JP2839086B2 - 外装材および外装構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は外装材および外装構
造に関するもので、屋根や外壁さらには内壁としても採
用可能なものである。

【０００２】

【従来の技術】例えば、屋根の場合、各種構造の縦葺き
屋根板および縦葺屋根構造が提案されているが、その接
続構造は殆どがハゼ継ぎになっているために、非熟練者
では作業が難しくて、熟練した職人の手で工事が行われ
ている。またハゼ継ぎやシーム溶接によるものでは歪み
が発生して意匠的にも好ましくない。また、ハゼ継ぎの
ものでは、風向き等によってハゼが障害になって雨水の
流れが悪くなることもある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】解決しようとする課題
は、嵌め込むだけの作業で簡単且つ容易に接続すること
ができて、しかも、その嵌合が完了したことを音や感触
によって知ることができる外装材、そして、組み付け作
業が簡単且つ容易であると共に接続部分が三重に雨仕舞
されている外装構造を提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は前記した課題を
達成するため、外装材では、相対する一方の側縁に被係
合部を、他方の側縁に係合部を、相互に係合可能に有し
ている金属製屋根板において、前記被係合部は、外装面
部側縁から延設された下げ部と、下げ部先端から内側に
水平状に延設された上面部と、上面部先端から内側に延
設された係合凹部と、係合凹部先端から下側に延設され
た折返し部と、折返し部先端から外側に水平状に延設さ
れた下面部と、下面部先端から延設されて、下げ部との
間に係合部の挿入口を形成している立上り部と、立上り
部における前記外装面部よりも低い先端から外側に水平
状に延設された支持部と、支持部先端から外側に延設さ
れた固定部とを備えており、前記係合部は、外装面部側
縁から延設された垂下部と、垂下部先端から外側に水平
状に延設されて、前記下面部に当接可能な水平部と、水
平部先端から上側に延設された返し部と、返し部先端か
ら内側に延設されて、前記係合凹部に弾性係合可能な上
向き略半円状の係合凸部とを備えていることを特徴とす
る。また本発明の外装材では、前記係合凸部先端から内
側斜め上向きに延設されて、前記上面部内面に弾性的に
当接可能な水返し部を備えていることを特徴とする。

【０００５】そして外装構造では、隣り合う金属製外装
材側縁の被係合部と係合部を係合して接続している外装
構造において、前記被係合部は、外装面部側縁から延設
された下げ部と、下げ部先端から内側に水平状に延設さ
れた上面部と、上面部先端から内側に延設された係合凹
部と、係合凹部先端から下側に延設された折返し部と、
折返し部先端から外側に水平状に延設された下面部と、
下面部先端から延設されて、下げ部との間に係合部の挿
入口を形成している立上り部と、立上り部における前記
外装面部よりも低い先端から外側に水平状に延設された
支持部と、支持部先端から外側に延設された固定部とを
備え、前記係合部は、外装面部側縁から延設された垂下
部と、垂下部先端から外側に水平状に延設されて、前記
下面部に当接可能な水平部と、水平部先端から上側に延
設された返し部と、返し部先端から内側に延設されて、
前記凹部に弾性係合可能な上向き略半円状の係合凸部と
を備えており、前記固定部を外装下地材に固定具で固定
すると共に、この被係合部に係合部をその係合凸部が前
記係合凹部に弾性的に係合するまで挿入・係合し、対向
状の下げ部と垂下部との間にシール材による第１閉塞部
を、対向状の折返し部と返し部との間にシール材による
第２閉塞部を、対向状の支持部と外装面部裏面との間に
シール材による第３閉塞部を、それぞれ形成してあるこ
とを特徴とする。また本発明の外装構造では、前記係合
凸部先端から内側斜め上向きに延設されている水返し部
が前記上面部内面に弾性的に当接していることを特徴と
する。

【０００６】

【発明の実施の形態】図１乃至図３には本発明の外装材
の実施の１形態として縦葺き屋根板を例示しており、長
尺状のステンレス製屋根板１は、相対する側縁すなわち
長手方向に沿う右側縁1bに被係合部２を、左側縁1cに係
合部３を形成すると共に、短手方向に沿う前側縁1dに係
合部３を、後側縁1eに被係合部２をそれぞれ形成してい
て、長手方向および短手方向に隣り合う屋根板における
被係合部２と係合部３をそれぞれ係合させて接続し得る
ようにしてある。屋根面部1aの右側縁1bおよび後側縁1e
に形成されている被係合部２は、側縁から折下げられて
延設された下げ部2aと、下げ部2a先端から内側に折り曲
げられて水平状に延設された上面部2bと、上面部2b先端
から内側に上向き略半円状に延設された係合凹部2cと、
係合凹部2c先端から下側に折返されて延設された折返し
部2dと、折返し部2d先端から外側に水平状に延設された
下面部2eと、下面部2e先端から延設されて、下げ部2aと
の間に係合部３の挿入口４を形成している立上り部2f
と、立上り部2fにおける前記屋根面部1aよりも低い先端
から外側に水平状に延設された支持部2gと、支持部2g先
端から外側に延設された固定部2hとを備えている。

