JP3030218B2 - 歯車装置およびその歯形補正曲線の形成方法 - Google Patents

歯車装置およびその歯形補正曲線の形成方法

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JP3030218B2
JP3030218B2 JP6284861A JP28486194A JP3030218B2 JP 3030218 B2 JP3030218 B2 JP 3030218B2 JP 6284861 A JP6284861 A JP 6284861A JP 28486194 A JP28486194 A JP 28486194A JP 3030218 B2 JP3030218 B2 JP 3030218B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば局部的摩擦熱
の発生が少ない等、歯車の噛み合い特性を所望の特性に
するための歯形補正曲線の形成方法及びその歯形補正曲
線に基づいて形成された歯形を有する歯車装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】図19及び図20は、従来の歯車の歯形
補正の形状を示す説明図である。図において、a部は歯
車の歯形を形成するインボリュート曲線を直線に展開し
たラック形状を示す。b部は、g及びhの範囲で歯形補
正がなされた形状を示す。g及びhの値は、この技術分
野の一般的文献(「*」の箇所に例示する。以下同じ)
に記載されている。黒く塗りつぶされた部分が削り取ら
れた部分を示す(以下同様とする。)。つまり、この場
合、黒く塗りつぶされた部分を含む歯形の外形線がイン
ボリュート曲線を直線に展開したラック形状を示し、黒
く塗りつぶされた部分を含まない歯形の内形線が補正後
の歯形形状を示す。図19ではb部の内形線が直線であ
り、図20ではb部の内形線が半径rの円弧状である。
【0003】上記形状の一対の歯車が図21に示すよう
に噛み合って、歯車1の回転力が歯車2に伝達されると
き、歯の噛み合いが噛み合い作用線C上の点Pで始っ
て、点O及び点Qを経て点Rで終了する。図21におい
て、d1 は歯車1の噛み合いピッチ円、d2 は歯車2の
噛み合いピッチ円、e1 は歯車1の基礎円、e2 は歯車
2の基礎円、f1 は歯車1の歯先円、f2 は歯車2の歯
先円、Oは噛み合いピッチ点で、噛み合っている歯面の
相対滑り速度が零になる点である。
【0004】以下、両歯車1,2の歯の噛み合いの開始
点Pから終了点Rまでの状況について図22で説明す
る。図22(a)は、両歯車1,2が作用線C上の1個
所の点Q11で噛み合って、噛み合い点Q11が矢印3のよ
うに図示右方へ移動している状態を示す。図22(b)
は、噛み合いが点Q12へ移動したとき、後方の歯が点Q
22で噛み合いが始まろうとしている状態を示す。図22
(c)は、前方の噛み合いが点Q13へ移動し、後方の噛み
合いが点Q23まで移動して、同時に点Q13と点Q23との
2個所で噛み合っている状態を示す。
【0005】図22(d)は、後方の噛み合いが点Q24
へ移動したとき、前方の噛み合いが点Q14で噛み合いが
終わろうとしている状態を示す。図22(e)は、後方
の噛み合いが点Q25へ移動し、噛み合いが1個所になっ
た状態を示す。図21において、歯車1と歯車2とが噛
み合って、噛み合い作用線C上を矢印3の方向に噛み合
い点Qが移動しているとき、次に点Pで次の歯の噛み合
いが始まろうとしている。この状態では、点Qで噛み合
っている歯車1の歯は噛み合い作用線Cの矢印3とは反
対方向に曲げられて撓む。そして、歯車2は噛み合い作
用線Cの矢印3の方向に曲げられて撓む。
【0006】この結果、歯車1の点Pと点Qとの間隔が
縮み、歯車2の点Pと点Qの間隔が伸びるので、点Pに
おいて歯車1の歯と歯車2の歯との間で急激な衝突が起
こる。この急激な衝突を緩和するために図19又は図2
0に示すように、歯先の形状が補正されている。この補
正によって、歯の噛み合い開始点Pにおいて、急激な衝
突を防ぎ荷重の変化を滑らかにするとともに、伝達する
回転角度変動を小さくすることを狙って設計されてい
る。
【0007】図23は、図21に示す従来の噛み合いに
おいて、作用線C上で点Pで噛み合いが始まって、点Q
を経て点Rで終了するまでの歯の荷重F、噛み合い接触
面の相対滑り速度v及び荷重Fと滑り速度vとの積F・
vを示すものである。なお、荷重Fと滑り速度vは、こ
の技術分野の一般的文献(*)を下に算出することがで
きる。図23において、4は歯が負担する荷重F(単位
はKgfで重量キログラムを示す)を示す曲線で、増加
曲線4aと、最大荷重を負担する直線4bと、減衰曲線
4cとからなっている。5は噛み合い接触面の相対滑り
速度v(単位はm/s)を示す曲線で、噛み合いピッチ
点Oを境にして減衰曲線5aと増加曲線5bとからなっ
ている。6は荷重Fと相対滑り速度vとの積F・vを示
す曲線で、噛み合いピッチ点Oを境にして上方に凸状の
第1の曲線6aと第2の曲線6bとからなっている。
【0008】上記増加曲線4aに示すように、歯に作用
する荷重Fの急激な増加を図19又は図20の歯形補正
で緩和している。しかし、図23の直線4bで示すよう
に、歯が最大荷重を負担しているとき、噛み合いピッチ
点Oから相対滑り速度vが次第に大きくなるにつれて、
荷重Fと相対滑り速度vとの積F・vが大きくなる。そ
して、噛み合いが終りに近づいても荷重Fの減衰曲線4
cが緩やかに減衰しているので、第2の曲線6bで示す
ように非常に高い極大値をとる。
【0009】 *:(1) ISO/TC 60/SC 3/WG 12 Doc N 6 Calculation of thermal load capacity of cylindrica
