JP2751874B2 - フッ素含有廃水の処理方法 - Google Patents

フッ素含有廃水の処理方法

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JP2751874B2
JP2751874B2 JP17057595A JP17057595A JP2751874B2 JP 2751874 B2 JP2751874 B2 JP 2751874B2 JP 17057595 A JP17057595 A JP 17057595A JP 17057595 A JP17057595 A JP 17057595A JP 2751874 B2 JP2751874 B2 JP 2751874B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はフッ素含有廃水の処理方
法に関し、特に20〜30ppm程度の比較的希薄なフ
ッ素含有廃水に対し、廃水中のフッ素を水溶性アルミニ
ウム化合物の中和によって生成する水酸化アルミニウム
に吸着させるフッ素含有廃水の高度処理方法において、
フッ素を吸着した水酸化アルミニウムを汚泥として廃棄
せず、吸着フッ素を脱着し、水酸化アルミニウムをフッ
素吸着処理に繰り返し使用する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】フッ素は化学工業や半導体製造など種々
の産業分野で大量に利用されている有用な物質である一
方、人体や環境に対しては有害物であり、各種産業排水
に含まれるフッ素は水質汚濁防止法によって15ppm
以下の濃度に規制されている。また多くの自治体は10
ppm以下あるいは5ppm以下といったさらに厳しい
上乗せ基準を設けており、最も厳しい規制値として0.
8ppm以下というケースもある。
【0003】一般に廃水中のフッ素を除去する方法とし
ては、廃水中に過剰のカルシウム塩を添加し、難溶性の
フッ化カルシウムを生成させ除去するのが基本である。
ただし廃水中に含まれる夾雑物質によるフッ化カルシウ
ム生成反応の妨害およびフッ化カルシウム自体の溶解度
により、通常この方法ではフッ素濃度として20〜30
ppm程度まで処理するのが限界である。したがって環
境基準を達成するためにはこのあとさらに高度処理を必
要とする。
【0004】20〜30ppm程度の比較的希薄なフッ
素を含有する廃水を環境基準値以下の濃度まで処理する
高度処理技術としては従来、廃水中にアルミニウム塩を
溶解し中和することによって生成するゲル状水酸化アル
ミニウムに廃水中のフッ素を吸着させる凝集沈殿法が一
般的である。しかしながらこの方法はフッ素を吸着した
ゲル状水酸化アルミニウムが汚泥として大量に発生し、
その処分が問題となっている。一般に凝集沈殿法によっ
てフッ素濃度20ppmの廃水10m 3 を5ppmまで
処理するためには、ゲル状水酸化アルミニウムはAl
(OH)3 として少なくとも10kg程度要する。実際
にはゲル状水酸化アルミニウムはかなりの水分を含んで
おり、含水率を70%まで絞ったとしてもその含水重量
は25kg程度になり、これが汚泥として処分される。
【0005】一方、フッ素を吸着したゲル状水酸化アル
ミニウムを汚泥として処分せず、フッ素を脱着・回収し
ゲル状水酸化アルミニウムをフッ素吸着剤として繰り返
し使用する高度処理技術として特開平6−262170
号公報に示されている方法は、フッ素含有廃水の処理に
伴い発生する汚泥量が著しく少ない。この技術による処
理フローを図5に示す。まずフッ素吸着槽12において
フッ素濃度20〜30ppm程度の廃水に中性でゲル状
水酸化アルミニウムを添加してフッ素吸着処理を行った
後、シックナー13でフッ素吸着したゲル状水酸化アル
ミニウム14を固液分離する。上澄液15は十分フッ素
濃度が低下しており放流することができ、一方フッ素吸
着したゲル状水酸化アルミニウム14のスラリーは汚泥
として処分せず脱着槽16へ引き抜き、水酸化カルシウ
ム、塩化カルシウムなどの可溶性カルシウム塩を添加し
吸着フッ素からフッ化カルシウム生成させ脱着させる。
さらに溶解槽17において強アルカリでゲル状水酸化ア
ルミニウムをアルミン酸溶液18として溶解し、フッ化
