JP3079617B2 - 無整流子直流電動機 - Google Patents

無整流子直流電動機

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JP3079617B2
JP3079617B2 JP03072855A JP7285591A JP3079617B2 JP 3079617 B2 JP3079617 B2 JP 3079617B2 JP 03072855 A JP03072855 A JP 03072855A JP 7285591 A JP7285591 A JP 7285591A JP 3079617 B2 JP3079617 B2 JP 3079617B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は無整流子直流電動機に関
し、さらに詳しくは、ホール素子の如き回転位置検出用
の検出素子を不要にした無整流子直流電動機に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】無整流子直流電動機は、ブラシ付の直流
電動機に比べて機械的接点を持たないため長寿命である
と同時に電気的雑音も少なく、近年、高信頼性が要求さ
れる産業用機器や映像・音響機器に広く応用されてい
る。
【0003】従来、この種の無整流子直流電動機は、ほ
とんどが固定子巻線の通電相切換えのために、ブラシに
相当する回転子位置検出素子(例えばホール素子)を使
用している。しかしながら、位置検出素子は決して安価
なものではなく、さらに、検出素子の取付け位置調整の
煩雑さや配線数の増加が生じている。そのため、無整流
子直流電動機は、ブラシ付直流電動機に比べて大幅にコ
ストが上昇する欠点がある。
【0004】また、電動機内部に位置検出素子を取り付
けなければならないため、構造上の制約が起こることが
しばしばある。近年、機器の小型化に伴って、電動機も
小型かつ薄型化され、ホール素子等の位置検出素子を取
り付ける場所的な余裕がなくなってきている。
【0005】そこで、位置検出素子を用いない無整流子
直流電動機が、従来よりいくつか提案されている。
【0006】例えば特開昭55−160980号公報に
は、固定子巻線に電流を一方向だけに供給する、いわゆ
る半波駆動方式の無整流子直流電動機が記載されてい
る。これは起動時に自起動回路で特定の固定子巻線相の
みを付勢して回転子の位置決めを予め行い、次に3相の
固定子巻線のうち休止中の2つの固定子巻線に誘起され
る逆起電力を検出することによって次の通電相を決定し
固定子巻線に電流を一方向だけに順次供給するものであ
る。
【0007】また、例えば特開昭62−260586号
公報には、固定子巻線に電流を両方向に供給する、いわ
ゆる全波駆動方式の無整流子直流電動機が記載されてい
る。これは起動時に起動パルス発生回路の出力する起動
パルスで固定子巻線に流れる電流を強制的に順次切換え
て駆動し、回転子の回転が上昇して固定子巻線に逆起電
力が誘起されたときに逆起電力の零クロス点を検出しそ
の出力信号をモノマルチで一定時間だけ遅延させること
によって通電のタイミングを決定するものである。
【0008】次に、従来例の定常回転時のおける駆動波
形について、(図17)および(図18)を参照しなが
ら説明する。(図17)は、従来の無整流子直流電動機
の固定子巻線に電力(電流)を供給する回路であり、
(図18)は従来例の動作を説明するための信号波形で
ある。
【0009】(図17)において、227は永久磁石回
転子、211,212,213は3相の固定子巻線、2
21,222,223,224,225,226は駆動
トランジスタであり、これらのトランジスタをオン、オ
フすることにより固定子巻線211,212,213に
電流を供給する。
【0010】無整流子直流電動機の駆動は、回転子22
7の回転位置に応じて得られる6相のパルス信号d’,
f’,h’,g’,i’,e’(例えば電流信号)を駆
動トランジスタ221,222,223,224,22
5,226の各ベースに印加して行われる。上記6相の
パルス信号の波形を図18(d)〜(i)に示す。ここ
で、各トランジスタのベースへの信号は、PNP形トラ
ンジスタ221,222,223では電流が流出する方
向に、NPN形トランジスタ224,225,226に
は電流が流入する方向に加える。例えば、トランジスタ
221,225が導通した場合には、固定子巻線21
1,212に電流が流れる。次に、トランジスタ22
1,226が導通すると、電流路が切換わり、固定子巻
線211,213に電流が流れる。このようにして、電
流路の切換え動作を順次行い、固定子巻線211,21
2,213に両方向の電流Ia’,Ib’,Ic’を供
給し(図18(j)〜(l))、永久磁石回転子227
を回転させる。また、回転子227の定常回転状態で
は、固定子巻線211,212,213の各電流給電端
子A,B,Cと中性点Oの間に、逆起電力a’,b’,
c’が誘起される(図18(a),(b),(c))。
【0011】6相のパルス信号d’〜i’は回転子22
7の回転位置に対応した位置信号に相当し、逆起電力
a’,b’,c’の波形とは(図18(a)〜(i))
に示す位相関係にある。すなわち、電気角で30度だけ
位相が異なる。ここに、電気角360度は逆起電力の1
周期分に相当する。そこで、例えば特開昭62−260
586号公報では、固定子巻線に誘起された逆起電力の
零クロス点を検出し、その出力信号をモノマルチを用い
て一定時間だけ遅延させ、通電のタイミングを決定して
いる。
【0012】ところで、6相の位置信号d’〜i’は矩
形波状であるために、固定子巻線に流れる電流波形I
a’,Ib’,Ic’も矩形波状となり、固定子巻線に
流れる電流は急峻にオン、オフされることになる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】前者の先行技術(特開
昭55−160980号公報)の無整流子直流電動機で
は、固定子巻線に一方向だけの電流を供給する半波駆動
方式であるため、その駆動構成を簡単にできる反面、巻
線に両方向に流れる電流を供給する構成の全波駆動方式
の電動機に比べると、巻線の利用率が低くて効率が悪
く、発生トルクも小さいという問題点がある。
【0014】また、後者の先行技術(特開昭62−26
0586号公報)の無整流子直流電動機では、固定子巻
線に誘起される逆起電力の零クロス点で発生されたパル
スをモノマルチで一定時間だけ遅延させて通電相を決定
する方式であり、その遅延時間が電動機の回転数と無関
係に一定であるため回転数を変える必要がある用途には
向かず、適用性に乏しいという問題点がある。
【0015】さらに、両者先行技術の無整流子直流電動
機では、巻線に流れる電流は矩形波状となる。そのた
め、巻線電流が急峻にオン、オフされるため、回転時に
大きな振動や騒音を発生するという重大な欠点がある。
特に、電動機を高速回転で使用するほど振動や騒音が著
しくなる。また、電流の切換えに伴うスパイク状電圧を
低減するために、大容量の電解コンデンサを含むフィル
タ回路を固定子巻線に接続する必要がある。
【0016】さらに、これら回転子位置検出素子のない
無整流子直流電動機は基本的には固定子巻線に誘起され
る逆起電力を利用して固定子巻線の相切換えに必要な位
置信号を作成している。したがって、起動時においては
各固定子巻線に逆起電力が発生していないので、固定子
巻線の初期通電相が定まらない。そこでこれら先行技術
に示される無整流子直流電動機にあっては起動用に特別
な起動回路を設けている。前者の先行技術(特開昭55
−160980号公報)では特定の固定子巻線のみを付
勢して予め回転子の初期位置を決定している。ところが
初期位置を決定するために固定子巻線の1相のみを付勢
しても固定子の位置は振動的となりなかなか静止せず、
その結果起動時間が長くなる。また後者の先行技術(特
開昭62−260586号公報)では起動回路の出力す
る出力パルスにより固定子巻線を強制的に順次切換てい
る。
【0017】しかしながら、固定子巻線を強制的に順次
切換えても回転子の回転は振動的となる。したがって検
出回路で逆起電力の零クロス点をうまく検出できても、
固定子巻線を強制的に順次切換えて駆動する起動モード
