JP2762083B2 - スクータ型車両 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、運転シートを上方へ開閉可能にしたスクー
タ型車両に関するものである。

（発明の背景） ２、３輪のスクータ型車両で運転シートを上方へ開閉
可能とし、このシート下方に荷物等を収容できるように
したものが公知である。この場合シート底板の荷重を受
ける車体側のシート受座を車体幅方向に長くしその中央
付近にロック用の窓を形成すると、シート受座の強度が
低下するという問題が生じる。また従来のシートロック
装置は運転シートを上方へ開いた時に露出してしまい外
観上も望ましくなかった。

（発明の目的） 本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、
車体幅方向に長い車体側のシート受座にシートロック用
の窓を設けた場合にもシート受座の強度を十分に大きく
することができ、またシートを開いた時にもシートロッ
ク装置が露出することがなく外観上も望ましいものとす
ることができるスクータ型車両を提供することを目的と
する。

（発明の構成） 本発明によればこの目的は、運転シートの下方に配設
されたヘルメットを収納可能な樹脂製の箱体を、運転シ
ートによって開閉可能にしたスクータ型車両において、
前記運転シートのシート底板後部が当接するシート受座
を前記箱体の後上縁に後方へ略水平かつ車体幅方向に広
く延在させるように一体成形し、前記シート受座の下面
には、シート受座の車体幅方向略中央に設けた窓を車体
幅方向に横断してシートロック装置のロック部を支持す
るロック支持材を前記窓の左右両側でシート受座に固定
し、シート底板に設けたフックを前記窓を通してこのシ
ートロック装置のロック部に係脱させることを特徴とす
るスクータ型車両、により達成される。

この場合に、箱体の収納空間を囲むシール材の内側に
シートロック装置を位置させるのが望ましく、シート受
座はその断面形状が後方から見て凹凸状に折曲形成して
おくのがよい。

（実施例） 第１図は本発明の一実施例である２輪スクータの後部
を一部断面した側面図、第２図は同じく後部の平面図、
第３図はフレームの配置を示す平面図、第４図は第１図
におけるＡ−Ａ線およびＢ−Ｂ線断面図、第５図および
第６図は第１図におけるＶ−Ｖ線断面図とVI−VI線断面
図である。第７図と第８図と第９図はシートロック装置
の平面図と正面図と第７図におけるIX−IX線断面図、ま
た第10図は左側面図、第11図は第９図におけるXI−XI線
断面図である。

これらの図において符号10、10は左右一対の車体フレ
ームであり、その前端は図示しない操向軸筒から下後方
へ延びるメインチューブの後端に固定され、ここから斜
め上後方に延びるように折曲されている。左右のフレー
ム10は第３図に示すようにブラケット12、14、16などに
より互いに結合されている。18は動力ユニットであり、
強制空冷式単気筒２サイクルエンジン20と伝動装置22と
を一体に形成したものであり、伝動装置22の後端には後
輪24が保持されている。エンジン20のシリンダは前方に
向って略水っに配設され、その前端に点火栓26が前方に
向って設けられている。伝動装置22にはＶベルト無段変
速機が収容され、エンジン20の出力はこの変速機を介し
て後輪24に伝達される。動力ユニット18は、エンジン20
の上部をリンク28を介してフレーム10に保持することに
より上下揺動自在となっている。すなわち、フレーム1
0、10には第１図に示すように下方に延びるブラケット3
0（一方のみ図示）が固着され、このブラケット30にリ
ンク28は軸32により軸着され、このリンク30の後端にエ
ンジン20の上部が軸着されている。伝動装置22の後端は
１本のクッションユニット34により支持されている。こ
のクッションユニット34はその上端に予めブラケット36
を軸着して予備組立てした後、このブラケット36を前記
ブラケット14の下面にボルト止めしたものである。

エンジン20の前左側方にはエアクリーナ38が、またエ
ンジン20の上方には気化器40がそれぞれ配設され、吸気
はこのエアクリーナ38、気化器40を通ってエンジン20の
クランクケース上面からクランク室に供給される。42は
後輪24の右側に配置された排気消音器である。

50はヘルメット収納用の箱体であり、合成樹脂により
一体成形されている。この箱体50は、フルフェイス型の
ヘルメット52をその頂部を下方に開口部を上方に位置さ
せて収納するように内底面が略半球面状に形成され、前
記ブラケット12および14にボルトにより取付固定され
る。すなわちこの箱体50の中央よりやや前方の下面に
は、第２図に示すように２つの取付台座54、54が形成さ
れ、これらの台座54が前記ブラケット12の受座54a,54a
（第３図）にボルト止めされる。また箱体50の後面下部
には後側方に突出する台座56、56が形成され、これらの
台座56がブラケット14の受座56a,56a（第３図）にボル
ト止めされる。このように箱体50はブラケット12、14に
４箇所で固定される。

