JP2982566B2 - 1,5−ジメチルテトラリンの製造法 - Google Patents

1,5−ジメチルテトラリンの製造法

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JP2982566B2
JP2982566B2 JP5174106A JP17410693A JP2982566B2 JP 2982566 B2 JP2982566 B2 JP 2982566B2 JP 5174106 A JP5174106 A JP 5174106A JP 17410693 A JP17410693 A JP 17410693A JP 2982566 B2 JP2982566 B2 JP 2982566B2
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pentene
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、側鎖のα位に1個
以上の水素原子が結合している芳香族炭化水素化合物の
側鎖を炭素数4又は5の共役ジエン類を用いてアルケニ
ル化して得られる5-(o-トリル)-2-ペンテンの環化によ
る1,5-ジメチルテトラリンの製造法に関する。1,5-ジメ
チルテトラリンは、更に脱水素、異性化なる工程を経て
2,6-ジメチルナフタレンに変換され、更に又酸化工程や
エステル化工程を経て2,6-ナフタレンジカルボン酸やそ
のエステルに変換することができるものであり、高分子
モノマー、医薬品を始めとする種々の有機化合物の中間
原料として工業的に有用なものである。
【0002】
【従来技術】2,6-ナフタレンジカルボン酸の原料となる
2,6-ジメチルナフタレンの合成法として、o-キシレンと
1,3-ブタジエンから側鎖アルケニル化により 5-(o-トリ
ル)-2-ペンテンを合成し、続いて環化により1,5-ジメチ
ルテトラリンを合成し、次いで脱水素により1,5-ジメチ
ルナフタレンを合成し、更に異性化後、結晶化分離して
高純度の2,6-ジメチルナフタレンを得る方法が知られて
いる。このうち 5-(o-トリル)-2-ペンテンの環化による
1,5-ジメチルテトラリンの合成については、特開昭49
−93348号では固体燐酸を触媒として用いる方法、
特表平3−50052号では白金及び銅で修飾した超安
定化Y型ゼオライト(USY)を触媒として用いる方法
等が開示されている。しかし、これらの方法ではいずれ
も触媒寿命の点では不充分である。即ち、逐次的に 5-
(o-トリル)-2-ペンテン反応率の低下が起こることが避
けられないが、その主なる原因は触媒のコーキングによ
るものである。又、触媒の性能低下は、原料の反応率が
低下しただ単に目的の1,5-ジメチルテトラリンの収率が
低くなるに止まらず、未反応 5-(o-トリル)-2-ペンテン
が次の脱水素工程において触媒毒となり、脱水素触媒の
寿命をより縮めるなどの悪影響を及ぼすことにもなる。
触媒のコーキングによる触媒性能低下の他に、一般に固
体燐酸、ゼオライト、シリカアルミナ等の固体酸を触媒
とした場合には、原料 5-(o-トリル)-2-ペンテンの重合
や原料 5-(o-トリル)-2-ペンテンの分解が併発し易い
が、 5-(o-トリル)-2-ペンテンの重合が起ると、副生し
た高沸点成分による触媒活性点の被毒が起り、これも触
媒寿命を短くすることになる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、先に 5
-(o-トリル)-2-ペンテンを環化して対応する1,5-ジメチ
ルテトラリンを高反応率、高収率を以て長時間安定して
製造し得る方法、すなわち固体酸触媒の高い環化能力を
維持しつつ、重合、分解等の副反応を抑制する方法につ
いて検討を加え、結晶性アルミノシリケートと担体を組
合わせた比較的良好な触媒を開発するに至った。この本
発明者らの開発した触媒により、反応をある程度安定的
に継続することは可能となったが、長期に亘り触媒性能
を保持すると云う点においては満足されるものではな
く、経済的な工業プロセスとしては更なる検討が必要で
あった。本発明の目的は、 5-(o-トリル)-2-ペンテンを
環化して対応する1,5-ジメチルテトラリンを製造するに
際して、長期に亘り安定して触媒性能を保持する方法を
開発し、1,5-ジメチルテトラリンを工業的に有利に製造
する方法を提供することである
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の如
