JP2596689B2 - 軸継手 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、軸継手に関するもので
あり、特に原動軸側と従動軸側との間の偏心、偏角及び
軸方向移動に対し良好に対処でき、十分な強度をもち、
回転力を滑らかに伝達でき、保守が容易な軸継手に関す
る。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】各種回
転力伝達機構において２つの回転軸の端部どうしが継手
により接続される。例えば、モーターの出力回転軸とポ
ンプの入力回転軸とが継手により接続される。この場
合、モーターの出力回転軸とポンプの入力回転軸とが十
分に整列する様に注意深くモーター及びポンプの据え付
けを行うことはかなりの労力を要する。また、この様な
整列に十分気を配って据え付けを行っても、双方の回転
軸間には幾分かの偏心や偏角が残り、更にモーターやポ
ンプには作動時に振動が発生するので、これらを継手部
分で吸収するために、従来、バネやゴム等の可撓性部材
を用いたフレキシブル継手が用いられている。また、偏
心及び偏角に対処可能な継手としてオルダム継手が用い
られている。

【０００３】この様な軸継手は、原動軸端部と従動軸端
部とにそれぞれ適宜の取付け部材を取付け、これら原動
軸側取付け部材と従動軸側取付け部材とを適宜の機構で
結合したものが一般的である。

【０００４】本発明は、原動軸側と従動軸側との間の偏
心、偏角及び軸方向移動に対し良好に対処でき、十分な
強度をもつ新規構造の軸継手を提供することを目的とす
るものである。本発明の別の目的は、以上の様な新規構
造を有し、回転力を滑らかに伝達でき、保守が容易な軸
継手を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明によれば、上記目
的を達成するものとして、原動軸端部と従動軸端部とが
対向配置されており、これら原動軸端部と従動軸端部と
の間には回転力伝達部材が配置されており、上記原動軸
端部には原動軸回転中心と平行で且つ該原動軸回転中心
と直交する第１方向と平行な原動軸側スライド面の対が
複数形成されており、上記回転力伝達部材には上記原動
軸側スライド面の対に対し摺動可能な第１スライド面の
対が複数形成されており、上記従動軸端部には従動軸回
転中心と平行で且つ該従動軸回転中心と直交する第２方
向と平行な従動軸側スライド面の対が複数形成されてお
り、上記回転力伝達部材には上記従動軸側スライド面の
対に対し摺動可能な第２スライド面の対が複数形成され
ており、上記原動軸側スライド面及び上記従動軸側スラ
イド面がいずれも金属からなり、上記回転力伝達部材は
プラスチックからなり且つその第１スライド面及び第２
スライド面は基板部の両側の面に付された部材に形成さ
れており、該基板部の外周端縁は上記原動軸回転中心及
び従動軸回転中心を通る面内の断面形状が外方に凸の曲
線からなる形状である、ことを特徴とする、軸継手、が
提供される。

【０００６】本発明の一態様においては、上記回転力伝
達部材基板部の外周端縁の表面は該基板部の原動側表面
及び従動側表面と滑らかに連なっている。本発明の別の
態様においては、上記原動軸側スライド面が上記原動軸
端部に付設されたフランジに形成されており、上記従動
軸側スライド面が上記従動軸端部に付設されたフランジ
に形成されている。本発明の他の態様においては、上記
回転力伝達部材の基板部が円板状である。更に、本発明
では、上記第１方向と上記第２方向とが直交しているの
が好ましい。

【０００７】

【実施例】以下、図面を参照しながら本発明の具体的実
施例を説明する。

【０００８】図１は本発明による軸継手の一実施例を示
す一部分解斜視図であり、図２はその組立て状態を示す
斜視図である。

【０００９】これらの図において、２は原動軸端部であ
り、２’は原動軸回転中心である。また、４は従動軸端
部であり、４’は従動軸回転中心である。原動軸端部２
の先端にはその一部としてフランジ６が付設されてお
り、従動軸端部４の先端にはその一部としてフランジ８
が付設されている。原動軸端部２及び従動軸端部４は、
これらのフランジ６，８どうしが互いに対向し且つ回転
中心２’，４’が合致する様に配置されている。原動軸
端部２及び従動軸端部４はフランジ部分を含めて金属製
例えば鉄製である。尚、原動軸端部２は、実際には、原
動側機器の出力回転軸の端部であってもよいし或は原動
側機器の出力回転軸に対し直接的または間接的に取付け
られる部材であってもよい。同様に、従動軸端部４は、
実際には、従動側機器の入力回転軸の端部であってもよ
いし或は従動側機器の入力回転軸に対し直接的または間
接的に取付けられる部材であってもよい。

