JP2731359B2 - 山形ラーメン構造物 - Google Patents
山形ラーメン構造物Info
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Description
構造体の山形ラーメン構造物に関する。
場合、従来、広くラーメン構造が用いられている。代表
的な山形ラーメン構造物は、図6に見られるように、一
定距離のスパンで立設した2本の支柱9,9と、各柱頭1
0から突き合わせた斜梁11とから形成される山形屋根に
対し、柱頭10,10間に水平引張材12を架設した構造で、
一般にタイバー(水平引張材)付山形ラーメン構造物と呼
んでいる。
は、対となる支柱の高さが異なっている場合等、見かけ
上傾斜する水平引張材もある。前記従来例の水平引張材
には、見かけ上傾斜したものであっても、対となる点の
間へほぼ直線的に架設されたものを含む。通常、支柱と
斜梁にはH型鋼が、引張材には鋼管等が使用される。
等も考慮に入れて、それに耐えられる強度を持った形鋼
製品を材料としなければならない。そのため、斜梁に
等分布荷重が、支柱に対して水平荷重が負荷されている
と想定し、支柱、斜梁と引張材の各部に働く曲げモー
メント、圧縮力、引張り力やせん断力を計算し、前記
計算結果に基づいて算定した各部に要求される断面係数
に従って、規格化された形鋼製品の中から材料を選定し
ている。
屋内でのイベント、スポーツ等の増加につれ、より広い
大型空間を有する建築構造物が望まれるようになった。
こうして建築構造物が大型化されると、各部に要求され
る断面係数の値が大きくなり、当然に使用する形鋼製品
の規格が1ランク上がり、大きくかつ重くなってしま
う。このため、建築構造物が大型化すると、材料費の
増加、施工費の増加、等の問題が生じる。
記のような問題が生じるので、構造的な改善により、建
築構造物に十分な強度を確保するよう努力がなされてい
る。例えば、特開平6-212692号に提案された門型構造物
を挙げることができる。これは、支柱の柱頭から一定距
離下がった点に突き出させた斜梁間へ架設した水平な中
央梁を、柱頭に軸支したターンバックルで、外方から外
向きへ引っ張って中央梁に掛かる曲げモーメントを小さ
くし、構造的な強度を向上させている。
突出するターンバックルの部分から侵入する雨、風を防
ぐ必要があり、仮にターンバックルの部分を屋根の内
へ納めてしまうと、柱頭付近の天井空間を狭くしてしま
う欠点があった。また、この門型構造物は、既存の山
形屋根への適用は難しく、現実的には新築の構造物にし
か用いることができない。そこで、従来の山形ラーメン
構造物を基本とし、上記提案に見られる構造上の問題な
くして構造的な強度の確保を得られるよう検討し、更に
必要な形鋼製品の低廉化、施工費の削減を図ることにし
た。
のが、一定距離のスパンで立設した支柱の柱頭から斜梁
をスパン中央の頂点で剛接合で突き合わせた山形屋根に
おいて、頂点から垂下した圧縮材の柱頭の高さより下方
に位置する下端と、柱頭から頂点に向かって支柱内面か
ら1m以内の距離の斜梁上の点との間に左右一対の傾斜
引張材を架設して、柱の変形による応力が斜梁に伝わっ
て柱頭に懸かる接点応力(軸力及び曲げモーメント)を軽
減するようにしてなる山形ラーメン構造物である。圧縮
材下端は、天井空間を侵さず、傾斜引張材を架設する柱
頭又は斜梁上の点よりも低くなるようにする。なお、傾
斜引張材の勾配は、支柱の高さ、斜梁の長さ、斜梁上の
点の位置の違い等により、左右が非対称となってもよ
い。
けた状態で、頂点から垂下した柱頭より低い位置にある
圧縮材下端と、柱頭から頂点に向かって支柱内面から1
m以内の距離の斜梁上の点との間に傾斜引張材を架設し
てなる山形ラーメン構造物とする。この山形ラーメン構
造物においては、柱頭に内向きのプリテンションを懸け
た状態で傾斜引張材を架設すれば最良となる。なお、前
記プリテンションは、施工の際、傾斜引張材を架設する
までの間に与える一時的なものでよい。また、傾斜引張
材を架設する斜梁上の点は、柱頭から頂点に向かって支
柱内面から1m以内であり、好ましくは0.5m前後の範
囲にあるのがよい。
上記圧縮材下端と斜梁上の上記特定点との間に左右一対
架設することで、柱頭に懸かる接点応力(軸力及び曲げ
モーメント)を軽減する。傾斜引張材は、斜梁又は支柱
の曲げモーメントに外向きへ引張られることで圧縮材を
持上げ、斜梁又は支柱の曲げモーメントの逆モーメント
を斜梁に発生させて相殺し、建築構造物の構造的な強度
を向上させるので、柱頭の支柱内面間へ架設してもよ
