JP2905279B2 - アンテナ追尾装置 - Google Patents

アンテナ追尾装置

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JP2905279B2 JP24041390A JP24041390A JP2905279B2 JP 2905279 B2 JP2905279 B2 JP 2905279B2 JP 24041390 A JP24041390 A JP 24041390A JP 24041390 A JP24041390 A JP 24041390A JP 2905279 B2 JP2905279 B2 JP 2905279B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、車両、船舶等の移動体に積載され、衛星を
追尾して受信を行うアンテナ追尾装置に関する。
[従来の技術] アンテナ追尾装置は、列車における衛星放送受信用や
海事衛星通信用として知られている。すなわち、移動体
においてはその移動等により移動体本体から見た衛星の
方向(衛星方位)が変化する。このため、衛星から信号
を受信して移動体に積載された衛星通信・衛星放送受信
機に供給するためには、搭載に係る移動体の移動等によ
る方位変化をアンテナの方位制御によって相殺する必要
がある。アンテナ追尾装置は、このような動作を可能と
するアンテナ装置である。
前述のように、アンテナ追尾装置の主な用途として
は、列車における衛星放送受信と、海事衛星通信と、が
ある。
前者においては、追尾原理は一般にモノパルス方式で
ある。この方式は、追尾用の和差信号を生成し、この和
差信号を用いてアンテナを駆動する方式である。このた
め、比較的追尾性能は良いとされる。
後者においては、ジャイロコンパス等の方位基準を発
生させる装置を用い、その出力を利用して船舶の進路変
更・旋回による相対的な衛星方位の変化を打ち消すとい
う方式が採用されている。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、従来のアンテナ追尾装置においては、
次のような問題点があった。
まず、モノパルス方式においては、和差信号の生成の
ためにアンテナ系、高周波回路、中間周波数回路等の構
成が複雑となり、高価格となる。また、山、建築物、立
木等の障害物により一時的にブロッキングを受けて衛星
からの電波が消失した場合、アンテナが迷走してしまう
という問題もある。さらに、近年、衛星の送信電力を有
効活用するために蓄積したデータを一括して送信するバ
ースト信号による衛星システムが増加している。バース
ト信号は、モノパルス方式における追尾信号として利用
するのが困難である。
また、100トン未満の小型船舶や陸上移動体において
は、一般にジャイロコンパスのような信頼性の高い方位
基準を発生させる装置は設備コスト等の点から搭載でき
ず、ジャイロコンパス等の出力を利用する方式を用いる
ことができない。
本願出願人は、このような問題点を解決した追尾型ア
ンテナ装置を先に提案している(特願平2-175014号)。
すなわち、ジャイロコンパス等の信頼性の高い装置を搭
載しない小型船舶、陸上移動体にも搭載でき、迷走を起
こさずにかつバースト信号により正確に追尾できる安価
な追尾型アンテナ装置を提案している。
この装置においては、移動体の旋回角速度を検出する
手段、例えばレートセンサが用いられている。レートセ
ンサは、移動体の旋回角速度を検出するセンサであり、
その出力を積分することにより(一定期間の値を用いる
ことにより)移動体の旋回角度が求められる。一方で、
前時点の移動体の方位(移動体方位)が所与であれば、
この旋回角度を移動体方位に加算することによって、逐
次移動体方位を更新しつつ求めることができる。求めら
れた移動体方位は、現在の衛星方位から減算され、この
減算の結果、アンテナ方位の制御目標(アンテナ指令
角)が求められる。アンテナは、アンテナ指令角に応じ
てサーボ制御される。
しかし、レートセンサは、直流オフセット及びその温
度によるドリフトを伴うため、精度良好な旋回角速度を
得るためには周囲温度を恒温化する必要がある。例え
ば、70〜80℃程度に加熱するようにすれば、比較的良好
な検出が期待できる。また、温度センサを付設して演算
により旋回角速度を補正することも有力な手段である
(前掲特願平2-175014号参照)。
このような温度対策は、装置構成の大型化、複雑化の
原因となりうるが、実際にはできるかぎり簡易な構成と
するのが好ましい。そのためには、レートセンサとして
温度に対する不安定性が少ないものを用いれば良い。例
えば、レートセンサには振動ジャイロ、ガスレートセン
サ、オプティカルファイバジャイロ等の種類があるが、
振動ジャイロやガスレートセンサよりはオプティカルフ
ァイバジャイロの方が、温度に対して安定であるが、き
わめて高価である。
しかしながら、レートセンサの価格は検出精度や温度
安定性の良さに応じて一般に高くなるため、良好な温度
安定性を確保するという要請は、アンテナ追尾装置の安
価化という要請に反してしまう。
このような矛盾を解決するためには、いわゆるフラッ
クスゲートコンパス(FGC)を用いれば良い。FGCは、地
磁気の水平面内成分を検出する手段である。この地磁気
の水平面内成分は、磁北に対する移動体方位を示してい
るため、FGC出力を用いさらに移動体方位の変化をレー
トセンサ出力から求めれば移動体方位をより正確に求め
ることが可能になる。従って、レートセンサの温度特性
による出力の不安定性をFGC出力によって補償すること
ができ、安価なレートセンサを用いつつ、良好な移動体
方位を求めることが可能になる。
一方、FGCを用いる場合、FGCにおいて地磁気の水平方
向成分として検出される量に移動体の着磁による磁化成
分が含まれる。従って、FGCの検出精度を確保するため
には磁化成分を除去することが必要とされる。
従来から、着磁の影響を除去する方法としては各種の
ものが提案されている。例えば、本願出願人が先に提案
している特開昭56-6169号公報記載の方法では、磁界ベ
クトルを検出する装置の方向を変更しつつ検出を行う。
例えば、車両に装置を積載した場合には車両を旋回させ
る。検出された磁界ベクトルの先端を結ぶと円又は円弧
となる。この円又は円弧の中心を求めれば、装置に対す
る地磁気方位の相対的変化にもかかわらず不変に現れる
ベクトルが得られる。このベクトルは、着磁による磁化
成分のベクトルとみなすことができる。従って、このよ
うにして求められる磁化成分を磁界ベクトルからベクト
ル減算すれば、着磁の影響が排除される。
しかし、このような方法をアンテナ追尾装置に適用し
た場合、移動体を所定角度以上旋回させなければならな
い。このような旋回は、移動体の運行上常に行われると
は限られず、また移動体に対して旋回を求めるのは好ま
しくない。
本発明は、このような問題点を解決することを課題と
してなされたものであり、移動体を旋回させること無く
着磁による磁化成分の影響を排除して、FGC出力による
移動体方位演算を可能とするアンテナ追尾装置を提供す
ることを目的とする。
[課題を解決するための手段] このような目的を達成するために、本発明は、少なく
とも一軸で回動可能に支持されるアンテナと、アンテナ
指令角に応じてアンテナ方位をサーボ制御するアンテナ
サーボ系と、衛星方位及び移動体方位からアンテナ指令
角を演算する第1の加算器と、現在の緯度・経度情報及
び衛星経度から衛星方位を演算する衛星方位系と、移動
体の旋回角度及び地磁気方位から移動体方位を演算する
第2の加算器と、移動体の旋回角速度を検出し低域通過
濾波することにより移動体の旋回角度を求めるレートセ
ンサ系と、地磁気の水平面内成分を検出し移動体磁化成
分を除去して地磁気方位を求めるFGC系と、アンテナに
より電波を受信し、アンテナ方位が衛星方位に近接して
いるときにキャリアを検出してキャリア検出信号を出力
する受信系と、を有し、船舶、車両、船舶等の移動体に
搭載されるアンテナ追尾装置において、FGC系が、地磁
気の水平面内成分の初期値、キャリア検出信号が発生し
ている時の移動体方位及び地磁気の水平面内成分に基づ
き移動体磁化成分を求めるCD法求心手段と、地磁気の水
平面内成分から移動体磁化成分を除去して地磁気方位を
求める地磁気方位演算手段と、を備えることを特徴とす
る。
また、本発明の請求項(2)は、FGC系が、移動体の
旋回により得られる地磁気の水平面内成分から、移動体
の旋回に伴って変化する成分を除去し、残った成分を移
動体磁化成分として求めるAB法求心手段と、AB法求心手