から逆起電力の零クロス点を検出して行う正規の位置検
出モードにはうまく切換えることが困難である。すなわ
ち、起動モードから正規の位置検出モードへの切換えの
タイミングが難しく、電動機の起動時間が長くなる。
【0018】一般に、これら回転子位置検出素子のない
無整流子直流電動機は起動時においては回転子が静止し
ているため、各固定子巻線には逆起電力を発生していな
い。そのため初期の通電相が定まらず位置検出素子付き
の電動機に比べると起動特性が著しく劣るといる問題点
がある。
【0019】本発明は、上記問題点に鑑み、位置検出素
子の不要な、しかも電流を両方向に流れるように構成し
た全波駆動方式の無整流子直流電動機を提供することを
目的としている。特に、滑らかな電流路の切換えを行
い、高速回転時にも振動、騒音の極めて少ない無整流子
直流電動機を提供するものである。
【0020】さらに本発明は、位置検出素子の不要な無
整流子直流電動機でありながら、特別な起動回路を設け
ることなく良好な起動特性の得られる無整流子直流電動
機を提供することを目的としている。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、3相の固定子巻線と、直流電源の一端と
前記固定子巻線の電流給電端子との間の電流路を形成す
る3個のトランジスタからなる第1の駆動トランジスタ
群と、前記直流電源の他端と前記電流給電端子との間の
電流路を形成する3個のトランジスタからなる第2の駆
動トランジスタ群と、前記固定子巻線に発生する逆起電
力に応動した整形信号を得る逆起電力検出手段と、前記
整形信号が入力されこの整形信号の周期を計数して前記
周期が所定の範囲内にあるときは前記整形信号に応動し
た検出信号を出力し、前記周期が所定の範囲を越えたと
きは疑似的に発生される疑似パルス信号に基づいて検出
信号を出力する周期検出手段と、前記周期検出手段から
出力される検出信号に応動して複数相のパルス信号を発
生する論理パルス発生手段と、前記周期検出手段から出
力される検出信号のエッジ時点もしくはほぼエッジ時点
から始まる傾斜信号を発生する波形発生手段と、前記論
理パルス発生手段から出力されるパルス信号と前記波形
発生手段から出力される傾斜信号より6相の位置信号を
合成する信号合成手段を具備し、前記信号合成手段の3
相の位置信号に応動して前記第1の駆動トランジスタ群
を通電制御し、前記信号合成手段の他の3相の位置信号
に応動して前記第2の駆動トランジスタ群を通電制御す
るよう構成している。
【0022】さらに、本発明では、上記目的を達成する
ために、3相の固定子巻線と、直流電源の一端と前記固
定子巻線の電流給電端子との間の電流路を形成する3個
のトランジスタからなる第1の駆動トランジスタ群と、
前記直流電源の他端と前記電流給電端子との間の電流路
を形成する3個のトランジスタからなる第2の駆動トラ
ンジスタ群と、前記固定子巻線に発生する逆起電力に応
動した整形信号を得る逆起電力検出手段と、前記整形信
号が入力されこの整形信号の周期を計数して前記周期が
所定の範囲内にあるときは前記整形信号に応動した検出
信号を出力し、前記周期が所定の範囲を越えたときは疑
似的に発生される疑似パルス信号に基づいて検出信号を
出力する周期検出手段と、前記周期検出手段から出力さ
れる検出信号に応動して複数相のパルス信号を発生する
論理パルス発生手段と、前記周期検出手段から出力され
る検出信号に応動して第1の傾斜信号を発生する第1の
傾斜波形発生手段と、前記周期検出手段から出力される
検出信号に応動して前記第1の傾斜信号とは異なるタイ
ミングにおいて第2の傾斜信号を発生する第2の傾斜波
形発生手段と、前記論理パルス発生手段から出力される
パルス信号と前記第1の傾斜波形発生手段から出力され
る第1の傾斜信号より3相の第1の位置信号を合成する
第1の位置信号合成手段と、前記論理パルス発生手段か
ら出力されるパルス信号と前記第2の傾斜波形発生手段
から出力される第2の傾斜信号より前記第1の位置信号
とは異なるタイミングの3相の第2の位置信号を合成す
る第2の位置信号合成手段を具備し、前記第1の位置信
号に応動して前記第1の駆動トランジスタ群を通電制御
し、前記第2の位置信号に応動して前記第2の駆動トラ
ンジスタ群を通電制御するよう構成している。
【0023】
【作用】本発明は定常回転状態において整形信号に応動
した傾斜信号(第1の傾斜信号と第2の傾斜信号)を発
生し、この傾斜信号を使用して滑らかに変化する6相の
位置信号(第1の回転位置信号と第2の回転位置信号)
を合成し、この合成された位置信号によって第1の駆動
トランジスタ群と第2の駆動トランジスタ群を通電制御
することにより、固定子巻線に台形波状の滑らかな両方
向の電流を供給している。これにより、巻線電流が従来
例の如く急峻にオン、オフされることがなく、電流路の
切換えが滑らかに行われ、振動および騒音が著しく小さ
い電動機が提供できる。
【0024】さらに、本発明は起動用に特別な起動回路
を設けることなく、起動時においては疑似パルス信号に
より固定子巻線を強制的に切換えている。そして逆起電
力検出手段で逆起電力の零クロス点を検出して行う正規
の位置検出モードに速やかに切換えることができ、従来
の位置検出素子付きの電動機と比べても遜色のない起動
特性が得られる電動機が提供できる。
【0025】
【実施例】以下、本発明の一実施例について、図面を参
照しながら説明する。
【0026】(図1)は、本発明の一実施例の無整流子
直流電動機の全体構成を示すブロック図である。(図
1)の電力供給部5は、信号合成部4から出力される6
相の位置信号に応動して第1の駆動トランジスタ群5a
と第2の駆動トランジスタ群5bを通電制御し、固定子
巻線11,12,13に所定の両方向の電流を分配供給
する。
【0027】(図2)に電力供給部5の具体的な構成例
を示す。電力供給部5の第1の駆動トランジスタ群5a
は、3個のPNP形の第1の駆動トランジスタ21,2
2,23からなり、各駆動トランジスタ21,22,2
3はそれぞれ直流電源20の正極側端子と固定子巻線1
1,12,13の電流給電端子A,B,Cの間の電流路
を形成する。また、第2の駆動トランジスタ群5bは、
3個のNPN形の第2の駆動トランジスタ24,25,
26からなり、各駆動トランジスタ24,25,26は
それぞれ直流電源20の負極側端子と固定子巻線11,
12,13の電流給電端子A,B,Cの間の電流路を形
成する。
【0028】第1の駆動トランジスタ21,22,23
の各ベースには、信号合成部4の第1の位置信号合成器
4aによって合成された3相の第1の位置信号d,f,
h(電流信号)がそれぞれ供給され、第1の駆動トラン
ジスタの通電を制御する。同様に、第2の駆動トランジ
スタ24,25,26の各ベースには、第2の位置信号
合成器4bによって合成された3相の第2の位置信号
g,i,e(電流信号)がそれぞれ供給され、第2の駆
動トランジスタの通電を制御する。永久磁石回転子27
の回転に伴って、6相の位置信号d,f,h,g,i,
eが所定の順序にて変化し、固定子巻線11,12,1
3には所定の3相両方向電流Ia,Ib,Icがそれぞ
れ供給される。その結果、永久磁石回転子27は回転駆
動され、所定の回転数(高速回転もしくは低速回転)で
の回転を持続する。定常回転状態では、固定子巻線1
1,12,13に誘起される逆起電力a,b,cと3相
両方向電流Ia,Ib,Icは同位相になり、各逆起電
力a,b,cの零クロス時点において対応する巻線への
電流は零もしくはほぼ零になる。その具体的な動作およ
び各信号波形は後述する。
【0029】(図1)に示す逆起電力検出部1は、3相
の固定子巻線11,12,13の電流給電端子A,B,
Cと中性点Oが接続され、巻線11,12,13に誘起
される逆起電力a,b,cの零クロス時点のタイミング
を検出する。すなわち、逆起電力検出部1は、3相の逆
起電力a,b,cに応動し、その零クロス時点に対応し
た3相の整形信号を得て、各整形信号のエッジ時点にお
いて変化する整形タイミング信号mを得る。
【0030】(図3)に逆起電力検出部1の具体的な構
成例を示し、(図4)を参照してその動作を説明する。
定常回転状態において、巻線11,12,13には3相
の逆起電力a,b,cが発生する(図4(a)〜