い。また、傾斜引張材、圧縮材は共に山形屋根内にほぼ
納まり、構造物内の空間を無駄にしない。
さず、傾斜引張材を架設する柱頭又は斜梁上の点よりも
低くなるようにすることで、斜梁に発生するモーメント
に対する逆モーメントを効率的に発生させる傾斜で架設
できる。柱頭から頂点に向かった一定距離の点は、前述
のように支柱内面から1m以内好ましくは0.5m前後の
範囲にすると最良の結果が得られる。
態で傾斜引張材を架設すると、プリテンションを解放し
ても内向きの潜在応力が支柱に残存して、斜梁に発生す
る曲げモーメントを軽減することができる。また、傾斜
引張材は、プリテンションから解放された支柱の復元力
が、斜梁により外向きに働く傾斜引張材に対する引張り
力に加わって、傾斜引張材が圧縮材を押上げる力を増大
させ、斜梁に発生させる逆モーメントを増幅する。
いて説明する。図1は、斜梁1上の点の間へ傾斜引張材
2を架設した本発明の山形ラーメン構造物の基本構造を
表した図である。図1に見られるように、本発明の山形
ラーメン構造物はスパンSmの間隔で支柱3,3を立設
し、柱頭4から頂点5で剛接合で突き合わせた斜梁1,
1に対して、頂点5から圧縮材6を垂下させ、柱頭4か
ら頂点5へ向かって支柱内面からの所定距離Lmの点と
圧縮材下端7とへ、傾斜引張材2を架設した構造を有し
ている。
に等分布荷重w=0.5t/mを負荷した条件下で、傾斜引張
材と斜梁との接点を変化、すなわちL=0〜5mまで変
化させた場合の強度計算をまとめた一覧表である。支柱
と斜梁とにはH=450×200×9×14mmのH型鋼を、圧縮
材と傾斜引張材とはφ101.6×5mmを使用している。支
柱は4m、頂点は柱頭より1.5mの高さで、圧縮材はそ
の下端が柱頭より0.6m下に位置するように頂点より垂
下させている。
である。通常、使用するH型鋼により決まる断面係数、
許容曲げ応力度、断面積と許容圧縮応力度と、上記条件
で仮定した等分布荷重wt/mとにより算出される数1の
値が、1以下になるように型鋼製品を選定すればよい。
従来は、選定した型鋼製品による計算値が1を超えれ
ば、規格を1段上げて、数1の値が1以内に納まるよう
にしていた。
に、支柱と斜梁との接点において算出した値はL=0.5
mを極小値0.78として、L=0.3〜1.0mでは0.8を下回
る値を示し、L=0〜3.0mの広い範囲において0.9を下
回る良好な結果を得ている。また、傾斜引張材と斜梁と
の接点とにおいて算出した数1の値はLの増加に伴い、
値が小さくなる傾向にあり、L=3.0mを極小値0.24と
している。
規格のH型鋼を用いた場合に構造物の強度が向上するこ
とを意味し、見方を変えれば、より軽量、そして安価
なH型鋼を用い得る、つまり規格を1段下げても必要十
分な強度を確保できることを表す。そこで、支柱と斜梁
との接点における数1の値が極小値となるL=0.5mに
ついてH型鋼の規格を1段下げ、H=400×200×8×13
を使用して再度数1の計算をした。その結果、支柱と斜
梁との接点における値は0.97、傾斜引張材と斜梁との接
点における値は0.96となり、1段規格の低いH型鋼を材
料として使用できることがわかる。
を上げた場合における数1の計算結果をまとめた一覧表
で、表2は斜梁を一.五寸勾配、表3は斜梁を二寸勾配
としている。また、表4は表1の条件下で斜梁にかかる
等分布荷重を上げたもので、降雪地帯を想定し、斜梁を
三寸勾配とし、w=1.975t/mとした場合における数1の
計算結果をまとめた一覧表である。L=0.3〜1.0mにお
いては、いずれの条件においても平均して数1の値が小
さくなっており、施工者は、使用するH型鋼の規格を
替えずに構造物の強度を向上させるか、使用するH型
鋼の規格を1段下げて(表2及び表3参照)、施工費を節
減するかの選択が可能となる。
柱頭を内向きに付勢し、プリテンションPtを懸けた状
態で傾斜引張材を架設するとより効果を発揮する。図2
は、柱頭4へ内向きのプリテンションPtを懸けた場合
における各部の接点応力(モーメントM1,軸力N1,モー
メントM2,軸力N2、以下表記同じ)を表した図1相当図
である。図1においては、プリテンション無(P=0t)
における各部の接点応力(M1,N1,M2,N2)を表してい
るが、両者を比較すれば、傾斜引張材2の効果がより発
揮されていることがわかる。なお、柱頭4は、傾斜引張
材2架設後に予め負荷したプリテンションPtから解放
している。
布荷重をw=0.35t/mという同一条件とした場合におい
て、スパンをS=30,40,60mと変え、各スパンでのプリ