段及びCD法求心手段のいずれかにより得られる移動体磁
化成分を、選択的に地磁気方位演算手段に切換供給する
求心法切換手段と、を備えることを特徴とする。
本発明の請求項(3)は、衛星方位系が、現在の緯度
・経度情報から真北に対する磁化の偏角を求め、衛星方
位を磁北基準に補正する手段を備えることを特徴とす
る。
また、本発明の請求項(4)は、レートセンサ系が、
移動体の旋回角度を積分するローパスフィルタを備え、
FGC系が、レートセンサ系と相補的な伝達関数を有する
ローパスフィルタを備えることを特徴とする。
そして、本発明の請求項(5)は、受信系における受
信レベルが最も高くなるよう、CD法求心手段により移動
体磁化成分が求められている場合には第2の加算器によ
り求められた移動体方位を、他の場合には衛星方位を、
修正するステップトラック制御回路を備えることを特徴
とする。
[作用] 本発明のアンテナ追尾装置においては、レートセンサ
系により移動体の旋回角速度が検出され、低域通過濾波
される。この結果、移動体の旋回角度が求められる。一
方、FGC系により地磁気の水平面内成分が検出され、地
磁気方位が求められる。このようにして求められた移動
体の旋回角度及び地磁気方位は、第2の加算器に供給さ
れ、この第2の加算器により移動体方位が演算される。
求められた移動体方位は、第1の加算器に供給され
る。第1の加算器は、衛星方位及び移動体方位からアン
テナ指令角を演算する。衛星方位は、現在の緯度・経度
情報及び衛星経度から衛星方位系により演算されるもの
である。
このようにして得られるアンテナ指令角に応じて、ア
ンテナサーボ系によるアンテナ方位のサーボ制御が行わ
れ、衛星がアンテナにより追尾されることになる。
また、本発明においては、地磁気の水平面内成分を検
出するFGC系が採用されている。FGC系により検出される
地磁気の水平面内成分には移動体磁化成分が含まれる。
この移動体磁化成分を除去するため、FGC系はCD法求心
手段を備えている。
すなわち、このCD法求心手段により、地磁気の水平面
内成分の初期値、キャリア検出信号(CD)が発生してい
る時の移動体方位及び地磁気の水平面内成分に基づき移
動体磁化成分が求められる。CDは、アンテナ方位が衛星
方位に近接しているときに受信系から発せられる。
さらに、求められた移動体磁化成分が、地磁気方位演
算手段により地磁気の水平面内成分から除去され、地磁
気方位が求められる。
この結果、本発明においては、移動体を旋回させる事
なく、着磁による磁化成分が除去される。
また、本発明の請求項(2)においては、移動体磁化
成分が、AB法求心手段又はCD法求心手段のいずれかによ
り求められる。例えば、所定条件を満たすよう移動体が
旋回する際にはAB法求心手段により演算された移動体磁
化成分が、これ以外の場合にはCD法求心手段により演算
された移動体磁化成分が、求心法切換手段により切換え
られて地磁気方位演算手段により供給される。なお、AB
法求心手段は、移動体の旋回により得られる地磁気の水
平面内成分に基づき、従来方法によって移動体磁化成分
を検出する。
この結果、例えば移動体の旋回角度が十分の場合にAB
法求心手段、不十分の場合にはCD法求心手段、というよ
うに、場合に応じて適当な求心手段を用いて追尾が実行
される。
請求項(3)においては、衛星方位系により、現在の
緯度・経度情報から真北に対する磁北の偏角が求めら
れ、衛星方位が磁北基準に補正される。この結果、磁北
基準で地磁気方位を求めるFGC系と基準が統一され、偏
差による誤差発生が防止される。
次に、請求項(4)においては、レートセンサ系及び
FGC系が相補型フィルタを備えているため、両者の特性
差を排除したより正確な移動体方位の演算が行われる。
すなわち、レートセンサ系のローパスフィルタにより移
動体の旋回角速度が低域通過濾波、すなわち不完全積分
され従って高周波ノイズが除去される。一方で、FGC系
のローパスフィルタにより地磁気方位に含まれる移動体
揺動成分が除去される。このようにローパスフィルタを
含むレートセンサ系と、ローパスフィルタを含むFGC系
とが互いに相補的な、すなわち加算すると1となる伝達
関数を有しているため、レートセンサのオフセット及び
その温度ドリフトをFGC系により補償する事が可能にな
る。
そして、請求項(5)においては、ステップトラック
制御回路により受信系における受信レベルが最も高くな
るよう衛星方位又は移動体方位が修正され、より精度の
高い追尾及び求心が行われる。
[実施例] 以下、本発明の好適な実施例について図面に基づき説
明する。
(1) 実施例の実体構成 第1図には、本発明の一実施例に係るアンテナ追尾装
置の構成が示されている。特に、第1図(a)には斜視
外観が、第1図(b)には側面が、それぞれ示されてい
る。
この装置は、1軸で水平面内を回動するよう所定角度
で支持されたアンテナ10を備えている。アンテナ10は、
例えばパラボラアンテナ、フェーズドアレイアンテナ等
のアンテナであり、この図においては平板状のアンテナ
として示されている。このアンテナ10は、追尾対象とす
る衛星からの電波を受信可能なように設計され、椀状の
レドーム11に覆われている。
アンテナ10は、方位軸モータ12とギヤにより連結され
ており、この方位軸モータ12の駆動により回動する。ア
ンテナ10の回動は、アンテナ10の軸とベルトにより連結
されたロータリエンコーダ14によりその角度の変化とし
て検出される。
アンテナ10のネック部には、受信機16が配設されてい
る。この受信機16は、アンテナ10により受信された衛星
からの信号を処理し、所定周波数の中間周波数信号(以
下、IF信号と言う)として出力する。
アンテナ10の周囲には、レートセンサ18、フラックス
ゲートコンパス(FGC)20、エレクトロニクスユニット2
2及び電源装置24が配設されている。レートセンサ18
は、この装置が搭載される車両、小型船舶等の移動体の
旋回に係る角速度、すなわち旋回角速度を検出するセン
サである。FGC20は、地磁気の水平面内成分を検出し、
地磁気方位θVMFを求めるセンサである。エレクトロニ
クスユニット22は、本実施例を構成する回路を収納する
ユニットであり、電源装置24はこれら各部材に電力を供
給する装置である。
(2) 実施例の全体回路構成 第2図には、実施例の全体回路構成、主にエレクトロ
ニクスユニット22に内蔵される構成が示されている。
この実施例においては、アンテナ10はアンテナサーボ
系26によりサーボ制御される。すなわち、アンテナ10の
角度(アンテナ方位)は、アンテナ指令角θAVCを目標
として制御される。
アンテナ指令角θAVCは、衛星方位θSM及び移動体方
位θVMから加算器28により演算される。すなわち、加算
器28は、磁北基準の衛星方位θSMから同じく磁北基準の
移動体方位θVMを減じ、アンテナ指令角θAVCを求め
る。式に表すと、次のようになる。
θAVC=θSM−θVM …(1) 衛星方位θSMは、衛星方位系30により求められる。衛
星方位系30は、装置が積載されている移動体が現在どこ
に位置するかを示す緯度・経度情報及び衛星経度に基づ
き、真北基準の衛星方位θSMを演算し、さらにこれを磁
北基準に補正して衛星方位θSMを求める。磁北基準と真
北基準の関係については後に説明する。
移動体方位θVMは、加算器32により求められる。加算
器32は、FGC系34から供給される地磁気方位θVMF及びレ
ートセンサ系36から供給される移動体旋回角度θVRを加
算して移動体方位θVMを求める。すなわち、 θVM=θVMF+θVR …(2) である。これは、地磁気方位θVMFがFGC20により検出さ
れる磁北基準の移動体方位に、旋回角度θVRが旋回によ
る移動体方位の変化分に、それぞれ相当することによ
る。特に、後述するように、FGC系34及びレートセンサ
系36の出力は相補型フィルタを経ており、また無定位型
センサであるレートセンサ18に係るフィルタにリセット
をかけて両系34及び36の動作を適合させていることによ
る。
FGC系34は、FGC20の出力により地磁気方位θVMFを求
める回路であり、レートセンサ系36は、レートセンサ18
の出力により移動体の旋回角度θVRを求める回路であ
る。
また、アンテナ10は、受信系38に接続されている。受
信系38は、アンテナ10により受信される電波からキャリ
アを検出してキャリア検出信号(CD)を発する。このCD
は、アンテナ方位が衛星方位に十分近いとき(衛星方位
がアンテナ10のビーム内にあるとき)に発せられる。さ
らに、受信系38は、受信レベルを示す受信レベル信号
