JP2561060B2 - 改良型rnアーゼt1 - Google Patents

改良型rnアーゼt1

Info

Publication number
JP2561060B2
JP2561060B2 JP7051048A JP5104895A JP2561060B2 JP 2561060 B2 JP2561060 B2 JP 2561060B2 JP 7051048 A JP7051048 A JP 7051048A JP 5104895 A JP5104895 A JP 5104895A JP 2561060 B2 JP2561060 B2 JP 2561060B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rnase
added
improved
plasmid
dna
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP7051048A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0847395A (ja
Inventor
森男 池原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TANPAKU KOGAKU KENKYUSHO KK
Original Assignee
TANPAKU KOGAKU KENKYUSHO KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TANPAKU KOGAKU KENKYUSHO KK filed Critical TANPAKU KOGAKU KENKYUSHO KK
Priority to JP7051048A priority Critical patent/JP2561060B2/ja
Publication of JPH0847395A publication Critical patent/JPH0847395A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2561060B2 publication Critical patent/JP2561060B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Saccharide Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な改良型RNアーゼ
T1、さらに詳しくは、天然型RNアーゼT1のアミノ
末端から45番目のチロシンをトリプトファンに置換し
てその活性を向上させた改良型RNアーゼT1、該改良
型RNアーゼT1をコードしているDNA配列、該DN
A配列を含有する組み換えDNA発現ベクター、該ベク
ターで形質転換した宿主細胞、ならびに該改良型RNア
ーゼT1の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】リボヌクレアーゼT1(EC3.1.27.
3、以下RNアーゼT1という)はコウジカビ、アスペ
ルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)が産生する
菌体外リボ核酸分解酵素であり、極めて厳密な基質特異
性を有し、1本鎖のリボ核酸およびリボヌクレオチド中
のグアノシン3'−リン酸部分のホスホジエステル結合
のみを選択的に切断する。この極めて厳密なグアニン特
異性の故に、RNアーゼT1はRNAの構造解析におい
て極めて重要な役割を果たしている。
【0003】このRNアーゼT1の1次構造は既に決定
されており、この酵素がアミノ酸残基104個からな
り、分子内に2個のジスルフィド結合を有する、図1に
示したようなポリペプチドであることが知られている
(文献1および2)。またX線結晶構造解析により、この
RNアーゼT1の塩基認識部位が、アミノ末端から42
〜45番目の位置に存在するTyr42−Asn43−Asn44
Tyr45配列であることも知られている(文献3、4およ
び5)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、RNA
の構造解析に有用なこのRNアーゼT1を修飾して、さ
らに有用な酵素を得るべく種々検討を行なった結果、天