【０００７】そして、屋根面部1aの左側縁1cおよび前側
縁1dに形成されている係合部３は、側縁から折下げられ
て延設された垂下部3aと、垂下部3a先端から外側に折り
曲げられて水平状に延設された水平部3bと、水平部3b先
端から上側に折返されて延設された返し部3cと、返し部
3c先端から内側に延設されて、係合凹部2cに弾性係合可
能な上向き略半円状の係合凸部3dと、係合凸部3d先端か
ら内側斜め上向きに折返されて延設されて、上面部2b内
面に弾性的に当接可能な水返し部3eを備えている。

【０００８】垂下部3aおよび水平部3bは、係合凸部3dが
係合凹部2cに弾性的に係合した状態で、立上り部2fに垂
下部3aが、下面部2eに水平部3bが、それぞれ当接する比
率関係に形成してあり、係合凸部3dと係合凹部2cとの弾
性係合状態が保持されるようにしてある。また、垂下部
3aはその高さを、係合凸部3dが係合凹部2cに弾性的に係
合した状態で、隣り合う屋根板１の屋根面部1aが同一面
状になるような比率関係に形成してある。

【０００９】垂下部3aは、係合凸部3dが係合凹部2cに弾
性的に係合した状態で、下げ部2aとの間に空間５が確保
される比率関係に形成してあり、この空間５に後の屋根
構造で説明するシール材10が充填されるようにしてあ
る。返し部3cは、係合凸部3dが係合凹部2cに弾性的に係
合した状態で、折返し部2d内面との間に空間６が確保さ
れる比率関係に形成してあり、この空間６に後の屋根構
造で説明するシール材12が押圧されて挾着状に納まるよ
うにしてある。また、支持部2gはその高さを、係合凸部
3dが係合凹部2cに弾性的に係合した状態で、上側の屋根
面部1a裏面との間に空間７が確保される比率関係に形成
してあり、この空間７に後の屋根構造で説明するシール
材14が挾着状に納まるようにしてある。

【００１０】図４および図５には本発明の外装構造の実
施の１形態として、前記図１に例示した屋根板１を用い
て施工した縦葺き屋根構造を例示しており、一方の屋根
板１における右側縁1bと後側縁1eの両固定部2hを屋根下
地材８に固定具９でそれぞれ固定し、この右側縁1bと後
側縁1eの被係合部２にそれぞれ隣り合う他方の屋根板１
における係合部３を挿入口４から挿入して、係合凸部3d
が係合凹部2cに弾性的に係合するまで挿入して係合せし
めている。また、水返し部3eを上面部2b内面に弾性的に
当接させてある。そして、対向状の下げ部2aと垂下部3a
との間の空間５にはシール材10を充填して第１閉塞部11
とし、対向状の折返し部2dと返し部3cとの間の空間６に
は断面円形状シール材12を介在させて第２閉塞部13と
し、対向状の支持部2gと屋根面部1a裏面との間の空間７
にはブチルゴム製テープ状のシール材14を介在させて第
３閉塞部15とし、隣り合う屋根板１の接続部分を、雨水
の侵入経路順に、第１閉塞部11から水返し部3eそして第
２閉塞部13さらに第３閉塞部15で四重に雨仕舞してあ
る。

【００１１】前記した屋根板１は、ステンレス製のもの
に限定されず、他の公知の金属製屋根材のいずれでも良
く、施工される現場の条件、環境、予算等に応じて適宜
選択される。また、屋根構造において、右側縁1bまたは
後側縁1eの固定部2hのいずれか一方を固定するようにし
ても良い。また、被係合部２を右側縁1bと後側縁1eに、
係合部３を左側縁1cと前側縁1dにそれぞれ形成した態様
にしても良いし、被係合部２を左側縁1cと後側縁1eに、
係合部３を右側縁1bと前側縁1dにそれぞれ形成した態様
にしても良い。

【００１２】

【発明の効果】

Ａ．請求項１により、被係合部における挿入口から係合
部を挿入して、係合凸部が係合凹部に弾性係合するまで
嵌め込むだけの作業で、簡単且つ容易に接続することが
できる。しかも、その嵌合が完了したことを係合凹部に
係合凸部が係合する際の係合音や感触によって知ること
ができ、職人でなくとも通常の作業者によって施工する
ことができる。係合凸部が上向き略半円形状であるた
め、挿入抵抗が少なく、円滑に嵌め込み作業できて迅速
に施工できる。接続作業が容易で、施工を早く終えるこ
とができ、人的にも経済的に済む。 Ｂ．請求項２により、係合部の水返し部を被係合部にお
ける上面部内面に弾性的に当接可能に形成してあるた
め、侵入水があっても水返し部で侵入を阻止し得る。

