Patents

Search tools Text Classification Chemistry Measure Numbers Full documents Title Abstract Claims All Any Exact Not Add AND condition These CPCs and their children These exact CPCs Add AND condition
Exact Exact Batch Similar Substructure Substructure (SMARTS) Full documents Claims only Add AND condition
Add AND condition
Application Numbers Publication Numbers Either Add AND condition

難消化性デキストリン

Landscapes

Show more

JP3053997B2

Japan

Other languages
English
Inventor
一裕 大隈
敬夫 半野
和之 稲田
功 松田
康夫 勝田
Current Assignee
Matsutani Chemical Industries Co Ltd

Worldwide applications
1993 JP 1998 JP

Application JP5078800A events
2000-06-19
Application granted
Anticipated expiration
Expired - Lifetime

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はコーンスターチを加酸熱
処理後にα−アミラーゼ及びグルコアミラーゼで加水分
解して得られる、食物繊維を含有し、低カロリーである
難消化性デキストリンに関する。
【0002】
【従来の技術】焙焼デキストリンは数%の水を含む澱粉
を酸の存在下または、非存在下に加熱して得られるもの
である。その加熱条件は酸を添加しないで焙焼して得ら
れるブリティシュ・ガムでは、135〜218℃で10
〜20時間加熱処理するものである。白色デキストリン
は、酸を添加して79〜121℃で3〜8時間加熱処理
して得られるものである。また黄色デキストリンは同様
に酸を添加して150〜220℃で6〜18時間加熱し
て得られるものである。
【0003】その構造としては澱粉の構成成分であるグ
ルコースが、1→4、1→6グリコシド結合したものを
主体として、微量の1→3、1→2グリコシド結合も存
在していることが知られている。
【0004】これらのグリコシド結合の構成比率はJ.D.
Geerdes et al, J.Am.Chem.soc.,Vol.79,P.4209(1957)
とG.M.Christensen et al,J.Am.Chem.Soc.,Vol.79,P.44
92(1957)と、下記の文献に記載されているのみである
が、市販のコーンスターチの塩酸添加焙焼デキストリン
において、メチル化分析により1→4グリコシド結合区
分(2,3,6-Tri-O-Methyl-D-glucose)は57.3%以上
であり、1→6グリコシド結合区分(2,3,4-Tri-O-Meth
yl-D-glucose)は2.6%であり、1→3グリコシド結
合区分(2,4,6-Tri-O-Methyl-D-glucose)は1.2%以
下であり、1→4及び1→6の両結合を有する区分(2,
3-Di-O-Methyl-D-glucose)は6.3%であり、これら
以外のグリコシド結合を有する区分は約20%である。
【0005】またR.L.Whistler & E.F.Paschall,Starch
Chemistry & Technology,Vol.1,p430(1965)にコーンス
ターチの構成成分であるアミロペクチンと、アミロース
を分画して取り出してから、両成分をそれぞれ加酸熱処
理して得たアミロペクチン熱処理物と、アミロース熱処
理物についての結合型の分析値が引用して記載されてい
る。この数値は澱粉を糊化してから2成分を分離して熱
処理したものの数値であり、熱処理時の粉末の形態が天
然の澱粉とは異なっているために直接の比較はできない
が、通常のコーンスターチの両成分の構成比が約8:2
であるところから、この数値をコーンスターチに換算す
ると、1→4グリコシド結合区分(2,3,6-Tri-O-Methl-
D-glucose)は67%、1→3グリコシド結合区分(2,
4,6-Tri-O-Methyl-D-glucose)は2.7%、1→4及び
1→6の両結合を有する区分(2,3-Di-O-Methyl-D-gluc
ose)は7.8%に相当する。
【0006】焙焼デキストリンの製造法の従来技術とし
てはTomasik,P. & Wiejak,S.,Advance in Carbohydrate
Chemistry,Vol.47,279-343,(1990)に焙焼デキストリン
の最新の総説が記載されている。
【0007】しかし市販のいずれの焙焼デキストリンを
分析しても難消化性成分の含量は30%以下であり、食
物繊維の含量は3%以下であり、カロリー値1は3.3
キロカロリー/g以上であり、カロリー値2は3.1キ
ロカロリー/g以上であり、これ以上の含量を得るため
に加熱条件を変更すると、難消化性成分は60%程度ま
で、食物繊維は30%程度まで増加でき、カロリー値1
は2.7キロカロリー/g程度まで、カロリー値2は2
キロカロリー/g程度まで減少することはできるが、着
色物質が増加して刺激臭も発生するために精製すること
が必要になり、またその精製が甚だしく困難なために実
用には供し得ない。従って本発明が目的とする難消化性
成分が75%以上、食物繊維が20%以上、カロリー値
1が2.6キロカロリー/g以下、カロリー値2が2キ
ロカロリー/g以下のデキストリンを得ることは不可能
である。
【0008】焙焼デキストリンの酵素加水分解について
は、B.Brimhall,Ind,Eng.Chem.,36,72(1944年)に酸を
添加しないで焙焼した所謂ブリティッシュ・ガムを、α
−アミラーゼで加水分解した場合に、分解限界がマルト
ースとして3.5%、即ちDEに換算すると約7.4で
あることが記載されている。
【0009】また米国特許第3,974,032号に分
岐度が7〜16%の塩酸添加焙焼デキストリンをα−ア
ミラーゼを用いて60〜85℃でDE9〜20に加水分
解することによって得た、重量平均分子量と数平均分子
量の比が20以下で、重合度200以上のオリゴ糖が2
0%以下の澱粉加水分解物が記載されているが、グルコ
アミラーゼによる加水分解も食物繊維についての記載も
ない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】近年日本においても生
活水準の向上に伴い、食生活も変化し欧米の水準に近付
いてきた。この結果として平均寿命が延長し、急速な高
齢化現象が起きたことから疾病構造が変化して成人病が
著しく増加したために、健康志向が飛躍的に増大してい
る。この中で生体調節機能を有する食品素材の例とし
て、食物繊維やオリゴ糖が便秘の改善を中心とした生体
調節機能を有するところから、食品や飼料の機能を高め
る素材として注目を集めている。
【0011】これらの食物繊維やオリゴ糖のような難消
化性の物質は、消化管内で種々の挙動を示し、生体に対
して生理効果を発現する。まず、上部消化管において、
水溶性の食物繊維は食物の移動速度の低下をもたらし、
栄養素の吸収遅延が起こる。例えば、糖の吸収遅延は血
糖値の上昇を抑制し、それに伴いインシュリン節約など
の効果を発現する。また、胆汁酸の排泄を促進すること
により、体内のステロールグループが減少し、血清中の
コレステロールが低下するなどの効果も現れる。その
他、体内の内分泌系を介しての生理効果も報告されてい
る。
【0012】また、これらの難消化性物質の特徴は、小
腸までの消化吸収を免れ、大腸へ達することである。大
腸へ達したオリゴ糖や食物繊維の一部は、腸内細菌によ
り資化されて短鎖脂肪酸、腸ガス、ビタミンなどを産生
する。短鎖脂肪酸による腸内環境の酸性化は、整腸作用
をもたらし、また吸収された短鎖脂肪酸は代謝されエネ
ルギーになると同時にコレステロール合成を阻害するこ
とも報告されている。このように難消化性物質は、単に
低エネルギーだけでなくその保有する生理効果の面から
も出現が切望されている。
【0013】トローウェルやバーキットによって唱えら
れた「食物繊維仮説」は、胆石症、虚血性心疾患、大腸
癌など、いわゆる非感染性疾患の発症と食物繊維摂取の
間には負の相関が存在することを疫学的に明らかにした
ものである。つまり、食物繊維摂取の不足は西欧型疾患
といわれる成人病を引き起こす一因となっているといわ
れる。この食物繊維は「ヒトの消化酵素で消化されない
食物中の難消化性成分の総体」と定義され、水に対する
溶解性により不溶性食物繊維と水溶性食物繊維とに分類
される。このなかでも水溶性食物繊維は強い生理機能を
有することにより、機能性食品及び飼料素材として注目
されている。
【0014】例えば強い粘性は糖の拡散を阻害し、糖吸
収に遅延を生じさせて血糖上昇抑制が起こり、その結果
としてインシュリンの節約効果をもたらすといわれ、ま
た水溶性食物繊維による胆汁酸の糞中への排泄の促進
は、血清中のコレステロール低下をもたらし、大腸に達
したのち腸内細菌により資化されて乳酸や酢酸を生成
し、これらの有機酸が大腸内のpHを下げ大腸癌を予防
するとまでいわれている。
【0015】これら水溶性食物繊維としてはグアーガ
ム、グルコマンナン、ペクチンなどの天然ガム類があげ
られるが、いずれも高粘性であり、単独で多量に摂取す
るには困難がある。また、加工食品へ添加するには食品
製造上に問題が生じテクスチャー面でも困難な点が多
い。これらと同様の生理機能を有し、しかも摂取が容易
で食品加工上も支障を生じない低粘性の食物繊維の開発
が長く待たれていた。
【0016】近年日本においては、経済環境の成熟に伴
う食品の加工技術や流通技術の向上により加工食品、調
理済食品、ファーストフードなどの利用が拡大してい
る。それに伴い食物を摂取する情報も多様化し、栄養素
充足型の食生活から食習慣に起因する栄養障害や成人病
予防を目的とする健康志向型の食品へと消費者ニーズが
変化しつつある。その中でも特に低カロリー食品へのニ
ーズは、中高年者や若い女性の間で強く、低カロリー甘
味料や高甘味剤用の増量剤(バルキング剤)の開発がな
されている。この中で低カロリー甘味料として各種の難
消化性のオリゴ糖や糖アルコールなどが挙げられるが、
甘味質や甘味度、オリゴ糖含量、発生する下痢など多く
の問題を含んでいる。
【0017】また、アスパルテームなどの高甘味料の増
量剤としては、ポリデキストロースが挙げられるに過ぎ
ないが、このポリデキストロースも摂取量に制限がある
ことや、酸性下での苦みと吸湿性などの問題も指摘され
ている。この様な状況の中、食品としての物性を充足
し、しかも安全な甘味剤などに用いることができる低カ
ロリー増量剤の出現が切望されている。
【0018】一方、澱粉を例にとれば、澱粉や澱粉の加
工品であるα−澱粉、焙焼デキストリン、誘導体、ぶど
う糖、粉あめやマルトデキストリンなどが、食品素材と
して各種の加工食品に大量に使用されている。しかし、
これら澱粉加工品の大部分は難消化性成分の含量が5%
以下で、食物繊維の含量が0.5%以下で、カロリー値
1、2ともに3.9キロカロリー/g以上ある。そのた
め澱粉系のなかでは食物繊維や低カロリー素材として期
待できるのはわずかに焙焼デキストリンに限られる。
【0019】従って本発明が解決しようとする課題は、
難消化性成分の含量が75%以上で、食物繊維の含量が
13%以上、カロリー値1が2.6キロカロリー/g以
下、カロリー値2が2キロカロリー/g以下、好ましく
はグルコース以外の成分中の難消化性成分の含量が90
%以上、食物繊維の含量が20%以上、カロリー値1が
1.8キロカロリー/g以下で、カロリー値2が1.2
キロカロリー/g以下で、着色物質や刺激臭が少ない新
規な難消化性デキストリンを得ることである。
【0020】
【課題を解決するための手段】以後本発明では単にデキ
ストリンと記載してあるのは、熱処理澱粉(焙焼デキス
トリン)を意味する。
【0021】本発明者らは、従来からデキストリンの製
造法や、加水分解法、デキストリンを原料とする難消化
性デキストリンの製造法などの研究を続けてきた。その
成果に基づき「難消化性デキストリンの製造法」などを
出願し、続いてこのデキストリンについてその生理作用
を研究し、整腸作用、高コレステロール血症の改善作
用、インシュリンの節約、高血圧降下作用、低カロリー
性などの食物繊維と同様の効果を有することを発見して
食品組成物として出願してきた。
【0022】さらにこのデキストリンの構造と難消化性
成分や食物繊維の含量、およびカロリー値との相関関係
について、研究の結果、デキストリンに含まれる難消化
性成分と食物繊維の量は、デキストリン中のグリコシド
結合の内、1→4グリコシド結合の量との間に反比例の
関係があること、さらにカロリー値は、焙焼デキストリ
ン中のグリコシド結合の内、1→4グリコシド結合の量
との間に比例的なの関係があることを見いだし、更に詳
細な研究を行うに至った。
【0023】多種多様の焙焼デキストリンについて研究
の結果、難消化性成分や食物繊維の含量とカロリー値は
1→4グリコシド結合等のグリコシド結合の量や平均分
子量と密接な関係があり、統計的な数値解析により相関
度が高い関係式が得られた。しかし従来技術によって得
られる市販の焙焼デキストリンでは、難消化性成分の含
量が5〜30%、食物繊維の含量が3〜12%と極めて
低く、またカロリー値1が3.3〜3.9キロカロリー
/g、カロリー値2が3.1〜3.85キロカロリー/
gと極めて高く、高温長時間の反応を行うことにより改
良を図っても、着色物質や刺激臭が発生して、実用化す
ることは到底不可能である。
【0024】そこで更に難消化部と食物繊維の含量を増
加させる研究を継続した結果、
【0025】1)焙焼デキストリンをα−アミラーゼお
よびグルコアミラーゼで加水分解した場合に生成したグ
ルコースなどの単糖類(グルコースが主成分であるの
で、本発明では以後グルコースと記載する)の大部分
は、イオン交換樹脂クロマトグラフィ−で分離除去でき
ること、
【0026】2)消化性のグルコースの1/2以上を分
離除去して得た難消化区分の難消化性成分の含量は75
%以上で、食物繊維の含量は13%以上であり、カロリ
ー値1、2ともに2キロカロリー/g以下、であるこ
と、
【0027】3)さらにグルコースの大部分を分離除去
した場合の難消化区分の難消化性成分の含量は90%以
上で、食物繊維の含量は20%以上であり、カロリー値
1は1.8キロカロリー/g以下、カロリー値2は1.