カルシウム19を固液分離した後、Al(OH)3再生
槽20において中性としゲル状水酸化アルミニウム21
を再生させ、これをフッ素吸着処理に繰り返し使用する
ことができる。したがってフッ素を吸着したゲル状水酸
化アルミニウムは系外へ排出されず、発生する汚泥はフ
ッ化カルシウムのみとなる。この技術によれば、フッ素
濃度20ppmの廃水10m 3 を5ppmまで処理する
際に汚泥として発生するフッ化カルシウムは正味の重量
で0.3kg程度であり、さらにフッ化カルシウムは結
晶性であり、ゲル状水酸化アルミニウムに比べて容易に
含水率を低下させることができるため実際に排出される
汚泥量は含水率66%として0.6kg程度となり、一
般の凝集沈殿法に比べて大幅に削減される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の高度処理技術は、廃水中に夾雑物質が含まれな
い場合には汚泥量の削減に極めて有効であるが、フッ化
カルシウム生成反応を妨害する塩素イオンなどを多量に
含む廃液を処理する場合、フッ素を吸着したゲル状水酸
化アルミニウムにこれらの物質が混入し、カルシウム塩
を添加し吸着フッ素をフッ化カルシウムとして脱着する
際、フッ化カルシウム生成反応が妨害されフッ素の脱着
効率が低下する。またこれらの夾雑物質が含まれない廃
水を処理する場合でもフッ化カルシウム生成反応の進行
は一般に遅く、長い滞留時間がとれないとやはり十分な
フッ素の脱着効率は得られない。これらの場合、十分な
脱着効率を得るためにはカルシウム塩を過剰に添加すれ
ばよいが、ゲル状水酸化アルミニウムを強アルカリでア
ルミン酸イオンとして溶解する段階において未反応のカ
ルシウムイオンが存在すると、アルミン酸イオンとカル
シウムイオンとの反応によって不溶性のアルミン酸カル
シウムの沈殿を生成し、繰り返し使用するべきアルミニ
ウムを消費し、さらに生成した不溶性のアルミン酸カル
シウムの分汚泥量も増加するという問題点があった。ま
た廃水中のフッ素濃度が高い場合には、通常上述したよ
うにまず一次処理として過剰のカルシウム塩を添加し、
大部分のフッ素をフッ化カルシウムを生成させることに
よって分離除去するが、一次処理後の廃水中にはかなり
の濃度のカルシウムイオンが存在するため、この廃水を
上述した従来の方法で高度処理すれば、やはりゲル状水
酸化アルミニウムを強アルカリでアルミン酸イオンとし
て溶解する段階において、残留する未反応のカルシウム
イオンとアルミン酸イオンとの反応によってアルミン酸
カルシウムの沈殿を生成する。
【0007】本発明は上記問題点を克服し、系内にカル
シウムイオンが多量に存在する場合でも、また脱着効率
を上げるために過剰のカルシウム源の添加が必要な場合
でも、ゲル状水酸化アルミニウムを強アルカリでアルミ
ン酸イオンとして溶解する際にアルミン酸カルシウムの
沈殿を生成させることなく、種々の夾雑物質を含む廃水
に対しても極めて高い効率でゲル状水酸化アルミニウム
をフッ素吸着剤として再生することができ、高度処理に
おける汚泥発生が著しく少ないフッ素含有廃水の処理方
法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のフッ素含有廃水
の処理方法は、廃水中に含まれるフッ素をゲル状水酸化
アルミニウムに吸着させることによって除去し、該フッ
素を吸着したゲル状水酸化アルミニウムにカルシウム塩
を添加しフッ化カルシウムを生成させることによって吸
着フッ素を脱着し、該ゲル状水酸化アルミニウムを強ア
ルカリでアルミン酸溶液として溶解した後、該フッ化カ
ルシウムを固液分離し、該アルミン酸溶液を中性として
ゲル状水酸化アルミニウムを再生させフッ素吸着に繰り
返し使用するフッ素含有廃水の処理方法において、該ゲ
ル状水酸化アルミニウムに脱着したフッ素を該カルシウ
ム塩を添加しpH10以下でフッ化カルシウムとして脱
着した後、該ゲル状水酸化アルミニウムを強アルカリで
アルミン酸溶液として溶解する前に炭酸塩を添加し未反
応のカルシウムイオンを炭酸カルシウムとして固定する
工程を含むことを特徴としている。
【0009】また本発明の第2の発明のフッ素含有廃水
の処理方法は、上述の第1の発明のフッ素含有廃水の処
