JP2706951B2 - 注腸造影用の腸内圧自動調整装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は、大腸の注腸造影検査を行う際に、大腸内
の気圧の調整を自動的に行うようにした注腸造影用の腸
内圧自動調整装置に関するものである。

［従来の技術］ 大腸内にバリウム等の造影剤を注入してＸ線検査を行
う場合、肛門から大腸内に空気を注入して大腸の壁を伸
展させ、腸内の空気の量と造影剤の付着の割合とを調整
することにより精度の高い診断が可能となる。

そこで従来は、まず、肛門から大腸内に挿入したチュ
ーブを介して造影剤を腸内に注入し、その後、チューブ
に送気球（ブロア）を取着して、手動により腸内に送気
をして腸壁を伸展させ、腸壁の撮影対象部位に造影剤が
付着してからＸ線撮影を行っていた。この間、腸壁の伸
展状態を術者がＸ線透視によって観察し、送気操作のコ
ントロールを行っていた。

［発明が解決しようとする問題点］ 上述のように、従来は、腸内への送気が、通常は送気
球を手動操作することにより行われていたので、多くの
場合、腸内圧の上昇が急激となり、また、しばしば高圧
となり過ぎて、患者に大きな苦痛を与える欠点があっ
た。

また、腸壁の伸展状態をＸ線透視によって観察しなが
ら送気操作を行わなければならないため、術者が、常時
Ｘ線の被曝下におかれることとなり、健康上及び安全上
極めて不都合であった。その結果、術者が数多くの大腸
検診を行うことができず、大腸癌の早期発見の機会が失
われてしまう等の問題が生じていた。

この発明は、そのような従来の欠点を解消し、大腸の
注腸造影検査に際して、患者に苦痛を与えず、しかも術
者がＸ線の被曝を受けない、安全な注腸造影用の腸内圧
自動調整装置を提供することを目的とする。

［問題点を解決するための手段］ 上述の問題点を解決するための、本発明による注腸造
影用の腸内圧自動調整装置は、先端付近に開孔を有する
チューブと、そのチューブの基端側に連通接続されたチ
ャンバーと、そのチャンバーに連通接続されてチャンバ
ー内の気圧を所定の一定圧力に調整する圧力調整手段よ
りなることを特徴とする。

［作用］ チャンバー内に造影剤を入れてその造影剤をチューブ
先端の開孔から押し出して大腸内に注入した後は、チャ
ンバー内の気圧が圧力調整手段により自動的に所定の一
定圧力に調整される。したがって、チャンバーに連通す
る腸内の圧力が一定圧力に維持される。また、腸内に送
気を行うのに、術者が患者の傍で操作をする必要がな
く、チューブを患者の肛門に差し込んでおいて、各種操
作を遠隔的に操作することができる。

［実施例］ 本発明の第１の実施例を第１図及び第２図にもとづい
て説明する。

第１図は実施例の全体的略示図である。図中、１は肛
門から大腸内に挿入されるチューブであり、その先端側
の側部に開孔２が形成されている。チューブ１の基端側
には、例えば弾力性ある合成樹脂薄膜よりなる膨縮自在
なバルーンにより形成されたチャンバー３が連通接続さ
れている。

チャンバー３の他端部側には、圧力調整手段10に連通
する通気管５が接続されている、この通気管５は、吸引
管5aの内側に送気管5bが配置された２重管構造になって
おり、第２図にも示されるように、吸引管5aの端部に接
続された接続キャップ６を介して、チャンバー３に着脱
自在に接続される。したがって、チューブ１及びチャン
バー３は、いわゆるスクリーニングコロノグラフィの市
販器具をそのまま使用することが可能であり、また、使
い捨てにすることもできるので衛生上も優れている。
尚、通気管５は必ずしも２重管構造にする必要はなく、
吸引管と送気管とを各々別設してもよい。

圧力調整手段10は、チャンバー３内の気圧を所定の一
定圧力に自動調整するものである。以下、圧力調整手段
10の構成の一例を詳細に説明する。

11は、送気管5bの基端部に接続された送気ポンプ（送
気手段）である。12は、吸引管5aの基端部に接続された
吸引手段である。

吸引手段12は、吸引ポンプ12aと、その吸引ポンプ12a
と吸引管5aとの間に接続された貯留ビン12bと、吸引管5
aの基端部付近に介挿された３方切換電磁弁12cよりな
る。12dは、大気に通ずる吸気管である。そして、吸引
ポンプ12aを常時ONさせておいて、３方切換電磁弁12cを
吸引管5a側に切換えれば、吸引管5aを通してチャンバー
３内から吸引が行われ、３方切換電磁弁12cを吸気管12d
側に切換えれば吸引管5aは閉塞されて大気が吸引され
る。尚、３方切換電磁弁12cは、入力がない時には常時
吸気管12d側に切換わっていて吸引管5aは閉塞されてい
る。

