JP2614505C - - Google Patents

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JP2614505C
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Sanyo Electric Co Ltd
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Sanyo Electric Co Ltd
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【発明の詳細な説明】 (イ)産業上の利用分野 本発明は、ダイヤモンド状表面層を有する電気カミソリ刃、並びにその製造方
法に関する。 (ロ)従来の技術 一般に電気カミソリ刃は各種の鋼やニッケル合金などを素材とし、プレス加工
や電気鋳造法などによって作られている。そして電気カミソリ刃は固定刃と可動
刃から構成されており、この固定刃と可動刃は剪断平面において互いに接触し合
うことにより、使用時に固定刃と可動刃との間で摩擦が起こり、その結果刃先の
摩耗や鈍化が生じるようになり、初期の優れた剃り味を長期にわたって維持する
ことは困難とされていた。 このような問題点に鑑みて電気カミソリ刃の表面に疑似ダイヤモンド膜を被着
して刃表面の硬度を増す方法が、特開昭61−52887号公報や特開昭61−
52888号公報などで提案されている。 (ハ)発明が解決しようとする課題 ところが新しく提案された疑似ダイヤモンド膜を被着した電気カミソリ刃にお
いては、カミソリ刃と疑似ダイヤモンド膜との組成が大きく掛け離れたものであ るので、その両者の接着性は良好とは言えず、その剥離現象が問題となっている
。 (ニ)課題を解決するための手段 本発明はこのような課題を解決するために為されたもので、電気カミソリ刃母
材と、該刃母材表面にその強度を増す為に被着されたダイヤモンド状表面層と、
該表面層と刃母材との間に設けた混合層と、から成り、この混合層は刃母材から
ダイヤモンド状表面層に向かうに従って刃母材原子の量が漸減すると同時に、炭
素原子の量が漸増する構成を有し、また斯る電気カミソリ刃の製造方法を提供し
ている。 (ホ)作用 本発明によれば、カミソリ刃母材とダイヤモンド状表面層との間に、刃母材と
ダイヤモンド状表面層との混合層が介在することとなり、刃母材とダイヤモンド
状表面層との接着力が強固となる。 (ヘ)実施例 第1図は本発明の対象となる電気カミソリの一例を示しており、(1)は本体
、(2)は該本体(1)に内装されたモーターによって回転駆動される可動刃、(3)
はこの可動刃(2)と対向接触する固定刃である。第2図は電気カミソリの動作
状態を示したもので、固定刃(3)の開孔(4)から突出したひげ(5)を矢印
、方向に移動する可動刃(2)が切断することによってひげ剃り動作が行われる
。 このひげ剃り動作において可動刃(2)及び固定刃(3)の刃先の構成が極め
て重要である。即ち上記したようにひげ剃り動作は両刃(2)(3)の摩擦によ
って行われるので、その刃先の鈍化を極力防ぐ必要がある。そのために両刃(2)
(3)の接触表面の硬度、潤滑性、耐摩耗性を高めることが不可欠である。 第3図は本発明の主要部を為すカミソリ刃(2)(3)の内部構成を拡大して
示した断面図であって、(10)はカミソリ刃(2)(3)の刃母材で、ステン
レス鋼、炭素鋼、合金鋼、セラミックス、アルミニウム、或るいは強化プラスチ
ックなどから成っている。(11)はカミソリ刃(2)(3)の表面に設けられ
た強度が極めて高いダイヤモンド状表面層で、炭素原子、並びにエネルギービー
ムの照射によって形成される。(12)はこの刃母材(10)とダイヤモンド状 表面層(11)との間に設けられた混合層で、この混合層(12)は刃母材(1
0)からダイヤモンド状表面層(11)に向かうに従って刃母材原子の量が漸減
すると同時に、炭素原子の量が漸増するよう構成されている。 次にこれらの混合層(12)とダイヤモンド状表面層(11)を形成する方法
について詳しく説明する。第4図は本発明に係る電気カミソリ刃を製造するため
の装置を示しており、(20)は真空容器で、その上端に被加工材料、本発明に
おいてはカミソリ刃母材を配置する配置台(21)が設けられており、下方には
