JP2843967B2 - 疲労強度と靱性に優れた鍛造用非調質鋼およびその鍛造方法 - Google Patents

疲労強度と靱性に優れた鍛造用非調質鋼およびその鍛造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は最近の自動車の燃費向上
に伴う軽量化対応に鑑み、細径化、薄肉化が可能で、か
つ表面が黒皮鍛造肌のままでも優れた強度の得られる疲
労強度と靱性に優れた鍛造用非調質鋼およびその鍛造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車エンジンのコンロッド等
は、機械構造用炭素鋼であるS50C、S55Cなどを用い、熱
間鍛造により成形後、高強度、高靱性を付与させるた
め、焼入焼もどし等の熱処理(以下調質と記す)が施さ
れていた。しかし、熱間鍛造後の調質処理が莫大なエネ
ルギ−を必要とすることから、省エネルギ−の社会的要
請に応えるために、熱間鍛造後の自然空冷にて必要な性
能の得られるC を 0.2〜0.5%程度含有する中炭素鋼に0.
03〜0.20% のV を添加した非調質鋼が提案され、昭和50
年代後半から使用されてきた。
【0003】しかしながら、表面が黒皮鍛造肌のまま使
用するコンロッド等の部品は、疲労強度がその表面性状
によりほぼ決定されてしまう。そして、問題となる表面
は製造時に高温にさらされ、脱炭、スケ−ル等が生成す
るため、本来材料が持っている特性を十分に生かすのは
非常に難しい。従って、実際の部品が持つ強度は材料が
本来持つ強度に比べ著しく低くなってしまうのが通常で
あり、実部品の疲労強度を上げることができず、高強度
化は困難であった。
【0004】よって、表面が黒皮鍛造肌のまま使用する
部品を高強度化しようとする場合には、使用する材料の
強度を上げるだけでは不十分であり、表面性状を改善す
ることが必要となる。本発明者等は前記課題を解決する
ために、特開平4-193931号公報に記載の発明を既に開示
している。この発明はC 、V の適量添加とSi量の低減に
より、フェライト脱炭量の低減とフェライト脱炭層の硬
さ低下の抑制を図るともに、加熱条件を限定して疲労強
度の向上を図るものである。
【0005】さらに、前記公報記載の鋼のドリル穴明け
加工等の被削性を改善するために、特開平6-212344号公
報記載の発明も開示している。この発明は、フェライト
脱炭量とC 、Si、V 量との関係をさらに詳しく検討し、
100×V(%)× C(%)-Si(%)/3>3.5に限定して表面脱炭量
の低減を図るとともに、加熱温度を1050℃以下として鍛
造品の表面と内部の硬さの差を小さく抑えることによ
り、被削性の向上を図った鍛造用鋼である。
【0006】
【発明が解決しようとする問題点】前記した公報に記載
の発明によりフェライト脱炭量及び表面層の強度向上が
図られ、黒皮鍛造肌のままでも優れた疲労強度が得られ
るようになった。また、特開平6-212344号公報記載の発
明では、疲労強度に加え、被削性についても改善するこ
とができた。しかしながら、その後の調査により、前記
公報記載の発明には、以下に説明する問題点のあること
が、さらなる適用範囲の拡大に妨げとなることが明らか
となってきた。
【0007】すなわち、特開平4-193931号公報記載の発
明は、熱間鍛造後の組織が粗大化する場合があり、粗大
化した場合には靱性が若干低下し、靱性に対する要求水
準の高い部品には靱性が若干不足する場合があることが
わかった。
【0008】また、特開平6-212344号公報記載の発明
は、加熱温度を低く抑えることによって、疲労強度、被
削性の改善を図ることはできたが、一方で鍛造時に使用
する型の寿命低下、鍛造時の割れ、欠肉等の問題が無視
できなくなることがわかった。しかしながら、加熱温度
を低くしないと優れた特性を確保できない場合があるた
め、満足する要求特性を得るためには、簡単に加熱温度
を上げられないという事情があった。
【0009】本発明は、前記の如き問題点を解決するた