然型RNアーゼT1のアミノ末端から45番目のチロシ
ンをトリプトファンに置換することにより、その活性を
向上させうることを見い出し本発明を完成するに至っ
た。すなわち本発明は、天然型RNアーゼT1のアミノ
末端から45番目のチロシンをトリプトファンに置換し
た改良型RNアーゼT1を提供するものである。更に本
発明は、該改良型RNアーゼT1をコードしているDN
A配列、該DNA配列を含有する組み換えDNA発現ベ
クター、該ベクターで形質転換した宿主細胞、ならびに
該改良型RNアーゼT1の製造方法を提供するものであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の改良型RNアー
ゼT1は以下のようにして製造することができる。始め
に、改良型RNアーゼT1をコードしているDNA配列
を含有し、かつ5'側にBglII部位および3'側にSal
部位を有するBglII−SalIフラグメントを調製する。
このフラグメントの5'側には、BglII部位を作製する
ためTで始まるコドンたとえば今回の場合Pheに対応す
るTTCと、後に融合蛋白からの切断に必要なMetに対
応するコドンATGを、RNアーゼT1をコ−ドしてい
るDNA配列の前に入れた。また3'側には、ペプチド
鎖の合成を停止させるために2種類の停止コドンTA
A、TAGを、RNアーゼT1をコ−ドしているDNA
配列の後に入れた。このフラグメントの全DNA配列お
よび該DNA配列がコードしているアミノ酸配列を以下
の配列式1に示す。尚、天然型RNアーゼT1を所望の
場合には、45番目のアミノ酸残基に対応するコドンT
GGおよびその相補的な配列CCAをそれぞれTATお
よびATAに置換すればよい(これにより45番目のア
ミノ酸TrpがTyrに換わる)。
【化2】
【化3】
【0006】このDNAフラグメントの調製は、たとえ
ば以下のようにして行なうことができる。すなわち、全
DNA配列をいくつかのオリゴヌクレオチド単位に分割
し、各オリゴヌクレオチドをリン酸トリエステル法ある
いはホスファイト法等の既知の方法(文献6および7)に
よって合成する。次いで、得られたオリゴヌクレオチド
を図2に示したようにしてライゲートし(文献6および
10)、3'側にSalI部位、5'側にBglII部位を有す
る目的のDNAフラグメントを得ることができる。
【0007】次に、上記BglII−SalIフラグメントを
組み込んだ組み換えDNA発現ベクターを図3のように
して構築する。すなわち、プラスミドpGH−L9をBg
lIIおよびSalI制限酵素で消化し、得られたフラグメ
ントと、上記のBglII−SalIフラグメントをライゲー
トしてプラスミドpT45Wを得る。ここで用いるプラ
スミドpGH−L9は大腸菌(Escherichia coli、以下
E.コリと称する)trpプロモーター、ヒト成長ホルモン
(以下hGHと称する)およびアンピシリン耐性遺伝子(A
pr)を含有し、このhGH遺伝子の5'側から2/3の位
置にBglII部位およびhGH遺伝子の3'側にSalI部位
を有している(このhGH遺伝子のBglII部位より上流側
がコードしているアミノ酸配列をhGHのAB部分、下
流側がコードしているアミノ酸配列をhGHのC部分と
称する)。従って、得られるプラスミドpT45Wは、メ
チオニンを介してhGHのAB部分と改良型RNアーゼ
T1とが結合した融合タンパク質を発現する。RNアー
ゼT1分子はメチオニンを含有していないので、この融
合タンパク質を、後に、メチオニンのC末端部で特異的
に切断させる臭化シアンを作用させることにより、融合
タンパク質から分離することができる。尚、上記プラス
ミドpT45Wの構築にプラスミドpGH−L9を用いた
のは、E.コリtrpプロモーターによるRNアーゼT1遺
伝子の直接発現がうまくいかず、一方hGHの合成遺伝
子がE.コリtrpプロモーターの制御下で安定かつ効率的
に発現されるという知見に基づいている。プラスミドp
GH−L9は、大腸菌HB−101に導入されて工業技
術院微生物工業研究所に寄託されており(寄託日:昭和6
1年11月22日、FERM p−9058)、プラスミ
ドpGH−L9の供給源として利用することができる。
【0008】次いで、常法によりプラスミドpT45W
をアンピシリン感受性の大腸菌、たとえばE.コリHB
101(F-,hsdS20{rB-,mB-},recA13,ara−1
