JP2568709B2 - 熱搬送装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は暖冷房の空調機および排熱回収装置に用いら
れる熱搬送装置に関するものである。

従来の技術 従来のこの種の熱搬送装置は、第２図に示すように上
部ヘッダー１と下部ヘッダー２とを接続する複数の重直
流路３を有する加熱器４と、上部ヘッダー１に接続され
るガス管５と下部ヘッダー２に接続される液戻り管６と
によって配管接続される気液分離器７と、加熱器４の上
方に設けられた放熱器８と、気液分離器７と放熱器８と
接続する往管９と、放熱器８と液戻り管６とを接続する
復管10とによって構成される密閉回路に蒸発の熱媒11が
封入される構造になっていた。

すなわち、加熱器４が加熱されると内部の蒸発性の熱
媒11は蒸発し気液２相状態となってガス管５を通り気液
分離器７でガスと液が分離され、ガスは往管９を通って
放熱器８に導かれる。一方気液分離器７内の液は液戻り
管を通って加熱器４の下部ヘッダー２に落とし込まれ
る。この時、放熱器８内のガスは凝縮し液化し放熱す
る。放熱器８内の液は動作用によって復路10を通って、
液戻り管６で気液分離器７の液と合流し加熱器４内の下
部ヘッダー２に戻り、再び加熱され、蒸発、凝縮をくり
返す事により密閉回路内を循環する事となる。

発明が解決しようとする課題 しかし、このような構造のものでは、往管９および復
管10が長くなった場合は加熱器４内に溜まる熱媒11の量
が少なくなり加熱器４の温度が異常に上昇し、運転がで
きなくなり、反対に往管９および復管10が極端に短かく
なった場合は放熱器８内へも熱媒11が多量に溜り込むた
め、装置全体の圧力は上昇し、危険な状態に至るなどの
課題があった。また、加熱器４の加熱量または放熱器８
の冷却条件を変えた場合も同様の現象が生じ、運転不能
に至る課題があった。

本発明はかかる従来の課題を解消するもので、種々の
配管条件及び運転条件においても、加熱器の温度または
圧力の異常上昇を防止し、安定した運転を実現する事を
目的とするものである。

課題を解決するための手段 上記課題を解決するために本発明の熱搬送装置は、上
部ヘッダーと下部ヘッダーとを接続する複数の垂直流路
を有する加熱器と、上部ヘッダーにガス管によって接続
されるとともに底部より液戻り管によって下部ヘッダー
に接続される気液分離器と、加熱器の上方に設けられる
放熱器と、気液分離器と放熱器とを接続する往管と、気
液分離器が接続される側と対向する側の下部ヘッダーに
放熱器より接続される復管と、復管より分岐し開閉弁を
介して加熱器より上方の位置に設けられた液溜とからな
る密閉回路に蒸発性の熱媒を封入した構成を備えたもの
である。さらに、開閉弁の開閉を制御するための信号を
検知する手段として、密閉回路内の圧力を検知する圧力
検知手段を設けたものである。

作用 本発明は上記した構成によって、加熱時は加熱器内部
で蒸発した熱媒は気液分離器でガス状の熱媒が往管を取
って放熱器へ流入し凝縮し、液化したあと、復管を通っ
て重力作用によって加熱器へ、戻され再び加熱されて循
環する。この時、往管と復管の配管が長い状態に対応で
きるように熱媒を封入するが、この状態で、配管が短い
施工を行った時、熱媒は過剰になり、放熱器に溜り込み
作動圧力及び温度とも上昇し、異常運転状態に陥る事も
ある。この時、圧力が異常に上昇した場合、復管に設け
られた液溜に余剰熱媒を吸収する事により、全体の圧力
および温度を正常に保つ事ができる。さらに、液溜の入
口に設けた開閉弁を圧力検知手段の信号に応じて開閉す
る事により密閉回路の余剰熱媒を液溜に吸収する事によ
り、異常な圧力上昇および温度上昇を防止する事ができ
る。

実施例 以下、本発明の実施例を添付図面にもとづいて説明す
る。

第１図において、４は上部ヘッダー１と下部ヘッダー
２とを複数の重直流路３で接続する構成の加熱器であ
り、上部ヘッダー１からガス管５を介して気液分離器７
が設けられ、底部より液戻り管６が下部ヘッダー２へ接
続されている。加熱器２の上方には放熱器８が設けら
れ、往管９と復管10によってループ状の密閉回路が構成
され、内部に蒸発性の熱媒11が封入されている。一方、
往管10の一部より分岐し、開閉弁12を介して、液溜13が
設けられており、復管10の一部に設けられた圧力検知手
段14の信号に応じて開閉弁12が開閉する構造になってい
る。

上記構成において、往管９および復管10の長さが長い
時は液溜13にほとんど、熱媒11が無い状態で運転される
が、配管長い短い時は、密閉回路の内容積に対し、熱媒
11が過剰な状態となり、放熱器８さらに往管９内にも熱
媒11が液状態で混入する事となり、回路全体の圧力およ
び温度が上昇する。さらに圧力が上昇し、あらかじめ定
められた設定値に圧力が到達した事を、圧力検知手段14
が検知した時、開閉弁12を開放する事により、復管10中
の熱媒11が液溜13に溜り込み、回路中の熱媒11が適正量
に保たれ、異常な圧力上昇を防止する事ができる。

発明の効果 以上のように本発明の熱搬送装置によれば、次の効果
が得られる。

（１）液状熱媒で満たされる復管により分岐して液溜を
設けているため、配管長に応じ余剰熱媒を液溜に溜め込
む事ができ、装置全体を常に適正な温度および圧力に保
る事ができる。

（２）密閉回路中の圧力を検知する圧力検知手段を設け
ているため、圧力検知手段の信号により開閉弁が自動的
に開閉され熱媒の量が調整される。従って、施置工事の
際に配管長に応じ熱媒の封入量を調整する必要がなくな
り、工事の簡易化が図れる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例における熱搬送装置の構成
図、第２図は従来の熱搬送装置の構成図である。 １……上部ヘッダー、２……下部ヘッダー、３……重直
流路、４……加熱器、５……ガス管、６……液戻り管、
７……気液分離器、８……放熱器、９……往管、10……
復管、11……熱媒、12……開閉弁、13……液溜、14……
圧力検知手段。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】上部ヘッダーと下部ヘッダーとを接続する
   複数の垂直流路を有する加熱器と、前記上部ヘッダーに
   ガス管によって接続されるとともに底部より液戻り管に
   よって前記上部ヘッダーに接続される気液分離器と、前
   記加熱器の上方に設けられる放熱器と、前記気液分離器
   と前記放熱器とを接続する往管と、前記気液分離器が接
   続される側と対向する側の前記下部ヘッダーに前記放熱
   器より接続される復管と、前記復管より分岐し開閉弁を
   介して前記加熱器より上方の位置に設けられた液溜とか
   らなる密閉回路に蒸発性の熱媒を封入した熱搬送装置。
2. 【請求項２】前記開閉弁の開閉を制御するための信号を
   検知する圧力検知手段を設けた請求項１記載の熱搬送装
   置。