理方法において、ゲル状水酸化アルミニウムに吸着した
フッ素をフッ化カルシウムを生成させることにより脱着
させる際のカルシウム源として、新たにカルシウム塩を
添加するのではなく廃水中に含まれるカルシウムイオン
を利用することを特徴としている。
【0010】また、本発明の第3の発明は、廃水中に含
まれるフッ素を該ゲル状水酸化アルミニウムに吸着させ
ることによって処理し、該フッ素を吸着した該ゲル状水
酸化アルミニウムにカルシウム塩を添加しフッ化カルシ
ウムを生成させることによって吸着フッ素を脱着し、該
ゲル状水酸化アルミニウムを強アルカリでアルミン酸溶
液として溶解した後、該フッ化カルシウムを固液分離
し、該アルミン酸溶液を中性としてゲル状水酸化アルミ
ニウムを再生させフッ素吸着に繰り返し使用するフッ素
含有廃水の処理方法において、フッ素を吸着した該ゲル
状水酸化アルミニウムに添加する該カルシウム塩として
炭酸カルシウムを用いることを特徴とするフッ素含有廃
水の処理方法である。
【0011】第4の発明は、第3の発明に記載した処理
方法において、ゲル状水酸化アルミニウムに吸着したフ
ッ素を炭酸カルシウムとの反応によりフッ化カルシウム
を生成させ脱着させる工程を、3以上10未満のpHで
行うことを特徴とする第3の発明に記載のフッ素含有廃
水の処理方法である。
【0012】
【実施例】
(実施例1)次に本発明の一実施例を図面を参照して説
明する。図1は本発明の一実施例を示す処理フローであ
る。まずフッ素吸着槽1においてフッ素濃度20pp
m、塩素濃度1%の廃水に中性でゲル状水酸化アルミニ
ウムをアルミニウム濃度が400ppmとなるように添
加してフッ素吸着処理を行った後、シックナー2でフッ
素吸着したゲル状水酸化アルミニウム3を固液分離す
る。上澄液4は十分フッ素濃度が低下しており放流する
ことができ、一方フッ素吸着したゲル状水酸化アルミニ
ウム3のスラリーは汚泥として処分せず脱着槽5へ引き
抜き、ここで吸着フッ素に対し4倍当量の水酸化カルシ
ウムを添加しpH8で1時間攪拌し吸着フッ素からフッ
化カルシウムを生成させ脱着させる。カルシウム塩を添
加し、フッ素を脱着する工程でpHを10未満としたの
は、pH>10ではゲル状水酸化アルミニウムがアルミ
ニウム酸溶液として溶解し、不溶性のアルミン酸カルシ
ウムが生成してしまう為である。続いて炭酸塩添加槽6
において脱着槽5で添加した水酸化カルシウムの2倍当
量の炭酸水素ナトリウムを添加し、1時間攪拌し未反応
のカルシウムイオンを不溶性の炭酸カルシウムとして固
定する。なお、炭酸水素ナトリウムを添加してもpHは
ほとんど変化しないので、ここではpH調整は行う必要
はない。さらに溶解槽7において強アルカリでゲル状水
酸化アルミニウムをアルミン酸溶液8として溶解し、フ
ッ化カルシウムおよび炭酸カルシウム混合物9を固液分
離した後、Al(OH)3 再生槽10において中性とし
ゲル状水酸化アルミニウム11を再生させ、これをフッ
素吸着処理に繰り返し使用する。本実施例によってフッ
素濃度20ppmの廃水10m 3 を5ppmまで処理す
る際に汚泥として発生するフッ化カルシウムおよび炭酸
カルシウム混合物9の重量は含水率66%として2.9
kg程度であり、一般の凝集沈殿法に比べて大幅に削減
される。
【0013】図2は本実施例によってゲル状水酸化アル
ミニウムをフッ素吸着剤として繰り返し使用した時の放
流水中のフッ素濃度の変化を、従来法と比較して示した
グラフである。ここで従来法による処理条件は、脱着槽
5中に添加する水酸化カルシウム量を吸着フッ素に対し
当量分とし、本発明の特徴である炭酸塩添加槽6で炭酸
水素ナトリウムを添加する工程を削除したものである。
この図2から明らかなように、本実施例では放流水中フ
ッ素濃度は安定しているのに対し、従来法では処理回数
を追うごとに放流水中フッ素濃度は増加している。これ
は当量程度のカルシウムでは廃水中に含まれていた塩素
イオンの妨害によりフッ化カルシウムが十分生成され
ず、残留したフッ素イオンが系内に蓄積していくためと
考えられる。また、本実施例では過剰のカルシウムが添
加されているにもかかわらずゲル状水酸化アルミニウム
の再生操作を繰り返してもゲル状水酸化アルミニウム量