(c))。コンパレータ回路31,32,33は、それ
ぞれ各巻線11,12,13の両端電圧が入力され、両
端電圧が零になる時点において変化する3相の整形信号
u,v,wを得ている(図4(d)〜(f))。巻線の
両端電圧は、供給電流と巻線抵抗による電圧降下と逆起
電力が合成された電圧であるが、逆起電力が零になる時
点(零クロス時点)において巻線に供給される電流は零
もしくはほぼ零なので、3相の整形信号u,v,wのエ
ッジは各逆起電力a,b,cの零クロス時点に対応す
る。整形信号u,v,wは、アンド回路34,35,3
6とオア回路37によって論理合成され、整形タイミン
グ信号mを得ている(図4(g))。整形タイミング信
号mの各立ち上がりエッジは各逆起電力の立ち上がり側
の零クロス点に対応し、整形タイミング信号mの各立ち
下がりエッジは各逆起電力の立ち下がり側の零クロス点
に対応している。
【0031】(図1)に示す周期検出部6は、逆起電力
検出部1の整形タイミング信号mが入力され、その信号
の周期を計数して周期が所定の範囲内にあるときは整形
タイミング信号mをタイミング信号nとして出力し、周
期が所定の範囲を越えたときは疑似パルスtを発生しタ
イミング信号nを出力する。なお周期検出部6は後述す
る波形発生部3を構成する傾斜波形発生器の傾斜信号の
時間的な傾斜を変える信号saも出力する。
【0032】(図5)に周期検出部6の具体的な構成例
を示し、(図7)、(図8)、(図9)を参照してその
動作を説明する。(図7)は高速定常回転時(第1の回
転数)の所要の信号波形を示し、(図8)は低速定常回
転時(第1の回転数よりも低い第2の回転数)の所要の
信号波形を示す。そして(図9)は起動時の所要の信号
波形を示している。
【0033】(図5)において、カウンタ回路152
は、クロック入力端子(CK)、リセット端子(R)を
持った所要ビット数のアップ形バイナリーカウンタ(同
図では、5ビットのアップカウンタ)である。このカウ
ンタ回路152はクロック発生回路151の出力するク
ロックパルスcpがクロック入力端子(CK)に入力さ
れカウントする。そして、リセット端子(R)にリセッ
トパルスrが入力されるとカウンタ回路152のすべて
のビットは”L”になる。またAND回路153はカウ
ンタ回路152のすべてのビット出力が入力され、すべ
てのビットが”H”になった時に疑似パルスtを出力す
る。なお、カウンタ回路152は、オーバーフロー検出
時のカウント停止機能を有し、オーバーフローを検出し
たときにクロックパルスcpのカウント動作を停止する
ようにしている。
【0034】立ち上がりエッジ微分回路158は逆起電
力検出部1から出力される整形タイミング信号mが入力
され、整形タイミング信号mの立ち上がり時点において
パルスvuを出力する。また、立ち下がりエッジ微分回
路159は整形タイミング信号mが入力され、整形タイ
ミング信号mの立ち下がり時点においてパルスvdを出
力する。3入力形のOR回路157は、整形タイミング
信号mの立ち上がりパルスvuと立ち下がりパルスv
d、およびAND回路153からの出力信号の疑似パル
スtが入力されると、タイミングパルスkを出力する。
また、立ち下がり微分回路154はタイミングパルスk
が入力され、タイミングパルスkの立ち下がり時点にお
いてリセットパルスrを出力する。
【0035】セット・リセット端子付きデータ入力形の
フリップフロップ回路164は、パルスvuがセット端
子(S)に入力され、またパルスvdがリセット端子
(R)に入力される。そして、クロック入力端子(C
K)にはAND回路153からの出力信号の疑似パルス
tが入力されタイミング信号nを出力する。
【0036】セット・リセット形フリップフロップ回路
155は、セット端子(S)にカウンタ回路152の最
上位ビット出力が入力され、リセット端子(R)にリセ
ットパルスrが入力される。データ入力形フリップフロ
ップ156は、データ入力端子(D)にフリップフロッ
プ回路155の出力信号qaが入力され、クロック入力
端子(CK)にタイミングパルスkが入力され、信号s
aを出力する。なお、信号saは波形発生部3において
回転数に応じて傾斜信号の傾斜を変える信号である。
【0037】(図5)に示す周期検出部の動作につい
て、まず回転子27が高速回転しているときについて
(図7)を参照して説明する。
【0038】OR回路157には整形タイミング信号m
(図7(a))の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジ
でそれぞれ出力されたパルスvu(図7(b))とパル
スvd(図7(c))が入力されているので、OR回路
157からは(図7(f))に示すタイミングパルスk
が出力される。また、立ち下がり微分回路154はタイ
ミング信号kの立ち下がり時点でリセットパルスr(図
7(g))を出力し、リセットパルスrによってカウン
タ回路152のすべてのビットを”L”(低電位状態)
にする。なお、(図7(h))にカウンタ回路152の
内容をアナログ信号に変えた場合の波形ppを示す。
【0039】高速回転時には、カウンタ回路152はす
べてのビットが”H”になるまでにリセットパルスrに
よってリセットされるので、AND回路153の出力信
号である疑似パルスtは”L”のままである(図7
(d))。従って、フリップフロップ回路164はクロ
ック入力端子(CK)にパルスが入力されずに、セット
端子(S)、リセット端子(R)にそれぞれ立ち上がり
パルスvu、立ち下がりパルスvdが入力されるので、
フリップフロップ回路164は(図7(e))に示すタ
イミング信号nを出力する。タイミング信号nは整形タ
イミング信号mと同様の波形となる。
【0040】また高速回転時では、カウンタ回路152
は最上位ビットが”H”になるまでにリセットパルスr
によってリセットされるので、最上位ビットは”L”の
ままであり、フリップフロップ回路155の出力信号q
aも”L”のままである(図7(i))。フリップフロ
ップ回路156は、フリップフロップ回路155の出力
信号qaをタイミングパルスkのタイミングにおいて取
り込み、回転数(整形信号の周期)に応じた信号saと
して出力する。高速回転時には信号saは”L”状態を
保持する(図7(j))。
【0041】次に、(図5)に示す周期検出部の動作に
ついて、回転子27が低速回転しているときについて
(図8)を参照して説明する。なお、(図7)の高速回
転時における波形と同様の波形(図8(a)〜(h))
については重複した説明は省略する。
【0042】低速回転時では、整形タイミング信号mの
周期は高速回転時のそれよりも長く、カウンタ回路15
2の最上位ビットは”L”から”H”になる期間があ
り、フリップフロップ回路155の出力信号qaも同様
に”L”から”H”になる期間がある(図8(i))。
データ入力形フリップフロップ回路156は、フリップ
フロップ回路155の出力信号qaをタイミングパルス
kのタイミングにおいて取り込み、回転数(整形信号の
周期)に応じた信号saとして出力する。低速回転時に
は信号saは”H”状態を保持する(図8(j))。
【0043】次に、(図5)に示す周期検出部の動作に
ついて、回転子27が停止している起動時について(図
9)を参照して説明する。
【0044】起動時(回転子停止状態)では、逆起電力
検出部1から整形タイミング信号mは出力されないの
で、パルスvuおよびパルスvdは”L”のままである
(図9(a)〜(c))。カウンタ回路152はリセッ
トパルスrが入力されるまで、CKをカウントする。従
って、カウンタ回路152のカウント値は単調に増加
し、5ビットすべてが”H”になったとき、AND回路
153は疑似パルスtを出力する(図9(d))。OR
回路157には疑似パルスtが入力され、タイミング信
号kが出力される(図9(f))。そして、立ち下がり
微分回路154はタイミング信号kの立ち下がり時点で
リセットパルスrを出力し、リセットパルスrによって
カウンタ回路152のすべてのビットを”L”にする。
なお、(図9(h))にカウンタ回路152の内容をア
ナログ信号に変えた場合の波形ppを示す。
【0045】起動時には、フリップフロップ回路164
に入力されるパルスvuおよびパルスvdは”L”のま
