JP2715770B2 - 時定数検出回路及び時定数調整回路 - Google Patents

時定数検出回路及び時定数調整回路

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、LSI内部に組み込ま
れる例えばRC型アクティブフィルタのように抵抗とコ
ンデンサを構成要素に含む回路の時定数のばらつきを検
出する時定数検出回路及びその時定数のばらつきを調整
する時定数調整回路に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、モノリシックLSIに
は、例えばRC型アクティブフィルタのように抵抗とコ
ンデンサを構成要素に含む回路が組み込まれるが、この
とき問題となるのは素子値の絶対値の誤差が極めて大き
いということである。
【0003】即ち、抵抗やコンデンサの素子値の誤差
は、同一チップ内での相対的な比較では1%以下と極め
て少ないのに対し絶対値としての誤差は個別部品に比べ
て20%〜40%と桁外れに大きい。
【0004】従って、これらの抵抗やコンデンサを用い
てアクティブフィルタ等を構成すると、例えば素子値の
ばらつきが±30%であればカットオフ周波数のばらつ
きは−40%〜+100%にも達し、カットオフ周波数
が大きくばらつくことになり、精度の要求されるフィル
タ等を作成することは非常に困難である。
【0005】以上のことから、近年では、モノリシック
LSIに組み込むフィルタは、RC型アクティブフィル
タとして構成するのではなく、スイッチトキャパシタフ
ィルタ型の回路で構成するようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、スイッチトキ
ャパシタフィルタ型の回路は、サンプル値系であるの
で、その前後に必ずエイリアジング防止フィルタとスム
ージングフィルタとが必要であるが、これらのフィルタ
だけはどうしてもRC型のアクティブフィルタで構成せ
ざるを得ない。従って、上述したようなカットオフ周波
数のばらつきが避けられず、設計上の大きな問題となっ
ている。
【0007】本発明の目的は、LSI内部に形成した抵
抗やコンデンサの素子値の相対的な誤差が極めて少ない
点に着目し、素子値のずれをRC回路の時定数の形で検
出できる時定数検出回路及びその検出結果に基づき素子
値の微調節を可能にする時定数調整回路を提供すること
にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明の時定数検出回路及び時定数調整回路は次の
如き構成を有する。即ち、第1発明の時定数検出回路
は、LSI内部に回路の一部として組み込まれる時定数
検出回路であって; この時定数検出回路は、スイッチ
トキャパシタ回路で構成される擬似抵抗と通常の抵抗と
の直列回路からなり印加される一定直流電圧を分圧出力
する抵抗分圧回路と; 前記抵抗分圧回路の分圧電圧を
平滑して出力する平滑用のコンデンサと; を備えたこ
とを特徴とするものである。
【0009】また、第2発明の時定数調整回路は、LS
I内部に回路の一部として組み込まれる時定数調整回路
であって; この時定数調整回路は、第1発明の時定数
検出回路と; 前記時定数検出回路の出力電圧の範囲を
判定しその範囲に応じた制御信号を出力する判定回路
と; 抵抗とコンデンサを構成要素に含む回路に設けら
れ前記制御信号を受けて対応する抵抗やコンデンサの値
を変更する手段と; を備えたことを特徴とするもので
ある。
【0010】
【作用】次に、前記の如く構成される本発明の時定数検
出回路及び時定数調整回路の作用を説明する。まず、第
1発明の時定数検出回路では、スイッチトキャパシタ回
路は、周知のように種々の構成態様があるが、一般に、
コンデンサとこのコンデンサの充放電を周期T秒で行わ
せる複数のアナログスイッチとで構成され、このコンデ
ンサの容量値をCとすると、擬似抵抗の抵抗値Rp は、
p =T/Cとなる。この擬似抵抗Rp と通常の抵抗と
の直列回路で一定電圧を分圧し、これを平滑用コンデン
サで平滑化する。このとき、この平滑化した電圧は時定
数τ=1/RCで一意的に定まる。