2キロカロリー/g以下であること、
【0028】4)さらにグルコースと共に、2糖類やオ
リゴ糖類を分離除去することにより、尚一層食物繊維の
含量を高めることができること、などの新知見を得て本
発明を完成するに至った。
【0029】従ってこの課題は本発明の原料である焙焼
デキストリンの具備すべき構造上の条件を決定すること
と、焙焼デキストリンをα−アミラーゼおよびグルコア
ミラーゼで加水分解後、イオン交換樹脂クロマトグラフ
ィー法によって消化性の区分を分離除去することによ
り、難消化性デキストリンを得ることで解決される。
【0030】
【発明の構成並びに作用】本明細書においては、試料
(特に本発明で使用するデキストリン)の各分析データ
は固形分換算した値であり、数平均分子量をMN、重量
平均分子量をMW、重量平均分子量と数平均分子量の比
はMW/MNと記載する。また1→4結合のみを有するグ
ルコース残基を1→4結合を有するグルコース残基と記
載する。1→6結合、1→3結合についても同様に記載
する。また食品例及び飼料例は含水物の数値で表し、こ
れらの食物繊維とカロリー値は、難消化性デキストリン
以外の成分については四訂日本食品標準成分表(198
2、科学技術庁資源調査会編)によって算出した。
【0031】本発明の難消化性デキストリンの原料とし
て使用される澱粉はコーンスターチであり、触媒として
酸を添加することが必須であり、酸としても各種のもの
があるが、食品用であることからして塩酸を使用するの
が特に好ましい。このようにして得られる製品として
は、食品用としての必要性からその難消化性成分と食物
繊維の含量は高いほど好ましいが、それぞれ75%以
上、13%以上で、カロリー値1は2.6キロカロリー
/g以下、カロリー値2は2キロカロリー/g以下であ
り、より好ましくはグルコース以外の区分の難消化性成
分の含量が90%以上、食物繊維の含量が20%以上で
カロリー値1は1.8キロカロリー/g以下、カロリー
値2は1.2キロカロリー/g以下のものに限定され
る。
【0032】尚、焙焼デキストリンの中で従来から食品
用や医薬用に多用されている白色デキストリンでは、難
消化部の含量が30%以下で、食物繊維の含量が3%以
下であり、カロリー値1、2ともに3.9キロカロリー
/g程度であるため食品用としての用途に使用すること
ができない。また難消化性成分の含量が30%以上、食
物繊維の含量が12%以上、カロリー値1、2ともに3
キロカロリー/g以下になると、刺激性の味が発現する
ので使用できない。
【0033】本発明の原料である焙焼デキストリンは、
塩酸の添加量は1%前後の濃度の水溶液を澱粉に対して
数%程度(3〜10%)である。加熱処理の前に酸水溶
液を添加するので、澱粉と酸を均一に混合するために、
ミキサー中で攪拌、熟成させてから従来の加酸焙焼デキ
ストリン(白色デキストリン、黄色デキストリン)の加
熱条件とは異なり、150〜200℃で10分〜120
分、好ましくは15分〜60分の加熱処理をして得るも
のである。反応時の温度は高い方が目的生成物中の難消
化性成分と食物繊維の含量が増加し、カロリー値が低下
するが、180℃付近から着色物質が増加するので、よ
り好ましくは150℃〜180℃である。
【0034】加熱装置を選択することによって高温短時
間の反応を行うことも可能であるので、均一な反応を行
うことができる装置を用いれば効率的に加熱処理するこ
とができる。また、粉末状態での反応であるから大規模
生産の場合は、加熱条件を変更する必要もあるので、加
熱処理後の製品の品質を検討した上で、適宜加熱条件を
変更することが望ましい。
【0035】次いで焙焼デキストリンを水に溶解して2
0〜45%の濃度にして、α−アミラーゼに続いてグル
コアミラーゼで加水分解する。α−アミラーゼとしては
市販品が使用できるが、ターマミル(Novo社製、Bacill
us licheniformisが産生する耐熱性α−アミラーゼ)が
最も好ましい。
【0036】焙焼デキストリンの溶液は焙焼時に添加し
た酸のために酸性になっているので、使用するアミラー
ゼの至適pHに調整する必要がある。一般のアルカリが
いずれも使用可能であるが、水酸化ナトリウムが溶液で
市販されていることから最も効果的に使用できる。pH
は5.5〜6.5が好ましく、この範囲より低い場合は
反応速度が低下し、高い場合は着色が顕著になる。pH
調整後にα−アミラーゼを添加するが、添加量は通常は
0.05〜0.2%程度である。
【0037】反応温度はマルトデキストリンの製造のよ
うに特に高温度である必要はなく、むしろ高温では着色
が促進されるので、80〜90℃が好ましい。反応時間
は通常1時間程度で十分である。
【0038】次にグルコアミラーゼで加水分解するが、
このグルコアミラーゼは市販品の何れもが効果的に使用
できる。また、一般のグルコアミラーゼには若干のα−
アミラーゼが混在しているのが通常であり、このためグ
ルコアミラーゼの単独使用でもα−アミラーゼとグルコ
アミラーゼの併用作用を発揮できるが、この混在量が少
ない場合には本発明の効果に比して若干低下する場合が
あり、最も好ましいのはα−アミラーゼとグルコアミラ
ーゼの併用である。グルコアミラーゼ作用時のpHは
4.0〜6.0が好ましい。グルコアミラーゼの添加量
も同様に0.05〜0.2%程度である。反応温度は5
5〜60℃程度であり、分解時間は通常24〜48時間
程度である。
【0039】尚アミラーゼの添加量は両アミラーゼとも
に前記の範囲に限定されるものではなく、アミラーゼの
力価に応じて同等の量を添加すればよい。また添加量を
増減することによって反応時間を自由に調整することも
できる。またα−アミラーゼで加水分解した後に加水分
解液を115〜135℃で加圧蒸煮処理をした後に再度
α−アミラーゼを作用させてから、グルコアミラーゼを
作用させることによって、精製時の濾過速度を高めるこ
ともできる。
【0040】グルコアミラーゼを作用させた後に、pH
を3.5前後に低下させ、次に液温を80℃前後まで上
昇し、以後は通常の活性炭脱色、瀘過、イオン交換樹脂
による脱塩、脱色を行う。次に50%程度の濃度まで濃
縮してから、連続イオン交換樹脂クロマトグラフィーに
よって、生成したグルコースを分離除去する。この場合
に市販の強酸性陽イオン交換樹脂が広く使用できる。
【0041】その好ましい具体例としては、アンバーラ
イトIR−116、同IR−118、同IR120−
B、同XT−1022E、同XT−471F(以上商品
名、オルガノ社製)、ダイヤイオン2K−1B、同SK
K−102、同SK−104、同SK−106、同SK
−110、同SK−112、同SK−116、同FR−
01(以上商品名、三菱化成社製)、XFS−4328
1.00、同43280.00、同43279.00、
同43278.00(以上商品名、ダウケミカル日本社
製)を例示することができる。
【0042】そしてこれらの樹脂は通常使用前にアルカ
リ金属型又はアルカリ土類金属型として用いることが好
ましい。難消化区分とグルコース区分の分離を良くする
ために、使用樹脂に応じてカラム通液時の流速を調整す
ることが好ましいが、流速はSV=0.1〜0.6、好
ましくはSV=0.2〜0.4である。この流速範囲外
では作業性や分離が悪くなる傾向がある。通液の時の温
度は20〜70℃、好ましくは50〜70℃である。こ
れより温度が低いと分離が悪くなり、液の粘度が上がっ
て樹脂に障害を与えることがある。また、これより高温
になると液が褐変したり、その他の品質が悪くなること
がある。
【0043】この分離処理によってグルコースの含量を
0.5%程度まで低下することができるが、分離の条件
を変更することによってグルコースの含量は任意に調整
できる。従ってグルコースを甘味源などに利用したい場
合は、グルコースの含量を高めた製品を得ることも可能
である。例えばグルコアミラーゼ処理後のグルコース含
量が50%の場合に、その1/2の25%を分離するこ
とによって全体のグルコース含量が約33%の製品を得
ることができる。
【0044】さらに分離処理時にグルコースと共に、オ
リゴ糖などの中程度の分子量の区分も分離することによ
って、食物繊維の含量を90%程度まで高めることもで
きる。
【0045】次に本発明の特徴をより明瞭にするために
実験データについて詳記する。
【0046】
【実験例】1.難消化性成分含量の測定方法 測定方法は下記の「難消化性成分の定量法」(澱粉科
学、第37巻、第2号、107頁、平成2年)の改良法
によって測定した。 試料1gを精秤し0.05Mリン酸緩衝液(pH6.
