JP2901836B2 - 艶消し表面処理不要の歯の光学測定方法 - Google Patents

艶消し表面処理不要の歯の光学測定方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、測定された歯の座標が
補正値により補正されるために、反射特性を改善するた
めの歯の初期表面処理が不必要な歯の光学的測定方法に
関する。
【０００２】
【従来の技術】歯の光学的測定方法及びそれによる義歯
の製造方法が、例えばＥＰ０２９９４９０に提案されて
いるように、一般的に知られている。ここで、歯はモア
レ、位相遷移、あるいは三角測量技術に基づいて光学的
測定方法により測定される。これらの全ての測定方法に
おいては、歯の表面は最適に反射、例えば完全拡散（ラ
ンバート反射）をするものとされている。これは一般的
な場合ではないため、これらの方法は常に不正確なデー
タを供給し、自動的に製造された義歯は嵌合精度が悪く
なってしまう。
【０００３】図１の（ａ）乃至（ｃ）は、異なる歯の反
射特性と、歯の座標決定に対する影響を明確に示してい
る。図１の（ａ）において、歯のエナメル質の表面は部
分的に透明（半透明）であり、光線はそれを透過する。
このために、測定するときに、小さすぎる歯の寸法が自
動的に供給されてしまうであろう。この影響は、歯の表
面に入射する光線の歯の表面に対する方向に依存する。
【０００４】図１の（ｂ）は歯を測定する際に、光沢の
ある歯の表面は部分的な方向に反射するという更なる光
学的困難さを示している。これは投射されたパターンの
変位を生じさせ、従って、歯の座標の測定が不正確とな
る。一方、図１の（ｃ）は上述の技術の方法に要求され
る完全拡散反射を示している。
【０００５】これらの歯の不適当な反射特性は時がたつ
につれて測定されるようになり、そのため、例えばチョ
ークの水溶液や二酸化チタン粉末やそれに類するものの
ような艶消し物質によって測定される歯を被覆すること
で解消されてきた。従って、例えば公知のＣＥＲＥＣ法
では、歯の表面を光沢がなく反射が無いようにするため
に歯に測定用粉末がスプレーされる。更に、反射力を向
上させる方法が技術文献（ＥＰ−Ａ−０２３４４２２）
に開示されている。それによると、この方法によって歯
の反射特性を改善するために、歯は水様のアルコール溶
液に白い顔料を含んだ懸濁液で被覆される。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】欠点は、この前処理は
処理時間を著しく増加させ、患者にとっては非常に苦痛
であるということである。更に、この方法は可能な限り
薄くて一様な層厚を必要とする。層厚の不ぞろいを制御
することは困難であり、従って、測定データは不正確に
なってしまう。
【０００７】本発明の目的は上述の欠点を回避した測定
方法を開示することである。この目的は請求項１及び／
又は請求項７に記載の特徴により達成される。
【０００８】
【実施例】図１乃至３に概要で示されるように、光学測
定装置は光パターン投光器と概ね一定の変位角φに配置
されたイメージセンサとより構成される。光パターン投
光器用に各々の像点のために自由にプログラム可能な透
過値を有するマトリックス光変調器の使用、及び正弦波
増幅変調を有する光パターンの細長い片の使用は、本出
願人による特許出願ＤＥ−Ａ−３８ ２９ ９２５によ
り知られている。通常は、必要に応じてそれに取付けら
れるコヒーレント光ガイドとともに、ＣＣＤマトリック
スイメージセンサが使用される。更に説明するために、
空間座標（ＸＹＺ）を有し、投光器によって照射されセ
ンサによって検知される歯の表面の一点が図示されてい
る。簡便化のため、この図は断面画像に基づき、Ｚ座標
だけが説明される。この二次元的な説明がどのように実
際の三次元的な問題に適応できるかについては、コンピ
ュータグラフィック分野の当業者にとっては衆知のこと
である。
【０００９】図１の（ａ）は歯のエナメル質の半透明性
に基づく歯の光学的特性の影響を簡略的に示している。
半透明な歯の表面３では、歯の表面３に入射する光の全
てが反射されるのではなく、ある部分は歯のエナメル質
内に透過し、さらに内側の表面４に主に分散される。こ
の分散は４πの空間角内の材料内に生じる。観測方向に
分散する分岐光は表面上の点像の非対称の歪みとなり、
それは重心の決定の際の重心ずれを意味する。
【００１０】図１の（ａ）において、この重心ずれは、
正反射（フレネル反射）により検知された光線８の代わ
りに重心光線９により計算された内側点６により示され
る。正反射は異なった屈折率を有する二つの媒質の境界
領域にのみ生じる。これは、好ましくないが、二つの分
岐光が異なっているときの歯の表面における場合、歯の
内部（エナメルの小さなロッド）における微細構造（粒
