JP2914285B2 - 圧電トランス及びその製造方法 - Google Patents

圧電トランス及びその製造方法

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JP2914285B2
JP2914285B2 JP8074099A JP7409996A JP2914285B2 JP 2914285 B2 JP2914285 B2 JP 2914285B2 JP 8074099 A JP8074099 A JP 8074099A JP 7409996 A JP7409996 A JP 7409996A JP 2914285 B2 JP2914285 B2 JP 2914285B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば高電圧電源
装置などに用いられる圧電トランス及びその製造方法に
関し、特に、圧電板表面に形成する電極(以下、表面電
極と記す)の形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】圧電トランスは、薄板状圧電体の主面上
に入力電極と出力電極とを形成してなるトランス素子に
対し、その主面上の入力電極を介して外部から交流電圧
を印加し、振動させ、振動の結果圧電体に生じる電圧を
出力電極から取り出す構造の振動子の一種である。圧電
体の主面上に形成される入、出力用の表面電極は、圧
電体の振動を阻害しないこと、振動や外力によって磨
耗が起らないこと及び、圧電体からの剥離などが生じ
ないこと、などの条件を備えていなければならない。
【0003】表面電極が具備すべき上記の条件に対し
て、振動に対する阻害度を低減することを目的とした電
極形成方法の一つが、実開昭60ー40124号公報に
開示されている。上記公報記載の圧電振動子では、圧電
体に形成する表面電極のうち圧電体のメイン振動のノー
ド近傍の部分だけを他の部分より厚くして、電極全体を
厚くした場合よりも電極の重量を減らすことによって、
電極による振動の阻害を軽減している。このような電極
を形成するには、先ず、圧電体の所定の部分(この部分
は、形成すべき電極全体に相当し、圧電体の振動のノー
ド点を含む)に、電極用の銀ペーストをスクリーン印刷
する。次いで、上記スクリーン印刷された銀ペースト膜
中の振動のノード点に相当する部分に、再度、適当な形
状で導電性ペーストを印刷する。つまり、振動のノード
点とその近傍部分は、二度印刷されることになる。その
後、全体を一度に焼成して、電極を形成する。このよう
にして、重ね印刷されたノード点とその近傍部分は厚
く、その他の電極部分は薄いという構造の表面電極が形
成される。
【0004】一方、上記表面電極が具備すべき条件のう
ちの、振動や外力による圧電体からの難剥離性を満たす
ために、電極と圧電体との接合強度を向上させることを
目的とした発明が、特開平5ー335861号公報に開
示されている。この公報記載の電極形成方法によれば、
圧電体の主面上の電極を形成すべき部分に銀ペーストを
スクリーン印刷し、その後、大気中において520〜5
80℃の比較的低温で焼成して、電極を形成する。この
方法では、銀ペーストは従来、650〜700℃程度の
比較的高温で焼成するのが一般的であるところを、それ
よりも低い温度で焼成することによって焼成後の電極中
に多数のポアを生じさせ、そのポアのアンカー効果で表
面電極と圧電体との接合強度を向上させている。
【0005】ところで、これまでの説明は飽くまでも、
圧電トランスをトランス素子単独で見たときのものであ
る。しかし、圧電トランスを実用に供するには、外部の
回路とトランス素子表面の電極との接続や、他の回路素
子とトランス素子との絶縁などが必要になり、そのため
に一般的には、トランス素子を外部との接続用端子を備
えるパッケージ内に収納するなど、所謂、実装構造が必
要になる。そして、そのような実装された圧電トランス
には、上述した表面電極による振動の阻害、換言すれば
トランス素子自体に内包される阻害要因に加えて、実装
構造による振動阻害の問題がある。このような実装構造
