JP2997156B2 - 成形性及び塗装焼付硬化性に優れた常温遅時効性アルミニウム合金薄板の製造方法 - Google Patents

成形性及び塗装焼付硬化性に優れた常温遅時効性アルミニウム合金薄板の製造方法

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JP2997156B2 JP5245195A JP24519593A JP2997156B2 JP 2997156 B2 JP2997156 B2 JP 2997156B2 JP 5245195 A JP5245195 A JP 5245195A JP 24519593 A JP24519593 A JP 24519593A JP 2997156 B2 JP2997156 B2 JP 2997156B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、アルミニウム合金薄
板の製造方法に関し、特に、プレス成形性及び塗装焼付
硬化性に優れ、かつプレス成形前の強度の経時変化がな
い常温遅時効性を有しており、自動車車体等に好適なア
ルミニウム合金薄板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より自動車ボディ−パネル用板材と
して表面処理冷間圧延鋼板が多用されているが、近年、
自動車の燃費向上のための軽量化の要望が高まってお
り、その要望を満たすべくアルミニウム合金板が使用さ
れ始めてきている。
【0003】最近では、プレス加工メーカーの要求も厳
しくなりつつあり、形状凍結性の点からプレス成形前の
降伏強度が低く(自動車技術 Vol.45,No.6.(1991),45)
、かつ、深絞り、張出し等の成形性、及び耐デント性
の点から塗装焼付により強度が向上する材料が要求され
ている。
【0004】そこで、アルミニウム合金の中でも特に成
形性に優れた非熱処理型のAl−Mg系合金に対し、C
uやZnを添加し、時効硬化によって強度を高める工夫
がなされている。例えば、Al−Mg−Cu系合金(特
開昭57−120648号、特開平1−225738
号)、Al−Mg−Cu−Zn系合金(特公昭56−3
186号)等がある。
【0005】しかし、これらは、熱処理型のAl−Mg
−Si系合金に比較して成形性が優れているものの、従
来の表面処理冷間圧延鋼板よりも劣り、プレス成形前の
強度が高いため、形状凍結性にも劣る。さらには塗装焼
付工程による硬化は小さく、プレス時の加工硬化分の低
下を防ぐ程度である。特に、特開昭57−120648
号では塗装焼付時に強度上昇を目的としてAl−Mg−
Cu系化合物の析出を図っているが、未だ不十分であ
る。なお、従来、焼付硬化に対するSiの効果は認めら
れていないため、Siを微量に規制している。
【0006】また、従来からボディーパネル用材料とし
て用いられていたAl−Mg−Cu−Zn系の5052
−0材は、プレス前の降伏強度が低く形状凍結性に優れ
るが塗装焼付硬化性を有しないため強度が低く、耐デン
ト性に劣るという問題がある。
【0007】このようにAl−Mg系にCu、Znを添
加した焼付硬化タイプの合金は共通して最終熱処理後の
常温時効によるプレス前の強度の経時変化の問題があり
(住軽技報 32,1(1991),20 、軽金属学会第31回シン
ポジウム、p31)、素材の製造熱処理時期と実際のプ
レス加工までのコントロールが必要であるという不都合
がある。
【0008】この問題を改善するために、Al−Mg−
Cu−Zn系において、常温時効を大きく支配するZn
量を低下させて時効を抑制する技術が提案されている
(特開平2−47234号)。
【0009】しかし、上記Al−Mg−Cu系、Al−
Mg−Cu−Zn系の5000系合金は鋼板に近い比較
的良好な成形性を示すものの、焼付硬化性、形状凍結
性、常温時効特性のすべてを満足しているとはいえない
のが現状である。
【0010】一方、他の技術として、Mg2 Si系のG