(REC LEV)を発する。
CDは、FGC系34に供給される。すなわち、FGC系34はCD
に応じて求心動作(磁化成分を求める動作)を実行す
る。このCDによる求心法(CD法)は本発明の特徴に係る
技術であり、後に詳細に説明する。
また、CD及びREC LEVは、ステップトラック系40に供
給される。ステップトラック系40は、CDが発生している
ときに所定刻みでステップ角を発生させ、REC LEVによ
り示される受信レベルが最高となるようにアンテナ指令
角θAVCを調整する。
なお、レートセンサ系36には、方位探索時にリセット
をかけるためFGC系34から探索フラグが供給される。
(3) アンテナサーボ系及び受信系 第3図には、アンテナサーボ系26及び受信系38の構成
が示されている。
(3.1) アンテナサーボ系 アンテナサーボ系26は、アンテナ10を回動させる方位
軸モータ12及びアンテナ10の回動角度を検出するロータ
リエンコーダ14の他、アンテナ角度レジスタ42、アンテ
ナ指令角レジスタ44、加算器46、誤差レジスタ48、D/A
変換器50及びサーボ駆動回路52を含んでいる。
すなわち、方位軸モータ12によってアンテナ10が回動
され、このアンテナ10の回動に係る角度がロータリエン
コーダ14により検出されると、その検出結果はアンテナ
角度レジスタ42に格納される。アンテナ角度レジスタ42
からは、アンテナ角度θAVが出力される。
一方、アンテナ指令角レジスタ44には、加算器28から
アンテナ指令角θAVCが供給格納されており、加算器46
はこのアンテナ指令角θAVCからアンテナ角度θAVを減
算してサーボ誤差θAEを出力する。このサーボ誤差θAE
は、誤差レジスタ48に一端格納された後、D/A変換器50
によりアナログ値に変換される。サーボ駆動回路52は、
D/A変換されたサーボ誤差θAE基づき方位軸モータ12を
駆動し、アンテナ10を回動させる。
このようなアンテナサーボ系26の動作の結果、アンテ
ナ10の角度は、アンテナ指令角θAVCに一致するようサ
ーボ制御される。
(3.2) 受信系 また、アンテナ10には受信機16を含む受信系38が接続
されている。すなわち、受信機16は、アンテナ10により
受信された電波を所定周波数のIF信号に変換する。
更に、受信系38は、復調器54及び受信レベル検出器56
を含んでいる。
復調器54は、IF信号の復調を行うと共に、キャリア検
出を行う。復調器54のキャリア検出は、一般に復調器に
おける基本技術の1つであり、例えばPLLによる方法な
ど多数の方式が開発または実用化されている。キャリア
検出の結果得られるキャリア検出信号(CD)は、所望の
信号を一定のレベル以上で受信できているかどうかを表
す信号である。
受信レベル検出器56は、IF信号に含まれるキャリアの
レベル等からC/No(搬送波対雑音比)を推定し、受信レ
ベル信号(REC LEV)を生成する。例えば、その値がC/N
oに対して単調増加となるよう、REC LEVを生成する。
これらCD及びREC LEVは、ステップトラック系40にお
いて用いられる。また、CDは、FGC系34におけるCD法に
よる求心に用いられる。
(4) 衛星方位系及びステップトラック系 第4図には、衛星方位系30及びステップトラック系40
の構成が示されている。
(4.1) 衛星方位系 まず、衛星方位系30は、緯度・経度入力手段58を備え
ている。緯度・経度入力手段58は、例えばGPS受信機等
により移動体の位置(緯度,経度)を入力する手段であ
る。
緯度・経度入力手段58の後段には、衛星方位演算器60
が接続されている。衛星方位演算器60は、緯度・経度入
力手段58から緯度及び経度を取り込むと共に、現在の衛
星経度を取り込んで衛星方位θSNを演算する装置であ
る。すなわち、衛星の軌道データは予め明らかとなって
いるため、衛星の位置に係るデータと、移動体の位置に
係るデータと、を用いて衛星方位θSNを求めることがで
きる。
衛星方位演算器60によって求められた衛星方位θ
SNは、衛星方位レジスタ(真北)62に格納される。衛星
方位演算器60における演算が、緯度、経度及び衛星経度
に基づいて行われるため、衛星方位θSNは、北極点を最
北点に採る真北基準の値となる。
一方、緯度・経度入力手段58の後段には、衛星方位演
算器60と並列にROM64が接続されている。このROM64に
は、地球上の各地点における真北と磁北の差を示す偏角
θMNが、当該位置と対応付けられて偏角テーブルとして
格納されている。
ここで、偏角の概念について説明する。
地球上の各点においては、真北と磁北とは必ずしも一
致せず、所定の差(偏角)を有している。偏角は、緯
度、経度によって表される位置座標に応じて変化し、あ
るいは経時的に変化する。経時的な変化は例えば年単位
の長期間が経過することによるわずかな変化であるた
め、緯度及び経度によって偏角が決定されるということ
ができる。
従って、緯度・経度と偏角等を対応付ける偏角テーブ
ルを予め作成しておけば、この偏角テーブルを緯度、経
度によって参照することにより、偏角θMNを求めること
ができる。
第5図には、ROM64に格納される偏角テーブルの内容
の一部が示されている。
例えば、北緯62度01分、東経129度43分の地点におけ
る偏角θMNは、西回りに19度28.9分である。緯度・経度
入力手段58から入力される緯度・経度が北緯62度01分、
東経129度43分である場合、対応する偏角θNMとして西
方19度28.9分が得られる。
ROM64の後段には、偏角レジスタ66が接続されてい
る。偏角レジスタ66は、ROM64から出力される偏角θMN
を一旦格納するレジスタである。
衛星方位レジスタ(真北)62に格納されている真北基
準の衛星方位θSNは、加算器68に入力される。また、こ
の加算器68には、偏角レジスタ66に格納されている偏角
θMNも取り込まれる。加算器68は、衛星方位θSNから偏
角θMNを減じ、磁北基準の衛星方位θSMとして出力す
る。
第6図には、真北基準の衛星方位θSNと磁北基準の衛
星方位θSMとの関係が示されている。
この図において、Nは真北を、MNは磁北を、それぞ
れ意味している。また、Vは移動体方位、Aはアンテナ
方位、Sは衛星方位である。
この図に示されるように、真北Nと磁北MNは偏角θ
MNだけ相違している。この偏角θMNは、真北Nを基準と
した衛星の方位、すなわちθSNと、磁北MNを基準とし
た衛星の方位、すなわちθSMとの差に相当する。従っ
て、加算器68において次の式に基づく演算を行うことに
より、磁北基準の衛星方位θSMが求められることとな
る。
θSM=θSN−θMN …(3) このようにして演算される磁北基準の衛星方位θ
SMは、スイッチ70を介して衛星方位レジスタ(磁北)72
に一旦格納され、更にスイッチ74を介して加算器28に供
給される。加算器28においては、この衛星方位θSMから
移動体方位θVMが減ぜられ、第6図に示されるように、
移動体と衛星との方位の差を示すアンテナ指令角θAVC
が求められる。
また、この衛星方位系30には、磁北基準の衛星方位θ
SMの初期値であるθSMOを記憶するメモリ76が設けられ
ている。このメモリ76は、バッテリ78によってバックア
ップされかつ書込みが可能な不揮発性メモリである。
すなわち、衛星方位レジスタ(磁北)72に格納されて
いる衛星方位θSMは、スイッチ74を介して加算器28に供
給される一方で、メモリ76に書き込まれる。メモリ76は
バッテリ78によってバックアップされているため、装置
の電源がオフした状態においても、メモリ76の内容は保
存される。この後に、装置の電源を再び立ち上げる際に
は、スイッチ70がメモリ76側に切り換えられており、メ
モリ76の内容が衛星方位θSMの初期値θSMOとして衛星
方位レジスタ(磁北)72に転送格納される。この後、衛
星方位レジスタ(真北)62から出力があると、この出力
に応じてスイッチ74が衛星方位レジスタ(磁北)72側に
切り替えられ、前述のような動作によるアンテナ指令角
θAVC演算が実行される。
(4.2) ステップトラック系 第4図においては、ステップトラック系40の構成も示
されている。
ステップトラック系40は、CD及びREC LEVに応じてス
テップ角を発生させるステップトラック制御回路80と、
ステップトラック制御回路80から出力されるステップ角
を衛星方位系30及びFGC系34に切り換え供給するスイッ
チ82と、から構成されている。スイッチ82の一方の出力
端は、衛星方位系30の加算器84に接続されており、加算