に起因する振動の阻害、特に、パッケージ側のリード端
子とトランス素子側の表面電極との接触による振動の阻
害改善を目的の一つとする圧電トランスの実装方法が、
この出願発明の譲受人と同一の譲受人による特願平7ー
39912号に記載されている。この発明によるばね接
点構造を用いた圧電トランスの分解斜視図を、図6に示
す。又、断面図を、図7に示す。図7は、図6中のAー
A切断線で切ったときの断面を示す。
【0006】図6,7を参照して、圧電トランス素子5
1が、上部ケース41Aと下部ケース41Bとに囲まれ
る空間内に収納されている。トランス素子51の上面に
は長手方向の両端側にそれぞれ位置する二つの入力電極
52Aと、中央に位置するストライプ状の出力電極53
Aの計三つの表面電極が独立に形成されている。トラン
ス素子51の下面には、上面の各電極に対向する位置毎
に、計三つの表面電極が形成されている。上部ケース4
1Aにはその側壁から水平方向に、トランス素子51の
上側の入力電極52Aの中心迄、上部リード端子42A
が伸びている。そして、先端付近でトランス素子51側
にV字状に折り曲げられ、接点部54Aで入力電極52
Aに接している。同様に、下部ケース41Bの側壁から
は下部リード端子42Bが、トランス素子51の下面側
の入力電極52Bの中心迄水平に伸び、先端が折り曲げ
られて、接点部54Bで入力電極52Bに接している。
上下のリード端子42A,42Bはそれぞれ、例えば錫
めっきを施したりん青銅の板材などを加工したもので、
ばね性を持ち、上下のケース41A,41Bの側壁にこ
れを内外に貫通するようにして、インサートモールド工
法によって埋め込まれている。側壁の外部に延在する部
分が、外部との接続部分となる。このような構造の上部
リード端子および下部リード端子が、トランス素子51
のもう一方の入力電極および出力電極にも設けられてい
る。
【0007】このようなパッケージを用いると、トラン
ス素子の振動を阻害することのない接点(トランス素子
の表面電極とパッケージ側のリード端子との接点)構造
が得られるのみならず、トランス自体の組立ての容易性
や他の回路素子と共に高圧電源装置などを実現するとき
の実装性にも優れた圧電トランスが実現できる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、圧電
トランスにおいては、トランス素子に形成された表面電
極やパッケージに収納した場合の実装構造がトランス素
子の振動を阻害しないこと及び、トランス素子の振動や
外力によって表面電極の磨耗や圧電体からの剥離などが
生じないことが重要である。そして、上述した三つの発
明によれば、それぞれ、表面電極による振動阻害の防止
(実開昭60ー40124号公報)、表面電極の圧電体
からの難剥離性の向上(特開平5ー335861号公
報)及び、実装構造による振動の阻害防止(特願平7ー
39912号)が実現できる。更に、上記三つの発明を
組み合せることによって、ばね性を示すリード端子を持
つパッケージに収納された圧電トランスであって、トラ
ンス素子の表面電極や実装構造による振動の阻害がな
く、しかも、表面電極と圧電体との接合強度に優れた圧
電トランスを得られるものと期待できる。
【0009】しかし、そのような、三つの発明を組み合
せて得られる、ばね性リード端子を持つパッケージに収
納、実装された構造の圧電トランスには、表面電極の耐
磨耗性の問題が残る。以下にその説明を行う。
【0010】先ず、実開昭60ー40124号公報に開
示された電極形成方法で、ノード点近傍の電極厚さを他
の部分の電極厚さより厚く形成しようとするとき、始め
に電極全体に相当する部分に導電性ペーストをスクリー
ン印刷して乾燥させ、次に、この導電性ペースト膜上の
振動のノード点に相当する部分に再度導電性ペーストを
スクリーン印刷し、その後、全体を焼成して表面電極を
一度に形成する。この方法によれば、ノード点近傍の厚
い導電性ペースト膜と他の部分の薄い導電性ペースト膜
とで、焼成条件が同一になる。ところで、圧電トランス
の特性からは電極用ペースト膜の焼成温度を低くする方
が有利である。焼成温度が高いと、焼成後の表面電極と
