JP2907011B2 - 熱処理歪みの少ない窒化鋼部材の製造方法 - Google Patents
熱処理歪みの少ない窒化鋼部材の製造方法Info
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Description
性が要求される機械構造用部品等に適した、熱処理歪み
の少ない窒化鋼部材の製造方法に関する。
は、耐摩耗性や疲労特性等を付与するために浸炭焼入れ
等の表面硬化処理が施されている。しかし、従来より広
く利用されている浸炭処理はマルテンサイト変態を伴う
表面硬化法であるため熱処理歪みが大きく、高い寸法精
度が要求される部品では浸炭処理の後に研磨等の工程が
必要となり製造コストの上昇を招く等の問題点を有して
いる。
熱処理を行うために熱処理歪みが少ない表面硬化処理で
ある。このため、特開平5−25538号公報には、C
r−Mo−V鋼を用いて軟窒化処理を行う低歪み部材の
製造方法が開示されている。また、特開平3−1085
4号公報には母材組織がベイナイトを含む鋼に対して低
温焼鈍処理を行った後に窒化処理を行う窒化鋼部材の製
造方法が開示されている。
5−25538号公報に開示されている技術では、浸炭
処理に比較すれば歪みが少ない部材が得られるが、55
0〜600℃での通常の条件で窒化処理を行っているた
めに、表層部に厚い化合物層が生成し、これが歪みの原
因となる。また、特開平3−10854号公報に開示さ
れた技術は低温焼鈍によりベイナイト変態時の内部応力
が解放されるためにその後の窒化処理での歪みは小さく
なるが、窒化条件によっては厚い化合物層が生成するた
め、歪みが発生するという問題がある。
のであって、優れた耐摩耗性及び疲労強度を得るために
必要な高い表面高度と大きな硬化層深さを有し、かつ熱
処理歪みが少ない窒化鋼部材の製造方法を提供すること
を目的とする。
は、窒化処理により生じる歪みと窒化条件及び合金元素
との関係について詳細に検討した結果、以下の2つの知
見を得るに至った。第1に、窒化により部品の表層部に
化合物層が生成すると、大きな膨張を伴うため、歪みが
大きくなる。化合物層の生成を抑制する窒化処理方法と
して従来から2段窒化法が採用されているが、2段窒化
法では十分な硬化層深さが得られず耐摩耗性、疲労特性
が劣っていた。これに対し、処理開始温度及び処理終了
温度をある特定の温度範囲に規定し、その間を連続的に
昇温する窒化処理方法を適用すれば、化合物層の生成が
抑制されるために熱処理歪みが小さく、かつ高い表面硬
度と大きな硬化層深さが得られる。
得るためには、Cr、Al、Vの添加が必要であるが、
中でもCrは化合物層の生成を大幅に抑制することか
ら、窒化処理出の歪みを提言する多面じ非常に有効な元
素である。このことを図1に示す。図1は、0.3C−
0.3Si−0.5Mn−0.03Al−0.2V鋼に
対してCr添加量を変化させた鋼に対して窒化処理を行
った場合の化合物層厚さとCr量との関係を示したもの
であるが、この図から0.5wt%以上のCr添加によ
り化合物層の厚さが大幅に低下していることがわかる。
れたものであって、第1に、C:0.10〜0.40w
t%、Si:0.05〜1.0wt%、Mn:0.1〜
1.0wt%、Cr:0.5〜1.5wt%、V:0.
