JP2753680B2 - 放電時直列共振回路利用の電気事故予知方法 - Google Patents

放電時直列共振回路利用の電気事故予知方法

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JP2753680B2 JP35207093A JP35207093A JP2753680B2 JP 2753680 B2 JP2753680 B2 JP 2753680B2 JP 35207093 A JP35207093 A JP 35207093A JP 35207093 A JP35207093 A JP 35207093A JP 2753680 B2 JP2753680 B2 JP 2753680B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気事故の予知を必要
とした工作物が、電気を使用している通常の状態におい
て、絶縁劣化等で電気事故に先がけて起こす放電現象
を、当該工作物の金属製外箱等に取付けた接地線類の複
数分の結合点で、測定や比較がし易い値の電圧にして検
出したものから、合理的な放電点所在側の選択や放電箇
所の状態把握が高い精度と信頼性をもって簡便に得られ
るようにし、さらにこれを当該工作物の放電許容値と照
合させ、その程度に応じて適宜自動通報ができるところ
の放電時直列共振回路利用の電気事故予知方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】部分放電の検出方法に関しては、電気学
会の標準規格(JEC−195 −1980)で規格化されたも
のがある。これが利用される場は試験所の類から、実使
用の場での常時用へと拡がりつつあるが、汎用性に欠け
る点があるため一般的に広く利用されるまでには至って
いない。
【0003】その主な理由は、検出部にあってそのうち
のCR並列形は、商用周波数でのインピーダンスが非常
に高いため、これを接地線に直接介在させて常用するこ
とは法規上許されない。したがって、これを利用したい
ときは変成器を介在させるか、または、検出対象物の事
故時に備えた検出部バイパス用保護装置を付加させるこ
とが必要となる。
【0004】そして、さらに厄介なのは、実使用の場に
おける検出対象物の対地等価リアクタンスは同一である
ことが極めて少ないので、それが異なる場合は、各検出
対象電路毎に最も通電し易い共振周波数が同一にならな
いので、それぞれ異なった周波数を主体にした幅広い周
波数帯の合成分を検出し、互いに異なった形の歪み波と
なる。また、電力系統の運用の都合で、守備範囲の内外
を問わず検出対象内にある電気設備の使用状態に変更が
生じると、その都度それぞれの検出対象物内で起こし得
る放電点から眺めた特性インピーダンスや伝搬定数が変
動することになるので、各検出点での検出波は絶対値の
差異は勿論のこと位相がずれたりする。さらに、別途に
外部ノイズが加わるものであるため、このよう検出波
の侭ではまともな比較ができず、後述のLC並列共振形
と大差なく、汎用性に富んだ所期の事故予知用としては
利用し難いことである。
【0005】 もう一つの検出部であるLCの並列共振
形によるものは、上記のものより低インピーダンスであ
るとは言え、次に記すような問題点を抱えているからで
ある。 (1)このLC形の並列共振による検出対象周波数の成
分は、現実的には、放電点からの出力が当該検出対象物
の静電容量に吸収されて僅小になる場合が多く、また、
検出部では磁束の漏洩が生じるため、高い検出値は求め
得難いので、その侭の値では、所期の用途に利用し難い
こと。 (2)また、この検出部の等価インダクタンス分と、値
が異なった検出対象物の対地等価静電容量分との合成に
よる直列共振周波数(即ち検出対象外の異なった周波
数)の成分が、検出対象周波数分に重畳して強力に作用
することになるため、これが所期の判別に対して邪魔を
すること。即ち、後記のS/Nの関係によれば、放電点