圧電体との接合強度が低下し、電極の剥離が起り易くな
るからである。一方、電極の耐磨耗性の点からは、焼成
温度を高くして焼成状態を進める方が有利である。つま
り、表面電極の難剥離性と耐磨耗性とは焼成温度に関し
てトレードオフになり、一つの焼成温度で両者を両立さ
せることは困難である。
【0011】次に、特開平5ー335861号公報にお
いては、表面電極と圧電体との接合強度を向上させるた
めに、電極用導電性ペーストの焼成温度を通常より下
げ、焼成状態を抑制して焼成後の電極をポーラスな状態
にする。このようにすれば、表面電極の難剥離性は向上
するが、電極の焼成が不十分であるので、結局は上述し
た電極形成方法におけると同様に、パッケージ側のばね
性リード端子との接点部分の電極磨耗が生じ易くなる。
【0012】特願平7ー39912号に記載されたよう
な、ばね接点構造の圧電トランスにおいては、パッケー
ジ側のリード端子とトランス素子の表面電極との接点を
トランス素子の振動のノード点に位置するようにして、
表面電極とリード端子との接触による電極の磨耗を小さ
くするようにしている、しかし、上記のノード点は、長
手方向の振動におけるノード点であって、厚さ方向を考
えると、上記ノード点すなわち接点の部分でも、厚さ方
向には振動しているのである。このため、長時間の駆動
の最中に、電極が磨耗する危険がある。又、接点は固定
接点ではないので、外部から振動が加わった場合に接点
部に摺動が表われ、やはり電極が磨耗する危険がある。
【0013】従って本発明は、トランス素子に形成され
る表面電極のうち振動のノード点近傍の厚さだけを他の
電極部分より厚くした構造の圧電トランスを製造する方
法であって、特に、上記ノード点近傍の厚い電極部分に
おける耐磨耗性を、表面電極と圧電体との難剥離性を確
保しつつ、向上させ得る製造方法を提供することを目的
とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の圧電トランス
は、長板状の圧電体を長手方向に亘って、外部から交流
電圧を与えられて前記圧電体に振動を生じさせる少くと
も一つ以上の駆動領域と、前記振動に応じて電圧を生じ
る少くとも一つ以上の発電領域に区分し、圧電体の前記
各各の領域の表面に、前記交流電圧を与えるための入力
電極又は前記圧電体に生じた電圧を取り出すための出力
電極を設けてなる圧電トランスにおいて、前記各各の電
極は、前記圧電体に生じる振動のノード点とその近傍に
形成された耐磨耗度の高い厚い導電性の突起と、前記突
起とその周辺とを覆う耐磨耗度の低い薄い導電性の薄膜
とからなることを特徴とする。
【0015】上記の圧電トランスは、長板状の圧電体を
長手方向に亘って、外部から交流電圧を与えられて前記
圧電体に振動を生じさせる少くとも一つ以上の駆動領域
と、前記振動に応じて電圧を生じる少くとも一つ以上の
発電領域に区分し、圧電体の前記各各の領域の表面に、
前記交流電圧を与えるための入力電極又は前記圧電体に
生じた電圧を取り出すための出力電極を設ける電極形成
工程を含む圧電トランスの製造方法において、前記電極
形成工程が、前記圧電体に生じる振動のノード点とその
近傍に、耐磨耗度の高い厚い導電性の突起を設ける第1
の工程と、前記突起とその周辺とを覆う、耐磨耗度の低
い薄い導電性の薄膜を形成する第2の工程とを含むこと
を特徴とする製造方法により製造される。
【0016】前記第1の工程では、銀粒子を含む銀ペー
スト層を厚く形成した後、温度700℃以上、740℃
以下で焼成し、前記第2の工程では、銀粒子を含む銀ペ
ースト層を薄く形成した後、温度600℃以上、640
℃以下で焼成することにより電極が形成される。
【0017】或いは、前記第1の工程では、銀・パラジ
ウム粒子を含む銀・パラジウムペースト層を厚く形成し
た後、温度830℃以上、870℃以下で焼成し、前記
第2の工程では、銀・パラジウム粒子を含む銀・パラジ
ウムペースト層を薄く形成した後、温度700℃以上、
740℃以下で焼成することにより、電極が形成され
る。
【0018】又、本発明の圧電トランスは、長板状の圧
電体を長手方向に亘って、外部から交流電圧を与えられ
て前記圧電体に振動を生じさせる少くとも一つ以上の駆