【００１３】Ｃ．請求項３により、固定部を外装下地材
に固定具で固定すると共に、この被係合部に係合部をそ
の係合凸部が前記係合凹部に弾性的に係合するまで挿入
・係合するだけで、迅速に組み付け作業できる。そし
て、対向状の下げ部と垂下部との間にはシール材による
第１閉塞部を、対向状の折返し部と返し部との間にはシ
ール材による第２閉塞部を、対向状の支持部と外装面部
裏面との間にはシール材による第３閉塞部を、それぞれ
形成してあるので、接続部分を三重に雨仕舞できる。隣
り合う外装材の外装面部がフラットに連なるので、雨水
の流れが風向き等に影響されずスムーズであると共に外
装面に勾配があれば積雪しずらくでき、且つ、シーム溶
接構造やハゼ締め構造のものに比べて施工歪みがなく、
意匠的に綺麗な外装面を呈する。 Ｄ．請求項４により、水返し部が上面部内面に弾性的に
当接しているため、侵入水を阻止でき、第１〜第３閉塞
部とで四重に雨仕舞できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の外装材の実施の１形態を例示した平
面図。

【図２】 部分拡大縦断面図。

【図３】 部分拡大縦断面図。

【図４】 本発明の外装構造の斜視図。

【図５】 図４の（５）−（５）拡大縦断面図。

【符号の説明】

１ 屋根板（外装材） 1a 屋根板の屋根
面部 1b 屋根板の右側縁 1c 屋根板の左側
縁 1d 屋根板の前側縁 1e 屋根板の後側
縁 ２ 被係合部 2a 被係合部の下げ部 2b 被係合部の上
面部 2c 被係合部の係合凹部 2d 被係合部の折
返し部 2e 被係合部の下面部 2f 被係合部の立
上り部 2g 被係合部の支持部 2h 被係合部の固
定部 ３ 係合部 3a 係合部の垂下
部 3b 係合部の水平部 3c 係合部の返し
部 3d 係合部の係合凸部 3e 係合部の水返
し部 ４ 挿入口 ５，６，７ 空間 ８ 屋根下地材（外装下地材） ９ 固定具 10,12,14 シール材 11 第１閉塞部 13 第２閉塞部 15 第３閉塞部

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 相対する一方の側縁に被係合部を、他方
   の側縁に係合部を、相互に係合可能に有している金属製
   屋根板において、前記被係合部は、外装面部側縁から延
   設された下げ部と、下げ部先端から内側に水平状に延設
   された上面部と、上面部先端から内側に延設された係合
   凹部と、係合凹部先端から下側に延設された折返し部
   と、折返し部先端から外側に水平状に延設された下面部
   と、下面部先端から延設されて、下げ部との間に係合部
   の挿入口を形成している立上り部と、立上り部における
   前記外装面部よりも低い先端から外側に水平状に延設さ
   れた支持部と、支持部先端から外側に延設された固定部
   とを備えており、前記係合部は、外装面部側縁から延設
   された垂下部と、垂下部先端から外側に水平状に延設さ
   れて、前記下面部に当接可能な水平部と、水平部先端か
   ら上側に延設された返し部と、返し部先端から内側に延
   設されて、前記係合凹部に弾性係合可能な上向き略半円
   状の係合凸部とを備えていることを特徴とする金属製外
   装材。
2. 【請求項２】 前記係合凸部先端から内側斜め上向きに
   延設されて、前記上面部内面に弾性的に当接可能な水返
   し部を備えていることを特徴とする請求項１記載の金属
   製外装材。
3. 【請求項３】 隣り合う金属製外装材側縁の被係合部と
   係合部を係合して接続している外装構造において、前記
   被係合部は、外装面部側縁から延設された下げ部と、下
   げ部先端から内側に水平状に延設された上面部と、上面
   部先端から内側に延設された係合凹部と、係合凹部先端
   から下側に延設された折返し部と、折返し部先端から外
   側に水平状に延設された下面部と、下面部先端から延設
   されて、下げ部との間に係合部の挿入口を形成している
   立上り部と、立上り部における前記外装面部よりも低い
   先端から外側に水平状に延設された支持部と、支持部先
   端から外側に延設された固定部とを備え、前記係合部
   は、外装面部側縁から延設された垂下部と、垂下部先端
   から外側に水平状に延設されて、前記下面部に当接可能
   な水平部と、水平部先端から上側に延設された返し部
   と、返し部先端から内側に延設されて、前記凹部に弾性
   係合可能な上向き略半円状の係合凸部とを備えており、
   前記固定部を外装下地材に固定具で固定すると共に、こ
   の被係合部に係合部をその係合凸部が前記係合凹部に弾
   性的に係合するまで挿入・係合し、対向状の下げ部と垂
   下部との間にシール材による第１閉塞部を、対向状の折
   返し部と返し部との間にシール材による第２閉塞部を、
   対向状の支持部と外装面部裏面との間にシール材による
   第３閉塞部を、それぞれ形成してあることを特徴とする
   外装構造。
4. 【請求項４】 前記係合凸部先端から内側斜め上向きに
   延設されている水返し部が前記上面部内面に弾性的に当
   接していることを特徴とする請求項３記載の外装構造。