JP2623579B2 - ミシンの布押え昇降装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は、針の上下動軸線と交差する送り方向に移
動される送り台と、その送り台に昇降可能に設けられた
押え足とを備えたミシンに関し、特に押え足にて加工布
を段階的に押圧するミシンの布押え昇降装置に関する。

［従来技術］ 従来、この種の装置としては、例えば特公昭51−1015
2号公報に記載されているように、常にはばねにより下
方に付勢される押え足を、２つのソレノイドの励磁に基
づくプランジャの吸引により最上昇位置にばね力に抗し
て上昇させ、一方のソレノイドの消磁によりその押え足
を中間位置まで降下させ、残るソレノイドも消磁するこ
とにより押え足を最下降位置まで降下させるように構成
されたものが提案されている。

［発明が解決しようとする問題点］ 前記従来装置においては、押え足を中間位置に降下さ
せることにより加工布を軽く押圧して加工布の位置決め
を行なうことが可能である。しかしながら、加工布の布
厚が変化した場合、加工布を軽く押厚するために前記中
間位置を再設定し直さなればならない。これは布厚が大
きくなった時、中間位置に押え足が降下することにより
加工布が受ける押圧力は大きくなるので、加工布の位置
決めが難しくなることと、一方布厚が小さくなった時に
は加工布が押圧されないため位置決め終了後に加工布が
ずれ易いことが原因である。

［発明の目的］ この発明は前述の問題点を解決するためになされたも
のであり、その目的は、加工布の布厚が変化しても加工
布の位置決めのための前記した中間位置の調節が不要な
ミシンの布押え昇降装置を提供することにある。

［問題点を解決するための手段］ この発明においては、押え足を上昇方向へ付勢する第
１の状態と、押え足を下降方向へ付勢する第２の状態
と、押え足を前記両方向へ付勢しない第３の状態とを有
する駆動装置と、その駆動装置の第１乃至第３の状態を
切換える切換手段とを備えている。

［作用］ 切換手段は駆動装置を第1,第2,第３の状態と切換え、
駆動装置が第３の状態になると押え足は自重により加工
布上に当接する。

［実施例］ 以下本発明をサイクルミシンに具体化した実施例を示
す図面を参照してその詳細を説明する。

ミシンのアーム（図示せず）には針棒１が上下動可能
に設けられており、その針棒１の下端には針２が固定さ
れている。その針２と対向するベッド３上には送り台４
が前記針２の上下動軸線に直交する送り方向に移動可能
に設けられている。この送り台４には押え腕５が固定さ
れており、その押え腕５の先端部には上下方向に延びる
溝部（図示せず）が形成されており、その溝部には押え
足６を下端に固定した連結板７が上下動可能に装着され
ている。前記送り台４の先端には送り板８が固定されて
おり、この送り板８はベッド３上に載置され、押え足６
の下方に延びている。前記送り板８と押え板６とにより
加工布Ｗは挾持され、加工布Ｗが針２の上下動に調時し
てベッド３上を送り方向に移送されることにより、加工
布Ｗに縫目が形成される。

前記押え腕５には水平方向に延びる支軸９が突出形成
されており、その支軸９には押え上げレバー10が略中央
部にて回動可能に支持されている。この押え上げレバー
10の一端101は前記連結板７に形成された貫通孔（図示
せず）に挿入されており、他端102は押え腕５の基部上
方に延びている。前記送り台４には駆動装置としてのエ
アシリンダ11のケーシングが回動可能に取着されてお
り、そのピストンロッド12は前記押え上げレバー10の他
端102に対し回動可能な取付部13に固定されている。こ
の取付部13とエアシリンダ11のケーシングとの間には圧
縮コイルばね14が装着されており、このコイルばね14は
常に押え上げレバー10,前記連結板７を介して前記押え
足６をベッド面31に向けて付勢している。尚、この時の
付勢力は、前記エアシリンダ11に圧縮空気が供給され
ず、そのピストンロッド12が自由に上下動し得る時、前
記押え足６の自重による下降を補助する弱いものであ
る。