0)50mlを加え、ターマミル(ノボ社製のα−アミ
ラーゼ)0.1mlを添加し95℃で30分間反応させ
る。冷却後、pH4.5に再調整しアミログルコシダー
ゼ(シグマ社製)0.1mlを添加し、60℃で30分
間反応させ90℃まで昇温し反応を終了させる。終了液
を100mlにメスアップし、ピラノース・オキシダー
ゼ法によりグルコース量を求めて、次式により難消化性
成分の含量を算出した。 難消化性成分含量(%)=100−生成グルコース量
(%)×0.9
【0047】2.グリコシド結合形式の定量方法 測定方法は下記の「箱守のメチル化法」(S.Hakomori,
J.Biochem.,55,205(1964))でメチル化し、加水分解後
にガスクロマトグラフィにより各グリコシド結合形式の
組成の定量を行った。
【0048】1)メチル化 脱水した試料(100〜200μg)をネジ付試験管
(15ψ×100mm)に入れ、0.3mlのDMSO
を加えて溶解する。これにNaHを20mg加え、直ち
に0.1mlのヨウ化メチルを加える。タッチミキサー
で6分間攪拌後氷水中で冷却して水2mlを加える。2
mlのクロロホルムを加えて十分に振とうする。上層
(水層)をピペットで採り捨てる。2mlの水を加えて
同様に洗浄する。この操作を6回繰り返す。パスツール
ピペットの底に綿を敷いて、無水硫酸ナトリウムを4〜
5cmの層になるように詰めて、溶液を通過させて脱水
してからクロロホルムで洗う。次にロータリー・エバポ
レーターで濃縮・乾固する。
【0049】2)加水分解 メチル化物に0.5mlのトリフルオロ酢酸を加えて1
00℃で4時間加水分解し、ロータリー・エバポレータ
ーで60℃で濃縮・乾固する。
【0050】3)還元 加水分解物を0.5mlの水で溶解し、10mgのナト
リウム・ボロ・ハイドライドを加えて室温で2時間放置
する。酢酸を数滴、発泡が止まるまで加えて反応を停止
する。次に室温で乾燥してから、生成したホウ酸を除く
ために、1mlのメタノールを加え室温で乾燥する。こ
の操作を6回繰り返す。
【0051】4)アセチル化 還元物に0.5mlの無水酢酸を加えて、100℃で4
時間加熱してアセチル化して、1mlのトルエンを加え
てロータリー・エバポレーターで濃縮・乾固する。
【0052】5)脱塩 アセチル化物を1mlのクロロホルムに溶解し、1ml
の水を加えて振とう後に水層を捨てる。この操作を5回
繰り返し、最後にクロロホルムをロータリー・エバポレ
ーターで蒸発させる。
【0053】6)溶解 脱塩物を0.5mlのクロロホルムに溶解してガスクロ
マトグラフで分析する。
【0054】7)ガスクロマトグラフィーの条件 カラム DB-1 fused silica capillary co
lumn60mX0.255mmID,1.0μm film カラム温度 50゜Cで1分、280゜Cまで10゜C/分で
昇温、保持 試料気化室温度 300゜C 検出温度 300゜C 流速 2.5ml/分、ヘリウム 検出器ユニット 水素炎イオン化検出器
【0055】3.MNとMWの測定法 グルコースの定量に用いた溶液を混床式イオン交換樹脂
のカラムにSV1.0で通液して脱塩し、溶出液をロー
タリーエバポレーターを用いて5%濃度まで濃縮して試
料液とする。この試料20μlを下記の条件で液体クロ
マトグラフィーを行い測定する。
【0056】カラム Shodex Io
npak S−802・S−804・S−805・S−
806 溶離液 1ml/min.水 カラム圧力 40Kg/cm2 カラム温度 60℃ 検出器 RI データ処理装置 日立D−2000型GPCデータ
処理装置 標準試料 グルコース、プルラン(分子量既
知)
【0057】測定結果から下式を用いて平均分子量を求
めた。ΣHi数平均分子量(MN) =────────
×QFΣ(Hi÷Mi)
【0058】Σ(Hi×Mi)重量平均分子量(MW)
=────────×QFΣHi
【0059】Hi・・・ピーク高さ Mi・・・プルランの分子量 QF・・・Qファクター(Mark−Houwink係
数)
【0060】4.グルコースの定量方法 1gの試料を100mlのメスフラスコに精秤し、蒸留
水で溶解してメスアップする。この溶液についてピラノ
ースオキシダーゼ(協和メデック社製:デターミナーG
L−Eを使用)法により定量する。5.食物繊維含量の
定量方法
【0061】食物繊維の定量は、プロスキー法(No.98
5.29,Total Dietary Fiber in Foods,"Official Method
of Analysis",AOAC,15th ed.,1990,P.1105-1106)によ
り定量する。
【0062】6.カロリー値の測定方法−1 測定方法は下記の「水溶性の低カロリー糖質を使用した
厚生省告示による特定保健用食品の生理的燃焼熱の測
定」によって測定した。
【0063】(1)試薬その他 (a)ソモギ銅試薬 酒石酸カリウム・ナトリウム90g、リン酸三ナトリウ
ム(Na3PO4・12H2O)225gを蒸留水700
mlに溶解し、これに硫酸銅(CuSO4・5H2O)3
0g、ヨウ素酸カリウム(KIO3)3.5gを順次加
え溶解し、これを蒸留水で全量1000mlとする。
【0064】(b)ローリー試薬 A液:1%硫酸銅(CuSO4・5H2O)と2.2%酒
石酸カリウム・ナトリウムを1:1に混合した物。 B液:フェノール試薬1に対して蒸留水0.8の割合で
混合した物。
【0065】(c)糖アルコール測定キットF−キッ
ト:ベーリンガーマンハイム山之内製薬(株)製F−キ
ットD−ソルビトール/キシリトール
【0066】(d)ジャスターゼ溶液2%ジャスターゼ
(日本薬局方)溶液
【0067】(e)ヒドロキシルアミンピリジン溶液ヒ
ドロキシルアミン100mgをピリジン10mlに溶解
したもの。
【0068】(f)ガスクロマトグラフィーの条件FI
Dガスクロマトグラフ、5%SE30・クロモソルブ
W、内径3〜4mm、長さ2mのガラスカラムあるいは
ステンレスカラム、カラム温度185℃、キャリアーガ
ス80ml/min。
【0069】(2)総水溶性還元糖の測定 (a)試験溶液の調製 試料が少糖類のみを含む場合は、水又は80%エタノー
ルを用いて、また澱粉などの多糖類を含む場合は80%
エタノールで、少糖類を完全に抽出する。抽出液を減圧
下(60℃以下)で濃縮し、残渣を少量の50mMマレ
イン酸−Na緩衝液(pH6.0)に完全に溶かし、グ
ルコース約500mg%となるように調製する。
【0070】(b)操作 試験溶液1に対して、1N−塩酸2の割合で加え100
℃、20時間沸騰湯浴中で加熱する。冷却後1N−水酸
化ナトリウムで中和し(ブロムチモールブルー試験
紙)、得られた溶液について還元糖をソモギ法で、5、
6炭糖アルコールをガスクロマトグラフィーまたはF−
キットにより測定する。得られた糖質の和を総水溶性糖
類量(A)とする。
【0071】(c)ソモギ法 試験溶液7.5ml(還元糖として1〜10mg)にソ
モギ液2.5mlを加えて100℃、10分間加熱、冷
却後2.5%ヨウ化カリウム(KI)溶液2ml、2N
−硫酸3mlを加えてよく混合する。これを1/40N
−チオ硫酸ナトリウム(Na2SO3・5H2O)で滴定
する。標準糖類としてグルコースを用いる。得られた滴
定値から試験溶液の糖量を得る。
【0072】(d)糖アルコールの測定 ソルビトール、キシリトール量は、総水溶性糖量測定の
ために加水分解した試験溶液を適当に希釈し、F−キッ
トを用いて測定する。
【0073】ソルビトール、キシリトール以外の5、6
炭糖アルコールが含まれている場合は、ガスクロマトグ
ラフィー法により行う。総水溶性糖量測定のために加水
分解した試験溶液を減圧下、60℃以下で濃縮し、最終
濃度が80%以上となるようにエタノールを加え沸騰湯
浴中で30分間加熱抽出する。得られた抽出液を減圧
下、60℃以下で濃縮する。これに80%エタノールを
加えて一定量とする。この溶液5mlをとり、減圧下で
完全に溶媒を除去する。残留物をピリジン1mlに溶解
し、ヒドロキシルアミンピリジン溶液1mlを加え、5
分間放置後、溶媒を減圧下で除去する。残留物にベンゼ
ン1mlを加え、さらに減圧下で水分を完全に除去した
のち、ピリジン2mlを加えて残留物を溶解する。溶解
後ヘキサメチルジシラン0.2ml及びトリメチルシラ
ン0.1mlを加え、よくふり混ぜたのち、室温で15
分以上放置後ピリジンで一定量にし、ガスクロマトグラ
フィー法により絶対検量線法にて定量する。
【0074】(3)不溶性澱粉の測定 (a)澱粉を含んだ試料については、乾物として2.5
〜3.0mgに相当する試料を用いて総水溶性糖類の抽
出と同じ方法により得た80%エタノール抽出残渣を2
00mlの水に分散し、これを沸騰湯浴中に浸し絶えず
かき混ぜながら15分間加熱する。ついで55℃に冷却
しジャスターゼ溶液10mlを加え55℃、1時間放置
する。次に数分間沸騰させたのち、再び55℃に冷却
し、ジャスターゼ溶液10mlを加え、よくかき混ぜ1
時間放置する。この時反応液中の残留物がヨウ素澱粉反
応陽性を示す時はジャスターゼ溶液をもう一度加え、消
化を行う。ヨウ素澱粉反応が陰性となったジャスターゼ
処理溶液に蒸留水を加えて250mlとし、ろ紙でろ過
する。ろ液に2.5%となるように塩酸を加え、沸騰湯
浴中で2.5時間加熱する。冷却後10%水酸化ナトリ
ウム溶液で中和し、ろ液を適当に希釈してソモギ法によ
りグルコースを測定し、得られたグルコース量に0.9
を乗じて澱粉量とする。(A’)
【0075】(4)小腸における消化吸収糖の測定 (a)酵素消化糖類の測定 1)市販ラット小腸アセトン粉末溶液の調製 Sigma社製ラット小腸アセトン粉末に生理食塩水
(0.9%NaCl)を加えて懸濁液(100mg/m
l)とし、超音波処理(60秒、3回)後、遠心分離
(3000rpm、30分)し、上清を酵素液とする。
この酵素液の蛋白質量はローリー法により測定する。力
価がスクロース水解能で約0.1mg/mg蛋白質/時
間以上となるよう調製する。
【0076】2)ラット小腸アセトン粉末による消化試
験 試料として総水溶性糖類量の測定のため調製した80%
エタノール、あるいは水の抽出液を濃縮後、50mMマ
レイン酸−Na緩衝液(pH6.0)で希釈し、糖濃度
を1〜4%になるように調製する。この溶液1.0ml
と酵素溶液1.0mlを混合し、37℃1時間反応させ
る。反応後沸騰湯浴中で10分間加熱失活させ、遠心分
離後(3000rpm、30分)上清について、ソモギ
法で還元糖量を、F−キットあるいはガスクロマトグラ
フィーで糖アルコール量をそれぞれ測定し、この和を酵
素消化吸収性糖量とする。この時、試料にはじめから単