の減少はほとんど見られなかったのに対し、従来法では
未反応のカルシウムイオンは溶解槽7においてアルミン
酸イオンと反応しアルミン酸カルシウムの沈殿を生成す
ることによって、処理回数を追うごとにゲル状水酸化ア
ルミニウム量は明らかに減少していった。
【0014】(実施例2)本発明の第2の実施例とし
て、比較的高濃度のフッ素を含む廃水に対し、フッ化カ
ルシウム生成による一次処理と本発明を組み合わせた場
合の処理方法について説明する。まずフッ素濃度600
ppmおよび塩素濃度1%の廃水に、一次処理として廃
水中フッ素の5倍当量の水酸化カルシウムを添加し、フ
ッ化カルシウムを生成させこれを分離除去することによ
って、廃水中のフッ素濃度を20ppmまで低下させ
る。続いてこの廃水を第1の実施例と同様に処理する
が、この場合廃水中にもともと未反応のカルシウムイオ
ンがかなりの量で含まれており、このカルシウムイオン
をゲル状水酸化アルミニウムに吸着したフッ素の脱着に
利用することができる。すなわち、図1を用いて説明す
ると脱着槽5へ引き抜いたフッ素吸着ゲル状水酸化アル
ミニウム3のスラリー中のカルシウムイオンおよび塩素
イオンの濃度は、それぞれ2547ppmおよび1%で
あり、また水酸化アルミニウムに吸着された形で存在す
るフッ素の濃度は582ppmであった。したがってフ
ッ素吸着ゲル状水酸化アルミニウム3のスラリー中に存
在するカルシウムイオンは吸着フッ素の4.16倍当量
であり、第1の実施例の場合のようにここでカルシウム
塩を添加しなくても十分吸着フッ素からフッ化カルシウ
ムを生成させることができ、吸着フッ素を脱着すること
ができる。また炭酸塩添加槽6で添加する炭酸水素ナト
リウム量は脱着槽5中のカルシウム量に対し2倍当量と
する。
【0015】なお、カルシウムイオンおよび塩素イオン
はゲル状水酸化アルミニウムには吸着されないので、ゲ
ル状水酸化アルミニウム中でも放流水中でも濃度は変わ
らないことから、本実施例において処理の対象となる廃
水中のフッ素濃度が異なっても、薬剤の最適な添加量は
各槽容量から容易に算出することができる。
【0016】このように本実施例では脱着槽5でカルシ
ウム塩を添加する工程を省略することができ、さらに脱
着槽5においてpH変動する要因が除かれることから脱
着槽5のpH調整が極めて容易になるという利点があ
る。
【0017】(実施例3)次に本発明の第3の発明の一
実施例を図面を参照して説明する。図3は本発明の一実
施例を示す処理フローである。まずフッ素吸着槽1にお
いてフッ素濃度20ppm、塩素濃度1%の廃水に、硫
酸アルミニウム溶液を水酸化ナトリウムで中和すること
により生成させたゲル状水酸化アルミニウムをアルミニ
ウム濃度が400ppmとなるように添加してpH7で
フッ素吸着処理を行った後、シックナー2でフッ素吸着
したゲル状水酸化アルミニウム3を固液分離する。上澄
液4は十分フッ素濃度が低下しており放流することがで
き、一方フッ素吸着したゲル状水酸化アルミニウム3の
スラリーは汚泥として処分せず脱着槽5へ引き抜き、吸
着フッ素に対し難溶性カルシウム塩である炭酸カルシウ
ムを4倍当量添加しpH6.5で1時間攪拌し吸着フッ
素からフッ化カルシウム生成させ脱着させる。さらに溶
解槽7において水酸化ナトリウムを添加し強アルカリで
ゲル状水酸化アルミニウムをアルミン酸溶液8として溶
解し、フッ化カルシウムおよび炭酸カルシウム混合物9
を固液分離した後、Al(OH)3 再生槽10において
硫酸を添加して中性としゲル状水酸化アルミニウム11
を再生させ、これをフッ素吸着処理に繰り返し使用す
る。
【0018】ここで脱着槽5におけるフッ化カルシウム
生成反応にあずからなかった炭酸カルシウムは強アルカ
リにおいてもカルシウムイオンをほとんど解離せず、炭
酸カルシウムが過剰に添加されても、溶解槽7において
アルミン酸イオンとカルシウムイオンの反応によるアル
ミン酸カルシウムの沈殿はほとんど生成しない。なお、
脱着槽5におけるフッ化カルシウム生成反応は添加した
炭酸カルシウム結晶の表面で局所的に進行するものと考
えられる。またこのフッ化カルシウム生成反応はpHが
低いほど効率よく進行する傾向があるが、pHが低すぎ
る(pH<3)と炭酸カルシウムおよび生成したフッ化
