JP3034456B2 - 湿式摩擦板 - Google Patents

湿式摩擦板

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JP3034456B2
JP3034456B2 JP7319594A JP31959495A JP3034456B2 JP 3034456 B2 JP3034456 B2 JP 3034456B2 JP 7319594 A JP7319594 A JP 7319594A JP 31959495 A JP31959495 A JP 31959495A JP 3034456 B2 JP3034456 B2 JP 3034456B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば車両の自
動変速機のクラッチ機構やブレーキ機構に用いられる湿
式摩擦板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、車両の自動変速機のクラッチ機
構やブレーキ機構に用いられる湿式摩擦板は、摩擦板本
体(コアプレート)と、この摩擦板本体の側面に固定さ
れた摩擦材とを有する。そして、この湿式摩擦板と金属
製の相手部材とを同一軸線上に配置するとともに、いず
れか一方を回転させながら他方を軸線に沿って移動させ
て摩擦材と相手部材とを所定の圧力で当接させ、その摩
擦抵抗によりトルクの伝達や制動動作が行なわれる。
【0003】ここで、摩擦板本体に固定される摩擦材に
は有機系摩擦材と無機系摩擦材とがある。有機系摩擦材
には、紙製の基材繊維の表面に、フェノール樹脂をバイ
ンダとして黒鉛、無機粒子などの摩擦調整材を固着させ
たペーパ系摩擦材や、摩擦調整材をゴムで固めたゴム系
摩擦材などがある。有機系摩擦材はその柔軟性により有
機系摩擦材に比べて摩擦係数が大きく、安定したトルク
伝達機能または制動機能が得られる。
【0004】一方、無機系摩擦材としては焼結金属やカ
ーボンなどがあり、無機系摩擦材はその機械的性質から
有機系摩擦材に比べて耐熱性および耐久性の点で優れて
おり、摩擦熱に対する劣化が少ない。
【0005】このような湿式摩擦板の例としては、特開
平4−157212号公報、実開平5−87341号公
報がある。特開平4−157212号公報に記載された
ものは、環状の摩擦板本体の側面に全周に亘って摩擦材
が固定され、かつ、円周方向に沿って所定間隔おきに弾
性材が固定されている。また、摩擦板本体の側面からの
弾性材の突出量が、摩擦板本体の側面からの摩擦材の突
出量よりも大きく設定されているとともに、弾性材の摩
擦係数は摩擦材の摩擦係数は当接する相手部材の側面の
摩擦係数よりも小さく設定されている。したがって、摩
擦材と相手部材との非締結時に相手部材と弾性材とが当
接することで摩擦材と相手部材との接触が防止され、引
き摺り(ドラッグトルク)を抑制する効果がある。
【0006】一方、実開平5−87341号公報に記載
されたものは、環状の摩擦板本体の側面に、摩擦材をセ
グメント状、つまり円周方向に所定間隔おきに固定した
ものであり、摩擦材の使用量が少なく全体としてのコス
トダウンを図ることができる効果がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の湿式摩
擦板においては次のような問題点があった。すなわち有
機系摩擦材を用いた湿式摩擦板の場合、相手部材との摩
擦熱でフェノールまたはゴムの熱分解が生じて劣化(炭
化)し、トルクの伝達機能または制動機能が低下する可
能性がある。この場合には、湿式摩擦板の数を増やして
機能の低下分を補う必要があり(20枚程度)、自動変
速機全体の大型化、重量増加が避けられなかった。
【0008】また、無機系摩擦材を用いた湿式摩擦板の
