JP3071110B2 - 超伝導線の製造方法 - Google Patents

超伝導線の製造方法

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JP3071110B2 JP6259626A JP25962694A JP3071110B2 JP 3071110 B2 JP3071110 B2 JP 3071110B2 JP 6259626 A JP6259626 A JP 6259626A JP 25962694 A JP25962694 A JP 25962694A JP 3071110 B2 JP3071110 B2 JP 3071110B2
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  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
  • Superconductors And Manufacturing Methods Therefor (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸化物超伝導体を利用
した超伝導線の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】Y系、Bi系等の呼ばれ方をしている酸
化物超伝導体は、液体窒素温度よりも高い温度で超伝導
性を示す。これらの材料を線材化する場合の方法として
は、金属パイプの中に超伝導物質或いはその原料を充填
し、伸線加工し、必要により伸線加工の前後等で熱処理
をするか、或いは、スパッタ法等の各種薄膜形成手段を
利用して、基体上に酸化物超伝導体を形成することが一
般的に行われている。金属パイプに超伝導体を充填する
方法は、特開平2−37623号公報や特開平1−27
6516号公報に、又、薄膜を形成する方法は特開昭6
3−241826号公報に夫々開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、酸化物
超伝導体は材料中の酸素量により超伝導特性が変化する
為、線材化する為には材料中の酸素量を制御しなければ
ならないという問題がある。超伝導線には一般に安定化
材が設けられ、これには通常は銅等の金属が使用される
が、酸化物超伝導体の場合には、銅は加工中に超伝導体
中の酸素により酸化されてしまう為、使用することが出
来ない。更に、酸化物超伝導体には金属の様な加工性が
ない為に、圧延やダイスによる伸線加工では、結晶粒が
変形しにくい為に、加工時に金属パイプの方が断線して
しまうことがある。又、金属パイプ中に、酸化物超伝導
体が緻密に、且つ均一に充填されないと、超伝導線とし
ては使い物にならないという問題もある。又、金属と酸
化物超伝導体では熱膨張率が異なる為に、例えば、冷却
時における金属と酸化物超伝導体の密着性も大きな問題
である。
【0004】以上の様な問題を解決する為に、特開平2
−37623号公報では、アルミニウムパイプに酸化物
超伝導体を充填し、超伝導体を焼結させる為の加熱を行
う際に、アルミニウムを溶解除去し、酸化物超伝導体を
露出させた状態で900〜1,000℃の熱処理を行う
ことにより、材料中の酸素量を制御している。又、特開
平1−276516号公報では、銀パイプに酸化物超伝
導体の成形体を挿入し、銀パイプと超伝導体の隙間に銀
粉を充填して、金属パイプと超伝導体の密着性を確保し
ている。
【0005】しかし、特開平2−37623号公報に記
載の方法では、アルミニウムの融点が約660℃である
から、この温度ではアルミニウムが酸化物超伝導体の表
面から除去される前に、酸化物超伝導体中の酸素により
アルミニウムが酸化されてしまう可能性が極めて高い。
特に、酸化物超伝導体の表面の凹部や結晶粒界に入り込
んだアルミニウムは除去されにくく、酸化により生成し
た酸化アルミニウムが不純物として析出したり、場合に
よっては酸化物超伝導体と反応してしまうことが生じ
る。更に、特開平2−37623号公報には、超伝導マ
グネット等への応用には欠かせない安定化材の形成につ
いては何も開示していない。又、特開平1−27651
6号公報に記載の方法では、銀粉の存在により、金属パ
イプと酸化物超伝導体の密着性は改善されていると思わ
れるが、超伝導線の臨界電流を改善する工夫は全くなさ
れていない。
【0006】又、薄膜形成方法を利用した特開昭63−
241826号公報に記載の方法は、予め線材に加工
し、表面に銅又は銅合金が形成された基体に超伝導材料
