JP2589891B2 - 藺草苗移植機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、苗のせ台の苗取り出し
口から藺草苗を一株づつ取り出して植付ける植付機構を
備え、前記植付機構は、揺動クランク機構により、植付
爪をほぼ楕円軌跡を描きながら移動させて植付け対象苗
を保持して圃場に植付けるよう構成し、植付け対象苗を
圃場に植付ける際にその苗を植付爪から押し出し作動す
る苗押し出し具を備えるとともに、この苗押し出し具
は、前記揺動クランク機構におけるクランクアームとの
枢支部に設けたカム機構により駆動するよう構成してあ
る藺草苗移植機に関する。

【０００２】

【従来の技術】上記構成の苗移植機、例えば稲苗をマッ
ト状に成育した載置苗を植付けるものにおいて、従来で
は、前記カム機構におけるカムフォロアの押し上げ案内
面は滑らかな凸曲面に形成するのが一般的であった（例
えば実開昭６１−１７８８２１号公報参照）。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記従来構造は、苗押
し出し具の姿勢変更作動を円滑に行えるように構成した
ものである。ところで、植付け用藺草苗は上記マット苗
に比べて背高であって、茎部が固く泥面への植付時に植
付け深さが浅いと倒れるおそれが大きいので、前記植付
爪の移動軌跡の上下幅が稲苗の移植機に比較して大きい
ものとなる。そこで、上記したような従来構成を藺草苗
移植機に用いると、植付爪や苗押し出し具等を内装した
植付ケースが、楕円軌跡を描きながら上下に大きく移動
するので、下方側への移動領域の終端付近で植付ケース
の慣性力が大となり、そのことに起因して、泥面への植
付け作動時に振動が発生して、植付爪による保持苗がず
り落ちたりして、植付け作動が円滑に行えない欠点があ
った。本発明は、簡単な構造改良によって上記不具合点
を解消することを目的としている。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明の特徴構成は、冒
頭に記載した藺草苗移植機において、前記カム機構にお
いて、前記苗押し出し具の押し出し作動のためにカムフ
ォロアを押し上げ案内するカム面を凹曲面に形成してあ
る点にある。

【０００５】

【作用】植付爪が苗取り出し口から苗を取り出して泥面
に向けて下降して泥面に近づいた時に、前記苗押し出し
具が押し出し作用して苗を確実に植付けるのであるが、
このとき、苗押し出し具を押し出し作動するために、カ
ム機構において苗押し出し具に連係されるカムフォロア
がカム面に乗り上がり案内される。このカム面は凹曲面
に形成されているので、その乗り上がり時に大きな力が
必要となって植付爪や苗押し出し具を支持するケースの
上下動に対して制動力として作用することになる。

【０００６】

【発明の効果】その結果、植付爪の上下移動量が大きく
慣性力に起因して振動が発生しやすい作動領域におい
て、その慣性力に対して制動作用が働き、振動の発生を
抑制して円滑な植付作動を維持できることになる。しか
も、従来より既存の苗押し出し具の駆動構造を有効利用
して、簡単な加工を加えるだけの改良で対応できる。

【０００７】

【実施例】以下、実施例を図面に基いて説明する。図２
に藺草苗移植機を示している。この苗移植機は、図示し
ない走行機体の後部に昇降自在に連結され、苗を載置し
てフレーム兼用の伝動ケース２に一定ストロークで往復
横移動自在に支持される後傾斜姿勢の苗のせ台３、苗の
せ台３の下端部の苗取り出し口４から苗を一株づつ取り
出して圃場に植付ける苗植付機構５、泥面上を滑走する
接地フロート６等を備えて構成してある。前記苗のせ台
３には、突起付き無端回動ベルト式の縦送り装置７を設
け、載置苗を苗取り出し口４に向けて送り出すよう構成
してある。そして、苗植付機構５の上部に、苗植付機構
５の苗取り出し作動に先立って、待機位置から送り出し
方向先端側の苗に向けて移動し、植付け対象苗を前記苗
取り出し口４に向けて押し出すとともに、後続苗を位置
保持させる苗保持具１０を設けてある。詳述すると、こ
の苗保持具１０は、前後一対の揺動リンク１１ａ，１１
ｂを介して伝動ケース２に枢支連結して四連リンク機構
Ａを構成してあり、バネ１２により後方側の待機位置に
復帰付勢するとともに、伝動ケース２内に設けた揺動ク
ランク機構１３によって苗押し出し作用位置に切り換え
駆動するよう構成してある。前記揺動クランク機構１３
は、図４に示すように、伝動ケース２内に苗植付機構５
の駆動軸１４に設けた偏芯カム１５により横軸芯Ｘ１周
りで揺動する揺動アーム１６を設けるとともに、この揺
動アーム１６の揺動端と前記揺動リンク１１ａの基端側
に連動連結した作動アーム１７とを押し引きロッド１８
を介して枢支連結して苗保持具１０を前後に移動駆動す
るよう構成してある。