き課題を有する1,5-ジメチルテトラリンの製造法につい
て鋭意検討した結果、改良された触媒であるにも関わら
ず触媒上でのタールの生成が認められ、それが触媒性能
低下の原因となることを見出した更に触媒寿命に影響
するタール生成について検討を続けた結果、このタール
の生成は触媒性能によるものではなく、原料の品質に由
来するものであり、原料の5-(O-トリル)-2-ペンテンの
品質が大きく影響し、原料の品質を規定すること、すな
わち実用上は原料の保存状態を厳密に管理しすることに
より、触媒上のタール生成は認められず、長期に亘り触
媒性能低下もなく反応を進行させることがで きることを
見出し、本発明に到達した
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の如
き課題を有する1,5-ジメチルテトラリンの製造法につい
て鋭意検討した結果、改良された触媒であるにも関わら
ず触媒上でのタールの生成が認められ、それが触媒性能
低下の原因となることを見出した。更に触媒寿命に影響
するタール生成について検討を続けた結果、このタール
の生成は触媒性能によるものではなく、原料の品質に由
来するものであり、原料の5-(O-トリル)-2-ペンテンの
品質が大きく影響し、原料の品質を規定すること、すな
わち実用上は原料の保存状態を厳密に管理しすることに
より、触媒上のタール生成は認められず、長期に亘り触
媒性能低下もなく反応を進行させることができることを
見出し、本発明に到達した。即ち本発明は、 5-(o-トリ
ル)-2-ペンテンを環化して1,5-ジメチルテトラリンを合
成するに際して、原料として酸素濃度100ppm以下
の雰囲気下に保存した 5-(o-トリル)-2-ペンテンを使用
し、担体1重量部に対して結晶性アルミノシリケートが
0.01〜0.5 重量部である触媒、又は更に成形助剤を加え
た成分からなる触媒を用い、気相状態で、希釈媒の存在
下に、固定床流通式で、 5-(o-トリル)-2-ペンテンを環
化させることを特徴とする1,5-ジメチルテトラリンの製
造法および、 5-(o-トリル)-2-ペンテンを環化して1,5-
ジメチルテトラリンを合成するに際して、原料として光
を遮断した状態で温度50℃以下にて保存した 5-(o-ト
リル)-2-ペンテンを使用し、担体1重量部に対して結晶
性アルミノシリケートが0.01〜0.5 重量部である触媒
又は更に成形助剤を加えた成分からなる触媒を用い、気
相状態で、希釈媒の存在下、固定床流通式で、 5-(o-ト
リル)-2-ペンテンを環化させることを特徴とする1,5-ジ
メチルテトラリンの製造法である。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の原料の 5-(o-トリル)-2-
ペンテンは、前述の如く、1,3-ブタジエンを用いてo-キ
シレンとの側鎖をアルケニル化することにより製造され
本発明では、アルケニル化により得られた 5-(o-ト
リル)-2-ペンテンを酸素濃度100ppm以下の雰囲気
下に保存したもの、或いは光を遮断した状態で温度50
℃以下にて保存したものを、環化して1,5-ジメチルテト
ラリンを製造する際の原料に用いる。原料の 5-(o-トリ
ル)-2-ペンテンとして、酸素の存在する雰囲気下、光の
存在する条件下で保存したもの、及び酸素の存在する雰
囲気下、熱の共存する条件下で保存したものを用いて反
応させた場合には、触媒上でのタール状の物質が生成が
する。すなわち 5-(o-トリル)-2-ペンテンを酸素と光の
共存する条件下で保存した場合、触媒上でのタール状の
物質として 5-(o-トリル)-2-ペンテンのアリル位、又は
ベンジル位水素の引き抜かれた酸化生成物の 5-(o-トリ
ル)-2-ペンテン-4- オン、 5-(o-トリル)-2-ペンテン-5
- オン、 5-(o-トリル)-2-ペンテン-4-オール、 5-(o-
トリル)-2-ペンテン-5- オール等が生成する。これらの
成分量は多くても数百ppmであるが、原料中に 5-(o-
トリル)-2-ペンテンの過酸化物が存在することを示すも
のである。過酸化物が生成すると、固体酸触媒上におい
て 5-(o-トリル)-2-ペンテンの重合及び分解が促進さ
れ、タールが生成し、触媒の失活を引き起こすことにな
る。
【0007】この原料中の過酸化物生成を防ぐ為には、
酸素濃度100ppm以下の雰囲気下、光を遮断した条
件下で保存する必要がある。 酸素濃度100ppm以
上の雰囲気下、光の存在下の条件では、原料 5-(o-トリ