の構成元素からなる薄膜を形成して熱処理するものであ
る。しかし、超伝導材料の種類にもよるが、熱処理には
通常、800〜1,000℃、1〜100時間必要であ
ることが開示されている。これに対し、一般に、超伝導
線を製造する速度は、早ければ早いほどよく、この様な
長時間の熱処理を必要とする方法は、製造速度が極めて
遅くなるという問題がある。更に、薄膜形成方法では、
超伝導体を構成する元素の組成を厳密に制御する必要が
あり、組成の僅かな変動により超伝導特性が大きく変化
してしまう為に、長尺の超伝導線を製造することが困難
であるという致命的な問題がある。以上の様に、酸化物
超伝導体を利用した超伝導線の製造に対し、多くの研究
が行われているが、現状では実用になる超伝導線は得ら
れていない。
【0007】従って、本発明の目的は、臨界温度の高い
酸化物超伝導体を利用し、超伝導線として実用化する場
合に、加工によって臨界温度及び臨界電流が低下してし
まうことのない実用性のある超伝導線が得られる超伝導
線の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、下記の本
発明によって達成される、即ち、本発明は、銀又は銀合
金テープ或いは複数の小さな穴が開けられた銀又は銀合
金テープをパイプ状に加工しながらテープ上に酸化物超
伝導体を供給してシース線材を形成し、伸線加工して細
線を作製し、該細線を銀又は銀合金よりも融点の高い導
電性材料の溶融液中に入れ該溶融液内を通過させて銀又
は銀合金を溶解させ、銀又は銀合金を酸化物超伝導体に
分散させると同時に導電性材料を酸化物超伝導体の表面
に取り付けることを特徴とする超伝導線の製造方法であ
る。
【0009】
【作用】本発明によれば、酸化物超伝導体の空孔部に銀
等が分散される為、臨界電流の改善がなされ、且酸化物
超伝導体の表面付近の凹凸部にも銀等の溶融物が入り込
んでいる為、外周に取り付けられた安定化剤である導電
性材料との密着性にも優れる為、加工によって臨界温度
及び臨界電流が低下せずに、臨界温度及び臨界電流の高
い、実用性に優れた超伝導線が提供される。
【0010】
【好ましい実施態様】本発明の好ましい実施態様を挙げ
て本発明を詳細に説明する。先ず、銀又は銀合金テー
プ、或いは複数の小さな穴が開けられた銀又は銀合金テ
ープを、パイプ状に加工しながらテープ上に酸化物超伝
導体を供給してシース線材を形成しする。その方法とし
ては、平板状の銀又は銀合金のテープを断面がU字状に
なる様に加工しながら、該U字状テープの中に超伝導体
又はその原料を供給し、銀又は銀合金テープの両端がほ
ぼ接触する程度まで丸め加工し、シース線材とする。
【0011】次に、上記の様にして得られた線材を伸線
加工して細線を作製するが、その方法としては、ダイス
加工や圧延等により線引きする。この線引きの前後や線
引き中に加熱して酸化物超伝導体を焼結(熱処理)させ
てもよい。次に、得られた細線を銀又は銀合金よりも融
点の高い導電性材料の溶融液中に入れ、該溶融液内を通
過させて銀又は銀合金を溶解させ、銀又は銀合金を酸化
物超伝導体に分散させると同時に導電性材料を酸化物超
伝導体の表面に取り付けて超伝導線とする。
【0012】即ち、細線を銀又は銀合金の融点よりも高
い融点をもつ導電性材料溶融物の中を通すと、細線を構
成している銀又は銀合金が融解して、細線をローラー等
により巻取ることにより、酸化物超伝導体の表面には導
電性材料と銀又は銀合金の溶融体が付着した状態で導電
性材料溶融物の中から取り出される。この際に得られる
酸化物超伝導体の表面に付着している溶融体は、冷却さ
れ、融点の高い導電性材料が固化しても銀又は銀合金は
溶融状態にある為、銀又は銀合金が酸化物超伝導体の中
に分散していき臨界電流の改善に寄与する。又、酸化物
超伝導体の表面には、内部に分散されなかった銀又は銀
合金や導電性材料の溶融物が付着する為に、酸化物超伝
導体の表面に凹凸があったとしても隙間なくこれらを取
り付けることが出来る。この為、超伝導線の機械的強度
も優れたものになる。尚、線材が導電性材料の溶融物中
を通過する段階で、酸化物超伝導体中の酸素が還元され
る心配があるが、本発明では脱離した酸素は銀又は銀合
金中に取り込まれる為に、導電性材料が酸素非透過性材
料であったとしても、熱処理することにより銀等に取り
込まれたこれらの酸素を利用して超伝導特性を回復させ
ることが可能である。
【0013】本発明で使用される酸化物超伝導体として
は、特に制限はないが、特に好ましい材料としては、以
下の様なものが挙げられる。例えば、組成式がLna
bCu3-xxcで表わされ、2.7≦a+b≦3.