まであるが、クロック入力端子(CK)に疑似パルスt
がタイミングパルスkとして入力されるので、フリップ
フロップ回路164はタイミング信号nを出力する(図
9(e))。
【0046】また起動時では、カウンタ回路152の最
上位ビットは”L”から”H”になる期間があり、フリ
ップフロップ回路155の出力信号qaも同様に”L”
から”H”になる期間がある(図9(i))。データ入
力形フリップフロップ回路156は、フリップフロップ
回路155の出力信号qaをタイミングパルスkのタイ
ミングにおいて取り込み、回転数(整形信号の周期)に
応じた信号saとして出力する。起動時には低速定常回
転時と同様に信号saは”H”状態を保持する(図9
(j))。
【0047】(図1)の波形発生部3は、第1の傾斜発
生器3aと第2の傾斜波形発生器3bを含んで構成さ
れ、周期検出部6のタイミング信号n、信号saが入力
され、発生タイミングの異なる第1の傾斜信号と第2の
傾斜信号を作り出す。
【0048】(図6)に波形発生部3の具体的な構成例
を示し、(図7)、(図8)、(図9)を参照してその
動作を説明する。
【0049】(図6)に示す波形発生部の動作につい
て、まず回転子27が高速回転しているときについて
(図7)を参照して説明する。
【0050】第1の遅延回路40aは、タイミング信号
nが直接入力され、タイミング信号nの立ち下がりエッ
ジより所定時間τaの間”H”状態を遅延させた第1の
遅延信号maを出力する(図7(k))。第2の遅延回
路40bは、タイミング信号nをインバータ回路41に
よって反転した信号が入力され、タイミング信号nの反
転信号の立ち下がりエッジより所定時間τbの間”H”
状態を遅延させた第2の遅延信号mbを出力する(図7
(l))。
【0051】第1の傾斜波形発生器3aは、第1の遅延
信号maと信号saが入力され、第1の傾斜信号st1
を作る。信号saはインバータ回路55aを介してスイ
ッチ回路56aの開閉動作を行う。すなわち、sa=”
L”の時にスイッチを閉じ、sa=”H”の時にスイッ
チを開く。同様に、遅延信号maはインバータ回路53
aを介してスイッチ回路54aの開閉動作を行う。すな
わち、ma=”L”の時にスイッチを閉じ、ma=”
H”の時にスイッチを開く。
【0052】高速回転時では、sa=”L”であるか
ら、スイッチ回路56aは閉じ、定電流源51aと定電
流源52aの合成電流(I1+I2)によってコンデン
サ50aを充電する。遅延信号maが”L”になるとス
イッチ回路54aが閉じ、コンデンサ50aの電荷を放
電する。コンデンサ50aの端子電圧は、バッファ回路
57aを介して第1の傾斜信号st1として出力され
る。その結果、第1の傾斜信号st1は、タイミング信
号nの立ち上がりエッジ時点から所定の傾斜で大きくな
り、遅延信号maが”L”になるとアース電位になる三
角波状の信号になる(図7(m))。なお、第1の傾斜
信号st1の傾斜部分の時間幅は、タイミング信号nの
エッジ間隔(”H”の区間)よりも十分に広くなる。
【0053】第2の傾斜波形発生器3bは、第2の遅延
信号mbと信号saが入力され、第2の傾斜信号st2
を作る。信号saはインバータ回路55bを介してスイ
ッチ回路56bの開閉動作を行う。すなわち、sa=”
L”の時にスイッチを閉じ、sa=”H”の時にスイッ
チを開く。同様に、遅延信号mbはインバータ回路53
bを介してスイッチ回路54bの開閉動作を行う。すな
わち、mb=”L”の時にスイッチを閉じ、mb=”
H”の時にスイッチを開く。
【0054】高速回転時では、sa=”L”であるか
ら、スイッチ回路56bは閉じ、定電流源51bと定電
流源52bの合成電流(I1+I2)によってコンデン
サ50bを充電する。遅延信号mbが”L”になるとス
イッチ回路54bが閉じ、コンデンサ50bの電荷を放
電する。コンデンサ50bの端子電圧は、バッファ回路
55bを介して第2の傾斜信号st2として出力され
る。その結果、第2の傾斜信号st2は、タイミング信
号nの立ち下がりエッジ時点から所定の傾斜で大きくな
り、遅延信号mbが”L”になるとアース電位になる三
角波状の信号になる(図7(n))。なお、第2の傾斜
信号st2の傾斜部分の時間幅は、タイミング信号nの
エッジ間隔(”L”の区間)よりも十分に広くなる。
【0055】このように、第1の傾斜信号st1はタイ
ミング信号nの立ち上がりエッジから三角波を作り、第
2の傾斜信号st2はタイミング信号nの立ち下がりエ
ッジから三角波を作り、傾斜信号st1とst2は交互
に異なるタイミングの傾斜信号になる(図7(m),
(n))。
【0056】次に(図6)の波形発生部の動作につい
て、回転子27が低速回転しているときおよび回転子2
7が停止している起動時について、(図8)および(図
9)を参照して説明する。
【0057】第1の遅延信号maはタイミング信号n
の”H”の区間を遅延時間τaだけ伸ばしたものであ
り、第2の遅延信号mbはタイミング信号nの反転信号
の”H”の区間を遅延時間τbだけ伸ばしたものである
(図8(k),(l)、図9(k),(l))。
【0058】第1の傾斜波形発生器3aには、信号sa
と第1の遅延信号maが入力される。信号saが”H”
であるから、スイッチ回路56aは開く。従って、コン
デンサ50aの充電電流は定電流源51aの電流I1だ
けになり、第1の傾斜信号st1の時間的な傾斜は緩や
かになる(図8(m)、図9(m))。なお、(図8
(m))および(図9(m))の破線は合成電流(I1
+I2)によってコンデンサ50aを充電したと仮定し
た場合の第1の傾斜信号を表している。
【0059】第2の傾斜波形発生器3bには、信号sa
と第2の遅延信号mbが入力される。信号saが”H”
であるから、スイッチ回路56bは開く。従って、コン
デンサ50bの充電電流は定電流源51bの電流I1だ
けになり、第2の傾斜信号st2の時間的な傾斜は緩や
かになる(図8(n)、図9(n))。なお、(図8
(n))および(図9(n))の破線は合成電流(I1
+I2)によってコンデンサ50bを充電したと仮定し
た場合の第2の傾斜信号を表している。
【0060】このようにして、低速回転時(第2の回転
数の定常状態)および起動時において、第1の傾斜信号
st1と第2の傾斜信号st2の時間的な傾斜を緩やか
にし、タイミング信号nのエッジ間隔における電位上昇
値を、高速回転時(第1の回転数の定常状態)と同じに
なるようにしている。
【0061】(図1)の論理パルス発生部2は、周期検
出部6のタイミング信号nが入力され、6相の論理パル
スを作る。(図10)に論理パルス発生部2の具体的な
構成例を示し、(図11)を参照してその動作を説明す
る。
【0062】(図10)において、タイミング信号nは
両エッジ微分回路80に入力され、タイミング信号nの
両エッジのタイミングにおいて微分パルス信号naを得
る(図11(a),(b))。微分パルス信号naは、
データ入力形フリップフロップ回路81,82,83,
84,85,86とNOR回路87からなる6進シフト
レジスタのクロックパルスとなる。微分パルス信号na
が発生する毎に”H”(高電位)状態が順次シフトし、
サイクリックな6相の論理パルス信号p1〜p6を発生
する(図11(c)〜(h))。この論理パルス信号p
1〜p6の各エッジは、タイミング信号nの各エッジに
対応し、定常回転状態においては逆起電力a,b,cの
各零クロス時点に対応する。定常回転状態のタイミング
信号nと論理パルスp1〜p6の位相関係を、(図11
(a)〜(h))に示す。
【0063】(図1)の信号合成部4は、第1の位置信
号合成器4aと第2の位置信号合成器4bを含んで構成
され、論理パルス発生部2から出力される論理パルス信
号と波形発生部3の傾斜信号(第1の傾斜信号と第2の
傾斜信号)が入力され、タイミングの異なるそれぞれ3
相の第1の位置信号と第2の位置信号(合計6相の位置
信号)を合成する。
【0064】(図12)に信号合成部4の具体的な構成
例を示し、(図13)を参照してその動作を説明する。
(図12)の第1の位置信号合成器4aには、第1の傾
斜信号st1が入力される。バッファ回路63aは、定
電圧源62aの電位が入力され、その電位に応じた所定
の第1の定電位信号sf1を出力する。反転バッファ回