を起点として各検出対象電路へ流入する同一周波数のS
の成分や上記の検出対象外の異なった周波数分に次の
(3)項の外部ノイズ分も加わったNの成分は、互いに
関連性はなく、検出対象物に課せられた運用の仕方や与
えられた環境の如何によって、別々に反応して増・減
し、中にはS/Nが1より小になることもあり、このよ
うなS・N混合の成分からS分を的確に取出して、放電
の所在箇所や放電程度の判別に利用するに当たっては、
無理が生じ、汎用化は困難であること。 (3)実使用の場での電磁波やその他の電気的雑音(外
部ノイズ)分の除去に関しては、使用環境が多種多様で
あるため、守備範囲外の信号分の判別を含め、それぞれ
に適した面倒な対応を必要とすること。
【0006】つまり、上記問題点の原因は、当該検出部
によればS/N(S;検出対象周波数の信号分、N;検
出対象外の周波数や外部ノイズ分)比の小さなものを検
出せざるを得ないことになるから、この手法による限
り、汎用性に富んだ所期の質の高い電気事故の予知に必
要なもの(即ち、安価な装置で常用時に行わなければな
らない、合理的な放電点所在側の選択や放電箇所の状態
把握ならびに使用環境に適応した放電許容値との比較)
は、取り扱い易い簡便な方法では求め得難いことにあ
る。
【0007】尚、これに類するものとして、本出願人が
先願した特願昭57−204202号もあったが、これも検出の
仕方が不備で、上記に準じ、所期のS/N比が得られな
かったため、理想的なものとして実用化するまでには至
らなかった。
【0008】因に、電気工作物は他の物と変わらずいつ
かは壊れ、その終末時には感電事故やその他迷惑度の高
い電気事故をひきおこす可能性が少なからずある。その
ことに加え、当該工作物の自然に劣化する過程が経年に
よるもののみならず、その大半は、突発的に侵入して来
る誘導雷や回路開閉時のサージに遭ったり、他機器事故
からの波及を受けたりするとき、その都度、絶縁耐力の
弱い部分から非直線的に急激に劣化が進むものである。
更には、過負荷や接触不良による導体の過熱でその周辺
の絶縁体が損傷するものであることにより、これらの実
態に適応した事故防止策(即ち、質の高い事故予知の技
術を取り入れた常時遠隔集中自動監視による合理的な施
策)が望まれることになる。
【0009】しかし、従来の技術による手法では、期待
をかけ得るものが見当たらないため、やむを得ず、停電
も加わる点検の多い目な作業量や設備の早い目な更新に
よって、事故防止がはかられ、更に、事故発生後の対応
策の面では、設備の二重化や予備分に膨大な費用がかけ
られることによって、電力の安定供給がはかられてきて
いる。けれども、これらのやり方には、無駄分が多過ぎ
るため、いつまでも、これに甘んじることは許されな
い。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前項の問題
点の解消をはかり、電気工作物が通常の電気使用状態に
あっても、守備範囲外の信号分に加わった検出対象外の
周波数や電磁波・その他のノイズに悩まされることな
く、電気事故前に絶縁劣化等で起こす放電現象を、検出
対象物の接地線側に設けた取り扱い易い簡素な構成によ
る検出部から、測定や比較がし易いS/N比の大きい値
の電圧にして検出させることにより、汎用に適した安く
て小規模な装置で、合理的な放電点所在側の選択や放電
箇所の状態把握ならびに当該工作物の使用環境に適応し
た放電許容値との比較照合が、高い精度と信頼性をもっ
て簡便に行われ、これらによって、従来の技術や人の五
感をもってしても、電気設備の保守管理の理想化には程
遠い、大きな要因の一つである、常時遠隔集中自動監視
に適した質の高い事故予知ができることを目的としてい
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的達成
のための手段として、発・変電所のような電気工作物が
有るところの、金属製外箱10用接地線(金属遮蔽用接