糖として存在した還元糖並びに糖アルコールも含めて測
定する。分解率は消化吸収性糖量を総水溶性糖量で除し
て100を乗じたものとする。対照試験として総水溶性
糖量と同量のスクロースあるいはマルトースについて同
様の操作をする。対照試験でスクロースを用いた時の分
解率は20%以上とする。ここで得られたスクロースあ
るいはマルトースに対する分解率と被検糖で得られた分
解率の比を小腸消化吸収比とし、これに総水溶性還元糖
量を乗じたものを総消化吸収性還元糖量(B)とし、総
糖アルコールを乗じて得た値を総消化吸収性糖アルコー
ル量(C)とする。
【0077】対照糖としてスクロースあるいはマルトー
スのいずれを用いるかの選択は以下の方法により行う。
ラット小腸アセトン粉末による消化試験と同じ条件で被
検糖の1/2量のマルトースを基質として消化試験を行
い、消化されて生成したグルコースが被検糖の消化試験
で生成した糖、糖アルコールの和の10倍以下の場合に
は対照糖としてマルトースを用いる。10倍より大きい
場合はスクロースを用いる。
【0078】3)蛋白質の定量 試料0.1ml(蛋白質として20〜100μg含有)
に1N−水酸化ナトリウム0.3mlを加え、15分以
上放置する。これにA液3.0mlを加え10分間室温
で放置する。次にB液0.3mlを加え、30分後75
0nmの吸光度を測定する。標準蛋白質として牛血清ア
ルブミンを用いる。
【0079】(5)生理的燃焼熱の算出式 生理的燃焼熱は、消化・吸収並びに発酵・吸収による有
効エネルギー量の和となる。従って生理的燃焼熱は、次
の式で求めることができる。 生理的燃焼熱(kcal/g)=(澱粉A’)×4+
(総消化吸収性還元糖量 (B))×4+(総消化吸収性糖アルコール量(C))
×2.8+((総水溶性糖類A)−(総消化吸収性還元
糖量(B)+総消化吸収性糖アルコール量(C))×
0.5(注)×1.9 (注)難消化性デキストリンが大腸において発酵を受け
る比率。
【0080】7.カロリー値の測定方法−2 試料の有効カロリー値を、上部消化管までの消化吸収に
より生じたカロリー値 と、大腸に到達したのち腸内醗酵により生じたカロリー
値の和によって求めた。試験1.小腸までの上部消化管
で消化吸収により生じるカロリー値の測定方法
【0081】試料を0.9mM・塩化カルシウムを含
む、45mM・(ビス)トリス緩衝液(pH6.0)に
溶解して4.55%溶液とし、これにヒト唾液α−アミ
ラーゼ(SIGMA Type IX−A)を160U
/g添加して、37℃で30分間反応させる。酵素を失
活後にイオン交換樹脂により脱塩して濃度を1.1%に
調整する。次に2mlの50mM・塩酸−塩化カリウム
緩衝液(pH2.0)に、この水溶液4mlを加え、3
7℃で100分間保持する。これをイオン交換樹脂によ
り脱塩する。 次にこの脱塩液に0.9mM・塩化カル
シウムを含む、45mM・(ビス)トリス緩衝液(pH
6.0)を加えて濃度が0.45%になるように調整
し、これにブタ膵臓アミラーゼ(ベーリンガー・マンハ
イム山之内(株)製)を400U/g作用させ、37℃
で6時間反応させる。酵素を失活後にイオン交換樹脂に
より脱塩し、濃縮後に凍結乾燥する。
【0082】このようにして得た粉末試料を45mM・
マレイン酸ナトリウム緩衝液(pH6.6)に溶解して
0.45%溶液とし、ラット小腸粘膜酵素(SIGMA
社製)を86U/g作用させ、37℃で3時間反応後
に、生成したグルコース量をピラノースオキシダーゼ法
により測定した。次に消化吸収により生じるカロリー値
は次式により算出する。
【0083】生成したグルコース量 (%)×4キロカ
ロリー/g カロリー値=───────────────────
─────100
【0084】試験2.腸内醗酵により生じるカロリー値
の確定方法
【0085】下記に示すラットを使った成長曲線法によ
り大腸に達した画分のカロリー値を求めた。
【0086】
【表1】
【0087】実験室環境および表1に示した基本飼料に
馴化させる目的で、5日間予備飼育したラットを体重と
健康状態を確認した上で群分け(10匹/区)した。全
実験群の平均初体重は79.6〜80.8gであり、各
群の体重幅は9〜16gであった。すべての試験成分と
基本飼料の保有カロリー値はボンブ・カロリーメーター
にて測定した。
【0088】
【表2】
【0089】群分け後、各ラットはスチールケージで個
別飼育し、表2に示す実験計画に従い給餌した。基本飼
料はすべてのラットが摂取し、5.4g/ラット/kg
(22.7キロカロリー/ラット/日)を給餌した。試
験群は基本飼料にさらにグルコース、あるいは上記試料
を0.5、1.0、2.0及び4.0g添加した。即
ち、カロリーとして約2、4、8 及び16キロカロリ
ー/ラット/日宛、添加した飼料を給餌した。摂餌量は
毎日測定し、体重増加は第0、5、10及び15日目に
測定した。尚、一般状態の観察は毎日実施した。この結
果を表3に示す。
【0090】
【表3】
【0091】表3の結果より動物試験によるカロリー値
は、
【0092】(0.013÷0.023×3.8+0.
009÷0.051×3.8)÷2=1.41キロカロ
リー/gとなる。
【0093】また、試料の上部消化管での消化吸収によ
り生じたカロリー値は試験1から
【0094】9.8×4キロカロリー/g ─────────────=0.39キロカロリー/
gとなる。100
【0095】従って腸内醗酵により生じたカロリー値
は、1.41−0.39=1.02キロカロリー/gで
ある。
【0096】このデータからデキストリンの腸内醗酵に
より生じるカロリー値は、 1.02÷0.912(大腸へ到達した比率)=1.1
キロカロリー/g=約1 キロカロリー/gとした。
【00997】従ってカロリー値の算出方法は試験1と
試験2の方法により、下式を用いて算出した。
【0098】生成したグルコース(%)×4 カロリー値(キロカロリー/g)=─────────
─────+100 (100−生成したグルコース(%))×1 ───────────────────100 3×生成したグルコース(%) =1+──────────────100
【0099】
【実験例1】市販のコーンスターチ15Kgに1%塩酸
溶液1125mlを噴霧し、さらにミキサーで均一に混
合後、アルミパットにいれ、乾燥機で120℃で1時間
予備乾燥し、次いで165℃で180分加熱処理した。
この加熱処理の途中で10分、15分、30分、60
分、120分、180分経過時に各2Kgの試料を採取
して計6点の試料を得た。 この試料についてグルコー
ス、各種のグリコシド結合の含量と難消化性成分と食物
繊維の含量、カロリー値1、カロリー値2及びMNとMW
を分析した結果、非還元性末端のグルコース残基、1→
4結合を有するグルコース残基、1→6結合を有するグ
ルコース残基、1→3結合を有するグルコース残基およ
び、同一グルコース残基内に1→4結合と1→6結合を
有するグルコース残基、1→3結合と1→4結合を有す
るグルコース残基および、1→2結合と1→4結合を有
するグルコース残基と、その他の結合を有するグルコー
ス残基が検出された。なおこの定量法ではグルコースが
非還元性末端のグルコース残基として定量されるので、
この数値からグルコースの数値を差し引いて非還元末端
のグルコース残基とした。これらの数値を表4に示す。
【0100】尚この定量法は複雑な方法であり、通常の
誤差は±5%程度であり、最低でも±2%はやむを得な
いものと考えられる。
【0101】
【表4】
【0102】表4において180分間加熱した試料につ
いては、長時間の加熱で澱粉の構成糖が破壊されたもの
と推定されるので、この試料を除いて検討すると、難消
化性成分と食物繊維の含量は加熱時間に比例的に増加
し、カロリー値は反比例的に減少しており、各種のグリ
コシド結合を有するグルコース残基の量は、1→6グリ
コシド結合、1→3グリコシド結合、同一グルコース残
基中に1→4および1→6と、1→2および1→4の2
つのグリコシド結合を有するもの、およびその他の結合
を有するものが加熱時間に比例して増加している。また
1→4結合のみが加熱時間に反比例して減少している。
またMNとMW/MNは加熱15分までは減少したもの
が、30分後以降は再び加熱時間に比例的に増加してい
る。これらの加熱時間と各種のグリコシド結合および平
均分子量の変化は、本実験により初めて得られた新知見
である。
【0103】
【実験例2】次に実験例1の6種類の試料の各1Kgに
対して、2Lの水を加えて溶解し、20%水酸化ナトリ
ウムでpH6.0に調整し、α−アミラーゼ(ターマミ
ル60L、ノボ社製)を0.2重量%添加して85℃で
1時間加水分解した。次にその液を温度55℃に冷却し
てからpH5.5に調整し、グルコアミラーゼ(大和化
成(株)製)を0.2重量%添加して36時間加水分解
した。ここでpH3.5に調整してグルコアミラーゼの
作用を停止した。この液を活性炭による脱色濾過、イオ
ン交換樹脂による脱塩などの精製を行った。この試料液
について実験例1と同様の分析を行った。この分析値を
表5に示す。またグルコアミラーゼを添加する前の液を
用いて求めたMN、MW及びMW/MNの値を表6に示す。
【0104】
【表5】
【0105】
【表6】
【0106】表5における最大の特徴は、
【0107】1)1→4グリコシド結合区分が顕著に減
少しているが、尚約16〜19%は分解されていないこ
とである。このことは、グルコアミラーゼにより殆ど完
全に分解される筈の1→4グリコシド結合の内、分解さ
れないものが16〜19%も存在していることであり、
【0108】2)1→4グリコシド結合以外の区分につ
いては顕著な分解が起きていないことであり、またカロ
リー値が殆ど増加していないことは、低カロリー区分が
α−アミラーゼと、グルコアミラーゼによって殆ど分解
されないことを示しており、
【0109】3)さらに1例として10分加熱の試料に
ついて、グルコースの1/2を除去したとすれば食物繊
維の含量は13.3%に相当する。
【0110】4)MW/MNは41.6〜220と従来技
術の20以下と比較して極端に大きな値である。
【0111】表6においてはグルコアミラーゼによる加
水分解前においても、MW/MNが約36〜約280と高
い値を有することを示す。これらの結果は本実験によっ
て初めて得られた新知見である。
【0112】
【実験例3】次に実験例2の6種類の試料液をそれぞれ
濃縮して50%溶液約1.5Lを得た。この溶液1Lを
アルカリ金属型にした強酸性陽イオン交換樹脂であるX
FS−43279.00(ダウケミカル日本社製)10
Lを充填したカラムに、液温60℃、SV=0.25で
通液し、次いで水を通水して難消化区分を採取(グルコ
