し易い工程
上の問題点もあった。
【0006】そこで、本発明の第1の課題は従来の燃料
極材料の作製における前記した問題点を解消せんとした
ものであり、作製工程を簡略化し得て、かつ作製工程で
の不純物の混入を少くすることができ、かつSOFCに
適用した場合、粒子の分散性均一性を上げ、電極特性と
しての分極値を低下させて長期の安定性に優れた燃料極
となし得る、燃料極材料の作製方法を提供することにあ
る。
【0007】また、本発明の第2の課題は従来の空気極
材料の作製における前記した問題点を解消せんとしたも
のであり、作製工程を簡略化し得て、かつ作製工程での
不純物の混入を少くすることができ、かつSOFCに適
用した場合、粒子の分散性均一性を上げ、電極特性とし
ての分極値を低下させて長期の安定性に優れた空気極と
なし得る、空気極材料の作製方法を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記した第1の課題を達
成するために、請求項1の発明は、ニッケル,コバルト
及びルテニウムの群から選ばれた一種以上の物質のイオ
ンを含む水溶液と、酸化ジルコニウム又は酸化セリウム
又はその両方を含むゾルとを混合し、これを熱処理して
粉末を得ることを特徴とする。
【0009】そして、上記した第1の課題を達成するた
めの、請求項2の発明は、ニッケルのイオン、又はニッ
ケルのイオン及びマグネシウムのイオンを含む水溶液
と、酸化イットリウム及び酸化ジルコニウムからなるゾ
ルとを混合し、これを熱処理して粉末を得ることを特徴
とする。
【0010】また、上記した第2の課題を達成するため
に請求項3の発明は、ランタンのイオンと、マンガン・
鉄・コバルト・ニッケル及びクロムの群から選ばれた一
種以上の物質のイオンを含む水溶液と、酸化ジルコニウ
ム又は酸化セリウム又はその両方を含むゾルとを混合
し、これを熱処理して粉末を得ることを特徴とする。
【0011】さらに、上記した第2の課題を達成するた
めの請求項4の発明は、ランタンのイオンとマンガンの
イオンと、ストロンチウムまたはカルシウムのイオンを
含む水溶液と、酸化イットリウム及び酸化ジルコニウム
からなるゾルとを混合し、これを熱処理して粉末を得る
ことを特徴とする。
【0012】一般にゾルとは、液体を分散媒とし固体を
分散粒子とするコロイドのことで、分散粒子が普通の光
学顕微鏡では認められないが、原子或いは低分子よりは
大きい粒子として分散しているものを言うが、本発明に
おけるゾルはこれに限るものではなく、光学顕微鏡で認
められる粒子を含むもの、あるいは超微粒子を水などの
液体と混合して懸濁したスラリーであって、容易には沈
殿物を生じないものであっても良く、これらを含めた広
い意味でのゾルとする。
【0013】酸化ジルコニウム又は酸化セリウム又はこ
の両方を含むゾルとは、アルカリ土類元素または希土類
元素で安定化された、または部分安定化された酸化ジル
コニウム又は酸化セリウム又はこの両方を含むゾルを含
む。酸化イットリウムと酸化ジルコニウムからなるゾル
とは、酸化イットリウムゾルと酸化ジルコニウムゾルの
混合物であっても良いし、酸化イットリウムで安定化又
は部分安定化された酸化ジルコニウムのゾルであっても
良い。前記熱処理はイオンを含む水溶液とゾルとの混合
物を、加熱炉、滴下熱分解装置、あるいは噴霧熱分解装
置等を使って加熱する手段を言う。また、熱処理によっ
て粉末を得るとは、ポットミルや乳鉢などを使って解砕
することにより、容易に粉末状となるような塊状のもの
が得られる場合も含む。
【0014】
【作用】各請求項において、金属イオンを含む水溶液
と、酸化ジルコニウム又は酸化セリウムを含むゾルとの
混合物は直接に熱処理される。請求項1及び請求項2に
て得られる燃料極材料は分散性及び均一性がよい。請求
項3及び請求項4にて得られる空気極材料は分散性及び
