JP2548336B2 - Ｆｍ復調器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、例えば衛星放送等の情報伝達の目的でFM変
調された信号を復調するためのFM復調器に関する。

従来の技術 衛星放送の受信システムには、小型かつ高性能なもの
が望まれており、室内受信機では、従来からのBSチュー
ナに加え、テレビあるいはビデオ内蔵型まで出現してき
ている。

第３図は衛星放送の受信システムを示す概要図であ
り、放送衛星１より送信されるKu-Band（12GHz）帯、あ
るいはC-Band（4GHz）帯の信号を受信するパラボラアン
テナ２と、このパラボラアンテナ２に装着されてパラポ
ラアンテナ２からの出力信号を1stIFと呼ばれる1GHz帯
の信号に周波数変換する低雑音コンバータなどの室外ユ
ニット３と、同軸ケーブル４により室内に引き込まれた
上記1stIFの信号を2ndIFに変換するために室内受信機５
に内蔵されたチューナ・ユニット６と、このチューナ・
ユニット６からの出力信号を復調するFM復調器７と、そ
の復調された信号を図示しないディエンファシス回路、
ビデオアンプ回路などで信号処理した後入力するモニタ
テレビ８とで構成されている。

上記衛星放送の受信システムの低コスト化を実現する
には、パラポラアンテナ２の小型化が最も効果的である
が、その反面、受信C/Nを低下させて画質の劣下を招く
ことになる。

そこで、画質の劣下を防ぎ、衛星放送の受信システム
のトータル・コストダウンに大きく寄与するために、復
調部のスレッショルド・レベルを下げることが要求され
る。そのため、復調部にはスレッショルド・レベルを下
げることができるPLL方式によるFM復調器が用いられる
ようになってきている。

第４図は従来のPLL方式によるFM復調器の構成を示す
ブロック図であり、入力端子９から増幅器10、バンドパ
スフィルタ（B.P.F）11を経て入力された入力信号の周
波数および位相と電圧制御発振器（以下、VCOと略称す
る）12の発振周波数および位相を比較する位相比較器13
と、この位相比較器13の出力信号より不要な雑音や妨害
信号を除去するループフィルタ（以下、LPFと略称す
る）14と、このLPF14の出力信号を増幅する直流電圧増
幅器（以下、ビデオアンプと略称する）15とで構成され
ている。16はビデオアンプ15からのFM復調信号を増幅し
て出力端子17に供給するバッファアンプである。

上記PLL方式によるFM復調器の構成要素のうち、ビデ
オアンプ15は、基板実装面積の縮小化とPLLのループ利
得を任意に設定できるようにする目的で、温度補償され
たビデオアンプとしてのICを使用することが多い。

発明が解決しようとする課題 しかしながら、上記従来のFM復調器では、ビデオアン
プがビデオ信号帯域の利得について温度補償されていて
も、直流オフセット電圧が温度によって変化することが
あり、これがPLL回路のフリーラン周波数を変化させ、
搬送色信号の微分利得、微分位相及び映像出力周波数特
性などのFM復調特性の温度特性を悪化させる原因とな
る。

ビデオアンプとしてのICの直流オフセット電圧の温度
による変化量は個々にばらつきがあるため、PLL回路を
構成するVCO12、位相比較器13などに故意に温度特性を
持たせても、これを補償することも困難であるという問
題があった。

本発明はこのような従来の問題を解決するものであ
り、ビデオアンプの直流オフセット電圧の温度変化を補
償し温度特性を安定化させるFM復調器を提供することを
目的とするものである。

課題を解決するための手段 本発明は上記目的を達成するために、温度特性がほぼ
同一の２つのトランジスタで構成した差動増幅器の一方
のトランジスタのベースを、ビデオアンプの出力端に直
接接続し、他方のトランジスタのベースを、ビデオ信号
が通過しない程度の大きさのインダクタンスを介して上
記ビデオアンプの出力端に接続したものである。

