JP3097565B2 - 現像ロール - Google Patents

現像ロール

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JP3097565B2
JP3097565B2 JP17930696A JP17930696A JP3097565B2 JP 3097565 B2 JP3097565 B2 JP 3097565B2 JP 17930696 A JP17930696 A JP 17930696A JP 17930696 A JP17930696 A JP 17930696A JP 3097565 B2 JP3097565 B2 JP 3097565B2
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昭二 有村
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  • Dry Development In Electrophotography (AREA)
  • Rolls And Other Rotary Bodies (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真複写機、
プリンター等に用いられる現像ロールに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、電子写真複写機による複写はつ
ぎのようにして行われる。すなわち、軸中心に回転する
感光ドラムに原稿像を静電潜像として形成し、これにト
ナーを付着させてトナー像を形成する。ついで、このト
ナー像を複写紙に転写することにより複写が行われる。
この場合、上記感光ドラム表面に対して静電潜像を形成
させるためには、予め感光ドラム表面を帯電させ、この
帯電部分に対して原稿像を光学系を介して投射し、光の
当たった部分の帯電を打ち消すことにより静電潜像をつ
くるということが行われている。このようにして感光ド
ラム表面に形成された静電潜像にトナー像を形成させる
方法としては、図5に示すように、現像ロール2を用い
た方式(接触現像方式)が採られている。すなわち、ト
ナーが磁性一成分の場合、まず、トナーボックス6内の
トナー4を矢印方向に回転するマグネットロール3表面
に付着させ、このマグネットロール3と摺接し、かつ感
光ドラム1とも摺接して回転する現像ロール2表面にト
ナー4を移行させる。現像ロール2表面に移行したトナ
ー4は、感光ドラム1表面の静電潜像部分に移行して感
光ドラム1表面にトナー像が形成される。このようにし
て形成されたトナー像は、移送された複写紙上に、転写
装置を介して転写され、続いて定着ロール等によって複
写紙に定着される。このようにして複写が行われる。図
5において、5は層形成ブレード、25はトナー補給ロ
ーラである。
【0003】そして、上記電子写真複写機において用い
られる現像ロールとしては、例えば、図6に示すよう
に、芯金7の外周にシリコーンゴム材料からなる内層8
が形成され、この内層8の外周面にフッ素ゴム材料から
なる外層9が形成された2層構造の現像ロールが汎用さ
れている。このような現像ロールは、内層形成材料のシ
リコーンゴムにコロナ放電等の処理を施し、その上にシ
ランカップリング剤等の接着剤を塗布し、その上に外層
形成材料のフッ素ゴムを塗布することにより作製され
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記現
像ロールは、シリコーン材料からなる内層7とフッ素ゴ
ムからなる外層8の層間接着力に劣るため、上記現像ロ
ールを複写機やファクシミリ装置等に組み込んで繰り返
し複写を行った場合に、内層7と外層8が剥がれたり、
破れたりする等の問題が生じ、良好な画質を得ることが
できない。
【0005】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、各層の層間接着力に優れ、しかも、良好な画質
が得られる現像ロールの提供をその目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の現像ロールは、軸体と、上記軸体の外周面
に沿って形成された最内層と、上記最内層の外周面に形
成された中間層と、上記中間層の外周面に形成された最
外層とを備えた現像ロールであって、上記中間層が、下
記の水素添加アクリロニトリル−ブタジエンゴム(A)