05〜1.0wt%、Al:0.01〜0.10wt%
を含有する鋼に対し、処理開始温度が480〜550
℃、処理終了温度が560〜630℃の範囲であり、処
理開始から処理終了までを連続的に昇温させる窒化処理
を施すことを特徴とする、熱処理歪みの少ない窒化鋼部
材の製造方法を提供するものである。
Si:0.05〜1.0wt%、Mn:0.1〜1.0
wt%、Cr:0.5〜1.5wt%、V:0.05〜
1.0wt%、Al:0.01〜0.10wt%、M
o:1.5wt%以下を含有する鋼に対し、処理開始温
度が480〜550℃、処理終了温度が560〜630
℃の範囲であり、処理開始から処理終了までを連続的に
昇温させる窒化処理を施すことを特徴とする、熱処理歪
みの少ない窒化鋼部材の製造方法を提供するものであ
る。
る。先ず化学成分の限定理由について示す。 (1)C:0.10〜0.40wt% Cは強度確保のため必要な元素である。しかし、その量
が0.1wt%未満では十分な芯部強度が得られない。
一方、0.40wt%を超えると素材強度が高くなりす
ぎ靭性が劣化するばかりでなく、被削性等の加工性も著
しく低下する。従ってC量を0.10〜0.40wt%
の範囲とした。
要な元素であるが、0.05wt%未満では所望の効果
が得られず、1.0wt%を超えると靭性が低下する。
従ってSi量を0.05〜1.0wt%の範囲とした。
t%未満では必要な強度が得られず、1.0wt%を超
えると靭性が低下する。従ってMn量を0.1〜1.0
wt%の範囲とした。
せ、また化合物層の生成を抑制することで歪みを低減さ
せる元素である。しかし、その量が0.5wt%未満で
はその効果が小さく、1.5wt%を超えると硬化層深
さに悪影響を及ぼす。従ってCr含有量を0.5〜1.
5wt%の範囲とした。
量が0.05wt%未満ではその効果が不十分であり、
1.0wt%を超えて添加してもその効果が飽和すると
共にコスト的にも不利になる。従ってV量を0.05〜
1.0wt%の範囲とした。
しかし、その量が0.01wt%未満では窒化処理後の
表面硬度が低く、必要な耐摩耗性、疲労特性が得られな
い。一方、0.10wt%を超えると硬化層深さに悪影
響を及ぼす。従ってAl量を0.01〜0.10wt%
の範囲とした。
層深さを増加させる元素であるから、上記元素に加えて
添加することが有効である。しかし、1.5wt%を超
えて添加すると素材強度が高くなりすぎ、被削性、冷間
鍛造性が低下するばかりでなく、窒化処理による膨張量
が大きくなりすぎるため歪みが大きくなる。従ってMo
添加量を1.5wt%以下とする。
上記元素の他、不可避的に含まれるP、S、被削性改善
のためのPb、Ca等を含有してもよく、これらの元素
の含有により本発明の目的とする特性が損なわれるもの
ではない。
す。 (1)処理開始温度:480〜550℃ 処理開始温度が480℃未満では窒化反応が遅いため有
効な硬化深さが得られず、一方、550℃を超えると化
合物層厚さが大きくなるために歪みが増大する。従って
窒化処理開始温度を480℃〜550℃の範囲に規定し
た。
有効な硬化深さが得られず、一方、630℃を超えると
表面硬さが低下し必要な耐摩耗性が得られない。従って
窒化処理終了温度を560〜630℃の範囲に規定し
た。
に昇温 処理開始から終了まで連続的に昇温することにより、低
温で化合物が形成されてもすぐに昇温されて化合物層が
消滅しやすく、結果として化合物層の生成が抑制され、
また大きな硬化深さが得られるため、熱歪みが少なくな
るからである。なお、本発明では処理開始から処理終了
までを連続的に昇温させる限りその態様は限定されない
が、直線的に昇温することが好ましい。
gを真空溶解により溶製し、熱間圧延により60mmφ
の丸棒とした後、950℃×1時間の焼ならし処理を行
なった。そして、図2に示すような、外径:a=52m
m、内径:b=46mm、肉厚:t=3mm、高さ:c
=10mmのリング状試験片を作成し、窒化処理を施し
た。窒化処理はN2 −NH3 −CO2 雰囲気のガス窒化
炉を用い、図3に示す3つの温度パターンで処理開始温
度、処理終了温度を変化させ、処理時間20時間の窒化
処理を施した。
て熱歪みを測定し、窒化処理後の表面硬さ(表面から
0.05mmの位置の硬さ)、硬化層深さ(Hv420
になる深さ)及び化合物層厚さ(表面に形成された窒化
物層の厚さ)の測定も行った。熱処理歪みは窒化処理前
後でのリング状試料の外形の変形量(窒化後の外径−窒
化処理前の外径)で評価し、同一試料10個の平均値で
表した。これらの結果を表2に示す。なお、記号A〜D
は本発明例であり、記号E〜Lは本発明の窒化処理条件
から外れる比較例である。
記号A〜Dはいずれも、表面硬さ、表面層深さが大き
く、かつ化合物層厚さが小さいために外形変形量が小さ
かった。