地線を含む)12の二つ以上と接地電極15用接地線を
結合させる結合点14において、インダクタンス1と、
インダクタンス2とコンデンサ3の直列回路との並列回
路からなる構成の検出部Aを、それぞれの金属製外箱1
0用接地線12及び接地電極15用接地線毎に介在さ
せ、かつ、これらの複数の検出部Aを結合点14の直ぐ
近くの3m以内に位置させ、電気工作物が絶縁劣化等で
放電現象を起こすときの電気的エネルギーの変化を検出
するに当たり、各検出対象電路毎の検出対象物の対地等
価静電容量と検出部Aの等価インダクタンスとの共振作
用を利用し、そして検出対象物の対地等価静電容量と当
該用の検出部A中のインダクタンス1とによる共振周波
数に対し、各検出部A中のインダクタンス2とコンデン
サ3による同一共振周波数を同程度に近づけておくこと
によって、各検出部Aのコンデンサ3の両端から上記電
気的エネルギーの変化をそれぞれの通電量に応じたS/
N比の高い同位相で同一周波数の電圧にして同時に検出
させてこの電圧を電子回路4に入力することにより放電
「有」側の極性が唯一異なることや実質的に換算した絶
対値が最大になるものをもって放電点の所在側を選択
し、さらに放電継続の時間帯の幅や絶対値が大になる程
放電箇所の状態が悪化していることをもってこの実態を
把握する。即ち、各検出対象電路毎の対地等価静電容量
C 0 と誘導性の等価インダクタンスL 0 によると、このとき
の周波数F 0 は数式1となる。ただし、このF 0 を安定させ
るためには守備範囲外のC 0 の多少の変動にも対応して自
動制御ができるL 0 を必要とする。
【数1】 しかし、本発明の構成とその用い方、即ち、各検出対象
電路毎の対地等価静電容量が互いに異なったC1〜Cnに対
してでも、共振の同調値の差異に裕度が持てる 各検出部
Aのインダクタンス1の≒L1〜Ln並びに各検出端子側の
コンデンサ3のCxと同回路付きインダクタンス2のLxと
をもって次の使用条件式である数式2に当てはめて用い
れば同じ周波数の共振回路の保持がし易くなるので、こ
れによって検出部Aのインダクタンス1は共振基準値よ
り±数%の差異があっても、余裕を持って強調がとれる
ものとなる。
【数2】 以上によって、検出対象物内の放電現象を、S/N比の
高い電圧にして、安定した同位相で検出し得ることとな
るので、これを直接電子回路(シンクロスコープ類を含
む)4に入力しても、簡便に、電気事故の予知に必要と
するもの、即ち、放電点「有」側の極性が「無」側と異
なることや検出部のリアクタンス降下を勘案した上の
「有」側の絶対値が他と較べて最大となることによっ
て、放電点の所在側を選択し、さらに、放電点の不具合
の進行程度は、印加電圧の半サイクル中における放電継
続の時間帯の幅が大になる程、そしてその絶対値が大に
なる程進んでおり、放電の密度が濃くなる程放電部分が
広く拡がっていることになるので、これをもって放電点
の状態把握ができることとなる。そして、さらに、検出
対象物内の放電点における絶縁機能残存等価模擬のコン
デンサC 1 と模擬放電電源用電池類Eと模擬放電発生用開
閉接点Sとを直列にした回路に対し放電抵抗器Rを該コ
ンデンサC 1 と検出対象物の補助用コンデンサ17(上記
共振電流の通電のきっかけを作るに足りれば良しとする
小容量のもの)とが直列となるところに付加した回路か
らなる補助部Cで、検出対象物の取扱者が試験的に放電
点を作り出したいとするとき、手動により模擬放電発生
用開閉接点Sを開閉させることによって生じる作為の放
電は、上記の実回路で事故前に生じる放電と同じよう
に、各検出対象電路毎の共振過程が経られるから、放電
点から検出部Aへ流入する電荷量の比較が的確にできる
こととなり、実使用環境における放電電荷に応じた検出
値が掴め、この検出値を当該電気工作物の許容限度と比
較させることにより、精度の高い許容限度値との差を把
握し得、これらの選択及び把握した結果を制御盤5で表
示や警報させると共に、検出部A、電子回路4及 び制御