l,bevel andhypoid gears - Part 1: Evaluating the risk of scuffing 1993-9-27 発行 pp1〜54 (2) 機械設計ハンドブック 共立出版株式会社 昭和30年(1955年)4月25日発行 第10-1頁〜第10-56頁 歯車
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従来の歯車装置は以上
のように構成されているので、歯に作用する荷重Fと一
対の歯の接触部における相対滑り速度vとの積F・vが
大きくなるので、摩擦熱が増大し、歯面損傷(スコーリ
ング)に至ることがあるという問題点があった。また、
適正な歯形補正がなされていない場合には、両歯車の噛
み合いによる歯の撓みの影響を受け、駆動される側の歯
車に回転速度の変化が生じて捩れ振動が誘発されるとい
う問題点があった。
【0011】この発明は上記のような問題点を解消する
ためになされたもので、歯面の滑りによる摩擦熱の最大
値を小さくする等、歯車の噛み合い特性を所望の特性に
するための歯形補正曲線の形成方法及びその歯形補正曲
線に基づき形成された歯車装置を提供する。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明に係わる請求項
1の歯車装置は、インボリュート曲線歯形を有する第1
の歯車から第2の歯車に力を伝達しながら移動する噛み
合い点の軌跡である作用線をx軸とし、このx軸と上記
両歯車の噛み合いピッチ円とが交わる点を原点とし、こ
の原点で上記x軸と直交する軸をy軸とするxy平面座
標(但し、x座標値xは、上記原点を零として両方向に
正の値で増大するものとする)を想定し、上記インボリ
ュート曲線歯形上の任意点における歯形補正量の特性
を、当該任意点を、同点を通り上記噛み合いピッチ円と
同心の円弧が上記x軸に交わる点のx軸座標値xに、当
該歯形補正量を、上記x軸座標値xにおけるy軸座標値
yにそれぞれ対応させることにより上記xy平面座標上
で設定するようにし、上記両歯車の噛み合い開始点また
は噛み合い終了点に対応する上記x軸座標値x 22 または
12 (以下、代表してx 2 とする)と上記開始点または
終了点での歯形補正量に対応する、上記x軸座標値x 22
またはx 12 におけるy軸座標値y 22 またはy 12 (以下、
代表してy 2 とする)とで決まる点P 2 (x 2 ,y 2 )、任
意に設定されたx軸座標値x 21 またはx 11 (以下、代表
してx 1 とする、但し、x 1 <x 2 )におけるy軸座標値
であって歯車の噛み合い特性を決定するパラメータとし
ての値y 21 またはy 11 (以下、代表してy 1 とする、但
し、y 1 <y 2 )とで決まる点P 1 (x 1 ,y 1 )、および
上記原点の3つの点を通過し、上記原点でdy/dx=
0を満足させる以下に示す式(1)のmおよび式(2)
のnを有する式(3)の方程式で表される歯形補正曲線
に基づき、上記両歯車の少なくとも一方の歯形を補正
し、上記両歯車の合成補正量が上記歯形補正曲線から得
られた補正量となるように、各歯形が形成されているも
のである。
【0013】
【数3】
【0014】この発明に係わる請求項2の歯車装置の歯
形補正曲線の形成方法は、インボリュート曲線歯形を有
する第1の歯車から第2の歯車に力を伝達しながら移動
する噛み合い点の軌跡である作用線をx軸とし、このx
軸と上記両歯車の噛み合いピッチ円とが交わる点を原点
とし、この原点で上記x軸と直交する軸をy軸とするx
y平面座標(但し、x座標値xは、上記原点を零として
両方向に正の値で増大するものとする)を想定し、上記
インボリュート曲線歯形上の任意点における歯形補正量
の特性を、当該任意点を、同点を通り上記噛み合いピッ
チ円と同心の円弧が上記x軸に交わる点のx軸座標値x
に、当該歯形補正量を、上記x軸座標値xにおけるy軸
座標値yにそれぞれ対応させることにより上記xy平面
座標上で設定するようにし、上記両歯車の噛み合い開始
点または噛み合い終了点に対応する上記x軸座標値 22
またはx 12 (以下、代表してx 2 とする)と上記開始点
または終了点での歯形補正量に対応する、上記x軸座標
値x 22 またはx 12 におけるy軸座標値y 22 またはy
12 (以下、代表してy 2 とする)とで決まる点P
2 (x 2 ,y 2 )、任意に設定されたx軸座標値x 21 また
はx 11 (以下、代表してx 1 とする、但し、x 1 <x 2
におけるy軸座標値であって歯車の噛み合い特性を決定
するパラメータとしての値y 21 またはy 11 (以下、代表
してy 1 とする、但し、y 1 <y 2 )とで決まる点P 1 (x
1 ,y 1 )、および上記原点の3つの点を通過し、上記原
点でdy/dx=0を満足させる以下に示す式(1)の
mおよび式(2)のnを有する式(3)の方程式で表さ
れる歯形補正曲線を設定する第1の工程、上記設定され
た歯形補正曲線に基づき、上記両歯車の少なくとも一方
の歯形を補正し、上記両歯車の合成補正量が上記歯形補
正曲線から得られた補正量となるように形成された歯車
の噛み合い特性を演算する第2の工程、上記パラメータ
1 を変化させ上記第1および第2の工程を繰り返す第
3の工程、および得られた歯車の噛み合い特性の比較か
ら所望の特性が得られるときのパラメータy 1 をもって
採用すべき歯形補正曲線を決定する第4の工程を備えた
ものである。
【0015】
【数4】
【0016】この発明に係わる請求項3の歯車装置の歯
形補正曲線の形成方法は、請求項2 において、歯車の噛
み合い特性として、両歯車の噛み合いによる荷重と相対
滑り速度との積を求め、この積が、最大荷重が減衰を始
める点より噛み合い終了点側で減少するものを所望の特
性として、採用すべき歯形補正曲線を決定するようにし
ものである。
【0017】この発明に係わる請求項4の歯車装置の歯