カルシウムの溶解度が高くなるためカルシウムイオンお
よびフッ素イオンの溶出が多くなること、さらに溶解槽
7において強アルカリでゲル状水酸化アルミニウムを溶
解する際、pH調整のために添加する水酸化ナトリウム
の量が嵩むことなどの問題が生じるため、中性付近でフ
ッ化カルシウム生成反応を行わせるのが適当である。ま
たフッ化カルシウム生成反応をpH≧10で行わせる
と、水酸化アルミニウムがアルミン酸溶液として溶解
し、不溶性のアルミン酸カルシウムが生成してしまうこ
とがあるので、フッ化カルシウム生成反応は3以上10
未満のpHで行わせることが望ましい。
【0019】本実施例によってフッ素濃度20ppmの
廃水10m 3 を5ppmまで処理する際に汚泥として発
生するフッ化カルシウムおよび炭酸カルシウム混合物9
の重量は含水率66%として3.0kg程度であり、一
般の凝集沈殿法に比べて大幅に削減された。
【0020】図4は本実施例によってゲル状水酸化アル
ミニウムをフッ素吸着剤として繰り返し使用した時の放
流水中のフッ素濃度の変化を、従来法と比較して示した
グラフである。ここで従来法による処理条件は脱着槽5
中に添加するカルシウム塩として水酸化カルシウムを用
い、添加量を吸着フッ素に対し当量分とし、pH8でフ
ッ化カルシウムを生成させたものである。この図から明
らかなように本実施例では放流水中フッ素濃度は安定し
ているのに対し、従来法では処理回数を追うごとに放流
水中フッ素濃度は増加している。これは当量程度のカル
シウムでは廃水中に含まれていた塩素イオンの妨害によ
りフッ化カルシウムが十分生成されず、残留したフッ素
イオンが系内に蓄積していくためと考えられる。水酸化
カルシウムを過剰に添加すればフッ化カルシウムを十分
生成させることができるが、未反応のカルシウムイオン
が残留すれば溶解槽7においてアルミン酸カルシウムの
沈殿を生成し、アルミニウムが消費されていく。一方、
本実施例では過剰のカルシウムが添加されているにもか
かわらずゲル状水酸化アルミニウムの再生操作を繰り返
してもゲル状水酸化アルミニウム量の減少はほとんど見
られなかった。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように本発明の第1の発明
のフッ素含有廃水の処理方法は、ゲル状水酸化アルミニ
ウムに吸着したフッ素をカルシウム塩を添加しフッ化カ
ルシウムとして脱着した後で、ゲル状水酸化アルミニウ
ムを強アルカリでアルミン酸溶液として溶解する前に、
炭酸塩を添加し未反応のカルシウムイオンを炭酸カルシ
ウムとして固定する工程を有することにより、系内にカ
ルシウムイオンが多量に存在する場合でもゲル状水酸化
アルミニウムを強アルカリでアルミン酸イオンとして溶
解する際にアルミン酸カルシウムの沈殿を生成させるこ
となく、種々の夾雑物質を含む廃水に対しても極めて高
い効率でゲル状水酸化アルミニウムをフッ素吸着剤とし
て再生することができる。
【0022】また本発明の第2の発明のフッ素含有廃水
の処理方法は、上述のフッ素含有廃水の処理方法におい
て、ゲル状水酸化アルミニウムに吸着したフッ素をフッ
化カルシウムを生成させることにより脱着させる際のカ
ルシウム源として、廃水に含まれるカルシウムイオンを
利用することにより、フッ化カルシウム生成の際のカル
シウム塩を添加する工程を省略することができ、同時に
pH調整を極めて容易にすることができる。
【0023】また、添加するカルシウム塩として炭酸カ
ルシウムを用いる本発明の第3、第4の発明によって
も、本発明の第1、第2の発明と同様に、過剰のカルシ
ウム源の添加が必要な場合においても、ゲル状水酸化ア
ルミニウムを強アルカリでアルミン酸イオンとして溶解
する際にアルミン酸カルシウムの沈殿の生成を防ぐこと
ができ、種々の夾雑物質を含む廃水に対しても極めて高
い効率でゲル状水酸化アルミニウムをフッ素吸着剤とし
て再生できる。これにより、低レベルまでフッ素を除去
する高度処理における汚泥発生量を著しく低減すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示すフロー図である。
【図2】第1実施例により、ゲル状水酸化アルミニウム