ル)-2-ペンテンの酸化により過酸化物の生成が促進され
る。酸素濃度100ppm以下の雰囲気とするための方
法は、特に制限されるものではないが、例えば、高純度
の窒素下で保存する方法、高純度の窒素で溶解酸素を脱
気後高純度の窒素下で保存する方法、真空下に雰囲気酸
素及び溶解酸素を除去し保存する方法等がある。又、光
を遮断した条件下で保存する為には、原料を遮光できる
方法ならば特に制限されるものではないが、例えば、ス
テンレス製タンク、褐色ビン等に入れて保存する方法等
がある。
【0008】酸素と光のうちどちらか一方が断たれて要
る場合には、一般に過酸化物の生成は認められないが、
以下に述べる如く一定基準以上の酸素、及び温度の存在
は原料に悪影響を与える。即ち光を遮断しても、酸素が
存在する雰囲気下で熱が共存する条件下では、保存され
た原料の 5-(o-トリル)-2-ペンテン中に不都合な微量成
分が生成する。この微量成分は、 5-(o-トリル)-2-ペン
テンの酸化生成物と、 5-(o-トリル)-2-ペンテンの重合
物である高沸点成分、及びこれら高沸点成分と 5-(o-ト
リル)-2-ペンテンからアルケニル基、アルキル基等の分
解によるトルエン、オルソキシレン、エチルトルエン等
の軽沸点成分である。このような原料の変質は、反応器
内において反応条件下で起こるに止まらず、原料 5-(o-
トリル)-2-ペンテンの蒸留時、及び反応器への原料導入
の為の予熱器、気化器等の熱供給する段階でも起る。
【0009】この原料変質を防ぐ為には、光を遮断して
50℃以下の条件下で、原料を保存する必要がある。
光を遮断して温度50℃以上の条件下では、原料 5-(o-
トリル)-2-ペンテンの変質が促進されるので好ましくな
い。しかしながら、温度250℃であっても、酸素濃度
100ppm以下の雰囲気下では変質は認められない。
例えば、反応を気相状態で170℃なる条件で行い、
且つ希釈剤として窒素等の不活性気体を用いる場合に
は、酸素濃度10ppm以下の高純度窒素を用いるとき
には問題はないが、酸素濃度100ppm以上の窒素を
用いるときには触媒性能は急激に低下する。
【0010】本発明の上述の如き 5-(o-トリル)-2-ペン
テンの保存方法は、環化反応に用いる触媒、又は反応を
液相で行うか気相で行うかに限らず重要な要件であり、
いずれの反応形態にも有効に適用できるものである。
従って、本発明の方法は 5-(o-トリル)-2-ペンテンを環
化させるあらゆるプロセスに適応できるものであるが、
特に以下に述べる結晶性アルミノシリケートと担体によ
り構成される触媒を用いるプロセスへの適用が好適であ
る。
【0011】結晶性アルミノシリケートと担体により構
成される触媒において、結晶性アルミノシリケートとし
ては、モルデナイト、X型ゼオライト、Y型ゼオライト
等の結晶性アルミノシリケートであり、モルデナイト、
Y型ゼオライト、超安定型Y型ゼオライト(USY)が
好ましく、更にはモルデナイトが好ましい。又、これら
の結晶性アルミノシリケートは、いずれもH型が好まし
い。担体は、結晶性アルミノシリケートを良く分散させ
るものである必要がある。又、活性アルミナ等の酸性の
強いものは、重合や分解等の副反応を起こし易く、5-(o
-トリル)-2-ペンテンの反応性が低いものである必要が
ある。そのような担体としては、炭素、酸化ケイ素、酸
化チタニウム、酸化ジルコニウム等の酸性でないもの、
又は酸性の弱いものが好ましく、中でも炭素や酸化ケイ
素が好ましい。結晶性アルミノシリケートと担体との量
比は、担体1重量部に対して結晶性アルミノシリケート
0.01〜0.5倍重量、好ましくは0.02〜0.3
倍重量である。 結晶性アルミノシリケートの量が多い
と、分解、重合等の副反応が起き易く、少ないと 5-(o-
トリル)-2-ペンテンの反応性が低下する。
【0012】触媒の調製方法としては、結晶性アルミノ
シリケートと担体とが良く分散されるような方法であれ
ばよく特に制限はない。 その様な方法としては、例え
ば、結晶性アルミノシリケートと担体とをスラリー状態
で混合し乾燥、焼成して調製する方法等が挙げられる。
この触媒は、粉末でも使用可能であるが、反応形式に
よっては成型して用いる方が好適な場合がある。 成型
のため上記以外の成分を用いる場合は、その成型助剤は
アルミナが好適である。 一般に、結晶性アルミノシリ
ケートの成型にはアルミナ、シリカ以外に粘土類が広く
用いられるが、本発明の触媒に対しては粘土類の使用は
不適当である。 即ち、粘土類を用いて成型した場合に
