JP2583303Y2 - 小型モータ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、例えば自動車のドア
のロックやアンロックを自動的に行うアクチュエータの
駆動源として利用されるアクチュエータ用の小型モータ
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図３および図４は、自動車のドアのロッ
クやアンロックを自動的に行うアクチュエータの駆動源
として利用される小型モータを例示するものであって、
図示する小型モータ５０は、アーマチュア５１の中央に
アーマチュアシャフト５２が設けてあり、このアーマチ
ュアシャフト５２の中央部分に固定した鉄心５３のまわ
りにコイル５４が配設してある。

【０００３】また、前記アーマチュアシャフト５２の図
３中の下方側である基端寄りには、整流子５５が設けて
あり、この整流子５５に前記コイル５４の一部が接続し
てある。

【０００４】そして、一端側が閉塞状に形成した略円筒
形状のモータヨーク５６と前記モータヨーク５６に組付
けてあって略円盤形状のエンドカバー５７の内側に前記
アーマチュア５１が収納してある。

【０００５】前記モータヨーク５６の図３中において上
方側には、凹状をなすモータヨーク５６側の軸受取付け
部５６ａが設けてあり、前記軸受取付け部５６ａにモー
タヨーク５６とは別体の含油メタルである軸受５８がモ
ータヨーク５６の上端側の中央に形成したシャフト孔５
６ｂに一致させた状態で装着してある。

【０００６】そして、前記軸受５８にアーマチュアシャ
フト５２の図中において上方側の先端側が挿通してあっ
て、モータヨーク５６から突出したアーマチュアシャフ
ト５２の先端部分に負荷であるアクチュエータ内の出力
機構を連結するようになっている。

【０００７】また、モータヨーク５６の内側にはマグネ
ット５９が固定してあるとともに、モータヨーク５６の
図３中の下方側に有する開口５６ｃがエンドカバー５７
の外周側に加締ることによって固定してある。

【０００８】前記エンドカバー５７の図３中の上側に
は、弾性を有するブラシホルダー６０，６０が前記整流
子５５に対応させた位置に取付けてあって、前記ブラシ
ホルダー６０，６０に夫々装着したブラシ６１，６１が
整流子５５に圧接している。

【０００９】また、エンドカバー５７の中央には、エン
ドカバー５７側の軸受取付け部５７ａが設けてあり、こ
の軸受取付け部５７ａにエンドカバー５７とは別体の含
油メタルである軸受６２が装着してある。

【００１０】前記軸受取付け部５７ａには、図４に示す
ように、エンドカバー５７の図中において上方側に向け
て矩形状に突出し、軸受６２の外周の中央部分より上側
の外径寸法よりもわずかに小さい内径寸法を有する圧着
面５７ａ１を形成した突起５７ａ２が備えてあるととも
に、エンドカバー５７の図中において下方側に向けて凹
んでいて、軸受６２の外周の下側部分の外径寸法にほぼ
一致する内径寸法を有する支持面５７ａ３を形成した凹
み５７ａ４が備えてある。

【００１１】そして、前記軸受取付け部５７ａの突起５
７ａ２側から凹み５７ａ４に向けて軸受６２を押し込ま
せることによって軸受６２の外周の下側部分が支持面５
７ａ３に当接支持された状態で、軸受６２の外周の中央
部分と上側部分が突起５７ａ２により嵌着され、軸受け
６２がエンドカバー５７に装着される。

【００１２】ここで、前記モータヨーク５６の軸受取付
け部５６ａに装着した軸受５８によりアーマチュアシャ
フト５２の図３中の上方側が回転可能に支持され、エン
ドカバー５７の軸受取付け部５７ａに装着した軸受６２
によりアーマチュアシャフト５２の図３中の下方側が回
転可能に支持されている。

【００１３】そしてまた、エンドカバー５７の下側に
は、外部接続用端子６３，６４が図３中において下方側
に突出させて設けてあり、前記各外部接続用端子６３，
６４に、前記各ブラシホルダー６０，６０が接続してあ
る。