動領域と、前記振動に応じて電圧を生じる少くとも一つ
以上の発電領域に区分し、圧電体の前記各各の領域の表
面に、前記交流電圧を与えるための入力電極又は前記圧
電体に生じた電圧を取り出すための出力電極を設けてな
る圧電トランスにおいて、前記各各の電極は、前記圧電
体に生じる振動のノード点を含む部分に形成された耐磨
耗度の低い薄い導電性の薄膜と、前記薄膜上の前記ノー
ド点とその近傍に形成された耐磨耗度の高い厚い導電性
の突起とからなることを特徴とする。
【0019】上記の圧電トランスは、長板状の圧電体を
長手方向に亘って、外部から交流電圧を与えられて前記
圧電体に振動を生じさせる少くとも一つ以上の駆動領域
と、前記振動に応じて電圧を生じる少くとも一つ以上の
発電領域に区分し、圧電体の前記各各の領域の表面に、
前記交流電圧を与えるための入力電極又は前記圧電体に
生じた電圧を取り出すための出力電極を設ける電極形成
工程を含む圧電トランスの製造方法において、前記電極
形成工程が、前記圧電体に生じる振動のノード点を含む
部分に、耐磨耗度の低い薄い導電性の薄膜を形成する第
1の工程と、前記薄膜上の前記ノード点とその近傍に、
耐磨耗度の高い厚い導電性の突起を形成する第2の工程
とを含むことを特徴とする製造方法により製造される。
【0020】前記第1の工程では、金属粒子を含む導電
性ペースト層を薄く形成した後、焼成を行い、前記第2
の工程では、前記突起を形成すべき部分以外の部分をマ
スクして、前記突起を形成すべき部分に金、ニッケル及
びクロムのいずれかのめっきを施すことにより電極が形
成される。
【0021】或いは、前記第1の工程では、金属粒子を
含む導電性ペースト層を薄く形成した後、焼成を行い、
前記第2の工程では、前記薄膜膜上の前記振動のノード
点に、金、ニッケル及びクロムのいずれかの小片を導電
性接着剤により固着することにより電極が形成される。
【0022】本発明によれば、表面電極のうち振動のノ
ード点とその近傍のみを厚くする。従って、電極による
振動の阻害は小さい。しかも、ノード点付近の厚い部分
(突起)の耐磨耗度を高くしているので、この部分の耐
磨耗性は、高い。一方、ノード点付近以外の薄い部分
は、比較的低温で焼成することにより完全な焼成状態に
はしないので、圧電体との接合強度は高い。
【0023】
【発明の実施の形態】次に、本発明の幾つかの実施の形
態について、図面を参照して説明する。
【0024】(第1の実施の形態)図1は、本発明の第
1の実施の形態による圧電トランスの製造プロセスを示
す図である。本実施の形態では、図1に示す製造プロセ
スによって、図2にその斜視図を示す圧電トランス素子
1を作製し、図3に断面図を示すばね接点構造のリード
端子を持つパッケージに収納し、実装して、パッケージ
入りの圧電トランス40を得た。
【0025】始めに図2を参照して、この図に示すトラ
ンス素子1は、長板状の圧電セラミック板10の上面
に、二つの入力電極20,20と一つの出力電極30の
計三つの表面電極を備えている。入力電極20,20は
それぞれ、セラミック板10の長手方向の両端側に、広
い面積をもって形成されている。出力電極30は、セラ
ミック板10の長手方向の中央に、二つの入力電極2
0,20に挟まれて、幅方向に延びる帯状に設けられて
いる。入力電極20,20及び出力電極30のそれぞれ
は、各電極毎の中央に、平面形状正方形の小さな接点突
起21,21,31を有している。それぞれの接点突起
の位置は、トランス素子1の長手方向の振動のノード点
に当る。トランス素子1の下面にも、図示はされていな
いが、上面の電極に対向する位置毎に、中央に接点突起
を持つ計三つの表面電極が形成されている。尚、セラミ
ック板10のうち入力電極20が形成された領域は通
常、駆動部2と呼ばれ、入力電極20と出力電極30と
の間の領域は、発電部3と呼ばれる。
【0026】本発明者は、図2に示す圧電トランス素子
1を、以下のようにして作製した。先ず、圧電性セラミ
ック粉末(商品名NEPEC8:(株)トーキン)を用
い、幅10.0mm×長さ42.0mm×厚さ1.0m
mの長板状に成形・加工し、焼成してセラミック板10