3、0.8≦a≦1.2、6≦c≦9、及び0.05≦
x≦0.7であり、且つ、LnがY元素及びランタノイ
ド元素群の中から選ばれた1種以上の元素又は原子団、
MがTi、V、Ga、Ge、Mo、W及びReの元素群
から選ばれた1種以上の元素又は原子団である材料、組
成式がLnaCabSrcCu3-xxdで表わされ、2.
7≦a+b+c≦3.3、0.8≦a+b≦2.1、6
≦d≦9、0.05≦b≦1.1及び0.05≦x≦
1.0であり、且つ、LnがY元素及びランタノイド元
素群の中から選ばれた1種以上の元素又は原子団、Mが
Fe、Co、Ti、V、Ge、Mo、W及びReの元素
群から選ばれた1種以上の元素又は原子団である材料、
【0014】組成式がLnaCabSrcBadCu2+e
6+fgであり、a+b+c+d=3、0.2≦a≦0.
8、0.2≦b≦1.0、0.5≦c≦2.2、0≦d
≦1.6、0≦e≦0.8、0<0.8f<2及び0.
2≦g≦1であり、LnがY元素及びランタニド元素か
らなる元素群から選ばれた1種以上の元素又は原子団で
ある材料、組成式が(Ln1-aCaa)(Sr2-bBab)(C
3-cB)Odと表わされ、0.1≦a≦0.5、0.7
≦b≦1.7、0.1≦c≦0.5、6.5≦d≦7.
5であり、且つLnはY元素及びランタノイド元素(た
だし、CeとTbは除く)から選ばれた1種以上の元素
又は原子団である材料、
【0015】Ln、M、Ba、Ti、Cu及びO(Ln
はY、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、H
o、Er、Tm、Yb及びLuの元素群から選ばれた1
種以上の元素又は原子団、MはCa及びSrの元素群か
ら選ばれた1種以上の元素又は原子団)を構成必須元素
とし、CuとOとが作る8面体又はピラミッド型5面体
とTiとOとが作る8面体の両方を同時に基本構造中に
具備し、二次元的に配列している材料等である。そし
て、これらの材料に微量の不純物を添加した材料でもよ
いことは言うまでもない。
【0016】又、本発明の超伝導線は、銀又は銀合金を
分散させた酸化物超伝導体の外周に取り付ける導電性材
料は、どんな材料でもよいが、特に好ましい材料は、A
u、Al、Cu、Ni、Pd、Pt、Ti、Mo、W、
Nb及びMnの金属や合金である。
【0017】又、本発明において、酸化物超伝導体の外
周に導電性材料を形成する手段としては、上記した導電
性材料の溶融物の中を通過させる方法に限定されない。
例えば、Wの様な融点の高い材料を用いる場合には、銀
又は銀合金だけでなく酸化物超伝導体も溶融、分解して
しまうことが生じる。又、Alの様に銀等よりも低い温
度の融点をもつ材料を使用した場合には、溶融物中に線
材を通過させても銀等は溶融しない。この様な場合に
は、銀や銀合金を溶融し、その後、導電性材料を取り付
ける。該取り付け手段としては、塗付して熱処理する方
法、真空蒸着法や化学蒸着法等を利用する方法等材料に
より適当な手段を選択すればよい。
【0018】銀又は銀合金テープには複数の小さな穴を
設けて酸化雰囲気で熱処理する場合に酸素と反応し易く
してもよいし、線引き後、或いは導電性材料を固化させ
た後に、HIP処理等を施してもよい。更に、導電性材
料の表面に絶縁性材料を取り付けてもよいことは言うま
でもない。尚、導電性材料の溶融物中を通過する際に、
銀又は銀合金が導電性材料溶融物中に溶け出し、導電性
材料と銀又は銀合金が固溶する可能性があるが、本発明
では固溶しても何ら問題は発生しない。更に、線引き手
段、加熱手段、巻取りや送出し手段、各行程の雰囲気等
は、使用する材料により最適な方法を選択すればよい。
【0019】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明する。 実施例1 図1に本発明の製造方法の流れを示した。先ず、銀又は
銀合金の平板テープを用意し、これを曲げて断面形状が
U字状となる様にし、該U字状テープのU字の中側に酸
化物超伝導体粉末又はその原料混合物材料を供給した
後、断面形状がO状になるまで丸め加工する。この時、
銀又は銀合金のテープの両端は直接接してもよく、重な
っていてもよく、更には内部の粉末がこぼれ落ちなけれ
ば隙間があってもよい。その後、適当な塑性加工により