配置台(21)に置かれたカミソリ刃に対して炭素原子を発射する炭素蒸発源(2
2)が設けられている。この炭素蒸発源(22)としては、抵抗加熱よる方法、
或るいはスパッタリング、電子ビーム、イオンビームを用いる方法などが考えら
れる。(23)は真空容器(20)の側方に設けられ、配置台(21)に対して
アルゴンイオン、ヘリウムイオン、炭化水素系イオン、或るいは炭素イオンなど
のエネルギービームを照射するエネルギーイオン源で、このエネルギーイオン源
(23)から発射されるエネルギーイオンの強度は任意に制御可能となっている
。 このような構成の装置において、配置台(21)にカミソリ刃母材を配置する
と同時にこの刃母材にマイナスの電位を印加し、真空容器(20)内を真空度、
10-5〜10-6Torrに排気する。次に炭素蒸発源(22)を作動させて炭素
原予(24)(24)……を発生させる。この炭素原子(24)(24)……は
マイナスの電位が与えられている刃母材に向かって飛行してその刃母材表面に照
射される。それと同時にエネルギービーム源(23)から極めて強い強度のアル
ゴンイオンビーム(25)(25)……を配置台(21)に配置されている刃母
材に向けて発射する。この時のアルゴンイオンビーム(25)(25)……の強
度としては200KeV程度が好ましい。 このように刃母材が炭素原子(24)(24)……の照射と同時に強いイオン
ビーム(25)(25)……の照射を受けると、第5図の模式図に示すように刃
母材(10)表面に到来した炭素原子(24)(24)……がイオンビーム(2
5)(25)……の持つ高いエネルギーによって刃母材(10)中に入り込み、
刃母材原予(26)(26)……と炭素原子(24)(24)……との混じり合 った混合層(12)が形成される。この混合層(12)は数千Å〜数μmの厚み
に形成されるのが好ましく、そのためにイオン電流としては数十μA〜数十mA
で約30分間、炭素原子(24)(24)……とイオンビーム(25)(25)
……との照射を継続する必要がある。 尚、この混合層(12)の形成工程は本発明の主要な工程であるので、更に詳
しく説明する。即ち、この工程の初期においては炭素原子(24)(24)……
を刃母材(10)中に深く入り込ませるためにイオンビーム(25)(25)…
…は強い値を持たせているが、時間の経過と共にそのイオンビーム(25)(2
5)……の強度を下げて行き、混合層(12)の形成工程の終盤においては、数
十〜数百eVの弱いエネルギーとしている。 このように混合層(12)の形成工程においてイオンビーム(25)(25)
……の強度を漸時下げて行くことによって刃母材(10)の深部には僅かな炭素
原子(24)(24)……が存在しており、表面に近付くに従って炭素原子(2
4)(24)……が漸次増加して行くと同時に、刃母材(10)の原子は逆に減
少して行き、表面部分は殆ど炭素原子(24)(24)……のみの状態となって
いる。 この混合層(12)の形成工程に連続して、刃母材(10)に対して炭素原子
(24)(24)……の照射と同時に弱い強度、即ち表面にイオンが漂う程度の
数十〜数百eVの強度でイオンビーム(25)(25)……の照射を行うと、表
面、具体的には混合層(12)表面に飛来して存在している炭素原子(24)(
24)……の電子共有結合状態がグラファイト構造のSP2結合からダイヤモン
ド構造であるSP3に変化してこの混合層(12)上にダイヤモンド状表面層(
11)が形成される。このダイヤモンド状表面層(11)の厚みとしては、1〜
2μm程度あれば十分で、そのためには10〜20分間の形成時間が必要である
。 このようにして得られたカミソリ刃の原子構成比を第6図に示す。横軸に表面
からの深さをとり、縦軸に原子構成率をとっており、実線は炭素、破線は刃母材
である。この第6図から明らかなように、表面層(11)部分においては炭素1
00%であり、混合層(12)部分では炭素の量が表面から遠ざかるに従って次 第に減少し、それに反して刃母材の量が漸次増加して行き、刃母材の深部に至っ
て刃母材100%となっている。 尚、本発明の説明においては、エネルギービーム源はその発射ビームエネルギ
ーが制御可能な単一のものの場合を説明したが、このエネルギービーム源として
それぞれ異なったビームエネルギーを持つものを複数個配置し、それらを順次作