を主成分とする層形成材料によって形成された層である
という構成をとる。 (A)アクリロニトリル量が40〜50%の範囲に設定
され、かつ、ヨウ素価が23〜56mg/100mgの
範囲に設定された水素添加アクリロニトリル−ブタジエ
ンゴム。
【0007】すなわち、本発明者らは、内層と外層の層
間接着力に優れ、剥がれや破れ等が生じない現像ロール
について一連の研究を重ねた。そして、その研究の課程
で、内層と外層との間に、アクリロニトリル−ブタジエ
ンゴム(NBR)を主成分とする層形成材料によって形
成された中間層を介在させると、内層と中間層の層間接
着力、および、中間層と外層の層間接着力が向上し、結
果として内層/中間層/外層の3層間の層間接着力が向
上することを突き止めた。しかし、上記NBRは塗料の
ゲル化速度が速すぎるため塗料寿命が短く、また、乾燥
時の高温により劣化しやすく、硬くなったり、接着力が
低下する等の問題がある。そこで、上記問題を解決でき
る中間層形成材料についてさらに研究を重ねた結果、N
BRに水素添加処理を施した水素添加アクリロニトリル
−ブタジエンゴム(水素化ニトリルゴム)(以下「H−
NBR」という)を用いると、内層/中間層/外層の3
層間の優れた層間接着力を保持し、しかも製造上の寿命
(ポットライフ)が伸びることを突き止めた。そして、
アクリロニトリル量(以下「AN量」という)が40〜
50%の範囲に設定され、かつ、ヨウ素価が23〜56
mg/100mgの範囲に設定されたH−NBR、すな
わち、図1に示すように、縦軸にH−NBRのAN量、
横軸にH−NBRのヨウ素価をそれぞれ示すグラフ図に
おいて、斜線で囲まれた領域αに位置するAN量とヨウ
素価を備えた特殊なH−NBR(A)を主成分とする層
形成材料によって形成された中間層が、最内層と最外層
との間に介在すれば、最内層/中間層/最外層の3層間
の層間接着力が向上し、剥がれや破れ等の発生を防止で
きるため、良好な画像を得ることができ、しかも、製造
上の寿命(ポットライフ)が伸びることを見出し本発明
に到達した。
【0008】そして、上記最内層がシリコーンゴムを主
成分とする層形成材料によって形成された層であり、か
つ、上記最外層がフッ素ゴムを主成分とする層形成材料
によって形成された層であれば、優れたトナー離型性、
優れた画質、優れた耐久維持性等を有するということを
突き止めた。なお、本発明において、各層における「主
成分」とは主成分のみからなる場合も含める趣旨であ
る。
【0009】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施の形態を詳
しく説明する。
【0010】本発明の現像ロールは、図2に示すよう
に、軸体10と、この軸体10の外周面に沿って形成さ
れる最内層11と、この最内層11の外周面に形成され
る中間層12と、この中間層12の外周面に形成される
最外層13とを備えたものである。
【0011】上記軸体10としては、導電性を有するも
のであれば特に限定されるものではなく、金属製の中実
体からなる芯金や、内部を中空にくり抜いた金属製の円
筒体が用いられる。上記軸体10の材料としては、アル
ミニウム、ステンレス等があげられる。
【0012】上記軸体10の外周面に形成される最内層
11は、シリコーンゴムを主成分とする層形成材料によ
って形成するのが好ましく、特に好ましくは導電性シリ
コーンゴムである。上記導電性シリコーンゴムは、シリ
コーンゴムに導電剤を配合することにより得られる。
【0013】上記シリコーンゴムとしては、ジメチルシ
リコーンポリマーに架橋サイトとしてビニル基を付加し
たものに、ジメチルシリコーンオイルを添加したものを
用いることが好ましい。
【0014】また、上記導電剤としては、カーボンブラ
ック(ファーネスブラック、アセチレンブラック)等が
用いられる。上記導電剤のなかでも、特に高い導電性が
必要という点から、表面積が大きく、また吸油量が大き
く、ストラクチャ(導電パス)を作り易いファーネスブ
ラック(導電性カーボンブラック:ケッチェンブラッ
ク)を用いることが好ましい。上記導電剤の配合量は、
シリコーンゴム100重量部(以下「部」と略す)に対
して3〜15部の範囲に設定することが好ましい。特に
好ましくは4〜8部である。すなわち、導電剤の配合量
が、3部未満では、充分な導電性が得られず、逆に15
部を超えると、硬度が高くなってしまう傾向がみられる
からである。