は長時間触媒の高活性を維持できないが、アルミナを用
いて成型した触媒の場合には長時間安定して高活性を維
持できる。 但し、アルミナの使用量が多いと副反応を
起こし易くなる。 成型助剤としてのアルミナの量は、
結晶性アルミノシリケート及び担体の20重量%以下が
好ましい。
【0013】この触媒は、非常に高活性、高選択性であ
り、高収率で 5-(o-トリル)-2-ペンテンから1,5-ジメチ
ルテトラリンを得ることができるが、環化反応を気相で
実施するのが必須の条件となる。即ち本反応を液相状態
で実施した場合は、環化反応と共に 5-(o-トリル)-2-ペ
ンテンの二量化反応がかなり起こるが、気相状態で実施
した場合には二量化がほぼ完全に抑制され、高収率で1,
5-ジメチルテトラリンを得ることができる。一般に、反
応を液相で行う場合には、生成するコーク、又はその前
駆体を原料あるいは生成物で洗い流すことが期待され、
触媒寿命の点からは好ましいと考えられるが、本発明の
方法に適用される触媒の場合には、予想に反して気相で
実施することによって 5-(o-トリル)-2-ペンテンの二量
化は完全に抑制され同時に長期間高活性を安定に維持さ
せることができるものである。反応を気相状態で行う方
法としては、希釈剤を用いて原料及び生成物の分圧を下
げて実施する方法、あるいは減圧下実施する方法が採用
できる。
【0014】希釈剤としては、反応条件下で不活性であ
り、反応系を気相状態に保ち得るものであればよく、例
えば、窒素、二酸化炭素、水素、アルゴン、ヘリウム等
のガス、又はプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、
ヘプタン等の飽和脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。希釈
剤中の酸素濃度は、100ppm以下、好ましくは10
ppm以下にする必要がある。 これらの希釈剤の量
は、反応系を気相に保つに必要な量であればよく、反応
圧力、反応温度、希釈剤の種類により適時決められる。
例えば、窒素を希釈剤として、常圧下、170℃で反
応を行う場合には、原料の10倍モル以上の窒素を用い
る必要がある。なお、本反応は、約22Kcal/mo
lの発熱反応であり、除熱の面からも希釈剤の使用は好
ましい。このように希釈剤量は、多くとも反応上に問題
はないが、必要以上に多くすることは希釈剤の循環量が
増えることとなり、プロセスの経済面から好ましくはな
いので、実際の使用量はこれらの点を考慮して決められ
る。
【0015】本発明の方法により 5-(o-トリル)-2-ペン
テンの環化反応を行う場合には、反応方式には特に制限
はなく、バッチ法、連続法いずれも採用できる。又、反
応装置にも特に制限はなく、固定床、スラリー懸濁移動
床、流動床等いずれも採用できるが、操作性の面から固
定床流通式による方法が好ましい。また反応温度は10
0〜400℃、特に150〜300℃の範囲が好まし
い。反応温度が高くなると 5-(o-トリル)-2-ペンテンの
重合が併発し易く、又生成した1,5-ジメチルテトラリン
の異性化も起こり易くなり、1,5-ジメチルテトラリンを
高収率で得ることができなくなる。反応温度がこの範囲
より低いと 5-(o-トリル)-2-ペンテンの反応率が低下
し、1,5-ジメチルテトラリンを高収率で得ることができ
なくなる。単位触媒当りの原料供給量は、反応形式によ
り変化するが、例えば、固定床流通系で実施する場合に
は、WHSVで0.1〜5hr-1 ,好ましくは0.3
〜2.5hr-1である。
【0016】
【実施例】以下に、実施例、及び比較例にて本発明の方
法を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例の範囲
に限定されるものではない。なお、各実施例および比較
例の操作条件および結果を示す各表では以下の記号を用
いた。 OTP: 5-(o-トリル)-2-ペンテン OTP-ケトン: 5-(o-トリル)-2-ペンテン-4- オンと 5-(o-トリル)-2-ペンテン-5- オンの和 OTP-アルコール: 5-(o-トリル)-2-ペンテン-4- オール
と 5-(o-トリル)-2-ペンテン-5- オールの和 DMT: 1,5-ジメチルテトラリン DMN: 1,5-ジメチルナフタレン
【0017】実施例1〜4、比較例1〜4 〔 5-(o-トリル)-2-ペンテ
ンの保存試験〕 o-キシレンと1,3-ブタジエンからの側鎖アルケニル化に
より得られた 5-(o-トリル)-2-ペンテンの蒸留直後の高
