JP2601108Y2 - 簡易密封容器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、ヒートシール可能なシ
ワありアルミニウム箔容器、特になべ焼うどん、グラタ
ン等通常は冷凍または冷蔵してあって、食事直前にオー
ブン等で加熱するタイプのヒートシールにより密封可能
な冷凍・冷蔵食品用容器に関する。

【０００２】

【従来の技術】流通過程または貯蔵時には、容器に入れ
たまま冷凍または冷蔵しておき、食事に際してはオーブ
ン等で加熱して食するいわゆるインスタント食品、なべ
焼うどん、グラタン等の食品容器としてアルミニウム箔
のシワあり容器が広く用いられている。

【０００３】これら従来のアルミニウム箔シワあり容器
は、薄いアルミニウム箔であっても容器の形状保持性を
高め、かつ全体の剛性を高めるため、側壁部は縦方向に
シワを設けると共に、フランジ部分はシワの凹凸を深め
更に先端をカールさせるなどの方法を採用して容器の剛
性を高めている。

【０００４】このため、これらにタイプの容器において
はヒートシールによる容器に密閉ができないため、包装
は容器全体を袋で密閉することもあるが、そのほとんど
はシュリンクフィルム（蓋）を用いている。

【０００５】シュリンク蓋は自動包装ラインで包装する
時は生産性が良く、生産には都合が良いが、消費者が食
事に際し開封する時にフランジのカール部に巻きついて
開封に難がある。

【０００６】また冷凍うどんなどにおいては液状のダシ
を凍結させて同封して販売することもあるが、流通過程
においてこれが融解し、シュリンク蓋の密閉性の不完全
さから洩れることさえある。

【０００７】このようにシュリンク蓋はシールが完全で
ないため、外部からの雑菌の侵入を完全に防止できる包
装とは言えない。このためシュリンク蓋で包装した上を
更にプラスチックフィルムで密閉させるなどの過剰包装
もされているのが普通である。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】本考案はアルミニウム
箔製シワあり容器であっても自動包装ラインでヒートシ
ールにより自動包装ができ、かつ密封度が高く、液洩れ
や雑菌の侵入の危険性のない完全密封可能な冷凍・冷蔵
食品用容器の開発を目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本考案は、シワありアル
ミニウム箔容器において、先端にカール部を設けたフラ
ンジ部平坦部の厚みをアルミニウム箔ラミネートの板厚
の５倍以下の厚さに平坦としヒートシール樹脂層を有す
る蓋材とヒートシールを可能としたことを特徴とする簡
易密封容器を開発することにより上記の目的を達成し
た。

【００１０】本考案の容器に用いるアルミニウム箔ラミ
ネートのアルミニウム箔は、普通シワあり容器用として
使用されているアルミニウム箔をそのまま用いることが
できる。厚さとしてはアルミニウム箔の硬度、厚さ、容
器の容量などにより変わるが、一般的には５０〜１５０
μｍ程度である。

【００１１】容器の成形は、従来のシワあり容器の成形
機を用いて、一旦シワあり容器部を製造した後、フラン
ジ部分のみを後工程で専用治具を用いて押えつけ、平坦
部の厚さをラミネートの板厚の５倍以下、好ましくは３
〜４倍の範囲にする。

【００１２】あるいは容器成形時にプレスの下死点にお
いて、フランジ部分を更に強制的に圧力を加え、フラン
ジの平坦部厚さを調整する手段を採っても良い。

【００１３】なお、密閉性を確実にするため、フランジ
部の平坦部の最小幅は２ｍｍ以上、好ましくは２．５ｍ
ｍ程度を持たせるべきである。

【００１４】これより平坦部を狭くすると、完全に平坦
なシール面でないため、シール部の完全さが失われる危
険がある。

【００１５】蓋材としては、同じようなアルミニウム箔
にヒートシール用樹脂、例えばＥＶＡ、ワックス、ロジ
ン等の混合物、ポリエチレン、不飽和カルボン酸、変性
ポリオレフィン等を直接またはポリプロピレン、または
ポリエチレン等のフィルムをドライラミネートまたは押
出ラミネートしたものを中間に挟んで用いれば良い。但
し、フランジのカール部を残している時には、カール部
はヒートシールは不可能なのであらかじめフランジの平
坦部の大きさにカットするか、あるいはあらかじめプレ
スしてカール部を曲げておき、ヒートシールに際しカー
ル部がじゃまにならないように配慮しておくことが好ま
しい。