ース区分を分離除去)した。この試料液について実験例
1と同様の分析を行った結果と、平均分子量の分析値な
どを表7に示す。但し表7では、数値をグルコース以外
の成分に対する値で表現した。尚グルコース以外の成分
の難消化性成分の含量(%)は測定した難消化性成分の
含量を、100からグルコース含量(%)を減じた数値
で除して100を乗じた値である。同様にグルコース以
外の成分の食物繊維の含量(%)は測定した食物繊維の
含量を、100からグルコース含量(%)を減じた数値
で除して100を乗じた値である。
【0113】また同様にグルコース以外の成分のカロリ
ー値は測定したカロリー値から、グルコース含量(%)
に4(グルコース1gのカロリー値)を乗じて100で
除した数値を減じた値である。また理論収率は100か
ら表5のグルコース量を減じた数値である。
【0114】
【表7】
【0115】表7において、難消化性成分の含量とカロ
リー値はいずれも同等であるが、食物繊維の含量は加熱
時間に比例的に増加しており、また理論収率は難消化性
成分、食物繊維、低カロリー成分の生成率に相当するも
のであり、MN、MWとMW/MNに比例的に増加している
ことと、MW/MNが25以上の場合に理論収率が約65
%以上に高まることが明らかになった。このことはイオ
ン交換樹脂によるグルコース区分を分離処理する前の、
加水分解物中の難消化性成分と食物繊維の含有率が高
く、カロリー値が低いことを示すものである。
【0116】(尚、グルコースを含めた全体の難消化性
成分の含量は表7の含量に、100からグルコース含量
(%)を減じた数値を乗じて100で除することで容易
に求められる。同様にグルコースを含めた全体の食物繊
維の含量は表7の含量に、100からグルコース含量
(%)を減じた数値を乗じて100で除することで求め
られる。またグルコースを含めた全体のカロリー値は表
7のカロリー値に、グルコース含量(%)に4を乗じて
100で除した数値を加えることで求められる。)そこ
でこの重要なMNと各グリコシド結合形式の関係を、変
数間の相関を求めることができる回帰分析によって解析
して相関式と相関係数を得た。回帰分析は構成糖が破壊
されたと考えられる180分加熱した試料を除いた5種
類の試料の、各グリコシド結合を有するグルコース残基
の量を説明変数とし、MNを目的変数として分析した。
得られた8種類の関係式と相関係数を表8に示す。
【0117】Y=A0+An・Xn 但しY ・・・グルコース以外の成分のMN X1・・・非還元性末端のグルコース残基の量(%) X2・・・1→4グリコシド結合を有するグルコース残基
の量(%) X3・・・1→6グリコシド結合を有するグルコース残基
の量(%) X4・・・1→3グリコシド結合を有するグルコース残基
の量(%)
【0118】X5・・・1→4と1→6グリコシド結合を
有するグルコース残基の量(%) X6・・・1→3と1→4グリコシド結合を有するグルコ
ース残基の量(%) X7・・・1→2と1→4グリコシド結合を有するグルコ
ース残基の量(%) X8・・・上記以外のグリコシド結合を有するグルコース
残基の量(%)
【0119】
【表8】
【0120】この結果、MNは8種類のグリコシド結合
の内でX2(1→4グリコシド結合を有するグルコース残
基の量)との相関が最も高い(表8のNo.2の相関係数が
0.997)関係式が得られた。この関係式(以後は式
1と記載する)から1→4グリコシド結合を有するグル
コース残基の量が少ないほど、MNが大となること、即
ち難消化性成分と食物繊維の含有率が高くカロリー値が
低いとの新知見を得たのである。
【0121】
【実験例4】市販のコーンスターチ300Kgに対して
3%塩酸を5.8L添加し、実験例1と同様の処理をし
てから、180℃で30分間加熱処理をしたほかは実験
例1と同様に処理し、続いて実験例2と実験例3と同様
に処理して試料液を得た。これを実験例3と同様に分析
を行った。
【0122】
【実験例5】市販のコーンスターチ300Kgに対して
2%塩酸を9L添加し、実験例1と同様の処理をしてか
ら、150℃で60分間加熱処理を行い、実験例4と同
様に処理して試料液を得た。これを実験例3と同様に分
析を行った。実験例4と実験例5の分析結果と、MNに
ついては式1による計算値との対比を併せて表9に示
す。
【0123】
【表9】
【0124】計算値の実測値からの変動幅は実験例4で
−4.1%、実験例5では+7.9%であった。
【0125】
【実験例6】次に実験例2の30分加熱した試料液を濃
縮して50%溶液約1.5Lを得た。この溶液100m
lをナトリウム型にして、プルランにより分子量補正を
行ったスチレン・ジビニル・ベンゼン共重合体であるI
onpack S−2006(昭和電工社製)160m
lを充填したカラムに、カラム温度を60℃に保持して
SV=0.25で通液し、次いで水を通水して4区分を
分取(グルコースとオリゴ糖の区分を分離)した。この
各試料液について食物繊維の含量を測定した結果を表1
0に示す。
【0126】
【表10】
【0127】表7においては、食物繊維の含量が37.
4%であったものが表10においては、最大90.3%
まで増加した結果を得た。
【0128】
【比較例1】市販の馬鈴薯澱粉300Kgに対して1%
塩酸を22.5L添加し、実験例1と同様の処理をして
から、165℃で1時間加熱処理を行い、実験例4と同
様に処理して、試料液を得た。これを実験例4と同様に
分析を行い、式1によりMNの計算値を求めた。
【0129】
【比較例2】市販のタピオカ・スターチ300Kgに対
して1%塩酸を22.5L添加し、実験例1と同様の処
理をしてから、165℃で1時間加熱処理を行い、実験
例4と同様に処理して、試料液を得た。これを実験例4
と同様に分析を行い、式1によりMN数の計算値を求め
た。比較例1と比較例2の結果を表11に示す。
【0130】
【表11】
【0131】表11においては、MNの計算値の実測値
からの変動幅は、比較例1では+23.7%であり比較
例2では+21.8%といずれの試料についても極端に
大きく、式1による1→4グリコシド結合の含量とMNの
間に相関性が認められないことが明かであり、これは同
一条件で加熱処理を行っても原料澱粉の種類が異なる
と、生成物の構造が大きく異なっていることを示してい
る。
【0132】
【実験例6−2】実験例1、4、5で得られた焙焼デキ
ストリンの試料合計8点について、着色の程度をケット
光電白度計で青フィルターを用いて、酸化マグネシウム
の白度を100%として、試料の白度を測定した。この
結果を表12に示す。
【0133】
【表12】
【0134】白度は加熱時間及び加熱温度に反比例的に
減少していることを示している。次に本発明の難消化性
デキストリンの生理作用を検討するために、後記する実
施例1、実施例3の試料を用いた。実験例7〜実験例1
1ではこの試料をそれぞれ試料A、Bと記載する。
【0135】
【実験例7】(臨床試験)健康な男子10名に試験期間
2週間、試料A10gの投与試験を行った。試験期間の
第1週ならびに第2週の食事内容と量は同一とし、月曜
から金曜までの朝食後にそれぞれ摂取させ、採便は排便
の都度実施し、糞便湿重量、糞便乾燥重量、糞便の含水
率、排便回数について記録測定を行った。その結果、難
消化性デキストリンは表13に示す様に糞便総量の増加
作用を有することが明らかとなった。
【0136】
【表13】
【0137】表中の数値は試験の平均値±標準誤差、*
は無摂取期間に対して危険率5%で有意差があることを
示す。
【0138】
【実験例8】(臨床試験) 試料Bの便秘改善効果につい検討した。便秘傾向にある
ボランティア25名について定量を5日以上投与し、ア
ンケート調査により投与前と投与後の排便の変化を調査
した。アンケートの調査項目について下記の基準により
スコア処理を行い、投与前と投与後についての統計処理
により効果の確認を行った。
【0139】(1)排便回数 1回以上/1日・・・4点 1回/1日・・・・・3点 1回/2日・・・・・2点 1回/3日・・・・・1点
【0140】(2)排便量 多い・・・・・4点 普通・・・・・3点 少ない・・・・2点 なし・・・・・1点
【0】
【0141】(3)便の性状 ばなな状、半練り状・・2点 カチカチ状・・・・・・1点
【0142】(4)排便後の感覚 スッキリ感あり・・・2点 残便感あり・・・・・1点
【0143】この結果を表14に示す。表において*印
は投与前に対して危険率5%で有意差があることを示
す。
【0144】
【表14】
【0145】表14から難消化性デキストリン5g以上
の投与で便秘を改善することが明らかになった。
【0146】
【実験例9】(動物実験)初体重約50gのSprag
ue−Dawley系雄性ラット(6匹/区)を23±
2℃にコントロールされた小動物飼育室に設置した個別
ゲージに収容し、半合成飼料で1週間予備飼育した後、
表15に示す基本飼料、基本飼料に試料Aを5%添加し
たもの、基本飼料にセルロース(アビセル、山陽国策パ
ルプ社製)5%を添加したものでそれぞれ7日間飼育し
た。水および飼料は自由に摂取させ、飼料摂取量と体重
変化を毎日記録した。7日目に脱血屠殺後、盲腸を摘出
し、その重量と盲腸内容物のpHならびに酪酸量を測定
した。その結果を表16に示す。尚、表16中で*印は
危険率5%で有意差があることを示す。
【0147】
【表15】
【0148】
【表16】
【0149】表16から難消化性デキストリンは難消化
のまま大腸に到達し、腸内細菌のはたらきにより有機酸
に代謝され、腸内のpHを低下させることが確認され
た。
【0150】
【実験例10】(動物実験)ラットを用いた栄養実験に
おいて試料A、Bの血清脂質改善作用を検討した。初体
重約50gのSprague−Dawley系雄性ラッ
ト(生後3週齢、日本クレア(株))を表15に示す高
ショ糖食(基本飼料)で2週間予備飼育後、3群(16
匹/区)に分け、第1群には(対照群)には基本飼料
を、第2群(試料A群)および第3群(試料B群)に
は、基本飼料95部に試料Aまたは試料Bをそれぞれ5
部添加した試験飼料を給餌し、9週間飼育した。飼料お
よび飲料水は自由に摂取させ、9週目に4時間絶食後採
血し、血清総コレステロール値および中性脂肪値を酵素
法キット(和光純薬社製)で測定した。実験結果を表1
7に示す。尚、表17中で*印は危険率5%で有意差が
あることを示す。
【0151】
【表17】
【0152】結果はすべて各試験群について平均値±標
準誤差で表した。また、飼料効率は式2により算出し
た。
【0153】
【数2】
【0154】表17に示すように、3群間で増体重およ