器84は、衛星方位レジスタ(磁北)72の内容にステップ
角を加算してスイッチ70の一入力端子に供給する。
第7図には、ステップトラック制御回路80の構成が示
されている。この図に示されるステップトラック制御回
路80は、CDが発生しているときに衛星方位θSMを修正す
るステップ角を発生させる回路である。このステップ角
は、受信レベル検出器56によって得られるREC LEVに応
じ、C/Noを最大にする方向の符号を有するよう生成され
る。
すなわち、ステップトラック制御回路80は、受信のC/
Noをモニタしてこの値を最良にするようにステップ角を
生成する機能を有している。
ステップトラック制御回路80は、REC LVEの値を格納
する累積レジスタ86を備えている。この累積レジスタ86
の入力端にはスイッチ88を介して加算器90が接続されて
おり、この加算器90にはREC LEV及び累積レジスタ86の
内容が入力される。すなわち、スイッチ88がオンしてい
る場合、加算器90によりREC LEVの値が逐次累積レジス
タ86の内容に加算される。
また、スイッチ88は、加算指令パルス発生器92の出力
(加算指令パルス)によって制御される。加算指令パル
ス発生器92は、CDが存在するときのみ、一定の間隔で加
算指令パルスを発生するように構成される。なお、CDが
アナログ信号の場合には、図示しないA/D変換器等によ
りディジタル信号に変換されているものとする。従っ
て、累積レジスタ86へのREC LEVの値の累積加算は、CD
が存在するときのみ行われる。
加算指令パルス発生器92の後段には、カウンタ94及び
一致回路96が順次接続されている。
カウンタ94は、加算指令パルス発生器92から加算指令
パルスを取り込み、加算指令パルスの出力回数をカウン
トする。
一致回路96は、カウンタ94によるカウント結果を取り
込み、所定の値と比較する。すなわち、このカウント結
果は累積レジスタ86における累積加算の回数を示してお
り、一致回路96は累積加算が所定回数だけ行えたか否か
を判断することとなる。一致回路96は、比較の結果一致
している場合にはステップ角加算指令信号及び比較指令
信号を出力する。
一方で、累積レジスタ86の後段にはスイッチ98を介し
て第2累積レジスタ100が接続されている。また、第2
累積レジスタ100の後段には比較器102、ステップ角発生
器104及びスイッチ106が順次接続されている。
すなわち、一致回路96からステップ角加算指令信号が
発せられたときには前述の累積加算が所定回数だけ行わ
れているため、スイッチ98がスイッチ角加算指令信号に
応じ閉じられ、累積レジスタ96の内容が第2累積レジス
タ100に転送格納される。このとき、ステップ角加算指
令信号はカウンタ94及び累積レジスタ86にも供給され、
カウンタ94及び累積レジスタ96の内容がリセットされる
と共に累積レジスタ86における累積加算が新たに開始さ
れる。
この後、累積加算が継続され再びカウンタ94のカウン
ト回数が所定値に達したとき、一致回路96から比較器10
2に比較指令信号が供給され、比較器102は累積レジスタ
86の内容と第2累積レジスタ100の内容を比較する。
比較器102は、比較の結果、前者が後者よりも小さい
時にはステップ角の符号を保存し、大きい時には反転す
るよう、ステップ角発生器104に指示する。すなわち、
累積レジスタ86の内容より第2累積レジスタ100の内容
の方が大のときは、アンテナ10の角度の修正がよりC/No
が大となる方向に行われているとみなせるため、現在の
ステップ角の符号を保存する。この逆の場合、C/Noが小
さくなる方向に修正されているとみなせるため、ステッ
プ角の符号を反転する。
ステップ角発生器104は、比較器102の指示に応じて符
号を付した所定の大きさのステップ角を出力する。ステ
ップ角発生器104の出力側に設けられたスイッチ106は、
一致回路96からのステップ角加算指令信号に応じて閉じ
られる。これにより、ステップ角発生器104からスイッ
チ106を介してスイッチ82にステップ角が供給されるこ
ととなる。スイッチ82に供給されたステップ角は、この
スイッチ82の切換えに応じ、衛星方位系30の加算器84ま
たはFGC系34の加算器(後述)に供給される。
このようにしてステップ角が出力されると、アンテナ
10のビーム内において最もC/Noが良好となるように衛星
方位θSM又は移動体方位θVMが修正され、アンテナ指令
角θAVC、ひいてはアンテナ10の方位が調整される。
なお、通常時にはスイッチ82が衛星方位系30側に、CD
法による求心時にはFGC系34側に倒される。これは、通
常時において追尾精度を向上させるとともに、CD法によ
る求心時の求心精度を向上させるためである。
(5) レートセンサ系 次に、レートセンサ系36の構成及び動作について説明
する。
第8図には、レートセンサ系36の構成が示されてい
る。
レートセンサ18は、移動体が旋回した場合にこの移動
体の旋回角速度を検出するセンサである。また、レート
センサ18自身は微分の伝達関数を有している。一般に、
レートセンサ18はジャイロコンパス等に比べ安価である
が、一方でその不完全さのために直流成分(オフセッ
ト)を有し、さらに温度等の環境要因でドリフトを生じ
るために対策を講じなければならない。
このため、前掲特願平2-175014号では、レートセンサ
を断熱材で覆うとともに、温度センサを付設して補正を
行う方法を提案している。
しかし、本願では、以下の様にフィルタの伝達関数の
相補的設定により、FGC出力をもって補償する方式を採
用する。
まず、レートセンサ18は、A/D変換器118に接続されて
いる。A/D変換器118の後段には、LPF120及び方位レジス
タ122が順次接続されている。方位レジスタ122の出力端
は、LPF120の入力端に接続されると共に、スイッチ124
に接続されており、スイッチ124の出力端は第2図に示
される加算器32に接続されている。
すなわち、レートセンサ18によって検出される移動体
の旋回角速度は、A/D変換器118によってディジタル値に
変換される。なお、直流成分(オフセット)を含むレー
トセンサ18の出力はLPF120に供給され、不完全積分され
る。
このため、LPF120は、A/D変換器118の出力を低域通過
濾波するような伝達関数を有するディジタルフィルタと
して構成される。例えば、その伝達関数は、次のような
式によって表すことができる。
n=k1n+k2n-11=dt/(1.0+ωadt) k2=1.0/(1.0+ωadt) …(4) 但し、XnはLPF120の入力、Znは出力、dtはサンプリ
ング周期、ωaはフィルタの遮断角周波数である。
この伝達関数は、ラプラス演算子sを用い、周波数領
域に置き換えて表すと、 1/(s+ωa) となる。従って、LPF120に旋回角速度が入力されると、
この旋回角速度が不完全積分された値、すなわち移動体
の旋回角度θVRがLPF120から出力される。
LPF120から出力される旋回角度θVRは、方位レジスタ
122に一旦格納される。方位レジスタ122の内容は、LPF1
20の入力端に帰還入力される。また、レートセンサ18は
無定位型のセンサであり、レートセンサ18によって検出
される旋回角速度から不完全積分によって旋回角度θVR
を求めるためには動作開始時に探索フラグによりリセッ
トをかけねばならない。
(6) FGC系 第9図には、本実施例におけるFGC系34の構成が示さ
れている。
この図に示されるFGC系34は、FGC20の他、求心装置12
6、加算器128及び逆正接演算部130を含んでいる。
このうち、求心装置126は移動体が着磁することによ
り生じる磁化成分を求める装置である。加算器128は、F
GC出力(xi,yi)から磁化成分を除去する加算器であ
り、逆正接演算部130は、加算器128によって求められた
地磁気の水平面内成分(ui,vi)から地磁気方位θVMF
を算出する装置である。
(6.1) FGC ここで、まずFGC20の構成及び動作について説明す
る。
第10図には、FGC20の構成が示されており、第11図に
はFGC20の出力特性が示されている。
FGC20は、第9図に示されるように2軸ジンバル132に
よって支持されている。
この2軸ジンバル132は、(±20°+α)の範囲で回
動可能にFGC20のコア133を支持する部材である。
コア133は、X方向コイル134−X及びY方向コイル13
4−Yが巻回されている。一方で、コア133には発振器13
6によって周波数foで励振される高周波コイル136が巻
回されている。従って、移動体の旋回に伴う地磁気方位