【0015】上記最内層11の外周面に形成される中間
層12は、特殊なH−NBR(A)を主成分とする層形
成材料によって形成される。そして、本発明において
は、上記H−NBRが、下記の特性を備えていることを
特徴とする。
【0016】上記特殊なH−NBR(A)は、特定範囲
のAN量および特定範囲のヨウ素価をともに満たす、す
なわち、図1に示すように領域α(斜線部分)の範囲に
設定されることが必要であり、具体的には、AN量が4
0〜50%の範囲に設定され、かつ、ヨウ素価が23〜
56mg/100mgの範囲に設定されることが必要で
ある。より好ましくは、AN量が42〜50%の範囲、
かつ、ヨウ素価が23〜50mg/100mgの範囲、
特に好ましくは、AN量が45〜50%の範囲、かつ、
ヨウ素価が23〜45mg/100mgの範囲である。
【0017】すなわち、H−NBRのAN量およびヨウ
素価が上記範囲外であれば、つぎのような問題が生じ
る。例えば、図1において領域a、b、cの範囲であれ
ば、AN量が50%を超えるため、H−NBRの原料と
なるNBRの製造が困難となる。また、領域fの範囲
(AN量が40%未満で、しかも、ヨウ素価が23mg
/100mg未満)であれば、最内層11/中間層12
/最外層13の3層間の層間接着力が劣り、剥がれや破
れ等が生じる結果、良好な画像が得られず、しかも、ゴ
ム中の炭素−炭素二重結合が不足して硫黄での加硫が甘
くなり、領域hの範囲(AN量が40%未満で、しか
も、ヨウ素価が56mg/100mgを超える)であれ
ば、最内層11/中間層12/最外層13の3層間の層
間接着力が劣り、剥がれや破れ等が生じる結果、良好な
画像が得られず、しかも、ゴム中の炭素−炭素二重結合
が多くなり製造上の寿命(ポットライフ)が短くなる。
【0018】そして、H−NBRのAN量が上記範囲内
であっても、ヨウ素価が上記範囲外であれば、例えば、
図1において領域dの範囲(AN量が40〜50%の範
囲内で、ヨウ素価が23mg/100mg未満)であれ
ば、ゴム中の炭素−炭素二重結合が不足して硫黄での加
硫が甘くなり、各層間の接着性が悪く、良好な画像が得
られず、領域eの範囲(AN量が40〜50%の範囲内
で、ヨウ素価が56mg/100mgを超える)であれ
ば、ゴム中の炭素−炭素二重結合が多くなり製造上の寿
命(ポットライフ)が短くなる。
【0019】また、H−NBRのヨウ素価が上記範囲内
であっても、AN量が上記範囲外であれば、例えば、図
1において領域gの範囲(ヨウ素価が23〜56mg/
100mgの範囲内で、AN量が40%未満)であれ
ば、最内層11/中間層12/最外層13の3層間の層
間接着力が劣り、剥がれや破れ等が生じる結果、良好な
画像が得られない。
【0020】そして、上記特殊なH−NBR(A)は、
例えば、つぎのようにして得られる。すなわち、まず、
ブタジエンとアクリロニトリルの乳化重合により、原料
となるNBRを得る。ついで、原料NBRをアセトン、
メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロ
ヘキサノン等の溶剤に溶解し、Rh、Pd、Pt等の貴
金属触媒の存在下において水素付加反応を行い(NBR
に水素添加処理を施し)、目的とするH−NBRを得
る。なお、AN量は原料NBRにより調整され、ヨウ素
価(水素添加量)は反応させる水素濃度等により調整さ
れる。
【0021】また、上記特殊なH−NBR(A)は、導
電剤を含有するものが好ましい。上記導電剤としては、
ケッチェンブラック等のカーボンブラック、金属酸化
物、第四級アンモニウム塩等のイオン導電剤が用いられ
るが、導電性付与の容易さの面からカーボンブラックが
好ましい。
【0022】そして、上記導電剤の配合量は、H−NB
R100部に対して15〜35部の割合に設定すること
が好ましく、特に好ましくは20〜30部である。すな
わち、上記配合量に設定することにより、中間層を所望
の硬度、および体積固有抵抗に設定することが可能とな
るからである。
【0023】なお、中間層12形成材料には、上記H−
NBR、導電剤以外に、硫黄等の加硫剤、グアニジン、
チアゾール、スルフェンアミド、ジチオカルバミン酸
塩、チウラム等の加硫促進剤を、また、必要に応じてス
テアリン酸、亜鉛華(ZnO)、軟化剤等を適宜に添加
してもよい。
【0024】上記中間層12の外周面に形成される最外
層13は、フッ素ゴムを主成分とする層形成材料によっ