盤5からなる電気事故予知用関連装置B全体の機能の良
否や調節の要否を随時把握させ得ることを特徴とする。
【0012】
【作用】つぎに、本発明が拠どころとしている作用の主
な点は、次のように放電現象にまつわる特徴を合理的に
利用していることである。
【0013】それは、「一般的に、電気回路のどこかで
絶縁劣化あるいは接触不良等によって放電が生じると、
その点を基点として、直流分から百MHz程度までの幅広
い周波数帯を伴った電磁波は空中へ、電流は導体で構成
されている回路内を伝搬することになる。ところが、回
路内を伝搬する高域の周波数分は途中で吸収され、所期
の検出点にまで到達しないことがあるので、本発明に利
用する周波数は、検出部を構成しているリアクタンスの
値を各検出対象物の電路分毎に調節することによって、
当該電路分毎の直列共振による、1MHz前後(0.1 〜10
MHz程度の範囲)を基盤とした同一周波数としており、
そして、これによる成分は、当該直列共振回路中の主要
インダクタンス1より適値の安定用インダクタンス2を
経て検出されるから、所期の目的が果せるS/N比の大
きい値の電圧となり、また、この検出部は各電路の結合
点で隣接して設けられるから、高周波成分でも直流や低
周波並みに、検出部に流入出する電流の方向や絶対値の
比較が容易にしかも的確に行われ得るものとなる。(因
に検出部を隣接し得ない場合は、それらの離隔距離と検
出周波数の波長の関係をもって、検出点での位相を同一
に補正することが必要となる。)」ことである。
【0014】従って、放電点が生じると、その点を基点
として、上記による1MHz前後の同一周波数の電流分
は、リアクタンスを主とした分布による回路内を円滑に
流れ、分岐点においては各電路へ分流するのと同一形に
なるから、放電点「有」側で検出したものの極性を正と
すると、他の側のすべての分の極性は負となり、また、
検出値の絶対値も放電点「有」側分が最大を示すことに
なる。ただし、検出対象物の対地等価静電容量がそれぞ
れに異なる場合は、検出部のリアクタンスの値も異にす
ることになるので、このときの絶対値の比較はそのリア
クタンス降下の相異分を考慮に入れたものによることが
必要となる。
【0015】しかし、何れにせよ、これらによって放電
点所在側の選択が合理的に行われ得ることになる。そし
て、さらにこの通電の中味には、放電箇所の状態を示す
ものも含まれているため、これを検出することによっ
て、その実態を合理的に把握することができる。即ち、
絶縁劣化が電気力線方向に進行すれば、印加電圧の半サ
イクル中においての放電開始・停止の電圧値が低くなる
ため、それだけ放電発生の時間帯が広くなると共に、通
電電流の絶対値も大きくなることになり、また、絶縁劣
化の電気力線に直角な横への拡がりは、放電電極の並列
数が増えることに相当するので、それらの放電のバラツ
キによって放電密度が増えることになる。なお、この
他、接触不良や断線の仕掛け等のときに生じる放電現象
も、通電時の電流値に左右されることをもって上記に
じ、それ相応に判別ができることになる。以上のよう
に、検出対象回路内で発生した放電現象が、電気的に整
然とした形に整えられて合理的に把握され得ることに依
っている。
【0016】尚、一般的な検出対象物に対しては、上記
検出周波数の範囲内で処理し得るが、検出対象物の対地
等価静電容量の大小や検出限界距離(これは検出周波数
の波長と相関関係にある)の長短が、検出周波数の高低
とは逆比例の関係にあることをもって、これが過度で、
その範囲をはみ出すような場合が生じても、検出方法の
基本は変わらず、同一路線の延長上で適用させることが
できる。
【0017】さらに、使用実態に沿った一連の作用につ
いては、図面に基づいて、次の実施例で説明する。
【0018】
【実施例】図面は、上記の構成を具現化した一実施例の
概略を示す関連配置図であって、1、2はインダクタン
ス、3、17はコンデンサ、4は電子回路(代替のシン
クロスコープ類を含む)、5は制御盤、6は常時監視