θVMの変化に応じて、コア133の回転角速度により変調
された信号が出力される。
X及びY方向コイル134−X及び134−Yの後段には、
それぞれ、フィルタ138−X及び138−Y、交流増幅回路
140−X及び140−Y、同期整流回路142−X及び142−Y
並びに直流増幅回路144−X及び144−Yが順次接続され
ている。
すなわち、X及びY方向コイル134−X及び134−Yに
よって得られるX及びY方向の出力は、発振器136の発
振周波数foの倍の周波数を通過させるフィルタ138−X
及び138−Yによって濾過される。この濾過によって得
られた2次高周波は、交流増幅、同期制御及び直流増幅
され、FGC20の出力(xi,yi)として出力されることと
なる。なお、同期整流回路142−Xには、位相可変回路1
48及び周波数逓倍回路150が接続されている。発振器136
の出力は周波数逓倍回路150によって逓倍され、位相可
変回路148により同期化された後、同期整流に用いられ
る。
このようにして得られるFGC20の出力(xi,yi)は、
第12図に示されるように地磁気方位θVMFに応じて変化
する。この変化は、xi,yiがそれぞれ90°異なる位相を
有する正弦波となるような変化である。従って、FGC20
の出力(xi,yi)から磁化成分を除去した上で逆正接演
算を行えば、地磁気方位θVMFを求めることができる。
(6.2) 求心装置 次に、求心装置126の構成について説明する。
この説明に先立って、移動体の着磁について説明す
る。
第12図には、移動体が着磁することにより、FGC20の
出力(xi,yi)に含まれることとなる磁化成分が示され
ている。移動体は、駆動に伴って生ずる磁界や地球磁界
等の影響により、ある強度、ある方向に磁化されている
のが一般的である。この現象は、移動体の着磁と呼ばれ
るものである。
この着磁は、FGC20における地磁気の水平面内成分の
検出に影響を与える。例えば、FGC20において真に検出
すべき地磁気の水平面内成分が(ui,vi)である場合、
着磁による磁化成分が存在していると、FGC20の出力
(xi,yi)にはこの磁化成分に相当する誤差が含まれ
る。従って、移動体にFGC20を搭載する場合には、磁化
成分の影響を排除してやらねば正確な地磁気方位の検出
が困難となる。
第9図に示される加算器128は、FGC20の出力(xi,
yi)から磁化成分等を除去して地磁気の水平面内成分
(ui,vi)を求める加算器であり、求心装置126はこの
ために磁化成分(a,b)または(c,d)を求める装置であ
る。
(6.2.1) AB法求心装置 求心装置126は、AB法求心装置152を備えている。AB法
求心装置152は、FGC20の出力(xi,yi)を取り込み、磁
化成分(a,b)を演算する。
このAB法求心装置152において用いられるアルゴリズ
ムは、例えば特開昭56-6169号公報に示されているアル
ゴリズムと同様のアルゴリズムである。すなわち、移動
体が旋回している時に、その際のFGC20の出力(xi,
yi)を用いて最小二乗法により求心を行う。すなわち、
磁化成分(a,b)を求める。
従って、移動体が旋回している場合には、AB法求心装
置152によって磁化成分(a,b)を求めることができ、こ
のようにして求められた磁化成分(a,b)は後述する求
心法決定装置154及びスイッチ156に供給される。AB法求
心装置152は、求心完了時に求心完了フラグを求心法決
定装置156に供給する。
(6.2.2) CD法求心装置 この実施例においては、AB法求心装置152と並列にCD
法求心装置158が設けられている。このCD法求心装置158
は、本発明の特徴に係る部材であり、次に説明するCD法
によって磁化成分(c,d)を求める。なお、以下の説明
では、AB法によって求められる磁化成分と区別すべく、
CD法によって求められる磁化成分に(c,d)の記号を用
いる。
CD法は、次のような演算によって磁化成分(c,d)を
求める方法である。CD法ではまず、当該地域での地磁気
の水平面内成分roを必要とする。このroは、前出の偏
角θMNと同じく緯度、経度に対応させてROM64に予め記
憶させておき、適宜読出して使用することもできる。し
かし、本実施例では以下の方法を用いる。
まず、CD法求心装置158は、加算器128の後段に接続さ
れているメモリ160から地磁気の水平面内成分の初期値
(uo,vo)を読み込む。この初期値(uo,vo)は、例え
ば前タイミングにおいて加算器128により求められた水
平面内成分(ui,vi)である。また、メモリ160は、装
置の電源がオフしている際にも前回動作時のデータ(u
i,vi)を記憶しておくためバッテリ162によってバック
アップされている。
メモリ160としては、書込みが可能な不揮発性メモ
リ、例えばバッテリーバックアップされたRAM、又はEEP
ROMを用いるのが好ましい。
CD法求心装置158は、メモリ160から読み出された初期
値(uo,vo)を用いて地磁気の強度の初期値roを算出
する。この初期値roは、次の式によって求めることが
できる。
o=(uo 2+vo 21/2 …(5) なお、前述のように、(uo,vo)からroを演算する
方法にかえ、地磁気強度roを位置座標に対応付けて格
納するテーブルを作成し、このテーブルを参照してro
を求める方法を用いてもよい。
次に、CD法求心装置158は、CDがオンとなる場合の移
動体方位θVMすなわちθVM(CD)を取り込む。
すなわち、CD法求心装置158は、方位探索の進行に伴
い復調器54から供給されるCDがオンとなったときに、加
算器32から移動体方位θVMをθVM(CD)として取り込む。
従って、CD求心装置158は、アンテナ10が衛星方位に近
接する方位を向いている場合に、その時の移動体方位θ
VM(CD)を取り込むこととなる。なお、CD法求心装置158
によって求心が行われる場合には、先立って、方位探索
制御回路164により方位探索が実施されている。
CD法求心装置158は、このようにして求められたro
びθVM(CD)に基づき(uoS,voS)を算出する。算出式
は、次の通りである。
oS=±ro/C voS=±ro・tanθVM(CD)/C C=(1+tan2θVM(CD)1/2 …(6) 但し、符号は(xi,yi)の象限により判定する。この
ようにして得られる(uos,vos)は、CD法求心手段158
により求心が行われている際の(ui,vi)の値であると
みなすことができる。従って、CD法求心手段158によ
り、FGC20の出力(xi,yi)の平均値からこの(uos,v
os)を減じてやることにより、磁化成分(c,d)を求め
ることができる。すなわち、Nを適当な自然数として、 の式により磁化成分(c,d)が求められる。
(6.2.3) 求心法の切換 求心装置126には、AB法求心装置152による求心(すな
わちAB法)か、CD法求心装置158による求心(すなわちC
D法)か、を切り換える求心法決定装置154及びスイッチ
156が設けられている。
AB法とCD法を切り換える方法としては幾つかのものが
考えられる。本実施例においては、次のような方法を採
用する。
すなわち、移動体の旋回を前提にして最小二乗法によ
り求心を行うAB法においては、電源投入時等において磁
化成分(a,b)が求まっていない場合がある。この様な
場合、方位探索によりキャリア検出信号CDがオンとなる
ことを条件にCD法による求心を行う。その間、移動体が
走行し、AB法による磁化成分(a,b)の値が求まった場
合は、AB法求心装置158により求められた磁化成分(a,
b)を加算器128に供給すべく、スイッチ156をAB法求心
装置152側に切り換える。
このようにして、AB法またはCD法により求められた磁
化成分(a,b)または(c,d)が求心法決定装置154によ
って切り換えられつつ加算器128に供給される。
(6.2.4) 逆正接演算部 前述のように、FGC20の出力(xi,yi)は、加算器128
に供給される。この加算器128には、求心装置126からAB
法またはCD法によって求められた磁化成分(a,b)また
は(c,d)が供給される。加算器128は、前者から後者を
減算し、地磁気の水平面内成分(ui,vi)を算出する。
すなわち、求心法としてAB法が採用されている場合には ui=xi−a vi=yi−b …(8) の式により、CD法の場合には ui=xi−c vi=yi−d …(9) の式により、水平面内成分(ui,vi)が求められる。
さらに、この水平面内成分(ui,vi)は、逆正接演算
