JP2832025B2 - 靭性の優れた高強度厚鋼板の製造法 - Google Patents

靭性の優れた高強度厚鋼板の製造法

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JP2832025B2 JP7952989A JP7952989A JP2832025B2 JP 2832025 B2 JP2832025 B2 JP 2832025B2 JP 7952989 A JP7952989 A JP 7952989A JP 7952989 A JP7952989 A JP 7952989A JP 2832025 B2 JP2832025 B2 JP 2832025B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、鋳造まま或は鋳造後鋳片の表面性状を整え
る程度の軽度の圧延で、優れた強度、靭性を有する鋼板
を製造する方法に関するものである。
(従来の技術) 鋼板の製造分野においては、製造コストを低減すべ
く、工程の省略化、簡略化や直行化が進められている。
わけても、再加熱工程を省略し、鋳造工程と圧延工程を
直結する直行圧延(CC−DR)プロセス、さらには、鋳造
工程における鋳片厚さを薄く(薄帯化)して製品厚さ或
はこれに近い厚さとし、熱間圧延工程を簡・省略化する
NNS(Near Net Shape CC)プロセスの開発が進められて
いる。
しかしながら、鋳造まま或は鋳造後鋳片の表面性状を
整える程度の軽度の圧延を施したのみの鋼板は、粗大な
フェライト或はアシキュラー・フェライトからなる組織
となり、機械的性質、就中低温靭性が劣る。
これは、鋳片が製品厚さ或はこれに近い厚さである処
から、圧延量が少なく、熱間加工たとえば熱間圧延を十
分行う従来技術におけるような、加工によるオーステナ
イト粒(以下γ粒と略称)の微細化ができないためであ
る。
前記従来技術によるときは、フェライト粒(以下、α
粒と略称)の微細化は、十分な圧延によってγ粒を微細
化し、γ→α変態の優先的な核生成サイトとなるγ粒界
の面積を拡大することによってなされる。
これに比し鋳造まま或は鋳造後鋳片の表面性状を整え
る程度の軽度の圧延を施すのみのプロセスにあっては、
γ→α変態の優先的な核生成サイトとなるγ粒界を拡大
するに十分なだけの熱間圧延過程が存しない。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は、鋳造まま或は鋳造後鋳片の表面性状を整え
る程度の軽度の圧延を施すのみのプロセスで、NbCの核
生成サイトにより優れた強度、靭性を有する鋼板の製造
方法を提供することを目的としてなされた。
(課題を解決するための手段) 本発明の特徴とする処は、 重量で、C:0.03〜0.25%、Si:0.01〜0.50%、Mn:0.30
〜2.00%、Nb:0.003〜0.100%およびNi,Moを単独或は合
計で0.5〜3.0%含有し、さらに必要に応じて、Ti≦0.02
%、V≦0.3%、Cu≦1.5%、Al≦0.03%の1種または2
種以上をさらに含有し、残部:Feおよび不可避的不純物
からなる鋼を、鋳造まま或は鋳造後鋳片の表面性状を整
える程度の軽度の圧延を施し、Nbの固溶温度から200秒
間以内に950℃まで冷却し、950℃からAr3変態点以上の
最終冷却開始点まで500〜5000秒間保定し、次いで最終
冷却開始点から500℃以上かつγ→α変態完了まで2℃/
s以上30℃/s以下の冷却速度で冷却する靭性の優れた高
強度厚鋼板の製造法にある。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明は、γ→α変態の優先的な核生成サイトとなる
γ粒界を拡大するに十分なだけの量の圧延を材料に適用
することができないという問題を解決し、鋳造まま或は
鋳造後鋳片の表面性状を整える程度の軽度の圧延を施す
のみのプロセスを工業的に成り立たせることを狙いとし
ている。
而して、本発明と従来技術の冶金的な観点からの基本
的な相違点は、γ→α変態挙動、わけてもαの核生成サ
イトに関する点にある。
従来、旧γ粒界がα変態の優先的核生成サイトになる
と言われている。このため、従来技術にあっては、再結
晶域での圧延によってγ粒を微細化し、単位体積当たり
のγ粒界面積を拡大した上で、さらにγ未再結晶域での
圧延によりγ粒界、粒内に多数の転移を導入してフェラ
イト(α)核生成サイトをさらに増大させている。
鋳造まま或は鋳造後鋳片の表面性状を整える程度の軽
度の圧延を施すのみのプロセスでは、γ粒は粗大であ
り、従って単位体積当たりのγ粒界面積は小さく、フェ
ライト(α)核生成サイトは少ない。その結果、変態後
のα粒径は非常に大きくなる。
そこで本発明においては、γ粒界からのフェライト変
態を抑制し、γ粒内の析出物を核生成サイトとするフェ
ライトを多数生成せしめ、微細な粒内フェライト組織と
するようにしている。
以下、本発明鋼の成分の限定理由について説明する。
Cは鋼を強化するために不可欠な元素であって、0.03
%未満では所用の強度が得られず、0.25%超では母材及
び溶接部の靭性が損なわれるので0.03%以上0.25%以下
と限定した。
Siは脱酸元素及び鋼の強化元素として有効であり0.01
%以上添加するが、0.5wt%超では加工性及び表面性状
の劣化を生じる。
Mnは鋼の強化に有効であるが0.3%未満では効果がな
く2.0wt%超では加工性が劣化するために0.3%以上2.0
以下とした。
Nbはγ中でNbCを形成し、粒内フェライトの核となる
ため0.003wt%以上を必要とするが、過度の添加はフェ
ライト中での析出による靭性の劣化を生じさせるので0.