Pゾーン形成により焼付硬化性を上昇させたAl−Mg
−Si系合金において、溶体化処理後に2段の熱処理を
行うことによって焼付硬化性の他に常温時効特性を改善
したものがある(特開平5−70907号)。
【0011】しかし、Al−Mg−Si系の6000系
合金は、一般に焼付硬化性には優れるが成形性に劣り、
上記特開平5−70907号においても、成形性に未だ
改善の余地がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】この発明はかかる事情
に鑑みてなされたものであって、良好な成形性を有し、
かつ良好な常温遅時効性を有し、従ってプレス成形前の
経時変化がなく、さらに塗装焼付時において低温短時間
の焼付条件であっても優れた焼付硬化性を示すアルミニ
ウム合金薄板の製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者等は、
上記目的を達成するために種々検討を重ねた結果、Al
−Mg−Cu系合金を基本として化学成分及び組成を適
切に調整し、製造条件を適正化することにより、プレス
成形性及び塗装焼付硬化性を良好に保ったまま常温時効
の進行を遅らせることができることを見出した。この発
明は本発明者らのこのような知見に基づき、合金成分及
び製造条件について詳細に研究を重ねた結果完成された
ものである。
【0014】すなわち、本発明は、重量%で、Mgを
1.5〜3.5%、Cuを0.3〜1.0%、Siを
0.05〜0.35%、Feを0.03〜0.50%、
Tiを0.005〜0.15%、Bを0.0002〜
0.05%の範囲で含有し、かつMg/Cuの値が2〜
7であり、残部がAl及び不可避的不純物からなるアル
ミニウム合金鋳塊に対し、400〜580℃の範囲内の
温度で1段又は多段の均質化処理を施した後、この鋳塊
を熱間圧延及び冷間圧延することにより所望の板厚と
し、次いで500〜580℃の範囲内の温度まで3℃/
秒以上の加熱速度で加熱してその温度で0〜60秒間保
持し、2℃/秒以上の冷却速度で冷却し、室温放置後又
は直接45〜110℃の温度範囲で2〜48時間の予備
時効熱処理を行い、その後180〜300℃の温度で3
〜60秒間保持の復元処理をすることを特徴とする成形
性及び塗装焼付硬化性に優れた常温遅時効性アルミニウ
ム合金薄板の製造方法を提供するものである。
【0015】また、重量%で、0.01〜0.50%の
Mn、0.01〜0.15%のCr、0.01〜0.1
2%のZr、0.01〜0.18%のV、及び0.5%
以下のZnのうち1種又は2種以上をさらに含有するこ
とにより、この発明の効果を損なうことなく一層良好な
特性のアルミニウム合金薄板を得ることができる。
【0016】以下、この発明について詳細に説明する。
本発明における合金組成は、Al−Mg−Cu系合金を
基本としており、Al−Cu−Mg系化合物析出相の析
出前段階の変調構造(GPBゾーン)を形成させること
によって焼付硬化性を優れたものとし、プレス成形性及
び塗装焼付硬化性を両立させている。
【0017】次に、各成分の限定理由について説明す
る。なお、以下の%表示は全て重量%を示す。 Mg: Mgは上述したように焼付硬化性に寄与するA
l−Cu−Mg系変調構造の構成元素である。しかし、
その含有量が1.5%未満では変調構造の生成が遅くな
り、また延性が低下する。一方、その含有量が3.5%
を超えるとやはり変調構造の生成が遅くなり、低温短時
間焼付では変調構造が生成しない。従って、Mgの含有
量は1.5〜3.5%の範囲に規定される。
【0018】Cu: Cuも上述のAl−Cu−Mg系
変調構造の構成元素であるが、その含有量が0.3%未
満では変調構造が生成せず、一方1.0%を超えると熱
間加工性及び成形性が低下し、また耐食性も劣化する。
従って、Cuの含有量は0.3〜1.0%に規定され
る。
【0019】なお、Mgの含有量とCuの含有量との比
Mg/Cuは、2〜7の範囲に規定される。この範囲内
においてAl−Cu−Mg系変調構造を十分に生成させ