所、7は常時使用の印加電源、8は電気工作物への充電
線、9は守備範囲の境界点、10は守備範囲内側の検出
対象物(電気工作物)の金属製外箱、11は守備範囲外
側の検出対象物(電気設備)の金属製外箱相当のもの、
12は外箱10用の接地線、13は外箱相当11用の接
地線、14は結合点、15は守備範囲内側用の接地電
極、16は守備範囲外側の接地電極相当のもの、18は
模擬放電部(このうちのC1は絶縁機能残存等価模擬のコ
ンデンサ、Eは模擬放電源用電池類、Sは模擬放電発
生用開閉接点)である。なお、Aは検出部でインダクタ
ンス1、2とコンデンサ(プローブ相当分)3により、
Bは電気事故予知用関連装置で検出部A、電子回路4と
制御盤5により、Cは補助部でコンデンサ17と模擬放
電部18によって構成されたものである。
【0019】いま、図示のような回路のどこかで放電点
が生じると、(作用)の項で記述した事柄によるもの
が、常時使用の印加電源7で加圧された電気工作物の金
属製外箱10用接地線12の複数分と守備範囲内側用接
地電極15との結合点14において、それぞれの線に介
在させた検出部Aから、同一周波数で測定や比較がし易
い電圧にして同時に検出されるところとなり、これを入
力にして(作用)の項で記述した事柄を処理する能力が
与えられた電子回路4が、放電点所在側の選択や放電箇
所の状態把握を行い、それを当該電気工作物の放電許容
値と照らし合い、その結果を程度に応じて制御盤5で表
示や警報を出し、さらに遠隔で集中管理ができる常時監
視所6へ自動通報するところとなり、その結果、質の高
い事故予知によって電気工作物の保全がはかられること
になる。
【0020】そして、さらに、本願発明が現実的に関与
する主要部の作用の詳細説明を次に付記する。
【0021】(1)各検出部A;この中のインダクタン
ス1の値を各電路分毎に調節することによって、検出対
象物の対地等価静電容量を主とした容量性リアクタンス
との組によって生じる直列共振周波数から、各電路分共
に1MHz前後の同一周波数の原形を形成し得るが、さら
に適値(検出周波数によって決める値)のインダクタン
ス2を経て、図示のコンデンサ3の両端で検出させるこ
とにしているから、強力に作用する安定した直列共振回
路の利用ができて、所期の目的達成に必要な、S/N比
の大きい値の電圧が得られることになる。(因に、検出
周波数は、検出対象物の対地等価静電容量と検出部の総
合的な等価インダクタンスとによる共振周波数であり、
これが条件として、検出対象物の対地等価静電容量と検
出部内のインダクタンス1との分及び検出部内のインダ
クタンス2と同内のコンデンサ3との分の共振周波数を
同程度に近ずけておくことが必要である。尚、上記イン
ダクタンスの値の調節は、大地電位の場で、当該コイル
中の高周波用磁心の挿入程度を加減させることによっ
て、いつでも、容易に行い得るものである。また、接地
線12の亘長が長くても、その長さに応じて、検出対象
物の等価静電容量が大になること相当で対処し得るもの
である。)
【0022】尚、これは次に示す例のように、実用向き
な、粗雑な同調値の回路構成によってでも、融通性を大
きくもって容易に所期の目的を果し得る検出値が得られ
るものである。
【0023】例1、各検出対象物の対地等価静電容量が
共に0.02μF のように比較的大きいことや検出限界距離
の長いこと等で、検出周波数が0.3 MHz程度を適当であ
るとする場合は、検出部のインダクタンス1、2を12μ
H 、1500μH 程度に設定し、当該検出対象物内で50pC
放電電荷が発生したとき、プローブ(入力RCが1MΩ/
/200pF )を経た検出点では、放電点「有」側で100mV
程度、「無」側では逆極性で50mV程度の電圧が検出され
る。
【0024】例2、同上の対地等価静電容量が1000pFの
ように比較的小さいことや検出限界距離が短いこと等で
検出周波数が2 MHz程度を適当であるとする場合は、同
上のインダクタンス12を4μH 、20μH 程度に設定