1%以下とした。
次にNi及びMoは粒界フェライトの成長を遅らせる効果
があるため、フェライト変態を低温まで遅延させる。こ
のために粒内フェライトの核生成が容易となり、安定し
た粒内フェライト組織を生成させることができる。そこ
でNi及びMoを両者の計で0.5%以上添加するが、過度の
添加は粒内フェライトの生成までも抑制するので3%以
内とした。
Ti,Vは酸化物、炭窒化物として、鋼の強化に有効であ
るが、Tiは0.02%、Vは0.3%を超えると著しく靭性を
劣化させるため、それぞれ0.02%,0.3%以下とする。
Cuは鋼の耐食性と強度の向上に有効であるが、過度の
添加は溶接金属の熱間加工割れを引き起こすので1.5%
以下とする。
Alは脱酸元素として添加されるが、0.05%超ではその
効果が飽和し、さらにAlNの生成は粒内フェライトの生
成を阻害するので0.03%以下とする。
次に、製造方法について述べる。
本発明においては上記の成分条件を満たした溶鋼を鋳
造まま、あるいは表面性状を整える程度の軽圧下圧延を
行い、その後の冷却過程においては、含有するNbの完全
固溶温度から950℃までを200秒以内、950℃からAr3点以
上であるところの最終冷却開始温度までを500秒以上500
0秒以内、最終冷却開始温度以下を2℃/秒以上30℃/
秒以下の冷却速度で冷却し、500℃以上で冷却を終了す
る。
この過程を通じNbCが析出し、これがフェライト生成
核となってγ粒内から微細なフェライトが生成するので
ある。なお、この時、変態温度を低下されるNi及びMo効
果は不可欠である。
以下に製造方法限定の理由を述べる。
まず、Nbの完全固溶温度から950℃までの冷却時間を2
00秒以内950℃以下Ar3以上であるところの最終冷却開始
温度までを、500秒以上5000秒以下としたのは以下のよ
うな理由による。
NbCがフェライト核となる要因の一つは、析出進行時
にはNbC近傍のNb原子濃度が周囲より低くなることにあ
る。周知の通りNbはフェライト変態を抑制する効果を持
つので、析出物近傍のNb濃度の低い部位は他に比べてフ
ェライトが生成し易いのである。
この時、フェライト核生成サイトとしての有効性は、
Nb原子濃度が低いほど大きい。一方、このNb原子濃度は
NbCの溶解度で決定され、低温になるほど低下する。
またこのような析出物近傍のNb濃度減少は析出進行中
にのみ認められる。析出終了後はNb濃度は均一化されて
しまうからである。
以上のことから、高温での析出を抑制するために、Nb
の完全固溶温度から950℃までの冷却時間を200秒以内と
し、低温で、十分かつ終了してしまわない程度の析出を
行わせるために、950℃以下Ar3以上であるところの最終
冷却開始温度までを500秒以上5000秒以下とした。
次に、最終冷却開始温度以下、即ち変態時の冷却速度
を2℃/秒以上30℃/秒以下とし、500℃以上で冷却を
終了するとしたのは、30℃/秒以上の冷却速度で冷却を
行った場合や、500℃以下で変態が進行した場合には、
ベイナイト組織が生成するために靭性の劣化が生じる。
また、冷却速度を2℃/秒以上としたのは、これ以下
では、粗大フェライトおよびパーライトからなる組織と
なり、本発明の目的とするγ粒内から生成する微細フェ
ライトを生成させ得ないからである。
(実 施 例) 第1表に示す成分の本発明鋼及び比較鋼について行っ
た実験の結果を第2表に示す。
なお、表中でアンダーラインで示したものについては
本発明の条件に合致しないものである。
第1表における鋼A〜Eは本発明鋼でありF〜Jは比
較鋼である。
鋼Fと鋼Jは本発明に不可欠なNbが全く添加されてい
ない。鋼GはNi及びNbの両者ともに添加されていない。
鋼Hと鋼IはNiおよびMoが過剰に添加されている。
