JP2541286B2 - 泡沫生成エアゾ―ル型毛髪化粧料 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、泡の安定性が良好であり、かつ潤滑性向上
効果が高く、毛髪につるつる感に優れた良好な仕上り性
能を付与する泡沫生成エアゾール型毛髪化粧料に関す
る。

従来の技術 従来、シリコーンは、光沢付与剤、潤滑性改良剤、感
触改良剤等として種々のヘアケア製品に多用されてい
る。このシリコーンを用いた毛髪化粧料として、例えば
特開昭56−92808号公報では、疎水性シリコーンと第４
級アンモニウム塩及び高級アルコールを配合して、毛髪
を柔らかくしなやかにすると共に、べたつきがなくかつ
光沢を付与し、しかもブラッシング性をも良好にし得る
毛髪化粧料を提案し、特開昭59−110609号公報では疎水
性シリコーンとモノ−Ｎ−長鎖アシル塩基性アミノ酸及
び低級アルキルエステル塩とを配合して、毛髪に対し光
沢及びなめらかさを付与する効果に優れた毛髪化粧料を
提案している。

更に近年、毛髪化粧料の分野においては、泡沫生成エ
アゾール型のものがその使用性の良さなどの点から多く
用いられるようになってきたが、この泡沫生成エアゾー
ル型の毛髪化粧料においてもシリコーンを配合したもの
は多く、具体的にはビレック（Dr.Doris E.Billek）の
「エアロゾル・フォーム・アンド・ムース・プレパレー
ション・イン・ヨーロッパ（Aerosol Foam and Mousse
Prep−aration in Europe）」（Cosmetics ＆ Toiletri
es,99（９）57（1984））にこのような毛髪化粧料が提
案されているほか、特開昭62−48615号公報には高分子
量シリコーン物質とヘアセット性重合体、エアゾール噴
射剤、水とを含有すると共に、特定の充填方法を採用し
たエアゾール整髪ムースが、また、特開昭63−2918号公
報にはヒドロキシル化ポリオルガノシロキサンエマルジ
ョンとエアロゾル噴射剤、水とを含有するエアロゾルヘ
アスタイリングムースなどが提案されている。

発明が解決しようとする課題 ところで、毛髪化粧料に対して特に潤滑性の向上を目
的としてシリコーンを配合する場合、各種シリコーンの
中で最もその潤滑性向上効果の高いのはシリコーンオイ
ルの代表であるジメチルポリシロキサンである。しか
し、ジメチルポリシロキサンは消泡効果を有しているた
め、泡沫生成エアゾール型の毛髪化粧料に適用すると、
泡の安定性に悪影響を与えるので、その配合量に自ら制
約が生じるという欠点がある。

このような事情から、シリコーンとしてジメチルポリ
シロキサンを泡沫生成エアゾール型毛髪化粧料に適用し
ても、その配合量を多くし得ないので、毛髪の流れに沿
った縦方向の潤滑性である櫛通り易さやなめらかさを改
善することは可能である。しかし、毛髪と毛髪との間の
横方向の潤滑性（すべりの良さ）であるつるつる感につ
いては、他の剤型、例えばヘアオイルなどでは、高分子
量ジメチルポリシロキサンと低粘度シリコーンとを混合
して流動性を持たせ、優れた潤滑性を付与することがで
きるが、このような他の剤型の毛髪化粧料と同様の優れ
た効果を与えることは難しい。このため、毛髪につるつ
る感に優れた仕上り性能をも付与し得る潤滑性向上効果
の高い泡沫生成エアゾール型毛髪化粧料の開発が望まれ
る。

本発明は上記事情に鑑みなされたもので、ジメチルポ
リシロキサンを使用しつつ、しかも泡の安定性が良好で
あり、かつ、潤滑性向上効果が高く、毛髪につるつる感
を付与する効果に優れた泡沫生成エアゾール型毛髪化粧
料を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段及び作用 本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ね
た結果、シリコーンとして25℃における粘度が30,000セ
ンチストークス以上である高分子量ジメチルポリシロキ
サンを使用し、かつこのジメチルポリシロキサンとカチ
オン性高分子化合物とアニオン性界面活性剤とを併用す
ることにより、ジメチルポリシロキサンを配合しても泡
の安定性が損われず、噴霧時に安定性の良好な泡が得ら
れる上、縦方向のみならず、横方向の潤滑性向上効果が
高く、毛髪につるつる感に優れた良好な仕上り性能を付
与し得る泡沫生成エアゾール型毛髪化粧料を得ることが
できることを知見し、本発明をなすに至った。

以下、本発明につき更に詳しく説明する。

本発明に係る泡沫生成エアゾール型毛髪化粧料は、25
℃における粘度が30,000センチストークス以上である高
分子量ジメチルポリシロキサンとカチオン性高分子化合
物とアニオン性界面活性剤とを併用してなるものであ
る。

ここで、本発明の泡沫生成エアゾール型毛髪化粧料に
使用するシリコーンは、下記式（１） で示されるジメチルポリシロキサンのうち、25℃におけ
る粘度が30,000センチストークス以上、好ましくは100,
000センチストークス以上の高分子量ジメチルポリシロ
キサンである。ジメチルポリシロキサンの粘度が30,000
センチストークスに満たないと、毛髪になめらかさ、櫛
通りの良さ等の仕上りを付与する性能は得られるが、つ
るつる感を付与する効果が不十分となり、本発明の目的
を満足し得るような潤滑性を得ることができない。