路61aは、第1の傾斜信号st1と第1の定電位信号
sf1が入力され、第1の定電位信号sf1を基準にし
て第1の傾斜信号st1を反転した第1の反転傾斜信号
sd1を得ている(図13(i))。
【0065】各合成回路71,72,73は、論理パル
ス発生部2から出力される論理パルスp1〜p6に応動
して、第1の傾斜信号st1と第1の定電位信号sf1
と第1の反転傾斜信号sd1を合成し、3相の第1の位
置信号d,f,hを作り出す。(図13(a)〜
(l))に関係する信号波形を示す。
【0066】合成回路71は、3個のスイッチ回路6
4,65,66と抵抗67と電流変換回路68からな
り、スイッチ回路64,65,66を論理パルスp1,
p2,p3によって閉開し、抵抗67に台形波状の電圧
信号を得て、その電圧信号の正極部分を電流変換回路6
8によって電流に変換し、位置信号dを得ている(図1
3(j))。p1が”H”の区間ではスイッチ回路64
が閉じ、第1の傾斜信号st1が抵抗67の電圧にな
る。次に、p2が”H”の区間にかわるとスイッチ回路
65が閉じ、第1の定電位信号sf1が抵抗67の電圧
になる。この切り換わり時点における第1の傾斜信号s
t1の電位は、第1の定電位信号sf1の電位に等し
い。次に、p3が”H”の区間にかわるとスイッチ回路
66が閉じ、第1の反転傾斜信号sd1が抵抗67の電
圧になる。第1の反転傾斜信号sd1は第1の定電位信
号sf1を基準にした反転信号であり、切り換わり時点
において両者の電位は等しい。さらに、p1,p2,p
3がすべて”L”の区間になると、スイッチ回路64,
65,66が開き、抵抗67の電位はアース電位に等し
くなる。従って、抵抗67には台形波状の電圧信号が得
られる。電流変換回路68は、この抵抗67の電圧信号
からアース電位以上の正極側の電圧に比例した電流信号
に変換し、台形波状の位置信号dとして出力(電流吸い
込み)する(図13(j))。
【0067】合成回路72と73の構成および動作は、
合成回路71と同様であり、それぞれ論理パルスp3,
p4,p5とp5,p6,p1に応動して、台形波状の
位置信号fとhを出力(電流吸い込み)する(図13
(k),(l))。このようにして、第1の位置信号合
成器4aは、3相の台形波状の位置信号d,f,hを合
成・出力する。(図12)の第2の位置信号合成器4b
には、第2の傾斜信号st2が入力される。バッファ回
路63bは、定電圧源62bの電位が入力され、その電
位に応じた所定の第2の定電位信号sf2が出力され
る。反転バッファ回路61bは、第2の傾斜信号st2
と第2の定電位信号sf2が入力され、第2の定電位信
号sf2を基準にして第2の傾斜信号st2を反転させ
た第2の反転傾斜信号sd2を得ている(図13
(n))。
【0068】合成回路74,75,76は、論理パルス
発生部2の論理パルスp1〜p6に応動して、第2の傾
斜信号st2と第2の定電位信号sf2と第2の反転傾
斜信号sd2を合成し、3相の第2の位置信号g,i,
eを作り出す。各合成回路の構成は前述の合成回路71
と同様である(但し、電流変換回路の電流の向きは流し
出しになる)。たとえば、合成回路74は、論理パルス
p4,p5,p6によってスイッチ回路を閉開し、抵抗
に台形波状の電圧信号を得て、その電圧信号の正極部分
を電流変換回路によって電流に変換し、位置信号gを作
り出す。すなわち、p4が”H”になると第2の傾斜信
号st2が抵抗の電圧になり、p5が”H”にかわると
第2の定電位信号sf2が抵抗の電圧になり、p6が”
H”にかわると第2の反転傾斜信号sd2が抵抗の電圧
になり、p4,p5,p6がすべて”L”にかわると抵
抗の電位はアース電位に等しくなる。その結果、抵抗に
は台形波状の電圧信号が得られ、電流変換回路はこの抵
抗の電圧信号からアース電位以上の正極側の電圧に比例
した電流に変換し、台形波状の位置信号gとして出力
(電流流出)する(図13(g))。なお、第2の傾斜
信号st2と第2の定電位信号sf2の切り換わり時点
における両者の電位は等しくされ、かつ、第2の定電位
信号sf2と第2の反転傾斜信号sd2の切り換わり時
点において両者の電位は等しくされている。
【0069】合成回路75と76の構成および動作は、
合成回路74と同様であり、それぞれ論理パルスp6,
p1,p2とp2,p3,p4に応動して、台形波状の
位置信号iとeを出力(電流流出)する(図13
(p),(q))。このようにして、第2の位置信号合
成器4bは、3相の台形波状の位置信号g,i,eを合
成・出力する。
【0070】第1の位置信号合成器4aによる3相の第
1の位置信号d,f,hはタイミング信号nの立ち上が
りエッジ(整形信号の立ち上がりエッジ)より傾斜の始
まる台形波状になり、第2の位置信号合成器4bによる
3相の第2の位置信号g,i,eはタイミング信号nの
立ち下がりエッジ(整形信号の立ち下がりエッジ)より
傾斜の始まる台形波状になる(図13(a),(j),
(k),(l),(o),(p),(q))。従って、
信号合成部4により整形信号の各エッジから傾斜の始ま
る6相の台形波状の位置信号d,f,h,g,i,eが
得られる。
【0071】(図1)の電力供給部5は第1の駆動トラ
ンジスタ群5aと第2の駆動トランジスタ群5bを含ん
で構成され、信号合成部4の位置信号(第1の位置信号
と第2の位置信号)に応動して、所定の両方向の電流を
固定子巻線11,12,13に分配供給する。すでに説
明した(図2)の電力供給部5の動作波形を(図14)
に示す。
【0072】第1の駆動トランジスタ21,22,23
の各ベースには、信号合成部4の第1の位置信号合成器
4aによって合成された台形波状の3相の第1の位置信
号d,f,hがそれぞれ供給され、第1の駆動トランジ
スタの通電を制御する。同様に、第2の駆動トランジス
タ24,25,26の各ベースには、第2の位置信号合
成器4bによって合成された台形波状の3相の第2の位
置信号g,i,eがそれぞれ供給され、第2の駆動トラ
ンジスタの通電を制御する。永久磁石回転子27の回転
に伴って、6相の位置信号d,f,h,g,i,eが
(図14(e)〜(j))のように変化し、固定子巻線
11,12,13にはそれぞれ(図14(k),
(l),(m))に示した台形波状の3相の電流Ia,
Ib,Icが両方向に供給される。その結果、永久磁石
回転子27は回転駆動され、所定の回転数(高速回転も
しくは低速回転)での回転を持続する。(図14
(a),(b),(c))に固定子巻線11,12,1
3に誘起される逆起電力a,b,cを示す。定常回転状
態では、逆起電力a,b,cと電流Ia,Ib,Icは
同位相になる。また、電流Ia,Ib,Icが台形波状
になるように駆動トランジスタの通電を制御しているの
で、各固定子巻線11,12,13の逆起電力a,b,
cの零クロス時点においてその固定子巻線に供給される
各電流Ia,Ib,Icは零もしくはほぼ零になる。従
って、逆起電力検出部1により正確な逆起電力の零クロ
ス時点の検出が可能になる。
【0073】次に、(図1)から(図14)に示した本
発明の実施例の全体的な動作を説明する。逆起電力検出
部1は、固定子巻線11,12,13の両端電圧を整形
することにより、巻線11,12,13に誘起される逆
起電力a,b,cに応動した3相の整形信号u,v,w
を得て、整形信号の各エッジに対応して変化する整形タ
イミング信号mを作る。周期検出部6は、逆起電力検出
部1の整形タイミング信号mが入力され、その信号の周
期を計数して周期が所定の範囲内にあるときは整形タイ
ミング信号mをタイミング信号nとして出力し、周期が
所定の範囲を越えたときは疑似パルスtを発生しタイミ
ング信号nを出力する。論理パルス発生部2は、タイミ
ング信号nの各エッジにおいてシフトする6相の論理パ
ルスp1〜p6を作る。波形発生部3は、タイミング信
号nの立ち上がりエッジ時点から傾斜を始める第1の傾
斜信号st1とタイミング信号nの立ち下がりエッジ時
点から傾斜を始める第2の傾斜信号st2を作る。信号
合成部4は、論理パルスp1〜p6と第1の傾斜信号s
t1から台形波状の3相の第1の位置信号d,f,hを
作り、また論理パルスp1〜p6と第2の傾斜信号st
2から台形波状の3相の第2の位置信号g,i,eを作
る。第1の位置信号d,f,hと第2の位置信号g,