子）における場合、あるいは可能性として象牙質への境
界領域の場合である。
【００１１】図１の（ｂ）は部分的な方向への反射であ
る非理想的拡散の場合を示す。ここで、光線９の反射強
度の重心は、その反射角に向かって変位し、それは完全
に反射する反射により起こるであろう。これにより、イ
メージセンサ２によって検知される光パターンも変位さ
れ、この場合も歯の表面３上の測定点５の不正確な座標
値が計算されるであろう。
【００１２】図１の（ｂ）を明瞭にするために、光パタ
ーン投光器１とイメージセンサ２の光軸１１と１２によ
り形成される変位角１０だけが示されている。モアレや
位相遷移や三角測量技術による光学的測定工程を行うた
めの画像投射／受像装置のそのような配列は不可欠であ
る。測定誤差を生じた上述の二つの場合には、歯の表面
３に対する入射測定光線７の方向に系統的に依存する。
もし、例えば図１の（ａ）に示す光パターン投光器１が
下方に移動されて測定光線７が点５により傾斜して入射
した場合は、点６は内側表面４上を上方に移動する。従
って、Ｙ座標値の大きな変化が検出可能であろう。
【００１３】図１の（ｃ）に示すように、理想的な拡散
反射面の時だけ、入射測定光線の方向の関数としての測
定された空間座標値には何の変化生じない。本発明によ
り、誤差に結びつく歯の表面のこれらの非最適反射特性
について検討を加える。方法の第１段階において、上述
の理由により誤差を含んだ歯の輪郭３を表す座標値が計
算される。それから、これらの値はメモリに記憶され
る。
【００１４】次の段階において、これらの座標値の一部
あるいは全部についての表面ベクトルが決定され、対応
する座標値に関して記憶される。導入部で説明したよう
に、測定誤差は測定光線の方向に依存するため、この表
面ベクトルは歯の表面への測定光線の入射角の決定に使
用される。次に表面ベクトルの決定方法について、図２
を参照しつつ、２つの点５ａ及び５ｂを例にとって説明
する。第１の測定段階により、歯の表面の誤差を含んだ
おおまかな輪郭が得られる。既知の幾何学的方法によ
り、少なくとも更に２つの測定点を含んだ補足的な面１
３ａ及び１３ｂがそれぞれ点５ａ及び５ｂに設定され
る。知られているように、一つの面は三つの点によって
十分に定義される。次に、点５ａ又は５ｂを通る垂線１
４ａ又は１４ｂが形成される。
【００１５】表面ベクトルとして表わされ補足的な面１
３ａ，１３ｂに起立した垂線１４ａ，１４ｂは夫々の点
５ａ，５ｂの参照とともにメモリに記憶される。既述の
ように、測定誤差は測定光線７の方向に依存するため、
誤差の大きさの指標である角度１５は、点５に関する表
面ベクトル１４と測定光線７との間によって与えられ
る。
【００１６】例えば、加算または乗算により誤りの座標
値と組み合わされた角度αを参照することにより、記憶
された表から読み取ることができ、誤差の無い座標値が
得られる。この誤差補正はおおまかに測定された全ての
点あるいはおおまかに測定された歯の輪郭の選定された
点にだけ行うことができ、その間に位置する点は補間さ
れる。
【００１７】測定光線の方向、即ち角度αと対応する補
正値の間の関係がどのように得られるかについて図３と
ともに説明する。歯の表面３上のどのような所望の点５
でも第１段階において正確に測定される。例えば、この
点に小さな光沢の無い点を適応することにより、歯の反
射特性は実質的に最適となるようにされる。同時に、こ
の点５の表面ベクトル１４が計算され、歯の座標値とと
もに記憶される。
【００１８】次の段階で、光パターン投光器１は連続的
に点５に対して異なる点に移動される。投光器１の位置
と対応する角度１５ａ乃至ｅにより、測定結果は点５の
座標値ではなく、点６ａ乃至ｅの座標値を与える。正確
に測定された座標値５と誤差を含んだ点６ａ乃至ｅを参
照することにより、誤差を含んだ偽値と正確な座標値と
の間の補正値が計算できる。この補正値は対応する角度
とともにメモリに記憶される。他の角度のための補正値
は既知の角度と補正値によって補間される。
【００１９】本発明者は多くの一連の実験により、どの
様な所望の点５において測定された歯の光学的特性で
も、歯の他の全ての領域に適用することができる。従っ
て、補正値を容易にアクセス可能な歯を参照して決定す
ることが可能であり、あるいは標準的な歯の材料を参照
して口腔外で経験的に決定することが可能である。
【００２０】もちろん、例えば半透明層の層厚を歯の測
定を行わずに数学的に規定することにより、補正値を決
定することも可能である。本発明によれば、投射された
光パターンの不十分な明るさ及び／又は濃淡を有する像
点は自動的に除外され、像メモリに印される。これらの
除外された像点の座標値は、回りの有効な点の座標値に
よる補間によって代替される。
【図面の簡単な説明】
【図１】（ａ）は半透明性の表面を有する歯に対する光
