JP2607955B2 - シート給送装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は複数枚積層されたシートを分離爪で一枚ずつ
分離して給送するシート給送装置に関する。

〈従来の技術〉 プリンタや複写機等の記録装置、或いは原稿読取装置
にあっては、複数枚積載されたシート（記録紙や原稿
等）から一枚ずつ分離給送するための給送装置（所謂カ
ットシートフィーダー）を使用するものが多い。

前記給送装置のシート分離機構としては種々のものが
あるが、その中の代表的なものとして分離爪を使用する
ものがある。これは第６図に示すように、積載板50上に
積層されたシート51の給送方向前端両側を分離爪52で押
さえ、積載板50を押圧バネ53で押圧することで最上層の
シート51を給送ローラ54に圧接し、この給送ローラで最
上層のシートに給送力を付与すると、最上層のシート51
が分離爪52と給送ローラ54間でループを作り、更に“腰
の強さ”によって分離爪52を乗り越え、一枚ずつ分離給
送されるものである。

また前記給送機構を記録装置に用いた場合にあって
は、通常記録が開始されてからシート51の後端が給送ロ
ーラ54から脱するようになる。従って、前記シート51の
端部が給送ローラ54から脱する際にシート搬送負荷が変
動し、送りピッチに乱れが生ずることがある。またワー
プロ等に於いてはシートを逆送することがあるが、通常
は一旦シートを送り始めたシートを逆送すると、シート
後端が停止している給送ローラ54に突き当たり、ジャム
が生ずることがある。

そのため前記給送ローラ54を第６図に示すようにシー
ト51に圧接する弧部54aと、接触しない弦部54bとを有す
る弓状に形成し、弧部54aでシート51を搬送ローラ55へ
搬送した後は該ローラ54を所定量回転させて弦部54bが
シート51に対向するようにしている。

〈発明が解決しようとする課題〉 しかし、前記給送機構にあっては搬送ローラ55でシー
ト51を搬送するときは給送ローラ54の弦部54bがシート5
1に対向し、該給送ローラ54がシート51に接触していな
い。そのためシート51が載置板50に押し付けられず、そ
の結果最後から２枚目のシート51を給送しようとした場
合、シート51と載置板50との摩擦力よりもシート相互の
摩擦力の方が大きくなって最後のシートが最後から２枚
目のシートに引きずられる、所謂ラスト重送が生ずるこ
とがある。これは特に厚手シートを給送するときに生じ
易かった。

本発明の目的は従来の前記課題を解決し、前記ラスト
重送の発生を防止し得るシート給送装置を提供すること
にある。

〈課題を解決するための手段〉 前記課題を解決するための本発明の代表的な構成は、
シートを載置するための載置部材と、前記載置部材上に
積層されたシートの最上層にあるシートの上面を押さえ
る爪部と、シート前端が突き当たる突当部と、前記爪部
及ぶ突当部の間に形成されたスリットとを有する分離爪
と、前記最上層にあるシートに給送力を付与するための
給送手段と、前記載置部材に対して着脱可能であって、
厚手シートを載置するための載置部と、シートの両側端
をガイドするためのサイドガイド部とを有する厚手シー
トサイドガイド部材とを有し、前記厚手シートサイドガ
イド部材の載置部上であって、前記載置部材に厚手シー
トサイドガイド部材を取り付けたときの少なくとも前記
分離爪の下方位置に高摩擦シートを取り付けたことを特
徴とする。

〈作用〉 前記手段にあっては、載置部材上に普通シートを積載
して場合には、この普通シートは分離爪を乗り越えるよ
うにして分離給送される。

また厚手シートを給送する場合には、厚手シートサイ
ドガイド部材を前記載置部材に取り付ける。これによ
り、給送される厚手シートは両サイドをガイドされなが
ら分離爪のスリットを通って分離給送される。更にこの
場合、高摩擦シートが分離爪の下に位置するために、給
送手段の状態に関わらず最後のシートは分離爪によって
高摩擦シートに圧接した状態となり、所謂ラスト重送の
発生が防止される。

〈実施例〉 次に前記手段を適用した記録装置の一実施例を説明す
る。

第１図は本実施例に係るシート給送装置の斜視説明図
であり、第２図は普通シートを給送する場合の説明図、
第３図は厚手シートを給送する場合の説明図である。

先ず全体の概略構成を説明すると、枠体１の内部には
押圧バネ２で上方へ付勢された載置板３が収容され、こ
の載置板３上に多数枚の普通紙等の普通シート4aを積載
し、給送ローラ５を第２図の矢印方向へ回転すると最上
層の一枚の記録シートが分離爪６で分離され、且つ搬送
ローラ７へと給送される如く構成されている。また前記
載置板３には厚手シート用のサイドガイド部材８が着脱
可能であって、厚手シート4bを給送する場合には前記サ
イドガイド部材８を取り付けることで、厚手シート4bの
両側端を前記サイドガイド部材８でガイドしながら搬送
ローラ７へと給送する如く構成している。そして前記サ
イドガイド部材８には高摩擦シート９が貼着され、最上
層のシートが分離爪６によって前記高摩擦シート９に圧
接するように構成されている。

