JP2606300B2 - 除草組成物 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本発明は新規な除草組成物に関するものである。

＜従来の技術および発明が解決しようとする課題＞ 現在、農耕地あるいは非農耕地用として、数多くの除
草剤が使用されているが、防除の対象となる雑草は、種
類も多く、発生も長期にわたるため、より除草効果が高
く、幅広い殺草スペクトルを持った除草剤の開発が望ま
れている。

作物植付前、あるいは耕起前に処理できる除草剤とし
て、グリホサートがあるが、これは薬剤を処理してから
雑草が完全枯死に至るまでの期間が比較的に長く、10日
程度以上必要である。この殺草期間を少しでも短くする
ことができれば、農家は次の農作業、例えば作物植付や
耕起がその分早くできることになり非常に有利となる。

＜課題を解決するたの手段＞ 本発明者等はこのような課題を合致する除草剤を開発
すべく種々検討した結果、式 で示される２−〔７−フルオロ−3,4−ジヒドロ−３−
オキソ−４−（２−プロピニル）−2H−1,4−ベンゾオ
キサジン−６−イル〕−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−
イソインドール−1,8（2H）−ジオン（以下、化合物
〔Ｉ〕と記す。）と、式 で示されるＮ−（ホスホノメチル）グリシンもしくはそ
の塩（以下、グリホサートと記す。）とを有効成分とし
て含有する除草組成物（以下、本発明組成物と記す、）
が農耕地あるいは非農耕地に発生する広範囲の雑草を防
除し、しかもその除草効果はそれらを単独で用いる場合
に比較して相乗的に増大し、低薬量で施用でき、殺草ス
ペクトルが拡大し、さらに、除草効果の発現が著しく早
まることを見い出し本発明を完成した。本発明組成物の
除草効果の発現は薬剤処理の翌日あるいは翌々日から症
状を示し、草種により差はあるが、通常１週間以内でほ
ぼ完全に枯殺することが可能となる。

本発明組成物によって防除できる雑草としては、例え
ばソバカズラ、サナエタデ、ギシギシ、スベリヒユ、ハ
コベ、シロザ、アオゲイトウ、ダイコン、ノハラガラ
シ、ナズナ、タネツケバナ、アメリカツノクサネム、エ
ビスグサ、イチビ、アメリカキンゴジカ、フィールドパ
ンジー、ヤエムグラ、アメリカアサガオ、マルバアサガ
オ、セイヨウヒルガオ、ヒメオドリコソウ、ホトケノ
ザ、シロバナチョウセンアサガオ、イヌホオズキ、オオ
イヌノフグリ、オナモミ、オニノゲシ、ヒマワリ、イヌ
カミツレ、コーンマリーゴールド、ヨモギ、オオアルチ
ノギク等の広葉雑草、カモジグサ、ヒエ、イヌビエ、エ
ノコログサ、メヒシバ、スズメノカタビラ、スズメノテ
ッポウ、ノスズメノテッポウ、エンバク、カラスムギ、
セイバンモロコシ、シバムギ、ウマノチャヒキ、ギョウ
ギシバ等のイネ科雑草およびツユクサ等のツユクサ科雑
草、コゴメガヤツリ、ハマスゲ等のカヤツリグサ科雑草
等があげられる。

化合物〔Ｉ〕（特開昭61−76486号公報参照）は除草
効力を有し、また、クリホサート（C.R.Worthing et a
l.,The Pesticide Manual 8th Ed.（1987）p449−450）
は除草剤として知られている。なお、Ｎ−（ホスホノメ
チル）グリシンの塩としてはイソプロピルアミン塩等を
あげることができる。

本発明組成物の有効成分である化合物〔Ｉ〕とグリホ
サートとの混合割合は、比較的広範囲に変えることがで
きるが、通常の化合物〔Ｉ〕１重量部に対して、グリホ
サートは0.5〜100重量部、好ましくは１〜70重量部であ
る。