し、その他は例1に倣って検出すると、200mV 程度と逆
極性で100mV 程度の電圧が得られる。
【0025】例3、同上の比較対象物の対地等価静電容
量が相互に異なり、それぞれが2200pF、10000pF 、4700
pFで、検出周波数が0.85MHz程度を適当とする場合は、
インダクタンス1のそれぞれを12μH、2μH 、6μH 程
度に、また、同2は、共に200μH 程度宛に設定し、そ
の他は例1に倣って検出すると、(放電点が2200pF側に
あるとき)200mV 程度と逆極性で40mVと50mV程度の電圧
が得られる。
【0026】そして、この場合のように、インダクタン
ス1が12μH であれば、当該検出部の商用周波数による
リアクタンスは3.7mΩとか4.6mΩ程度の極めて小さな値
となり、また、これに通電容量の大きなものが要求され
る場合は、検出部Aの入力側に高周波用変成器を付加
し、この変成器の1次側の通電容量をそれぞれの接地線
の太さ相当にしておけば、通常時は勿論のこと、万が一
の地絡事故時においても何等支障を来すような虞れは生
じない。
【0027】尚、インダクタンス2は検出値逓増の用と
共に、検出対象外の周波数(即ち、この場合は検出部内
の並列共振周波数)分や電磁波・その他のノイズ分の侵
入を同調から外して抑制働きもするので、守備範囲外
から各検出部への流入出する分は、近隣の電気設備から
の明確な信号分として判別に用いられ、関係深い近隣設
備の事故予知用としても活用されることになる。因に、
湿気などによって外部コロナの発生量が過度に多いとき
は、差動コイル(即ち、一つのダストコア等の磁心に二
つのコイルを差動巻きにしたものを用い、その結合点側
を接地電極15側に、その両端を検出部より外枠10側
の接地線12のそれぞれに接続するもの)によって、当
該信号分の各検出部への流入をバイパスさせて軽減をは
かることができる。
【0028】(2)電子回路4;これが主作用とする放
電点所在側の選択や放電箇所の状態把握に関しては、
(作用)の項で記述したとおりのことを、また、さらに
絶縁劣化等の程度の判別に関しては、次の(3)の項で
示すとおりのことを処理する能力が要求されるが、S/
N比の大きい入力が検出部から与えられるので、既往の
技術で容易に対処することができる。
【0029】尚、この電子回路は、携帯用で安くて簡便
な汎用のシンクロスコープ類のみに替えて上記能力の凡
ての処理ができることになるので、常時使用の電子回路
に依存する機能は最小限に留め、簡素化して経済性をよ
くすることができる。
【0030】例えば、処理内容中の実用の場での一手法
としてではあるが、通常の電気使用状態において、系統
運用の変更に伴い守備範囲外側の対地等価静電容量に変
化が生じても、守備範囲内側のそれは変わらないので、
当該電子回路の機構を簡素化して、内側2者間の検出部
同士のみによる比較でも、次のようにして判別ができる
ものである。それは、両者が検出したものの差値が和値
より大のときはその内側の何れかに、また、その反対の
ときはその外側に、放電点「有」の判別ができることで
ある。そして、さらに電子回路4を2素子のシンクロス
コープ類に替えて直接観測しながら、守備範囲外側の検
出部内のインダクタンス1の値を調節して元の検出周波
数と同一に補正することにより、守備範囲内側の検出対
象電路の数が二つのときでも、上記のように、検出部の
内側分の一つと外側分との和、差値の比較で、内側分の
何れに放電点が存在するかを、的確に選択することがで
きる。
【0031】(3)補助部C;これによって、検出対象
物の使用環境に適合した放電電荷対検出値の関係が求め
得られる事になるが、この必要性は検出対象物の対地等
価静電容量の値如何が、放電電荷による各電路への通電
量を左右するからである。そして、当該関係は、使用開
始後の回路構成中にある検出対象物に対してでも、次に
示すような作為で、所要の放電電荷を注入し得ることに
より、容易に求め得られ、また、同手法によって、電気