4,proA2,lacY1,galK2,rpsL20(Smr),xyl−
5,mtl−1,supE44,λ-)に導入し、アンピシリン含
有培地で形質転換体を選択する。この形質転換体をアン
ピシリンを含有する適当な増殖培地で増殖させ、プラス
ミドpT45Wを取り出し、このプラスミドが正しい塩
基配列を有していることをジデオキシ法(文献14)によ
り確認する。この様にして確認されたプラスミドpT4
5Wを含有する形質転換体、即ち大腸菌HB−101/
pT45Wは工業技術院微生物工業研究所に寄託されて
いる(寄託日:昭和61年11月22日、FERM p−9
057)。
【0009】上記形質転換体を増殖させ、適当なOD
660値となった時に3−インドールアクリル酸を加える
ことにより、融合タンパク質を発現させる。融合タンパ
ク質発現量の測定は、hGHのAB部分とRNアーゼT
1との融合タンパク質が、完全なhGHの5%の効率で
抗体によって認識されるという知見に基づいて行なっ
た。すなわち、菌体を集め、常法によりこれを溶菌し、
DNアーゼI処理した後、ファデバス(Phadebas)hGH
PRISTキットによるhGHのラジオイムノアッセ
イによって、融合タンパク質の定量を行なう(文献1
1)。
【0010】融合タンパク質からのRNアーゼT1の切
り出しは、既述したように、メチオニンに特異的な臭化
シアンを用いて行なう。臭化シアンによる切断反応終了
後の溶液をNH4HCO3に対して透析した後酵素活性を
測定する。すなわち、この溶液に、5' 水酸基を[γ32
−P]ATPおよびポリヌクレオチドキナーゼでラベル
した基質32pGpCを加えて反応させ、ホモクロマトグラ
フィー法(文献12)によって32pGpの初期生成量を測定
し、これを時間に対してプロットし、その傾きから初速
度を求めることによって酵素活性測定を行なう。測定結
果を後記表1に示すが、本発明の改良型RNアーゼT1
は天然型RNアーゼT1に比べてその活性が42%高い
ことがわかった。
【0011】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく
説明する。実施例で使用したポリヌクレオチドキナー
ゼ、DNAリガーゼ、BglIIおよびSalI制限酵素は
(株)宝酒造より入手した。DNアーゼIはベーリンガー
・マンハイム社より入手した。リゾチームはシグマ社よ
り入手した。基質pGpCは、オーツカ等の方法(文献8)
に従ってジヌクレオチドGpCを合成した後、その5'水
酸基をポリヌクレオチドキナーゼでリン酸化して調製し
た(文献9)。
【0012】実施例1 オリゴデオキシヌクレオチドの
合成 A.MU10およびML10以外のオリゴデオキシヌク
レオチドの固相法による合成 A−1.ヌクレオシド樹脂の合成 以下のフロ−チャ−ト1に示すようにしてヌクレオシド
樹脂10を合成した。
【化4】
【化5】
【0013】1) 3'−{5'−O−ジメトキシトリチ
ル−(デオキシリボヌクレオシド)}モノサクシネート
(7)の合成 3'−(5'−O−ジメトキシトリチルチミジニル)モノサ
クシネ−トの合成例を示す。ジメトキシトリチルチミジ
ン2.72g(5mモル)をピリジンと共沸した後、塩化メ
チレン20mlに溶解し、無水コハク酸750mg(7.5m
モル)および4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)9
16mg(7.5mモル)を加えて2時間撹拌した。TLC(
CHCl3:MeOH=20:1) で原料の消失を確認し、
0.5M KH2PO4(pH5)(20ml×2回)で洗浄した
後、水洗(20ml×2回)し溶媒を留去した。精製はC1
8シラン化シリカゲルカラムにより行なった。収量 3.
14g(4.88mモル)、収率97.5%。
【0014】2) ペンタクロロフェニル3'−{5'−O
−ジメトキシトリチル−(デオキシリボヌクレオシド)}
サクシネ−トの合成 ペンタクロロフェニル3'−(5'−O−ジメトキシトリ
チル チミジニル)サクシネ−トの合成例を示す。ジメト
キシトリチルチミジニルモノサクシネ−ト3.14g(4.
9mモル)をN,N−ジメチルホルムアミド34.1mlに溶
解し、ペンタクロロフェノ−ル1.43g(5.4mモル)と
N,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド1.51g(7.