の傾斜窒化法を採用してはいるが、処理開始温度又は処
理終了温度が本発明の範囲から外れており、硬化層深さ
が劣るか、又は化合物層厚さが厚くなり外径変化量が増
大した。
あり、化合物層厚さは小さいため歪みが少ないが、硬化
層深さが小さかった。記号K,Lは最も一般的な一段の
窒化方法を採用したものであり、No.Kは窒化温度が
低すぎるために硬化層深さが小さく、No.Lは化合物
層厚さが厚すぎるために外径変化量が著しく増大した。
を有する鋼150kgを真空溶解により溶製し、熱間圧
延により60mmφの丸棒とした後、950℃×1時間
の焼ならし処理を行なった。そして、実施例1と同様の
リング状試験片を作成し、窒化処理を施した。窒化処理
はN2 −NH3 −CO2 雰囲気のガス窒化炉を用い、処
理開始温度:510℃、処理終了温度:620℃、処理
時間:20時間の傾斜窒化法によって行った。これら試
験片について実施例1と同様に表面硬さ、硬化層深さ、
化合物層厚さ、及び外形変形量を測定した。その結果を
表4に示す。なお、表3及び表4において、No.1〜
6は本発明例であり、No.7〜12は比較例である。
No.1〜6はいずれも窒化処理後の表面硬さがHv6
50以上、硬化層深さが0.45mm以上となるために
耐摩耗性、疲労特性に優れ、かつ外径変化量が小さく熱
処理歪みが少ないことが確認された。
発明で規定する範囲よりも低いために硬化層深さが小さ
く、また化合物層が厚いため外形変形量が大きくなっ
た。またNo.8はCr量が本発明で規定する範囲より
も高く、高い表面硬度が得られるが、硬化層深さが小さ
くなった。No.9はAlが本発明で規定する範囲より
も少ないために表面硬さが小さく、またNo.10はA
l量が多いために硬化層深さが小さかった。No.12
はMo量が本発明出規定する範囲よりも多いため、高い
表面硬度及び大きい硬化層深さが得られるものの、窒化
処理による膨張量が多くなり、歪みが大きくなった。
の生成が非常に少ないため窒化処理での熱処理歪みが小
さく、かつ高い表面硬度と大きな硬化層深さが得られる
ため耐摩耗性、疲労特性が優れた窒化鋼部材が得られ
る。
係を示す図。
ーンを示す図。
Claims (2)
- 【請求項1】 C:0.10〜0.40wt%、Si:
0.05〜1.0wt%、Mn:0.1〜1.0wt
%、Cr:0.5〜1.5wt%、V:0.05〜1.
0wt%、Al:0.01〜0.10wt%を含有する
鋼に対し、処理開始温度が480〜550℃、処理終了
温度が560〜630℃の範囲であり、処理開始から処
理終了までを連続的に昇温させる窒化処理を施すことを
特徴とする、熱処理歪みの少ない窒化鋼部材の製造方
法。 - 【請求項2】 C:0.10〜0.40wt%、Si:
0.05〜1.0wt%、Mn:0.1〜1.0wt
%、Cr:0.5〜1.5wt%、V:0.05〜1.
0wt%、Al:0.01〜0.10wt%、Mo:
1.5wt%以下を含有する鋼に対し、処理開始温度が
480〜550℃、処理終了温度が560〜630℃の
範囲であり、処理開始から処理終了までを連続的に昇温
させる窒化処理を施すことを特徴とする、熱処理歪みの
少ない窒化鋼部材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18240594A JP2907011B2 (ja) | 1994-08-03 | 1994-08-03 | 熱処理歪みの少ない窒化鋼部材の製造方法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP18240594A JP2907011B2 (ja) | 1994-08-03 | 1994-08-03 | 熱処理歪みの少ない窒化鋼部材の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0849059A JPH0849059A (ja) | 1996-02-20 |
JP2907011B2 true JP2907011B2 (ja) | 1999-06-21 |
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CN106460121B (zh) | 2014-06-13 | 2019-06-07 | 日本制铁株式会社 | 软氮化处理用钢板及其制造方法和软氮化处理钢 |
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1994
- 1994-08-03 JP JP18240594A patent/JP2907011B2/ja not_active Expired - Fee Related
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