を得た(図1(a))。
【0027】次に、接点突起21,21,31を形成す
べき位置に、銀ペーストをスクリーン印刷し、焼成した
(図1(b))。焼成条件は、温度700〜740℃、
時間10分間である。得られた突起は、面積1mm2
厚さ20±5μmである。
【0028】次いで、入力電極20,20及び出力電極
30を形成すべき部分に、銀ペーストをスクリーン印刷
し、焼成した(図1(c))。焼成条件は、温度600
〜640℃、時間10分間である。得られた各電極の厚
さは、5±2μmである。
【0029】この後、分極用治具を用いて、発電部3を
分極した。分極は、温度300〜350℃の空気中で電
界0.5〜0.7kV/mmを印加し、電界印加状態で
100℃まで温度を下げた後、印加している電界を切る
方法で行った。
【0030】続いて、駆動部2を分極した。分極は、温
度100〜200℃のシリコーンオイル中で、電界2〜
3kV/mmを印加する方法で行った。このようにし
て、トランス素子1を得た。
【0031】最後に、得られたトランス素子1をばね性
リード端子を備えるパッケージに収納して、図3に断面
図を示す本実施の形態のパッケージ入り圧電トランスを
完成した。本実施の形態におけるパッケージは、図7に
示した従来のパッケージ入り圧電トランスに用いられた
パッケージと同一で、上・下の各リード端子は、先端の
折れ曲った部分が、接点部43A,43Bで、トランス
素子の表面電極内に設けられた接点突起21,21,3
1にそれぞれ接触している。
【0032】本実施の形態によるパッケージ入り圧電ト
ランスは、効率97%、昇圧比15倍の良好なトランス
特性を示した。又、接点の信頼性について評価した結
果、2000時間まで連続駆動させても問題はなかっ
た。
【0033】次に、図4に、入力電極20,20及び出
力電極30の厚さを変えて圧電トランスの効率を測定し
た結果を示す。図4を参照して、表面電極の厚さが減少
して行くに従って効率は高くなって行くが、スクリーン
印刷法により薄い印刷膜を安定に形成できる電極の厚さ
を調べた結果、5±2μmが安定に膜形成できる限界で
あった。
【0034】また、図5に、入力電極20,20及び出
力電極30の焼成温度を変えて圧電トランスの効率を測
定した結果を示す。図5を参照して、表面電極の焼成温
度が低くなるに従って効率は向上する。しかし、電極の
焼成状態を調べた結果、600℃より低い温度では銀ペ
ーストが殆ど焼成されず、本実施の形態における600
〜640℃の焼成温度が、圧電トランスの効率を十分高
く保ちながら安定に焼成できる限界であった。
【0035】本実施の形態では更に、表面電極中の接点
突起21,21,31の厚さ及び焼成温度を変えて焼成
し、接点の信頼性を調査した。始めに、焼成温度が70
0℃より低い場合は、接点突起の厚さが5〜15μmで
は、2000時間迄に電極の磨耗(5〜10μm)が生
じ接点不良が発生した。不良率は30%であった。一
方、接点突起の厚さを15〜25μmに増加したもので
は、接点不良発生率5%に改善された。しかしこの場合
でも、電極の磨耗は同様に発生した。
【0036】次に、同様にして接点突起の厚さを変えな
がら、温度700〜740℃の範囲で焼成したものにつ
いて、接点の信頼性を調査した。この場合、電極の磨耗
は高高1μm以下で、殆ど見られなかった。しかし、ス
クリーン印刷の作業性の面では、接点突起の厚さが15
〜25μmのときが最も良かった。
【0037】(第2の実施の形態)次に、本発明の第2
の実施の形態として、第1の実施の形態における銀ペー
ストに替えて、銀・パラジウム合金ペーストを用いて表
面電極を形成した。用いた銀・パラジウム合金ペースト
は、Ag:Pd比=70:30のものである。接点突起
21,21,31の焼成は、温度830〜870℃、時
間10分間の条件で実施し、入力電極20,20,30
は、温度700〜740℃、時間10分間の条件で焼成
した。
【0038】得られたパッケージ入り圧電トランスの特
性は、効率および昇圧比とも、銀100%電極品(第1
の実施の形態)と同等レベルであった。又、銀100%
電極品の場合と同様にして接点の信頼性を調査した結