3mモル)を加えて室温で一晩撹拌した。TLC(CHCl
3:MeOH=10:1)で反応の完結を確認した後、沈澱
を濾別し溶媒を留去した。残査にベンゼン15mlを加え
て析出する不溶物を濾別した後、ベンゼンを留去した。
この残査をクロロホルム15mlに溶解し、n−ペンタン
中に滴下して粉末化した。収量3.89g(4.35mモ
ル)、収率89.2%。
【0015】3) ヌクレオシド樹脂(10)の合成 チミジン−ポリスチレン樹脂(N・T)の合成例を示す。
アミノメチル化ポリスチレン(、1% ジビニルベンゼ
ン、NH2:0.20mモル/g)2.5g(0.5mモル)をN,
N−ジメチルホルムアミド15mlに懸濁し、ペンタクロ
ロフェニル3'−(5'−O−ジメトキシトリチル チミジ
ニル)サクシネ−ト1.34g(1.5mモル)とトリエチル
アミン0.23ml(1.15mモル)を加えて一晩振盪し
た。反応液を濾過し、樹脂をN,N−ジメチルホルムア
ミド(20ml×2回)およびピリジン(20ml×2回)で洗
浄した後、0.1M 4−ジメチルアミノピリジンのピリ
ジン溶液4.5mlと無水酢酸0.5mlを加えて10分間振
盪した。反応液を濾過し、樹脂をピリジン(20ml×3
回)、ジクロロメタン(20ml×3回)およびエ−テル(2
0ml×3回)で順次洗浄後乾燥させた。
【0016】ヌクレオシドの定量は、チミジン−ポリス
チレン樹脂10mgに2%ベンゼンスルホン酸の塩化メチ
レン−メタノ−ル(7:3 v/v)溶液2mlを加えて1分間
振盪し、反応液の1/100をとって溶媒を留去した
後、残査にHClO4−EtOH(3:2 v/v)3mlを加
え、λ=500nmにおける吸光度を測定することにより
行なった。以上、塩基がチミンであるヌクレオシドにつ
いて記載したが、他の塩基を持つヌクレオシド樹脂の場
合も同様の方法で調製した。
【0017】A−2.オリゴデオキシヌクレオチドの合
A−1で得たヌクレオシド樹脂20〜30mg(3〜5μ
モル)に対し下記の表1の操作を繰り返すことにより行
なった。工程1〜5で、塩化メチレン−メタノ−ル(7:
3 v/v)中の2%ベンゼンスルホン酸により5'水酸基
の保護基であるジメトキシトリチル基を除去し、次に工
程6〜9で、常法により合成したダイマ−ブロックまた
はモノマ−を樹脂に対して3〜4当量用いて縮合した。
縮合剤メシチレンスルホニルニトロトリアゾリドは樹脂
に対して15〜20当量用い、縮合反応は、40℃で2
0分間、30℃で30分間、室温(20〜25℃)で40
分間行なった。縮合させた後、前記フローチャートの工
程10〜12で未反応の5'−水酸基を、4−ジメチル
アミノピリジン触媒下、無水酢酸でキャッピングを行な
った。この一連の操作を目的鎖長に達するまで行なっ
た。(フロ−チャ−ト1の化合物番号1113参照)。
【表1】 工程 処 理 試 剤 ま た は 溶 媒 量 反応時間 操作回数 1 CH2Cl2−MeOH(7:3) 2ml 0.5分 3 2 2% BSA 2ml 1分 1 [CH2Cl2−MeOH(7:3)中] 3 CH2Cl2−MeOH(7:3) 2ml 0.5分 1 4 2% BSA 2ml 1分 1 [CH2Cl2−MeOH(7:3)中] 5 CH2Cl2−MeOH(7:3) 2ml 0.5分 2 6 ピリジン 2ml 0.5分 3 7 ピリジン 0.3ml 共蒸発 1 8 ダイマー・ブロック(3−4eq.) 20−30mg 共蒸発 1 (ピリジン中) /0.3ml 9 MSNT(15−20eq.) 20−30mg 20分 1 (ピリジン中) /0.3ml (40℃) 10 ピリジン 2ml 0.5分 2 11 0.1M DMAP(ピリジン中) 1.8ml 3分 1 Ac2O 0.2ml 12 ピリジン 2ml 0.5分 3
【0018】A−3.オリゴデオキシヌクレオチドの樹
脂からの切り出し、脱保護、精製および同定 目的鎖長に達したヌクレオチド樹脂をジオキサンで洗浄