形補正曲線の形成方法は、請求項2において、歯車の噛
み合い特性として、両歯車の噛み合いによる振動を求
め、この振動が最小となるものを所望の特性として、採
用すべき歯形補正曲線を決定するようにしたものであ
る。
【0018】この発明に係わる請求項5の歯車装置の歯
形補正曲線の形成方法は、請求項2の第4の工程におい
て、歯車の噛み合い特性として、両歯車の噛み合いによ
る荷重と相対滑り速度との積を求め、この積が、最大荷
重が減衰を始める点より噛み合い終了点側で減少するも
のを所望の特性としてこの特性が得られるときのパラメ
ータy 1 をもって特定される第1の歯形補正曲線を算出
し、請求項2の第4の工程において、歯車の噛み合い特
性として、両歯車の噛み合いによる振動を求め、この振
動が最小となるものを所望の特性としてこの特性が得ら
れるときのパラメータy 1 をもって特定される第2の歯
形補正曲線を算出し、上記第1の歯形補正曲線と上記第
2の歯形補正曲線との平均値をとった第3の歯形補正曲
線を算出し、上記第1の歯形補正曲線と上記第2の歯形
補正曲線との間隔がもっとも広い最広部で上記第1の歯
形補正曲線に外接し上記第3の歯形補正曲線との間が等
間隔になる第4の歯形補正曲線を算出し、上記最広部で
上記第2の歯形補正曲線に内接し上記第3の歯形補正曲
線との間が等間隔になる第5の歯形補正曲線を算出し、
上記第4の歯形補正曲線と上記第5の歯形補正曲線との
範囲内で、採用すべき歯形補正曲線を決定するようにし
ものである。
【0019】この発明に係わる請求項6の歯車装置の歯
形補正曲線の形成方法は、請求項2において、歯車の噛
み合い特性として、両歯車の噛み合っている各歯の荷重
の増加曲線および減衰曲線を求め、上記増加曲線が上方
に凸状で且つ上記減衰曲線が 下方に凸状の曲線となるも
のを所望の特性として、採用すべき歯形補正曲線を決定
するようにしたものである。
【0020】この発明に係わる請求項7の歯車装置の歯
形補正曲線の形成方法は、請求項2において、歯車の噛
み合い特性として、両歯車の噛み合っている各歯の荷重
の増加曲線、減衰曲線および上記増加曲線域、減衰曲線
域での各歯の接触面の相対滑り速度を求め、上記増加曲
線または上記減衰曲線の内、各曲線域での相対滑り速度
の高い側が下方に凸状の曲線となるものを所望の特性と
して、採用すべき歯形補正曲線を決定するようにした
のである。
【0021】この発明に係わる請求項8の歯車装置は、
請求項2ないし7のいずれかで決定された歯形補正曲線
に基づき、両歯車の少なくとも一方の歯形を補正し、上
記両歯車の合成補正量が上記歯形補正曲線から得られた
補正量となるように、各歯形が形成されているものであ
る。
【0022】この発明に係わる請求項9の歯車装置は、
その補正量を、両歯車のピッチ円を境にして歯先側のみ
に形成したものである。
【0023】この発明に係わる請求項10の歯車装置
は、その補正量を、両歯車のピッチ円を境にして歯元側
のみに形成したものである。
【0024】この発明に係わる請求項11の歯車装置
は、その両歯車の歯形を補正するようにしたものであ
る。
【0025】
【実施例】実施例1. 以下、この発明の一実施例を図について説明する。図1
は、この発明の歯車装置の噛み合い状態を示す説明図で
ある。図1において、7は後述の補正曲線とインボリュ
ート曲線とを合成した歯形を形成した第1の歯車で、黒
く塗りつぶした部分で示すように、歯先側及び歯元側と
もに後述の数の式(3)の補正曲線で補正されてい
る。つまり、黒く塗りつぶした部分を含む歯形の外形線
はインボリュート曲線で形成した歯形を示し、黒く塗り
つぶした部分を含まない歯形の内形線は、補正により削
り取られた後の歯形形状を示す。8はインボリュート曲
線で歯形を形成した第2の歯車で、第1の歯車7と噛み
合うように構成してある。
【0026】図2は歯形補正の説明図である。図2にお
いて、Cは両歯車7,8の噛み合い点の軌跡を示す作用
線、x軸は作用線C上に設定する。0は噛み合いピッチ
点でx軸とy軸とが直交する原点である。Pは歯車の噛
み合い開始点、Rは歯車の噛み合い終了点である。x軸
の値xは原点Oからの噛み合い長さで、従って、図2に
示すxy平面座標において、x座標値xは、上記原点0
を零として両方向に正の値で増大するものとする。ま
た、このインボリュート曲線上に投影したときの位
置を示す。即ち、図2に示すように、このx軸上の位置
xを通る円弧(円弧の中心は歯車の中心)がインボリュ
ート曲線歯形と交わる点が上記xに対応する歯形上の位
置となる。なお、図2では、その径が十分大として上記
各円弧は平行な直線で描いている。y軸の値yは歯形補
正量で、位置xに対応する、インボリュート曲線上の位
置におけるインボリュート曲線に直角な方向の補正量が
yであることを示す。
【0027】WはP11(x11,y11),P12(x12,y
12),P21(x21,y21),P22(x22,y22)及び噛
み合いピッチ点である原点を通る補正曲線で、式(1)
〜式(3)に基づいて算出して歯車7の歯形を決定す
る。例えば、P12(x12,y12)の意味は、補正位置x
12(図ではこれを投影すると歯先のインボリュート曲線
上の位置に当たる)におけるインボリュート曲線に直角
な方向の歯形補正量がy12であることを示す。dは噛み
合いピッチ線、aはインボリュート曲線(図の外形線)
で形成したときの歯の形状である。b1 部,b2 部は補
正曲線Wで補正した量を示す。
【0028】この発明は、インボリュート曲線歯形を有
する第1の歯車から第2の歯車に力を伝達しながら移動
する噛み合い点の軌跡で示す作用線であるx軸と、上記
x軸と上記両歯車の噛み合いピッチ円が交わる点の原点
と、この原点で上記x軸と直交したy軸とからなる平面
座標上で、x1 <x2及びy1 <y2 としたとき、点P1
(x1 ,y1 )及びP2 (x2 ,y2 )を通過し、原