【００１４】このような構造をなす小型モータ５０にお
いて、各外部接続用端子６３，６４からブラシホルダー
６０，６０とブラシ６１，６１を介して整流子５５に所
定の電源を供給することによってコイル５４を励磁する
と、コイル５４とマグネット５９とのあいだでの電磁誘
導によりアーマチュア５１を回転させるので、アーマチ
ュアシャフト５２が回転し、アーマチュアシャフト５２
の回転により前記出力機構を出力作動させる。

【００１５】しかし、上記した従来の小型モータ５０で
は、エンドカバー５７に軸受６２を装着するためのエン
ドカバー５７側の軸受取付け部５７ａが設けてあり、モ
ータヨーク５６に軸受け５８を装着するためのモータヨ
ーク５６側の軸受取付け部５６ａが設けてあって、エン
ドカバー５７側の軸受取付け部５７ａとモータヨーク５
６側の軸受取付け部５６ａにエンドカバー５７，モータ
ヨーク５６とは夫々別体の軸受６２と５８を装着するこ
とによってアーマチュアシャフト５２の両端側を回転可
能に支持する構造であることから、エンドカバー５７，
モータヨーク５６とは夫々別体の軸受６２と５８により
部品点数が多くなるとともに、エンドカバー５７，モー
タヨーク５６とは夫々別体の各軸受６２，５８を作成す
る工数と各軸受６２，５８を装着する工数をモータ全体
の組立てにおいて考慮しなければならず、それによっ
て、組立てに必要な工数が増大していたという欠点があ
った。

【００１６】

【考案が解決しようとする課題】解決しようとする課題
は、軸受６２，５８がエンドカバー５７，モータヨーク
５６と別体であると、部品点数が増えるとともに、別作
成する工数と組付けに必要な工数が増えてコスト面で不
利になる点である。

【００１７】

【課題を解決するための手段】この考案に係わる小型モ
ータでは、モータヨークと、モータヨークの内側に取付
けられたマグネットと、マグネットの内周側に配置さ
れ、かつ、アーマチュア シャフトを備えたアーマチュア
と、モータヨークに取付けられ、アーマチュアのアーマ
チュアシャフトの一端部を回転可能に支持する軸受と、
樹脂によって成形されてモータヨークの開口端部に結合
され、アーマチュアシャフトの他端部を支持するシャフ
ト支持部が形成されたエンドカバーと、エンドカバーの
シャフト支持部の内周側に向け断面半円形状にして環状
に突出形成され、アーマチュアシャフトの他端部を回転
可能に支持する第１のシャフト当接突起と、シャフト支
持部の孔方向に第１のシャフト当接突起から離れて配置
され、シャフト支持部の内周側に向け断面半円形状にし
て環状に突出形成され、アーマチュアシャフトの他端部
を回転可能に支持する第２のシャフト当接突起と、第１
のシャフト当接突起と第２のシャフト当接突起とに挟ま
れて、シャフト支持部の外周に向け断面半円形状にして
環状に凹んで形成され、潤滑剤が封入された油溜溝を備
えている構成としたことを特徴としており、アーマチュ
アシャフトを回転可能に支持する軸受の数を少なくする
ことによって、コスト面で有利なものにするという目的
をエンドカバーを作成する際の金型の小変更で実現し
た。

【００１８】

【作用】この考案に係わる小型モータは、エンドカバー
に設けたシャフト支持部に形成された第１のシャフト当
接突起と第２のシャフト当接突起とによって囲まれた密
閉状の空間となる油溜溝に潤滑剤が封入された状態で、
第１のシャフト当接突起と第２のシャフト当接突起によ
りアーマチュアシャフトが回転可能に支持される。それ
故、長期的な使用によって潤滑剤が減ってきたとして
も、第１のシャフト当接突起、第２のシャフト当接突起
が断面半円形状に形成されているから、アーマチュアシ
ャフトとの間に表面張力が生じて潤滑剤がアーマチュア
シャフト側に保持されて、潤滑剤切れになるおそれがな
く、エンドカバーとは別体の軸受を作成する必要がなく
なるとともに軸受をエンドカバーに装着する必要がなく
なるものとなる。