した後、0.5M 1,1,3,3−テトラメチルグアニジ
ウム−syn−ピリジン−2−アルドキシメ−トのジオキ
サン−水(9:1)溶液1mlを加え、30℃で一晩振盪し
た。溶液を濾過した後、樹脂を50%ピリジン水で洗浄
した。濾液と洗液を留去し、残査にピリジン0.5mlと
アンモニア水(28% NH4OH)10mlを加えて封管
し、55℃で5時間加熱した後、溶媒を留去し、シリカ
ゲルカラムクロマトグラフィ−により精製した。目的物
を含むフラクションについて溶媒を留去した後、80%
酢酸1mlを加えた。20分後溶媒を留去し、水で共沸を
行なった。残査を水3mlに溶解し、酢酸エチル(3ml×
3回)でトリタノ−ルを抽出除去した後、水層を留去し
た。得られた完全脱保護遺伝子断片をC18HPLCに
より分析分取を行なった。更にこれをイオン交換HPL
Cにより分析し、不純物が認められる時は分取し、HP
LCで単一ピ−クとなるまで精製を行なった。精製した
遺伝子断片は二次元ホモクロマトグラフィ−(Mobility
Shift Analysis)および5'−末端分析によりその塩基
配列が正しいことを確認した。
【0019】B.オリゴデオキシヌクレオチド MU1
0およびML10の合成 原料となる4種のホスホアミダイトはヌクレオシドの塩
基部のアミノ基を常法により保護した後、文献7の方法
に従ってアミデ−ト体としたものを用いた。オリゴヌク
レオチドの合成はアプライド・バイオシステム社のDN
Aシンセサイザ−(Model 380A)を用いて行なっ
た。脱保護は5'水酸基の保護基であるジメトキシトリ
チル基以外の保護基についてDNAシンセサイザ−中で
行い、以後、上記A−3と同様にしてオリゴヌクレオチ
ドの精製、同定を行なった。
【0020】実施例2 改良型RNアーゼT1をコード
しているDNA配列を含有するBglII−SalIフラグメ
ントの調製 A.5'リン酸化 U1、L21以外の各オリゴヌクレオチド0.1OD(≒
750pモル、5μg)を、50mM トリス・HCl(pH
8.0)、10mM MgCl2、10mM β−ME、1mM
スペルミン緩衝液中、10μモルのATPと6Uのポリ
ヌクレオチドキナーゼを加えて10μlとし、37℃で
1時間反応させ、5'水酸基をリン酸化した(U1とL2
1の5'水酸基は制限酵素部位となっているので、先に
リン酸化してから結合反応を行なうとダイマーになるた
め、結合反応を行なってからリン酸化を行なった)。反
応後90℃で3分間加熱して酵素を失活させた。
【0021】B.セグメントの調製 U1、L21および5'リン酸化したオリゴヌクレオチ
ドを、図2に示した各セグメント(I〜IV)の構成要素ご
とに1本のチューブに集めて混和し、66mMトリス・
HCl(pH7.6)、6.6mM MgCl2、0.5mM ATP
緩衝液150μlとなるようにして90℃で3分間熱処
理を行ない、直ちに氷につけて急冷した。10分後再び
75℃に加熱してから室温(20℃〜25℃)まで1〜2
時間かけて放冷し、アニーリングを行なった。この後1
5℃で10分間保った後、β−MEを10mMになるよ
うに加え、T4DNAリガーゼを30U加え、15℃で
12〜15時間反応させた(セグメントIIIについては反
応の収率を上げるため2つに分けそれぞれをアニーリン
グさせ、2〜3時間結合反応を行なわせた後、1つに混
和した)。反応後、65℃で5分間加熱して酵素を失活
させ、続いてエタノール沈澱によりDNAを回収した。
10%PAGE(ポリアクリルアミド電気泳動、サイズ
(0.1×20×20cm)、CV175V、3〜4時間)を
行ない、目的の鎖長のセグメントのバンド部から電気溶
離によりDNAを回収し、フェノール処理、エタノール
沈澱を行ない、各セグメント15〜25μg(225〜3
75pモル)を得た。
