JP2548500B2 - 排水栓装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、洗面器，洗髪器等の水
槽あるいは浴槽等に用いられる排水栓装置、詳しくはス
ラストロック機構と任意箇所に設置した操作部とによっ
て栓蓋の開閉を遠隔操作する排水栓装置の改良に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来この種の排水栓装置は、洗面器等の
槽底部の排水口に上下開閉可能な状態で嵌挿した栓蓋
を、該栓蓋下位の排水口内に取付け固定した従来周知の
スラストロック機構によって開栓及び閉栓状態でロック
するように保持すると共に、該スラストロック機構とカ
ウンター等の任意の場所に設置した操作部とをレリース
ワイヤーによって連絡し、操作部の押圧操作によってワ
イヤーをスラストロック機構側へと摺動せしめてスラス
トロック機構を作動させると共に上記栓蓋を開閉操作し
ていたものである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記せるよう
に従来はレリースワイヤーによって遠隔操作を行ってい
たが、レリースワイヤーが高価であったためコスト高で
あったと共に、ワイヤーの摺動時における摺動音やワイ
ヤーの先端が当たったときに鳴る金属音が大変耳障りで
あったという不具合をも有していた。本発明は、従来技
術の有するこのような問題点に鑑みなされたものであ
り、その目的とするところは、レリースワイヤーに代わ
って流体を利用し、その流体の噴出圧によって遠隔操作
するものとして、コスト低廉化を図ると共に、使用時に
生じる不快音を合理的に解消せしめることである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、槽底部の排水口を開閉する栓蓋の下面略中
心部に支軸を一体的に設け、該支軸を上記排水口内に取
り付け固定したスラストロック機構に嵌装して、同スラ
ストロック機構が具備する歯係合機構により上下動せし
めることにより、上記栓蓋を開栓及び閉栓状態でロック
するように保持し、上記支軸の軸芯部に下端が開口する
凹孔を形成し、該凹孔内に、スラストロック機構側の固
定部材に対して垂直且つ上向きに取り付け支持した噴出
ノズルを流体通過用のクリアランス介してスライド自在
に嵌挿し、上記噴射ノズルの基端と所望の流体供給側と
を流体供給路を介して連絡すると共に、上記供給側に操
作レバーの作動によって開閉する弁部を設けて操作部を
構成して成るものである。

【０００５】

【作用】上記技術的手段によれば、槽底部の排水口に装
着される栓蓋は、一体的に設けた支軸がスラストロック
機構に嵌装せしめてあり、上記支軸がスラストロック機
構が具備する歯係合機構によって上下動することによ
り、栓蓋が開栓若しくは閉栓される。上記支軸の軸芯に
は凹孔が形成され、この凹孔内に噴出ノズルが所定のク
リアランスを介してスライド自在に嵌挿してある。よっ
て、操作部の操作レバーを操作して操作部の弁部を開弁
させると、流体供給側から供給される流体が供給路を介
して上記噴出ノズルから噴出する。噴出ノズルから噴出
した流体は支軸の凹孔内に向けて噴出され、凹孔と噴出
ノズルの間に設けた流体通過用のクリアランスを流動す
る間に減衰した後、スラストロック機構の外部へ流出す
る。また、上記したように噴出ノズルから噴出した流体
の圧力により支軸及び栓蓋が上方へ移動し、スラストロ
ック機構の歯係合機構が作動して上部移動位置にてロッ
クされる。これにより栓蓋が開栓状態を維持する。ま
た、次ぎに操作部の操作レバーを操作すると、上記した
と同様に流体の圧力により再び支軸が上方へ移動し、ス
ラストロック機構の歯係合機構が作動して下部移動位置
にてロックされ、栓蓋が閉栓状態となる。以後、操作レ
バーを操作する度に栓蓋が上下に移動し、開栓位置と閉
栓位置との間を交互に繰り返し移動する。