【００１９】

【実施例】以下、この考案による小型モータの一実施例
を図１および図２に基づいて説明する。

【００２０】図示する小型モータ１は、モータヨーク２
とこのモータヨーク２に組付けたエンドカバー３の内側
にアーマチュア４が収納してある。

【００２１】前記アーマチュア４の中央には、アーマチ
ュアシャフト５が設けてあり、このアーマチュアシャフ
ト５の中央部分に固定した鉄心６のまわりに銅線を巻き
付けたコイル部７が配設してある。

【００２２】また、前記アーマチュアシャフト５の図１
中の下方側である基端寄りには、整流子８が設けてあ
り、この整流子８に前記コイル部７の一部が接続してあ
る。

【００２３】そして、前記モータヨーク２の図１中にお
いて上方側の天壁２ａの中央には、丸孔状に開口した軸
受支持部２ａ１が設けてあり、この軸受支持部２ａ１に
モータヨーク２の内側から含油メタルである軸受９が装
着してある。

【００２４】そしてまた、モータヨーク２の内側で前記
天壁２ａの図１中の下方側には、円筒形状をなすマグネ
ット取付け面２ｂが形成してあり、このマグネット取付
け面２ｂにリング状のマグネット１０が固定してある。

【００２５】そしてさらに、モータヨーク２の内側で前
記マグネット取付け面２ｂの下方側がエンドカバー３へ
の取付け端部２ｃになっており、前記取付け端部２ｃを
エンドカバー３に対して加締るようになっている。

【００２６】一方、エンドカバー３は、図１により明ら
かなように、断面形状がコ字状をなし樹脂の一体で成形
されているものであって、円盤形状をなすエンドカバー
本体３ａの外周側で環状をなして図１中の上方側に突出
した周板３ｂの上端寄りには、前記モータヨーク２の取
付け端部２ｃの内側に嵌挿するための挿入端部３ｂ１が
形成してある。

【００２７】また、エンドカバー３の前記エンドカバー
本体３ａの図１中の上側である上面３ａ１には、図中の
上方側に突出していて弾性を有するブラシホルダー１
１，１１が前記整流子８に対応させた位置に取付けてあ
って、前記ブラシホルダー１１，１１に夫々装着したブ
ラシ１２，１２が整流子８に圧接している。

【００２８】そして、エンドカバー３の前記エンドカバ
ー本体３ａの中央には、前記上面３ａ１から図１中の下
側である下面３ａ２まで丸孔状をなして連通したシャフ
ト支持部３ａ３が設けてある。

【００２９】前記シャフト支持部３ａ３には、図２によ
り明らかなように、第１のシャフト当接突起３ａ４，油
溜溝３ａ５，第２のシャフト当接突起３ａ６が上面３ａ
１から下面３ａ３に向けて順に設けてある。

【００３０】また、前記第１のシャフト当接突起３ａ４
と第２のシャフト当接突起３ａ６はシャフト支持部３ａ
３の内周側に向け湾曲状をなして環状に突出しており前
記第１、第２のシャフト当接突起３ａ４，３ａ６に有す
る内径寸法はアーマチュアシャフト５の図１中の下端寄
りに有する外径寸法よりもわずかに大きくしてある。

【００３１】そして、前記油溜溝３ａ５は前記第１、第
２のシャフト当接突起３ａ４，３ａ６の中央において第
１、第２のシャフト当接突起３ａ４，３ａ６に有する内
径寸法よりも大きい内径寸法でシャフト支持部３ａ３の
外周に向け湾曲状をなして環状に凹んだものとして形成
してあり、この油溜溝３ａ５と前記アーマチュアシャフ
ト５のあいだの隙間にグリース等の潤滑剤２０を封入し
てある。

【００３２】ここで、アーマチュア４のアーマチュアシ
ャフト５は図１中の上方側である先端側がモータヨーク
２の軸受支持部２ａ１に装着した軸受９に挿通すること
によって軸受９により回転可能に支持され、前記アーマ
チュアシャフト５は図１中の下方側である基端側がエン
ドカバー３のシャフト支持部３ａ３に挿通することによ
ってシャフト支持部３ａ３により回転可能に支持されて
いる。

【００３３】そしてまた、アーマチュアシャフト５の図
１中の下方側が前記シャフト支持部３ａ３から下方に向
けて突出しており、この突出部分にアクチュエータ内の
出力機構を連結する。