ることができる。
【0020】Si: SiはAl−Cu−Mg系変調構
造の生成を促進させて硬化能を高める元素であり、その
機能を発揮するためにはその含有量が0.05%以上必
要である。一方、その含有量が0.35%を超えた場合
には、上記変調構造は生成されるものの、粗大なMg2
Siも生成するため成形性が低下する。従って、Siの
含有量は0.05〜0.35%に規定される。
【0021】Fe: Feの含有量が0.50%を超え
るとAlとの共存により成形性に悪影響を及ぼす粗大な
晶出物が生成されやすく、また、Siと結びついて変調
構造の生成促進に有用なSiの量を低下させる。しか
し、微量添加することにより成形性の向上に寄与し、そ
の効果は0.03%以上で発揮される。従って、Feの
含有量は0.03〜0.50%に規定される。
【0022】Ti,B: Ti及びBはTiB2 等とし
て存在し、鋳塊の結晶粒を微細化して熱間での加工性等
を改善する効果を有する。従って、これらを複合添加す
ることが重要である。しかしながら、これらを過剰に添
加すると粗大な晶出物を生成し、成形性を劣化させる。
従って、これらを添加する場合には、これらの含有量を
上記効果を有効に得ることができる範囲、すなわちT
i:0.005〜0.15%及びB:0.0002〜
0.05%の範囲に規定される。
【0023】これら成分の他、上述の選択成分のうち1
種又は2種以上が含有されるが、これら選択成分の限定
理由は以下の通りである。 Mn,Cr,Zr,V: これらの元素は再結晶抑制元
素であるから、異常粒成長を抑制する目的で適量添加し
てもよい。しかし、これらの合金成分は、再結晶粒の等
軸化に対し負の効果があり成形性を低下させ、かつ過剰
に添加すると結晶粒が微細になり過ぎ、伸びの低下及び
ストレッチャーストレイン(SS)マークの発生の原因
となる。このため、これらの含有量は従来のアルミニウ
ム合金よりも少ない範囲に規定する必要がある。従っ
て、これらを添加する場合には、Mn,Cr、Zr、及
びVの含有量は夫々0.01〜0.50%、0.01〜
0.15%、0.01〜0.12%、及び0.01〜
0.18%の範囲に規定される。
【0024】Zn: Znは強度の向上に寄与する元素
であるが、0.5%を超えると焼付け硬化量が低下して
しまう。すなわち、0.5%を超えるとAl−Zn系化
合物の析出前段階の変調構造を生成するが、この変調構
造は常温においても生成し、焼付け前の強度が時効に伴
って顕著に増大するため、焼付け硬化量がかえって低下
するのである。従って、Znを添加する場合には0.5
%を超えないことが必要である。
【0025】なお、さらに他の元素としてBeを0.0
1%まで添加してもよい。Beは鋳造時の酸化を防止
し、鋳造性及び熱間加工性を向上させ、合金板の成形性
を向上させる元素である。しかし、その含有量が0.0
1%を超えるとその効果が飽和するばかりでなく、毒性
の強い元素であるため鋳造作業環境をする恐れがある
ので好ましくない。従って、Beの含有量は0.01%
までに規定する。
【0026】これら元素の他、通常のアルミニウム合金
と同様、不可避的不純物が含有されるが、その量は本発
明の効果が損なわれない範囲であれば許容される。次
に、上述のように成分・組成が規定されたアルミニウム
鋳塊に対して400〜580℃の範囲内の温度で1段又
は多段の均質化熱処理を施す。このような均質化処理を
施すことにより、鋳造時に晶出した共晶化合物の拡散固
溶を促進し、局部的ミクロ偏析を軽減する。また、この
処理により、最終製品の結晶粒の異常粒成長を抑制し、
均一化を図るうえで重要な役割を果たすMn,Cr,Z
r,Vの化合物を微細に析出させることができる。しか
し、この処理の温度が400℃未満の場合には上述した
ような効果が不十分であり、一方580℃を超えると共
晶融解が生じる。従って、均質化処理の温度を400〜
580℃の範囲とした。なお、この温度範囲内での保持
時間が1時間未満では上述の効果が十分に得られず、7