この箱体50の前部には第１、２図に明らかなように、
箱体50の略楕円形の開口にほぼ沿って湾曲し上方に開口
する幅の狭い収納部58が一体成形されている。この収納
部58には保険証などの書類が収納される。箱体50の中央
底部には下方に膨出した横長の収納部60が一体形成され
ている（第４図参照）。この収納部60は箱体50の内部に
開口し、瞬間パンク修理剤62などが収納可能となってい
る。また箱体50の左側の下部側面には、左側に開いた箱
状の収納部64が一体成形されている（第３、５図参
照）。この収納部64には左側からバッテリ66が収納さ
れ、このバッテリ66はこの収納部64の開口に取付けられ
た蓋板68（第１、３図）により保持されている。この蓋
板68はその右縁がヒンジで収納部64に取付けられ、その
左縁がボルトで収納部64に固定される。このように箱体
50には、その略半球状の曲面を利用して種種の収納部5
8、60、64が一体成形されている。

70は運転シートである。この運転シート70のシート底
板72は箱体50に開閉自在に取付けられる。すなわちシー
ト底板72の前縁は箱体50の前部に突設されたシート支持
部74にピン76、76で回動自在に軸着される。またシート
底板72の後部は、箱体50の後部上面に当接させることに
より支持される。すなわち、箱体50の後部には、上およ
び左右の壁が後方に向って突設され、上の壁がシート底
板72の荷重を受けるための車体幅方向に長いシート受座
78となって、ここにシート底板72の左右両側に設けたゴ
ム製のダンパ（第１、２、６図）80が当接するようにな
っている。なおこれらダンパ80、80間すなわちシート受
座78の中央付近には、矩型の窓79が開口し、この受座78
の下面に取付けられたシートロック装置82の後記するフ
ック孔82cがこの窓79に臨んでいる。このシート受座78
はまた第６図に明らかなように、その断面形状が後方か
ら見て凹凸状に折曲形成されている。

シートロック装置82は第７〜11図に示すように、車体
の幅方向に長いシートロック装置82の後記ロック部82e
を支持するロック支持材となるロックケース82aに収容
されている。このケース82aはガラス繊維などで補強し
た合成樹脂の成形やアルミ合金などの鋳造で作られ、十
分に剛性が高く作られている。このケース82aは、シー
ト受座79の窓79を車体幅方向に横断して窓79の左右両側
でシート受座78の下面に２本のボルトにより強固に固定
されている。なおこのロック装置82には車体の左方向に
延びるシリンダキー式のキー操作部82bが一体に組み付
けられ、このキー操作部82bは箱体50を貫通し後記のリ
ヤカバー90に設けたキー窓90a（第６図参照）に臨んで
いる。

ロック装置82は第９〜11図に示すように、フック孔82
c内で揺動するレバー82dとからなるロック部82eを持
ち、このレバー82dはフック孔82c方向に復帰習性が付与
されている。キー操作部82b内のシリンダ82gと一体に回
動する軸82hは不図示の運動機構によりレバー82dを回動
させる。このため、キー操作部82bにキー（図示せず）
を挿入し第10図で時計方向に回転すれば、レバー82dは
第11図に示すように時計方向に回転し、レバー82dをフ
ック孔82cから退出させることができる。

前記シート底板72には、窓79を通ってフック孔82cに
進入するフック84が突設され、箱体50を運転シート70で
閉じれば、このフック84がフック孔82c内のレバー82dに
係合してロックされる。この時ダンパ80がシート受座78
に当接して支持される。またキーをシリンダ82gに挿入
して回動すれば、レバー82dが回転してロックが解除さ
れ、運転シート70は上方に開くことができる。

90はリヤカバーであり、箱体50の前後左右からその下
方を覆う。このリヤカバー90の上縁は箱体50の上縁より
も上方に位置し、シート底板70の下面に臨む。シート底
板72の周縁は下方に折曲され、このリヤカバー90の上縁
の外側に垂下している。このシート底板72の周縁の内壁
には、リヤカバー90の上端縁および上縁内側に係接する
ゴム製のシール材92が取付けられている。

なお箱体50の左右の上縁は、第１図に示すように下が
るように切欠かれている。このため箱体50からのヘルメ
ット52の出し入れが容易になる。またシール材92は箱体
50側でなくシート底板72側に設けたので、ヘルメット52
の出し入れ時にシール材92を傷付ける恐れがなく、シー
ル材92はリヤカバー90の開口縁の内面に接触するのでシ
ール材92がリヤカバー90の横幅を増大させることもなく
なり、ヘルメット52を収納可能にしたにもかかわらず、
車体の横幅を狭くすることが可能になる。