線引きする。又、線引きの前後やその途中に必要があれ
ば熱処理を行う。その後、線材を坩堝2内に導き入れ、
銀又は銀合金を溶解し、超伝導体の内部に銀又は銀合金
を分散させ、表面に安定化材の役割を果たす導電性材料
を取り付ける。尚、この溶解と導電性材料の取り付け
は、これらを同時に行う方法と連続して行う方法とある
が、本実施例では同時に行う方法を採用した。
【0020】図2に銀又は銀合金を溶解すると同時に導
電性材料を取り付ける原理を示す。1は、O字状に加工
された銀又は銀合金テープ3の中に充填された酸化物超
伝導体の粉末である。5はダイスであり、図では1回の
加工を示しているが、必要により複数のダイスを用いて
複数回の減面加工を行うことが出来る。4は、上記の方
法によって所望の形状に加工された原料線材である。こ
れを坩堝2に導いて導電性材料の溶融液6の中を通過さ
せる。この工程によって、超伝導体の表面にある銀又は
銀合金が溶融する結果、一部は溶融液6と混合される
が、多くは超伝導体内部の空孔等に浸透していく。
【0021】この結果、導電性材料の溶融液6を入れた
坩堝2から線材を引き出すことにより、表面に導電性材
料が塗布される。この時、導電性材料の融点は銀等より
も高い為に導電性材料が先に固化し、次いで内部に分散
された銀又は銀合金が固化する。この結果、酸化物超伝
導体に銀又は銀合金が分散されて、これらが臨界電流密
度を改善し、更に、酸化物超伝導体の空孔部や表面付近
の凹凸部にも主として銀又は銀合金の溶融物が入り込ん
でいる為に、外周に取り付けられた導電性材料との密着
性にも優れたものとなる。尚、図2では省略したが、銀
又は銀合金テープを丸める行程、超伝導体粉末を供給す
る行程をはじめとして、全ての行程を供給リールと巻き
取りリールにより連続的に行うことが出来る。
【0022】本発明に使用される材料の組み合わせは特
に限定されないが、本実施例では、YSr2Cu2.8
0.2yに対して10wt%のSrY24が生じる様に、
23、SrCO3、WO3 及びCuOを混合し、これ
を950〜1,400℃で熱処理した酸化物超伝導体を
用い、外周に設ける導電性材料としてはCuを用いた。
尚、本実施例以外の実施例についても同様の材料の組み
合わせを用いて超伝導線を作成した。
【0023】上記の材料を用い、上記の方法で銀を溶
解、分散させて得られた本実施例の超伝導線の臨界電流
密度は、約10,000A/cm2(5K)であった。
これに対し、同じ酸化物超伝導体を用いても銀を溶解、
分散させなかった場合には、臨界電流密度は約2,00
0A/cm2であり、本実施例により得られたものに比
べ極めて小さな値となった。又、本実施例で得られた超
伝導線は、直径30cmのローラーで巻取っても超伝導
特性が変化することはなかったが、銀を溶解、分散させ
なかった比較例の場合には、同じローラーで巻取ると通
電量が1/100から1/1,000に低下した。これ
らのことは、本発明の超伝導線が機械的強度にも優れて
おり、臨界電流密度も優れていることを示している。
【0024】実施例2 図2に本実施例における銀を溶解し導電性材料を取り付
ける工程の概念図を示す。先ず、酸化物超伝導体を内部
に有しパイプ状に加工された銀シース材を、複数のダイ
ス5(図2では1個だけを示した)を使用して銀シース
材を作製する。ここでは、外径が8mm、内径が6mm
の銀シース材の原料線材を外径0.8mmの細線4とし
た。6は不図示の加熱装置により溶融させた坩堝2内の
銅溶融液であり、温度は1,000℃に保たれている。
この様な銅の溶融液6中に上記で得られた銀シース線材
を入れ、銅溶融液6内を通過させる。この時に、銀の融
点は960℃であるから、融解して銀の一部は銅溶融液
6と混合されるが、多くは酸化物超伝導体内部に分散さ
れる。次に、不図示のローラーによりこの線材を巻取る
と、線材表面には銅が付着した状態で、坩堝2から取り
出される。坩堝2から取り出された線材10は、外周側
から固化して行くが、内部の銀の固化が終了するまで冷
却し、不図示のローラーで超伝導線を巻取る。尚、酸素
が還元された酸化物超伝導体の超伝導特性を回復させる
為に、溶融させた銀に酸素を吹き込んでもよいし、更に
外周の銀が固化した後に、再度熱処理を行ってもよい。
【0025】この様にして作製された超伝導線の臨界電
