JP3090845U - 変圧器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】二次コイルの静電容量を充分に大きくし、一次
コイルから二次コイルへ移行するサージ電圧の移行レベ
ルを低減することができる変圧器を提供する。 【解決手段】この変圧器は、鉄心１に外嵌されたコイル
ボビン２に二次コイル５が巻装され、二次コイル５の外
側に絶縁物を介して一次コイル１１が巻装される。二次
コイル５の内周側に絶縁物を介して第一導電性シールド
３が巻装され、二次コイル５の外周部に第二導電性シー
ルド６が巻装される。さらに、二次コイル５のコイル層
間に少なくとも1枚の第三導電性シールド８が絶縁物を
介して巻装され、第一導電性シールド３、第二導電性シ
ールド６、及び第三導電性シールド８はアース接続され
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、低圧級乾式の変圧器に関し、特に一次コイルに重畳したサージ電圧 の二次コイル側への移行レベルを低く抑制することができる変圧器に関する。

【０００２】

【従来の技術】

屋外に設置される無線設備などの電気機器に使用される変圧器では、落雷によ る雷サージ電圧の一次コイルから二次コイルへの移行レベルを小さくし、雷サー ジ電圧を効果的に減衰させる性能が要求される場合がある。このような場合、一 般に、一次コイルと二次コイルの間に導電性シールドを介装し、導電性シールド をアース接続して、二次コイルへの雷サージ電圧の移行レベルを小さくするよう にしている。しかし、このような一次コイルと二次コイルの間の導電性シールド のみでは、導電性シールドの面積が少なく、二次コイルと導電性シールド間の静 電容量を大きくすることができず、雷サージ電圧の移行レベルを下げることが難 しいという課題があった。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

さらに、近年、電気設備内のスペースの縮小から、変圧器のコンパクト化が要 求される傾向にあり、変圧器の小型化により、巻装コイル自体も小型化され、そ れに応じて導電性シールドの面積が少なくなり、二次コイルと導電性シールド間 の静電容量が増加できず、そのために、一次コイルから二次コイルへの雷サージ 電圧の移行レベルが充分に低くならないという課題があった。

【０００４】 本考案は、上記の点に鑑みてなされたもので、二次コイルの静電容量を充分に 大きくし、一次コイルから二次コイルへ移行するサージ電圧の移行レベルを十分 に小さくすることができる変圧器を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するために、本考案の変圧器は、鉄心に外嵌されたコイルボビ ンに二次コイルが巻装され、該二次コイルの外側に絶縁物を介して一次コイルが 巻装されてなる変圧器において、二次コイルの内周側に絶縁物を介して第一導電 性シールドが巻装され、二次コイルの外周部に第二導電性シールドが巻装される と共に、二次コイルのコイル層間に少なくとも1枚の第三導電性シールドが絶縁 物を介して巻装され、第一導電性シールド、第二導電性シールド、及び第三導電 性シールドがアース接続されたことを特徴とする。

【０００６】 ここで、上記第一導電性シールド、第二導電性シールド、及び第三導電性シー ルドは銅箔から形成し、銅箔にアース線を接続し、アース線を金属部に接続する ことができる。

【０００７】 なお、ここで絶縁物とは、パルプを用いて抄造した通常の絶縁紙、ポリアミド 繊維等を用いて抄造した絶縁紙、合成樹脂フィルム、及び絶縁合成樹脂を含む概 念である。

【０００８】

【作用】

このような構成の変圧器は、二次コイルがその内周部を第一導電性シールドに より包囲され、その外周部が第二導電性シールドにより包囲され、さらに二次コ イルの層間に第三導電性シールドが巻装され、各シールドがアース接続されるか ら、二次コイルとアース間の静電容量は、十分に大きくなる。このため、落雷な どによるサージ電圧が一次コイルに重畳した場合にも、二次コイルへの移行レベ ルは充分に小さくなり、二次側に移行する雷などのサージ電圧を良好に減衰させ ることができる。

【０００９】

【考案の実施の形態】

以下、本考案の実施の形態を図面に基づいて説明する。図１は本考案を適用し た変圧器の正面図を示し、図２はその側面図を、図３，４はその断面図を示して いる。

【００１０】 １は鋼板を積層して形成した積層鉄心であり、図３に示すように、積層面にそ って断面形状は、環状部の中央に連結部を形成した形状つまり環状部の内側に２ つの空間を設けて形成され、その２つの空間内にコイルボビン２が挿入され、中 央の連結部に外嵌される。コイルボビン２内には、先ず第一絶縁物4を介して第 一導電性シールド３が巻装され、その外周部に二次コイル５が巻装される。第一 導電性シールド３は、例えば厚さ０．１ｍｍの銅箔を1回巻き付けるように配設 され、第一導電性シールド３の内側及び外側には第一絶縁物４がシールド３を包 むように巻装される。つまり第一導電性シールド３は二次コイル５の内周部を包 囲するように巻装される。

【００１１】 第一導電性シールド３と第一絶縁物４の外側、二次コイル５が所定の巻数だけ 巻装されるが、特にこの二次コイル５の層間には、第三導電性シールド８が配設 される。つまり、二次コイル５が例えば4層にわたって巻装される場合、例えば ２層目と３層目の間に第三導電性シールド８が配設される。この第三導電性シー ルド８は、例えば厚さ０．１ｍｍの銅箔を1回巻き付けるように配設され、第三 導電性シールド８の内側及び外側には、第三絶縁物９がシールド８を包むように 巻装される。