【００３４】またさらに、前記エンドカバー本体３ａの
外周寄りには、外部接続用端子１３，１４が配接してあ
り、これら外部接続用端子１３，１４に前記ブラシホル
ダー１１，１１が接続してある。

【００３５】このような構造を有する小型モータ１にお
いて、各外部接続用端子１３，１４からブラシホルダー
１１，１１とブラシ１２，１２を介して整流子８に所定
の電源を供給することによってコイル部７を励磁する
と、コイル部７とマグネット１０とのあいだでの電磁誘
導によりアーマチュア４を回転させるので、アーマチュ
アシャフト５が回転し、前記出力機構を出力作動させる
ものとなる。

【００３６】この間、アーマチュア４が回転する際に、
アーマチュアシャフト５の先端側がモータヨーク２の軸
受支持部２ａ１に装着した軸受９により回転可能に支持
され、アーマチュアシャフト５の基端側がエンドカバー
３のシャフト支持部３ａ３において第１，第２のシャフ
ト当接突起３ａ４，３ａ６により回転可能に支持され、
第１，第２のシャフト当接突起３ａ４，３ａ６のあいだ
の油溜溝３ａ５に封入した潤滑剤２０により潤滑が図ら
れるものとなる。

【００３７】

【考案の効果】以上説明してきたように、この考案に係
わる小型モータは上述した構成を有するものであること
から、エンドカバーに設けたシャフト支持部に形成され
た第１のシャフト当接突起と第２のシャフト当接突起と
によって囲まれた密閉状の空間となる油溜溝に潤滑剤が
封入された状態で、第１のシャフト当接突起と第２のシ
ャフト当接突起によりアーマチュアシャフトが回転可能
に支持される。それ故、長期的な使用によって潤滑剤が
減ってきたとしても、第１のシャフト当接突起、第２の
シャフト当接突起が断面半円形状に形成されているか
ら、アーマチュアシャフトとの間に表面張力が生じて潤
滑剤がアーマチュアシャフト側に保持されて、潤滑剤切
れになるおそれがなく、エンドカバーとは別体の軸受を
作成する必要がなくなるとともに軸受をエンドカバーに
装着する必要がなくなるものとなり、よって、コスト面
で有利となるという優れた効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案に係わる小型モータの一実施例の部分
破断側面図である。

【図２】図１に示した小型モータにおいてのエンドカバ
ー部分の外観斜視図である。

【図３】従来の小型モータの部分破断側面図である。

【図４】図４に示した小型モータにおいてのエンドカバ
ー部分の外観斜視図である。

【符号の説明】

１ 小型モータ ２ モータヨーク ３ エンドカバー ３ａ３ シャフト支持部３ａ４ 第１のシャフト当接突起 ３ａ５ 油溜溝３ａ６ 第２のシャフト当接突起 ４ アーマチュア ５ アーマチュアシャフト ９ 軸受 １０ マグネット ２０ 潤滑剤

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) H02K 5/167

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 モータヨークと、前記モータヨークの内側に取付けられた マグネットと、前記マグネットの内周側に配置され、かつ、アーマチュ
   アシャフトを備えた アーマチュアと、前記モータヨークに取付けられ、前記アーマチュアのア
   ーマチュアシャフトの一端部を回転可能に支持する軸受
   と、 樹脂によって成形されて前記 モータヨークの開口端部に
   結合され、前記アーマチュアシャフトの他端部を支持す
   るシャフト支持部が形成されたエンドカバーと、前記エンドカバーのシャフト支持部の内周側に向け断面
   半円形状にして環状に突出形成され、前記アーマチュア
   シャフトの他端部を回転可能に支持する第１のシャフト
   当接突起と、 前記シャフト支持部の孔方向に前記第１のシャフト当接
   突起から離れて配置され、該シャフト支持部の内周側に
   向け断面半円形状にして環状に突出形成され、前記アー
   マチュアシャフトの他端部を回転可能に支持する第２の
   シャフト当接突起と、 前記第１のシャフト当接突起と第２のシャフト当接突起
   とに挟まれて、前記シャフト支持部の外周に向け断面半
   円形状にして環状に凹んで形成され、 潤滑剤が封入され
   た油溜溝を備えていることを特徴とする小型モータ。