めになされたもので、前記公報に記載の発明のように、
加熱温度を低く管理しなくても、疲労強度、靱性、被削
性の全てについて優れた特性の確保できる鍛造用非調質
鋼およびその鍛造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は前記目的の
下に加熱温度を特開平6-212344号公報記載の発明のよう
に低く設定しなくても優れた疲労強度、靱性、被削性が
得られる条件について鋭意研究を重た結果、以下の知見
をなし本発明を得た。
【0011】フェライト脱炭量の低減とフェライト脱炭
層の強化を図るため、Si量を低減し、V を適量添加する
という考え方については、本発明も前記公報記載の発明
と同様である。ただし、C については、従来フェライト
脱炭量の低減に効果のある元素と考えられてきたが、今
回V 添加のフェライト・パーライト型非調質鋼に範囲を
限定し、詳細に調査、検討を行った結果、従来に比べC
量を低めに設定した方が、かえってフェライト脱炭量を
低減できるという逆の傾向のあることを確認した。
【0012】また、本発明では、フェライト脱炭層の改
善に加え、さらに鍛造後の組織と各種要求特性との関係
に注目して調査を行い、鍛造後の組織のフェライト面積
率を70% 以上に高めた組織とした場合には、加熱温度を
1050℃以上とした場合でも疲労強度、靱性があまり低下
しないことを見出したものである。
【0013】そして、さらに検討を進めた結果、70% 以
上のフェライト面積率を確保するためには、C 含有率を
前記公報の鋼に比べ低めに抑え、Ac3 変態点を830 ℃以
上とすることで達成できることを知見したものである。
なお、本発明で言うAc3 変態点とは、成分を変化させた
多数の材料をフォーマスタ試験した結果得られた以下に
示す実験式で定義される温度のことである。 Ac3=910-203C0.5-15.2Ni+44.7Si+104V+31.5Mo (各元素
の単位は全て重量%)
【0014】このようにフェライト面積率を70% 以上と
することによって、加熱温度を1050℃を越える温度とし
ても優れた強度を得ることができるが、加熱温度を高め
ていくと、前記公報に記載されているように、フェライ
ト脱炭量が増加して表面硬さが低下するという問題が起
きる。従って、表面硬さが中心部の硬さに比べてビッカ
ース硬さで50以内となる範囲で加熱温度の上限を設定し
ておいた方が望ましい。
【0015】本発明は前述の知見に基づいて完成された
ものであって、第1発明は、重量%にして、C:0.15〜0.
27% 、Si:0.35%以下、Mn:0.60〜1.00% 、Ni:0.15%以
下、Cr:0.30%以下、Mo:0.06%以下、Al:0.003〜0.070%、
V:0.20〜0.30% と、S:0.04〜0.12% 、Pb:0.05 〜0.30%
、Ca:0.0005 〜0.01% のうち1種又は2種以上を含有
し、残部がFeならびに不純物元素からなり、かつAc3
態温度(=910-203C0.5-15.2Ni+44.7Si+104V+31.5Mo)が83
0 ℃以上であるとともに鍛造放冷後のフェライト面積率
が70%以上であることを特徴とする疲労強度と靱性に優
れた鍛造用非調質鋼である。第2発明は、前記第1発明
鍛造用非調質鋼を使用し、加熱温度を900〜1250と
し、900 〜1200℃で鍛造して所定形状とした後自然空冷
する非調質とすることで鍛造放冷後のフェライト面積率
が70%以上である鍛造品を製造する鍛造方法である。
【0016】次に本発明の疲労強度と靱性に優れた鍛造
用非調質鋼の成分組成および変態温度の限定理由につい
て以下に説明する。 C:0.15〜0.27% C は強度を確保するための基本元素であり、0.15% 以上
の含有が必要である。しかし多量に含有させるとAc3
態点が低下して830 ℃以上の温度を確保しにくくなり、
フェライト面積率が低下するとともに、フェライト脱炭
量が増加して疲労強度、靱性が低下するので、上限を0.