2時間を超える長時間の加熱はその効果が飽和してしま
うため、この均質化処理の保持時間は1〜72時間が望
ましい。
【0027】次いで、このような均質化処理が施された
鋳塊に対し、常法に従って所定の板厚を得るために熱間
圧延及び冷間圧延を行う。また、歪矯正又は表面粗度調
整のため、次に行われる熱処理の前後両方又はいずれか
で5%以下のレベリング、ストレッチング、あるいはス
キンパス圧延を実施してもよい。
【0028】圧延終了後、このような圧延板材に対し、
500〜580℃の範囲内の温度に3℃/秒以上の加熱
速度で加熱して、その温度に達した後即座に、又は60
秒間以下の期間保持した後、冷却速度2℃/秒以上で急
速冷却するといった条件の熱処理を施す。この熱処理
は、Al−Cu−Mg系化合物の変調構造を構成するC
u,Mgの溶体化を図り、十分な焼付け硬化を得るため
に行うものである。この場合に、加熱温度が500℃未
満では、十分な焼付硬化が得られない。また、加熱温度
が580℃を超えたり、加熱速度が3℃/秒未満であっ
たり、保持時間が60秒を超えると、結晶粒の一部が異
常粒成長を起こしやすなるため、成形性が低下する。
さらに、冷却速度が2℃/秒未満では、冷却中にAl−
Cu−Mg化合物が析出し焼付硬化性を損なうため好ま
しくない。
【0029】このような溶体化熱処理の後、室温に放置
後又は直接45〜110℃の温度範囲で2〜48時間の
予備時効熱処理を行う。この処理により、常温において
変調構造の形成を促進させていた溶体化熱処理後の焼入
れ凍結空孔を低減させ、塗装焼付硬化性を損なうことな
く常温時効が抑制される。その温度が45℃未満では空
孔低減の効果が小さく、また長時間側となるため、製造
上好ましくない。一方、110℃を超えると、凍結空孔
が減少するが、その後の復元処理温度においても安定で
ある変調構造を形成するため、降伏強度が低下せず、形
状凍結性、成形性、塗装焼付硬化性に劣る。また、その
処理時間が2時間未満では空孔低減の効果が小さく、4
8時間を超えるとその後の復元処理温度においても安定
である変調構造を形成するため、降伏強度が低下せず、
形状凍結性、成形性、塗装焼付硬化性に劣る。
【0030】最終熱処理である復元処理として180〜
300℃の温度で3〜60秒間保持する。この低温加熱
処理は、凍結空孔を低減する予備時効熱処理時に形成し
たAl−Cu−Mg化合物の変調構造であるGPBゾー
ンを常温において安定にさせるために行うものである。
この場合、加熱温度が180℃未満であったり、保持時
間が3秒間未満であると上述のような効果を十分に得る
ことができない。また、加熱温度が300℃を超えた
り、保持時間が60秒間を超えると、粗大なAl−Cu
−Mg化合物が析出し、焼付硬化性を低下させ、さらに
空孔濃度が増加するため好ましくない。このようにして
得られたアルミニウム合金板は、プレス成形性及び塗装
焼付硬化性に優れ、かつ常温遅時効性を有しているた
め、自動車車体等に好適である。
【0031】
【実施例】以下、この発明の実施例について説明する。 (実施例1)表1、表2に示すような成分・組成を有す
る合金を溶解−連続鋳造し、得られた鋳塊を面削した
後、440℃で4時間その後510℃で10時間の2段
均質化処理を実施し、次いで鋳片を460℃に加熱し、
板厚4mmまで熱間圧延を行った。次いで、室温に冷却し
た後、最終板厚まで冷間圧延を行って厚さ1mmの板材と
した。なお、熱間圧延の仕上がり温度は280℃であっ
た。この厚さ1mmの板材を550℃まで10℃/秒の速
度で加熱し、10秒間保持後、100℃まで20℃/秒
の冷却速度で強制空冷を行った。
【0032】この熱処理後常温にて2日間放置し、その
後60℃で24時間の予備時効熱処理を行い、引き続き
260℃で10秒間保持の復元処理を行った。以上のよ
うな処理を施した板材を常温で1週間保持後、所定形状
に切出し、引張試験(JIS5号,引張方向:圧延方
向)及びコニカルカップ試験(JISZ2249:試験
工具17型)を実施し、機械的特性及び成形性を評価し