流は、使用した超伝導体材料の組成に関係なく、104
A/cm2以上であり、超伝導線を巻取ったローラーの
直径が300mm程度でも超伝導特性のは変化が認めら
れなかった。又、銀テープに直径0.5mm以下の穴を
開けたものを使用し、上記と同様にして超伝導線とした
場合にも、同じ性能の線材を得ることが出来た。しか
し、線材の巻き取り速度を速くして銀テープの銀を十分
に溶融させなかった場合には、得られた線材の臨界電流
も102A/cm2程度であり、得られた線材の断面を電
子顕微鏡で観察すると、銀と超伝導体の間には隙間がほ
ぼ全面にわたって観測された。しかし、本発明の超伝導
線では、隙間は観測されなかった。このことは、本発明
では銀が溶解し、超伝導体の表面の凹凸部にも十分に浸
入しているために外周の導電性材料との密着性に優れて
いることを示している。
【0026】実施例3 図3に本実施例の超伝導線の製造方法の概念図を示す。
先ず、直径0.1〜0.5mm程度の穴をあけた銀テー
プを連続ロール加工により、U字状とし、このテープの
凹部に超伝導体を合成する為の原料を供給し、更にロー
ル加工によりパイプ状にする。この原料線材をダイス5
により直径1mmの線材にする。この際、図3に示す様
に、ダイス加工の前後においてヒーター8で銀パイプを
加熱することによって酸化物超伝導体を合成する。一般
に、酸化物超伝導体の合成では構成金属元素の炭酸塩や
硝酸塩、酸化物が原料として使用されることが多い。銀
パイプに開けられた穴は、酸素を銀パイプの中心部まで
供給することを可能とすると同時に、これらの原料が分
解して生成される二酸化炭素等のガスを放出する機能を
果たす。この為、本実施例においては、ヒーター8によ
る熱処理によって優れた特性の超伝導体を合成すること
が出来る。この様にして得られた線材4を、坩堝2内に
入れ、溶融した金6の中を通過させる。金の溶融液6の
温度は1,065〜1,080℃に保たれている。従っ
て、銀の融点は960℃であるから、金の溶融液6の中
を通過させると、銀が溶けて酸化物超伝導体内に分散
し、且つ坩堝2から線材が引き出だされる時には線材の
表面に金が付着している。これらの金と銀とは固化する
までに部分的に混合されるが、これらの混合の割合は、
金の溶融液6と線材との接触時間、巻取り速度で制御す
ればよい。この様にして製造された超伝導線は、機械的
変形にも強く、ローラー7の直径が200mmであって
も1,000m程度の長さの超伝導線を製造することが
出来る。
【0027】実施例4 図4に本実施例の超伝導線の製造方法の概念図を示す。
銀に3wt%のパラジウムをいれた合金テープを丸め加
工しながら内部に酸化物超伝導体を充填し、ダイス5に
より、所望のシース線材を作成する。これを加熱装置1
1により加熱して銀合金を溶融させる。溶融した合金が
再び固化してから薄膜装置9により導電性材料を表面に
形成して超伝導線とする。この際使用する加熱装置11
は、銀合金を溶融することが出来る温度まで加熱し得る
ものであれば何でもよいが、本実施例では赤外線を集光
して加熱した。又、薄膜装置9も、所望の膜厚の導電性
材料を形成することが出来る装置であれば何れでもよい
が、本実施例では有機パラジウムを塗付し、これを熱処
理してパラジウム膜を形成した。この様にして作成され
た超伝導線は、銀とパラジウムとが極めてよく密着して
いる為に、機械的変形にも強く、クラック等が発生しに
くい。又、超伝導体には銀とパラジウムとが分散されて
おり、臨界電流密度は、銀合金を分散させなかった超伝
導線よりも2桁以上大きな値となっていた。
【0028】実施例5 図5に本実施例の超伝導線の製造方法の一部の工程の概
念図を示す。本実施例では、複数の小さな穴が開けられ
た銀に1wt%のマグネシウムを添加した銀合金テープ
に丸め加工しながら内部に酸化物超伝導体を充填した。
これをダイス5で線引きする前にヒーター8により熱処
理し、原料物質からの放出ガス(原料の分解ガス、水分
等)を除去して、超伝導体を合成した。生成した酸化物
超伝導体が充填されている銀合金パイプが室温に冷却さ
れる前にダイス5により所望のサイズに線引きする。本
発明では、500〜100℃で線引きを行い、その後、
ヒーター8により再度熱処理した。ダイス5による線引
き加工の前後の熱処理は、用いる超伝導体の種類により