【0022】C.BglII−SalIフラグメントの調製 各セグメントを3.3μg(50pモル)用いて前述の緩衝
液中、T4DNAリガーゼを15U加えて結合反応を行
なった。この際アニーリングは行なわず、20℃で12
〜15時間反応させた。反応後65℃で5分間処理し、
エタノール沈澱後、5%PAGE(サイズ 0.1×20
×20cm)を行なった。RNアーゼT1遺伝子の鎖長に
対応する部分のバンドを電気溶離により回収し、フェノ
ール処理、エタノール沈澱を行なった。さらに前述の条
件下、6Uのポリヌクレオチドキナーゼを用いてフラグ
メントの両5'末端部をリン酸化して、改良型RNアー
ゼT1をコードしているDNA配列を含有するBglII−
SalIフラグメント約1μg(3.8pモル)を得た。
【0023】実施例3 プラスミドpT45Wの構築 改良型RNアーゼT1をコードしているDNA配列を含
有する組み換えDNA発現ベクター、プラスミドpT4
5Wは、イケハラ等の方法(文献6および10)に従い、
以下のようにして調製した(図3参照)。緩衝液{20mM
トリス・HCl(pH7.6)、7mM MgCl2、10mM
β−ME、175mM NaCl}100μl中のプラスミド
pGH−L9(10μg)を、37℃で3時間、BglIIおよ
SalI制限酵素それぞれ20単位で消化した。この溶
液をフェノール抽出し、次いでエーテル洗浄することに
よって制限酵素を除去した。次いでBglII−SalI消化
フラグメントをエタノール沈殿させ、10mMトリス−
HCl(pH7.5)および1mMのEDTA溶液50μlに
溶解した。このBglII−SalIフラグメント(0.67p
モル)と実施例2で調製したBglII−SalIフラグメン
ト(2〜5pモル)を、20℃で一晩、T4 DNAリガ
ーゼ(1.2単位)を用いてライゲートした(合計容量2
0μl)。この溶液をフェノール抽出した後、DNAをエ
タノール沈殿させ、得られた沈殿ペレットをE.コリの
形質転換に用いた。
【0024】実施例4 E.コリHB101の形質転換 モリソン等の方法(文献15)により予め調製したコンピ
テントな細胞100μlおよび実施例3で調製したベク
ターDNA溶液10μlを混合し、1時間放置した後、
42℃で75秒間処理し、室温で5分間放置した。これ
にLB培地900μlを加え、37℃で1時間培養し
た。これを集菌し、LB培地100μlに懸濁し、寒天
培地[1.5%(w/v)寒天、LB、40μg/mlアンピシ
リン]にまいて37℃で一晩培養した。次いで、形質転
換体を20μg/mlのアンピシリンを含有するM9−カ
ザミノ酸培地で増殖させた。菌体を集めて溶菌し、プラ
スミドを回収した。ジデオキシ法(文献14)によってこ
のプラスミドの塩基配列を調べ、BglII−SalIフラグ
メントを含有していることを確認し、このプラスミドを
pT45Wと命名した。
【0025】実施例5 融合タンパク質の発現および粗
酵素の調製 A.融合タンパク質の発現 0.2%(重量/容量)カザミノ酸および40μg/mlアン
ピシリンを含有するM9培地[5.5g/LのNa2HP
4、3g/LのKH2PO4、5g/LのNaCl、1g/L
のNH4Cl、0.4%(重量/容量)のブドウ糖、1mMの
MgSO4、および0.1mMのCaCl2]5ml中、37℃で
約15時間、実施例4で調製したE.コリHB101の
形質転換体、E.コリHB101/pT45Wを前培養し
た。次いで、この前培養液1.5mlを、上記のカザミノ
酸およびアンピシリン含有のM9培地50mlに加え、3
7℃で振盪培養した。1〜1.5時間後、OD660=0.
01〜0.02となった時にIAA(3−インドールアク
リル酸)を終濃度が40μg/mlになるように加え、hG
HのAB部分と改良型RNアーゼT1の融合タンパク質
の発現を誘導し、さらに7時間培養した。
【0026】B.融合タンパク質発現量の測定 集菌後、菌体をTEN[10mMトリス−HCl(pH8.