次に前記各部の構成を具体的に説明すると、枠体１は
左半部1aと右半部1bとに分割され、それらを軸10に沿っ
てスライドさせることによってシートの全幅方向に調整
することが可能になっている。また前記載置板３も左右
枠体1a,1bに分割収容され、夫々の載置板３が押圧バネ
２によって上方へ付勢され、これによって載置板３上に
積載した普通シート4aの最上層が給送ローラ５に圧接す
る如く構成されている。更に前記左右枠体1a,1bの外側
壁部に普通シート4aの両側端をガイドする普通シート用
サイドガイド11が設けられ、これによって給送される普
通シート4aの両側端をガイドする如く構成している。

次に給送ローラ５は第１図に示すように、図示しない
モーターからの駆動力が伝達される軸10に形成された溝
部10aにローラ５の突起部5aが嵌合し、軸10と一体的に
回転するが、スラスト方向にスライド可能に取り付けら
れ、セットするシート4a,4bの幅に応じて適正位置にセ
ットし得る如く構成されている。

また前記給送ローラ５は外周部がゴム等の高摩擦部材
で構成され、且つ第５図に示すように弧部5bと、該弧部
5bの径よりも短い径の弦部5cとを有する弓型形状に形成
され、この給送ローラ５が回転した場合、前記弧部5bは
シート4a,4bと圧接し、弦部5cはシート4a,4bと離隔する
ように構成されている。

次に分離爪６について説明すると、この分離爪６は本
実施例では枠体１と一体的に形成され、夫々シート4a,4
bの前端角隅部を押さえる爪部6aと、シート先端を突き
当てる突当部6bを有する形状に構成され、且つ前記爪部
6aと突当部6bとの間にスリット6cが形成されている。こ
のスリット6cは爪部6aの幅の略半分程度まで形成されて
おり、厚手シート4bのサイドガイド部材８を取り付けて
厚手シート4bをセットした場合、最上層の厚手シート4b
の前端角隅部が分離爪６の爪部6aに押さえられるが、シ
ート前端は当接部6bに突き当たることなく、スリット6c
を通って給送方向に円滑に直進し得る形状寸法に構成さ
れている。

また前記スリット6cは第４図に示すように、給送され
るシートの進行方向の投影寸法L₁と、前記L₁と異なる方
向に形成される投影寸法、即ち爪部6aと突当部6bとの距
離L₂を有し、前記L₂はL₁より大きくなるように形成され
ている。更にシート進行方向の投影寸法L₁は、給送され
る厚手シート4bの厚さL₃よりも小さく、爪部6aの垂直方
向の投影寸法L₂は、前記厚手シート4bの厚さL₃よりも大
きくなるように設定されている。

次に厚手シート4bのサイドガイド部材８について説明
すると、これは第１図に示すように、左右に分割された
載置板３と同様に左右に分割されてなり、厚手シート4b
を載置するための板状の載置部8aと、この載置部8aに厚
手シート4bを載置したときにシート4bの両側端をガイド
するためのサイドガイド部8bとを有し、更に前記載置部
8a上の略全面にはクラリーノやコルク等からなる高摩擦
シート９が取り付けられている。

前記サイドガイド部材８は枠体１内であって載置板３
上に載置等することにより、前記載置板３上に着脱可能
に構成されている。そしてこのサイドガイド部材８を載
置板３上へ装着した場合、左右のサイドガイド部8bの間
隔は後述する普通シート4aの両側端をガイドするサイド
ガイド11の間隔よりも狭く設定され、且つ前記高摩擦シ
ート９の一部が分離爪６の下方に位置するように構成さ
れている。

次に前記の如く構成された装置によってシートを給送
するときの作用について説明する。

先ず、普通シート4aを給送する場合には、第２図に示
すようにサイドガイド部材８を取り外し、普通シート4a
を載置板３上に積載し、その両側端にサイドガイド11を
当接してセットする。この状態で軸８を第２図の矢印方
向に回転すると、シート4aに給送ローラ５の弧部5bが圧
接回転して最上層のシート4aに推進力が付与される。こ
のときシート4aの先端は分離爪６の突当部6bに突き当た
っているために、分離爪６と給送ローラ５間でループが
形成され、ある程度のループが形成されるとシート4aの
“腰の強さ”によってシート先端は分離爪６から外れ、
最上層の一枚の記録シート4aが分離爪６を乗り越えて搬
送ローラ７へと給送される。

前記の如くしてシート4aが図示しないモーターによっ
て駆動回転する搬送ローラ７及び該ローラ７に圧接して
従動回転するピンチローラ7aにニップされた後は搬送ロ
ーラ７によって所定の記録部等へ搬送されるが、このと
き給送ローラ５は弦部5cがシート4aと対向して該シート
4aから離隔している。