部130に供給される。逆正接演算部130においては、 θVMFi=tan-1(vi/ui) …(10) の式に基づき、水平面内成分(ui,vi)に対応する地磁
気方位θVMFiが算出される。
算出された地磁気方位θVMFiは、LPF166に供給され
る。LPF166は、LPF120によって決まるレートセンサ系36
の伝達関数と相補的な特性の伝達関数を有している。
ここで、「相補的」とは、レートセンサ18の伝達関数
sを含むレートセンサ系36の伝達関数 s/(s+ωa) と、FGC系34の伝達関数 ωa/(s+ωa) の和が1となることをいう。すなわち、LPF166の時間
領域での特性は、次のような式によって表すことができ
る。
n=k1n+k2n-11=ωadt/(1.0+ωadt) k2=1.0dt/(1.0+ωadt) …(11) 但し、XnはLPF166への入力、Znは出力を表してい
る。なお、dt,ωaはLPF120と同様の値である。
LPF166は、逆正接演算部130によって演算される地磁
気方位θVMFに含まれる移動体の揺動成分を除去する機
能を有している。
前述のようにFGC20は2軸ジンバル132によって装置に
支持されている。移動体が揺動した場合、2軸ジンバル
132によってFGC20のコア133の揺動はある程度吸収され
るが、完全には排除することはできない。従って、FGC2
0の出力(xi,yi)には移動体の揺動による成分が誤差
として含まれることとなる。この成分は、地磁気方位θ
VMFのノイズとなって現れるため、この実施例において
はLPF166によって除去することとしている。
LPF166の後段には、スイッチ168が設けられている。
スイッチ168の後段には更に、方位レジスタ169及び加算
器170を介して加算器32が接続されている。従って、求
められた地磁気方位θVMFは、加算器32において移動体
の旋回角度θVRと加算され、移動体方位θVMとして加算
器28に供給される。
(6.2.5) 方位探索制御回路 次に、方位探索制御回路164の構成及び動作について
説明する。
の実施例において、FGC系34は、リセット回路172を備
えている。
このリセット回路172は、2個のROゲート174及び176
と、タイマ178と、を備えている。ORゲート174に電源投
入を示す信号またはリセット信号が供給された場合、方
位探索制御回路64に対して、ORゲート176を介して起動
信号が供給される。また、タイマ178がカウントアップ
した場合も同様に、ORゲート176を介して方位探索制御
回路164に起動信号が供給される。
また、タイマ178は、CDがオンすることによってリセ
ットされる。
従って、リセット回路172は、電源投入又はリセット
に応じて、あるいはブロッキング等によりCDがオフとな
ってから一定時間の経過により、方位探索制御回路164
を起動させる。
方位探索制御回路164は、この実施例においては第13
図に示されるような構成を有している。
第13図において、方位探索制御回路164は、逆正接演
算部180を備えている。この逆正接演算部180は、メモリ
160から水平面内成分(ui,vi)の初期値(uo,vo)を
取り込み、地磁気方位θVMFの初期値θINITを演算す
る。すなわち、 θINIT=tan-1(vo/uo) …(12) の演算が行われる。このようにして求められた初期値θ
INITは、スイッチ168に供給される。
また、この演算は、リセット回路172から起動信号が
供給されることに応じて行われる。すなわち、電源投入
等の際には、後述する方位探索の必要からFGC20の出力
(xi,yi)に係る(ui,vi)を用いることができないた
め、これに代え、メモリ160に格納されている初期値
(uo,vo)を用いて地磁気方位θVMFの初期値θINIT
演算が行われる。このようにして求められた初期値θ
INITは、スイッチ168,方位レジスタ169を介して加算器1
70に供給される。
また、リセット回路172により発せられる起動信号
は、タイミング信号発生器182にも供給される。タイミ
ング発生器182は、起動信号に応じて所定タイミングで
タイミング信号T1〜T3を発生させる。このタイミング
信号T1〜T3は、方位探索動作に用いられる。
次に、方位探索の動作について説明する。
まず、方位探索制御回路164に起動信号が供給された
時に、復調器54によって得られるCDがオフしている場
合、方位探索制御回路のカウンタA184によって計時が開
始される。
すなわち、復調器54から供給されるCDは、ANDゲート1
86を介してカウンタA184に供給される。ANDゲート186に
は、タイミング信号発生器182からタイミング信号T1
供給されている。従って、タイミング信号T1により、
カウンタA184へのCDの入力タイミングが制御される。
カウンタA184の後段には、一致回路187及びANDゲート
188を介して探索フリップフロップ190が接続されてい
る。ANDゲート188には、前述のタイミング信号T1と同
様にタイミング信号発生器182によって発生するタイミ
ング信号T2が供給されている。
すなわち、カウンタA184の計数値が一致回路187に設
定されている所定の値に達した場合、一致回路187の出
力がANDゲート188を介して探索フリップフロップ190に
同期出力される。
探索フリップフロップ190の出力は、ANDゲート192に
接続されている。ANDゲート192には、タイミング信号発
生器182から供給されるタイミング信号T3が入力されて
いる。ANDゲート192は、探索フリップフロップ190から
の出力をこのタイミング信号T3と同期させて探索フラ
グとしてスイッチ194に供給する。
スイッチ194は、探索ステップ角発生器196の出力端に
設けられている。探索ステップ角発生器196は、所定の
値を有する探索ステップ角ΔθSRCHを発生させる装置で
ある。
すなわち、方位探索を行うためにアンテナ10を回動さ
せる場合、この回動は所定の角度刻みで行わせる必要が
ある。探索ステップ角発生器196からスイッチ194を介し
て出力される探索ステップ角ΔθSRCHは、第9図に示さ
れる加算器198に供給され、スイッチ168の出力である地
磁気方位θVMF′と加算される。加算の結果得られた地
磁気方位θVMFは、加算器170においてCD法オフセットΔ
θVMFと加算されて加算器30に供給される。
この結果、探索ステップ角ΔθSRCHによって移動体方
位θVMが回転することとなる。これにより、アンテナ指
令角θAVCが変化し、アンテナ10による方位探索が実施
される。
また、この実施例の場合、CDがオフしている場合に探
索フラグが発せられる。すなわち、アンテナ10の方位が
衛星方位から比較的離れており、従ってアンテナ10によ
り衛星からの電波が良好に受信されていない場合におい
て探索フラグが発せられる。言換えれば、アンテナ10の
方位が衛星方位に近接する方位に至るまで方位探索が実
行される。
この状態において、CDがオンとなった場合、探索フリ
ップフロップ190のリセットが実行される。
すなわち、復調器54から供給されるCDは、前述のAND
ゲート186と共にORゲート200にも供給されている。ORゲ
ート200の出力端は探索フリップフロップ190のリセット
端子に接続されており、従ってCDがオンすると探索フリ
ップフロップ190がリセットされることとなる。このと
き、探索フリップフロップ190の出力が反転し、これに
応じてスイッチ194がオフして探索ステップ角ΔθSRCH
の出力が断たれる。
このようにして、CDがオフしている状態では探索ステ
ップ角ΔθSRCHが出力されてアンテナ10の回動による方
位探索が行われ、CDがオンすることによってこの探索が
終了する。
さらに、以上の探索において、アンテナ10が1回転し
た場合、すなわち第9図に示される方位レジスタ169に
格納されている地磁気方位θVMFを1回転させきった場
合、方位探索制御回路164全体のリセット動作が実行さ
れる。
すなわち、前述のANDゲート192の出力はスイッチ194
のみでなく、カウンタB204にも接続されている。カウン
タB204の出力は、一致回路B206に接続されており、一致
回路B206の出力はORゲート200の入力端に接続されてい
る。また、ORゲート200の出力端は、前述の探索フリッ
プフロップ190のリセット端子の他、カウンタA184、一
致回路A186、カウンタB204及び一致回路B206のリセット
端子にも接続されている。
すなわち、ANDゲート192の出力によりスイッチ194が
オンされている場合、カウンタB204はこの動作による探