i,eの位相は異なっており、信号合成部4は合計6相
の台形波状の位置信号を作り出している。電力供給部5
の第1の駆動トランジスタ群5aは第1の位置信号によ
って通電を制御され、第2の駆動トランジスタ群5bは
第2の位置信号によって通電を制御されている。従っ
て、第1の駆動トランジスタ群5aと第2の駆動トラン
ジスタ群5bによって、固定子巻線11,12,13に
は台形波状の3相の両方向の電流Ia,Ib,Icが供
給される(図14(k),(l),(m))。定常回転
状態においては、固定子巻線11,12,13の逆起電
力a,b,cと電流Ia,Ib,Icは同位相になる
(図14参照)。
【0074】このように、本発明の実施例では、位置検
出素子が全く不要な無整流子直流電動機を実現してお
り、非常に簡素な構造になっている。
【0075】また、本実施例の位置信号は、逆起電力の
零クロス時点に一致する整形信号のエッジ時点から始ま
る滑らかな傾斜を持った台形波状になされている。その
結果、電流も非常に滑らかな台形波状になり、固定子巻
線の電流の切り換わりも滑らかであり、振動や騒音の著
しく小さな電動機を実現している。特に、本実施例のよ
うに、各位置信号を電気角で60度(タイミング信号n
のエッジ間隔)の立ち上がり傾斜部と60度の平坦部と
60度の立ち下がり傾斜部を持つように合成するなら
ば、第1の駆動トランジスタ群を制御する3相の位置信
号d,f,hの合成値を一定にでき、かつ、第2の駆動
トランジスタ群を制御する3相の位置信号g,i,eの
合成値を一定にできるので、巻線に供給する合成電流
(直流電源からみた供給電流)を一定にできる効果もあ
る。その結果、電流脈動がなくなり、均一なトルクを発
生させることができる。なお、逆起電力の1周期が電気
角の360度である。
【0076】さらに、本実施例に示したように、整形信
号の周期(整形タイミング信号の半周期)に応じて波形
発生部の傾斜信号の傾斜を変え得るようにするならば、
回転数を変化させた場合でも、上述の滑らかな台形波状
の位置信号を簡単に得ることができる。
【0077】さらに、本実施例に示したように、起動時
においては疑似出力パルスにより固定子巻線を強制的に
切換えている。そして逆起電力検出手段で逆起電力の零
クロス点を検出して行う正規の位置検出モードに速やか
に切換えることができ、安定した起動特性を得ることが
できる。
【0078】次に、波形発生部3の他の具体的な構成例
を(図15)に示し、その動作を説明する。なお、動作
波形は(図7)、(図8)、(図9))と同様であり、
同じ信号については同一の信号名とした。
【0079】(図15)に示す波形発生部の動作につい
て、まず回転子27が高速回転しているときについて
(図7)を参照して説明する。第1の遅延回路108a
は、タイミング信号nが入力され、タイミング信号nの
立ち下がりエッジより所定時間τaの間”H”状態を遅
延させた遅延信号maを出力する(図7(k))。第2
の遅延回路108bは、タイミング信号nをインバータ
回路109によって反転された信号が入力され、タイミ
ング信号nの反転信号の立ち下がりエッジより所定時間
τbの間”H”状態を遅延させた遅延信号mbを出力す
る(図7(l))。
【0080】分周回路107は、クロックパルス発生回
路101の出力するクロックパルス信号cp1に対して
所定の分周を行い、分周クロックパルス信号cp2を出
力する。第1の傾斜波形発生器3aは、第1の遅延信号
maと信号saとクロックパルス信号cp1と分周クロ
ックパルス信号cp2が入力され、第1の傾斜信号st
1を作る。選択回路121aは、信号saの状態に応じ
てクロックパルス信号cp1と分周クロックパルス信号
cp2を選択して、第1のクロック信号caとしてい
る。すなわち、sa=”L”の時にca=cp1とし、
sa=”H”の時にca=cp2(分周信号)としてい
る。
【0081】高速回転時(第1の回転数)では、sa
=”L”であり、クロック信号caはcp1になる。選
択回路121aのクロック信号caはアンド回路122
aを介してアップ形のカウンタ回路124aのクロック
端子に入力され、カウンタ回路124aはクロック信号
caをカウントする。第1の遅延信号maはインバータ
回路123aを介してカウンタ回路124aのリセット
端子に入力され、ma=”L”の時にカウンタ回路12
4aをリセットする。カウンタ回路124aの内容はD
A変換回路125a(ディジタル−アナログ変換回路)
に入力され、その内容に応じたアナログ電圧に変換し、
第1の傾斜信号st1を得ている(図7(m))。な
お、カウンタ回路124aは最上位ビットの反転信号を
オーバーフロー信号(OVF)としてアンド回路122
aに出力し、オーバーフロー時にクロックの入力を禁止
するようにし、カウンタ回路124aの内容が所定値以
上になることを禁止している。
【0082】第2の傾斜波形発生器3bは、第2の遅延
信号mbと信号saとクロックパルス信号cp1と分周
クロックパルス信号cp2が入力され、第2の傾斜信号
st2を作る。選択回路121bは、信号saの状態に
応じてクロックパルス信号cp1と分周クロックパルス
信号cp2を選択して第2のクロック信号cbとなして
いる。すなわち、sa=”L”の時にcb=cp1と
し、sa=”H”の時にcb=cp2(分周信号)とし
ている。
【0083】高速回転時(第1の回転数)では、sa
=”L”であり、クロック信号cbはcp1になる。選
択回路121bのクロック信号cbはアンド回路122
bを介してアップ形のカウンタ回路124bのクロック
端子に入力され、カウンタ回路124bはクロック信号
cbをカウントする。第2の遅延信号mbはインバータ
回路123bを介してカウンタ回路124bのリセット
端子に入力され、mb=”L”の時にカウンタ回路12
4bをリセットする。カウンタ回路124bの内容はD
A変換回路125b(ディジタル−アナログ変換回路)
に入力され、その内容に応じたアナログ電圧に変換し、
第2の傾斜信号st2を得ている(図7(n))。な
お、カウンタ回路124bは最上位ビットの反転信号を
オーバーフロー信号としてアンド回路122bに出力
し、オーバーフロー時にクロックの入力を禁止するよう
にし、カウンタ回路124bの内容が所定値以上になる
ことを禁止している。
【0084】このように、第1の傾斜信号st1は整形
タイミング信号mの立ち上がりエッジから三角波を作
り、第2の傾斜信号st2は整形タイミング信号mの立
ち下がりエッジから三角波を作り、傾斜信号st1とs
t2は交互に異なるタイミングの傾斜信号になる(図7
(m),(n))。
【0085】(図15)に示す波形発生部の動作につい
て、回転子27が低速回転しているときおよび回転子2
7が停止している起動時について、(図8)および(図
9)を参照して説明する。
【0086】第1の遅延信号maはタイミング信号n
の”H”の区間を遅延時間τaだけ伸ばしたものであ
り、第2の遅延信号mbはタイミング信号nの反転信号
の”H”の区間を遅延時間τbだけ伸ばしたものである
(図8(k),(l)、図9(k),(l))。
【0087】第1の傾斜波形発生器3aに、第1の遅延
信号maと信号saとクロックパルス信号cp1と分周
クロックパルス信号cp2が入力される。信号saが”
H”であるから、選択回路121aは分周クロックパル
ス信号cp2をクロック信号caとして出力する。すな
わち、低速回転時(第2の回転数)および起動時でのク
ロック信号ca=cp2の周波数は、高速回転時のクロ
ック信号ca=cp1の周波数よりも回転数比に対応し
て小さくされる(回転数比に対応した所定の分周値分の
1)。従って、カウンタ回路124aは時間的に緩やか
にカウントアップしていき、カウンタ回路124aの内
容をDA変換回路125aによりアナログ値に変換した
第1の傾斜信号st1の時間的な傾斜も緩やかになる
(図8(m)、図9(m))。なお、(図8(m))お
よび(図9(m))の破線はクロック信号cp1でカウ
ントしたと仮定した場合の第1の傾斜信号を表してい
る。
【0088】第2の傾斜波形発生器3bに、第2の遅延
信号mbと信号saとクロックパルス信号cp1と分周
クロックパルス信号cp2が入力される。信号saが”
H”であるから、選択回路121bは分周クロックパル