【００１２】 さらに、二次コイル５の外側に、第二絶縁物7を介して第二導電性シールド６ が巻装される。第二導電性シールド６は、例えば厚さ０．１ｍｍの銅箔を1回巻 きつけるように配設され、第二導電性シールド６の内側及び外側には第二絶縁物 ７がシールド６を包むように巻装される。これにより、二次コイル５の外周部が 第二導電性シールド６により包囲される。

【００１３】 上記第一絶縁物４、第二絶縁物７、及び第三絶縁物９としては、通常の絶縁紙 を任意の枚数だけ重ねて巻き付けるように使用することができるが、他の絶縁紙 として、ポリエステルフィルム、ポリアミド繊維紙、或はＰＥＮ（ポリエチレン ナフタレート樹脂）フィルムを任意の枚数だけ重ねて使用することもできる。

【００１４】 さらに、第二導電性シールド６及び第二絶縁物７の外側に、一次コイル１１が コイルボビン１２を介して所定の巻数だけ巻装され、一次コイル１１の外周に外 周絶縁物１７が巻き付けられる。この外周絶縁物１７も上記と同様に、通常の絶 縁紙、或いはポリエステルフィルム、ポリアミド繊維紙、或はＰＥＮフィルムな どを任意の枚数重ねて使用することができる。

【００１５】 一方、鉄心１の下部には取付脚部１６が固定され、鉄心１上には、複数の接続 端子を有する一次側端子部１３と二次側端子部１４が固定され、さらに、アース 端子１５が鉄心１上に固定される。上記第一導電性シールド３、第二導電性シー ルド６、及び第三導電性シールド８には各々アース線がロウ付けなどで接続され 、それらのアース線はアース端子１５に接続される。

【００１６】 また、一次コイル１１が一次側端子部１３の端子に接続され、二次コイル５が 二次側端子部１４に接続される。アース端子１５は、図２のように、金属製の取 付フレームの一部に固定することができるが、鉄心１の下部に固定した金属の取 付脚部１６に固定することもできる。また、鉄心１の側面と締付金具間にアース 線又はアース端子を挟み込み、アース線を金属部にアース接続することもできる 。

【００１７】 このような構成の変圧器では、二次コイル５がその内周部を第一導電性シール ド３により包囲され、その外周部が第二導電性シールド６により包囲され、さら に二次コイル５の層間に第三導電性シールド８が配設され、各シールド３，６， ８はアース接続されるから、二次コイル５とアース間つまり二次コイル５とシー ルド３，６，８間の静電容量は、十分に大きくなる。このため、雷サージ電圧の 一次コイル１１から二次コイル５への移行レベルは、例えばー６０ｄＢ以下に下 げることができ、二次側に移行する雷サージ電圧を良好に減衰させることができ る。

【００１８】 したがって、一次コイル１１に落雷等によるサージ電圧が重畳した場合であっ ても、二次コイル５に移行するサージ電圧は、例えば１／１０００にまで減衰さ せることができ、二次コイル５に接続される電気機器を雷サージ電圧などから保 護することができる。

【００１９】 なお、上記実施形態では、二次コイル５の層間に１枚の第三導電性シールド８ を挿入したが、この二次コイル５の異なった層間に１枚以上の導電性シールドを 挿入して、さらにその間の静電容量を増大させ、サージ電圧の移行レベルをさら に下げることもできる。

【００２０】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案の変圧器によれば、二次コイルの内周側に絶縁物 を介して第一導電性シールドを巻装し、二次コイルの外周部に第二導電性シール ドを巻装すると共に、二次コイルのコイル層間に少なくとも1枚の第三導電性シ ールドを絶縁物を介して巻装し、各シールドをアース接続して構成したから、二 次コイルとアース間の静電容量を充分に大きくし、これによって、一次コイルか ら二次コイルへ移行するサージ電圧の移行レベルを下げ、サージ電圧を効果的に 減衰させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施形態を示す変圧器の正面図であ
る。

【図２】同変圧器の側面図である。

【図３】図２のIII-III拡大断面図である。

【図４】図２のIV-IV拡大断面図である。

【符号の説明】

１−鉄心 ２−コイルボビン ３−第一導電性シールド ４−第一絶縁物 ５−二次コイル ６−第二導電性シールド ７−第二絶縁物 ８−第三導電性シールド ９−第三絶縁物 １１−一次コイル １５−アース端子

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 鉄心に外嵌されたコイルボビンに二次コ
   イルが巻装され、該二次コイルの外側に絶縁物を介して
   一次コイルが巻装されてなる変圧器において、 該二次コイルの内周側に絶縁物を介して第一導電性シー
   ルドが巻装され、該二次コイルの外周部に第二導電性シ
   ールドが巻装されると共に、該二次コイルのコイル層間
   に少なくとも1枚の第三導電性シールドが絶縁物を介し
   て巻装され、該第一導電性シールド、第二導電性シール
   ド、及び第三導電性シールドがアース接続されたことを
   特徴とする変圧器。
2. 【請求項２】 前記第一導電性シールド、第二導電性シ
   ールド、及び第三導電性シールドが銅箔から形成され、
   該銅箔にアース線が接続され、該アース線を金属部に接
   続したことを特徴とする請求項１記載の変圧器。