場合、ペーパ系摩擦材のように相手部材との当接面に介
在する油などの付着物を排出する作用がないため、その
当接面に油が介在しやすい。このため、有機系摩擦材の
摩擦係数0.13ないし0.15に比べて無機系摩擦材
の摩擦係数は0.06ないし0.12と小さく、そのト
ルク伝達機能または制動機能が有機系摩擦材に比べて劣
る傾向にある。したがって、無機系摩擦材により有機系
摩擦材と同等のトルク容量を得るには湿式摩擦板の数を
増加せざるを得ず、自動変速機自体の大型化、重量化す
るため、実用性に乏しい。このように、無機系摩擦材を
用いた湿式摩擦板の場合、無機系摩擦材のもつ機械的性
質、つまり、耐熱性、耐久性の利点を有効に生かしにく
い。
【0009】さらに、無機系摩擦材は有機系摩擦材に比
べて硬度が高く変形しにくいという機械的性質から相手
部材との当接面積が少なく、高速回転域においては有機
系摩擦材に比べて無機系摩擦材の方が当接面において流
体潤滑化(油膜が介在した状態)しやすい。その結果、
相手部材と無機系摩擦材との滑り速度が大きい(1ない
し2m/sを越える)と、摩擦係数が低下する傾向にあ
り、ジャダが発生する要因となる。
【0010】この発明は、上記事情を背景としてなされ
たものであり、耐熱性および耐久性に優れ、かつ、相手
部材と摩擦材との接触面を境界潤滑化させることのでき
る湿式摩擦板を提供することを目的とするものである。
この目的は、相手部材の表面に付着している潤滑油を
き書取ることで達成される。
【0011】
【課題を解決するための手段およびその作用】上記目的
を達成するために、請求項1に記載した発明は、潤滑油
にさらされる相手部材に対して相対移動自在に配置され
る摩擦板本体と、この摩擦板本体における前記相手部材
との対向面に固定された摩擦材とを有する湿式摩擦板に
おいて、前記摩擦板本体の対向面における前記摩擦材よ
りも前記相対移動方向の前方に、前記相手部材の表面に
付着している潤滑油を掻き取る掻き取り部が設けられて
いることを特徴とする。
【0012】したがって、請求項1に記載した発明で
は、相手部材と摩擦板本体とを相対移動させると、ま
ず、掻き取り部が相手部材の表面に付着している潤滑油
掻き取り、その後、摩擦材が相手部材の表面に当接し
てその摩擦抵抗により摩擦板本体と相手部材との間で動
力の伝達や制動動作が行なわれる。このため、摩擦材と
相手部材との当接面が境界潤滑化しやすくなり、摩擦材
表面の摩擦係数の低下を抑制できる。
【0013】
【発明の実施の形態】つぎに、この発明を図面に基づい
て説明する。この発明は、車両の自動変速機や各種の産
業機械等に用いることができる。図1(A)は湿式摩擦
板Aの平面図、図1(B)は図1(A)のI−I線にお
ける断面図である。図において1は金属で成形された環
状のコアプレート(摩擦板本体)で、コアプレート1は
全周に亘ってその有効半径Bおよび厚さCがほぼ均一に
設定されている。また、コアプレート1には、その外周
縁から外向きに突出した係止部2が円周方向に沿って所
定間隔おきに複数設けられている。この実施例では係止
部2はコアプレート1の外周面にほぼ90度間隔で4つ
設けられているが、その数や位置は任意に変更可能であ
る。
【0014】そして、コアプレート1の両側面1Aには
円周方向に沿って所定間隔おきに無機系摩擦材3を複数
個固定してある。この実施例ではコアプレート1の円周
方向における各無機系摩擦材3の固定位置は、コアプレ
ート1の円周方向における係止部2の位置と一致してい
るが、その数や位置は任意に変更可能である。無機系摩
擦材3の具体例としては焼結金属やカーボンなどのよう
に、450℃以上で熱分解が開始されるものを用いれば
よい。さらに、この焼結金属やカーボンは、後で述べる
弾性材に比べて熱伝導性に優れている。
【0015】また、各無機系摩擦材3は円盤状に成形さ