て形成するのが好ましい。
【0025】上記フッ素ゴムとしては、特に限定するも
のではなく従来公知のものが用いられ、テトラフルオロ
エチレン−ポリプロピレン(TFE−PP)共重合体が
好ましく用いられ、具体的には、下記に示す構造を有す
るランダム共重合体を用いることが好ましい。
【0026】
【化1】
【0027】上記構造において、各繰り返し部分m、
n、pの割合は、重量比で、m:n:p=(30〜6
0):(10〜40):(10〜40)に設定されたも
のを用いることが好ましく、特に好ましくはm:n:p
=(30〜50):(30〜40):(20〜30)で
ある。
【0028】そして、上記最外層13形成材料には、フ
ッ素ゴム以外に、この最外層に適正な体積電気抵抗を付
与するためのイオン導電性導電剤を配合するのが好まし
い。
【0029】上記イオン導電性導電剤としては、例え
ば、トリメチルオクタデシルアンモニウムクロライド、
ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、トリオク
チルプロピレンアンモニウムクロライド、トリオクチル
プロピルアンモニウムブロマイド、トリメチルオクタデ
シルアンモニウムパークロレート、テトラブチルアンモ
ニウムハイドロゲンサルフェート、テトラブチルアンモ
ニウムヒドロキサイド等の四級アンモニウム化合物およ
びこれら四級アンモニウム化合物の過塩素酸塩、安息香
酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、水酸塩等があげられる。これ
らは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なかで
も、テトラブチルアンモニウムハイドロゲンサルフェー
ト、テトラブチルアンモニウムヒドロキサイドを用いる
ことが好ましい。
【0030】なお、上記各層の形成に加えて、最内層1
1と中間層12との間に、シランカップリング剤層を形
成することが、上記最内層11と中間層12との接着性
向上という点から好ましい。すなわち、上記最内層形成
材料として、導電性シリコーンゴムを用い、中間層形成
材料として、特殊なH−NBR(A)を主成分とするも
のを用いる場合、両者の接着性が悪いため、2層間の接
着性向上を図るために、シランカップリング剤層を形成
することが好ましい。上記シランカップリング剤として
は、具体的には、γ−グリシドキシプロピルトリメトキ
シシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニル
トリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシ
シラン等があげられる。
【0031】本発明の現像ロールは、例えばつぎのよう
にして製造される。すなわち、まず、前記最内層形成材
料用の各成分をニーダー等の混練機で混練してコンパウ
ンドである最内層形成材料を、また、中間層形成材料、
最外層形成材料である各コーティング液をそれぞれ作製
する。上記各コーティング液は、各成分を適宜に配合
し、ボールミル等で混練し、この混合物に有機溶媒を加
えて混合、攪拌することにより調製される。そして、こ
のようにして調製されたコーティング液の濃度は、形成
する各層の厚みに応じて適宜に設定される。すなわち、
各層の厚みはコーティング液の粘度調整が大きな要因と
なり、この粘度調整によって設定され、上記粘度は各コ
ーティング液の濃度によって決定される。このような観
点から、上記各コーティング液の濃度は、中間層形成材
料に関しては、10〜30%の範囲に設定することが好
ましく、特に好ましくは12〜15%である。さらに、
最外層形成材料に関しては、10〜30%の範囲に設定
することが好ましく、特に好ましくは12〜17%であ
る。
【0032】上記有機溶媒としては、アセトン、メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール、
トルエン、イソプロピルアルコール、メチルセロソル
ブ、ジメチルホルムアミド等があげられる。これらは単
独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0033】ついで、金属製の軸体(芯金)を準備し、
図3に示すように、上記金属製の軸体(芯金)10をセ
ットした下蓋15および円筒型16内に、シリコーンゴ
ムコンパウンド(最内層形成材料)を注型し、上蓋17
