JP2644237B2 - 超音波治療装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の目的］ （産業上の利用分野） この発明は、超音波エネルギーを用いて生体内の特定
の部位を治療する超音波治療装置に関する。

（従来の技術） 最近、集束超音波エネルギーを用いて、体内の結石を
破砕したり、癌を加温して治療するハイパーサミアなど
の試みがなされている。

通常、超音波治療装置は、凹面形状を有しその幾何学
的中心点に超音波の集束点を形成する治療用振動子とこ
の治療用振動子と所定の位置関係をもって配置され生体
の断層像データを得る画像用トランスジューサとからな
るアプリケータを備え、断層像内の治療目標と治療用振
動子の集束点とを一致させ、治療用振動子から強力な超
音波エネルギーを照射して治療を行なうものである。

超音波エネルギーは、空気中では殆んど伝播しないた
め、生体の外から超音波エネルギーを体内に効率よく伝
播させるため、生体と治療用振動子および画像用トラン
スジューサとの間に適当なインピーダンスの液体たとえ
ば水などを介在させる方法が用いられる。

第２図はこのような従来の超音波治療装置の一例の概
略的構成を示すものである。生体21の体表に接して水袋
ハウジング22が設けられ、この水袋ハウジング22の中に
治療用振動子23および画像用トランスジューサ24が配設
されている。水袋ハウジング22は膜25によって密封され
中に適当な音響インピーダンスの液体（たとえば水）26
が満たされている。このようにして水袋ハウジング22を
生体21の体表に密着することにより超音波エネルギーを
生体21内に照射することが可能となる。

治療用振動子23はケーブルを介して治療用駆動回路27
に接続され、治療用駆動回路27を起動することで強力な
超音波を発射し、生体21内の治療目標28に集束し、この
部分の治療を行なう。

画像用トランスジューサ24は、Ｂモードシステム29と
ともにたとえばセクタ電子走査を行なって生体21内の断
層像を得るためのものであり、画像用トランスジューサ
24と治療用振動子23とは所定位置関係で配設されている
ため、治療用振動子23の集束点は画像用トランスヂュー
サ24の画像位置に固定して対応し、CRTデイスプレイ30
上に例えばＸ印で表わされる。このＸ印に治療目標28の
像を合わすことで、強力な超音波エネルギによる治療が
可能となる。

ところが第２図の装置は、画像用トランスヂューサ24
が生体21の体表と距離を離して設けられているため、治
療エネルギーを妨害しないという点では有効であるが、
治療状態を観察するという点では画像が膜25による多重
反射等により乱されてしまい鮮明な断層像が得られない
ので、この断層像だけでは治療確認の判断ができない。
そこで、後になってＸ線撮影を行ないその写真で判断し
なければならない煩しさがあった。

（発明が解決しようとする問題） 上記のように従来の超音波治療装置は治療エネルギー
を妨害しないという点では有効であるが画像用トランス
ジューサを用いて得られる断層像が不鮮明であり治療効
果を確認するためには不適当である問題があった。

この発明はこのような問題点を解決するためになされ
たもので、治療用エネルギーを妨害することなく効率的
な治療を行ない得るとともに鮮明な断層像を得ることが
でき治療効果の確認並びに治療終了の判断の容易な超音
波治療装置を提供することを目的とする。

［発明の構成］ （問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するため、この発明に係る超音波治療
装置は、生体内の所定の集束点に集束する治療用超音波
を発生する治療用超音波振動子と、この治療用超音波振
動子を駆動する駆動手段と、前記治療用超音波振動子の
中心と前記集束点とを結ぶ線上を移動可能に設けられた
画像用トランスデューサと、この画像用トランスデュー
サを前記線上を移動させる移動手段と、前記画像用トラ
ンスデューサによって得られた信号に基づき前記生体内
の断層像を表示する断層像表示手段と、前記画像用トラ
ンスデューサの移動距離を検出する移動距離検出手段
と、この移動距離検出手段により検出された移動距離に
対応して、前記断層像表示手段により表示される断層像
上に前記集束点を示すマーカを表示するマーカ表示手段
とを備えたことを特徴とする。