均一性がよい。
【0015】
【実施例】次に、SOFC用の燃料極材料を作製する本
発明の第1実施例を、図1〜図9を参照して説明する。
図1に示すように、まず、酢酸ニッケル4水和物(純度
99.0%以上)を蒸留水に溶かし0.25mol/リ
ットル水溶液1リットルを用意した。次に、8mol%
2 3 安定化ZrO2 (以下8YSZという。)のゾ
ル(20wt%ゾル)を、先に準備した0.25mol
/リットル水溶液にNi/8YSZのモル比が68/3
2になるように加えて混合し、これを滴下熱分解法によ
り750℃で熱処理して溶液水分が蒸発し熱分解した生
成物を得る。
【0016】前記滴下熱分解法は図2に示すように、φ
30×600mmの片端封じの石英管11の封じ端11
A側を縦型環状の加熱炉12に上方より突っ込んだ装置
13を使用し、炉温度を約750℃に保つ一方、液槽1
4の混合原料の溶液15を吸上げ管16にてマイクロフ
ィーダー17を介して上方へ吸上げ、吸上げ管16の上
端16Aより溶液15を石英管11内に雫15Aとして
徐々に落として溶液の蒸発・熱分解を瞬時に行って生成
物15Bを得る方法である。
【0017】滴下熱分解して得た生成物15Bは図1に
示すように、粗解砕して粉末とした。この粉末はアルミ
ナ坩堝中に入れ、電気炉にて800℃、24時間仮焼
し、粗解砕して燃料極材料用の粉末を得た。以上の方法
を以後「ゾルを使用した滴下熱分解」と言う。
【0018】一方、比較例1として酢酸ニッケルの水溶
液から滴下熱分解して得た酸化ニッケル粉末と市販の8
YSZの粉末をNi/8YSZのモル比が68/32に
成るよう秤量し、それら総量で10gに対し、エタノー
ルを10g加えてアルミナ自動乳鉢にて混合しエタノー
ルは蒸発させ更に乾燥器中で一昼夜乾燥して粉末を得
た。この比較例1の方法を以後「粉末混合法」と言う。
【0019】「ゾルを使用した滴下熱分解」及び「粉末
混合法」で得たこれら各粉末2.0gに、ポリエチレン
グリコールを0.8g、エタノールを4g加え、アルミ
ナ自動乳鉢にて20分間練り、エタノールは完全に蒸発
させ、これをスクリーン印刷用ペーストとし、φ14×
1mmの大きさの各8YSZ焼結体ペレット上にφ6m
mの大きさに各々印刷した。これらは1400℃、2時
間焼成し、SOFCの各燃料極とした。他方の面には酸
化ランタン、二酸化マンガン、炭酸ストロンチウムを原
料として滴下熱分解法で得たLa0 8 Sr0 2 Mn
3 粉末をスクリーン印刷し、その後、焼成してこれを
SOFCの空気極とした。また燃料極の分極値のみ分離
出来るよう、白金線を8YSZペレットに巻き付け白金
ペーストで焼きつけて参照極とした。これをSOFC試
験セルと言う。
【0020】このSOFC試験セルを理学製の固体電解
質評価装置に設定し、1000℃に昇温後、燃料極側に
25℃加湿水素、空気極側に空気を流した。この状態で
燃料極は還元され、NiOはNi金属に変化している。
白金メッシュを集電体として使用し、電流遮断法にて燃
料極の電気化学分極値ηを測定した。この測定結果はタ
ーフェルプロットの形で図3に示す。図3において、○
印は本例1で得た粉末を燃料極に適用したもの(ゾルを
使用した滴下熱分解)の場合、●印は比較例1で得た粉
末を燃料極に適用したもの(粉末混合法)の場合を示
す。図3にて明らかなように、本例1で得た粉末を燃料
極に適用した場合は、比較例1より電気化学分極値ηは
格段に小さくなった。
【0021】次に電気化学分極値測定後、燃料極を水素
にさらしたまま室温まで降温し、燃料極表面の電子顕微
鏡(SEM)による微構造観察を行った本例1の結果を
図4に示し、比較例1の結果を図5に示す。本例1によ
り得た粉末を燃料極に適用した場合は比較例1より粒子
径が均一であるのが判る。
【0022】一方、試験前の燃料極破断面の微構造観察
及びエネルギー分散型X線分析装置(EDX)によるジ