雰囲気を選定する。
【0029】その後、加熱装置11によって線引き加工
された線材を加熱して、表面の銀合金を溶融する。本実
施例では加熱装置11として、カンタルスーパー線を発
熱体とする電気炉を使用した。溶融した銀合金が酸化物
超伝導体に分散されてから冷却し、薄膜装置9で導電性
材料を表面に形成した。尚、本実施例では、導電性材料
をアルミニウムを溶解した坩堝2の中に線材を入れアル
ミニウム溶解液内を通過させることで取り付けた。尚、
銀合金テープに酸化物超伝導体の粉末を供給した場合に
は、線引き加工前の熱処理を省略してもよい。この様に
して作成された超伝導線は、機械的変形にも強く、銀合
金を溶融して分散させなかった超伝導線よりも2桁以上
大きな臨界電流密度を有していた。
【0030】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明によれば、加
工によって臨界温度及び臨界電流が低下せずに超伝導線
に使用される酸化物超伝導体の特性を十分に発揮させる
ことが出来、且つ機械的変形にも強く、信頼性に優れた
実用性のある超伝導線が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の超伝導線の断面模式図
【図2】本発明の超伝導線の製造方法の概念図
【図3】本発明の超伝導線の製造方法の概念図
【図4】本発明の超伝導線の製造方法の概念図
【図5】本発明の超伝導線の製造方法の概念図
【符号の説明】 1:酸化物超伝導体 2:分散した物質 3:導電性材料 4:シース線材 5:線引き手段 6:溶融物 7:巻取りローラー 8:ヒーター 9:導電性材料形成装置 10:超伝導線 11:加熱装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 12/00 - 13/00 C01G 1/00 C04B 35/45

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銀又は銀合金テープ或いは複数の小さな
    穴が開けられた銀又は銀合金テープをパイプ状に加工し
    ながらテープ上に酸化物超伝導体を供給してシース線材
    を形成し、伸線加工して細線を作製し、該細線を銀又は
    銀合金よりも融点の高い導電性材料の溶融液中に入れ該
    溶融液内を通過させて銀又は銀合金を溶解させ、銀又は
    銀合金を酸化物超伝導体に分散させると同時に導電性材
    料を酸化物超伝導体の表面に取り付けることを特徴とす
    る超伝導線の製造方法。
  2. 【請求項2】 複数の小さな穴が開けられた銀又は銀合
    金テープをパイプ状に加工しながら酸化物超伝導体の原
    料混合物を供給してシース材を形成し、伸線加工して細
    線を作製し、該伸線加工の前及び/又は後に熱処理して
    充填した酸化物超伝導体原料を反応させて酸化物超伝導
    体とし、その後、銀又は銀合金よりも融点の高い導電性
    材料の溶融液中を通過させて銀又は銀合金を溶解させ、
    銀又は銀合金を酸化物超伝導体に分散させると同時に導
    電性材料を酸化物超伝導体の表面に取り付けることを特
    徴とする超伝導線の製造方法。
  3. 【請求項3】 銀又は銀合金テープ或いは複数の小さな
    穴が開けられた銀又は銀合金テープをパイプ状に加工し
    ながら酸化物超伝導体を供給し、伸線加工して細線を作
    製し、該細線を銀又は銀合金の融点よりも高い温度に加
    熱して溶解した後に外周に導電性材料を取り付けること
    を特徴とする超伝導線の製造方法。
  4. 【請求項4】 銀又は銀合金テープ又は複数の小さな穴
    が開けられた銀又は銀合金テープをパイプ状に加工しな
    がら酸化物超伝導体の原料混合物を供給し、伸線加工し
    て細線を作製し、該伸線加工の前及び/又は後に熱処理
    して充填した酸化物超伝導体の原料を反応させて酸化物
    超伝導体とし、その後、銀又は銀合金の融点よりも高い
    温度に加熱して溶解した後に外周に導電性材料を取り付
    けることを特徴とする超伝導線の製造方法。
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