果、4000時間まで電極の磨耗は見られず、接点の信
頼性は銀100%電極品よりも向上していた。
【0039】(第3の実施の形態)本実施の形態では、
接点突起に、めっきを用いた。すなわち、先ず、セラミ
ック板上の入力電極20,20及び出力電極30を形成
すべき部分に、スクリーン印刷により、厚さ5±2μm
の銀ペースト薄膜または銀・パラジウム合金薄膜を形成
し、焼成した。形成方法は、第1の実施の形態または第
2の実施の形態におけると同じである。
【0040】次いで、接点突起21,21,31を形成
すべき部分以外の部分をマスクし、電界めっき法を用い
て、接点突起の部分に厚さ15μmのニッケルめっきを
施した。
【0041】このようにして得られたパッケージ入り圧
電トランスの特性は、効率および昇圧比とも、第1の実
施の形態および第2の実施の形態と同等レベルであっ
た。
【0042】(第4の実施の形態)本実施の形態では、
接点突起に、金属小片を用いた。すなわち、先ず、セラ
ミック板上の入力電極20,20及び出力電極30を形
成すべき部分に、スクリーン印刷により、厚さ5±2μ
mの銀ペースト薄膜または銀・パラジウム合金薄膜を形
成し、焼成した。形成方法は、第1の実施の形態または
第2の実施の形態におけると同じである。
【0043】次に、接点突起21,21,31を形成す
べき部分に、1mm2 のニッケル小片を接着した。接着
にはエポキシ系の導電性接着剤を用い、温度170℃、
時間15分間の条件で硬化させた。
【0044】このようにして得られたパッケージ入り圧
電トランスの特性は、効率および昇圧比とも、第1の実
施の形態および第2の実施の形態と同等レベルであっ
た。また、接点の信頼性を調査したが、電極磨耗は見ら
れなかった。
【0045】尚、これまで、ばね接点構造のパッケージ
に収納、実装された圧電トランスを例にして説明してき
たが、リード端子に替えてリード線を表面電極の接点近
傍にはんだ付けなどにより直接接合した構造であっても
良い。この場合には、トランス駆動時の振動阻害をより
緩和できる効果があった。
【0046】又、トランス素子は、入力電極を二組備え
るものを例にして説明したが、圧電体に交流電圧が印加
できる構造であれば、一組であっても良い。出力電極
は、二組以上であっても良い。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、長板状圧電体の長
手方向に亘って少くとも一つの入力電極と出力電極とが
主面上に対向配置してなる圧電トランスの接点近傍の電
極の厚さを厚く形成し焼成した後、接点近傍以外の電極
の厚さを薄く形成し、全体を先の焼成温度より低い温度
で焼成するという本発明の圧電トランスの製造方法によ
れば、ばね接点構造により実装して圧電トランスを用い
た場合において、信頼性が高く、接点部の耐磨耗性の問
題もなく、十分なトランス特性が得られるという効果が
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による圧電トランス
素子の製造プロセスを工程順に示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態による圧電トランス
素子の斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態による圧電トランス
素子の断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態によるばね接点構造
パッケージ入りの圧電トランスにおける、表面電極の厚
さとトランスの効率との関係を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態によるばね接点構造
パッケージ入りの圧電トランスにおける、表面電極の焼
成温度とトランスの効率との関係を示す図である。
【図6】従来のばね接点構造パッケージ入りの圧電トラ
ンスの分解斜視図である。
【図7】図6に示す圧電トランスの断面図である。
【符号の説明】