ルコニウム、ニッケルの線分析結果を図6及び図8に示
す。図6は本例1のものであり、図8は比較例1であ
る。図6及び図8において、燃料極破断面の微構造は各
写真に示す通りであり、破断面組織におけるジルコニウ
ム、及びニッケルの各線分析の結果は各写真のグラフに
示す通りである。なお、図6及び図8における線分析の
グラフは判りにくいので、図6のグラフは図7に、図8
のグラフは図9に、抽出して示した。図7及び図9にお
いて、20A、20BはX線分析位置を示す線、21
A、21BはニッケルのX線強度、22A、22Bはジ
ルコニウムのX線強度を示す線を各々示している。図6
及び図7に示すように本例1は、ジルコニウム及びニッ
ケルのX線強度が波型を示してそれぞれの山と谷が逆に
なり、その波の周期が比較例1より本例1で得た粉末を
燃料極に適用した場合の方が小さいことから、本例1は
比較例1よりも粒子の高分散性が判明した。
【0023】以上はNi−8YSZサーメットの例であ
るが、同様にNi−CSZ,Ru−YSZ,Co−YS
Z,Ni−SDC(なお、YSZはイットリア安定化ジ
ルコニア、CSZはカルシア安定化ジルコニア、SDC
はサマリア添加セリアを意味する。)に関し、「ゾルを
使用した滴下熱分解」と「粉末混合法」で得た粉末を燃
料極に適用した場合の特性比較を200mA/cm2
流遮断法による燃料極の電気化学分極値ηで比較した結
果を表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】表1にて明らかなように、実施例1のもの
は、いずれも比較例1に較べて高性能であることが認め
られる。
【0026】次に、SOFC用の燃料極材料を作製する
本発明の第2実施例を、図10を参照して説明する。ま
ず、酢酸ニッケル4水和物(純度99.0%以上)と、
酢酸マグネシウム4水和物(純度99.0%以上)をN
i/Mgの比が80/20に成るよう秤量し、これを蒸
留水に溶かし酢酸ニッケル、酢酸マグネシウム総量で
0.25mol/リットル水溶液とした。次いで、8Y
SZのゾル(20wt%ゾル)を先に準備した0.25
mol/リットル水溶液に(Ni+Mg)/8YSZの
モル比が、90/10,80/20,75/25,68
/32,60/40になるよう各々加えて5種類の水溶
液を作り、前記した実施例1と同様に「ゾルを使用した
滴下熱分解法」により粉末を得た。この粉末をアルミナ
坩堝中に入れ電気炉にて1000℃、24時間仮焼し粗
解砕して本例2の電極材料粉末を得た。
【0027】比較例2として8YSZゾルを加えない
0.25mol/リットル水溶液を滴下熱分解後、同様
に仮焼して粉末を得た。この8YSZゾルを加えない
0.25mol/リットル水溶液の滴下熱分解で得た粉
末と、市販の8YSZ粉末を(Ni+Mg)/8YSZ
のモル比が、90/10,80/20,68/32,6
0/40になるよう加えて50mlのエタノールととも
にアルミナ自動乳鉢にて混合しエタノールは蒸発させ、
更に乾燥器中で一昼夜乾燥して4種類の粉末を得た。な
お、(Ni+Mg)/8YSZのモル比が、90/1
0,80/20,75/25,68/32,60/40
である粉末から得た燃料極をそれぞれ8YSZ添加量1
0,20,25,32,40mol%の燃料極と言う。
【0028】これらの粉末を実施例1と同様にSOFC
試験セルとし、複素インピーダンス測定により燃料極の
電気化学分極値ηを測定した。この測定結果を表2に示
す。ここに示すように例2の燃料極は比較例2より電気
化学分極値ηが小さく成っているのが判る。
【0029】
【表2】
【0030】次に、SOFC用の空気極材料を作製する
本発明の第3の実施例を、図11〜図13を参照して説
明する。図11に示すように、まず、酸化ランタン(純
度99.0%以上)、炭酸ストロンチウム(純度99.