点でy=0,dy/dx=0を満足させる以下に示す式
(1)のm及び式(2)のnを有する式(3)の方程式
で表される補正曲線から得られる補正量をもとに、上記
両歯車の少なくとも一方の歯形を補正し、上記両歯車の
合成補正量が上記補正曲線から得られた補正量となるよ
うに、各歯形が形成されている。即ち、補正曲線Wは、
上記した条件を基に、原点0から歯車の噛み合い終了点
Rに至る範囲と、原点0から歯車の噛み合い開始点Pに
至る範囲のそれぞれについて求める。
【0029】
【数5】
【0030】具体的には、原点0から歯車の噛み合い終
了点Rに至る範囲での補正曲線Wを求める場合は、点P
2 (x2 ,y2 )として、図2において、点P
12(x12,y12)の位置を取る。するとx2はインボリ
ュート曲線歯形を有する歯車の歯先に対応する位置であ
り、その位置での歯形補正量としてy2を決める。y2
値は例えば従来から求められているものを使用する。例
としては、この技術分野の一般的文献(*)に記載され
ている。点P1 (x1 ,y1 )として、図2において、
11(x11,y11)を取る。アンカー点となるx1は、
図2では、原点OとRの中間点であるが、一般的には原
点Oとx2との間のどこでも良いが、変化が分かりやす
い点として、原点Oとx2との間で、原点Oから3/4
の点にとる。一方y1は、作用線(x軸)上のx1の位置
からインボリュート曲線歯形を有する歯車に投影した点
における歯形補正量を表すが、これを変数(パラメー
タ)として動かす。
【0031】上述でx2 ,y2 ,x1が固定されたの
で、今 y1の値を、y2の半分近傍の値に取る。すると
上式(2)においてnが決まり、このnを式(1)に代
入してmが決まる。すると式(3)の補正曲線y=mx
nが決定できる。この補正曲線と歯形のインボリュート
曲線とを合成して歯形が設計され歯形が形成される。即
ち、補正曲線とインボリュート曲線との差の量を歯面に
直角に少なくとも一方の歯車から削り取って歯車の歯形
を形成する。この場合は、第2の歯車は削り取らないで
そのままにし、第1の歯車から削り取って歯車の歯形を
形成している。
【0032】上述では、y1を一つ決定したが、同様に
してy1をy2の半分近傍の値を中心に種々取り、それぞ
れ補正曲線式(3)y=mxnを決定し、それぞれの補
正曲線とインボリュート曲線とを合成して種々の歯形が
設計できる。
【0033】このようにして、上記の式(1)〜式
(3)に基づいて決定した歯車の歯形を、少なくとも一
方の歯車の歯形に適用した種々の設計歯車対を下に、そ
れぞれ、図3と後述するように、各歯車7,8の歯の荷
重分担率(荷重F)を計算し、その中から、曲線9a
(10a)を上方に凸状の増加曲線とし、曲線9c(1
0c)を下方に凸状の減衰曲線となる設計歯車対を選定
する。図3において、9は歯車7,8の前方で噛み合っ
ている歯(図22の点Q11〜Q14)の荷重分担率を示す
曲線で、上方に凸状の増加曲線9aをたどった後、最大
荷重を負担する直線9bと、下方に凸状の減衰曲線9c
とで表される。10は歯車7,8の後方で噛み合ってい
る歯(図22の点Q22〜Q25)の荷重分担率を示す曲線
で、前方の歯が最大荷重を負担した領域の最終点から荷
重の負担率が増加する上方に凸状の増加曲線10aと、
前方の歯の荷重負担が零になるところから最大荷重を負
担する直線10bで表され、減衰曲線10cをたどって
終わる。
【0034】上記で各歯の荷重分担率が決定したら、次
に各歯が負担している荷重Fと噛み合い接触面の歯の相
対滑り速度vとの積F・vを計算する。噛み合い点の移
動につれてF・v値が変化する状況を、例えば歯車7の
歯について図4にF・v曲線11として示す。F・v曲
線11は、歯車8の歯との噛み合いが始まる点Pから噛
み合いピッチ点Oまでの第1の曲線11aと噛み合いピ
ッチ点Oから噛み合いが終了する点Rまでの第2の曲線
11bとで示される。曲線11は歯車の噛み合いによる
荷重Fと相対滑り速度vとの積F・vが、最大荷重が減
衰を始める点より先は上記最大荷重が減衰を始める点に
おける上記相対滑り速度と上記最大荷重との積より小さ
くなる。これは曲線9a(10a)を上方に凸状の増加
曲線とし、曲線9c(10c)を下方に凸状の減衰曲線
としたことに起因している。
【0035】F・v値のピーク値を下げるには、図4か
ら明らかなように、各歯の接触部の相対滑り速度vの高
い側が下方に凸状の曲線になるようにする。図4では、
噛み合いピッチ点Oを境にして点R側で相対滑り速度v
が高くなっており、そのため減衰曲線9cは、下方に凸
状になっている。これは従来では図23のように上方に
凸状または直線状の曲線になっているのと対照的であ
る。なお、歯車の設計条件によっては、図4の場合と反
対に噛み合いピッチ点0から点P側で相対滑り速度vが
より高くなる。F・v値のピーク値が最小値を示すよう
な補正曲線Wをコンピュータで算出し歯形を決定する
即ち、上述したパラメータy 1 を決定することによっ
て、歯面の局部的な摩擦熱の発生量を低減できる。例え
ば、歯が負担する最大荷重を同一としたとき、従来の補
正方法による歯車のF・v値の最大値が約18,000
kgf・m/secであるのに対して、本発明の補正方
法による歯車のF・v値の最大値は約12,500kg
f・m/secとなり、従来の歯車の約70%まで低減
することができた。
【0036】図5は、歯形補正量を従来のものと比較し
た説明図である。歯の噛み合い開始点Pから、噛み合い
ピッチ点Oを経て、噛み合い終了点Rの間の補正量で、
1及びD2 が従来の歯形の補正量を示し、E1 及びE2
がこの発明の歯形の補正量を示すものである。
【0037】図6は、例えば歯車7を駆動側とし、歯車
8を従動側として、駆動側の歯車7が等速で回転してい
る場合に、従動側の歯車8の角速度が変化する様子を、
横軸が歯の噛み合い開始点Pから終了点Rまでとし、縦