索ステップ角ΔθSRCHの供給回数を計数し、一致回路B2
06はカウンタB204による計数結果を所定の値と比較す
る。この所定の値は、地磁気方位θVMFの1回転に相当
する値である。一致回路B206において、カウンタB204の
計数結果がこの所定値と一致すると判定された場合、す
なわち他磁気方位θVMFが1回転した場合、一致回路B20
6の出力がORゲート200を介してカウンタA64、一致回路A
186、探索フリップフロップ190、カウンタB204及び一致
回路B206のリセット端子に供給される。これにより、リ
セット端子への信号供給を受けた回路はリセット動作を
行うため、方位探索制御回路164全体がリセットされ
る。
なお、探索に利用するキャリアがバースト信号の場合
は、カウンタA184による計時を最大バースト間隔より長
くする。
(6.2.6) FGC系の全体の動作 次に、以上説明したFGC系34の全体の動作を説明す
る。
まず、電源投入またはリセット信号の発生によりリセ
ット回路172から起動信号が発せられると、方位探索制
御回路164はこの起動信号に応じて初期値θINITを演算
しスイッチ168に供給する。スイッチ168は、起動信号に
応じて方位探索制御回路164側に切り換えられており、
この結果、方位レジスタ169には地磁気方位θVMFの初期
値θINITが格納される。方位レジスタ202に格納された
初期値θINITは、θVMF′として加算器198に供給され
る。
起動信号に応じて方位探索制御回路164が起動する
と、この方位探索制御回路164は、所定時間の計時後に
(カウンタA184のカウントアップ後に)、探索フラグを
発生させると共に探索ステップ角ΔθSRCHを出力する。
また、この探索ステップ角ΔθSRCHは、加算器198に
供給される。加算器198においては、方位レジスタ202か
ら出力される地磁気方位θVMF′に探索ステップ角Δθ
SRCHが加算され、この加算結果が、スイッチ168を介し
て方位レジスタ202に格納される。なお、スイッチ168
は、探索フラグに応じて加算器198側に倒されている。
このようにして逐次更新される方位レジスタ169の内
容は、探索に係る地磁気方位θVMFとして加算器170を介
して加算器32に供給される。この結果、探索ステップ角
ΔθSRCHによって逐次移動体方位θVMが更新され、これ
に応じアンテナ指令角θAVCが変更されてアンテナ10が
回動する。
一方、方位探索制御回路164から出力される探索フラ
グは、CD法求心装置158及び求心法決定装置154に供給さ
れる。
CD法求心装置158には、バッテリ162によりバックアッ
プされているメモリ160から地磁気の水平面内成分の初
期値(uo,vo)が読み込まれ、さらにFGC20の出力
(xi,yi)が取り込まれる。また、加算器32からは、移
動体方位θVMも取り込まれる。
移動体方位θVMの値は、方位探索制御回路164の動作
に伴い変化する。すなわち、探索ステップ角ΔθSRCH
逐次加算により、移動体方位θVMは更新される。
しかし、この場合の移動体方位θVMは、検出に係る移
動体方位ではない。これは、アンテナ10が衛星方位に十
分近接する方位を向くまでアンテナ10を回動させるため
の数値である。
従って、復調器54からCD法求心装置158に供給されるC
Dがオンとなった場合、方位探索制御回路164による探索
ステップ角ΔθSRCH出力が停止されるととともに、CD法
求心装置158によりこのとき取り込まれている移動体方
位θVMすなわちθVM(CD)を用いてCD法による求心が行わ
れる。この結果得られた磁化成分(c,d)は、スイッチ1
56及び求心法決定装置154に供給される。
なお、この時、AB法求心装置によって、AB法による求
心も実行されている。すなわち、AB法求心装置152は、F
GC20の出力(xi,yi)を用いてAB法に基づく求心を実行
する。この結果得られる磁化成分(a,b)は、求心法決
定装置154及びスイッチ156に供給される。
求心法決定装置154は、AB法求心装置152においてAB法
による求心が完了したかどうかを示す完了フラグを取り
込む。CD法による求心動作が終了しない状態が完了フラ
グが求心法決定装置154に供給された場合、求心法決定
装置154にスイッチ156をAB法求心装置152側に倒し、AB
法により求められた磁化成分(a,b)を加算器128に供給
させる。
また、CD法求心装置158による磁化成分(c,d)が得ら
れており完了フラグが未だ発せられていない場合、求心
法決定装置154によりスイッチ156がCD法求心装置158側
に倒される。これにより、CD法求心装置158により求め
られる磁化成分(c,d)は加算器128に供給される。
加算器128において磁化成分(a,b)または(c,d)が
除去された地磁気の水平面内成分(ui,vi)は、メモリ
160に格納されると共に逆正接演算部130に供給される。
逆正接演算部130においては水平面内成分(ui,vi)に
基づいて地磁気方位θVMFが演算され、さにLPF166によ
って移動体揺動成分が除去されて、求められた地磁気方
位θVMFが方位レジスタ169に供給されることとなる。
なお、この実施例においては、CD法によるオフセット
を格納するレジスタ208が設けられている。このレジス
タ208の内容は、ステップトラック制御回路80によって
発せられるステップ角により逐次更新される。
すなわち、レジスタ208の内容は、ステップトラック
制御回路80からスイッチ82を介して供給されるステップ
角により逐次加算更新される。このため、レジスタ208
の前段には加算器210が設けられており、レジスタ208の
内容には、この加算器210によりステップ角が加算され
る。レジスタ208に格納されているオフセットΔθ
VMFは、CD法により求心が行われている際にステップト
ラック制御回路80によるステップトラックを実行する際
発生するオフセットである。すなわち、第14図に示され
るように、CD法求心装置において求心が行われている場
合には、衛星方位系30側ではなく、FGC系34側において
ステップトラックを実行する。このため、レジスタ208
から出力されるオフセットΔθVMFは、加算器170に供給
され、地磁気方位θVMFに加算される。
また、このレジスタ208は、探索フラグまたは完了フ
ラグによりリセットされる。すなわち、FGC系34には探
索フラグ及び完了フラグを取り込むORゲート212が設け
られており、このORゲート212の出力はレジスタ208のリ
セット端子に接続されている。方位探索制御回路164に
おいて探索フラグが発せられ方位探索が開始された場
合、またはAB法求心装置152による求心が完了した場合
に、レジスタ208の内容が初期化される。
また、方位探索制御回路164から発せられる探索フラ
グは、レートセンサ系36のLPF120及び方位レジスタ122
に供給される。すなわち、CD法による求心が実行されて
いる場合には、レートセンサ系36がリセットされる。
さらに、リセット回路172にはタイマ178が備えられて
いる。このタイマ187は、樹木等による短時間の電波遮
断(ブロッキング)による短時間のキャリア検出信号CD
のオフの場合に、方位探索を開始することを避けるため
のものである。従って、CDがオフとなってから一定の時
間が経った場合に、タイマ178はカウントアップし、OR
ゲート176を介して起動信号を方位探索制御回路164に供
給する。
(7) 実施例の効果 このように、本実施例においては、AB法及びCD法によ
り求心が実行される。CD法は、アンテナ10を回動させCD
がオンしているときの移動体方位θVM(CD)を得ることに
よって求心を行う方法であるため、移動体を旋回させる
必要がない。従って、FGC20のように、その出力(xi,y
i)に磁化成分(c,d)が含まれる装置を用いた場合にお
いても、移動体を旋回させることなくこの磁化成分(c,
d)を除去することができる。また、この結果、FGC系34
の検出精度を確保することができ、例えばレートセンサ
のように比較的精度の低い装置を恒温化することに伴っ
て発生するシステム立上げ時の待ち時間を発生させるこ
となくアンテナ追尾装置に採用することができる。すな
わち、レートセンサ18として安価なもの用いることが可
能になる。
また、この実施例においては、移動体の状況に応じ、
AB法により求められる磁化成分(a,b)が加算器128に切
換供給される。従って、例えば移動体の運行状況により
AB法による磁化成分(a,b)が得られる場合にはより高
い精度の期待できる最小二乗法に則った実績のあるAB法