を円筒型16に外嵌する。ついで、このロール型全体を
加熱してシリコーンゴムコンパウンドを加硫する(15
0〜220℃×1時間)。そして、加熱加硫した後、ロ
ール型から取り出して、2次加硫により加硫剤の残渣を
蒸発させる(200℃×4時間)。このようにして最内
層を形成する。上記最内層を形成した後、この最内層表
面に中間層形成材料となるコーティング液を塗布し、も
しくはこの最内層形成済みのものをコーティング液中に
浸漬して引き上げた後、乾燥および加熱処理を行うこと
により最内層の外周面に中間層を形成する。さらに、上
記中間層を形成した後、この中間層表面に、最外層形成
材料となるコーティング液を塗布し、もしくはコーティ
ング液中に浸漬して引き上げた後、乾燥および加熱処理
を行うことにより最外層を形成する。このコーティング
液の塗布方法としては、ディッピング法、スプレーコー
ティング法、ロールコート法等があげられる。このよう
にして目的の図2に示すような3層構造の現像ロールを
作製することができる。
【0034】なお、前述のように、上記最内層を形成し
た後、中間層を形成する前に、最内層の外周面に、シラ
ンカップリング剤層を形成することが好ましい。このシ
ランカップリング剤層の形成方法としては、スプレーコ
ート、ディッピング、刷毛による塗布等があげられる。
【0035】上記現像ロールにおいて、最内層11の厚
みは、2〜10mmの範囲に設定することが好ましく、
特に好ましくは厚み3〜6mmである。また、中間層1
2の厚みは、3〜90μmの範囲に設定することが好ま
しく、特に好ましくは厚み5〜15μmである。そし
て、最外層13の厚みは、20〜100μmの範囲に設
定することが好ましく、特に好ましくは厚み30〜50
μmである。
【0036】さらに、この現像ロールにおいて、各層は
つぎのように設定するのが好ましい。すなわち、最内層
11は、硬度(Hs)が15°未満、圧縮永久歪(C
s)が5%未満、体積固有抵抗(Rv)が107 Ω・c
m未満に設定するのが好ましい。特に好ましくは、硬度
(Hs)が5〜10°、圧縮永久歪(Cs)が4%以
下、体積固有抵抗(Rv)が105 Ω・cm以下であ
る。
【0037】また、中間層12は、硬度(Hs)が85
°以下、体積固有抵抗(Rv)が106 Ω・cm未満に
設定するのが好ましい。特に好ましくは、硬度(Hs)
が75°以下、体積固有抵抗(Rv)が105 Ω・cm
以下である。
【0038】さらに、最外層13は、硬度(Hs)が8
5°以下、体積固有抵抗(Rv)が107 〜1012Ω・
cmに設定するのが好ましい。特に好ましくは、硬度
(Hs)が75°以下、体積固有抵抗(Rv)が108
〜1011Ω・cmである。
【0039】このように、最内層11、中間層12およ
び最外層13の各特性を上記値に設定することにより、
諸特性(トナー離型性、低硬度化、低へたり性、適正な
導電性)の全てを満足させることが可能となる。
【0040】なお、上記各層の硬度(Hs)は、JIS
−A硬度に基づき、上記最内層の圧縮永久歪(Cs)
は、JIS K 6301に準じる。また、各層の体積
固有抵抗(Rv)は、つぎのような方法により測定す
る。すなわち、各層形成材料のシートを作製し、シート
外表面上に銀ペーストで10mm四方の電極を描き(ガ
ード電極付)、シートの反対側の面に対抗電極を設け、
電極間の電気抵抗を測定する。なお、電極間には直流電
圧100Vを印加する。
【0041】つぎに、実施例について比較例と併せて説
明する。
【0042】まず、実施例および比較例に先立ち、下記
の表1に示すH−NBR(A〜G)、および下記の表2
に示すH−NBR(a〜g)をそれぞれ準備した。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【実施例1〜7、比較例1〜7、従来例1〜3】SUS
303製芯金(直径10mm)を準備し、下記の表3〜
5に示す各成分を配合した。そして、周囲に接着剤を塗
布した上記芯金のセット済み円筒金型に、上記最内層形
成材料であるコンパウンドを注型し(図3参照)、加熱
加硫(180℃×1時間)させた後、脱型して、さらに
2次加硫処理(200℃×4時間)することにより芯金
の外周に最内層(厚み5mm)を形成した。ついで、シ
ランカップリング剤として、γ−グリシドキシプロピル
トリメトキシシランを用いコーティング法により、上記
最内層の外周面に、シランカップリング剤層(厚み0.