動させる構成であっても同様な結果が得られるであろう。 (ト)発明の効果 本発明は以上の説明から明らかなように、刃母材とその表面に配置されるダイ
ヤモンド状表面層との間に、刃母材からダイヤモンド状表面層に向かうに従って
刃母材原子の量が漸減すると同時に、炭素原子の量が漸増する混合層を設けて原
子構造的に連続した状態としているので、刃母材とダイヤモンド状表面層との機
械的な接着強度は極めて強く、この両者が剥離する恐れは全く存在しない。また
カミソリ刃の表面改質のために処理が可能なイオンビームを用いているので、熱
歪みなどによる形状変化が起こる恐れは全くない。更に本発明によればカミソリ
刃が必要とする刃先の強度はダイヤモンド状表面層が持っているので、刃母材と
しては格別な配慮は不要で、材料的に廉価なものが用い得る。またダイヤモンド
状表面層の光沢からカミソリ刃の高級感を得ることも可能である。
【図面の簡単な説明】 第1図は電気カミソリの分解斜視図、第2図はカミソリ刃の動作状態を示した
断面図、第3図はカミソリ刃の内部構成を示した拡大断面図、第4図は本発明カ
ミソリ刃を製造するための装置の構成を示した断面図、第5図は本発明カミソリ
刃の製造過程を示した模式図、第6図は本発明カミソリ刃の原子構成図である。 (10)……刃母材、 (11)……ダイヤモンド状表面層、 (12)……混合層、 (22)……炭素蒸発源、 (23)……エネルギーイオン源、 (24)……炭素原子、 (25)……アルゴンイオンビーム、 (27)……刃母材原子。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】電気カミソリ刃母材と、その刃母材表面にその強度を増す為に被
    着されたダイヤモンド状表面層と、該表面層と刃母材との間に設けられた混合層
    と、から成り、この混合層は刃母材からダイヤモンド状表面層に向かうに従って
    刃母材原子の量が漸減すると同時に、炭素原子の量が漸増する構成であることを
    特徴としたダイヤモンド状表面層を有する電気カミソリ刃。 【請求項2】上記カミソリ刃は固定刃であることを特徴とした特許請求の範囲
    第1項記載のダイヤモンド状表面層を有する電気カミソリ刃。 【請求項3】上記カミソリ刃は可動刃であることを特徴とした特許請求の範囲
    第1項記載のダイヤモンド状表面層を有する電気カミソリ刃。 【請求項4】電気カミソリの固定刃及び可動刃の少なくともいずれか一方の刃
    母材表面を改質する方法であって、 刃母材表面に炭素原子を照射すると同時に強いエネルギービームを照射して刃母
    材表面に該母材と炭素原子とが混じり合った混合層を形成する工程と、 該混合層表面に炭素原子を照射すると同時に弱いエネルギービームを照射して混
    合層表面にダイヤモンド状表面層を形成する工程と、 から成り、 上記混合層を形成する工程においては、エネルギービームの強度を混合層が成
    長するに従って、ダイヤモンド状表面層を形成する際のエネルギービームの強度
    にまで漸次弱めていくことを特徴としたダイヤモンド状表面層を有する電気カミ
    ソリ刃の製造方法。 【請求項5】 上記エネルギービームはアルゴンイオンビームであることを特
    徴とした特許請求の範囲第4項記載のダイヤモンド状表面層を有する電気カミソ
    リ刃の製造方法。 【請求項6】 上記エネルギービームは水素イオンビームであることを特徴 とした特許請求の範囲第4項記載のダイヤモンド状表面層を有する電気カミソリ
    刃の製造方法。 【請求項7】 上記エネルギービームはヘリウムイオンビームであることを特
    徴とした特許請求の範囲第4項記載のダイヤモンド状表面層を有する電気カミソ
    リ刃の製造方法。 【請求項8】上記エネルギービームは炭化水素系イオンビームであることを特
    徴とした特許請求の範囲第4項記載のダイヤモンド状表面層を有する電気カミソ
    リ刃の製造方法。 【請求項9】上記エネルギービームは炭素イオンビームであることを特徴とし
    た特許請求の範囲第4項記載のダイヤモンド状表面層を有する電気カミソリ刃の
    製造方法。

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