れており、コアプレート1の側面1Aからの突出量D
や、外径dはほぼ同一に設定されている。そして、無機
系摩擦材3の外径dは、コアプレート1の有効半径Bよ
りも小さく設定されている。なお、この実施例において
は各無機系摩擦材3の中心点(図示せず)はコアプレー
ト1の側面1Aにおける同一円周上に位置している。
【0016】さらに、コアプレート1の両側面1Aにお
いて、後で述べる相手部材との相対移動方向、つまり相
対回転方向における無機系摩擦材3よりも前方には、掻
き取り部、つまり弾性材4が固定されている。この実施
例では弾性材4が環状に構成され、各無機系摩擦材3の
周囲を取り囲んでいる。弾性材4の内径はコアプレート
1の側面1Aに固定する前の時点では無機系摩擦材3の
外径dよりも小さく設定されており、無機系摩擦材3の
周囲へ装着された状態で外周側へ若干弾性変形し、その
内周面が無機系摩擦材3の外周面に密着している。この
実施例では、弾性材4の外径Eは側面1Aに固定された
状態においてコアプレート1の有効径Bとほぼ同一に設
定されている。
【0017】そして、弾性材4の厚さ、つまり、コアプ
レート1の側面1Aからの突出量Fは無機系摩擦材3の
突出量Dよりも大きく設定されている。なお、各無機系
摩擦材3の周囲に固定されている各弾性材4の寸法は全
てほぼ同一に設定されていることは勿論である。
【0018】図2はこの実施例に係る湿式摩擦板Aを自
動変速機のクラッチ機構に適用した例を示す部分的な断
面図である。図2において5は軸線(図示せず)を中心
として回転自在に配置された環状のクラッチドラムであ
り、クラッチドラム5には外向きフランジ6が一体的に
設けられているとともに、外向きフランジ6の外周端か
ら軸線方向に沿って外筒部7が一体的に設けられてい
る。こうしてクラッチドラム5と外筒部7との間に環状
のシリンダ8が形成され、シリンダ8内には環状のピス
トン9が軸線と平行に移動自在に挿入され、外向きフラ
ンジ6とピストン9との間に圧力室18が形成されてい
る。
【0019】また、クラッチドラム5には圧力室に連通
する油路10が設けられている一方、クラッチドラム5
の外周側には、スナップリング11により保持されたス
プリングリテーナ12が装着されている。そして、ピス
トン9とスプリングリテーナ12との間には、リターン
スプリング13が介在されている。さらに、ピストン9
の内周面および外周面にはそれぞれシールリング16,
17が装着され、圧力室18を液密化している。
【0020】また、外筒部7の内周面には円周方向に沿
って所定間隔おきに複数の係止溝14が設けられてい
る。この実施例では係止溝14が90度間隔で設けられ
ているそして、外筒部7の内方空間には複数の湿式摩擦
板Aが挿入され、コアプレート1の係止部2が係止溝1
4へ各々挿入されて、クラッチドラム5と湿式摩擦板A
とが一体回転する構成となっている。
【0021】さらに、複数の湿式摩擦板Aのうち、軸線
方向の両端側に位置する湿式摩擦板Aについては、コア
プレート1の一方の側面1Aのみに無機系摩擦材3およ
び弾性材4を固定したものが用いられており、その無機
系摩擦材3および弾性材4が隣接する湿式摩擦板Aと対
向する向きに配置されている。
【0022】なお、ピストン9の端面と、ピストン9と
対面している湿式摩擦板Aの側面との間には、環状のデ
ィッシュプレート15が設けられている一方、ピストン
9から最も離れた位置にある湿式摩擦板Aは外筒部7の
内周面に装着したスナップリング21により軸線と平行
な方向の移動が規制されている。
【0023】一方、外筒部7の内方には軸線を中心とし
て回転される環状のクラッチハブ19が設けられてお
り、クラッチハブ19の外周面には、軸線方向の長さを
有する係止溝20が円周方向に沿って所定間隔おきに複