【0011】つまり、本回路は、LSI内部に形成した
抵抗やコンデンサの素子値のずれを時定数τのずれとし
て検出できるのである。同一チップ内での相対的な誤差
は極めて少ないので、抵抗やコンデンサを含む回路にお
ける特性のずれを推定するデータとして利用できる。
【0012】次に、第2発明の時定数調整回路では、前
記時定数検出回路の出力電圧の範囲を判定し、その範囲
に応じて対象とする回路の対応する抵抗やコンデンサの
値を変更し、微調整する。
【0013】つまり、LSI内部に所望のRC型アクテ
ィブフィルタを構成した場合、その回路のカットオフ周
波数を自動的に調整できるのである。
【0014】
【実施例】図1は、本発明の第1実施例に係る時定数検
出回路を示す。この第1実施例回路では、通常抵抗4と
擬似抵抗6との直列回路が抵抗分圧回路を構成するが、
通常抵抗4を直流電源側に、擬似抵抗6をアース側に設
け、両抵抗の接続点(出力端7)とアース間に平滑用の
コンデンサ5を設けてある。なお、直流電源は、当該L
SIの電源を利用しても良く、また別の直流電源であっ
ても良い。
【0015】擬似抵抗6は、本実施例では、並列形のス
イッチトキャパシタ回路で構成してある。即ち、一端が
アースされた充放電用のコンデンサ2と、このコンデン
サ2の他端とアース間に設けられるアナログスイッチ1
と、コンデンサ2の他端と当該抵抗分圧回路の出力端7
との間に設けたアナログスイッチ3とで構成される。
【0016】このスイッチトキャパシタ回路では、アナ
ログスイッチ1と同3が開閉制御信号φA と同φB に従
って周期T秒で交互に排他的にオンオフし、コンデンサ
2の充放電が制御されるが、コンデンサ2の容量値を
C、コンデンサ5の端子電圧(当該抵抗分圧回路の出力
分圧電圧)をVOUT とすると、コンデンサ2の作用によ
り、I=C・VOUT /T[A]で表される電流Iが、ア
ナログスイッチ3が閉成している期間に出力端7からコ
ンデンサ5を通ってアースに等価的に流れると考えられ
る。
【0017】従って、擬似抵抗6の抵抗値Rp は、Rp
=T/C[Ω]で表される。
【0018】これにより、コンデンサ5で平滑化されて
出力端7に現れる出力電圧VOUT は、VOUT =Vdd
(T/C)/(T/(C+R))[V]となる。なお、
ddは直流電源の電圧、Rは通常抵抗4の抵抗値であ
る。そして、時定数τ(τ=1/RC)を用いて整理す
ると、VOUT =Vdd・τ/(τ+(1/T))[V]と
なる。
【0019】つまり、出力平均電圧VOUT は、通常抵抗
4とコンデンサ2とで生成される時定数τによって一意
的に定まり、このVOUT を測定すれば時定数τを推定で
きることとなる。時定数を検出できたのである。
【0020】次に、図2は、本発明の第2実施例に係る
時定数検出回路を示す。この第2実施例回路では、通常
抵抗4と擬似抵抗6の位置を入れ替えて、直流電源側に
擬似抵抗6を、アース側に通常抵抗4を設けたものであ
る。
【0021】この第2実施例回路では、I=C・(Vdd
−VOUT )/T[A]なる電流Iが直流電源(Vdd)か
ら出力端7の向きに等価的に流れると考えられる。
【0022】従って、出力電圧VOUT は、VOUT =Vdd
・R/((T/C)+R)[V]となり、時定数τを用
いてVOUT =Vdd・(1/T)/(τ+(1/T))
[V]となる。第1実施例回路と同様に時定数を検出で
きることが解る。
【0023】次に、図3は、以上説明した時定数検出回
路を用いて時定数を調整する時定数調整回路の一例を示
す。図3において、34はRC型のアクティブフィルタ
である。このアクティブフィルタはLSI内部に構成さ
れ、入力端子32から入力する信号について所定のカッ
トオフ周波数で以てろ波処理をし出力端子33から送出
するが、このアクティブフィルタ34のカットオフ周波
数を調節すべく時定数検出回路8と判定回路9とを当該
LSIに形成する。このとき、アクティブフィルタ34
は若干の機能追加をして形成する。
【0024】判定回路9は、時定数検出回路8の出力端
7に現れる検出電圧(前記出力電圧VOUT)を受けて時定
数τがどの程度ずれているかを判断し、その判断結果を
示す複数本の制御信号10をアクティブフィルタ34の
