JP2643477B2 - ポンプ用ロータ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、自動車用燃料ポンプ等に適した樹脂製のポ
ンプ用ロータに関する。

従来の技術 自動車部品の高性能化、小型化、軽量化、低コスト化
の流れの中で、電動式燃料ポンプにおいても、そのロー
タの樹脂化が求められている。

ポンプ用ロータは、第１図に示すように、周縁に凹凸
を繰り返し形成して、羽根車としたものである。このロ
ータをハウジングに収納したとき、ロータの周面とハウ
ジングの内面とのクリアランスを極力小さく維持するこ
とが、ポンプの吐出性能を確保する上で重要である。そ
のため、ロータにはμｍオーダーの高寸法精度が要求さ
れる。

従来、ロータの樹脂化については、比較的寸法精度の
良好なガラス繊維充填フェノール樹脂の成形品が検討さ
れている。

発明が解決しようとする課題 しかし、上記ガラス繊維充填フェノール樹脂製のロー
タは、吸湿による寸法変化が大きく、膨潤する。従っ
て、ロータ周面とハウジング内面とのクリアランスが大
きくないと、膨潤によってロータ周面がハウジング内面
に接触してしまい、ポンプが停止する惧れがある。

本発明の課題は、吸湿による寸法変化の小さいかつ機
械的強度の大きい樹脂製のポンプ用ロータを提出するこ
とである。

課題を解決するための手段 本発明に係るポンプ用ロータは、フェノール樹脂にフ
ェノールアラルキル樹脂、主たる充填材として繊維径９
μｍ以下のガラス繊維を配合して成形した点に特徴を有
する。

作用 フェノールアラルキル樹脂は、通常、耐熱性の向上を
目的として用いられるものである。本発明者等は、前記
樹脂が吸湿の抑制に効果があるとの新しい知見に基づ
き、これをポンプ用ロータの樹脂化に適用して、寸法変
化の小さい樹脂製ロータを可能にしたものである。

また、主たる充填材であるガラス繊維の径を９μｍ以
下と細くすることにより、さらに優れた機械的強度を保
持させることができる。

実施例 本発明の実施で使用するフェノール樹脂、フェノール
アラルキル樹脂は、通常市販されているものである。必
要に応じ、ヘキサミン等の硬化剤、硬化促進剤を配合す
る。その他、着色剤等を適宜配合し、樹脂と共に混合、
混練後粉砕して成形材料とする。

成形手段は、圧縮成形、射出成形、トランスファ成形
を適宜採用できる。

実施例１〜２、比較例１〜３ 第１表に示す組成の樹脂と充填材その他の添加剤の配
合物を、ロールでで混合、混練後粉砕して成形材料とし
た。これを、100 射出成形機により成形して、図面に示したようなロータ
を得た。成形条件は、金型温度180℃、シリンダ温度
（前部90℃、後部50℃）である。

上記実施例、比較例のロータの特性を第１表に併せて
示した。吸湿による寸法変化は、70℃・90％RH×100時
間の処理後の外径変化で評価した。また、ロータの機械
強度は、凹凸部分を垂直方向に加圧し、破壊強度を測定
した。

発明の効果 第１表から明らかなように、本発明に係る樹脂製のポ
ンプ用ロータは、吸湿による寸法変化（膨潤）が小さ
い。従って、ロータ周面とハウジング内面とのクリアラ
ンスを極力小さく設定することが重要なポンプにとっ
て、その工業的価値は極めて大である。そして機械的強
度も大きく、作動中の破損を防止することが出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明を適用するポンプ用ロータを示し、
（ａ）は側面図、（ｂ）は平面図である。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】フェノール樹脂にフェノールアラルキル樹
   脂、充填材を配合して成形された、主たる充填材が繊維
   径９μｍ以下のガラス繊維であるポンプ用ロータ。