ス信号cp2をクロック信号cbとして出力する。すな
わち、低速回転時(第2の回転数)でのクロック信号c
b=cp2の周波数は、高速回転時のクロック信号cb
=cp1の周波数よりも小さくされ、所定分周値分の1
になる。従って、カウンタ回路124bは時間的に緩や
かにカウントアップしてゆき、カウンタ回路124bの
内容をDA変換回路125bによりアナログ値に変換し
た第2の傾斜信号st2の時間的な傾斜も緩やかになる
(図8(n)、図9(n))。なお、(図8(n))お
よび(図9(n))の破線はクロック信号cp1でカウ
ントしたと仮定した場合の第2の傾斜信号を表してい
る。
【0089】このようにして、低速回転時(第2の回転
数)および起動時において、第1の傾斜信号st1と第
2の傾斜信号st2の時間的な傾斜を緩やかにし、タイ
ミング信号nのエッジ間隔における電位上昇値を、高速
回転時(第1の回転数)と同じになるようにしている。
その結果、低速回転時および起動時でも高速回転時と同
様な、立ち上がり傾斜および立ち下がり傾斜が電気角で
60度の滑らかな台形波状の位置信号が合成され、固定
子巻線への供給電流も滑らかな台形波状になる。
【0090】このように、第1の傾斜信号発生器3aお
よび第2の傾斜信号発生器3bを、カウンタ回路やDA
変換回路を使ってディジタル的に構成するならば、簡単
な構成で精度の良い傾斜信号st1やst2を得ること
ができる。すなわち、水晶発振器等を使用することによ
りクロック信号を高精度に作り出せ、R−2Rラダー抵
抗型のDA変換回路により精度良くアナログ信号に変換
できるので、傾斜信号の時間的な傾斜を高精度に作り出
すことができる。その結果、台形波状の位置信号の立ち
上がり傾斜部分および立ち下がり傾斜部分を60度(電
気角)もしくはほぼ60度にすることができ、固定子巻
線への電流波形を(図14(k),(l),(m))に
示したような好ましい台形波状の両方向電流にすること
が容易にできる。特に、量産時のバラツキが著しく少な
くなる。
【0091】また、高速回転や低速回転に回転数を切り
換えるときにも、第1の傾斜信号発生器3aおよび第2
の傾斜信号発生器3bのカウンタ回路へのクロック信号
の周波数を変えることにより、簡単に傾斜信号st1や
st2の時間的な傾斜を変えることができる。すなわ
ち、回転数を切換える用途に対して極めて容易に対応で
きる。
【0092】なお、選択回路121aと121bを1個
にして、クロック信号caとcbを同一の信号にしても
よい。
【0093】次に、逆起電力検出部1の他の具体的な構
成例を(図16)に示し、その動作について説明する。
なお、動作波形は(図4)と同様であり、同じ信号につ
いては同一の信号名とした。本実施例では、中性点Oを
接続しないで、電流給電端子A,B,Cのみの接続によ
って、3相の整形信号u,v,wを得ている。
【0094】コンパレータ回路131は、正極入力端子
に給電端子Aが接続され、負極入力端子に給電端子C,
Bが抵抗141,142を介して接続されている。抵抗
141と142の抵抗値は等しい、もしくは抵抗141
の方が抵抗142よりも少し大きい。抵抗141と14
2による合成電圧は、中性点Oからみると固定子巻線1
1の両端電圧の反転電圧に等しく、もしくはほぼ等しく
なる。従って、コンパレータ回路131の整形信号u
は、固定子巻線11の逆起電力aの零クロス時点におい
て変化する信号になる(図4(d))。
【0095】同様に、コンパレータ回路132は、正極
入力端子に給電端子Bが接続され、負極入力端子に給電
端子A,Cが抵抗143,144を介して接続されてい
る。抵抗143と144の抵抗値は等しい、もしくは抵
抗143の方が抵抗144よりも少し大きい。抵抗14
3と144による合成電圧は、中性点Oからみると固定
子巻線12の両端電圧の反転電圧に等しく、もしくはほ
ぼ等しくなる。従って、コンパレータ回路132の整形
信号vは、固定子巻線12の逆起電力bの零クロス時点
において変化する信号になる(図4(e))。
【0096】コンパレータ回路133は、正極入力端子
に給電端子Cが接続され、負極入力端子に給電端子B,
Aが抵抗145,146を介して接続されている。抵抗
145と146の抵抗値は等しい、もしくは抵抗145
の方が抵抗146よりも少し大きい。抵抗145と14
6による合成電圧は、中性点Oからみると固定子巻線1
3の両端電圧の反転電圧に等しく、もしくはほぼ等しく
なる。従って、コンパレータ回路133の整形信号w
は、固定子巻線13の逆起電力cの零クロス時点におい
て変化する信号になる(図4(f))。
【0097】3相の整形信号u,v,wはアンド回路1
34,135,136とオア回路137によって論理合
成され、各整形信号のエッジ時点において変化する整形
タイミング信号mを得ている。整形タイミング信号mの
立ち上がりエッジは各逆起電力の立ち上がり側の零クロ
ス点に対応し、整形タイミング信号mの立ち下がりエッ
ジは各逆起電力の立ち下がり側の零クロス点に対応して
いる。
【0098】本実施例では、電流給電端子だけを接続し
ていながらも、正確な逆起電力の零クロス時点の検出が
可能になっている。また、抵抗141〜146の抵抗値
を適当に選定することにより、その検出位相を少しシフ
トさせることも可能である。特に、本実施例の電動機の
ように逆起電力を検出して通電のタイミングを制御し、
その検出信号から台形波状の電流を固定子巻線に両方向
に供給する場合には、抵抗141,143,145の抵
抗値をそれぞれ抵抗142,144,146の抵抗値よ
りも大きめにしたほうが、検出位相(整形信号が変化す
るタイミング)を逆起電力の正確な零クロス時点よりも
早めに設定でき、好ましい効果を得ることができる。
【0099】以上説明したように、本発明の無整流子直
流電動機は、ホール素子の如き回転子位置検出素子を設
けることなく、固定子巻線に両方向の電流を供給する全
波駆動方式の電動機を実現している。
【0100】なお、前述の実施例では、Y結線された3
相の固定子巻線を有する電動機について説明したが、本
発明はそのような場合に限らず、固定子巻線がΔ結線さ
れた電動機に適用することも可能である。
【0101】また、前述の実施例の波形発生部では、タ
イミング信号の周期(高速回転時および低速回転時は整
形信号の周期、起動時は疑似パルスによるタイミング信
号の周期)に応じて傾斜信号の時間的な傾斜を2段階に
切換えるように構成したが、本発明はそのような場合に
限らず、3段階もしくはそれ以上に増やしてもよい。さ
らに、タイミング信号の周期に応じて、傾斜信号の時間
的な傾斜を連続的に変化するように構成してもよいこと
は言うまでもない。
【0102】また、前述の実施例の論理パルス発生部で
は、タイミング信号を利用して6相の論理パルス信号を
作ったが、本発明はそのような場合に限らず、必要に応
じて複数相の論理パルス信号を作ることができる。
【0103】また、前述の実施例の信号合成部では、傾
斜信号を所定電位信号を使って電圧信号を合成した後
に、電流信号に変換して位置信号を得たが、本発明はそ
のような場合に限らず、傾斜信号を直接電流信号に変換
し、その後に所定電流信号と合成することによって台形
波状の位置信号を合成するようにしても良い。
【0104】これらの変更・変形を行った場合にも、本
発明に含まれることは言うまでもない。その他、本発明
の主旨を変えずして種々の変更・変形が可能である。
【0105】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
は、固定子巻線に誘起される逆起電力を利用して、固定
子巻線に滑らかな両方向の電流を供給する全波駆動方式
の無整流子直流電動機を実現しており、従って、ホール
素子の如き位置検出素子が不要となり、半波駆動方式に
比べて高効率で、発生トルクの大きい無整流子直流電動
機としている。さらに、本発明は、巻線電流を滑らかな
台形波状にしているので、高速回転時の振動・騒音が極
めて小さくでき、また、スパイク状電圧を低減するため
の大容量の電解コンデンサを含むフィルタ回路も不要に
なり(大幅に小さくでき)、回路構成も簡素化できる。
【0106】さらに、本発明の無整流子直流電動機は、
起動時において周期検出部の出力する疑似パルスにより
固定子巻線を強制的に切換えているので、起動用に特別