【００１０】原動軸端部フランジ６の従動側の端面に
は、Ｙ方向の溝１０が複数（図では４本）形成されてお
り、該溝の断面形状は矩形である。そして、各溝１０の
２つの側面には、原動軸側スライド内面１０ａの対が形
成されている。該スライド内面はＹ−Ｚ面と平行であ
る。また、従動軸端部フランジ８の原動側の端面には、
Ｘ方向の溝１２が複数（図では４本）形成されており、
該溝の断面形状は矩形である。そして、各溝１２の２つ
の側面には、従動軸側スライド内面１２ａの対が形成さ
れている。該スライド内面はＸ−Ｚ面と平行である。
尚、上記溝１０，１２は、それぞれ原動軸端部２及び従
動軸端部４の先端面に直接形成してもよい。また、上記
フランジ６，８としては、それぞれ別部材からなるもの
を原動軸端部２及び従動軸端部４に装着したものであっ
てもよい。

【００１１】原動軸端部フランジ６と従動軸端部フラン
ジ８との間には、回転力伝達部材１４が配置されてい
る。該回転力伝達部材１４は、Ｘ−Ｙ面と平行で中央に
穴があけられている略円板状の基板部１６と、該基板部
１６の原動側の面に形成され上記溝１０と同数のＹ方向
の桟１８と、上記基板部１６の従動側の面に形成され上
記溝１２と同数のＸ方向の桟２０とからなっている。桟
１８，２０の断面形状は矩形であり、各桟１８の２つの
側面には第１スライド外面１８ａの対が形成されてお
り、各桟２０の２つの側面には第２スライド外面２０ａ
の対が形成されている。第１スライド外面１８ａの各対
は上記原動軸側スライド内面１０ａの各対にそれぞれ摺
動可能に適合されており、第２スライド外面２０ａの各
対は上記従動軸側スライド内面１２ａの各対にそれぞれ
摺動可能に適合されている。回転力伝達部材１４は、原
動軸端部フランジ６及び従動軸端部フランジ８の金属材
料に対し適度の滑り性を有し、また適度の強度を有する
プラスチック材料例えばポリアセタール樹脂やポリアミ
ド樹脂からなる。

【００１２】図３は回転力伝達部材１４の部分断面図で
あり、原動軸回転中心２’及び従動軸回転中心４’を通
る面内の断面を示すものである。本実施例では、図３に
示されている様に、回転力伝達部材基板部１６の外周端
縁は、原動軸回転中心２’及び従動軸回転中心４’を通
る面内の断面形状が半径Ｒの半円形状である。この半径
Ｒは基板部１６の厚さＴのちょうど１／２であり、従っ
て基板部１６の外周端縁の表面は原動側の表面及び従動
側の表面と滑らかに連なっている。そして、基板部１６
の外周端縁には上記桟１８，２０は形成されておらず、
即ちＺ方向からみて基板部１６の最外方部分は桟１８，
２０の最外方部分よりも更に外方に位置する。

【００１３】本実施例において、回転力伝達部材１４
は、第１スライド外面１８ａが原動軸側スライド内面１
０ａに対し摺接面内での相対移動（スライド移動及び回
動）が可能であり、第２のスライド外面２０ａが従動軸
側スライド内面１２ａに対し摺接面内での相対移動（ス
ライド移動及び回動）が可能である。もちろん、本実施
例では、以上の様な相対移動が適度のストロークにわた
って可能な様に、各部の寸法が設定されている。

【００１４】本実施例において、原動軸端部２が回転す
ると、その回転力は原動軸端部フランジ６からその溝１
０内に収容された桟１８を介して回転力伝達部材１４へ
と伝達され、更に該回転力伝達部材１４からその桟２０
を収容した溝１２を介して従動軸端部フランジ８へと伝
達され、従動軸端部４が回転せしめられる。原動軸端部
２と従動軸端部４とに偏心、偏角または軸方向移動が生
じた場合には、上記の様な回転力伝達部材１４と原動軸
端部フランジ６との間の相対移動（即ちＹ方向の平行移
動、Ｚ方向の平行移動及びＸ方向を中心とする回動）及
び回転力伝達部材１４と従動軸端部フランジ８との間の
相対移動（即ちＸ方向の平行移動、Ｚ方向の平行移動及
びＹ方向を中心とする回動）により、良好に対処でき
る。尚、原動軸端部フランジ６と従動軸端部フランジ８
との間隔は、予想される軸方向移動分を見込んで、該移
動を可能となす様に設定されている。