テンションをP=0t,5t,10tとしたときにおける支
柱と斜梁との接点応力(M1,N1)、斜梁と傾斜引張材と
の接点応力(M2,N2)と、そして数1の値をまとめた一
覧表である。
ほどモーメントM1,M2が低下し、また数1の値も小さ
くなり、構造体の強度が上がっている。例えば、プリテ
ンションがP=0tとP=10tとでは、モーメントM1,
M2は概ね半減し、数1の値は0.9前後の値から0.6〜0.7
程度まで下がる。特に、S=60mの場合におけるモーメ
ントの変化は、支柱と斜梁との接点応力によるモーメン
トM1は約1/3、斜梁と傾斜引張材との接点応力によるモ
ーメントM2は1/10以下まで減少している。
するのは、プリテンションに起因する支柱の潜在応力
が、斜梁に発生する曲げモーメントを軽減するだけでな
く、プリテンションから解放された支柱の復元力が、
斜梁により傾斜引張材に働きかける外向きの引張り力に
付加される結果、より効率よく、より大きな逆モーメン
トを斜梁に発生させることができるからである。プリテ
ンションが大きいほど効果が高いのは表5〜7により明
らかだが、実際においては、支柱に用いるH型鋼の規格
や高さ、要求される構造物の強度等を考慮し、適当なプ
リテンションを決定する必要がある。
材を用いることを特徴とするが、これに替えて、従来の
水平引張材を用いた場合にも他の要件、例えば内向きの
プリテンションをかけるとか、あるいは柱頭内側の斜梁
内に水平梁を架設するとかの要件を加えると、ある程度
の効用がある。図3は斜梁1上の点の間へ水平引張材8
を架設した参考例の山形ラーメン構造物の基本構造を表
した図(接点応力M1,N1,M2,N2も図示)、図4は柱頭
4へ内向きのプリテンションPtを付加した状態で柱頭
4,4間へ水平引張材8を架設した山形ラーメン構造物
の接点応力M,Nを表した図であり、図5は柱頭4へ内
向きのプリテンションPtを付加した状態で斜梁1上の
点の間へ水平引張材8を架設した山形ラーメン構造物の
接点応力M1,N1,M2,N2を表した図4相当図である。
なお、柱頭4は、水平引張材8架設後に負荷したプリテ
ンションPtから解放している。
頭間へ水平引張材を架設した従来の山形ラーメン構造物
(図6参照)に対し、本発明の山形ラーメン構造物(図1
〜図2参照)及び参考例としての水平引張材構造(図3〜
図5)の接点応力を比較した一覧表である。比較条件
は、二寸勾配の斜梁に懸かる等分布荷重をw=0.35t/
m、スパンはS=60m、柱頭から頂点へ向かう所定距離
をL=0.5m、柱頭へ付加する場合のプリテンションは
P=0t,5t,10t(但し、従来のものはプリテンショ
ン無)としている。各欄には、各条件下での支柱と斜梁
との接点応力(M1又はM,N1又はN)と斜梁と傾斜引張
材又は水平引張材との接点応力(M2,N2)、及び数1の
値を挙げている。
見られるように、数1の値が1以下になる範囲でH型鋼
の種類をH=600〜400の範囲で選択している。このH型
鋼に関して比較すれば、従来例に対して本発明の傾斜引
張材を用いた例は、傾斜引張材の一端又は参考例の水
平引張材両端の架設位置が斜梁上の点になると、主とし
て軸力が小さくなる傾向にあり(従来例のNと、本発明
のN1又はNとを比較)、プリテンションが大きくなる
ほど、主としてモーメントが小さくなる傾向にあり(従
来例のMと、本発明のM1又はMとを比較)、それぞれの
結果、H型鋼の規格を下げることができる。
と参考例の水平引張材との各例を比較すれば、傾斜引張
材を用いた方が、良好な結果が得られている。これは、
傾斜引張材を設ける場合、圧縮材の働きにより、より積
極的に斜梁に発生する曲げモーメントを解消することが
できるためと考えられる。プリテンションを懸けた柱頭
間へ水平引張材を架設した場合、モーメントMは減少す
るものの、軸力Nは若干増加することから、引張材両
端、ひいては傾斜引張材の一端の架設位置を斜梁上の点
へ移動させることは、支柱と斜梁との接点における軸力
を低減する効果があることがわかる。
状態で、頂点より垂下した圧縮材の柱頭より低い位置の
下端と斜梁上の点との間へ傾斜引張材を架設する場合が
最も効果が高くなる、すなわち使用するH型鋼の規格を
下げることができる、と結論づけることができる。これ
は、前記したように、傾斜引張材の一端を斜梁上の点
に架設することで軸力を低減し、そしてプリテンショ
ンの負荷に基づく支柱の潜在応力が、直接に曲げモーメ
ントを低減させ、更にプリテンションの解放に基づく
支柱の復元力が、圧縮材の持上により、間接に曲げモー