数設けられている。そして、クラッチハブ19の外周に
は環状の相手部材、つまり金属板22が複数枚配置さ
れ、各湿式摩擦板Aと各金属板22とが交互に配置され
ている。なお、各金属板22の内周縁には係止部22B
が円周方向に沿って所定間隔おきに設けられており、係
止部22Bが係止溝20へ挿入されてクラッチハブ19
と金属板22とが一体回転する構成となっている。
【0024】つぎに、図2のクラッチ機構の動作を説明
する。まず、圧力室18の圧力がリターンスプリング1
3の弾性力よりも低い状態の時には、リターンスプリン
グ13の弾性力によりピストン9が外向きフランジ6側
へ押圧されているため、各湿式摩擦板Aの無機系摩擦材
3と各金属板22とはいずれも非接触状態にある。した
がって、クラッチハブ19の回転トルクがクラッチドラ
ム5へ伝達されることはない。
【0025】一方、クラッチハブ19の回転中に油路1
0を介して圧力室18の圧力を上昇させ、圧力室18の
圧力をリターンスプリング13の弾性力よりも高圧にす
ると、ピストン9がリターンスプリング13の弾性力に
抗して外向きフランジ6から離れる方向へ作動する。す
ると、この移動がディッシュプレート15を介して図2
の右端に位置する湿式摩擦板Aに伝達され、湿式摩擦板
Aが図中左側へ移動する。
【0026】すると、まず弾性材4が金属板22に当接
して金属板22の側面22Aに付着している油などの付
着物を掻き取り、その後、弾性材4が弾性変形して無機
系摩擦材3が金属板22の側面22Aと当接し、その摩
擦抵抗によりトルクが金属板22へ伝達され、クラッチ
ドラム5が従動回転される。したがって、無機系摩擦材
3の機械的性質、つまり耐熱性および耐久性が有効に生
かされて摩擦熱による劣化もないし、無機系摩擦材3と
金属板22との当接面が境界潤滑化しやすくなり、無機
系摩擦材3の表面の摩擦係数の低下を抑制できることと
なり、長期間に亘って安定したトルク伝達機能を維持す
ることができる。
【0027】また、無機系摩擦材3と金属板22とが高
速で摺動している場合においては、単位時間当たりにお
ける弾性材4の掻き取り回数が増えるため、一層油膜が
介在しにくくなり、摺動速度による摩擦係数の変化が少
なくなり、ジャダが発生しにくくなる効果もある。ま
た、湿式摩擦板A毎に無機系摩擦材3の摩擦係数の低下
抑制されるから、可及的に少ない枚数でトルク伝達に
必要な摩擦抵抗を得ることができ、自動変速機の小型化
や軽量化を図ることができる。
【0028】なお、この実施例において、相対回転方向
の前方とは、コアプレート1の側面1Aにおける弾性材
4と無機系摩擦材3との特定の位置関係を示すものでは
なく、金属板22の回転時に弾性材4の掻き取りが行な
われた後、無機系摩擦材3が金属板22の側面22Aに
当接するようにほぼ同一円周上に存在していればよい。
【0029】さらにまた、この実施例では無機系摩擦材
3が側面1Aに対して円周方向において所定間隔おきに
部分的に設けられているから、全面に無機系摩擦材を設
けた場合に比べて面積が少なく、単位面積当たりに発生
する摩擦熱は増加するが、焼結金属やカーボンは有機系
摩擦材(ペーパー系摩擦材、ゴム系摩擦材)に比べて熱
伝導性に優れているため、摩擦熱が表面積の広いコアプ
レート1へ流れ、潤滑油により冷却されるから支障はな
い。また、弾性材4は油を弾くことで熱を逃がし冷却さ
れる。
【0030】さらにまた、この実施例では弾性材4が無
機系摩擦材3の外周面に密着しているから、無機系摩擦
材3が金属板22の表面に当接した場合、無機系摩擦材
3の端部に応力が集中することを緩和でき、無機系摩擦
材3の端部の欠けや割れを防止できる効果もある。さら
にまた、製造時においては、無機系摩擦材3を円盤状に
成形すればよいため、コアプレート1の全面に対応して