吸引管5aの途中には、分岐管13が接続されている。そ
の途中には常開型の電磁開閉弁14が介挿され、端部に
は、圧力検出手段である圧力センサ15が設けられてい
る。したがって、電磁開閉弁14が開いている間は、分岐
管13を介してチャンバー３内の気圧が圧力センサ15によ
り検出される。

圧力センサ15の出力端は、吸引制御手段である比較器
16の入力端に接続されている。この比較器16のもう一方
の入力端には、圧力値を任意に設定する圧力設定器17の
出力端が接続されており、比較器16の出力端は、駆動回
路18,19を介して３方切換電磁弁12cと電磁開閉弁14とに
接続されている。そして、比較器16において圧力センサ
15からの圧力信号と圧力設定器17からの入力信号とが比
較され、比較器16からの出力によって３方切換弁12cと
電磁開閉弁14の動作が制御される。尚、比較器16からの
出力はタイマー等による時間制御を受けるが、タイマー
等の図示は省略されている。

圧力設定器17は、長い（例えば10m）延長コードを介
して接続されており、圧力設定器７を、チューブ１及び
チャンバー３から離れた位置で遠隔的に操作して、設定
値を任意に変えることができる。また、比較器16は、例
えばマイクロコンピュータ等を用いてもよく、その場合
には、圧力センサ15及び圧力設定器17からの入力信号
は、A/D変換器によりデジタル信号化された後にマイク
ロコンピュータの入出力インタフェイスに入力される。

次に、上記実施例の動作について説明をする。

本実施例の注腸造影用の腸内圧自動調整装置により注
腸造影を行う場合には、まず最初は、通気管５をチャン
バー３から取り外しておき、チャンバー３内に造影剤を
入れて、その造影剤をチューブ１先端の開孔２から押し
出して大腸内に完全に注入する。この際にはチャンバー
３の基端側には栓など（図示せず）をしておく。

次いで、その栓を取り外して、チャンバー３に通気管
５を接続する。そして、送気ポンプ11及び吸引ポンプ12
aを共にONにし、その検査の状況に最も適した大腸内圧
に圧力設定器17をセットする。

すると、送気ポンプ11からはチャンバー３内に連続的
に送気が行われ、開孔２を通って大腸内まで空気が送り
込まれる。チャンバー３の内圧が、設定された所定圧を
越えると、比較器16からの出力によって電磁開閉弁14が
閉じると同時に３方切換電磁弁12cが開き、チャンバー
３内から吸引手段12に吸引が行われ、一定時間（例えば
0.2秒）後に元の状態に戻る。そして、送気ポンプ11か
らはチャンバー３内に常時送気されているので、すぐに
チャンバー３内圧が上昇し、再び吸引手段12が作動し
て、上述の動作を繰り返す。また、この間に大腸内から
一部の造影剤が逆流する場合があるが、逆流分の造影剤
はすべてチャンバー３内に溜り、通気管５内には流入し
ない。

このようにして、チャンバー３内圧が一定になるよう
に制御され、開孔２を介して、大腸内圧がチャンバー３
内圧に一致するように、大腸内に空気が送り込まれる。
そして、圧力設定器17の設定圧力値を変えることにより
チャンバー３の内圧、即ち大腸内圧がその設定圧力に一
致するように自動調整される。また、本実施例において
はチャンバー３であるバルーンが膨縮性を有しているの
で、吸引動作時等にチャンバー３自体がある程度収縮
し、チャンバー３内圧の変動が滑らかに行われる。

第３図は、本発明の第２の実施例を示しており、チュ
ーブ１とチャンバー３との接続部に、チャンバー３の内
圧がチューブ１の内圧より高いときには開き、逆にチャ
ンバー３の内圧がチューブ１の内圧より低いときには閉
じる逆止弁４を設けたものである。したがって、チャン
バー３内からチューブ１内へは空気等が送られるが、そ
の逆に、チューブ１内からチャンバー３内へは逆流しな
い。このように、逆止弁４を介してチューブ１とチャン
バー３とが連通接続されている。

第２の実施例の他の部分については上述の第１の実施
例と同じであり、この第２の実施例によれば、圧力調整
手段の吸引手段12が動作してチャンバー３の内圧が瞬間
的に低下したときには逆止弁４が閉じるので、大腸内か
らチャンバー３への空気の逆流が無く、大腸内の圧力変
動が小さい特長がある。また、大腸内からの造影剤の逆
流も、この逆止弁４で止めることができる。

第４図は、本発明の第３の実施例を示しており、チャ
ンバー23として、例えばビーカー状の密閉容器を用い、
チューブ21と通気管５を共に上方からチャンバー23に接
続したものである。このように本発明においては、チャ
ンバー23として種々の形状のものを用いることができ
る。