次に厚手シート4bを給送する場合について説明する
と、この場合は第３図に示すように、厚手シート用のサ
イドガイド部材８を載置板３上に取り付け、該部材８の
載置部8aに厚手シート4bを積載し、該シート4bの両側端
にサイドガイド部8bを当接してガイドする。

前記状態で軸10を回転させると、普通シート4aを給送
する場合と同様に給送ローラ５の弧部5bによって記録シ
ート4bに推進力が付与される。このとき分離爪６の寸法
が前述した如く設定してあるために、最上層の一枚のシ
ート4bは突当部6bの上端に軽く当たり、該突当部6bの上
方へ逃げるようにして最上層の一枚のみが分割されて搬
送ローラ７とピンチローラ7aとのニップ部へ送り込まれ
ていく。

ここで前記の如くして厚手シート4bが順次給送され、
残り２枚になった場合について説明すると、第５図に示
すように、載置部8a上のシート4bの前端角隅部は押圧バ
ネ２の付勢によって分離爪６に付勢されている。更に分
離爪６の下方に位置する載置部8aには高摩擦シート９が
設けられているため、最下層のシート4bの前端角隅部は
高摩擦シート９に押し付けられた状態となっている。

従って、シート4bが搬送ローラ７とピンチローラ7aで
搬送されるときに、給送ローラ５がシート4bから離隔し
ていたとしても、シート相互の摩擦力よりも最下層のシ
ート4bと高摩擦シート９の摩擦力の方が大きく、最下層
から２枚目のシート4bは最下層のシート4bから完全に分
離し、所謂ラスト重送を生ずることはない。

尚、普通シート4aを給送するときは、サイドガイド部
材８を取り外してしまうので、前記高摩擦シート９によ
る摩擦力の影響はない。

〔他の実施例〕

前述した実施例では給送ローラ５として弓状のローラ
を使用した例を示したが、通常の円形ローラを使用し、
シート4bが搬送ローラ７で搬送される際にもローラ５が
シート4bに接触しているように構成すれば、高摩擦シー
ト９による摩擦力を最下層のシート4bに更に効果的に付
与することが出来、確実な重送防止を図ることが出来
る。

また前述した実施例では高摩擦シート９を載置部8aの
略全面に設けるようにしたが、高摩擦シート９とシート
4bとの摩擦係数が高い場合には前記シート９を分離爪６
の下方のみに設けるだけでも良い。

更に前述した実施例では分離爪６を枠体１と一体的に
形成した例を示したが、爪部6aのみを枠体１と一体的に
形成し、爪部6aと別部材よりなる突当部6bをビス等によ
り枠体１に取り付けるようにしても良い。このようにす
ると、折り曲げの一体成形では精度を出し難いスリット
6cの寸法形状を、２部品の位置精度で寸法を出すことに
より容易に精度を高めることが出来る。

〈発明の効果〉 本発明は前述した如く、厚手シートの両側端をガイド
するためのサイドガイド部材を着脱可能に構成したこと
から、前記サイドガイド部材を着脱することにより普通
シートと厚手シートの双方を分離給送することが出来る
ものである。

また前記部材を取り付けたときに分離爪の下方に位置
する部分に高摩擦シートを設けたために、厚手シートを
給送する際に、所謂ラスト重送を防止することが出来る
ものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例に係るシート給送装置の斜視
説明図、第２図は普通シートを給送する場合の説明図、
第３図は厚手シートを給送する場合の説明図、第４図は
分離爪の構成説明図、第５図は厚手シートを給送する場
合の説明図、第６図は従来技術の説明図である。 １は枠体、1aは左半部、1bは右半部、２は押圧バネ、３
は載置板、4a,4bはシート、５は給送ローラ、5aは突起
部、5bは弧部、5cは弦部、６は分離爪、6aは爪部、6bは
突当部、6cはスリット、７は搬送ローラ、7aはピンチロ
ーラ、８はサイドガイド部材、8aは載置部、8bはサイド
ガイド部、９は高摩擦シート、10は軸、10aは溝部、11
はサイドガイドである。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】シートを載置するための載置部材と、 前記載置部材上に積層されたシートの最上層にあるシー
   トの上面を押さえる爪部と、シート前端が突き当たる突
   当部と、前記爪部及ぶ突当部の間に形成されたスリット
   とを有する分離爪と、 前記最上層にあるシートに給送力を付与するための給送
   手段と、 前記載置部材に対して着脱可能であって、厚手シートを
   載置するための載置部と、シートの両側端をガイドする
   ためのサイドガイド部とを有する厚手シートサイドガイ
   ド部材と、 を有し、 前記厚手シートサイドガイド部材の載置部上であって、
   前記載置部材に厚手シートサイドガイド部材を取り付け
   たときの少なくとも前記分離爪の下方位置に高摩擦シー
   トを取り付けたことを特徴とするシート給送装置。