第2表の番号で1〜4,7,8,11,13,16〜19,21〜23は本
発明鋼であり良好な強度、靭性を示している。
比較鋼である5および20はNbの固溶温度〜950℃まで
の時間t1が長過ぎ、Nb析出が進行し過ぎた結果、析出物
近傍のNb低濃度領域領が形成されず粒内フェライトの生
成が抑制されたために靭性が劣っている。6は950℃か
ら最終冷却開始までの時間t2が短過ぎたためにNbの析出
が進行せず、Nb析出物近傍のNb低濃度領域が形成されな
かったことにより、粒内フェライトの生成が抑制された
ため靭性が劣っている。9はこれとは逆にt2が長すぎた
ことにより、粒内フェライトの生成が抑制された結果で
ある。10および24は最終冷却時の冷却速度が大すぎたた
めに、粒内フェライトが抑制され、ベイナイト主体の組
織となったために靭性値が劣っている。15および25は逆
に冷却速度が小さすぎたために、オーステナイト粒界か
ら粗大な粒界フェライトが生成し、粗大フェライト+パ
ーライト組織となったために靭性が劣っている。12およ
び14は最終冷却の冷却終了温度が低すぎ、ベイナイトが
生成したために靭性が劣っている。26,27および30はNb
の添加が無かったために、粒内フェライトの生成サイト
が少なかったためである。28および29は変態温度を低下
させ、粒内フェライトを生成し易くする目的で添加して
いるNi,Moが過度に添加されていたために、粒内フェラ
イトの生成をも抑制してしまった結果、ベイナイト組織
が生成したために靭性が劣化している。
以上のように本発明鋼では良好な強度、靭性が得られ
ているのに対し、本発明で規定した成分、製造条件をひ
とつでも満たさない場合には本発明の目的は達成されな
いことが判る。
(発明の効果) 本発明では、鋳造まま或は鋳造後鋳片の表面性状を整
える程度の軽度の圧延を施すのみのプロセスで、優れた
強度、靭性を有する鋼板を得ることができるので、工業
的な効果が大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤田 崇史 福岡県北九州市八幡東区枝光1―1―1 新日本製鐵株式会社第三技術研究所内 (56)参考文献 特開 昭63−134628(JP,A) 特開 昭64−25917(JP,A) 特開 昭62−120426(JP,A) 特開 昭64−5644(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B22D 11/124 C21D 9/52 C21D 8/02 B21B 1/46

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量で、 C :0.03〜0.25%、 Si :0.01〜0.50%、 Mn :0.30〜2.00%、 Nb :0.003〜0.100%、 Ni,Moを単独或は合計で0.5〜3.0%、 残部:Feおよび不可避的不純物からなる鋼を、鋳造まま
    或は鋳造後鋳片の表面性状を整える程度の軽度の圧延を
    施し、Nbの固溶温度から200秒間以内に950℃まで冷却
    し、950℃からAr3変態点以上の最終冷却開始点まで500
    〜5000秒間保定し、次いで最終冷却開始点から500℃以
    上かつγ→α変態完了まで2℃/s以上30℃/s以下の冷却
    速度で冷却することを特徴とする靭性の優れた高強度厚
    鋼板の製造法。
  2. 【請求項2】重量で、 Ti≦0.02%、 V≦0.3%、 Cu≦1.5%、 Al≦0.03% の1種または2種以上をさらに含有し、残部:Feおよび
    不可避的不純物からなる鋼である請求項1記載の靭性の
    優れた高強度厚鋼板の製造法。
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