（作用） この超音波診断装置は、上記の構成のもとに治療動作
時には位置移動手段によって画像用トランスジューサを
治療エネルギを妨害することのない治療エネルギー伝達
経路外に退避させて効率的な照射を可能とする。一方、
断層像形成動作時には画像用トランスジューサを生体の
体表に密着した位置に移動させ、多重反射等に乱される
ことのない鮮明な画像を得ることができる。

また、画像用トランスデューサにより得られる断層像
上には治療用超音波の集束点を示すマーカが表示されて
おり、治療時には集束点が治療目標に一致するように治
療用超音波振動子が位置決めされるため、マーカも断層
像内の治療目標に一致している。ところが、画像用トラ
ンスデューサを治療用超音波振動子の中心と集束点とを
結ぶ線上を移動させると、それに伴い断層像と集束点と
の相対位置が動くため、治療用超音波の集束点が治療目
標に一致していても、マーカが断層像内の治療目標に一
致しなくなる。

そこで、本発明では画像用トランスデューサの移動距
離を検出し、それ対応して断層像上に表示されるマーカ
の位置を制御することにより、常にマーカの位置を治療
用超音波の集束点に常に一致させる。このようにするこ
とにより、画像用トランスデューサを移動させた場合で
も、マーカが断層像内の治療目標に一致するように治療
用超音波振動子を位置決めすることによって、治療用超
音波の集束点を治療目標に一致させ、的確な治療を行う
ことが可能となる。

（実施例） 以下、図面を参照してこの発明の一実施例を説明す
る。

第１図はこの発明を結石破砕治療装置として構成した
実施例を示すものである。生体１の体表に接して水袋ハ
ウジング２が設けられ、このハウジング２の中に結石破
砕のための治療用超音波振動子３および画像用トランス
ジューサ４が配設されている。水袋ハウジング２は膜５
によって密封され、中に適当な音響インピーダンスの液
体（たとえば水）６が満たされている。７は水袋ハウジ
ング２下部のジヤバラである。

このような構成のアプリケータはアプリケータ固定装
置８によって所定の位置に保持されている。

治療用超音波振動子３はたとえば口径100、曲率160
mmの凹面形状を有する破砕用振動子で、駆動手段として
の治療用駆動回路９によって駆動され集点に位置する破
砕目標の結石10に強力な超音波エネルギーを集束する。

画像用トランスジューサ４はＢモードシステム11とと
もにセクタ電子走査を行なって生体１内の断層像情報を
得るためのものである。たとえば、画像用トランスジュ
ーサ４がアレイ振動子で構成されている場合にＢモード
システム11は具体的には各振動子を遅延回路を介して駆
動することによって超音波の集束と偏向走査を行なう走
査回路と画像用トランスジューサ４の各振動子からの信
号を前記遅延回路を介して取出したのち、増幅検波等の
処理を行なってＢモード像の画像信号12を得るための信
号処理回路とによって構成されている。

画像用トランスデューサ４から得られるＢモード画像
信号12は、画像用トランスジューナ４が生体１の表面と
密着した状態のときが水袋ハウジング２や膜５からの多
重反射がなく最良の信号である。しかしながら、結石10
の生体１表面からの距離（深さ）は患者により異なり治
療用超音波振動子３の集束点も固定のため、結石10とこ
の振動子３の集束点を合わせるためには水袋ハウジング
２の深さは可変であり、画像用トランスジューサ４も生
体１の表面に密着させるためには移動させる必要があ
る。

そこで画像用トランスジューサ４はシヤフト13を介し
てたとえばステッピングモータで構成された移動装置14
に連結されている。シャフト13は治療用超音波振動子３
の中心部に配置され、移動装置14に駆動されて前記振動
子３が焦点を結ぶ矢印Ａで示した線上を上下動する構成
がとられている。

