JP2572152B2 - 撮像装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は撮像装置に係り、特に撮像素子及び絞りを有
する電子スチルカメラ等の撮像装置に関する。

〔従来の技術〕

一般に、CCD等の撮像素子を有するカメラは、第５図
に示すように撮像素子10と絞り12との間に水晶等から成
る光学ローパスフイルタ14が配設され、この光学ローパ
スフイルタ14によって被写体像中に含まれる撮像素子10
の画素ピッチに対応する空間周波数成分を除去し、撮像
素子10からの偽信号の発生を抑圧するようにしている。
尚、第５図において、16は撮影レンズである。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかしながら、光学ローパスフイルタは高価であり、
また撮影光学系に光学ローパスフイルタを配設するため
の空間を確保しなければならず、カメラの低価格化及び
小型化を阻害する。

本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、光
学ローパスフイルタの機能を兼ね備えた絞りを有する撮
像装置を提供することを目的とする。

〔課題を解決する為の手段〕

本発明は、前記目的を達成する為に、撮像素子及び絞
りを有する撮像装置において、前記絞りの絞り孔を長孔
によって構成し、該長孔は被写体像中に含まれる前記撮
像素子の画素ピッチに対応する空間周波数成分を回折に
よって除去することができる一定幅を有し、被写体の明
るさに応じて長孔の長さのみが可変されることを特徴と
する。

〔作用〕

本発明は光の回折が分解能を制限することに着目し、
絞り孔による回折現象で所望の空間周波数成分を除去す
るようにしている。即ち、絞り孔を長孔にし、この長孔
の幅を前記空間周波数成分を回折によって除去すること
ができる所定の幅にすることにより光学ローパスフイル
タとしての機能をもたせ、長孔の長さのみを被写体の明
るさに応じて変化させて光量を制御するようにしてい
る。

〔実施例〕

以下添付図面に従って本発明に係る撮像装置の好まし
い実施例を詳説する。

第３図は本発明に係る撮像装置の一実施例を示す概略
図であり、20は絞り、22は撮影レンズ、24は撮影素子
（CCD）である。同図からも明らかなように、この撮像
装置には、第５図の従来の撮像装置のように光学ローパ
スフイルタは設けられていない。

第１図は第３図に示した絞り20の一実施例を示す正面
図である。同図に示すように、この絞り20は２枚の絞り
羽根20A、20Bを有し、絞り羽根20A、20Bを矢印方向に相
互に移動させることにより絞り孔20Cの大きさを可変で
きるようになっている。

即ち、この絞り孔20Cは幅ａ、長さｂの長孔形状で、
被写体の明るさに応じて長さｂのみが変化できるように
構成されている。

次に、絞り孔による回折現象について説明する。

口径ｄの絞り孔によるフラウンホーファー回折によ
り、最初に強度が零になり点の撮影光学系の光軸に対す
る角度θについて、次式、 が成立する。ここで、λは波長である。一方、上記角度
θと、カットオフ空間周波数Ｎ（本/mm）との関係は、
次式、 によって表すことができる。ここで、ｆは撮影レンズ22
の焦点距離である。

上記第（１）式及び第（２）式から、次式、 を導くことができる。尚、上記第（３）式までは公知で
ある。

第（３）式において、例えば、λ＝0.00055mm、ｆ＝1
1mm、Ｎ＝67本/mmとすると、 ｄ＝２×1.22×11×0.00055×67≒1mm となる。

即ち、第１図における絞り孔20の幅ａが1mmとなるよ
うに設計することにより、上記条件下で空間周波数67本
/mmを除去することができるようになる。

また、絞り孔20の長さｂは、Ｆナンバーに応じて次表
のように可変させるようにすればよい。

第２図は本発明に係る撮像装置における絞りの他の実
施例を示す正面図である。この絞り30は、複数の絞り孔
30A、30B、30Cが穿設された円板を回して絞り値を変化
させる回転絞りである。

上記絞り孔30A、30B、30Cは光軸Ｌの位置において縦
長となる長孔形状で、上記絞り装置20と同様に、各絞り
孔は回折により所望の空間周波数を除去することができ
る幅に形成され、長さのみがそれぞれ異なるように形成
されている。

第４図は本発明に係る撮像装置の他の実施例を示す概
略図である。尚、第３図と共通する部分には同符号を付
し、その詳細な説明は省略する。

第４図は水平、垂直の両方向に対して所望の空間周波
数を除去する場合に関して示しており、水平方向の空間
周波数の除去は絞り20による回折によって行い、垂直方
向の空間周波数の除去は光学ローパスフイルタ26によっ
て行うようにしている。これにより、第５図に示した従
来の撮像装置に比べて光学ローパスフイルタの貼り合わ
せ枚数を減らすことができる。

〔発明の効果〕

以上説明したように本発明に係る撮像装置によれば、
絞りが光学ローパスフイルタの機能を兼ね備えているた
め高価な光学ローパスフイルタを別途設ける必要がな
く、コストダウンを図ることができ、また、光学ローパ
スフイルタの設置スペースを確保する必要がなく、撮像
装置の小型化を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る撮像装置における絞りの一実施例
を示す正面図、第２図は本発明に係る撮像装置における
絞りの他の実施例を示す正面図、第３図は第１図の絞り
を備えた撮像装置の一実施例を示す概略図、第４図は第
１図の絞りを備えた撮像装置の他の実施例を示す概略
図、第５図は従来の撮像装置を示す概略図である。 20、30……絞り、20A、20B……絞り羽根、20C、30A、30
B、30C……絞り孔、22……撮影レンズ、24……撮像素子
（CCD）。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】撮像素子及び絞りを有する撮像装置におい
   て、前記絞りの絞り孔を長孔によって構成し、該長孔は
   被写体像中に含まれる前記撮像素子の画素ピッチに対応
   する空間周波数成分を回折によって除去することができ
   る一定幅を有し、被写体の明るさに応じて長孔の長さの
   みが可変されることを特徴とする撮像装置。