制御入力端(φ1 〜φn)に与える。この判定回路9は、
A/D変換器で構成しても良く、また複数の電圧比較器
と論理回路の組み合わせでも簡単に構成できる。
【0025】アクティブフィルタ34は、制御信号10
の内容に応じて抵抗値やコンデンサ値を変更する。これ
により、所定のカットオフ周波数に少しでも近づくよう
に自動的に調整される。これがアクティブフィルタ34
に追加した機能の内容であるが、具体例を図4を参照し
て説明する。
【0026】図4は、2次RC型アクティブローパスフ
ィルタにおいてカットオフ周波数を微調整する場合の構
成例を示す。図4において、31は主体をなす演算増幅
器であり、この演算増幅器31の入力側に、本来的に必
要な抵抗(13、16)やコンデンサ(19、22)の
他に、短絡スイッチ(23、24、27、28)が並接
される抵抗(11、12、14、15)及び投入スイッ
チ(25、26、29、30)を備えたコンデンサ(1
7、18、19、20、21)を設け、これらのスイッ
チを4本(φ1 〜φ4 )の制御信号10によって開閉す
る。
【0027】図示例では、制御信号10のφ1 でスイッ
チ(25、29)を開閉しコンデンサ(17、20)の
投入・離脱、φ2 でスイッチ(26、30)を開閉しコ
ンデンサ(18、21)の投入・離脱、φ3 でスイッチ
(23、27)を開閉し抵抗(11、14)の短絡・投
入、φ4 でスイッチ(24、28)を開閉し抵抗(1
2、15)の短絡・投入を行うのである。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の時定数検
出回路によれば、スイッチトキャパシタ回路で構成され
る擬似抵抗と通常抵抗の直列回路で一定直流電圧を分圧
し、その平均化電圧を出力するようにしたので、当該出
力電圧はスイッチトキャパシタ回路内のコンデンサと通
常抵抗で定まる時定数で一意的に決定でき、LSI内部
に形成される抵抗やコンデンサの素子値のずれを時定数
のずれとして検出できる効果がある。
【0029】また、本発明の時定数調整回路によれば、
抵抗とコンデンサを構成要素に含む回路の時定数のずれ
を自動的に微調整でき、カットオフ周波数のばらつきの
少ないフィルタをLSIに形成できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る時定数検出回路の回
路図である。
【図2】本発明の第2実施例に係る時定数検出回路の回
路図である。
【図3】本発明の一実施例に係る時定数調整回路の構成
ブロック図である。
【図4】調整機能を備えたアクティブフィルタの構成例
である。
【符号の説明】
1 アナログスイッチ 2 コンデンサ 3 アナログスイッチ 4 抵抗 5 コンデンサ 6 擬似抵抗 7 出力端 8 時定数検出回路 9 判定回路 10 制御信号 11〜16 抵抗 17〜22 コンデンサ 23〜30 アナログスイッチ 31 演算増幅器 34 アクティブフィルタ

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 LSI内部に回路の一部として組み込ま
    れる時定数検出回路であって; この時定数検出回路
    は、スイッチトキャパシタ回路で構成される擬似抵抗と
    通常の抵抗との直列回路からなり印加される一定直流電
    圧を分圧出力する抵抗分圧回路と; 前記抵抗分圧回路
    の分圧電圧を平滑して出力する平滑用のコンデンサと;
    を備えたことを特徴とする時定数検出回路。
  2. 【請求項2】 LSI内部に回路の一部として組み込ま
    れる時定数調整回路であって; この時定数調整回路
    は、請求項1に記載の時定数検出回路と; 前記時定数
    検出回路の出力電圧の範囲を判定しその範囲に応じた制
    御信号を出力する判定回路と; 抵抗とコンデンサを構
    成要素に含む回路に設けられ前記制御信号を受けて対応
    する抵抗やコンデンサの値を変更する手段と; を備え
    たことを特徴とする時定数調整回路。
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