またシヤフト13にはたとえばポテンショメータ等で構
成された位置検出装置15が設けられ、これによりシヤフ
ト13の移動距離したがって画像用トランスジューサ４の
移動距離が検出され、その信号はマーカ位置算出回路16
に入力される。

マーカ位置算出回路16は、治療用超音波振動子３の曲
率と画像用トランスジューサ４との位置関係より治療用
超音波振動子３の焦点が画像用トランスジューサ４から
のＢモード画像信号12のどの位置にあるかを算出するた
めのものである。

画像用トランスジューサ４と治療用超音波振動子３と
は、初期位置において幾何学的関係によって定められた
距離で組み立てられており、マーカ位置としては、位置
検出装置15で検出した移動装置14による移動距離だけ初
期数から増減して画像処理装置17に入力すればよい。画
像処理装置17はデイジタルスキヤンコンバータ等で構成
され、前述したＢモード画像信号12とマーカー信号をテ
レビジョンビデオ信号に変換したのちCRTデイスプレイ1
8に送り生体断層像および集束点マーカとして写し出
す。

次にこの実施例における破砕操作の経過を説明する。
結石10の位置（深さ）は患者により異なるが、まず画像
用トランスジューサ４を水袋ハウジング２内の中間的な
深さに固定したのち水袋ハウジング２を生体１の体表に
密着させCRTデイスプレイ18上に断層像を表示させ結石
９を写し出す。次いで、CRTデイスプレイ18上の集束マ
ーカと結石10の像とが一致するようにジヤバラ７を介し
て水袋ハウジング２を動かす。この時の断層像は膜５、
水袋ハウジング２の多重反射などでやや鮮明ではない
が、まずこの状態で粗合わせをする。次に画像用トラン
スジューサ４を生体１の体表に密着させて鮮明な断層像
を得たのち正確に位置合せを行ない、治療用駆動回路９
を起動させ、CRTデイスプレイ18上で破砕状態を確認し
つつ結石10の破砕を行ない、破砕終了を確認したのち治
療が終了となる。

以上の動作は破砕動作中も、画像用トランスジューサ
４が治療用超音波振動子３の破砕エネルギー伝達経路外
に移動した方が、より効果的な破砕を行ない得る。

具体的には、破砕起動パルスが操作者により起動され
ると、移動装置14により画像用トランスジューサ４が破
砕エネルギー伝達経路外（たとえば治療用超音波振動子
３の面上の位置）に移動するように制御され、その移動
距離は位置検出装置15によって検出される。この時、画
像用トランスジューサ４の移動前の位置は記憶されてい
てCRTデイスプレイ18の断層像は移動前のものが保持さ
れている。

そして、位置検出装置15によって検出された移動距離
に基づいてマーカ位置算出回路16により治療用超音波振
動子３の集束点の位置（マーカの位置）を算出し直し、
これを画像処理装置17に送る。これによって、CRTディ
スプレイ18において断層像上に表示されるマーカの位置
が治療用超音波の集束点に一致するように制御される。
従って、このマーカが断層像内の治療目標に一致するよ
うに治療用超音波振動子３を位置決めすれば、結石10の
破砕エネルギーとなる治療用超音波の集束点を治療目標
に一致させることができる。

次に、こうして画像用トランスジューサ４を破砕エネ
ルギー経路外に移動させたのち、治療用駆動回路９を駆
動することで破砕エネルギーを結石10に照射する。次に
移動前の位置に画像用トランスデューサ４を戻すように
制御し、新たな断層像を得ればリアルタイムに破砕エネ
ルギを妨害することなく効率的な破砕を行なうことがで
きる。

なお、連続パルスを用いて連続的な破砕を行なう場合
に、画像用トランスジューサ４の移動時間が連続破砕パ
ルスの時間間隔以上の場合には、数発の破砕パイプ毎に
画像用トランスジューサを移動させる方法をとることで
準リアルタイム的な破砕動作をなうことができる。

この発明は、上記各実施例に限定されるものではなく
要旨を変更しない範囲において種々変形して実施するこ
とができる。

例えば、上記実施例において治療用超音波振動子とし
て単板曲率の振動子を用いた場合について説明したがこ
の発明は複数の単板振動子を凹面曲率をした基板上に多
数貼り合せたものやアニュラーアレー型振動子を用いる
こともできる。