環状に無機系摩擦材を成形する場合に比べて金型からの
離型性がよく、離型時の割れや取り扱い時の割れや欠け
も発生しにくい。したがって、その厚みを抑制できる
し、成形後の研磨などの仕上げ加工も不要となり、歩留
まりが向上する。
【0031】図3は実施例に係る摩擦材と比較例に係る
湿式摩擦板とを用意し、試験機により摩擦係数を測定し
た結果を示す図表である。この試験に用いたコアプレー
トの有効半径は実施例および比較例ともに16mmであ
る。また、摩擦材の形状は実施例および比較例ともに円
盤形状で、その外径は11mm、厚さは0.5mmに設定し
た。さらに、実施例および比較例で相手部材となる金属
板はS35C(鋼)であり、その外径を55mmに設定し
た。
【0032】また、実施例および比較例で用いた銅系焼
結材は一般的な青銅系(Cu−8%Sn)を母材とし、
SiO2 粒子2ないし3%、黒鉛粒子4ないし6%が添
加されている。銅系焼結材Aは気孔率15%(オイル含
浸気孔率)、銅系焼結材Bは気孔率20%である。
【0033】また、実施例の弾性材は外径13mm、内径
10mmに設定し、摩擦材の外周に装着した。摩擦材の表
面からの弾性材の突出量は0.5mmに設定した。実施例
1ないし3で用いた弾性材はシリコン系とテフロン(四
ふっ化エチレン樹脂のデュポン社の商品名)系である。
なお、比較例4,5,6は弾性材なしとした。比較例6
は気孔率40%のペーパー系材料であり、乗用車のクラ
ッチ機構などに一般的に用いられているものである。
【0034】使用した試験機はリングオンディスク試験
機であり、金属板と摩擦材とを擦り合わせた後、1m/
s,5m/sの回転速度で金属板と摩擦材とを相対回転
させて摩擦係数を測定した。試験雰囲気は室温であり、
摩擦材と金属板との当接面圧は10kg/cm2に設定され、
作動油としてATF(オートマッチク・トランスミッシ
ョン・フルード)を滴下した。
【0035】図3の判定欄の「◎」は「優れる」、
「○」は「良」、「△」は「不良」、「×」は「劣る」
をそれぞれ示している。図3の結果から明らかなよう
に、実施例1ないし実施例3においては、5m/sの回
転速度でも摩擦係数が0.1を越えており、比較例4,
5に比べて摩擦係数の低下が著しく抑制されており、比
較例6と同等の摩擦係数に維持されている。
【0036】なお、銅系焼結材は融点が900℃以上で
あり、ペーパー系材料(230ないし350℃で熱分解
開始)に比べて高いため、より過酷な摩擦条件に耐える
ことができる。すなわち、摩擦材と金属板との当接面圧
を上げたり(油圧を高くするか、ピストン機構上の荷重
を増大する)、材料の摩擦係数の高いものはそれに応じ
て摩擦板の枚数を低減でき自動変速機の小型化が可能と
なる。
【0037】図4は他の実施例を示す部分的な平面図で
ある。図4の実施例においては、弾性材4の一部、つま
り、摩擦板本体1の外周側に相当する位置に切り欠き3
0が設けられている。その他の構成は図1ないし図3の
実施例と同様であり、同様の作用効果を得られる。ま
た、図4の実施例においては、弾性材4により掻き取っ
た油が弾性材4により取り囲まれた領域内に存在してい
た場合、遠心力により切り欠き30から外側へ排出され
るため、摩擦係数の低減を一層有効に抑制することがで
きる。
【0038】なお、この発明は、湿式摩擦板をクラッチ
ハブ側に取り付け、金属板をクラッチドラム側に取り付
ける構成としてもよい。この場合、湿式摩擦板の摩擦板
本体の内周縁に係止部を設け、この係止部をクラッチハ
ブ19の係止溝20に係合する一方、金属板の外周縁に
係止部を設け、この係止部を円筒部7の係止溝14に係
合することとなる。
【0039】なお、この発明において無機系摩擦材の形
状は円盤形状に限らず四角形などでもよい。また、摩擦
板本体の側面に円周方向に沿って扇形の無機系摩擦材と