前記エアシリンダ11のケーシング内においてピストン
ロッド12に固定された仕切り板121により画成される第
１室111及び第２室112は、それぞれ電磁バルブ15を介し
て圧縮空気源16と外界とに選択的に接続されている。こ
の電磁バルブ15は３つの切換部151,152,153から構成さ
れており、押え上げペダル20を釈放している時、第１の
切換部151が選択され、ペダル20を踏込み第１スイッチ2
1が閉成されると第２の切換部152が選択され、ペダル20
を更に踏込み第２スイッチ22が閉成されると第３の切換
部153が選択されるように構成されている。第１の切換
部151は前記エアシリンダ11の第１室111を外界に接続
し、第２室112を空気源16に接続するように構成され、
押え上げレバー10,連結板７を介して押え足６をベット
面31に向けて付勢する。第２の切換部152は前記第１室1
11及び第２室112をそれぞれ外界に接続するように構成
され、前記押え足６を解放しその自由な上下動を許容す
る。第３の切換部153は前記第１室111を前記空気源16に
接続し、前記第２室112を外界に接続するように構成さ
れ、前記押え足６を前記コイルばね14の付勢力に抗して
最上昇位置まで上昇させる。前記ペダル20、電磁バルブ
15により切換手段が構成される。

次に作用を説明する。

作業者は加工布Ｗをセットするために押え上げペダル
20を踏込むと、第１スイッチ21,第２スイッチ22が順次
閉成されて電磁バルブ15の第３の切換部153が選択され
る。このため、押え足６は最上昇位置まで上昇される。

この後、作業者は加工布Ｗを送り板８上に載置して足
踏ペダル20を若干釈放すると、第２スイッチ22が解放さ
れ、第１スイッチ21のみが閉成された状態となるので電
磁バルブ15の第２の切換部152が選択される。このた
め、押え足６はコイルばね14の補助により自重で降下さ
れ加工布Ｗに当接して停止する（第２図参照）。この状
態で作業者は加工布Ｗの位置決めを行なうことができ
る。この時、加工布Ｗの布厚が変化しても押え足６が常
に当接することは容易に理解される。

この位置決めが終了し、作業者は足踏ペダル20を完全
に釈放すると、第１スイッチ21が解放されて電磁バルブ
15の第１の切換部151が選択される。このため、エアシ
リンダ11の第１室111が空気源16に接続されるので押え
足６は加工布を押圧する。従って位置決めされた加工布
Ｗがずれてしまうことはない。この後、作業者は起動ペ
ダルを踏込めばミシンが起動され加工布Ｗに縫目が形成
される。

尚、本発明は前述の実施例にのみ限定されるものでは
なく、その趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更
が可能である。

［発明の効果］ 以上詳述したように本発明は構成されているので、加
工布の布厚が変化しても、従来のように押え足を加工布
に当接させる中間位置に配置するに際の中間位置の設定
が不要であり、実用性に優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第２図は本発明を具体化した一実施例を示
し、第１図はその正面図、第２図は押え足が加工布に当
接した中間位置を示す説明図である。 図中、２は針、３はベッド、４は送り台、６は押え足、
10は押え上げレバー、11はエアシリンダ、14は圧縮コイ
ルばね、15は電磁バルブ、16は圧縮空気源、20は足踏ペ
ダルである。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】針（２）の上下動軸線と交差する送り方向
   に移動される送り台（４）と、ベッド（３）上に配置さ
   れた加工布（Ｗ）に対し昇降可能に前記送り台（４）に
   設けられた押え足（６）とを有し、加工布（Ｗ）を前記
   押え足（６）で押圧しつつ前記送り方向に送ることによ
   り加工布（Ｗ）に縫目を形成するミシンにおいて、 前記送り台（４）に設けられ、前記押え足（６）を上昇
   方向へ付勢する第１の状態と、押え足（６）を下降方向
   へ付勢する第２の状態と、押え足（６）を前記両方向へ
   付勢しない第３の状態とを有する駆動装置（11）と、 その駆動装置（11）の第１乃至第３の状態を切換える切
   換手段（15,20）と よりなることを特徴とするミシンの布押え昇降装置。