び飼料効率には差異はなかった。一方、試料Aおよび試
料Bを配合した飼料で飼育したラットの血清総コレステ
ロール値ならびに中性脂肪値は、それぞれ対照群に比し
て明らかな低値であった。即ち、試料Aと試料Bはいず
れも効果が証明され、試料Aの方が試料Bよりもやや優
れていることが明かとなった。
【0155】
【実験例11】(臨床試験)10gの試料Aを100m
lの水に溶解し、1日3回、毎食前に経口投与した。投
与期間は2カ月とし、試験期間中食習慣を変更せず、通
常の日常活動を行わせた。被験者10例の年齢は33〜
59歳(平均50.3歳)、身長は158〜173cm
(平均164.8cm)、体重は52〜82Kg(平均
68.8Kg)であった。結果を図1、図2に示す。
【0156】図1、図2にみられる如く、血清総コレス
テロール値は試料A投与後、正常値(120〜250m
g/dl)に向けて変化した。即ち、投与前に正常値よ
り高値の者では低下し、正常値以下の低値の者では正常
域に入った。同様の結果が中性脂肪値についても観察さ
れた。以上の結果から、試料Aは著明な血清脂質代謝改
善作用を有することが証明された。
【0157】
【実験データの解析結果の要約】前記の実験データの解
析結果を要約すると、本発明による焙焼デキストリンを
α−アミラーゼおよび、グルコアミラーゼにより分解し
て得た生成物は、従来公知の焙焼デキストリンとは次の
点で大きく異なっている。即ち、グルコース以外の成分
については、
【0158】1)難消化性成分の含量が最大98.3%
であり、食物繊維の含量が最大45.1%であり、さら
にオリゴ糖区分も除去した場合は、食物繊維の含量が最
大90.3%に達し、カロリー値1が最小1.66キロ
カロリー/gであり、カロリー値2が最小1.05キロ
カロリー/gであり、
【0159】2)MNが従来の焙焼デキストリンの13
00以上に対して約990〜1300で、MW/MNが2
5以上の場合に理論収率が約65%以上であり、また難
消化性成分と食物繊維の含量がMW/MNの値に比例的に
増加し、カロリー値が反比例的に減少しており、
【0160】3)1→4グリコシド結合を有するグルコ
ース残基の含量が公知の焙焼デキストリンの約57%以
上に対して約25〜30%であり、
【0161】4)1→6グリコシド結合を有するグルコ
ース残基の含量が公知の焙焼デキストリンの約3%以下
に対して約11%〜14%であり、
【0162】5)1→3グリコシド結合を有するグルコ
ース残基の含量が公知の焙焼デキストリンの約1%以下
に対して、約8〜11%であり、
【0163】6)その他のグリコシド結合を有するグル
コース残基の含量が公知の焙焼デキストリンの20%程
度に対して、約9〜14%であり、
【0164】7)さらに式1に表されるように、1→4
グリコシド結合を有するグルコース残基の含量と、グル
コース以外の成分のMNが密接な相関関係を有してい
る。このことはとりもなおさず、1→4グリコシド結合
を有するグルコース残基の含量と、難消化性成分と食物
繊維の生成率とが密接な相関関係を有していることを示
すものである。
【0165】8)コーンスターチ以外の澱粉として、馬
鈴薯澱粉とタピオカスターチを、コーンスターチと同条
件で処理し、得られた生成物の1→4グルコシド結合を
有するグルコース残基の含量を、式1に代入して計算し
て得たMNは、実測値とは約22%以上の大きな差異が
あり、この関係式はコーンスターチのみに特定して適用
される関係式であることが明らかである。
【0166】9)難消化性成分の含量が増加すると、食
物繊維の含量が増加してカロリー値が低下する。
【0167】10)また難消化性デキストリンの摂取に
より腸内pHの低下、整腸作用を有する短鎖脂肪酸量を
増加させるなど腸内環境を改善し、便秘、下痢を解消す
る効果を有することが明らかになった。
【0168】11)さらに血清脂質の内コレステロール
と中性脂肪を低下させる作用を有することが明らかにな
り、この結果は動脈硬化および高血圧の予防作用を有す
ることを示している。
【0169】12)上記の生理効果を有することから、
本発明の難消化性デキストリンは上記の目的を達成する
ための食事療法の素材としてきわめて有用である。
【0170】以上の実験結果から本発明の生成物は、従
来の焙焼デキストリンに比較すると、難消化性成分と食
物繊維の含量がきわめて高く、カロリー値が低いことと
共に、その構造が大きく異なった新規な物質であること
が明かとなった。
【0171】また実験データから加熱時間に反比例的に
白度が低下していることが明らかになったが、白度が低
下することは加熱処理によって着色物質が増加したこと
を示している。多量の着色物質が生成すると、分離処理
前の精製が困難になり、そのため分離処理用のイオン交
換樹脂の効率が低下するので、白度として30%以上で
あることが必要であり、より好ましくは40%以上であ
る。従って加熱条件は表12から明らかなように、加熱
温度が150℃の場合には60分以下、165℃の場合
は約45分以下、180℃の場合は30分以下が好まし
い。
【0172】さらに反応の進行は添加する酸の量を増減
することで、調整することが可能であるが、酸の量を極
端に増加することは、装置の腐食や摩耗を招くので、原
料澱粉に対して3000ppm以下、より好ましくは1
000ppm前後が至適条件である。
【0173】
【実施例】次に本発明の実施例を記す。
【0174】
【実施例1】市販のコーンスターチ2500Kgをリボ
ン式ミキサーに入れ、ミキサーを回転しながら1%塩酸
溶液188Lを加圧空気を用いてスプレーし、続いて解
砕機を通して均一化した後、さらにリボン・ミキサー中
で8時間熟成した。この混合物をフラッシュ・ドライヤ
ーで水分約4%に予備乾燥した後、ロータリー・キルン
式焙焼機に連続投入し、165℃で40分間焙焼して焙
焼デキストリンを得た。
【0175】この焙焼デキストリン2000Kgに40
00Lの水を加えて溶解し、20%水酸化ナトリウム水
溶液でpH6.0に調整し、α−アミラーゼ(ターマミ
ル60L、ノボ社製)を0.1重量%を添加して90℃
で1時間加水分解した。次にその液を125℃で10分
間加圧蒸煮してから大気圧中に排出し、温度57℃に冷
却して、pH5.5に調整し、グルコアミラーゼ(大和
化成(株)製)を0.1重量%添加して40時間加水分解
した。ここでpH3.6に調整してグルコアミラーゼの
作用を停止した。この分解液を活性炭による脱色瀘過、
イオン交換樹脂による脱塩を行った後に濃縮して50%
溶液を得た。この溶液20Lをナトリウム型にした強酸
性陽イオン交換樹脂であるXFS−43279.00
(ダウケミカル日本社製)10Lを充填した連続クロマ
トグラフ装置のカラムに60℃、SV=0.25で通液
し、次いで水を通水してグルコース区分を分離除去した
難消化区分を得た。この液を濃縮してスプレードライし
て水分4.4%濃度の難消化性デキストリン約5Kgを
得た。
【0176】
【実施例2】市販のコーンスターチ2500Kgをリボ
ン式ミキサーに入れ、ミキサーを回転しながら2%塩酸
溶液125Lを加圧空気を用いてスプレーし、続いて解
砕機を通して均一化した後、さらにリボン・ミキサー中
で10時間熟成した。この混合物をフラッシュ・ドライ
ヤーで水分約3%に予備乾燥した後、ロータリー・キル
ン式焙焼機に連続投入し、150℃で55分間焙焼して
焙焼デキストリンを得た。
【0177】この焙焼デキストリン2000Kgに30
00Lの水を加えて溶解し、20%水酸化ナトリウム水
溶液でpH6.0に調整し、α−アミラーゼ(ターマミ
ル60L、ノボ社製)を0.2重量%を添加して85℃
で40分間加水分解した。続いて130℃で10分間加
圧蒸煮し、大気圧中に排出してから86℃に冷却し、同
α−アミラーゼを0.05%添加して20分間加水分解
した。この液を温度55℃に冷却して、pH5.5に調
整し、グルコアミラーゼ(大和化成(株)製)を0.2重
量%添加して36時間加水分解した。ここでpH3.5
に調整してグルコアミラーゼの作用を停止した。分解液
を実施例1と同様に精製し、次に強酸性イオン交換樹脂
としてカリウム型にしたアンバーライトIR−118
(オルガノ社製)を使用した以外は、実施例1と同様に
処理して難消化区分を得た。これを濃度50%に濃縮し
てからスプレードライして水分4.2%の難消化性デキ
ストリン約4.5Kgを得た。
【0178】
【実施例3】市販のコーンスターチ2500Kgをリボ
ン式ミキサーに入れ、ミキサーを回転しながら3%塩酸
溶液100Lを加圧空気を用いてスプレーし、続いて解
砕機を通して均一化した後、さらにリボン・ミキサー中
で10時間熟成した。この混合物をフラッシュ・ドライ
ヤーで水分約3%に予備乾燥した後、ロータリー・キル
ン式焙焼機に連続投入し、180℃で25分間焙焼して
焙焼デキストリンを得た。
【0179】この焙焼デキストリン2000Kgに50
00Lの水を加えて溶解し、20%水酸化ナトリウムで
pH5.8に調整し、α−アミラーゼ(ターマミル60
L、ノボ社製)を0.15重量%を添加して86℃で1
時間加水分解した。次にこの液を温度55℃に冷却し
て、pH5.6に調整し、グルコアミラーゼ(大和化成
(株)製)を0.1重量%添加して36時間加水分解し
た。次にpH3.5に調整してグルコアミラーゼの作用
を停止した。以後は実施例2と同様に処理して水分4.
8%の難消化性デキストリン約4Kgを得た。
【0180】
【実施例4】市販のコーンスターチ2500Kgをリボ
ン式ミキサーに入れ、ミキサーを回転しながら0.5%
塩酸溶液376Lを加圧空気を用いてスプレーし、続い
て解砕機を通して均一化した後、さらにリボン・ミキサ
ー中で8時間熟成した。この混合物をフラッシュ・ドラ
イヤーで水分約4%に予備乾燥した後、ロータリー・キ
ルン式焙焼機に連続投入し、165℃で15分間焙焼し
て焙焼デキストリンを得た。
【0181】この焙焼デキストリン2000Kgに40
00Lの水を加えて溶解し、20%水酸化ナトリウムで
pH6.0に調整し、α−アミラーゼ(ターマミル60
L、ノボ社製)を0.1重量%を添加して82℃で1時
間加水分解した。次にその液を125℃で10分間加圧
蒸煮してから大気圧中に排出し、温度57℃に冷却し
て、pH5.5に調整し、グルコアミラーゼ(大和化成
(株)製)を0.1重量%添加して36時間加水分解し
た。ここでpH3.6に調整してグルコアミラーゼの作
用を停止した。この分解液を実施例1と同様に精製した
後に濃縮して52%溶液を得た。この溶液20Lをナト
リウム型にした強酸性陽イオン交換樹脂であるダイヤイ
オンSKK−116(三菱化成社製)10Lを充填した
連続クロマトグラフ装置のカラムに60℃、SV=0.