た。コニカルカップ値(CCV)は、張出しと深絞りと
の複合成形性を示すものであり、この値が小さいほど成
形性に優れている。さらに、プレス成形後の塗装焼付を
シミュレ−トするために、170℃で20分間の加熱処
理(焼付に対応)を行い、その後引張試験(熱処理後の
試験と同一条件)を実施した。
【0033】これらの試験結果を表3、4に示す。な
お、「焼付硬化」の欄は、焼付シミュレ−ト後の降伏強
度から、最終熱処理後の降伏強度を引いた値を示してい
る。なお、表1の番号1〜13は本発明の基本成分及び
選択成分のいずれも満たしている実施例であり、表2の
番号14〜26はこれらのいずれかが規定する範囲から
外れる比較例である。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】表3から明らかなように、実施例である番
号1〜13は、熱処理後いずれも降伏強度10kgf /mm
2 以下、伸び30%以上であり、かつ焼付け処理により
降伏強度で5.0kgf /mm2 以上の高い焼付硬化を有
し、優れた延性−焼付硬化バランスを有していることが
確認された。また、CCVも良好であった。
【0039】一方、表2に示す比較例の番号14〜26
は、表4から明らかなように、成形性、焼付硬化性、常
温遅時効性のいずれかが不十分であった。例えば、焼付
硬化に寄与する成分であるMg、Si、Cuのいずれか
の含有量が低い番号14,16,18、あるいはこれら
が高い番号15,17は、変調構造の生成が不十分であ
るため焼付硬化が低く、3.0kgf /mm2 程度であ
った。また、Cuが高い、又はFe,Ti−B,Mn,
Cr,Zr,Vの量のいずれかの量が規定されている範
囲から外れている番号19,20,21,22,23,
24,25は伸びが低く、CCVも大きいため成形性が
低いことが確認された。さらに、Mg/Cuが2〜7の
範囲から外れている番号26は変調構造が十分生成せ
ず、焼付硬化が2.0kgf /mm2 であった。
【0040】(実施例2)表1に示した番号1の組成を
有する合金を用い、表5に示す製造条件で合金板を製造
した。なお、表5に特に記載されていない処理について
は実施例1の条件を採用した(圧延条件等)。また、表
5中記号A〜Eは本発明に係る製造方法の範囲内のもの
であり、記号F〜Kはその範囲から外れるものである。
このようにして製造した板材について実施例1と同様の
評価試験を行った。その結果を表6に示す。
【0041】
【表5】
【0042】
【表6】
【0043】表6から明らかなように、本発明の条件を
満足する記号A〜Eは、いずれも成形性(CCV)及び
焼付硬化性に優れていることが確認された。これに対し
て、本発明の条件を満足しない記号F〜Kは、伸び及び
成形性、あるいは焼付硬化性が不十分であることが確認
された。
【0044】例えば、比較例のF,,Hのように、均
質化温度、溶体化熱処理温度が高い、あるいは溶体化処
理加熱の保持時間が長い、又はGのように熱処理時の加
熱速度が小さい場合には、異常粒成長が生じ、伸び及び
成形性又は焼付硬化性が劣る。また、Kのように溶体化
焼入の冷却速度が小さい場合には、Al−Cu−Mg系
の析出物が不均一に析出するか、あるいは冷却中に析出
するため焼付硬化性に劣っていた。さらに、Iのように
溶体化熱処理の保持温度がひくい場合には、伸びが低く
成形性に劣り、また十分な焼付硬化が得られなかった。
【0045】(実施例3) この実施例では、表1の番号1に対応する組成の合金を
用い、溶体化熱処理までを表5のAの条件で製造した合
金板を用い、常温時効、及び機械的特性、成形性に及ぼ
す予備時効処理、復元処理の影響について実験を行っ
た。その際の予備時効処理及び復元処理の条件、並びに
実験結果を表7に示す。なお、評価試験は実施例1と同
様である。表7中記号L〜Pは本発明に係る製造方法の
範囲内のものであり、記号Q〜はその範囲から外れる
ものである。
【0046】
【表7】
【0047】表7から明らかなように、本発明の条件を