本発明組成物、通常固体担体、界面活性剤、その他の
製剤用補助剤等と混合して、水和剤、懸濁剤等に製剤し
て用いられる。

これらの製剤中には、有効成分である化合物〔Ｉ〕と
グリホサートとが合わせて、重量部で１〜90％、好まし
くは２〜80％含まれる。

固体担体としては、カオリンクレー、アッタパルジャ
イトクレー、ベントナイト、酸性白土、パイロフィライ
ト、タルク、珪藻土、方解石、クルミ殻粉、尿素、硫酸
アンモニウム、合成含水酸化酵素等の微粉末あるいは粒
状物があげられる。

分散、湿展等のために用いられる界面活性剤として
は、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホ
ン酸塩、ジアルキルスルホこはく酸（塩およびエステ
ル）、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルり
ん酸エステル塩等の陰イオン界面活性剤、ポリオキシエ
チレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキル
アリールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロ
ピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の
非イオン界面活性剤等があげられる。

その他の製剤用補助剤としては、リグニンスルホン酸
塩、アルギン酸塩、ポリビニルアルコール、アラビアガ
ム、CMC（カルボキシメチルセルロース）、PAP（酸性り
ん酸イソプロピル）等があげられる。

製剤された本発明組成物は、例えば、雑草の出芽後に
茎葉処理して用いられる。

また、他の除草剤と混合して用いることにより、さら
に除草効力の増強を期待できる。あるいは、殺虫剤、殺
ダニ剤、殺線虫剤、殺菌剤、植物生長調節剤等と混合し
て用いることもできる。

本発明組成物は、畑地、休耕地、水田の畦畔、果樹
園、牧草地、芝生地、森林または非農耕地等に除草剤と
して用いることもできる。

本発明組成物の施用量は、有効成分の混合比、薬剤の
製剤形態、対象雑草の種類、気象条件等により異なる
が、通常１ヘクタール当りの総有効成分量が100〜5000g
好ましくは200〜3000gである。水和剤、懸濁剤等は、通
常その所定量を１ヘクタール当り100〜1000の水で希
釈して施用する。希釈する際には必要により、展着剤等
の補助剤を添加してもよく、該補助剤としては前記の界
面活性剤の他、ポリオキシエチレン樹脂酸（エステ
ル）、リグニンスルホン酸塩、アビエチン酸塩、ジナフ
チルメタンジスルホン酸塩、パラフィン、ペトロレウム
オイル（Petroleum oil）等があげられる。

＜実施例＞ 次に、製剤例および試験例をあげて本発明をさらに詳
しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。

まず、製剤例を示す。なお、部は重量部を表わす。

製剤例１ 化合物〔Ｉ〕１部、グリホサート50部、リグニンスル
ホン酸カルシウム３部、ラウリル硫酸ナトリウム２部お
よび合成含水酸化珪素44部をよく粉砕混合して水和剤を
得る。

製剤例２ 化合物〔Ｉ〕１部、グリホサート20部、ポリオシキシ
エチレンソルビタンモノオレエート３部、CMC3部、水73
部を混合し、粒度が５ミクロン以下になるまで湿式粉砕
して懸濁剤を得る。

製剤例３ 化合物〔Ｉ〕25部、グリホサート25部、リグニンスル
ホン酸カルシウム３部、ラウリル硫酸ナトリウム２部お
よび合成含水酸化珪素45部をよく粉砕混合して水和剤を
得る。

製剤例４ 化合物〔Ｉ〕0.7部、グリホサート49部、リグニンス
ルホン酸カルシウム３部、ラウリル硫酸ナトリウム２部
および合成含水酸化珪素45.3部をよく粉砕混合して水和
剤を得る。

製剤例５ 化合物〔Ｉ〕1.5部、グリホサート50部、リグニンス
ルホン酸カルシウム３部、ラウリル硫酸ナトリウム２部
および合成含水酸化珪素43.5部をよく粉砕混合して水和
剤を得る。

製剤例６ 化合物〔Ｉ〕0.4部、グリホサート1.6部、ポリオキシ
エチレンソルビタンモノオレエート１部、CMC1部、水96
部を混合し、粒度が５ミクロン以下になるまで湿式粉砕
して懸濁剤を得る。

製剤例７ 化合物〔Ｉ〕0.4部、ソルポール 5050（東邦化学
品、ジアルキルスルホコハク酸塩50％含有）10部、リグ
ニンスルホン酸ナトリウム４部、合成含水酸化珪素５
部、クレー79部を混合した後、グリホサート1.6部を入
れて混合し、粉砕することにより水和剤を得る。