また画像用トランスヂューサについてもアレイ振動子
に限らず単板メカニカルスキャン、アニューラアレイメ
カニカルスキン等を用いて差支えない。

さらに、位置検出装置を移動装置と別に設けた場合に
ついて説明したが、これはパルスモータのパルス数をカ
ウントすることで移動した位置を検出するような構成を
とることもできる。

また結石と集束点との位置合せにおいて、上記実施例
はジヤバラを用いた場合について説明したが、これに代
えて水袋ハウジング内で治療用超音波振動子および画像
用トランスジューサを移動できるような構成をとること
もできる。

以上の記載は主として超音波結石破砕装置の場合につ
いて述べてきたがこの発明は超音波ハイパーサーミアそ
の他の治療装置の場合に適用が可能である。

［発明の効果］ この発明によれば、画像用トランスデューサを治療用
超音波振動子の中心と治療用超音波の集束点とを結ぶ線
上を移動可能に設けることによって、治療用超音波を画
像用トランスデューサで妨害することなく効率的な治療
を行ない得るとともに鮮明な断層像を得ることができ治
療効果の確認並びに治療終了の判断が容易であり、しか
も画像用トランスデューサの移動距離に対応して治療用
超音波の集束点を示すマーカを断層像上に表示すること
により、画像用トランスデューサを移動させても、常に
マーカの位置を治療用超音波の集束点に常に一致させる
ことができるため、このマーカが断層像内の治療目標に
一致するように治療用超音波振動子を位置決めすること
によって、治療用超音波の集束点を治療目標に一致さ
せ、的確な治療を行うことが可能な超音波治療装置を提
供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例の概略的な構成図、第２図
は従来の超音波治療装置の一例の概略的な構成図であ
る。 １……生体、２……水袋ハウジング ３……治療用超音波振動子 ４……画像用トランスジューサ ５……膜、６……液体 ７……ジヤバラ、８……アプリケータ固定装置 ９……治療用駆動回路、10……結石 11……Ｂモードシステム、12……画像信号 13……シヤフト、14……移動装置 15……位置検出装置 16……マーカ位置算出回路17……画像処理装置、18……
CRTデイスプレイ

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】生体内の所定の集束点に集束する治療用超
   音波を発生する治療用超音波振動子と、この治療用超音
   波振動子を駆動する駆動手段と、前記治療用超音波振動
   子の中心と前記集束点とを結ぶ線上を移動可能に設けら
   れた画像用トランスデューサと、この画像用トランズデ
   ューサを前記線上で移動させる移動手段と、少なくとも
   前記治療用超音波振動子の駆動時に、前記画像用トラン
   スデューサが前記治療用超音波の伝達経路外に移動する
   ように前記移動手段を制御する制御手段と、前記画像用
   トランスデューサによって得られた信号に基づき前記生
   体内の断層像を表示する断層像表示手段と、前記画像用
   トランスデューサの移動距離を検出する移動距離検出手
   段と、この移動距離検出手段により検出された移動距離
   に対応して、前記断層像表示手段により表示される断層
   像上に前記集束点を示すマーカを表示するマーカ表示手
   段とを備えたことを特徴とする超音波治療装置。
2. 【請求項２】前記制御手段は、前記治療用超音波振動子
   の駆動後に、前記画像用トランスデューサを前記移動前
   の位置に戻すように前記移動手段を制御することを特徴
   とする特許請求の範囲第１項記載の超音波治療装置。
3. 【請求項３】前記治療用超音波振動子は、結石破砕用の
   超音波を発生するものであることを特徴とする特許請求
   の範囲第１項または第２項記載の超音波治療装置。
4. 【請求項４】前記治療用超音波振動子は、ハイパーサー
   ミア治療用の超音波を発生するものであることを特徴と
   する特許請求の範囲第１項または第２項記載の超音波治
   療装置。