満足する記号L〜Pは、降伏強度、成形性、焼付硬化性
のいずれも経時変化が極めて小さく、常温遅時効特性に
優れていることが確認された。これに対し、本発明の条
件を満足しない記号Q〜は、降伏強度、成形性、焼付
硬化性、常温遅時効特性のいずれかが不十分であった。
【0048】例えば、比較例Qのように予備時効熱処理
の温度が低い場合には、空孔の濃度が十分低下しないた
め、常温時効による経時変化が大きく、成形性、焼付硬
化性に劣っていた。また、予備時効熱処理の温度が高い
R、復元処理の温度が低いS、復元処理の時間が短いU
は、復元処理により強度が低下せず、成形性、焼付硬化
性に劣っていた。また、Tのように復元処理温度が高い
場合には、粗大なAl−Cu−Mg化合物が析出したた
、成形性、焼付硬化性に劣っていた。
【0049】
【発明の効果】この発明によれば、良好な成形性を有
し、かつ良好な常温遅時効性を有し、従ってプレス成形
前の経時変化がなく、さらに塗装焼付時において低温短
時間の焼付条件であっても優れた焼付硬化性を示すアル
ミニウム合金薄板の製造方法が提供される。本発明によ
って製造されたアルミニウム薄板は自動車車体等に好適
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長谷川 浩平 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 須賀 正孝 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 審査官 井上 猛 (56)参考文献 特開 平6−256917(JP,A) 特開 昭57−120648(JP,A) 特開 平2−118049(JP,A) 特開 平1−225738(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22F 1/04 - 1/057 C22C 21/00 - 21/18

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、Mgを1.5〜3.5%、C
    uを0.3〜1.0%、Siを0.05〜0.35%、
    Feを0.03〜0.50%、Tiを0.05〜0.1
    5%、Bを0.0002〜0.05%の範囲で含有し、
    かつMg/Cuの値が2〜7であり、残部がAl及び不
    可避不純物からなるアルミニウム合金鋳塊に対し、40
    0〜580℃の範囲内の温度で1段又は多段の均質化処
    理を施した後、この鋳塊を熱間圧延及び冷間圧延するこ
    とにより所望の板厚とし、次いで500〜580℃の範
    囲内の温度まで3℃/秒以上の加熱速度で加熱してその
    温度で0〜60秒間保持し、2℃/秒以上の冷却速度で
    冷却し、室温放置後又は直接45〜110℃の温度範囲
    で2〜48時間の熱処理を行ない、その後180〜30
    0℃の温度で3〜60秒間保持することを特徴とする成
    形性及び塗装焼付硬化性に優れた常温遅時効性アルミニ
    ウム合金薄板の製造方法。
  2. 【請求項2】 重量%で、0.01〜0.50%のM
    n,0.01〜0.15%のCr,0.01〜0.12
    %のZr,0.01〜0.18%のVの1種又は2種以
    をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の
    成形性及び塗装焼付硬化性に優れた常温遅時効性アルミ
    ニウム合金薄板の製造方法。
  3. 【請求項3】 重量%で、0.5%以下のZnをさらに
    含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の成形
    性及び塗装焼付硬化性に優れた常温遅時効性アルミニウ
    ム合金薄板の製造方法。
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