1 トランス素子 2 駆動部 3 発電部 10 セラミック板 20,20A,20B 入力電極 30 出力電極 21,31 接点突起 40 圧電トランス 41A,41B ケース 42A,42B リード端子 43A,43B 接点部 51 トランス素子 52A 入力電極 53A 出力電極 54A,54B 接点部

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長板状の圧電体を長手方向に亘って、外
    部から交流電圧を与えられて前記圧電体に振動を生じさ
    せる少くとも一つ以上の駆動領域と、前記振動に応じて
    電圧を生じる少くとも一つ以上の発電領域に区分し、圧
    電体の前記各各の領域の表面に、前記交流電圧を与える
    ための入力電極又は前記圧電体に生じた電圧を取り出す
    ための出力電極を設けてなる圧電トランスにおいて、 前記各各の電極は、前記圧電体に生じる振動のノード点
    とその近傍に形成された耐磨耗度の高い厚い導電性の突
    起と、前記突起とその周辺とを覆う耐磨耗度の低い薄い
    導電性の薄膜とからなることを特徴とする圧電トラン
    ス。
  2. 【請求項2】 長板状の圧電体を長手方向に亘って、外
    部から交流電圧を与えられて前記圧電体に振動を生じさ
    せる少くとも一つ以上の駆動領域と、前記振動に応じて
    電圧を生じる少くとも一つ以上の発電領域に区分し、圧
    電体の前記各各の領域の表面に、前記交流電圧を与える
    ための入力電極又は前記圧電体に生じた電圧を取り出す
    ための出力電極を設けてなる圧電トランスにおいて、 前記各各の電極は、前記圧電体に生じる振動のノード点
    を含む部分に形成された耐磨耗度の低い薄い導電性の薄
    膜と、前記薄膜上の前記ノード点とその近傍に形成され
    た耐磨耗度の高い厚い導電性の突起とからなることを特
    徴とする圧電トランス。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の圧電トランスにおいて、 前記突起及び前記薄膜が導電性ペースト膜を焼成したも
    のであり、前記突起は前記薄膜より高い温度で焼成され
    たものであることを特徴とする圧電トランス。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の圧電トランスにおいて、 前記突起及び前記薄膜が銀粒子を含む銀ペーストから得
    られたものであり、前記突起は、銀ペースト膜が温度7
    00℃以上、740℃以下で焼成されたものであり、前
    記薄膜は、銀ペースト膜が温度600℃以上、640℃
    以下で焼成されたものであることを特徴とする圧電トラ
    ンス。
  5. 【請求項5】 請求項3記載の圧電トランスにおいて、 前記突起及び前記薄膜が銀・パラジウム合金粒子を含む
    銀・パラジウム合金ペーストから得られたものであり、
    前記突起は、銀・パラジウム合金ペースト膜が温度83
    0℃以上、870℃以下で焼成されたものであり、前記
    薄膜は、銀ペースト膜が温度700℃以上、740℃以
    下で焼成されたものであることを特徴とする圧電トラン
    ス。
  6. 【請求項6】 請求項2記載の圧電トランスにおいて、 前記薄膜が金属粒子を含む導電性ペースト膜を焼成した
    ものであり、前記突起が、金、ニッケル及びクロムのい
    ずれかのめっき層であることを特徴とする圧電トラン
    ス。
  7. 【請求項7】 請求項2記載の圧電トランスにおいて、 前記薄膜が金属粒子を含む導電性ペースト膜を焼成した
    ものであり、前記突起が、金、ニッケル及びクロムのい
    ずれかの小片を導電性接着剤により固着したものである
    ことを特徴とする圧電トランス。
  8. 【請求項8】 長板状の圧電体を長手方向に亘って、外
    部から交流電圧を与えられて前記圧電体に振動を生じさ
    せる少くとも一つ以上の駆動領域と、前記振動に応じて
    電圧を生じる少くとも一つ以上の発電領域に区分し、圧
    電体の前記各各の領域の表面に、前記交流電圧を与える
    ための入力電極又は前記圧電体に生じた電圧を取り出す