事故予知関連装置B全体の機能や検出周波数の確認
も、随時、行い得るものである。
【0032】その作為による放電電荷は、図示補助部C
内の模擬放電部18のように、1VAでも過分とする小容
量で電圧をeとした模擬放電源用電池類Eと模擬放電
発生用開閉接点Sと放電箇所の絶縁機能残存分等価模擬
のコンデンサC1(このC1はその値で表示し、その値は数
pF程度以下とした僅小なもの)を直列に継いだものを用
い、これを検出対象物の補助用コンデンサ17(即ち1
0pF前後の弱電用コンデンサを、図示のように、検出部
Aの外箱10用接地線12側や接地電極15側とに接続
し、その他端はすべて一括にしたもの)の模擬放電発生
対象分の両端に接続させ、そして、さらに作為によって
当該用接点Sを開閉させるとき、その都度、近似値の放
電電荷C1・eが繰返し注入できるようにするには、同上
コンデンサC1及びコンデンサ17に対して放電抵抗器R
を付加すればよいので、以上によって、極めて容易に得
ることができる。
【0033】このような方法によって、放電電荷対検出
値の関係が求め得られるのは、電荷注入点が対象物の本
体か補助用コンデンサかの何れにあっても、殆ど差が生
じないことであり、その原因は、検出対象電路毎の直列
共振回路の利用ができることによって、上記のように、
(注入電荷C1・e中のC1 静電容量)<(補助用コンデ
ンサ17の静電容量)<(検出対象物1011の対地
等価静電容量)で、しかも、これらの比較差が大きいも
のであることにより、注入電荷の量に応じて、補助部C
から、各検出対象電路毎に構成している共振回路へ、そ
れ相応な共振電流の通電を誘う作用ができることになる
からである。
【0034】因に、系統運用の都合で守備範囲外側の検
出対象物の対地等価静電容量に変化が生じた後に、放電
現象が起きることになった場合でも、内側分の対地等価
静電容量は変わらないので、別途に用意した弱電用コン
デンサ及びインダクタンスによる模擬回路(ただし、外
側分は可変し得るもの)と元の検出周波数とをもって外
部分が掴め、厳密な放電電荷対検出値の関係を求めるこ
とができる。
【0035】従って、電気機器等の製造者側から、絶縁
劣化に伴う許容放電電荷が機種別に示されれば、それに
基づいて、実状に適合した許容放電電荷対検出値の関係
が得られることになるので、電気の使用に関する依存度
の高低をも考慮に入れた絶縁劣化度を、感度調節によっ
て安全、要注意とか要緊急措置の別に分け、これとの比
較によって合理的な常時遠隔集中自動監視ができること
になる。
【0036】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように、大地電
位の場で、いつでも、簡単に取り扱い得る検出部A内の
インダクタンス1,2を適値に設定することによって、
電気事故前に、絶縁劣化等により検出対象回路内で放電
点が生じたとき、各検出対象の電路毎の直列共振による
安定した同一周波数のS/N比の大きな値の電圧が、隣
り合わせで同時に検出できることになり、これによっ
て、守備範囲外の信号分に加わる検出対象外の周波数分
や電磁波・その他のノイズにも悩まされることなく、そ
れぞれが検出した侭の電圧で、直流や低周波並に、測定
や比較ができるように成し得たから、平凡な電子回路あ
るいは市販で安い簡便なシンクロスコープ類だけでも、
合理的な、所期の、放電点所在側の選択や放電箇所の状
態把握が、容易に、しかも的確に行われ得るようになっ
た。なお、この検出部内のインダクタンス1の値は僅小
であるから、たとえ、それを大きく見込んで百μH とし
ても、商用周波数では数十 mΩ程度であり、法規に抵触
することもなく、検出部を接地線に常時介在させた侭に
して、当該用電気工作物を使用することができる。
【0037】また、通常の電気使用状態にあっても、小
規模な、補助部C内の模擬放電部と検出対象物の補助用
コンデンサとによる作為の放電で、容易に、所要の電荷
の注入ができることになるから、安価な装置で、電気工