0)、1mMのEDTAおよび0.1MのNaCl]で洗浄
し、次いで、50mMトリス−HCl(pH8.0)、50m
MのEDTA、15%(重量/容量)シュクロースおよび
0.025%(重量/容量)SDSからなる溶液にリゾチ
ームを1mg/mlになるように加えた溶液中に入れて、0
℃で30分間放置した。次いで、900μlの150mM
トリス−HCl(pH7.5)、280mM MgCl2、4mM
CaCl2および100μlの1mg/mlDNアーゼIを加え
て、0℃で30分間放置し、その後凍結乾燥した。これ
を用いて、ファデバスhGH PRISTキットによるh
GHのラジオイムノアッセイにより、融合タンパク質の
発現量を測定した(文献11)。その結果、融合タンパク
質の発現量は、M9培地100mlあたり18.9μg、全
タンパク質あたり0.31%であることがわかった。
【0027】C.改良型RNアーゼT1の融合タンパク
質からの切り出し 実施例5−Bで得た凍結乾燥物を用いて改良型RNアー
ゼT1の切り出しを行なった。70%ギ酸および10m
Mの2−メルカプトエタノールの溶液に臭化シアンを5
mg/mlとなるように加えた。この溶液にタンパク質を3
mg/mlになるように加え、4℃で24時間反応させた。
反応後、50〜10mMのNH4HCO3に対して透析を
行ない、ギ酸およびBrCNを除き、液が中性であるこ
とを確認してこれを活性測定用の粗酵素とした。
【0028】D.RNアーゼT1活性の測定 5'水酸基を[γ−32P]ATPとポリヌクレオチドキナ
ーゼでラベルした基質32pGpCの濃度を150μM、改
良型RNアーゼT1の濃度を0.5ng/μl(45.1nM)
にし、トリス−HCl(pH7.5)およびEDTAの濃度
をそれぞれ50mMおよび1mMにした全量20μlの溶
液を37℃で反応させた。反応開始から0、2、5、1
0、15および30分後に3μlづつDEAE−セルロ
ースプレートにスポットし、ホモミックスVIを用いてホ
モクロマトグラフィー(文献12)を行なった。X線フイ
ルムを感光させ、それをもとにしてプレートの各スポッ
ト部分を切り取ってバイアルに入れ、液体シンチレーシ
ョンカウンターによって放射能を測定した。32pGpの生
成量を時間に対してプロットし、その傾きから初速度を
求めた。得られた結果を、天然型RNアーゼT1につい
て同様に試験して得た結果と合わせ表2に示す。
【表2】 供試酵素 初 速 度 相対活性 (pモル/分/μl) (%) 天然型RNアーゼT1 3.5 ±0.4 100 改良型RNアーゼT1 4.97±0.47 142
【0029】引用文献 1.タカハシ(K.Takahashi)、ジャーナル・オブ・バ
イオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)、24
、2117(1965) 2.タカハシ(K.Takahashi)、ジャーナル・オブ・バ
イオケミストリー(J.Biochem.)、98、815(19
85) 3.ハイネマン等(U.Heinemann et al.)、ネイチャ
ー(Nature)、299、27(1982) 4.スギオ等(S.Sugio et al.)、FEBSレターズ
(FEBS Lett.)、181、129(1985) 5.スギオ等(S.Sugio et al.)、FEBS Let
t.、183、115(1985) 6.イケハラ等(M.Ikehara et al.)、プロシーディ
ングス・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サンエ
ンシーズ・米国( Proc.Natl.Acad.Sci.USA)、
、5956(1984) 7.バロン等(A.D.Barone
et al.)、ヌクレイック・アシッズ・リサーチ(Nucl
eic Acids Res.)、12、4051(1984) 8.オーツカ等(E.Ohtsuka et al.)、テトラヘドロ
ン(Tetrahedron)、40、47(1984) 9.リチャードソン(C.C.Richardson)、Proc.Natl.
Acad.Sci.USA、54、158(1965) 10.イケハラ等(M.Ikehara et al.)、Proc.Natl.
Acad.Sci.、83、4695(1986) 11.ゲーデル等(D.V.Goeddel et al.)、Natur
e、281、544(1979) 12.ジェイ等(E.Jay et al.)、Nucleic Acids
Res.、、337(1974) 13.草間慶一、トレーサー実験法(上)(生化学実験講座
6)、日本生化学会編、東京化学同人、201(197
7) 14.サンガー等(F.Sanger et al.)、Proc.Natl.