軸を伝達回転角度の変化量(Rad)として示した回転
遅れによる時間変化パターンである。Tは従来の歯車装
置、Sはこの発明の歯車装置である。これで分かるよう
に、この発明による歯車では回転力の伝達が滑らかに行
われている。
【0038】実施例2. 図22において、図22(b)に示すQ22で噛み合いが
始まり、図22(d)に示すQ14で噛み合いが終わる。
この場合に適正な歯形補正がなされていないと、噛み合
いが始まるときに歯面に急激な衝突が起こって、大きな
摩擦熱及び振動が発生する。したがって、噛み合い始め
の衝突を避けて図22(e)の一対の歯のみの噛み合い
になるQ25まで、徐々に伝達荷重を増加させるように歯
形を補正すれば、歯車の振動を小さくすることができ
る。
【0039】図7は実施例2における噛み合い状態を示
す説明図である。図8は図7における歯の撓み特性を示
す説明図である。図8は、実施例1で示した式(1)〜
式(3)の方程式を用いそのパラメータを決定して歯形
を補正した場合に、噛み合う歯の荷重と撓みが徐々に増
加するようにしたときの歯の撓み特性を示す。
【0040】図7及び図8において、18は後述の第6
の歯形補正曲線とインボリュート曲線とを合成した歯形
で形成され、第2の歯車8と噛み合うように構成した第
1の歯車で、黒く塗りつぶした部分で示すように、歯先
側および歯元側ともに補正されている。19は第1の歯
車18の歯の撓みを示す特性線で、歯元側から噛み合い
が始まるため撓み量の増加が緩やかであり、歯先側で終
わるため急激に減少する。20は第2の歯車8の撓みを
示す特性線で、歯先側から噛み合いが始まるため撓み量
の増加が急激であり、歯元側で終わるため緩やかに減少
する。21は第1の歯車18と第2の歯車8との撓み量
を合成した特性線である。22はI1,I2及びI3から
なる理想的な歯形補正曲線、即ち、特性線21との和が
一定となるよう、特性線21を反転させた形の特性で、
各歯車8,18の撓みによる第2の歯車8の回転遅れを
打ち消すように各歯車8,18の少なくともいずれか一
方の歯形を補正することによって、第2の歯車8の回転
を等速に近づけることができる。従って、歯車の所望の
噛み合い特性として、歯車の振動を最小とすることを追
求する場合には、上記した理想の特性22に近い形で式
(3)を求めることになるが、その詳細は後述する(図
12等)。
【0041】図9は、実施例2で、式(1)〜式(3)
において、歯面の滑りによる摩擦から発生する発熱のピ
ーク値を最小にした補正曲線を示す説明図である。図9
において、23は歯に作用する荷重Fと一対の歯の接触
部における相対滑り速度vとの積F・vのピーク値を最
小にするための第1の歯形補正曲線で、近寄側の曲線2
3aと遠退側の曲線23bとからなる。近寄側とは、図
7の例では、歯車18の歯元側であり、遠退側とは、歯
車18の歯先側である。
【0042】図10は歯車の噛み合い長さに対する歯の
荷重F、相対滑り速度v及び荷重Fと相対滑り速度vと
の積F・vを示す説明図である。図10において、24
は歯車18の歯のF・v曲線で、歯車8の歯との噛み合
いが始まる点Pから噛み合いピッチ点Oまでの第1の曲
線24aと、噛み合いピッチ点Oから噛み合いが終了す
る点Rまでの第2の曲線24bとからなる。第1の歯形
補正曲線は、歯車の噛み合いによる荷重Fと相対滑り速
度vとの積F・vが、最大荷重が減衰を始める点より先
は上記最大荷重が減衰を始める点における上記相対滑り
速度と上記最大荷重との積より小さくなる。
【0043】図11は、図9の第1の歯形補正曲線23
により歯形を補正した歯車の振動の振幅曲線25を示す
説明図である。この場合は、近寄側の振幅が遠退側の振
幅よりかなり大きな値を示している。
【0044】次に式(1)〜式(3)に基づいて算出し
た設計歯車対のそれぞれに対して、図11に示すような
振幅曲線を画き、その中から捩り振動が最小のものをコ
ンピュータの助けを借り選定する。図12は、実施例2
で、式(1)〜式(3)に基づいて捩り振動を最小にし
たときの歯形補正量を示す説明図である。図12におい
て、26は第2の歯形補正曲線で、近寄側の曲線26a
と遠退側の曲線26bとからなる。
【0045】図13は、図12の第2の歯形補正曲線2
6で歯形補正したときのF・v値を示す説明図である。
図13において、27は歯車18の歯のF・v曲線で、
歯車8の歯との噛み合いが始まる点Pから噛み合いピッ
チ点Oまでの第1の曲線27aと、噛み合いピッチ点O
から噛み合いが終了する点Rまでの第2の曲線27bと
からなる。90は歯車18,8の前方で噛み合っている
歯(図22の点Q11〜Q14)の荷重分担率を示す曲線
で、下方に凸状の増加曲線90aをたどった後、最大荷
重を負担する直線90bと、上方に凸状の減衰曲線90
cとで表される。
【0046】図14は、図12の第2の歯形補正曲線2
6により歯形を補正した歯車の振動の振幅曲線28を示
す説明図である。この場合は、近寄側及び遠退側とも振
幅が小さくなっている。図10の減衰曲線9cと図13
の減衰曲線90cとを比較して、図10の減衰曲線9c
を下方に凸状にし過ぎると振動が増加することが分か
る。
【0047】図15は、発熱のピーク値及び捩り振動を
小さくするための歯形補正曲線の求め方を示す説明図で
ある。図15において、第1の歯形補正曲線23は図9
で示したように、歯面の滑りによる摩擦から発生する発
熱のピーク値を最小にする観点からパラメータy 1 を決
めて得られた歯形補正量である。 また、第2の歯形補
正曲線26は図12で示したように、噛み合いによる捩
り振動を最小にする観点からパラメータy 1 を決めて得
られた歯形補正量である。なお、第1の歯形補正曲線2
3と第2の歯形補正曲線26とは同一の平面座標上に画
かれている。
【0048】29は第3の歯形補正曲線で、第1の歯形
補正曲線23と第2の歯形補正曲線26との平均値であ