次に、試験例により本発明組成物の効果を具体的に示
す。なお、本試験で用いたグリホサートはＮ−（ホスホ
ノメチル）グリシンのイソプロピルアミン塩である。

試験例１ 屋外に設置した内径50cm×50cm、深さ30cmのコンクリ
ートポットに畑地土壌（砂壌土）を詰め、ウマノチャヒ
キ、カラスムギ、スズメノテッポウ、ヤエムグラ、ソバ
カズラおよびタネツケバナを播種し、40日間育成した。
その後、製剤例１、３、４または５に準じて供試物を水
和剤にし、その所定量を、ジアルキルスルホサクシネー
ト含有界面活性剤を0.2％（容量）含む１ヘクタールあ
たり500リットル相当の水で希釈し、小型噴霧器で植物
体の上方から茎葉部全面に均一に散布した。この時、各
雑草の葉令は１−３葉期、草丈４−8cmであった。処理
後３日目および19日目に除草効力を調査した。

評価基準は０（無影響）から10（完全枯死）までの数
字で表わした。結果を第１表および第２表に示す。

試験例２ 梨園に自然発生している下草に対する本発明組成物の
除草活性を調べるため、１区2.8m×3.6m、３反復の試験
区を設定した。

製剤例１、３、４または５に準じて供試物を水和剤に
し、その所定量を、ジアルキルスルホサクシネート含有
の界面活性剤を0.2％（容量）含む１ヘクタールあたり1
000リットル相当の水で希釈し、小型噴霧器で植物体の
上方から試験区全面に均一に散布した。このとき各雑草
の草丈はメヒシバ５−10cm、イヌビエ30−40cm、オニノ
ゲシ30−40cm、オオアレチノギク５−10cm、ハルタデ40
−70cm、アオビユ５−10cmであった。処理16日後に試験
例１と同様の方法で除草効力を調査した。その結果を第
３表に示す。

試験例３ 内径16cm、深さ19cmのワグネルポットに畑地土壌（砂
壌土）を詰め、ウマノチャヒキを播種し屋外で40日間育
成した。製剤例１、３、４または５に準じて供試物を水
和剤にし、その所定量をポリオキシエチレンドデシルエ
ーテル系界面活性剤を80％含有する市販剤を0.2％（容
量）含む１ヘクタールあたり500リットル相当の水で希
釈し、小型噴霧器で植物体の上方から茎葉部全面に均一
に散布した。このとき、ウマノチャヒキの生育条状況は
葉令３葉期、草丈約10cmであった。処理20日後に除草効
力を調査した。

なお、除草効力は調査時に枯れ残った供試植物の地上
部の生重量をはかり、次式により算出した生育抑制率
（％）で示す。

結果を第４表に示す。

第４表の結果を等効果線法〔深見順一、上杉康彦、石
塚皓造、富沢長次郎編農薬実験法第３巻除草剤編第１版
第109〜111頁（1981年）ソフトサイエンス社発行参照〕
により作図した。その結果を第１図に示す。該図より、
本発明組成物が相乗効果を有することは明らかである。

＜発明の効果＞ 本発明組成物は、農耕地または非農耕地に発生する広
範囲の雑草を防除し、また、除草効果の発現が速やかで
ある優れた除草組成物である。

【図面の簡単な説明】

第１図は試験例３中の第４表に記載のウマノチャヒキに
対する除草効力を基に等効果線法により作図したもので
ある。 縦軸はグリホサートの薬量（g/ha）を、横軸は化合物
〔Ｉ〕の薬量（g/ha）をそれぞれ表わす。生育抑制率90
％の相加効果を破線で、実際の生育抑制率90％の等効果
線を実線で示した。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】２−〔７−フルオロ−3,4−ジヒドロ−３
   −オキソ−４−（２−プロピニル）−2H−1,4−ベンゾ
   オキサジン−６−イル〕−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H
   −イソインドール−1,3（2H）−ジオンとＮ−（ホスホ
   ノメチル）グリシンもしくはその塩とを有効成分として
   含有することを特徴とする除草組成物。