メントを低減させる、という3種類の効果が相乗する結
果と言える。
な改良により、従来の山形ラーメン構造物に比べて使用
するH型鋼の規格を下げ、構造体の重量を軽減できる
(プリテンション無で最大15%程度、プリテンション有
で最大30%程度)ことから、材料費や施工費を低減させ
ることができる。
ションを懸けた状態で、傾斜引張材と圧縮材とを設けた
構造にするのが最良であって、プリテンションを懸けた
状態で水平引張材を架設したものよりも更に効果があ
る。
の山形ラーメン構造物の構造及びモーメントを表した図
である。
間へ傾斜引張材を架設した本発明の山形ラーメン構造物
の構造及びモーメントを表した図である。
の山形ラーメン構造物の構造及びモーメントを表した図
である。
引張材を架設した他の参考例の山形ラーメン構造物の構
造及びモーメントを表した図である。
間へ水平引張材を架設した他の参考例の山形ラーメン構
造物の構造及びモーメントを表した図である。
ーメン構造物の構造及びモーメントを表した図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 一定距離のスパンで立設した支柱の柱頭
から斜梁をスパン中央の頂点で剛接合で突き合わせた山
形屋根において、頂点から垂下した圧縮材の柱頭の高さ
より下方に位置する下端と、柱頭から頂点に向かって支
柱内面から1m以内の距離の斜梁上の点との間に左右一
対の傾斜引張材を架設して、柱の変形による応力が斜梁
に伝わって柱頭に懸かる接点応力を軽減するようにして
なる山形ラーメン構造物。 - 【請求項2】 柱頭に内向きのプリテンションを懸けた
状態で、傾斜引張材を架設してなる請求項1記載の山形
ラーメン構造物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7001119A JP2731359B2 (ja) | 1995-01-09 | 1995-01-09 | 山形ラーメン構造物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7001119A JP2731359B2 (ja) | 1995-01-09 | 1995-01-09 | 山形ラーメン構造物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08189081A JPH08189081A (ja) | 1996-07-23 |
JP2731359B2 true JP2731359B2 (ja) | 1998-03-25 |
Family
ID=11492579
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7001119A Expired - Lifetime JP2731359B2 (ja) | 1995-01-09 | 1995-01-09 | 山形ラーメン構造物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2731359B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
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---|---|---|---|---|
KR101365817B1 (ko) * | 2013-05-13 | 2014-02-20 | 원인복 | 공장 건물의 뼈대 구조 및 그 시공 방법 |
CN106759861B (zh) * | 2016-11-11 | 2019-01-08 | 天津大学 | 焊接空心球节点空间网格结构梁单元杆件弯矩的计算方法 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP3230607B2 (ja) * | 1992-07-09 | 2001-11-19 | オリンパス光学工業株式会社 | 電動内視鏡装置 |
-
1995
- 1995-01-09 JP JP7001119A patent/JP2731359B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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JPH08189081A (ja) | 1996-07-23 |
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