27%とするのが良い。
【0017】Si:0.35%以下 Siはフェライト脱炭量低減のために含有量を極力減らす
ことが望ましいが、製鋼時の脱酸剤として不可欠である
ため、上限を0.35%以下とするのが良い。
【0018】Mn:0.60〜1.00% Mnは製鋼時の脱酸ならびに鋼の強度、靱性バランスを調
整するため添加される元素であり、0.60%以上の含有が
必要である。しかし過剰に添加すると焼入性が向上し過
ぎてベイナイト組織が生成し、疲労強度、靱性が低下す
る。よって本発明においては鍛造放冷でベイナイト組織
が生成しないようにするため、上限を1.00% とするのが
良い。
【0019】Ni:0.15%以下 Niはスクラップを電気炉にて溶解して製造する場合、積
極的に添加しなくても不純物として少量含有する元素で
ある。本発明においてもNiは積極的に添加するわけでは
ないが、NiはAc3 変態温度と密接な関係があり、多量に
存在するとAc3変態温度が低下して 830℃以上とするこ
とが困難となるので、上限を設定しておく必要があるた
め、0.15% 越えて含有しないこととした。
【0020】Cr:0.30%以下 Crは鋼の強度、靱性バランスを調整するために有効な元
素であり、Mnと同様に焼入性を大きく向上させる効果の
ある元素である。従って、多量に含有させると、ベイナ
イト組織が生成して疲労強度、靱性が低下するので、上
を0.30% とするのが良い。
【0021】Mo:0.06%以下 MoもNiと同様に不純物として少量含有する元素である
が、もし多量に含有すると焼入性が向上してベイナイト
が生成する可能性があるため、上限を決めておく必要が
あり、その範囲を0.06% 以下に限定した。
【0022】Al:0.003〜0.070% Alは脱酸効果を得るために不可欠な元素であるため、0.
003%以上の含有が必要である。しかしながら、多量に含
有させても前記効果が飽和するとともに、被削性が低下
するので、上限を0.070%とした。
【0023】V:0.20〜0.30% V は鋼中で炭窒化物となって鍛造後の冷却中に微細に析
出することにより、フェライトを強化するという非調質
鋼にとっては必須の元素であり、通常は0.10%程度添加
されている。但し本発明の場合にはそれ以外の効果とし
て、V がC と結合してトラップし、フェライト脱炭量を
低減させるとともに、フェライト脱炭層の硬さ低下をV
炭窒化物による析出強化によって抑制する効果もある。
従って、それらの効果が十分に得られる最低量である0.
20%を下限とした。しかしながら多量に含有させても前
記効果が飽和するとともに、コスト高となるため、上限
を0.30% とした
【0024】S:0.04〜0.12% 、Pb:0.05 〜0.30% 、Ca:
0.0005 〜0.01% の1種又は2種以上 S 、Pb、Caは被削性の改善に有効な元素であり、熱間鍛
造後の切削の程度に応じて必要量添加されるものであ
る。前記効果を得るためにはS は0.04% 以上、Pbは0.05
% 以上、Caは0.0005% 以上の含有が必要である。しかし
多量に含有させてもその効果が飽和するとともに靱性を
低下させるので、上限をS は0.12% 、Pbは0.30% 、Caは
0.01% とした。
【0025】Ac3変態温度が 830℃以上 本発明では、加熱温度を低く管理しなくても優れた疲労
強度、靱性を確保するために、Ac3 変態温度を 830℃以
上とすることによって、鍛造後の組織のフェライト面積
率の増加を図っている。もし、 Ac3変態温度が低くなる
と、フェライト面積率が低下して、加熱温度を低くしな
いと優れた特性を確保出来なくなるため、その下限値を
830 ℃とした。
【0026】加熱温度は900 〜1200℃である。加熱温度
が900 ℃未満であるとV が十分に固溶しないため析出強
化不十分、脱炭抑制効果不十分となり疲労強度が低下す
る。逆に1200℃を超えると組織の粗大化、脱炭増加を来
たし、靱性および疲労強度が低下する。
【0027】鍛造温度は900 〜1200℃である。鍛造温度
が900 ℃未満であると、鍛造割れをおこすおそれがあ
る。逆に1200℃を超えると組織の粗大化を招き、疲労強
度が低下する。なお、鍛造後鍛造品は自然空冷すなわち
非調質とされる。
【0028】
【作用】本発明においては、従来から検討を進めてきた
表面脱炭層の低減のための成分の最適化に加え、Ac3