扇形の弾性材とを交互に固定しても同様の作用効果を得
ることができる。また、相手部材及び摩擦板本体は円盤
状であってもよい。さらに、弾性材として気孔を備えた
ものを用いれば、遠心力によりその気孔から油などの付
着物が排出されるから一層有効である。さらにまた、こ
の発明をブレーキ機構に適用し、相手部材の表面に無機
系摩擦材を当接してその摩擦抵抗により制動機能を発揮
させる構成を採用してもよい。さらにまた、この発明は
相手部材と摩擦板とがその対向面同士の間隔を一定に維
持した状態で直線状に相対移動する構成の動力伝達機構
または制動機構にも適用可能である。さらにまた、摩擦
材として有機系摩擦材を用いれば、その柔軟性とあいま
って一層高い摩擦係数を維持できる効果がある。また、
掻き取り部自体に弾性力のない材質のものを選択し、こ
の掻き取り部をばねなどにより相手部材側へ向けて出没
するような構成を採用してもよい。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように請求項1に記載され
た湿式摩擦板によれば、相手部材と摩擦板本体とを相対
移動させると、まず掻き取り部が相手部材の表面に付着
している潤滑油を掻き取り、その後、摩擦材が相手部材
の表面に当接して相手部材と摩擦材との摩擦抵抗により
動力の伝達や制動動作が行なわれる。
【0041】したがって、摩擦材として無機系摩擦材を
用いてその耐熱性および耐久性を有効に生かすことがで
きる上、摩擦材と相手部材との当接面が境界潤滑化しや
すくなり、摩擦材表面の摩擦係数の低下を抑制でき、安
定した動力伝達機能または制動機能を得られ、ジャダを
未然に防止できる効果がある。
【0042】また、湿式摩擦板毎に摩擦材の摩擦係数の
低下が抑制されるから、可及的に少ない枚数で動力伝達
や制動に必要な摩擦抵抗を得ることができ、自動変速機
の小型化や軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)はこの発明の実施例に係る湿式摩擦板を
示す平面図、(B)は(A)のI−I線における断面図
である。
【図2】この発明の実施例に係る湿式摩擦板を用いたク
ラッチ機構の構成を示す部分的な断面図である。
【図3】この発明の実施例に係る摩擦材と比較例の摩擦
材とを摩擦試験機により摩擦係数を測定した結果を示す
図表である。
【図4】この発明の実施例に係る湿式摩擦板の他の構成
例を示す部分的な平面図である。
【符号の説明】
1 摩擦板本体 3 無機系摩擦材(摩擦材) 4 弾性材(掻き取り部) A 湿式摩擦板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−97641(JP,A) 特開 平7−119755(JP,A) 実開 平5−87341(JP,U) 実開 昭52−96189(JP,U) 実開 昭60−185735(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16D 25/00 - 25/12 F16D 13/62 F16D 69/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 潤滑油にさらされる相手部材に対して相
    対移動自在に配置される摩擦板本体と、この摩擦板本体
    における前記相手部材との対向面に固定された摩擦材と
    を有する湿式摩擦板において、前記摩擦板本体の対向面
    における前記摩擦材よりも前記相対移動方向の前方に、
    前記相手部材の表面に付着している潤滑油を掻き取る掻
    き取り部が設けられていることを特徴とする湿式摩擦
    板。
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