    ための出力電極を設ける電極形成工程を含む圧電トラン
    スの製造方法において、 前記電極形成工程が、前記圧電体に生じる振動のノード
    点とその近傍に、耐磨耗度の高い厚い導電性の突起を設
    ける第1の工程と、 前記突起とその周辺とを覆う、耐磨耗度の低い薄い導電
    性の薄膜を形成する第2の工程とを含むことを特徴とす
    る圧電トランスの製造方法。
  9. 【請求項9】 長板状の圧電体を長手方向に亘って、外
    部から交流電圧を与えられて前記圧電体に振動を生じさ
    せる少くとも一つ以上の駆動領域と、前記振動に応じて
    電圧を生じる少くとも一つ以上の発電領域に区分し、圧
    電体の前記各各の領域の表面に、前記交流電圧を与える
    ための入力電極又は前記圧電体に生じた電圧を取り出す
    ための出力電極を設ける電極形成工程を含む圧電トラン
    スの製造方法において、 前記電極形成工程が、前記圧電体に生じる振動のノード
    点を含む部分に、耐磨耗度の低い薄い導電性の薄膜を形
    成する第1の工程と、 前記薄膜上の前記ノード点とその近傍に、耐磨耗度の高
    い厚い導電性の突起を形成する第2の工程とを含むこと
    を特徴とする圧電トランスの製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項8記載の圧電トランスの製造方
    法において、 前記第1の工程では、銀粒子を含む銀ペースト層を厚く
    形成した後、温度700℃以上、740℃以下で焼成
    し、 前記第2の工程では、銀粒子を含む銀ペースト層を薄く
    形成した後、温度600℃以上、640℃以下で焼成す
    ることを特徴とする圧電トランスの製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項8記載の圧電トランスの製造方
    法において、 前記第1の工程では、銀・パラジウム粒子を含む銀・パ
    ラジウムペースト層を厚く形成した後、温度830℃以
    上、870℃以下で焼成し、 前記第2の工程では、銀・パラジウム粒子を含む銀・パ
    ラジウムペースト層を薄く形成した後、温度700℃以
    上、740℃以下で焼成することを特徴とする圧電トラ
    ンスの製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項9記載の圧電トランスの製造方
    法において、 前記第1の工程では、金属粒子を含む導電性ペースト層
    を薄く形成した後、焼成を行い、 前記第2の工程では、前記突起を形成すべき部分以外の
    部分をマスクして、前記突起を形成すべき部分に金、ニ
    ッケル及びクロムのいずれかのめっきを施すことを特徴
    とする圧電トランスの製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項9記載の圧電トランスの製造方
    法において、 前記第1の工程では、金属粒子を含む導電性ペースト層
    を薄く形成した後、焼成を行い、 前記第2の工程では、前記薄膜上の前記振動のノード点
    に、金、ニッケル及びクロムのいずれかの小片を導電性
    接着剤により固着することを特徴とする圧電トランスの
    製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項1から請求項7のいずれかに記
    載の圧電トランスと、 前記圧電トランスを内部に収納するパッケージであっ
    て、側壁からそれぞれ前記圧電トランスの主面上の各各
    の電極上に水平に延びる、ばね性を持つ複数のリード端
    子を有するパッケージとからなり、 前記圧電トランス表面の各各の電極の振動のノード点に
    設けられた突起と、前記パッケージのリード端子の先端
    部分とが、ばね圧により接触する構造のパッケージ入り
    の圧電トランス。
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