態温度の下限値を限定することによって鍛造放冷後のフ
ェライト面積率を70% 以上としたことによって、加熱温
度を低めに管理しなくても優れた疲労強度、靱性が得ら
れる。
【0029】
【実施例】以下に本発明の特徴を比較鋼、従来鋼と比較
し、実施例でもって明らかにする。表1は実施例に用い
た供試鋼の化学成分を示したものである。
【0030】
【表1】
【0031】表1において1〜2鋼は本発明鋼であり、
3〜6鋼はいずれかの成分又はAc3変態温度が本発明の
条件を満足しない比較鋼であり、7鋼は従来鋼であるS5
0Cである。比較鋼のうち3、6鋼は前記した特開平6-21
2344号公報に記載の範囲内の鋼であって、本発明による
Ac3 変態温度の下限値の設定による効果を明確にするた
めに実施例として選択したものである。
【0032】実施例として使用した供試材は熱間圧延に
て製造した直径50mmの丸棒を高周波加熱炉により1200℃
に加熱後、1150〜1100℃で図1に示すような形状に鍛造
し、室温まで自然空冷したものであり、従来鋼である13
鋼のみ空冷後通常行われている調質処理を行った。
【0033】これら各供試材を機械加工によりコンロッ
ド完成品の試験材とし、電気油圧式疲労試験機により引
張・圧縮荷重負荷方式の実体疲労試験を行い、耐久限を
求めた。また、前記鍛造品から試験片を採取し、以下に
説明する方法で、シャルピー衝撃試験、硬さ測定、ミク
ロ組織の観察、被削性の評価を行った。
【0034】シャルピー衝撃試験は、幅2.5mm 、高さ10
mm、長さ55mmのサブサイズシャルピー試験片(Uノッ
チ)を作成し、常温と -50℃で試験を行った。硬さは、
前記鍛造品を切断して切断面を研摩した後、表面から0.
1mm の位置と、中心部について、ビッカース硬度計(荷
重500gf)により測定した。
【0035】ミクロ組織は、前記鍛造品のフェライト脱
炭状況と中心部のミクロ組織をナイタールで腐食させ
て、倍率400 倍で観察した。フェライト面積率の測定
は、50視野のポイントカウンティング法により行った。
被削性の評価は、鋼種がSKH51 のφ5mm ストレートドリ
ルを用い、深さ15mmの穴明けを連続的に行い、ドリル寿
命を測定することにより行った。なお、結果は従来鋼で
ある13鋼の寿命を100 とした指数で示した。以上説明し
た試験を行なって得られた結果を表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】表2から明らかなように比較鋼、従来鋼を
使用して製造した鍛造品を本発明鋼による鍛造品と比較
すると、3鋼はC 含有率が高いため、変態温度が低下し
てフェライト面積率が低下し、疲労強度、衝撃値が劣る
ものであり、4鋼は、Mn含有率が高いため、組織の一部
にベイナイトが生成してフェライト面積率が低下し、疲
労強度、衝撃値が低下したものであり、5鋼は、V 含有
率が低いため、フェライト脱炭量が多くなるとともに析
出強化が十分に得られないため、疲労強度が著しく低下
したものであり、6鋼は各化学成分の範囲は本発明の条
件を満足しているが、変態温度が低いためにフェライト
面積率が低下して衝撃値が劣るものである。なお、3、
6鋼は前記したH06-212344号公報に記載の条件を満足す
る鋼であるが、本実施例では加熱温度が1200℃と高いた
めに疲労強度、衝撃値が低下したものである。また、従
来鋼であるS50Cを調質処理した7鋼は、V を全く含有し
ていないために、フェライト脱炭量が非常に多く、疲労
強度が著しく劣るものである。
【0038】これに対して、本発明鋼により製造した鍛
造品である1〜2鋼はV を適量含有し、C 、Siの含有量
を抑えて、フェライト脱炭を抑えるとともに、Ac3 変態
温度を830 ℃以上としてフェライト面積率を70% 以上と
したことによって、加熱温度を高めても優れた特性の得
られることが確認できた。
【0039】また、被削性についても従来鋼である7鋼
比べ優れており、特に被削性改善元素を添加した1〜
2鋼のドリル寿命は従来鋼に比べ著しく向上することが
確認できた。
【0040】次に鍛造時の加熱温度の変化による影響を
調査した実施例について以下に示す。表1に示す鋼のう
ち本発明鋼である2鋼と比較鋼の6鋼の直径50mmの熱間
圧延棒鋼を1000、1100、1200℃の温度で加熱後鍛造し、
室温まで空冷して、試験材を作製した。そして出来上が