な起動回路を設けることなく、従来の位置検出素子付き
の電動機と比べても遜色のない起動特性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の無整流子直流電動機の一実施例の全体
構成を示すブロック図である。
【図2】電力供給部の具体的な構成例を示す回路構成図
である。
【図3】本発明に係る逆起電力検出部の具体的な構成例
を示す回路構成図である。
【図4】本発明に係る逆起電力検出部の動作を説明する
ための信号波形図である。
【図5】本発明に係る周期検出部の具体的な構成例を示
す回路構成図である。
【図6】本発明に係る波形発生部の具体的な構成例を示
す回路構成図である。
【図7】本発明に係る周期検出部および波形発生部の動
作を説明するための信号波形図である(高速回転時)。
【図8】本発明に係る周期検出部および波形発生部の動
作を説明するための信号波形図である(低速回転時)。
【図9】本発明に係る周期検出部および波形発生部の動
作を説明するための信号波形図である(起動時)。
【図10】本発明に係る論理パルス発生部の具体的な構
成例を示す回路構成図である。
【図11】本発明に係る論理パルス発生部の動作を説明
するための信号波形図である。
【図12】本発明に係る信号合成部の具体的な構成例を
示す回路構成図である。
【図13】本発明に係る信号合成部の動作を説明するた
めの信号波形図である。
【図14】本発明の実施例の動作を説明するための信号
波形図である。
【図15】本発明に係る波形発生部の他の具体的な構成
例を示す回路構成図である。
【図16】本発明に係る逆起電力検出部の他の具体的な
構成例を示す回路構成図である。
【図17】従来の無整流子直流電動機の回路構成図であ
る。
【図18】従来の無整流子直流電動機の動作を説明する
ための信号波形図である。
【符号の説明】 1 逆起電力検出部 2 論理パルス発生部 3 波形発生部 3a 第1の傾斜波形発生器 3b 第2の傾斜波形発生器 4 信号合成部 4a 第1の位置信号合成器 4b 第2の位置信号合成器 5 電力供給部 5a 第1の駆動トランジスタ群 5b 第2の駆動トランジスタ群 6 周期検出部 11,12,13 固定子巻線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−281389(JP,A) 特開 昭49−104123(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02P 6/14 - 6/22

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3相の固定子巻線と、直流電源の一端と
    前記固定子巻線の電流給電端子との間の電流路を形成す
    る3個のトランジスタからなる第1の駆動トランジスタ
    群と、前記直流電源の他端と前記電流給電端子との間の
    電流路を形成する3個のトランジスタからなる第2の駆
    動トランジスタ群と、前記固定子巻線に発生する逆起電
    力に応動した整形信号を得る逆起電力検出手段と、前記
    整形信号が入力されこの整形信号の周期を計数して前記
    周期が所定の範囲内にあるときは前記整形信号に応動し
    た検出信号を出力し、前記周期が所定の範囲を越えたと
    きは疑似的に発生される疑似パルス信号に基づいて検出
    信号を出力する周期検出手段と、前記周期検出手段から
    出力される検出信号に応動して複数相のパルス信号を発
    生する論理パルス発生手段と、前記周期検出手段から出
    力される検出信号のエッジ時点もしくはほぼエッジ時点
    から始まる傾斜信号を発生する波形発生手段と、前記論
    理パルス発生手段から出力されるパルス信号と前記波形
    発生手段から出力される傾斜信号より6相の位置信号を
    合成する信号合成手段を具備し、前記信号合成手段の3
    相の位置信号に応動して前記第1の駆動トランジスタ群
    を通電制御し、前記信号合成手段の他の3相の位置信号
    に応動して前記第2の駆動トランジスタ群を通電制御す
    る構成にした無整流子直流電動機。
  2. 【請求項2】 波形発生手段は、周期検出手段の検出信
    号の周期に応じて傾斜信号の時間的な傾斜を変化させる
    手段を含んで構成されたことを特徴とする請求項1記載
    の無整流子直流電動機。
  3. 【請求項3】 波形発生手段は、周期検出手段の検出信
    号に応動してクロック信号をカウントする動作とリセッ
    トする動作を繰り返すカウント手段と、前記カウント手
    段の内容をアナログ量に変換するディジタル−アナログ
    変換手段を含んで構成されたことを特徴とする請求項1
    記載の無整流子直流電動機。
  4. 【請求項4】 波形発生手段は、周期検出手段の検出信
    号の周期に応じてクロック信号の周波数を変化させる手
    段を含んで構成されたことを特徴とする請求項3記載の
    無整流子直流電動機。
  5. 【請求項5】 3相の固定子巻線と、直流電源の一端と
    前記固定子巻線の電流給電端子との間の電流路を形成す
    る3個のトランジスタからなる第1の駆動トランジスタ
    群と、前記直流電源の他端と前記電流給電端子との間の
    電流路を形成する3個のトランジスタからなる第2の駆
    動トランジスタ群と、前記固定子巻線に発生する逆起電
    力に応動した整形信号を得る逆起電力検出手段と、前記
    整形信号が入力されこの整形信号の周期を計数して前記
    周期が所定の範囲内にあるときは前記整形信号に応動し
    た検出信号を出力し、前記周期が所定の範囲を越えたと
    きは疑似的に発生される疑似パルス信号に基づいて検出
    信号を出力する周期検出手段と、前記周期検出手段から
    出力される検出信号に応動して複数相のパルス信号を発
    生する論理パルス発生手段と、前記周期検出手段から出
    力される検出信号に応動して第1の傾斜信号を発生する
    第1の傾斜波形発生手段と、前記周期検出手段から出力
    される検出信号に応動して前記第1の傾斜信号とは異な
    るタイミングにおいて第2の傾斜信号を発生する第2の
    傾斜波形発生手段と、前記論理パルス発生手段から出力
    されるパルス信号と前記第1の傾斜波形発生手段から出
    力される第1の傾斜信号より3相の第1の位置信号を合
    成する第1の位置信号合成手段と、前記論理パルス発生
    手段から出力されるパルス信号と前記第2の傾斜波形発
    生手段から出力される第2の傾斜信号より前記第1の位
    置信号とは異なるタイミングの3相の第2の位置信号を
    合成する第2の位置信号合成手段を具備し、前記第1の
    位置信号に応動して前記第1の駆動トランジスタ群を通
    電制御し、前記第2の位置信号に応動して前記第2の駆
    動トランジスタ群を通電制御する構成にした無整流子直
    流電動機。
  6. 【請求項6】 第1の傾斜波形発生手段もしくは第2の
    傾斜波形発生手段は、周期検出手段の検出信号の周期に
    応じて第1の傾斜信号もしくは第2の傾斜信号の時間的
    な傾斜を変化させる手段を含んで構成されたことを特徴
    とする請求項5記載の無整流子直流電動機。
  7. 【請求項7】 第1の傾斜波形発生手段もしくは第2の
    傾斜波形発生手段は、周期検出手段の検出信号に応動し
    てクロック信号をカウントする動作とリセットする動作
    を繰り返すカウント手段と、前記カウント手段の内容を
    アナログ量に変換するディジタル−アナログ変換手段を
    含んで構成されたことを特徴とする請求項5記載の無整
    流子直流電動機。
  8. 【請求項8】 第1の傾斜波形発生手段もしくは第2の
    傾斜波形発生手段は、周期検出手段の検出信号の周期に
    応じてクロック信号の周波数を変化させる手段を含んで
    構成されたことを特徴とする請求項7記載の無整流子直
    流電動機。
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