5μm)を形成した。そして、中間層形成材料および最
外層形成材料を用い、上記最内層およびシランカップリ
ング剤層の形成された芯金表面に、ロールコートのコー
ティング方法により中間層(厚み20μm)、最外層
(厚み40μm)の順に各層を形成した。なお、従来例
3については、中間層を形成せずに、内層およびシラン
カップリング剤層の形成された芯金表面に、ロールコー
トのコーティング方法により外層を形成した。また、上
記最内層、中間層、最外層の各々の硬度(Hs)および
体積固有抵抗(Rv)と、最内層の圧縮永久歪(Cs)
(70℃×22時間×25%圧縮)を前述の方法に従い
測定し、下記の表3〜5に併せて示した。
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】
【表5】
【0049】このようにして得られた各現像ロールにつ
いて、各層の層間接着力を下記の方法に従って測定し
た。また、複写画像の画質評価、耐久試験、溶剤溶解性
および塗料寿命(ゲル化)について、下記の方法に従っ
て測定した。これらの結果を下記の表6〜8に併せて示
す。
【0050】〔各層の層間接着力〕 (最内層と中間層の層間接着力)最内層と中間層の層間
接着力の測定について、図4に基づいて説明する。すな
わち、まず、作製されたロール40のIN40a側、C
ENTER40b側、OUT40c側の3ケ所にそれぞ
れ幅1inchの切り込みを入れ、各々ロール40の芯
金41方向に切り込みを入れる。そこを起点として最内
層と中間層で2cmほど剥がし、ストログラフ42によ
りチャック43部分で塗膜部分をつまみ、Test/S
peed=50mm/minで矢印方向に引っ張り、最
内層と中間層の層間接着力を測定する。接着力の値は、
ロール40のIN40a側、CENTER40b側、O
UT40c側の3ケ所の平均で示し、接着力が250g
/inch以上であれば合格とする。なお、図4(a)
において、44は三角ブロック(おもり)を示し、図4
(b)は上記三角ブロック(おもり)の右側面図であ
り、45はベアリングを示す。
【0051】(中間層と最外層の層間接着性)中間層と
最外層の層間接着性は、上記最内層と中間層の層間接着
力と同様にして行った。すなわち、ロール40のIN4
0a側、CENTER40b側、OUT40c側の3ケ
所にそれぞれ幅1inchで切り込みを入れ、各々ロー
ル40の芯金41方向に切り込みを入れ起点をつくっ
た。その後、中間層と最外層間を剥がし、全く剥がれ
ず、剥がれても中間層のゴムが最外層側にくっついてく
る場合を○、剥がれて最外層側に所々中間層のゴムがく
っついてくる場合を△、剥がれて最外層側に全く中間層
のゴムがついていない場合を×として評価した。
【0052】〔複写画像の画質評価〕現像ロールを電子
写真複写機に組み込み、実際に複写を行った。そして、
複写画像の画質を複写初期と3万枚複写後において目視
評価した。すなわち、文字を印刷し、複写画像に問題が
なく、細線が鮮明に複写されたものを○、かすれやかぶ
り等が発生したものを×とした。なお、かすれとは細線
がとぎれたものをいい、かぶりとはイメージのないとこ
ろにトナーが飛んでいるものをいう。
【0053】〔耐久試験〕現像ロールを電子写真複写機
に組み込み、実際に複写を行った。そして、3万枚複写
後における耐久性について目視評価した。すなわち、最
内層/中間層/最外層の3層間のいずれかに剥がれや、
破れ等が発生した場合を「発生」として表示し、3層間
のいずれにも剥がれや、破れ等が発生しなかった場合を
「なし」として表示した。
【0054】〔溶剤溶解性の評価〕混練りしたゴムコン
パウンドを5mm角程度に細かく切り、これに有機溶剤
を加えて混合、攪拌を行う。有機溶剤としてはメチルエ
チルケトン、メタノール、トルエン、イソプロピルアル
コール、メチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド等を
単独もしくは2種以上併せて使用する。コーティング液
濃度を20%に設定して、室温で3時間放置した。そし
て、下記の基準により溶剤溶解性を評価した。すなわ
ち、前述のコーティング液をアルミホイル上に滴下し、
放置し、目視でゴムコンパウンドの破片の有無を調べ
た。ゴムコンパウンドの破片が全く残っていないものを
○、2mm未満の大きさのゴムコンパウンド破片が残っ
ているものを△、2mm以上の大きさのゴムコンパウン
ドが残っているものを×として評価した。
【0055】〔塗料寿命(ゲル化)の評価〕上記溶剤溶
解性の評価と同様にして、濃度が20%のコーティング