【０００６】

【実施例】以下本発明の一実施例を図に基づいて説明す
ると、図中Ａは本発明排水栓装置を示し、洗髪器ａ等の
槽底部１の金具取付口２に取り付け設置される排水口金
具３と、該排水口金具３設置により形成される排水口ｂ
に上下開閉可能な状態で嵌挿する栓蓋４と、該栓蓋４を
開栓及び閉栓状態でロックするように保持するスラスト
ロック機構５と、洗髪器ａの上縁面６に設置し、流体供
給路８を介して上記スラストロック機構５を遠隔操作す
る操作部７を基本に構成されている。

【０００７】排水口金具３は、筒状体に形成されると共
に内面に支持体３ａを突設してなり、上記金具取付口２
内に嵌合させると共に、下端に排水管（図示省略）を接
続する。

【０００８】そして、該支持体３ａの中心部に穿設した
保持部３ｂを介してスラストロック機構５を固着して保
持する。

【０００９】スラストロック機構５は、従来周知の構造
を有し、例えば図示せるように筒状の外ケース５ａの中
心部に沿って栓蓋４を下から接合支持する支軸５ｂが上
下摺動自在に嵌挿されると共に、該支軸５ｂの下端に一
体的に設けられる歯合体５ｃ′と、外ケース５ａの内周
面に形成される歯合体５ｃ″との係合構造５ｃ、及び該
係合構造５ｃの中心部で支軸５ｂの下位に位置する噴出
ノズル９とからなり、該噴出ノズル９から上記支軸５ｂ
の下端に向けて操作部７の開弁操作によって噴出する所
望水圧によって支軸５ｂが押動される度に、係合構造５
ｃによって支軸５ｂを上端（開栓側）と下端（閉栓側）
とにロックする。尚、図示せるスラストロック機構５は
一実施例を示すに過ぎず何等これに限定されるものでな
く、本発明の範囲内における変更は任意である。

【００１０】操作部７は、水道水等の所望な流体供給側
１０と連絡し、本体７ａの上端に操作レバー７ｂを備え
ると共に、該操作レバー７ｂの押杆７ｃによる押圧で開
弁する弁部７ｄを上記供給側１０の排出口１０ａ寄りの
流路７ｅ内に備え、そして該弁部７ｄの下流側（図中に
おいて弁部７ｄの上方）の本体７ａ側面に流体供給路８
接続用の接続口７ｆを設けてなり、洗髪器ａの上縁面６
等に配設し、操作レバー７ｂのみを上縁面６に突出せし
める。尚、上記流体は水道水であってもよいが何等制約
は受けないものである。例えば、後述するようにコンプ
レッサー等の圧送装置から供給される圧搾空気を作動流
体として利用してもよい。

【００１１】流体供給路８は、可撓性を有する管状体が
好ましく、一端８ａ（上流側）を上記操作部７の接続口
７ｆに接続すると共に、他端８ｂ（下流側）を上記スラ
ストロック機構５の噴出ノズル９の下位に接続してな
る。尚、いうまでもないが該供給路８は、その内径が上
記噴出ノズル９の内径よりも大径のものとする。また図
示せしめないが上記各構成と共に、他の所望な機構、例
えば流れ込む髪の毛等をキャッチするヘアーキャッチャ
ー等を取り入れてもよいものである。

【００１２】従って、操作レバー７ｂの押圧操作によっ
て弁部７ｄの弁体７ｄ′が弁座７ｄ″から離れて適宜開
弁され、流体供給側１０から所望量の水道水（流体）が
流路７ｅ内を介して流体供給路８内に供給され、噴出ノ
ズル９から支軸５ｂ下端に向けて所望量の水道水が噴出
（例えば1.8 〜2.5 kg／cm2 ）され、該水道水の噴出圧
によって支軸５ｂが押し上げられると共に回転して上端
側でロックされて栓蓋４が開栓し、次に上記操作レバー
７ｂを再び押圧操作すると、再度開弁されて支軸５ｂに
向けて所望量の水道水が噴出し、上記支軸５ｂが押し上
げられると共に回転してロックが外れて下端まで移動し
て栓蓋４が閉栓される。上記した排水栓装置は、操作部
７の操作レバー７ｂを押圧操作することにより弁部７ｄ
を開弁し、供給される水道水の噴出圧力をスラストロッ
ク機構５の支軸５ｂに対して作用させることにより支軸
５ｂ及び栓蓋４を所定のストロークで作動させるもので
あるから、操作レバー７ｂの操作ストロークを最小限の
ストロークに押えることができる一方、排水口ｂに十分
な開口面積を与えることのできる大きなストロークで栓
蓋４を開栓、閉栓させることができる。