0%以上)、二酸化マンガン(純度99.0%以上)を
La:Sr:Mnの比が8:2:10に成るよう秤量
し、これを濃硝酸と過酸化水素水を加えながら蒸留水に
溶かし二酸化マンガンが0.25mol/リットルの水
溶液とする。次に、8YSZゾル(20wt%ゾル)
を、先に準備した水溶液にMn/8YSZのモル比が5
0/50になるよう加えて混合し、これを滴下熱分解法
により750℃で熱処理後、粗解砕して粉末を得た。次
いで、この粉末をアルミナ坩堝中に入れ電気炉にて10
00℃、4時間仮焼し、粗解砕して空気極材料となる粉
末を得た。
【0031】また、比較例3として前記0.25mol
/リットルの水溶液をそのまま滴下熱分解法に従って仮
焼して粉末を得、これに市販の8YSZ粉末をMn/8
YSZのモル比が50/50に成るよう秤量し、それら
総量で10gに対し、エタノール50mlとともにアル
ミナ自動乳鉢にて混合しエタノールは蒸発させ更に乾燥
器中で一昼夜乾燥して粉末(粉末混合法による比較例3
の粉末)を得た。
【0032】「ゾルを使用した滴下熱分解による本例3
の粉末」及び「粉末混合法」で得た比較例3の各粉末
2.0gには、ポリエチレングリコールを0.8g、エ
タノールを4g加え、アルミナ自動乳鉢にて20分間練
り、エタノールは完全に蒸発させ、これをスクリーン印
刷用ペーストとし、φ14×1mmの大きさの各8YS
Z焼結体ペレットの両面にφ6mmの大きさに各々印刷
した。これを1200℃にて4時間焼成し、SOFC空
気極とした。また片方の空気極の分極値のみ分離出来る
よう、白金線を8YSZペレットに巻き付け白金ペース
トで焼き付けて参照極とした。
【0033】このSOFCセルを理学製の固体電解質評
価装置に設定し、1000℃に昇温後、両側に空気を流
して電流遮断法にて空気極の電気化学分極値ηを測定し
た。また、ある程度通電(12時間)後にもηを測定し
た。本例3の測定結果は図12、比較例3の測定結果は
図13に示す通りであった。なお、図12,図13にお
いて、●印のグラフは初期の分極値ηを示し、○印のグ
ラフは12時間通電後の分極値ηを示す。この測定結果
から判るように本例3の初期の特性は比較例3とあまり
差がないが通電後の分極値は本例3のものの方が格段に
よいことが認められる。
【0034】また、200mA/cm2 通電による長期
発電試験の結果は表3に示す通りであった。表3は空気
極の電流遮断法による初期の電気化学分極値ηからの変
化を示す。表3中において+印はηの増加で劣化を意味
し、−印は初期特性よりηが小さくなり、特性が向上し
たことを意味する。
【0035】
【表3】
【0036】このように、実施例3は1000時間にも
及ぶ長期試験においても特性が劣化せず非常に安定して
いることが認められる。
【0037】次に、本発明の第4実施例を説明する。前
記した実施例は、La0.8 Sro.2 MnO3 −YSZの
例であるが、同様にしてLa0.9 Ca0.1 MnO3 −Y
SZ,LaFeO3 −YSZ,La0.9 Ca0.1 MnO
3 −SDC,La0.9 Ca0.1 CoO3 −CSZ,La
NiO3 −SDC,La0.9 Ca0.1 CrO3 −YSZ
に関し、「ゾルを使用した滴下熱分解」と「粉末混合
法」で得た粉末を空気極に適用した場合の特性を電気化
学分極値の12時間200mA/cm2 通電前後の変化
で比較した結果は表4であった。表4は空気極の電流遮
断法による初期の電気化学分極値ηからの変化を示す。
表4において+はηの増加で劣化を意味し、−は初期特
性よりηが小さくなり特性が向上したことを意味する。 なお、表4中、はLa0.9 Ca0.1 MnO3 −YS
Z、はLaFeO3 −YSZ、はLa0.9 Ca0.1
MnO3 −SDC、はLa0.9 Ca0.1 CoO3 −C
SZ、はLaNiO3 −SDC、はLa0.9 Ca
0.1 CrO3 −YSZを表わす。これに見られるように
実施例4はいずれも通電後の特性は向上し分極値が低下
したことが認められる。
【0038】
【発明の効果】請求項1及び請求項2の燃料極材料の作
製方法によれば、作製工程を簡略化し得て、作製コスト
の低廉化に役立ち、かつ作製工程での不純物の混入を少