【００１５】本実施例では、回転力伝達部材１４として
プラスチック材料からなるものを用いており、これが適
度の減衰性を有するので、原動軸側と従動軸側との間の
振動伝達を抑制でき、更に原動軸端部フランジ６や従動
軸端部フランジ８との摺動接触において自己潤滑性を発
揮するので、潤滑油を使用する必要がなく、保守が簡単
である。

【００１６】また、特に、本実施例では、回転力伝達部
材１４は、基板部１６の外周端縁の断面形状が半円形状
であり、その表面は原動側及び従動側の表面と滑らかに
連なっているので、プラスチック製であるにもかかわら
ず、その強度を良好に維持することができる。参考のた
めに示せば、回転力伝達部材基板部の外周端縁の半円断
面形状部分のないことのみ上記実施例と異なる比較のた
めに作製した軸継手との比較で、上記実施例のものは約
２０％の強度増大が認められた。

【００１７】尚、本発明においては、回転力伝達部材基
板部１６の外周端縁の断面形状は、必ずしも半円形状で
なくとも外方に凸の曲線からなる形状であれば類似の効
果が得られる。

【００１８】

【発明の効果】以上の様に、本発明によれば、原動軸側
と従動軸側との間の偏心、偏角及び軸方向移動に対し良
好に対処でき、十分な強度をもつ軸継手が提供される。
また、本発明によれば、回転力を滑らかに伝達でき、保
守が容易な軸継手が提供される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による軸継手の一実施例を示す一部分解
斜視図である。

【図２】図１の軸継手の組立て状態を示す斜視図であ
る。

【図３】図１の軸継手の回転力伝達部材の部分断面図で
ある。

【符号の説明】

２ 原動軸端部 ２’ 原動軸回転中心 ４ 従動軸端部 ４’ 従動軸回転中心 ６ 原動軸端部フランジ ８ 従動軸端部フランジ １０ 溝 １０ａ 原動軸側スライド内面 １２ 溝 １２ａ 従動軸側スライド内面 １４ 回転力伝達部材 １６ 基板部 １８ 桟 １８ａ 第１スライド外面 ２０ 桟 ２０ａ 第２スライド外面

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 原動軸端部と従動軸端部とが対向配置さ
   れており、これら原動軸端部と従動軸端部との間には回
   転力伝達部材が配置されており、 上記原動軸端部には原動軸回転中心と平行で且つ該原動
   軸回転中心と直交する第１方向と平行な原動軸側スライ
   ド面の対が複数形成されており、上記回転力伝達部材に
   は上記原動軸側スライド面の対に対し摺動可能な第１ス
   ライド面の対が複数形成されており、 上記従動軸端部には従動軸回転中心と平行で且つ該従動
   軸回転中心と直交する第２方向と平行な従動軸側スライ
   ド面の対が複数形成されており、上記回転力伝達部材に
   は上記従動軸側スライド面の対に対し摺動可能な第２ス
   ライド面の対が複数形成されており、 上記原動軸側スライド面及び上記従動軸側スライド面が
   いずれも金属からなり、上記回転力伝達部材はプラスチ
   ックからなり且つその第１スライド面及び第２スライド
   面は円板状基板部の両側の面に付された部材に形成され
   ており、該基板部の外周端縁は上記原動軸回転中心及び
   従動軸回転中心を通る面内の断面形状が外方に凸の曲線
   からなる形状であり且つ上記基板部外周端縁の表面は上
   記基板部の原動側表面及び従動側表面と滑らかに連なっ
   ている、 ことを特徴とする、軸継手。
2. 【請求項２】 上記原動軸側スライド面が上記原動軸端
   部に付設されたフランジに形成されており、上記従動軸
   側スライド面が上記従動軸端部に付設されたフランジに
   形成されている、請求項１に記載の軸継手。
3. 【請求項３】 上記第１方向と上記第２方向とが直交し
   ている、請求項１に記載の軸継手。