をフッ素吸着剤として繰り返し使用したときの放流水中
フッ素濃度の変化を示すグラフである。
【図3】本発明の第3の実施例を示すフロー図である。
【図4】第3実施例により、ゲル状水酸化アルミニウム
をフッ素吸着剤として繰り返し使用したときの放流水中
フッ素濃度の変化を示すグラフである。
【図5】従来の技術を示すフロー図である。
【符号の説明】
1 フッ素吸着槽 2 シックナー 3 フッ素吸着水酸化アルミニウム 4 上澄液 5 脱着槽 6 炭酸塩添加槽 7 溶解槽 8 アルミン酸溶液 9 フッ化カルシウムおよび炭酸カルシウム混合物 10 Al(OH)3 再生槽 11 ゲル状水酸化アルミニウム 12 フッ素吸着槽 13 シックナー 14 フッ素吸着水酸化アルミニウム 15 上澄液 16 脱着槽 17 溶解槽 18 アルミン酸溶液 19 フッ化カルシウム 20 Al(OH)3 再生槽 21 ゲル状水酸化アルミニウム
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭51−142864(JP,A) 特開 平6−262170(JP,A) 特開 昭52−126053(JP,A) 特開 昭54−133746(JP,A) 特開 平7−47371(JP,A) 特開 昭60−166083(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C02F 1/28

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】廃水中に含まれるフッ素をゲル状水酸化ア
    ルミニウムに吸着させることによって除去し、該フッ素
    を吸着した該ゲル状水酸化アルミニウムにカルシウム塩
    を添加しフッ化カルシウムを生成させることによって吸
    着フッ素を脱着し、該ゲル状水酸化アルミニウムを強ア
    ルカリでアルミン酸溶液として溶解した後、該フッ化カ
    ルシウムを固液分離し、該アルミン酸溶液を中性として
    ゲル状水酸化アルミニウムを再生させフッ素吸着工程に
    繰り返し使用するフッ素含有廃水の処理方法において、
    該ゲル状水酸化アルミニウムに吸着したフッ素を該カル
    シウム塩を添加しpH10未満でフッ化カルシウムとし
    て脱着した後、該ゲル状水酸化アルミニウムを強アルカ
    リでアルミン酸溶液として溶解する前に炭酸塩を添加し
    未反応のカルシウムイオンを炭酸カルシウムとして固定
    する工程を含むことを特徴とするフッ素含有廃水の処理
    方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載したフッ素含有廃水の処理
    方法において、ゲル状水酸化アルミニウムに吸着したフ
    ッ素をフッ化カルシウムを生成させることにより脱着さ
    せる際の該カルシウム源として、廃水中に含まれるカル
    シウムイオンを利用することを特徴とするフッ素含有廃
    水の処理方法。
  3. 【請求項3】廃水中に含まれるフッ素をゲル状水酸化ア
    ルミニウムに吸着させることによって処理し、該フッ素
    を吸着した該ゲル状水酸化アルミニウムにカルシウム塩
    を添加しフッ化カルシウムを生成させることによって吸
    着フッ素を脱着し、該ゲル状水酸化アルミニウムを強ア
    ルカリでアルミン酸溶液として溶解した後、該フッ化カ
    ルシウムを固液分離し、該アルミン酸溶液を中性として
    ゲル状水酸化アルミニウムを再生させフッ素吸着に繰り
    返し使用するフッ素含有廃水の処理方法において、フッ
    素を吸着した該ゲル状水酸化アルミニウムに添加する該
    カルシウム塩として炭酸カルシウムを用いることを特徴
    とするフッ素含有廃水の処理方法。
  4. 【請求項4】該ゲル状水酸化アルミニウムに吸着した該
    フッ素を炭酸カルシウムとの反応により該フッ化カルシ
    ウムを生成させ脱着させる工程を3以上10未満のpH
    で行うことを特徴とする請求項3記載のフッ素含有廃水
    の処理方法。
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