くすることができ、かつSOFCに適用した場合、粒子
の分散性均一性を上げ、電極特性としての分極値を低下
させて長期の安定性に優れた燃料極となし得る。請求項
3及び請求項4の空気極材料の作製方法によれば、作製
工程を簡略化し得て、作製コストの低廉化に役立ちかつ
作製工程での不純物の混入を少くすることができ、かつ
SOFCに適用した場合、粒子の分散性均一性を上げ、
電極特性としての分極値を低下させて長期の安定性に優
れた空気極となし得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の燃料極材料(粉末)を得る工程図。
【図2】滴下熱分解法の装置説明図。
【図3】実施例1及び比較例1の燃料極分極値のターフ
ェルプロットを示すグラフ。
【図4】実施例1の燃料極表面の電子顕微鏡写真。
【図5】比較例1の燃料極表面の電子顕微鏡写真。
【図6】実施例1の燃料極破断面の電子顕微鏡写真。
【図7】図6の写真のグラフを示す図。
【図8】比較例1の燃料極破断面の電子顕微鏡写真。
【図9】図8の写真のグラフを示す図。
【図10】実施例2の燃料極材料粉末を得る工程図。
【図11】実施例3の空気極材料粉末を得る工程図。
【図12】実施例3の空気極の分極値ηを示すグラフ。
【図13】比較例3の空気極の分極値ηを示すグラフ。
【符号の説明】
11 石英管 12 加熱炉 15 溶液 15A 雫 15B 生成物 16 吸上げ管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 奥村 清志 愛知県名古屋市瑞穂区亀城町2丁目2番 地 タウン亀城II205号 (72)発明者 山本 雄三 大阪府高槻市古曽部町3丁目20番23号 東北アパート203号 (72)発明者 福井 武久 愛知県大府市共和町六丁目28番地の3 メープルタウンSAKANO (72)発明者 竹内 伸二 兵庫県尼崎市若王寺3丁目11番20号 (72)発明者 服部 雅俊 愛知県名古屋市緑区大高町字北関山20番 地の1 (56)参考文献 特開 平2−262260(JP,A) 特開 平4−51462(JP,A) 特開 平2−80360(JP,A) 特開 平3−17959(JP,A) 特開 平4−193701(JP,A) 特開 昭62−296366(JP,A) 特開 平3−261621(JP,A) 特開 平4−192261(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 4/86 - 4/96 H01M 8/12

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ニッケル,コバルト及びルテニウムの群
    から選ばれた一種以上の物質のイオンを含む水溶液と、
    酸化ジルコニウム又は酸化セリウム又はその両方を含む
    ゾルとを混合し、これを熱処理して粉末を得ることを特
    徴とした固体電解質型燃料電池用燃料極材料の作製方
    法。
  2. 【請求項2】 ニッケルのイオン、又はニッケルのイオ
    ン及びマグネシウムのイオンを含む水溶液と、酸化イッ
    トリウム及び酸化ジルコニウムからなるゾルとを混合
    し、これを熱処理して粉末を得ることを特徴とした固体
    電解質型燃料電池用燃料極材料の作製方法。
  3. 【請求項3】 ランタンのイオンと、マンガン・鉄・コ
    バルト・ニッケル及びクロムの群から選ばれた一種以上
    の物質のイオンを含む水溶液と、酸化ジルコニウム又は
    酸化セリウム又はその両方を含むゾルとを混合し、これ
    を熱処理して粉末を得ることを特徴とした固体電解質型
    燃料電池用空気極材料の作製方法。
  4. 【請求項4】 ランタンのイオンとマンガンのイオン
    と、ストロンチウムまたはカルシウムのイオンを含む水
    溶液と、酸化イットリウム及び酸化ジルコニウムからな
    るゾルとを混合し、これを熱処理して粉末を得ることを
    特徴とした固体電解質型燃料電池用空気極材料の作製方
    法。
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