第１、３図において、94は潤滑油を収容するオイルタ
ンクであり、エンジン20の上方に配設される。このオイ
ルタンク94は、その前下部がフレーム10に固定したブラ
ケット96（第１図）に保持され、その後部が前記ブラケ
ット12に突設したブラケット98（第３図）に固定され
る。このオイルタンク94の前方を覆うリヤカバー90の一
部は、前方すなわち運転者の足置き空間側に開閉可能と
なっていて、ここを開くことにより給油ができるように
なっている（第１図）。

第１、２図において、100は燃料タンクであり、箱体5
0後方フレーム10上方に配設されている。このタンク100
は、ブラケット14と16とに取付けられ、その給油キャッ
プ102はシート70後方のリヤカバー90上に位置してい
る。なおこのタンク100の前部は、前記箱体50後面に突
設したシート受座78を含む上および左右の壁で囲まれる
空間内に膨出し、その燃料収容容積の増大が図られてい
る。

この実施例ではリヤカバー90の上縁とシート底板72と
の間でシール材92によりシールされ、このシール材92で
囲まれた内側にロック装置82が位置している。このため
箱体50は箱体50とリヤカバー90との間特にロック装置82
とリヤカバー90後部との間を通して外部に連通すること
になる。このため夏季等に汗が付いたヘルメットを箱体
50内に収納してシート70を閉じておいても、箱体50内が
蒸れることがない。

（発明の効果） 本発明は以上のように、運転シート下方に配設するヘ
ルメット収納可能な樹脂製箱体を運転シートによって開
閉可能とする場合に、運転シートのシート底板後部が当
接するシート受座を、箱体の後上縁に後方へ略水平かつ
車体幅方向に広く延在させるように一体成形し、シート
受座の下面には、シート受座の車体幅方向の略中央に設
けた窓を車体幅方向に横断するようにロック支持材を窓
の左右両側でシート受座に固定した。そしてシート底板
に設けたフックをこの窓を通して、このロック支持材に
より支持されたロック部に係脱させるようにしたもので
あるから、ロック支持材がシート受座を補強してシート
受座の強度を増大させることができる。またシートを上
方へ開いた時にもロック装置がシート受座の下方に隠さ
れているから外観上も望ましいものとなる。

さらに箱体の収納空間を囲むシール材の内側にシート
ロック装置を位置させれば、窓およびシートロック装置
とリヤカバーとの間を通して箱体の収納空間を外部に連
通させることができ、箱体内が蒸れるのを防ぐことがで
きる（請求項２）。またシート受座をその断面形状が後
方から見て凹凸状となるように折曲形成すれば、シート
受座の剛性をさらに向上できる（請求項３）。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例である２輪スクータの後部を
一部断面した側面図、第２図は同じく後部の平面図、第
３図はフレームの配置を示す平面図、第４図は第１図に
おけるＡ−Ａ線およびＢ−Ｂ線断面図、第５図および第
６図は第１図におけるＶ−Ｖ線断面図とVI−VI線断面図
である。第７図と第８図と第９図はシートロック装置の
平面図と正面図と第７図におけるIX−IX線断面図、また
第10図は左側面図、第11図は第９図におけるXI−XI線断
面図である。 50……箱体、 52……ヘルメット、 70……運転シート、 72……シート底板、 79……窓、 78……シート受座、 82……シートロック装置、 82a……ロック支持材としてのロックケース、 82b……キー操作部、 82e……ロック部、 84……フック、 92……シール材。

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】運転シートの下方に配設されたヘルメット
   を収納可能な樹脂製の箱体を、運転シートによって開閉
   可能にしたスクータ型車両において、 前記運転シートのシート底板後部が当接するシート受座
   を前記箱体の後上縁に後方へ略水平かつ車体幅方向に広
   く延在させるように一体成形し、前記シート受座の下面
   には、シート受座の車体幅方向略中央に設けた窓を車体
   幅方向に横断してシートロック装置のロック部を支持す
   るロック支持材を前記窓の左右両側でシート受座に固定
   し、シート底板に設けたフックを前記窓を通してこのシ
   ートロック装置のロック部に係脱させることを特徴とす
   るスクータ型車両。
2. 【請求項２】シート底板に取付けられこの運転シートを
   閉じた状態で前記箱体の収納空間を囲むシール材の内側
   に、前記シートロック装置が位置している請求項１のス
   クータ型車両。
3. 【請求項３】シート受座はその断面形状が後方から見て
   凹凸状に折曲形成されている請求項１または２のスクー
   タ型車両。