【００１３】尚、上記した実施例は、スラストロック機
構５の支軸５ｂを押し上げるための作動流体として水道
水を利用したが、作動流体としては水道水の他に空気を
利用してもよい。例えば、上記流体供給側１０をコンプ
レッサへ連絡して圧搾空気の供給を受けるように構成す
ると、前記と同様に操作部７のレバー７ｂを押圧操作し
て開弁することで、流体供給路８を介して圧搾空気の供
給が行なわれ、噴出ノズル９から支軸５ｂ下端に向けて
所要圧力の圧搾空気が噴出し、この噴出圧力により支軸
５が押し上げられて栓蓋４が開栓若しくは閉栓される。

【００１４】

【発明の効果】本発明は上記のような構成とし、従来高
価であったレリースワイヤー等に代えて噴出ノズルから
の流体の噴出圧によって栓蓋の開閉を遠隔操作するた
め、構造の簡素化や低廉化が有効に図れると共に、従来
のようなワイヤーの摺動、当接による摺動音や金属音等
の使用時における不快音の発生が皆無となり使用者に不
快感を与えず使用勝手に優れているため大変有用であ
る。また、レリースワイヤー使用等の機械的構成を取っ
ていないため、その部位における破損，故障等の心配が
無い。また、操作部の弁部を開閉することにより流体を
導入し、この流体噴出力によりスラストロック機構を作
動させるものであるから、操作部の弁部を開閉し得る最
小限のストロークで操作レバーを操作するだけで、十分
な排水を確保し得る大きなストロークで栓蓋を開栓及び
閉栓させることができ、良好な操作性と栓蓋の確実な開
閉作動を実現できすることができる。さらに、噴出ノズ
ルから噴出された流体は、支軸の凹孔内に噴出される際
の圧力により支軸及び栓蓋を上方へ移動させた後、凹孔
と噴出ノズルとの間に設けた流体通過用のクリアランス
を流動してエネルギーを十分に減衰した後にスラストロ
ック機構の外へ流出されるので、上記噴出ノズルから噴
出される流体が周囲の部材に与える強い圧力により、ス
ラストロック機構が具備する歯係合機構の一部が遊動し
て作動不良を生じるような不具合を確実に回避すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明排水栓装置の一実施例を一部切り欠くと
共に省略して示す全体正面図である。

【図２】操作部側の一実施例を拡大して示す縦断正面図
である。

【図３】スラストロック機構側の一実施例を拡大して示
す縦断正面図である。

【符号の説明】

ａ：洗髪器 ｂ：排水口 １：槽底部 ４：栓蓋 ５：スラストロック機構 ７：操作部 ７ｂ：操作レバー ７ｄ：弁部 ８：流体供給路 ９：噴出ノズル １０：流体供給側 １０ａ：排出口

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 槽底部の排水口を開閉する栓蓋の下面
   略中心部に支軸を一体的に設け、該支軸を上記排水口内
   に取り付け固定したスラストロック機構に嵌装して、同
   スラストロック機構が具備する歯係合機構により上下動
   せしめることにより、上記栓蓋を開栓及び閉栓状態でロ
   ックするように保持し、上記支軸の軸芯部に下端が開口
   する凹孔を形成し、該凹孔内に、スラストロック機構側
   の固定部材に対して垂直且つ上向きに取り付け支持した
   噴出ノズルを流体通過用のクリアランス介してスライド
   自在に嵌挿し、上記噴射ノズルの基端と所望の流体供給
   側とを流体供給路を介して連絡すると共に、上記供給側
   に操作レバーの作動によって開閉する弁部を設けて操作
   部を構成して成る排水栓装置。