る。30は第4の歯形補正曲線で、第1の歯形補正曲線
23の点23aと第2の歯形補正曲線26の点26aと
の間隔が最も広い個所において、点23aで第1の歯形
補正曲線23と外接し、第3の歯形補正曲線29と平
行、即ち第3の歯形補正曲線29との間が同一幅になる
ように画いたものである。31は第5の歯形補正曲線
で、点26aで第2の歯形補正曲線26と内接し、第3
の歯形補正曲線29と平行、即ち第3の歯形補正曲線2
9との間が同一幅になるように画いたものである。
【0049】上記のようにして求めた第4の歯形補正曲
線30と第5の歯形補正曲線31との間に、噛み合う各
歯車の歯形補正量を作用線であるx軸上で足し合わせて
合成した第6の歯形補正曲線が存在するように上記両歯
車の少なくとも一方の歯車の歯形を補正することによ
り、摩擦による発熱の最大値を小さくし、捩れ振動を小
さくすることができる。この場合、発熱のピーク値を小
さくするには、第6の歯形補正曲線を第1の歯形補正曲
線23に近づければよい。又、捩れ振動を小さくした場
合には、第6の歯形補正曲線を第2の歯形補正曲線26
に近づければよい。
【0050】なお、第1の歯形補正曲線23及び第2の
歯形補正曲線26は図8に示した理想的な補正曲線22
と若干のずれがあるが、コンピュータによる最適設計の
都合で前述の式(3)による近似式を用いたためで、そ
の差は数μm以下の値となって実用上では問題がない。
【0051】実施例3. 図16は、両歯車12,13の噛み合いピッチ円d1
2 を境にして、各歯車12,13の歯先側のみを式
(3)の補正曲線で歯形の補正をしたもので、同様の効
果が期待できる。つまり、この場合は、図1の第1の歯
車7で実施した補正量のうち、歯元側の補正量を図16
の第2の歯車13の歯先側の補正量とし、第1の歯車7
の歯先側の補正量は、そのまま第1の歯車12の歯先側
の補正量としたものである。このように第1の歯車だけ
に実施した補正量を、第1の歯車と第2の歯車の補正量
として振り分けても同様の効果が期待できる。
【0052】実施例4. 図17は、両歯車14,15の噛み合いピッチ円d1
2 を境にして、各歯車14,15の歯元側のみを式
(3)の補正曲線で歯形の補正をしたもので、同様の効
果が期待できる。
【0053】実施例5. 図18は、両歯車16,17の噛み合いピッチ円d1
2 を境にして、各歯車16,17の歯先側及歯元側の
補正量の和(すなわち、両歯車の合成補正量)が式
(3)の補正曲線から得られた補正量になるようにした
もので、同様の効果が期待できる。
【0054】
【発明の効果】以上のように、この発明における請求項
1の歯車装置によれば、1つのパラメータで特定するこ
とができる補正曲線から得られる補正量をもとに、両歯
車の少なくとも一方の歯形を補正し、上記両歯車の合成
補正量が上記補正曲線から得られた補正量となるよう
に、各歯形を補正することによって、例えば、噛み合っ
ている歯に作用する荷重Fと相対滑り速度vとの積F・
vを低減し、また、摩擦熱の最大値を小さくする等、所
望の噛み合い特性を有する歯車装置を容易に実現でき
る。
【0055】この発明における請求項2の歯車装置の歯
形補正曲線の形成方法によれば、連続的な歯形補正曲線
を1つのパラメータで特定することができるので、例え
ば、噛み合っている歯に作用する荷重Fと噛み合ってい
る歯車の相対滑り速度vとの積F・vを低減し、また、
摩擦熱の最大値を小さくする等、所望の噛み合い特性を
有する歯車装置を得るための歯形補正曲線を簡便確実に
求めることができる。
【0056】この発明における請求項3の歯車装置の歯
形補正曲線の形成方法によれば、摩擦熱の小さい歯車装
置を得るための歯形補正曲線を簡便確実に求めることが
できる。
【0057】この発明における請求項4の歯車装置の歯
形補正曲線の形成方法によれば、振動の小さい歯車装置
を得るための歯形補正曲線を簡便確実に求めることがで
きる。
【0058】この発明における請求項5の歯車装置の歯
形補正曲線の形成方法によれば、摩擦熱と振動とが共に
小さい歯車装置を得るための歯形補正曲線を簡便確実に
求めることができる。
【0059】この発明における請求項6の歯車装置の歯
形補正曲線の形成方法によれば、歯が最大荷重を負担し
てから噛み合いが終わりに近づいたときに荷重が急激に
減衰するため、歯に作用する荷重Fと一対の歯の接触部
における相対滑り速度vとの積F・vが大きくなるのを
抑制することができる歯車装置を得るための歯形補正曲
線を簡便確実に求めることができる。
【0060】この発明における請求項7の歯車装置の歯
形補正曲線の形成方法によれば、歯に作用する荷重Fと
一対の歯の接触部における相対滑り速度vとの積F・v
が大きくなるのを抑制することができる歯車装置を得る
ための歯形補正曲線を簡便確実に求めることができる。
【0061】この発明における請求項8の歯車装置によ
れば、歯車の噛み合い特性として所望の特性を実現する
ことができる歯車補正曲線で歯形が形成された歯車装置
を確実に得ることができる。
【0062】この発明における請求項9によれば、歯車
の噛み合い特性として所望の特性を実現することができ
る歯車補正曲線で歯形の歯先側が形成された歯車装置を
確実に得ることができる。
【0063】この発明における請求項10の歯車装置に
よれば、歯車の噛み合い特性として所望の特性を実現す
ることができる歯車補正曲線で歯形の歯元側が形成され
た歯車装置を確実に得ることができる。
【0064】この発明における請求項11の歯車装置に
よれば、歯車の噛み合い特性として所望の特性を実現す
ることができる歯車補正曲線で両歯車の歯形が形成され
た歯車装置を確実に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の発明の歯車装置の噛み合い状態を
示す説明図である。
【図2】 実施例1の歯形補正の説明図である。