Acad.Sci.、74、5463(1977) 15.モリソン等(P.A.Morrison et al.)、メソッ
ズ・エンザイモル(Methods Enzymol.)、68、32
6(1979)
【図面の簡単な説明】
【図1】 天然型RNアーゼT1の1次構造を示す模式
図である。
【図2】 改良型RNアーゼT1をコードしているDN
A配列を含有するBglII−SalIフラグメント調製の工
程図である。
【図3】 組み換えDNA発現ベクター、プラスミドp
T45W構築の工程図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12N 9/22 C12R 1:19)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 天然型RNアーゼT1のアミノ末端から
    45番目のチロシンをトリプトファンに置換した改良型
    RNアーゼT1をコードしているDNA配列。
  2. 【請求項2】 以下の塩基配列: 【化1】 で示される請求項1に記載のDNA配列。
  3. 【請求項3】 天然型RNアーゼT1のアミノ末端から
    45番目のチロシンをトリプトファンに置換した改良型
    RNアーゼT1をコードしているDNA配列を含有する
    組み換えDNA発現ベクター。
  4. 【請求項4】 プラスミドpT45Wである請求項3に
    記載のベクター。
  5. 【請求項5】 天然型RNアーゼT1のアミノ末端から
    45番目のチロシンをトリプトファンに置換した改良型
    RNアーゼT1をコードしているDNA配列を含有する
    組み換えDNA発現ベクターで形質転換した細菌細胞。
  6. 【請求項6】 E.コリHB101/pT45Wである請
    求項5に記載の細菌細胞。
JP7051048A 1995-03-10 1995-03-10 改良型rnアーゼt1 Expired - Lifetime JP2561060B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7051048A JP2561060B2 (ja) 1995-03-10 1995-03-10 改良型rnアーゼt1

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7051048A JP2561060B2 (ja) 1995-03-10 1995-03-10 改良型rnアーゼt1

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28154486A Division JPH0787782B2 (ja) 1986-11-25 1986-11-25 改良型rnア−ゼt1

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0847395A JPH0847395A (ja) 1996-02-20
JP2561060B2 true JP2561060B2 (ja) 1996-12-04

Family

ID=12875926

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7051048A Expired - Lifetime JP2561060B2 (ja) 1995-03-10 1995-03-10 改良型rnアーゼt1

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2561060B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0847395A (ja) 1996-02-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA1266628A (en) Manufacture and expression of structural genes
KR950000299B1 (ko) 융합 단백질의 제조방법
US6365379B1 (en) Zinc finger peptide cleavage of nucleic acids
EP0119621A1 (en) Interleukin-2
JP2554459B2 (ja) β−ウロガストロン遺伝子、対応プラスミド組換体及び対応形質転換体
US5149657A (en) Escherichia coli expression vector encoding bioadhesive precursor protein analogs comprising three to twenty repeats of the decapeptide (Ala-Lys-Pro-Ser-Tyr-Pro-Pro-Thr-Tyr-Lys)
EP0095350A2 (en) A method of producing human gamma-interferon-like polipeptide
EP0108387B1 (en) Preparation of recombinant growth releasing factors
US5457033A (en) Preparation of polypeptides having an amide carboxyl terminal end
JPH088868B2 (ja) Dna配列、その調製法、該配列を含むプラスミドおよび原核細胞における真核細胞遺伝子生産物の合成のためのそれらの利用
EP0095351B1 (en) A precursor of a c-terminal amidated peptide and production thereof
EP0259891B1 (en) [Leu 13] motilin, DNAs coding for same and methods for producing same
JP2561060B2 (ja) 改良型rnアーゼt1
US4711847A (en) Preparation of secretin
US5545564A (en) Vector for expression and secretion of polypeptide microorganism transformed by the vector and production of polypeptide with the same microorganism
JP2641263B2 (ja) 耐熱型rnアーゼt1
US5252482A (en) Precursor of a C-terminal amidated calcitonin
JPH0787782B2 (ja) 改良型rnア−ゼt1
JPH0712312B2 (ja) 改良された抗生物質耐性遺伝子
JPS61152695A (ja) 長鎖dnaの合成法
US5721353A (en) DNAs coding for LCU13 ! motilin
US5695952A (en) Method for producing Leu13 !motilin
JP2599111B2 (ja) ヒト・ガンマ・インターフェロン様ポリペプチド発現用のポリデオキシリボヌクレオチド
EP0197558A2 (en) Process for production of somatostatin
JPH0687779B2 (ja) 合成構造遺伝子