3で通液し、次いで水を通水して生成したグルコースの
52%を分離除去した難消化区分を得た。この液を濃縮
して濃度70%の液状難消化性デキストリン約8Kgを
得た。
【0182】実施例1〜実施例4について、分離処理前
のグルコース量と分離処理後に得られた難消化性デキス
トリンについて、同様にグルコース量、グルコースの除
去率、「箱守のメチル化法」による各種のグリコシド結
合の含量、全体の難消化性成分の含量、グルコース以外
の成分中の難消化性成分の含量、グルコース以外の成分
のMNの実測値と式1による計算値、計算値の実測値から
の変動幅、MW/MNおよび焙焼デキストリンの白度を一
括して表18に示す。但し見かけのグルコースの除去率
は各実施例についてそれぞれ97.5%、87.8%、
79.3%、51.1%である。
【0183】
【表18】
【0184】計算値の実測値からの変動幅は+8.3%
から−6.1%の間であった。また本発明の難消化性デ
キストリンは殆ど全ての食品に使用することができる。
この食品とは、ヒトの食品、動物園及び家畜飼料、ペッ
トフードなどを総称するものである。澱粉を原料とした
水溶性の難消化性デキストリンであって食物繊維を含有
し、低カロリー増量剤としても食品に使用できることか
ら、用途としては従来デキストリンやマルトデキストリ
ンが使用できる食品の全てが包含される。即ち、コーヒ
ー、紅茶、コーラ、ジュース等の液体及び粉末の飲料
類、パン、クッキー、ビスケット、ケーキ、ピザ、パイ
等のベーカリー類、ウドン、ラーメン、ソバ等の麺類、
スパゲッテイ、マカロニ、フェットチーネ等のパスタ
類、キャンデー、チョコレート、チューインガム等の菓
子類、ドーナッツ、ポテトチップス等の油菓子類、アイ
スクリーム、シェーク、シャーベット等の冷菓類、クリ
ーム、チーズ、粉乳、練乳、クリーミイパウダー、コー
ヒーホワイトナー、乳飲料等の乳製品、プリン、ヨーグ
ルト、ドリンクヨーグルト、ゼリー、ムース、ババロア
等のチルドデザート類、各種スープ、シチュー、グラタ
ン、カレー等のレトルトパウチないし缶詰類、各種味
噌、醤油、ソース、ケチャップ、マヨネーズ、ドレッシ
ング、ブイヨン、各種ルー等の調味料類、ハム、ソーセ
ージ、ハンバーグ、ミートボール、コーンビーフ等の肉
加工品及びそれらの冷凍食品、ピラフ、コロッケ、オム
レツ、ドリア等の冷凍加工食品、クラブスチック、カマ
ボコ等の水産加工品、乾燥マッシュポテト、ジャム、マ
ーマレード、ピーナッツバター、ピーナッ等の農産加工
品、その他佃煮、餅、米菓、スナック食品、ファースト
フード等、さらにワイン、カクテル、フィズ、リキュー
ル等の酒類にも効果的に使用できる。
【0185】但しW/O型の乳化食品、例えばマーガリ
ンに使用した場合は保存中に分離が起こり易いため使用
することが困難である。
【0186】また本発明の食品に添加できる低カロリー
増量剤の量は、食品の品位を損なわない限りは量的な制
限はない。しかし健常成人が本発明の食品によって低カ
ロリー増量剤を2g/Kg体重摂取すると、半数のヒト
に下痢発症が見られるところから、この半量の1g/K
g体重程度までの摂取が好ましい。しかし生理作用への
影響は個人差があることから、低カロリー食品摂取の効
果を見ながら適宜増減するのが最も好ましい。
【0187】食品に対する難消化性デキストリンの使用
特性をみるために、実施例1の製品を中心にして次の特
性データを得る実験を行った。
【0188】
【実験例12】甘味度官能検査によってショ糖の甘味度
を100としたときの、難消化性デキストリンの甘味度
の比較値を他の糖類や、DE25のマルトデキストリン
の値とともに表19に示す。
【0189】
【表19】
【0190】難消化性デキストリンの甘味度は約10で
あり、僅かに甘味を感じる程度である。
【0191】
【実験例13】粘度 難消化性デキストリンの30%溶液について温度10〜
80℃における粘度をB型粘度計を用いて測定した結果
をショ糖、アラビアガム、マルトデキストリンの数値と
ともに図3に示す。
【0192】但し図3中の各記号は夫々以下のものを示
す。 A:実施例1の難消化性デキストリン B:ショ糖 C:マルトデキストリン D:アラビアガム
【0193】粘度はマルトデキストリンと同等であり、
食品に添加しても粘度を極端に増加することなく使用で
きることを示している。
【0194】
【実験例14】アミノ酸と共存下に於ける加熱による着
色 難消化性デキストリンの10%水溶液に1%(対固形
分)のグリシンを添加して、pH4.5と6.5で10
0℃で150分間加熱したときの着色度の増加をそれぞ
れ図4、図5に示す。但し図4はpH4.5の、図5はpH
6.5の場合を示す。また記号は図3と同じ。
【0195】着色度の増加はグルコースやマルトデキス
トリンと大差がなく、ほぼ同様に使用できることを示し
ている。
【0196】
【実験例15】凍結解凍 難消化性デキストリンの30%水溶液について、凍結解
凍を5回繰り返した場合の濁度をマルトデキストリンの
数値とともに図6に示す。但し図6中の記号も図3と同
じ。
【0197】濁度の増加はマルトデキストリンよりもは
るかに低く、凍結食品への使用適性が優れていることを
示している。
【0198】
【実験例16】氷点降下 難消化性デキストリンの5〜30%水溶液の氷点降下度
をショ糖、マルトデキストリンの数値とともに図5に示
す。但し図7中の記号も図3と同じ。
【0199】氷点降下度は砂糖とマルトデキストリンの
中間程度であり、氷菓などへの使用適性を示している。
【0200】
【実験例17】吸湿性 難消化性デキストリンを乾燥して無水状態にしてから、
20℃で相対湿度が81%、52%および32%の恒湿
容器に200時間靜置した場合の吸湿性を図8に示し
た。但し図8中(1)はRH81%、(2)及び(3)は
夫々RH52%、RH32%の場合を示す。長時間の保存で
も水分が18%を越えることがなく、粉末食品に対する
使用適性を示している。
【0201】
【実験例18】ミクソグラフ 難消化性デキストリンを小麦粉使用食品に使用する場合
の挙動を検討するために、表20の配合でミクソグラフ
処理した結果を図9、図10、図11に示す。但し図9
は対照区、図10は砂糖区、図11は実施例1の難消化
性デキストリン区(食物繊維を含有する低カロリー区)
を示す。
【0202】
【表20】
【0203】ショ糖に置き換えて難消化性デキストリン
を使用した場合は、粘弾性のでかたが1.5分間遅れる
ので、生地のミキシング時間を長くするか、熟成時間を
伸ばすこと、またはミキシングの途中で添加することが
必要なことが認められた。
【0204】
【食品例】次に本発明の食品例を記すが、使用した難消
化性デキストリンは試作した実施例の番号で表記し、配
合および食物繊維の量はグラム単位で表記した。
【0205】
【実施例5】(食品例1) 表21の配合で紅茶を試作した。
【0206】
【表21】
【0207】
【実施例6】(食品例2) 表22の配合でコーラを試作した。
【0208】
【表22】
【0209】
【実施例7】(食品例3) 表23の配合で水に粉末原料を混合溶解後に濃縮果汁、
香料を加えてホモミキサーで均質化してオレンジジュー
ス(30%)を試作した。
【0210】
【表23】
【0211】
【実施例8】(食品例4) 表24の配合で水に全原料を混合し、加熱殺菌してスポ
ーツ飲料を試作した。
【0212】
【表24】
【0213】
【実施例9】(食品例5) 表25の配合で全原料を水に混合して80℃まで昇温し
て溶解し、ホモジナイザーで乳脂肪を均質化した後翌日
まで5℃でエージングする。次にフリージング後に−4
0℃まで急冷した後よくミキシングしてミルクシェーク
を試作した。
【0214】
【表25】
【0215】
【実施例10】(食品例6) 表26の配合で全原料を混合し、70℃まで加熱してホ
モミキサーで攪拌後にホモジナイザーで均質化する。冷
蔵庫で1日エージングする。フリージング後に−40℃
に急冷してアイスクリームを試作した。
【0216】
【表26】
【0217】
【実施例11】(食品例7) 表27の配合であらかじめ脱脂乳を発酵させて破砕した
ものを、他の原料と混合溶解し、ホモジナイザーで均質
化してドリンクヨーグルトを試作した。
【0218】
【表27】
【0219】
【実施例12】(食品例8) 表28の配合で脱脂乳に硬化剤を添加後、スターターを
3%接種して酸度が0.7%になったところで冷蔵す
る。他の原料を攪拌混合し再冷蔵してハードヨーグルト
を試作した。
【0220】
【表28】
【0221】
【実施例13】(食品例9) 表29の配合で乾物に対して66.6%の湯に水溶性原
料を溶解し、油に乳化剤を溶解して両者を60℃で乳
化、均質化後にスプレードライしてコーヒーホワイトナ
ーの粉末を試作した。
【0222】
【表29】
【0223】
【実施例14】(食品例10) 表30の配合で香料以外の原料を水に溶解し、Bx80
゜まで濃縮してからエバポレーターで煮つめた。40℃
に冷却後香料を添加混合し、成型してキャンデーを試作
した。
【0224】
【表30】
【0225】
【実施例15】(食品例11) 表31の配合で糖質と香料以外の原料を鍋にとり、加熱
溶融してよく混合した。50℃に冷却して糖質を添加混
合して、40℃で香料を添加して成型後放冷してチュー
インガムを試作した。
【0226】
【表31】
【0227】
【実施例16】(食品例12) 表32の配合で全原料を40℃でよく混合し、さらにら
いかい機で長時間練り上げて粒子を微細にする。成型後
冷却してスイートチョコレートを試作した。
【0228】
【表32】
【0229】
【実施例17】(食品例13) 表33の配合で小量の水に小麦粉、化工澱粉、卵黄
(粉)を混合したものに、残りの水を80℃にして他の
原料を溶解したものを、泡立て器を使用しながら添加し
て強火で煮てカスタードクリームを試作した。
【0230】
【表33】
【0231】
【実施例18】(食品例14) 表34の配合で水25gにゼラチンを溶解し、残りの水
にアスパルテーム以外の全原料を溶解する。40℃に冷
却後全部を混合して冷蔵し、オレンジゼリーを試作し
た。
【0232】
【表34】
【0233】
【実施例19】(食品例15) 表35の配合でペクチン以外の原料を混合し、ミキサー
で軽く粉砕後に弱火で加熱して水分の20%が蒸発した
ところでペクチンを加え、冷却してイチゴジャムを試作
した。
【0234】
【表35】
【0235】
【実施例20】(食品例16) 表36の配合で皮を剥いたリンゴにグラニュー糖と水と
難消化性デキストリンを加え、中火で煮てリンゴが半透
明になったところでレモン汁を加え、続けて中火で焦が
さずに煮つめる。リンゴが軟らかくなれば裏ごしして更
にBx70゜まで煮つめてリンゴジャムを試作した。
【0236】
【表36】
【0237】
【実施例21】(食品例17) 表37の配合で水30gに全量の難消化性デキストリン
とステビオサイドを加え、シロップを作って加熱して沸
騰したときに生あんを加える。全重量が100gになる
まで煮つめて並あんを試作した。
【0238】
【表37】
【0239】
【実施例22】(食品例18) 表38の配合で水で膨潤させたかんてんに水23.6g
と難消化性デキストリンとステビオサイドを加え、加熱
沸騰して溶解させてうらごしをした後、再沸騰させて生
あんを添加し、全量が100gになるまで煮つめて成
型、冷却してして練りようかんを試作した。
【0240】
【表38】
【0241】
【実施例23】(食品例19) 表39の配合でBx50゜の難消化性デキストリンの溶
液にシリアルを浸漬し、40℃で1夜乾燥させてシリア
ルを試作した。この試作品は、対照品に較べてテリが増
し、保水性も2.7%から7.0%に増加した。
【0242】
【表39】
【0243】
【実施例24】(食品例20) 表40の配合で難消化性デキストリンを小麦粉に均一に
練り込み、水を小量宛加えながら練り込んでスパゲッテ
イーを試作した。
【0244】
【表40】
【0245】
【実施例25】(食品例21) 表41の配合で生地をよく練り上げた後に発酵させてか
ら焼き上げて食パンを試作した。
【0246】
【表41】
【0247】
【実施例26】(食品例22) 表42の配合で小麦粉に牛乳、卵をいれ練り上げながら
他の原料を添加し、生地が均一になるまで練り上げてか
ら型を抜いて160〜180℃の油で裏がえしながら揚
げ、油を切ってアメリカンドーナッツを試作した。
【0248】
【表42】
【0249】
【実施例27】(食品例23) 表43の配合で卵白を水に泡状になるまで十分に練り込
み、難消化性デキストリン、微粒子化セルロース、強力
粉の順に均一になるように練り込む。卵白の熱変性が起
きないように凍結乾燥させて小麦粉代替品を試作した。
【0250】
【表43】
【0251】
【実施例28】(食品例24) 実施例30の小麦粉代替品を利用して、表44の配合で
全原料を練り込み、弾力がでたところで平面に延ばして