【図3】 実施例1の歯の荷重分担率を示す説明図であ
る。
【図4】 実施例1の歯車の噛み合い長さに対する歯の
荷重F、相対滑り速度v及び荷重Fと相対滑り速度vと
の積F・vを示す説明図である。
【図5】 実施例1の歯形補正量と従来の歯形補正量と
を示す説明図である。
【図6】 歯車が噛み合って回転しているときの回転角
速度の変化パターンを、実施例1の歯車の場合と従来の
歯車との比較で示した説明図である。
【図7】 実施例2の発明の歯車装置の噛み合い状態を
示す説明図である。
【図8】 実施例2の歯の撓み特性を示す説明図であ
る。
【図9】 実施例2の歯面の発熱のピーク値を最小にし
た補正曲線を示す説明図である。
【図10】 実施例2の第1の歯形補正曲線により補正
した歯車の噛み合い長さに対する歯の荷重F、相対滑り
速度v及び荷重Fと相対滑り速度vとの積F・vを示す
説明図である。
【図11】 図9に示す第1の歯形補正曲線により歯形
を補正した歯車の振動による振幅を示す説明図である。
【図12】 実施例2の捩り振動を最小にしたときの歯
形補正量を示す説明図である。
【図13】 実施例2の第2の歯形補正曲線により補正
した歯車の噛み合い長さに対する歯の荷重F、相対滑り
速度v及び荷重Fと相対滑り速度vとの積F・vを示す
説明図である。
【図14】 図12に示す第2の歯形補正曲線により歯
形を補正した歯車の振動による振幅を示す説明図であ
る。
【図15】 発熱のピーク値及び捩り振動を小さくする
ための歯形補正曲線の求め方を示す説明図である。
【図16】 実施例3の発明の歯車装置の噛み合い状態
を示す説明図である。
【図17】 実施例4の発明の歯車装置の噛み合い状態
を示す説明図である。
【図18】 実施例5の発明の歯車装置の噛み合い状態
を示す説明図である。
【図19】 従来の歯車の歯形補正形状を示す説明図で
ある。
【図20】 従来の歯車の他の歯形補正形状を示す説明
図である。
【図21】 一対の歯車の噛み合い状態を示す説明図で
ある。
【図22】 歯車の噛み合い点の移動の状態を示す説明
図である。
【図23】 従来の歯車の噛み合い長さに対する歯の荷
重F、相対滑り速度v及び荷重Fと相対滑り速度vとの
積F・vを示す説明図である。
【符号の説明】
7,12,14,16,18 第1の歯車、 8,13,15,17 第2の歯車。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−180158(JP,A) 特開 昭61−88071(JP,A) 特開 平6−280970(JP,A) 特公 昭50−20207(JP,B1) 米国特許3438279(US,A) 米国特許4640149(US,A) 米国特許5537889(US,A) 欧州特許656490(EP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 55/08

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インボリュート曲線歯形を有する第1の
    歯車から第2の歯車に力を伝達しながら移動する噛み合
    い点の軌跡である作用線をx軸とし、このx軸と上記両
    歯車の噛み合いピッチ円とが交わる点を原点とし、この
    原点で上記x軸と直交する軸をy軸とするxy平面座標
    (但し、x座標値xは、上記原点を零として両方向に正
    の値で増大するものとする)を想定し、上記インボリュ
    ート曲線歯形上の任意点における歯形補正量の特性を、
    当該任意点を、同点を通り上記噛み合いピッチ円と同心
    の円弧が上記x軸に交わる点のx軸座標値xに、当該歯
    形補正量を、上記x軸座標値xにおけるy軸座標値yに
    それぞれ対応させることにより上記xy平面座標上で設
    定するようにし、 上記両歯車の噛み合い開始点または噛み合い終了点に対
    応する上記x軸座標値x 22 またはx 12 (以下、代表して
    2 とする)と上記開始点または終了点での歯形補正量
    に対応する、上記x軸座標値x 22 またはx 12 におけるy
    軸座標値y 22 またはy 12 (以下、代表してy 2 とする)
    とで決まる点P 2 (x 2 ,y 2 )、任意に設定されたx軸
    座標値x 21 またはx 11 (以下、代表してx 1 とする、但
    し、x 1 <x 2 )におけるy軸座標値であって歯車の噛み
    合い特性を決定するパラメータとしての値y 21 またはy
    11 (以下、代表してy 1 とする、但し、y 1 <y 2 )とで
    決まる点P 1 (x 1 ,y 1 )、および上記原点の3つの点
    を通過し、上記原点で dy/dx=0を満足させる以下
    に示す式(1)のmおよび式(2)のnを有する式
    (3)の方程式で表される歯形補正曲線に基づき、上記
    両歯車の少なくとも一方の歯形を補正し、上記両歯車の
    合成補正量が上記歯形補正曲線から得られた補正量とな
    るように、各歯形が形成されていることを特徴とする歯
    車装置。 【数1】
  2. 【請求項2】 インボリュート曲線歯形を有する第1の
    歯車から第2の歯車に力を伝達しながら移動する噛み合
    い点の軌跡である作用線をx軸とし、このx軸と上記両
    歯車の噛み合いピッチ円とが交わる点を原点とし、この
    原点で上記x軸と直交する軸をy軸とするxy平面座標
    (但し、x座標値xは、上記原点を零として両方向に正
    の値で増大するものとする)を想定し、上記インボリュ
    ート曲線歯形上の任意点における歯形補正量の特性を、
    当該任意点を、同点を通り上記噛み合いピッチ円と同心
    の円弧が上記x軸に交わる点のx軸座標値xに、当該歯
    形補正量を、上記x軸座標値xにおけるy軸座標値yに