【０００８】前記苗植付機構５は、先端に取付けた植付
爪８が揺動クランク機構９によってほぼ楕円軌跡を描き
ながら、前記苗取り出し口４から一株づつ苗を取り出し
保持して泥面内に植付けるよう構成するとともに、植付
け対象苗を圃場に植付ける際にその苗を植付爪８から押
し出し作動する苗押し出し具１９を設けてある。詳述す
ると、植付爪８を取付けた植付ケース２０を、後部上方
の横軸芯Ｘ２周りで揺動する揺動アーム２１の揺動端に
枢支するとともに、その途中部を前記駆動軸１４により
回転駆動されるクランクアーム２２の先端部に枢支軸２
３を介して枢支連結し、植付爪８が側面視でほぼ楕円軌
跡を描きながら上下動するよう揺動クランク機構９を構
成してある。そして、苗押し出し具１９は、クランクア
ーム２２の回転に伴って植付ケース２０内に設けたカム
機構２４により作動するよう構成してある。つまり、図
１、図３に示すように、前記枢支軸２３をクランクアー
ム２２側に固定し、この軸２３にカム部材２５を一体的
に外嵌装着するとともに、植付ケース２０内に横軸芯Ｘ
３周りで揺動自在に支持された略Ｌ字形の揺動アーム２
６の一端にカム部材２５に押圧接当するローラ式カムフ
ォロア２７を設け、揺動アーム２６の他端をリンク機構
２８を介して苗押し出し具１９に連動連結してある。従
って、クランクアーム２２の駆動により枢支軸２３が公
転して、植付ケース２０の駆動に伴ってカム部材２５が
カムフォロア２７に対して相対的に回転することとな
り、苗押し出し具１９が植付爪８の作動とともに、苗押
し出し作動を行えるのである。

【０００９】そして、図３に示すように、カム部材２５
において苗押し出し具１９の押し出し作動のためにカム
フォロア２７を押し上げ案内するカム面２５ａを円弧状
の凹曲面に形成してある。このように構成すると、カム
フォロア２７がこのカム面２５ａを乗り上がるときに乗
り上がり傾斜勾配が急になってその乗り上がりの際に大
きな力が必要となるが、この苗押し出し作動が行われる
のは、植付爪８が苗を取り出して泥面近くまで下降する
時であり、このとき、植付ケース２０の慣性に起因して
植付ケース２０が駆動側よりも先行して下降しようとす
る力が働くが、この慣性力が上記カム乗り上げ力により
相殺することとなり、植付ケース２０の不測の振動の発
生を抑制できるのである。

【００１０】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
容易にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】植付ケースの切欠側面図

【図２】苗移植機の後部の側面図

【図３】植付ケースの切欠側面図

【図４】揺動クランク機構の側面図

【符号の説明】

３ 苗のせ台 ４ 苗取り出し口 ５ 植付機構 ８ 植付爪 ９ 揺動クランク機構 １９ 苗押し出し具 ２２ クランクアーム ２４ カム機構 ２５ａ カム面 ２７ カムフォロア

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 苗のせ台（３）の苗取り出し口（４）か
   ら藺草苗を一株づつ取り出して植付ける植付機構（５）
   を備え、前記植付機構（５）は、揺動クランク機構
   （９）により、植付爪（８）をほぼ楕円軌跡を描きなが
   ら移動させて植付け対象苗を保持して圃場に植付けるよ
   う構成し、植付け対象苗を圃場に植付ける際にその苗を
   植付爪（８）から押し出し作動する苗押し出し具（１
   ９）を備えるとともに、この苗押し出し具（１９）は、
   前記揺動クランク機構（９）におけるクランクアーム
   （２２）との枢支部に設けたカム機構（２４）により駆
   動するよう構成してある藺草苗移植機であって、前記カ
   ム機構（２４）において、前記苗押し出し具（１９）の
   押し出し作動のためにカムフォロア（２７）を押し上げ
   案内するカム面（２５ａ）を凹曲面に形成してある藺草
   苗移植機。