線の進路を示す一例の図、（ｂ）は不規則に反射する表
面を有する歯に対する光線の進路を示す一例の図、
（ｃ）は艶消しされ拡散的に反射する表面を有する歯に
対する光線の進路を示す一例の図である。
【図２】表面ベクトルの構成と角度αの決定法を示す図
である。
【図３】誤差補正値の決定法を示す図である。
【符号の説明】
１ 投光器 ２ イメージセンサ ３ 歯の表面 ４ 内側表面 ５，６ 点 ７ 測定光線 ８，９ 光線 １０ 変位角 １１，１２ 光軸 １３ａ，１３ｂ 面 １４ａ，１４ｂ 垂線 １５ 角度
フロントページの続き (72)発明者 クリスティアン コンツ ドイツ連邦共和国 デー−7760 ラード ルフツェル フィンケンヴェーク １番 地 (58)調査した分野(Int.Cl.6，ＤＢ名) A61C 19/04

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 次段階での義歯製造のための歯の光学的
    測定方法であって、 投光装置（１）を使用して歯の表面（３）を測定して歯
    の表面（３）上の複数の測定点の測定座標値を決定する
    第１段階と、 前記測定座標値（６）の少なくともいくつかについて誤
    差補正を行い、前記歯の表面（３）の補正された座標値
    （５）を決定する第２段階と よりなり、 前記第２段階において使用される補正値は、補正される
    べき点（６）の位置及び前記第１の段階において使用さ
    れる前記投光装置（１）の位置に依存する値（α，１
    ５）を使用して決定されることを特徴とする 方法。
  2. 【請求項２】 前記第２段階は測定点のいくつかについ
    てのみ行われ、補正されなかった点（６）は補正された
    点（５）を基準として補間されることを特徴とする請求
    項１記載の方法。
  3. 【請求項３】 前記第２段階において全ての測定座標値
    （６）は誤差補正されることを特徴とする請求項１記載
    の方法。
  4. 【請求項４】 補正されるべき点（６）の位置及び前記
    投光装置（１）の位置に依存する値は角度（α，１５）
    で表されることを特徴とする請求項１記載の方法。
  5. 【請求項５】 前記角度（α，１５）は、測定点を通り
    前記歯の表面（３）に対する垂線（１４）と前記測定点
    に入射する前記投光装置（１）の測定光線（７）との間
    に形成されることを特徴とする請求項４記載の方法。
  6. 【請求項６】 前記第１の段階の後で各々の測定点に対
    する前記垂線（１４）は数学的に決定され記憶されるこ
    とを特徴とする請求項５記載の方法。
  7. 【請求項７】 次段階での義歯製造のために、歯の表面
    （３）の光学的に測定された座標値の誤差補正のための
    補正値を決定する方法であって、 歯の表面（３）上の点（５）の正確な座標値を決定し、
    前記正確な座標値を基準座標値として記憶する第１段階
    と、 反射により生じる測定誤差を受けるような方法で、測定
    装置（１）の異なる投光／受光位置（ａ−ｅ）から前記
    点（５）を光学的に測定する第２段階と、 前記第１段階において決定された基準座標値と前記第２
    段階において各々の投光／受光位置（ａ−ｅ）について
    測定された座標値との間の差異を演算し、前記差異を前
    記補正値として、各々の投光／受光位置（ａ−ｅ）に対
    応する投光／受光位置値（１５ａ−１５ｅ）と共に記憶
    する第３段階と よりなる ことを特徴とする方法。
  8. 【請求項８】 各々の投光／受光位置値（１５ａ−１５
    ｅ）は前記点（５）に入射する前記測定装置（１）の測
    定光線と前記点（５）を通る垂線（１４）との間の角度
    （α）により与えられることを特徴とする請求項７記載
    の方法。
  9. 【請求項９】 前記基準位置は、前記歯の表面（３）の
    少なくとも一部の故意の艶消しとそれに続く前記一部の
    光学的測定により前記第１段階において決定されること
    を特徴とする請求項７記載の方法。
  10. 【請求項１０】 前記第３段階において演算されない補
    正値は、前記第３段階において演算された補正値を補間
    することにより決定されることを特徴とする請求項７記
    載の方法。
  11. 【請求項１１】 前記歯は口腔外における典型的な歯材
    料の形態であり、前記補正値は口腔外で経験的に決定さ
    れることを特徴とする請求項７記載の方法。
  12. 【請求項１２】 前記歯は口腔内で容易に接近可能な歯
    であり、前記補正値は口腔内で決定されることを特徴と
    する請求項７記載の方法。
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