作用 したがって、本発明によれば、差動増幅器は、これを
構成する２つのトランジスタのベース電圧の差成分を増
幅するから、ビデオアンプの温度変化に伴う出力オフセ
ット電圧の変化は、この変化を２つのトランジスタのベ
ースに入力することによってキャンセルさせることがで
きる。また、ビデオ信号は一方のトランジスタには入力
されるが、他方のトランジスタにはインダクタンスによ
って入力が遮断されるため、ビデオ信号のみ差動増幅器
で増幅することができる。

実施例 第１図は本発明の一実施例の構成を示すものである。

第１図において、24は位相比較器であり、この位相比
較器24は入力端子21から増幅器22、バンドパスフィルタ
23を経て入力された入力信号の周波数および位相とVCO2
8の発振周波数および位相を比較する。

25は位相比較器24の出力信号より不要な雑音や妨害信
号を除去するLPF、26はLPF25の出力信号を増幅するビデ
オアンプである。

27は電流増幅率（h_EE）などの温度特性がほぼ同一の
２つのトランジスタ29,30と、そのコレクタ抵抗31,32
と、そのエミッタに接続された定電流源33とで構成され
た差動増幅器であり、上記トランジスタ29のベースには
直接ビデオアンプ26の出力端が接続され、トランジスタ
30のベースにはビデオ信号が通過しない程度の大きさの
インダクタンス34を介してビデオアンプ26の出力端が接
続されている。

また、上記トランジスタ29のコレクタには、復調信号
を増幅して出力端子36に供給するバッファアンプ35が接
続され、トランジスタ30のコレクタはVCO28の発振周波
数制御端子へ接続されている。

第２図は、従来のPLL方式によるFM復調器のフリーラ
ン周波数温度特性18と本発明のPLL方式によるFM復調器
のフリーラン周波数温度特性38を表した図である。

第１図に示す実施例の構成のFM復調器によれば、ビデ
オアンプ26の温度変化に伴う出力オフセット電圧の変化
は、差動増幅器27を構成するトランジスタ29,30のベー
スに入力することによってキャンセルされ、この結果、
第２図から明らかなように、−10℃の時においては0.2M
Hz、＋60℃の時においては3MHzだけ温度特性が改善され
ている。

上記実施例においては、IC化されたビデオアンプを使
用した場合の実装法で説明したが、ディスクリートで組
んだ直流電圧増幅器であっても、上記実施例と同様の効
果を奏する。

発明の効果 本発明は上記実施例より明らかなように、PLL回路を
構成する直流電圧増幅器の出力端を、差動増幅器を構成
する温度特性がほぼ同じの２つのトランジスタの一方の
ベースには直接接続し、他方のベースにはビデオ信号が
通過しない程度の大きさのインダクタンスを介して接続
したので、直流電圧増幅器の温度変化に伴う出力オフセ
ット電圧の変化は差動増幅器でキャンセルされ、ビデオ
信号のみが増幅出力され、FM復調器としての温度特性を
安定化させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例によるFM復調器を示すブロッ
ク図、第２図は本発明によるFM復調器のフリーラン周波
数の温度特性と従来のFM復調器のフリーラン周波数の温
度特性を示す特性図、第３図は衛星放送の受信システム
を示す概略ブロック図、第４図は従来のFM復調器のブロ
ック図である。 24……位相比較器、25……ループフィルタ、26……直流
電圧増幅器、27……差動増幅器、28……電圧制御発振
器、29,30……トランジスタ、34……インダクタンス。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】入力信号の周波数および位相と電圧制御発
   振器の発振周波数および位相を比較する位相比較器と、
   前記位相比較器の出力信号から雑音や妨害信号を除去す
   るループフィルタと、前記ループフィルタの出力信号を
   増幅する直流電圧増幅器と、前記直流電圧増幅器の出力
   に接続された差動増幅器とを備え、前記差動増幅器は温
   度特性がほぼ同一の２つのトランジスタを有しており、
   一方のトランジスタのベースに前記直流電圧増幅器の出
   力端を直接接続するとともにこのトランジスタのコレク
   タから出力を取り出し、他方のトランジスタのベースに
   前記直流電圧増幅器の出力端をビデオ信号が通過しない
   程度の大きさのインダクタンスを介して接続するととも
   にこのトランジスタのコレクタを前記電圧制御発振器の
   発振周波数制御端子に接続したFM復調器。