第５図は本発明の第４の実施例を示しており、第１図
のものに対して、圧力調整手段50内のレイアウトを変更
したものである。圧力調整手段50以外の部分には、第１
図と同じ符号を付してその説明は省略する。ただし、チ
ューブやチャンバー等は、第１図にものに代えて第３図
又は第４図のもの等を接続してもさしつかえない。

第５図のものは、吸引管5aが貯留ビン52bの上端に直
接接続されており、その間に電磁弁等は全く介装されて
いない。そして、貯留ビン52bと吸引ポンプ52aとを連通
する吸引管路52dの途中、第１図のものと同様の３方切
換電磁弁52cが介装されている。これら52a〜52dによっ
て吸引手段52が構成されている。そしてその貯留ビン52
bと３方切換電磁弁52cとの間で、吸引管路52dに分岐管5
3が接続されており、その分岐管53の端部に圧力センサ5
5が設けられている。

この圧力センサ55の信号出力端は、吸引制御手段であ
る比較器56の入力端に接続されており、比較器56のもう
一方の入力端には圧力値を任意に設定する圧力設定器57
の出力端が接続されている。そして、比較器56の出力端
は３方切換電磁弁52cに接続されている。必要に応じ
て、その間に駆動回路が設けられる。

このように構成された第５図の実施例においては、貯
留ビン52bを介してチャンバー３内の気圧が圧力センサ5
5により検出され、その出力と圧力設定回路57からの出
力が比較器56で比較されて、比較器56からの出力によっ
て３方切換電磁弁52aの動作が制御される。制御の内容
は第１図の場合と同様である。

したがって、本実施例においては、チューブ１の開口
２からチャンバー３を経由して吸引管5a内に汚物等が吸
い込まれても、その汚物等は全て貯留ビン52b内に溜ま
る。したがって、吸引された汚物等によって３方切換電
磁弁52cが全く汚されず、詰りや作動不良等が発生する
おそれがない。また、圧力センサ55の入口に電磁開閉弁
等を設ける必要がなく、構造を簡単にすることができ
る。

［発明の効果］ 本発明の注腸造影用の腸内圧自動調整装置によれば、
大腸内圧が、手動によらず、自動的に所定の一定圧力に
調整されるので、患者の腸内に過多に空気を送り込んで
苦痛を与えることがなく、安全に検査を行うことができ
る。また、腸内への送気制御を遠隔操作することが可能
となるので、術者がＸ栓の被曝から逃れることができ、
したがって、１人の術者が多数の注腸造影検査を行うこ
とができる、その結果、集団検診を行うことが可能とな
り、例えば移動検診車などを用いることもできるので、
大腸癌の早期発見などに大きく寄与することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の第１の実施例の全体的構成を示すブロ
ック図、第２図はその接続部付近を示す斜視図、第３図
は本発明の第２の実施例の全体的構成を示すブロック
図、第４図は本発明の第３の実施例のチャンバー付近を
示す略示図、第５図は本発明の第４の実施例の全体的構
成を示すブロック図である。 1,21……チューブ、２……開孔、3,23……チャンバー、
５……通気管、5a……吸引管、5b……送気管、10,50…
…圧力調整手段、11,51……送気ポンプ、12,52……吸引
手段、15,55……圧力センサ。

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】先端付近に開孔を有するチューブと、その
   チューブの基端側に連通接続されたチャンバーと、上記
   チャンバー内に送気をするための送気手段と、上記チャ
   ンバー内から吸気をするための吸引手段と、上記吸引手
   段によって上記チャンバー内から吸引される汚物等を貯
   留するために上記チャンバーと上記吸引手段との間に接
   続された貯留容器と、上記チャンバー内の気圧を検出す
   るために上記貯留容器と上記吸引手段との間に配置され
   た圧力検出手段と、一定にすべきチャンバー内圧を設定
   するための圧力設定手段と、上記圧力検出手段からの出
   力と上記圧力設定手段からの出力とを比較して上記吸引
   手段の動作を制御するための吸引制御手段とを設けたこ
   とを特徴とする注腸造影用の腸内圧自動調整装置。
2. 【請求項２】上記圧力設定手段における設定値の変更が
   遠隔操作により行われる請求項１記載の注腸造影用の腸
   内圧自動調整装置。
3. 【請求項３】上記チャンバーに対する上記送気手段及び
   上記貯留容器の接続部が接脱自在である請求項１又は２
   記載の注腸造影用の腸内圧自動調整装置。
4. 【請求項４】上記チャンバーの内圧が上記チューブの内
   圧より高いときには開き、逆に上記チャンバーの内圧が
   上記チューブの内圧より低いときには閉じる逆止弁を介
   して、上記チューブと上記チャンバーとが連通接続され
   ている請求項１、２又は３記載の注腸造影用の腸内圧自
   動調整装置。