純度 5-(o-トリル)-2-ペンテンを用い、保存方法の試験
を行なった。保存試験に用いた 5-(o-トリル)-2-ペンテ
ンの組成は、 5-(o-トリル)-2-ペンテン99.64wt%、軽沸
点成分0.34wt% 、高沸点成分0.02wt% であった。保存条
件、及び保存試験後の試料の組成を表1および表2に示
す。保存試験後の試料の組成から、本発明による保存法
では過酸化物の生成および原料の変質が殆ど無いことが
分かる。
【0018】
【表1】 実施例1 実施例2 実施例3 比較例1 比較例2 保存状態 雰囲気ガス N2 (%) 99.999 79 99.999 79 99.98 O2 (%) 10ppm 21 10ppm 21 200ppm 光 暗 暗 明 明 明 温度 (℃) 25 25 25 25 25 保存時間 30日 30日 30日 30日 30日 保存後の組成 (wt%) 軽沸点成分 0.34 0.34 0.34 0.34 0.34 OTP 99.64 99.64 99.64 99.61 99.63 OTP-ケトン − − − 160ppm 60ppm OTP-アルコール − − − 130ppm 40ppm 高沸点成分 0.02 0.02 0.02 0.02 0.02
【0019】
【表2】 実施例4 比較例1 比較例2 保存状態 雰囲気ガス N2 (%) 99.999 79 99.98 O2 (%) 10ppm 21 200ppm 光 暗 暗 明 温度 (℃) 170 170 170 保存時間 10日 6時間 10日 保存後の組成 (wt%) 軽沸点成分 0.34 0.84 0.40 OTP 99.64 96.42 98.98 OTP-ケトン − OTP-アルコール − 高沸点成分 0.02 2.74 0.62
【0020】実施例5〔環化反応〕 実施例1の方法で保存された 5-(o-トリル)-2-ペンテン
を原料として環化反応を行った。触媒は、市販モルデナ
イト(東ソー製H型)15g、シリカ270g、及びバ
インダーとしてアルミナ含有率70重量%のアルミナゾ
ル21gをステンレス製容器に採り、純水500gを加
えて室温下よく混合撹拌し、その後押出し成形機を用い
て成形後、110℃で乾燥し、480℃で3時間焼成し
調製した。反応は、触媒20gを、内径20mmの石英
製反応管に充填し、常圧下、反応温度170℃、原料 5
-(O-トリル)-2-ペンテン供給速度毎時24g、及び希釈
剤の窒素供給速度毎分600mlなる条件で行った。希
釈剤の原料に対するモル比は11であり、使用した窒素
は高純度品(酸素濃度10ppm以下)である。なお、
反応管の前段には170℃に設定された気化予熱器を備
え、原料 5-(o-トリル)-2-ペンテンはここで気化され反
応管に導入される。結果を表3に示す。
【表3】 実施例5(保存方法は実施例1による) 反応経過時間(hr) 203 1604 2352 5621 OTP反応率(mol%) 100.0 100.0 100.0 100.0 DMTと DMNの収率の和(mol%) 99.6 98.9 98.1 97.5
【0021】実施例6 実施例5と同様の方法により実施例2の方法で保存され
た 5-(o-トリル)-2-ペンテンを原料として環化反応を行
った。結果を表4に示す。
【表4】 実施例6(保存方法は実施例2による) 反応経過時間(hr) 250 1501 2540 4800 OTP反応率(mol%) 100.0 99.7 99.3 98.8 DMTと DMNの収率の和(mol%) 99.0 98.9 98.5 97.1
【0022】実施例7 実施例5と同様の方法により実施例2の方法で保存され
た 5-(o-トリル)-2-ペンテンを原料として環化反応を行
った。結果を表5に示す。
【表5】 実施例7(保存方法は実施例3による) 反応経過時間(hr) 356 1502 2404 4400 OTP反応率(mol%) 100.0 99.7 99.5 98.7 DMTと DMNの収率の和(mol%) 99.5 98.8 98.2 97.0
【0023】比較例5 実施例5と同様の方法により比較例1の方法で保存され
た 5-(o-トリル)-2-ペンテンを原料として環化反応を行
った。結果を表6に示す。
【表6】 比較例5(保存方法は比較例1による) 反応経過時間(hr) 48 96 183 OTP反応率(mol%) 100.0 90.1 70.2 DMTと DMNの収率の和(mol%) 99.6 89.6 67.3
【0024】比較例6 実施例5と同様の方法により比較例2の方法で保存され
