JP2915088B2 - 医療用バッグポートおよび該ポートを使用した医療用バッグ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、血液や薬液などを収納するための医療用バ
ッグに設置するポートと、該ポートを設けた医療用バッ
グに関するものである。

〔従来の技術〕

血液や薬液を収納するために、軟質合成樹脂シートか
ら形成されたバッグが従来より使用されている。バッグ
には、通常は１または２以上のポートが設けられてお
り、このポートを通してバッグ内への液の導入あるいは
導出を行う。第７図に血液バッグの例を示すが、このバ
ッグ21には血液導出用の２つのポート23および24と、採
血チューブに接続されたポート22が設けられている。ポ
ート23の構造は、第８図にその側面断面図を示すよう
に、ポート23がバッグを構成する２枚の合成樹脂シート
26および27で両側から挟まれて、28の部分で全周を熱融
着されている。また、ポートカバー29および30も28で一
緒に融着されており、表側のポートカバー29の上には開
封用のタブ31が設けられている。そして、ポート23は円
筒状で内部に隔膜が設けられており、ポートの端面24は
ポート側面に垂直になっている。

〔発明が解決しようとする課題〕 したがって従来の医療用バッグでは、液をバッグから
排出したときでも第８図に示すようにポートの端部付近
のシートが密着せずに空間25ができ、少量の液が残って
しまうという問題があった。また、血液バッグの場合に
は、バッグ内の血液を遠心分離により血球成分と血漿成
分とに分離するとき、この25の部分に付着した血液が遠
心分離後も残存し、上清の血漿成分をバッグから排出す
る際に血漿成分と混ざり合ってしまことがしばしばあっ
た。このような場合には再度遠心分離を行う必要があ
る。さらに、空のバッグに液を注入する場合には、25の
部分に最初に溜まっている空気のために、バッグ内に比
較的多量の空気が入ってしまうという問題もあった。

本発明は、このような問題点を解決するためになされ
たものである。

〔課題を解決するための手段〕

本発明においては、ポートの基端部を特定の形状とす
ることにより上述した問題を解決した。医療用バッグに
設置して流体を導出入するための円筒状のポートであっ
て、基端部の形状が、側面を相対する２方向から斜めに
切断して切断部は開口して楔形に形成されたポートを、
該楔形基端部の２つの斜め端面が、バッグの表裏にそれ
ぞれ面するようにシートの間に挟んで、斜め端面より上
部で固定してなることを特徴とする医療用バッグであ
る。

〔作用〕

本発明によれば、ポートの楔形の基端部に沿ってバッ
グシートがポートの斜め端面に密着するので、第８図の
空間25に相当する部分がほとんどできなくなり、上記の
問題が発生しなくなる。

〔実施例〕

以下、図面を用いて本発明をさらに具体的に説明す
る。

第１図は、本発明の医療用バッグポートの実施例を示
す正面図であり、第２図は側面図である。図に示すよう
に、ポート１の基端部２は、側面を図の正面側および背
面側から斜めに切断した楔形の形状をしており、２つの
斜め端面３および４が形成されている。また、ポートの
内部には、隔膜５を有している。

このポート１を医療用バッグに取りつけた状態を示す
側面断面図が第３図である。図において、６および７は
バッグを構成するシートであり、９および10はポートカ
バー、11はポートカバーを開封するためのピールタブで
ある。ポート１は８の部分でバッグシートおよびポート
カバーと一緒に融着されて固定されている。図に示すよ
うに、ポート基端部の２つの斜め端面３および４がバッ
グの表裏にそれぞれ面するように固定することにより、
バッグが空になったときにバッグシート６および７がこ
れらの斜め端面にほぼ密着する。したがって、図から分
かるように、第８図に示すような空間25ができにくくな
り、上述したような問題が発生しない。

第４図〜第６図は、本発明のポートの他の実施例を示
す側面図である。第４図のものは楔の先端が尖っていな
いものであり、第５図のものは斜め端面が非対称になっ
ているものである。また、第６図に示すものは、曲線的
に切断された形状のものである。

本発明のポートは、血液バッグ，輸液バッグおよび腹
膜透析液バッグなどの医療用バッグに好適に使用するこ
とができる。その製造方法としては、従来のポートの基
端部を楔形に切断して製造することもできるし、最初か
ら楔形の形状のものを成形によって製造することもでき
る。また、ポートとバッグとは従来と同様に熱融着によ
り固定することができ、材料が塩化ビニル樹脂の場合に
は高周波融着法が好適である。

〔発明の効果〕

本発明によれば、バッグを空にしたときにポートの基
端部に余分な空間ができないので、バッグ内の液を排出
したときに液の残量が少なくなり、無駄になる薬液量が
少なくなる。また、血液バッグに使用したときには、遠
心分離の際にバッグ上部に付着した残血に起因した再遠
心の割合が減少し、作業が能率的になる。さらに、バッ
グに薬液を注入したときにバッグ上部に溜まる空気の量
が少なくなる利点もある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の医療用バッグポートの実施例について
の正面図であり、第２図は側面図である。また、第３図
はポートをバッグに取りつけた状態を示す側面断面図で
ある。第４図〜第６図は、本発明の医療用バッグポート
の他の実施例を示す側面図である。 第７図は、従来の血液バッグの正面図であり、第８図は
従来のポートについての側面断面図である。 １……ポート、２……基端部 3,4……斜め端面

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】医療用バッグに設置して流体を導出入する
   ための円筒状のポートであって、基端部の形状が、側面
   を相対する２方向から斜めに切断して切断部は開口して
   楔形に形成されたポートを、該楔形基端部の２つの斜め
   端面が、バッグの表裏にそれぞれ面するようにシートの
   間に挟んで、斜め端面より上部で固定してなることを特
   徴とする医療用バッグ。