    それぞれ対応させることにより上記xy平面座標上で設
    定するようにし、 上記両歯車の噛み合い開始点または噛み合い終了点に対
    応する上記x軸座標値x 22 またはx 12 (以下、代表して
    2 とする)と上記開始点または終了点での歯形補正量
    に対応する、上記x軸座標値x 22 またはx 12 におけるy
    軸座標値y 22 またはy 12 (以下、代表してy 2 とする)
    とで決まる点P 2 (x 2 ,y 2 )、任意に設定されたx軸
    座標値x 21 またはx 11 (以下、代表してx 1 とする、但
    し、x 1 <x 2 )におけるy軸座標値であって歯車の噛み
    合い特性を決定するパラメータとしての値y 21 またはy
    11 (以下、代表してy 1 とする、但し、y 1 <y 2 )とで
    決まる点P 1 (x 1 ,y 1 )、および上記原点の3つの点
    を通過し、上記原点でdy/dx=0を満足させる以下
    に示す式(1)のmおよび式(2)のnを有する式
    3)の方程式で表される歯形補正曲線を設定する第1
    の工程、上記設定された歯形補正曲線に基づき、上記両
    歯車の少なくとも一方の歯形を補正し、上記両歯車の合
    成補正量が上記歯形補正曲線から得られた補正量となる
    ように形成された歯車の噛み合い特性を演算する第2の
    工程、上記パラメータy 1 を変化させ上記第1および第
    2の工程を繰り返す第3の工程、および得られた歯車の
    噛み合い特性の比較から所望の特性が得られるときのパ
    ラメータy 1 をもって採用すべき歯形補正曲線を決定す
    る第4の工程を備えた歯車装置の歯形補正曲線の形成方
    法。 【数2】
  3. 【請求項3】 請求項2において、歯車の噛み合い特性
    として、両歯車の噛み合いによる荷重と相対滑り速度と
    の積を求め、この積が、最大荷重が減衰を始める点より
    噛み合い終了点側で減少するものを所望の特性として、
    採用すべき歯形補正曲線を決定するようにしたことを特
    徴とする歯車装置の歯形補正曲線の形成方法。
  4. 【請求項4】 請求項2において、歯車の噛み合い特性
    として、両歯車の噛み合いによる振動を求め、この振動
    が最小となるものを所望の特性として、採用すべき歯形
    補正曲線を決定するようにしたことを特徴とする歯車装
    置の歯形補正曲線の形成方法。
  5. 【請求項5】 請求項2の第4の工程において、歯車の
    噛み合い特性として、両歯車の噛み合いによる荷重と相
    対滑り速度との積を求め、この積が、最大荷重が減衰を
    始める点より噛み合い終了点側で減少するものを所望の
    特性としてこ の特性が得られるときのパラメータy 1
    もって特定される第1の歯形補正曲線を算出し、請求項
    2の第4の工程において、歯車の噛み合い特性として、
    両歯車の噛み合いによる振動を求め、この振動が最小と
    なるものを所望の特性としてこの特性が得られるときの
    パラメータy 1 をもって特定される第2の歯形補正曲線
    を算出し、上記第1の歯形補正曲線と上記第2の歯形補
    正曲線との平均値をとった第3の歯形補正曲線を算出
    し、上記第1の歯形補正曲線と上記第2の歯形補正曲線
    との間隔がもっとも広い最広部で上記第1の歯形補正曲
    線に外接し上記第3の歯形補正曲線との間が等間隔にな
    る第4の歯形補正曲線を算出し、上記最広部で上記第2
    の歯形補正曲線に内接し上記第3の歯形補正曲線との間
    が等間隔になる第5の歯形補正曲線を算出し、上記第4
    の歯形補正曲線と上記第5の歯形補正曲線との範囲内
    で、採用すべき歯形補正曲線を決定するようにしたこと
    を特徴とする歯車装置の歯形補正曲線の形成方法。
  6. 【請求項6】 請求項2において、歯車の噛み合い特性
    として、両歯車の噛み合っている各歯の荷重の増加曲線
    および減衰曲線を求め、上記増加曲線が上方に凸状で且
    つ上記減衰曲線が下方に凸状の曲線となるものを所望の
    特性として、採用すべき歯形補正曲線を決定するように
    したことを特徴とする歯車装置の歯形補正曲線の形成方
    法。
  7. 【請求項7】 請求項2において、歯車の噛み合い特性
    として、両歯車の噛み合っている各歯の荷重の増加曲
    線、減衰曲線および上記増加曲線域、減衰曲線域での各
    歯の接触面の相対滑り速度を求め、上記増加曲線または
    上記減衰曲線の内、各曲線域での相対滑り速度の高い側
    が下方に凸状の曲線となるものを所望の特性として、採
    用すべき歯形補正曲線を決定するようにしたことを特徴
    とする歯車装置の歯形補正曲線の形成方法。
  8. 【請求項8】 請求項2ないし7のいずれかで決定され
    た歯形補正曲線に基づき、両歯車の少なくとも一方の歯
    形を補正し、上記両歯車の合成補正量が上記歯形補正曲
    線から得られた補正量となるように、各歯形が形成され
    ていることを特徴とする歯車装置。
  9. 【請求項9】 補正量を、両歯車のピッチ円を境にして
    歯先側のみに形成したことを特徴とする請求項1または
    8に記載の歯車装置。
  10. 【請求項10】 補正量を、両歯車のピッチ円を境にし
    て歯元側のみに形成したことを特徴とする請求項1また
    は8に記載の歯車装置。
  11. 【請求項11】 両歯車の歯形を補正するようにしたこ
    とを特徴とする請求項1または8に記載の歯車装置。
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