作物の使用環境に適応した放電電荷対検出値の関係が、
随時確かめ得られて、精度の高い放電許容値との比較照
合ができることに加え、関連装置B全体の機能の良否や
検出周波数の修正の要否を確かめ、必要な措置も講じ得
られて、高い信頼性をもった当該関連装置の運用ができ
るようになった。
【0038】従って、従来の人の五感に重きをおいた設
備点検では果し得なかった、貴重な人材や有限資源を無
駄使いしない保守管理の理想化に大きく近づけることに
なり、延いては、これが本来の目的としている、電気事
故の未然防止に、大きく寄与することになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図面は、本発明方法による一実施例を示した関
連配線図である。
【符号の説明】
1 インダクタンス 2 インダクタンス 3 コンデンサ 4 電子回路 5 制御盤 6 常時監視所 7 印加電源 8 充電線 9 境界点 10 電気工作物の金属製外箱 11 電気工作物の金属製外箱 12 接地線 13 接地線 14 結合点 15 接地電極 16 接地電極 17 コンデンサ 18 模擬放電部 A 検出部 B 電気事故予知用関連装置 C 補助部 CC1 コンデンサ E 模擬放電源用電池類 S 開閉接点

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気工作物の金属製外箱10用接地線
    (金属遮蔽用接地線を含む)12の二つ以上と接地電極
    15用接地線とを結合させる結合点14において、イン
    ダクタンス1と、インダクタンス2とコンデンサ3の直
    列回路との並列回路からなる構成の検出部Aを、それぞ
    れの金属製外箱10用接地線12及び接地電極15用接
    地線毎に介在させ、かつ、これらの複数の検出部Aを結
    合点14の直ぐ近くの3m以内に位置させ、電気工作物
    が絶縁劣化等で放電現象を起こすときの電気的エネルギ
    ーの変化を検出するに当たり、各検出対象電路毎の検出
    対象物の対地等価静電容量と検出部Aの等価インダクタ
    ンスとの共振作用を利用し、そして検出対象物の対地等
    価静電容量と当該用の検出部A中のインダクタンス1と
    による共振周波数に対し、各検出部A中のインダクタン
    ス2とコンデンサ3による同一共振周波数を同程度に近
    づけておくことによって、各検出部Aのコンデンサ3の
    両端から上記電気的エネルギーの変化をそれぞれの通電
    量に応じた同位相で同一周波数の電圧にして同時に検出
    させ、この検出した電圧を電子回路4に入力して放電
    「有」側の極性の唯一相違する点および電圧の実質的に
    換算した絶対値の最大分とにより放電点の所在側を選択
    し、さらに放電継続の時間帯の幅や絶対値の大きさによ
    り放電箇所の状態を把握し、そして検出対象物内の放電
    点における絶縁機能残存等価模擬のコンデンサC 1 と模擬
    放電電源用電池類Eと模擬放電発生用開閉接点Sとを直
    列にした回路に対し放電抵抗器Rを該コンデンサC 1 と検
    出対象物の補助用コンデンサ17とが直列となるところ
    に付加した回路からなる補助部Cで試験的に模擬放電発
    生用開閉接点Sを開閉させて起こす放電により実使用環
    境における放電電荷に応じた検出値を掴みこの検出値を
    当該電気工作物の許容限度値と比較させて許容限度値と
    の差を把握し、これらの選択及び把握した結果を制御盤
    5で表示や警報させると共に、検出部A、電子回路4及
    び制御盤5からなる電気事故予知用関連装置B全体の機
    能の良否や調節の要否を把握させることを特徴とした放
    電時直列共振回路利用の電気事故予知方法。
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