った試験材を用いてフェライト面積率の測定、実体疲労
試験、シャルピー衝撃試験を前記実施例と同様の方法で
行った。また、本実施例では鍛造割れの有無についても
評価を行った。鍛造割れの有無の評価は、前記した形状
のコンロッドを多数鍛造し、 100個当たりの割れ個数で
評価した。表3に評価結果を示す。
【0041】
【表3】
【0042】表3から明らかように、比較鋼である6鋼
は、加熱温度を上げていった時の耐久限、衝撃値の低下
割合が大きいのに対し、本発明鋼は、加熱温度を上げて
も耐久限、衝撃値の低下の程度が小さく、また鍛造割れ
の個数も減っていることがわかる。この結果より、本発
明鋼は、以前提案された鋼に比べ高い温度で加熱し鍛造
しても、より優れた疲労強度、衝撃値を得られるととも
に、鍛造割れの生じにくい鋼であることがわかる。
【0043】
【発明の効果】本発明の疲労強度と靱性に優れた鍛造用
非調質鋼は、C 、Si、V 量を最適化して表面のフェライ
ト脱炭量を低減することに加え、Ac3 変態温度を830 ℃
以上としてフェライト面積率を70% 以上としたことによ
り、1050℃以上に加熱して鍛造した場合でも優れた疲労
強度と靱性が得られる。また、加熱温度を高めることが
できるので、鍛造時の割れや欠肉を防止することがで
き、型寿命も改善することができる。従って、この技術
は自動車の軽量化、低燃費化等産業上寄与するところは
極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例として製作したコンロッドの形状
を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野村 一衛 愛知県東海市荒尾町ワノ割1番地 愛知 製鋼株式会社内 (72)発明者 鈴木 正実 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 森 元秀 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−193931(JP,A) 特開 平6−212344(JP,A) 特開 平4−202741(JP,A) 特開 平7−233435(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 38/00 - 38/60 C21J 1/00 C21D 7/13,8/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%にして、C:0.15〜0.27% 、Si:0.35%
    以下、Mn:0.60〜1.00% 、Ni:0.15%以下、Cr:0.30%以
    下、Mo:0.06%以下、Al:0.003〜0.070%、V:0.20〜0.30%
    と、S:0.04〜0.12% 、Pb:0.05 〜0.30% 、Ca:0.0005 〜
    0.01% のうち1種又は2種以上を含有し、残部がFeなら
    びに不純物元素からなり、かつAc3 変態温度(=910-203C
    0.5-15.2Ni+44.7Si+104V+31.5Mo)が830 ℃以上であると
    ともに鍛造放冷後のフェライト面積率が70%以上である
    ことを特徴とする疲労強度と靱性に優れた鍛造用非調質
    鋼。
  2. 【請求項2】重量%にして、C:0.15〜0.27% 、Si:0.35%
    以下、Mn:0.60〜1.00% 、Ni:0.15%以下、Cr:0.30%以
    下、Mo:0.06%以下、Al:0.003〜0.070%、V:0.20〜0.30%
    と、S:0.04〜0.12% 、Pb:0.05 〜0.30% 、Ca:0.0005 〜
    0.01% のうち1種又は2種以上を含有し、残部がFeなら
    びに不純物元素からなり、かつAc3 変態温度(=910-203C
    0.5-15.2Ni+44.7Si+104V+31.5Mo)が830 ℃以上である鋼
    を900 〜1200℃に加熱しその後900 〜1200℃の温度で所
    定形状に鍛造したのち自然空冷して非調質とするととも
    に鍛造放冷後のフェライト面積率が70%以上であること
    を特徴とする鍛造方法。
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