液を作製した。ついで、このコーティング液をステンレ
ス製の容器に入れて蓋をし、室温で放置した。そして、
下記の基準により塗料寿命(ゲル化)の評価を行った。
すなわち、放置後1ケ月以上ゲル化しないものを○、放
置後1週間以上1ケ月未満でゲル化するものを△、放置
後1週間未満でゲル化するものを×として評価した。
【0056】
【表6】
【0057】
【表7】
【0058】
【表8】
【0059】上記表6〜8の結果から、全実施例品は、
各層の層間接着力に優れ、良好な画質を得ることがで
き、しかも、耐久性、溶剤溶解性、塗料寿命(ゲル化)
も良好であった。これに対して、全比較例品および全従
来例品は、各層の層間接着力、画質評価(初期および3
万枚複写後)、耐久試験、溶剤溶解性および塗料寿命
(ゲル化)の全ての特性を必ずしも満足させるものでは
なかった。
【0060】
【発明の効果】以上のように、本発明の現像ロールは、
軸体と、上記軸体の外周面に沿って形成された最内層
と、上記最内層の外周面に形成された中間層と、上記中
間層の外周面に形成された最外層とを備えており、上記
中間層が、上記特殊なH−NBR(A)を主成分とする
層形成材料によって形成されている。そのため、最内層
/中間層/最外層の3層間の層間接着力が向上し、剥が
れや破れ等の発生を防止できる。したがって、本発明の
現像ロールを、例えば電子写真複写機に組み込み使用す
ると、長期間の使用による画質の低下が防止され、高画
質の複写画像が得られる。しかも、製造上の寿命(ポッ
トライフ)が伸びるという優れた効果をも奏する。
【0061】そして、上記最内層がシリコーンゴムを主
成分とする層形成材料によって形成された層であり、か
つ、上記最外層がフッ素ゴムを主成分とする層形成材料
によって形成された層であれば、優れたトナー離型性、
優れた画質、優れた耐久維持性等を有するためより好ま
しい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の現像ロールに用いる特殊なH−NBR
(A)のAN量とヨウ素価との関係を説明する図であ
る。
【図2】本発明の現像ロールを示す断面図である。
【図3】本発明の現像ロールの製法を示す説明図であ
る。
【図4】(a)は現像ロールの各層の層間接着力の測定
方法を説明するための模式図であり、(b)は三角ブロ
ック(おもり)の右側面図である。
【図5】電子写真複写機の複写機構の一部を示す構成図
である。
【図6】従来の現像ロールを示す断面図である。
【符号の説明】
10 軸体 11 最内層 12 中間層 13 最外層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加地 明彦 愛知県小牧市大字北外山字哥津3600番地 東海ゴム工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−72881(JP,A) 特開 昭63−317340(JP,A) 特開 平8−328351(JP,A) 特開 平9−309975(JP,A) 特開 平9−73237(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 15/08 501 G03G 15/02 101 G03G 15/09 - 15/09101 G03G 15/16 - 15/16 103 F16C 13/00 B32B 25/12 - 25/20

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸体と、上記軸体の外周面に沿って形成
    された最内層と、上記最内層の外周面に形成された中間
    層と、上記中間層の外周面に形成された最外層とを備え
    た現像ロールであって、上記中間層が、下記の水素添加
    アクリロニトリル−ブタジエンゴム(A)を主成分とす
    る層形成材料によって形成された層であることを特徴と
    する現像ロール。 (A)アクリロニトリル量が40〜50%の範囲に設定
    され、かつ、ヨウ素価が23〜56mg/100mgの
    範囲に設定された水素添加アクリロニトリル−ブタジエ
    ンゴム。
  2. 【請求項2】 上記最内層がシリコーンゴムを主成分と
    する層形成材料によって形成された層であり、かつ、上
    記最外層がフッ素ゴムを主成分とする層形成材料によっ
    て形成された層である請求項1記載の現像ロール。
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