【００１６】なお、ヒートシールに際しては、平滑なシ
ール面の場合よりシール時間が同一の時に温度は５〜１
５℃程度高く、圧着力も２０〜５０％程度大きくしたほ
うがシール不合格品発生率が少なくできる。しかし、こ
れ以上温度を上げてもまた圧着力を大きくしても不合格
品発生率はほとんど変化しない。

【００１７】以下、図面を用いて説明する。図１はシワ
ありアルミニウム箔容器の断面図である。フランジ部の
先端１は強度を高めるため通常はカールして中空状に丸
めてある。フランジ部２および側壁部３は多数の縦シワ
を設けて強度を高めてある。

【００１８】容器の底部４は普通は平坦であって、会社
のマーク、補強のためのリブ等が設けられている。

【００１９】図２は本考案のフランジ部２のＡ−Ａ断面
図であり、縦シワ部を圧着して折り畳み部５となってい
る。

【００２０】図３は従来のフランジ部２のＡ−Ａ断面図
であって、縦シワがランダムに設けられている。

【００２１】

【作用】従来のシワあり容器の板厚とフランジ部の厚み
を調べてみると、例えばなべ焼きうどん容器においては
板厚８０μｍ、フランジ部の厚み１０００〜１５００μ
ｍ、またグラタン容器にあっては板厚７０μｍ、フラン
ジ部の厚み９００〜１３００μｍとなっていて、凹凸が
大きいため、普通のヒートシール法によっては完全な密
閉が不可能であった。

【００２２】本考案においてはヒートシールするフラン
ジ部平坦部の厚みを材料のラミネート板厚の５倍以下、
好ましくは３〜４倍の厚みまで圧縮することにより完全
なヒートシールが可能となった。

【００２３】

【実施例】市販のなべ焼きうどん容器を成形時に、プレ
ス下死点においてフランジ部分を強制的に圧力を加え、
厚さ２８０〜３２０μｍの平坦部を有するフランジ部を
有する容器を成形した。この場合フランジ平坦部の最少
幅は３ｍｍであった。

【００２４】蓋材としてはアルミニウムラミネート材
（Ａｌ／ポリエチレン３０μｍ／ホットメルト１８ｇ／
ｍ² ）のシール面の反対側に印刷した厚さ１２μｍの二
軸延伸ポリプロピレンをドライラミネートしたものを用
い、容器に水を入れた後、常法により１０℃高い１７０
℃、圧力３ｋｇ／ｃｍ² 、シール時間１秒／個でヒート
シールを行った。

【００２５】比較のため、容器成形時にフランジ部分に
強制的な圧力を加えないで同じサイズのなべ焼きうどん
容器を成形した。フランジ部分の最少幅も同じく３ｍｍ
とした。この場合のフランジ部分の厚みは１０３０〜１
４１０μｍであった。同様に容器に水を入れ同じ条件で
ヒートシールを行った。

【００２６】シールした後、それぞれの容器をランダム
に１０宛とり、机上に逆さに置いて容器底面を手で軽く
押えて水洩れの有無を観察したところ、本考案の容器に
おいては水洩れはなかったのに対し、比較のため容器は
１０個すべてが水洩れがあった。

【００２７】

【考案の効果】本考案の簡易密封容器は、シワあり容器
であっても、ヒートシールによる密封が可能であり、こ
のため外界からの雑菌、異物の侵入を完全に防止できる
と共に、内容物に液状物（凍結品の融解なども含め）の
流出が防止できる優れた特性を有する。特にシールが高
速のヒートシール自動包装ラインによって行うことが可
能となるため高い生産性を有する。

【００２８】また印刷した蓋材を用いて密閉するとき
は、その外包装材も不要となり、余分の原材料コスト削
減のみならず、包装材ゴミの発生量を減少できる利点も
有する簡易密封容器である。

【図面の簡単な説明】

【図１】シワありアルミニウム箔容器の断面図。

【図２】本考案シワありアルミニウム箔容器フランジ部
平坦部の断面拡大図。

【図３】従来のシワありアルミニウム箔容器フランジ部
の断面拡大図。

【符号の説明】

１ フランジ部先端部 ２ フランジ部平坦部 ３ 容器側壁部 ４ 容器底部 ５ 折り畳み部

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 シワありアルミニウム箔容器において、
   先端にカール部を設けたフランジ部平坦部の厚みをアル
   ミニウム箔ラミネートの板厚の５倍以下の厚さに平坦と
   しヒートシール樹脂層を有する蓋材とヒートシールを可
   能としたことを特徴とする簡易密封容器。