た 5-(o-トリル)-2-ペンテンを原料として環化反応を行
った。結果を表7に示す。
【表7】 比較例6(保存方法は比較例2による) 反応経過時間(hr) 36 201 337 OTP反応率(mol%) 100.0 92.3 71.7 DMTと DMNの収率の和(mol%) 99.5 90.5 68.2
【0025】比較例7 実施例5と同様の方法により比較例3の方法で保存され
た 5-(o-トリル)-2-ペンテンを原料として環化反応を行
った。結果を表8に示す。
【表8】 比較例7(保存方法は比較例3による) 反応経過時間(hr) 44 121 212 OTP反応率(mol%) 98.7 85.5 72.6 DMTと DMNの収率の和(mol%) 98.2 83.7 71.2
【0026】比較例8 実施例5と同様の方法により比較例4の方法で保存され
た 5-(o-トリル)-2-ペンテンを原料として環化反応を行
った。結果を表9に示す。
【表9】 比較例8(保存方法は比較例4による) 反応経過時間(hr) 65 306 483 OTP反応率(mol%) 100.0 92.4 71.5 DMTと DMNの収率の和(mol%) 99.5 90.6 68.7
【0027】表3〜9より、実施例1〜4の方法で保存
された原料を用いて環化反応を行わせた実施例5〜8で
は、反応は長期に亘り安定して行うことができたが、比
較例1〜4の方法で保存された原料を用いた場合には、
比較例5〜8で示すように短時間で触媒性能が低下して
いることが分かる。また比較例5〜8の場合、反応管触
媒層及び気化予熱器内部にタールの生成が認められた。
【0028】比較例9 実施例1の方法で保存された原料で、環化反応時、希釈
剤に酸素を200ppm含む窒素を使用して反応を行っ
た。結果を表10に示す。
【表10】 比較例9(保存方法は実施例1による) 反応経過時間(hr) 173 527 978 OTP反応率(mol%) 100.0 91.1 68.7 DMTと DMNの収率の和(mol%) 99.3 87.9 66.4 この結果より、希釈剤に酸素を含んでいる場合、原料の
保存状態が良くても、気化予熱器、反応層で 5-(o-トリ
ル)-2-ペンテンの変質が起こり、短時間で触媒性能が低
下することが分かる。
【0029】
【発明の効果】本発明の方法によれば、 5-(o-トリル)-
2-ペンテンを原料として環化反応を行い1,5-ジメチルテ
トラリンを製造するに当って、触媒の長寿命化が実現さ
れ、目的とする1,5-ジメチルテトラリンを高収率を以て
長期に亘り安定的に得ることができる。従って本発明に
より、1,5-ジメチルテトラリンを工業的に有利に製造す
ることができ、高分子モノマー、医薬品を始めとする種
々の有機化合物の中間原料となる2,6-ナフタレンジカル
ボン酸やそのエステルに有利に製造することができるこ
とになることから、本発明の工業的意義は極めて大き
い。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07C 13/48,5/31

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 5-(o-トリル)-2-ペンテンを環化して1,5-
    ジメチルテトラリンを合成するに際して、原料として酸
    素濃度100ppm以下の雰囲気下に保存した5-(o-ト
    リル)-2-ペンテンを使用し、担体1重量部に対して結晶
    性アルミノシリケートが0.01〜0.5 重量部である触媒
    又は更に成形助剤を加えた成分からなる触媒を用い、気
    相状態で、希釈媒の存在下に、固定床流通式で、 5-(o-
    トリル)-2-ペンテンを環化させることを特徴とする1,5-
    ジメチルテトラリンの製造法。
  2. 【請求項2】 5-(o-トリル)-2-ペンテンを環化して1,5-
    ジメチルテトラリンを合成するに際して、原料として光
    を遮断した状態で温度50℃以下にて保存した5-(o-ト
    リル)-2-ペンテンを使用し、担体1重量部に対して結晶
    性アルミノシリケートが0.01〜0.5 重量部である触媒
    又は更に成形助剤を加えた成分からなる触媒を用い、気
    相状態で、希釈媒の存在下、固定床流通式で、 5-(o-ト
    リル)-2-ペンテンを環化させることを特徴とする1,5-ジ
    メチルテトラリンの製造法。
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