で求心できる。
さらに、FGC系のLPF166と、レートセンサ系36のLPF12
0は、互いに相補型に構成されている。従って、両者の
出力を加算して移動体方位θVMを求めることができる。
また、LPF166によってFGC20の出力に含まれる移動体揺
動成分を除去することができ、従って移動体の揺動の影
響を受けない移動体方位θVMの演算が可能となる。一方
で、LPF120の不完全積分、すなわち低域通過特性によ
り、レートセンサ18から出力される旋回角速度を旋回角
度θVRに変換することができる。
さらに、この実施例においては、磁北基準のセンサで
あるFGC20に適合させるべく、衛星方位系30の出力が磁
北基準に補正される。すなわち、真北基準の緯度,経度
及び衛星経度を用いて得られる真北基準の衛生方位θSN
を、ROM64に格納されている偏角θNMを参照することに
よって磁北基準に補正することができ、この結果、衛星
方位が真北基準で求められる一方で移動体方位が磁北基
準で求められるという不具合が防止される。これによっ
て、偏差θNMに起因する誤差の発生が防止される。
そして、この実施例においては、メモリ76及び160を
それぞれバッテリ78及び162によりバックアップするよ
うにしたため、例えば電源を投入した際に直ちに衛星方
位θSMを設定し、求心及び地磁気方位θVMF演算を開始
させることが可能となる。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明によれば、CDオン時の移
動体方位を用いることにより磁化成分を求めるようにし
たため、移動体を旋回させることなくFGC出力から磁化
成分を除去することとが可能となる。
また、本発明の請求項(2)によれば、移動体の旋回
角度の如何に応じてAB法求心手段またはCD法求心手段の
いずれかの出力が選択的に用いられ、場合に応じてより
適当な手段により磁化成分の排除を行わせることが可能
となる。
さらに、請求項(3)によれば、衛星方位と移動体方
位の基準が磁北基準に統一されるため、真北と磁北の偏
差による誤差発生が防止されより正確なアンテナ追尾を
行うことが可能となる。
さらに、請求項(4)によれば、FGCの出力に含まれ
る移動体揺動成分が除去され移動体の揺動の影響を受け
ることなく地磁気方位の算出を行うことが可能となる。
また、レートセンサの出力をローパスフィルタにより不
完全積分することによりレートセンサのオフセット及び
その温度ドリフトの影響を除去して旋回角度を求めるこ
とが可能となると共に、このローパスフィルタによって
決定するレートセンサ系の伝達関数をFGC系の伝達関数
と相補型に構成するようにしたため、両者の出力の加算
により、周波数応答特性の秀れた系を構成することがで
き、精度よく移動体方位を求められることとなる。
そして、請求項(5)によれば、ステップトラック制
御回路により、衛星方位または移動体方位が修正され、
受信系における受信レベルが最も高くなるようアンテナ
追尾を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の一実施例に係るアンテナ追尾装置の
実体構成を示す図であって、第1図(a)は斜視外観
図、第1図(b)は側面図、 第2図は、この実施例の全体回路構成を示すブロック
図、 第3図は、アンテナサーボ系及び受信系の構成を示すブ
ロック図、 第4図は、衛星方位系及びステップトラック系の構成を
示すブロック図、 第5図は、偏角テーブルの内容を示す表図、 第6図は、各方位の関係を示す方位図、 第7図は、ステップトラック制御回路の構成を示すブロ
ック図、 第8図は、レートセンサ系の構成を示すブロック図、 第9図は、フラックスゲートコンパス系の構成を示すブ
ロック図、 第10図は、フラックスゲートコンパスの構成を示すブロ
ック図、 第11図は、フラックスゲートコンパスの特性を示す図、 第12図は、移動体着磁の影響を示す図、 第13図は、方位探索制御回路の構成を示すブロック図、 第14図は、求心法による動作の相違を示す表図である。 10……アンテナ 18……レートセンサ 20……フラックスゲートコンパス 22……エレクトロニクスユニット 26……アンテナサーボ系 28,32……加算器 30……衛星方位系 34……フラックスゲートコンパス系 36……レートセンサ系 38……受信系 40……ステップトラック系 64……ROM 68……加算器 80……ステップトラック制御回路 120……LPF 126……求心装置 128……加算器 130……逆正接演算部 152……AB法求心装置 154……求心法決定装置 156……スイッチ 158……CD法求心装置 164……方位探索制御回路 166……LPF CD……キャリア検出信号 REC LEV……受信レベル信号 θSN……真北基準の衛星方位 θMN……偏差 θSM……磁北基準の衛星方位 θVR……旋回角度 (xi,yi)……フラックスゲートコンパスの出力 (a,b)……AB法による磁化成分 (c,d)……CD法による磁化成分 (ui,vi)……地磁気の水平面内成分(ベクトル) θVMF……地磁気方位 ro……地磁気の水平面内成分 θVM……移動体方位 θAVC……アンテナ指令角
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01S 3/00 - 3/74 H01Q 3/00 - 3/20 G05D 3/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも一軸で回動可能に支持されるア
    ンテナと、 アンテナ指令角に応じてアンテナ方位をサーボ制御する
    アンテナサーボ系と、 衛星方位及び移動体方位からアンテナ指令角を演算する
    第1の加算器と、 現在の緯度・経度情報及び衛星経度から衛星方位を演算
    する衛星方位系と、 移動体の旋回角度及び地磁気方位から移動体方位を演算
    する第2の加算器と、 移動体の旋回角速度を検出し低域通過濾波することによ
    り移動体の旋回角度を求めるレートセンサ系と、 地磁気の水平面内成分を検出し移動体磁化成分を除去し
    て地磁気方位を求めるフラックスゲートコンパス系と、 アンテナにより電波を受信し、アンテナ方位が衛星方位
    に近接しているときにキャリアを検出してキャリア検出
    信号を出力する受信系と、 を有し、車両、船舶等の移動体に搭載されるアンテナ追
    尾装置において、 フラックスゲートコンパス系が、 地磁気の水平面内成分の初期値、キャリア検出信号が発
    生している時の移動体方位及び地磁気の水平面内成分に
    基づき移動体磁化成分を求めるCD法求心手段と、 地磁気の水平面内成分から移動体磁化成分を除去して地
    磁気方位を求める地磁気方位演算手段と、 を備えることを特徴とするアンテナ追尾装置。
  2. 【請求項2】請求項(1)記載のアンテナ追尾装置にお
    いて、 フラックスゲートコンパス系が、 移動体の旋回により得られる地磁気の水平面内成分か
    ら、移動体の旋回に伴って変化する成分を除去し、残っ
    た成分を移動体磁化成分として求めるAB法求心手段と、 AB法求心手段及びCD法求心手段のいずれかにより得られ
    る移動体磁化成分を、選択的に地磁気方位演算手段に切
    換供給する求心法切換手段と、 を備えることを特徴とするアンテナ追尾装置。
  3. 【請求項3】請求項(1)記載のアンテナ追尾装置にお
    いて、 衛星方位系が、 現在の緯度・経度情報から真北に対する磁北の偏角を求
    め、衛星方位を磁北基準に補正する手段を備えることを
    特徴とするアンテナ追尾装置。
  4. 【請求項4】請求項(1)記載のアンテナ追尾装置にお
    いて、 レートセンサ系が、移動体の旋回角速度を低域通過濾波
    するローパスフィルタを備え、 フラックスゲートコンパス系が、レートセンサ系と相補
    的な伝達関数を有するローパスフィルタを備えることを
    特徴とするアンテナ追尾装置。
  5. 【請求項5】請求項(2)記載のアンテナ追尾装置にお
    いて、 受信系における受信レベルが最も高くなるよう、CD法求
    心手段により移動体磁化成分が求められている場合には
    第2の加算器により求められた移動体方位を、他の場合
    には衛星方位を、修正するステップトラック制御回路を
    備えることを特徴とするアンテナ追尾装置。
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