型を抜き、190℃で10分間焼き上げてバタークッキ
ーを試作した。
【0252】
【表44】
【0253】
【実施例29】(食品例25) 実施例30の小麦粉代替品を利用して、表45の配合で
溶かしたショートニングに全原料を水と混合し、泡立器
で攪拌溶解させて均一の生地に仕上げる。180℃で5
0分間焼き上げてパウンドケーキを試作した。
【0254】
【表45】
【0255】
【実施例30】(食品例26) 実施例30の小麦粉代替品を利用して、表46の配合で
全原料を水に混ぜて泡立器で攪拌混合して泡を含ませ
る。180℃で40分間焼き上げてスポンジケーキを試
作した。
【0256】
【表46】
【0257】
【実施例31】(食品例27) 表47の配合でクラスト生地はよく練り上げた後、何重
にも折込んで仕上げ、中身は形が半分残るところまで煮
つめ、生地と中身を成型して焼き上げてアップルパイを
試作した。
【0258】
【表47】
【0259】
【実施例32】(食品例28) 表48の配合でコーンを、水でしんがなくなるまでたき
上げた後、他の原料を入れて煮つめてコーンクリームス
ープを試作した。
【0260】
【表48】
【0261】
【実施例33】(食品例29) 表49の配合でバラ肉をフライパンで炒めて鍋に移し
た。別に野菜類も炒めて鍋に移した。小麦粉とカレー粉
を炒めながらブラウンルーを作り、全体を鍋で煮つめて
レトルトカレーを試作した。
【0262】
【表49】
【0263】
【実施例34】(食品例30) 表50の配合でフライパンで肉を十分に炒めてから鍋に
移し、野菜類もタマネギを中心によく炒める。全原料を
鍋にいれて3時間煮つめてビーフシチューを試作した。
【0264】
【表50】
【0265】
【実施例35】(食品例31) 表51の配合で液体原料を混合後に粉末原料を溶解させ
てノンオイルドレッシングを試作した。
【0266】
【表51】
【0267】
【実施例36】(食品例32) 表52の配合で水にキサンタンガム以外の粉末原料を溶
解させ、80℃まで加熱する。40℃になったら食酢を
加え、ホモミキサーを中速にしてサラダ油を小量づつ添
加して乳化する。低速でキサンタンガムを溶解させて乳
化タイプ・ドレッシングを試作した 。
【0268】
【表52】
【0269】表52中のエマルスター#30は親油性の化
工澱粉(松谷化学工業社製)である。
【0270】
【実施例37】(食品例33) 表53の配合で水と食酢に粉末原料を溶解させ、卵黄を
混合する。ホモミキサーを中速にしてサラダ油を小量づ
つ加えながら乳化してマヨネーズを試作した。
【0271】
【表53】
【0272】
【実施例38】(食品例34) 表54の配合で生ピーナッツを破砕した後、らいかい機
ですりつぶし、他の原料を混合してピーナッツバターを
試作した。
【0273】
【表54】
【0274】
【実施例39】(食品例35) 表55の配合で均一に粉体混合してチーズパウダーを試
作した。
【0275】
【表55】
【0276】
【実施例40】(食品例36) 表56の配合で生クリームと難消化性デキストリンの混
合物に乳酸菌スターターとレンネットを添加し、20℃
で15時間放置した。香料を添加後にらいかい機で練り
上げてから冷却してクリームチーズを試作した。
【0277】
【表56】
【0278】
【実施例41】(食品例37) 表57の配合で薄力粉をバターで炒めた後に他の原料を
混合し、トロミがつくまで煮つめてホワイトソースを試
作した。
【0279】
【表57】
【0280】
【実施例42】(食品例38) 表58の配合で牛脂で豚ミンチ、タマネギ、ニンジンを
炒めた後、小麦粉を入れて再度炒める。これに他の原料
をいれ、トロミがつくまで煮つめてミートソースを試作
した。
【0281】
【表58】
【0282】
【実施例43】(食品例39) 表59の配合で原料を生のままで破砕して混合し、フィ
ルムに充填する。塩漬として5℃で12時間放置した
後、75℃で90分間ボイルしてから冷蔵してビーフ&
ポークソーセージを試作した。
【0283】
【表59】
【0284】
【実施例44】(食品例40) 表60の配合で牛肉を塩漬液に5日間塩漬した後、11
5℃で90分間蒸煮してから水分と油分を除去する。こ
れに牛脂の中に他の原料を混合したものを加え、均一に
してフィルムに充填して75℃で60分間殺菌後冷蔵し
てコーンビーフを試作した。
【0285】
【表60】
【0286】
【実施例45】(食品例41) 表61の配合でタマネギと牛脂をみじん切りにした後、
全原料を混合して全体が均一になるまで練り、成型後1
80℃の鉄板で両面を30秒づつ焼く。次に100℃で
10分間蒸煮して冷却後に冷凍して冷凍ハンバーグを試
作した。
【0287】
【表61】
【0288】
【実施例46】(食品例42) 表62の配合で原料を破砕して混合し、直径8cmのフ
ィルムに充填後に−30℃で冷凍し、スライサーで8m
mの厚さにスライスしてハンバーガーパテを試作した。
【0289】
【表62】
【0290】
【実施例47】(食品例43) 表63の配合でレバー、牛肉、ベリー肉を100℃で5
秒間ボイル後に破砕して他の原料と混合し、よく攪拌し
ながら80℃まで煮る。これを冷蔵してレバーペースト
を試作した。
【0291】
【表63】
【0292】
【実施例48】(食品例44) 表64の配合でピザをよく練り込んだ後、40℃の保温
器内で30分間発酵させ、適当な大きさに切って麺棒で
延ばす。ピザソースは全原料をよく混合し、1時間以上
おいてから使った。ピザクラストにソースを塗って約2
30℃のオーブンに12分間入れて焼き上げてピザを試
作した。
【0293】
【表64】
【0294】
【実施例49】(食品例45) 表65の配合で難消化性デキストリンを牛乳に溶かし、
卵に他の原料とともに混ぜ込み、フライパンにサラダ油
をひいて焼き上げてオムレツを試作した。
【0295】
【表65】
【0296】
【実施例50】(食品例46) 表66の配合で各原料を生で破砕混合してミートパイの
具を試作し、パイ生地に包み200℃のオーブンで焦げ
色が付くまで約30分間焼き上げてミートパイを作っ
た。
【0297】
【表66】
【0298】
【実施例51】(食品例47) 表67の配合で各野菜をカットして脱水後に他の原料と
混合して餃子の具を試作し、皮に包んで100℃で5分
間蒸煮後、冷却、冷凍して冷凍餃子を作った。
【0299】
【表67】
【0300】
【実施例52】(食品例48) 表68の配合でスリミと塩と小量の氷を混ぜ、サイレン
ト・カッターで破断混合を5分間行った後、残りの氷と
原料を追加して続けて10分間混合した。15℃で粘り
がでたところで終了し、型とりをして160℃の油で4
分間フライしてかまぼこを試作した。
【0301】
【表68】
【0302】
【実施例53】(食品例49) 表69の配合でブラックベリーを40日間浸漬した後、
ブラックベリーを廃棄して更に2カ月間熟成させてブラ
ックベリー酒を試作した。
【0303】
【表69】
【0304】
【実施例54】(飼料例1) 表70の配合でドッグフードを試作した。
【0305】
【表70】
【0306】
【実施例55】(飼料例2) 表71の配合でキャットフードを試作した。
【0307】
【表71】
【0308】
【実施例56】(飼料例3) 表72の配合で肉豚肥育用飼料を試作した。
【0309】
【表72】
【0310】
【実施例57】(飼料例4) 表73の配合でブロイラー前期用飼料を試作した。
【0311】
【表73】
【0312】
【実施例58】(飼料例5) 表74の配合で実験用ラット飼料を試作した。
【0313】
【表74】
【0314】
【図面の簡単な説明】
【0315】
【図1】
【0316】難消化性デキストリン投与による総コレス
テロールの変化を示すグラフである。
【0317】
【図2】
【0318】難消化性デキストリン投与による中性脂肪
の変化を示すグラフである。
【0319】
【図3】
【0320】各種物質の温度と粘度との関係を示すグラ
フである。
【0321】
【図4】
【0322】各種物質の反応時間と着色度との関係を示
すグラフである。
【0323】
【図5】
【0324】各種物質の反応時間と着色度との関係を示
すグラフである。
【0325】
【図6】
【0326】凍結解凍の回数と濁度との関係を示すグラ
フである。
【0327】
【図7】
【0328】濁度と氷点降下度との関係を示すグラフで
ある。
【0329】
【図8】
【0330】所定の相対湿度中で靜置したときの時間と
水分との関係を示すグラフである。
【0331】
【図9】
【0332】対照区のミクソグラフである。
【0333】
【図10】
【0334】砂糖区のミクソグラフである。
【0335】
【図11】
【0336】実施例1の難消化性デキストリン区のミク
ソグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08B 30/18

Claims (14)
Hide Dependent

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)グルコース以外の成分中の難消化性
    成分の含量が90%以上であり、 (B)グルコース以外の成分中の1→4グリコシド結合
    のみを有するグルコース残基の量が25〜35%であ
    り、 (C)グルコース以外の成分の数平均分子量が900〜
    1300であり、 (D)且つ次式で計算して求められる数平均分子量の計
    算値Yの、実測値からの変動範囲が20%以下であり、 【数1】但しY・・・グルコース以外の成分の数平均分
    子量 X・・・「箱守のメチル化法」によって定量した1→4
    グリコシド結合のみを有するグルコース残基の量(グル
    コース以外の成分中の%) (E)重量平均分子量と数平均分子量の比が25:1以
    上であり、 (F)コーンスターチに塩酸を添加して加熱処理して得
    た焙焼デキストリンをα−アミラーゼとグルコアミラー
    ゼで加水分解した後、生成したグルコースの1/2以上
    を分離除去することにより得られたものであることを特
    徴とする、 難消化性デキストリン。
  2. 【請求項2】(A)グルコース以外の成分中の1→4グ
    リコシド結合のみを有するグルコース残基の量が25〜
    30%であり、 (B)グルコース以外の成分の数平均分子量が990〜
    1300であることを特徴とする請求項1に記載する難
    消化性デキストリン。
  3. 【請求項3】グルコースの含量が33%以下であり、全
    体の中の難消化性成分の含量が75%以上であることを
    特徴とする、請求項1〜請求項2のいずれかに記載する
    難消化性デキストリン。
  4. 【請求項4】グルコース以外の成分中の食物繊維の含量
    が20%以上であり、全体の中の食物繊維の含量が13
    %以上であることを特徴とする、請求項1〜請求項3の
    いずれかに記載する難消化性デキストリン。
  5. 【請求項5】グルコース以外の成分のカロリー値1が
    1.6〜1.8キロカロリー/gであり、全体のカロリ
    ー値1が1.6〜2.6キロカロリー/gであることを
    特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載する
    難消化性デキストリン。
  6. 【請求項6】グルコース以外の成分のカロリー値2が1
    〜1.2キロカロリー/gであり、全体のカロリー値2
    が1〜2キロカロリー/gであることを特徴とする、請
    求項1〜請求項3のいずれかに記載する難消化性デキス
    トリン。
  7. 【請求項7】上記難消化性デキストリンが血清脂質成分
    の改善作用を有するものである請求項1〜6のいずれか
    に記載の難消化性デキストリン。
  8. 【請求項8】上記難消化性デキストリンが整腸作用を有
    するものである請求項1〜6のいずれかに記載の難消化
    性デキストリン。
  9. 【請求項9】上記難消化性デキストリンが高血圧降下作
    用を有するものである請求項1〜6のいずれかに記載の
    難消化性デキストリン。
  10. 【請求項10】上記難消化性デキストリンが大腸癌予防
    作用を有するものである請求項1〜6のいずれかに記載
    の難消化性デキストリン。
  11. 【請求項11】上記請求項1〜4のいずれかの難消化性
    デキストリンを含有する酒類以外の食品。
  12. 【請求項12】上記食品が菓子、ベーカリー製品、冷
    菓、スナック、飲料、ヨーグルトである請求項11に記
    載の食品。
  13. 【請求項13】上記食品がスープ、マヨネーズ、ドレッ
    シング、畜肉加工品、水産練り製品である請求項11に
    記載の食品。
  14. 【請求項14】上記請求項5〜10のいずれかの難消化
    性デキストリンを含有する酒類以外の食品。