また、本発明においては、上記高分子量ジメチルポリ
シロキサンのうち一種を単独で又は２種以上を併用して
使用することができるが、その配合量は毛髪化粧料全体
の１〜20％（重量％、以下同様）、特に４〜10％とする
ことが好ましい。配合量が１％未満では、毛髪につるつ
る感を付与する効果が不十分となる場合があり、20％を
越えると毛髪がべたつきのある重い仕上りになる場合が
ある。

次いで、カチオン性高分子化合物としては、種々選択
されるが、例えばヒドロキシセルロースとグリシジルト
リメチルアンモニウムクロライドとのエーテル（商品
名：レオガードＧ〔ライオン社製〕），ポリマ−JR−30
M−125及び同−400〔ユニオンカーバイド社製〕），ビ
ニルピロリドン−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共
重合体の４級化物（商品名:GAFQUAT 734及び755〔GAF社
製〕），ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合
体（商品名:MERQUAT 100〔メルク社製〕），ジメチルジ
アリルアンモニウムクロライドアクリロアマイド共重合
体（商品名:MERQUAT 550〔メルク社製〕）等があり、こ
れらの化合物の中では特にヒドロキシセルロースとグリ
シジルトリメチルアンモニウムクロリドとのエーテルが
好ましい。

なお、これらカチオン性高分子化合物は、一種を単独
で用いても二種以上を併用してもよい。

また、カチオン性高分子化合物の配合量は、毛髪化粧
料全体の0.1〜５％、特に0.2〜３％とすることが好まし
い。配合量が0.1％に満たないと泡の安定性と毛髪の仕
上りのつるつる感が共に悪くなる傾向があり、５％を越
えると毛髪にべたつきが生じ、仕上りのつるつる感が得
られなくなる傾向がある。

更に、本発明で使用するアニオン性界面活性剤として
は、別に限定されないが、例えばＮ−ラウリル−Ｌ−グ
ルタミン酸モノナトリウム（商品名：アミソフトLS−1
1）,N−ヤシ油脂肪酸−Ｌ−グルタミン酸モノトリエタ
ノールアミン（商品名：アミソフトCT−12）,N−ミリス
チル酸アシル−Ｌ−グルタミン酸モノナトリウム,N−混
合脂肪酸アシル−Ｌ−グルタミン酸モノナトリウム（商
品名：アミソフトGS−11〔以上、味の素社製〕）等のＮ
−脂肪酸アシル−Ｌ−グルタミン酸塩、ラウリン酸メチ
ルタウリンナトリウム（商品名：ニッコールLMT），ヤ
シ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム（商品名：ニッコ
ールCMT〔以上、日光ケミカルズ社製〕）等のＮ−脂肪
酸−Ｎ−メチルタウリン塩、ラウロイルサルコシンナト
リウム（商品名：ソイポンSLP），ココイルサルコシン
ナトリウム（商品名：ソイポンSC〔以上、川研ファイン
ケミカル社製〕）等のＮ−脂肪酸サルコシン縮合物の
塩、Ｎ−ココイル−Ｎ−メチル−β−アラニンナトリウ
ム（商品名：アラノンACE）、Ｎ−ミリストイル−Ｎ−
メチル−β−アラニンナトリウム（商品名：アラノンAM
E（以上、川研ファインケミカル社製〕）等のＮ−脂肪
酸アシル−Ｎ−メチル−β−アラニン塩およびココイル
イセチアン酸ナトリウム（商品名:IGEPON AC−78〔GAF
社製〕）等が挙げられ、これらの一種を単独で又は二種
以上を併用することができる。なお、これらのうち、特
に好ましいアニオン性界面活性剤は、窒素原子含有化合
物、特にＮ−脂肪酸（炭素数８〜18）アシル−Ｌ−ダル
タミン酸塩、Ｎ−脂肪酸（炭素数８〜18）−Ｎ−メチル
タウリン塩、Ｎ−脂肪酸（炭素数８〜18）サルコシン縮
合物塩である。

ここで、アニオン性界面活性剤の配合量は、毛髪化粧
料全体の0.01〜５％、特に0.05〜１％が好適である。

本発明の泡沫生成エアゾール型毛髪化粧料には、上記
成分以外に下記の任意成分を本発明の効果に影響のない
範囲で配合することができる。即ち、任意成分として、
ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン酢酸ビニル共
重合体等のノニオン性高分子化合物、メタクリル酸エス
テル共重合体（商品名：ユカフォーマーAM−75W）等の
両性高分子化合物、塩化ステアリルトリメチルアンモニ
ウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ス
テアリルジメチルベンジルアンモニウム等のカチオン性
界面活性剤、ステリアリン酸ジエタノールアミド、ヤシ
油脂肪酸ジエタノールアミド、ソルビタンセスキオレエ
ート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、
ポリオキシエチレンステアリルエーテル等の非イオン性
界面活性剤、両性界面活性剤、タンパク質加水分解物、
プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリ
コール等の多価アルコール、ポリオキシプロピレンポリ
オキシエチレンブチルエーテル、ポリオキシプロピレン
メチルグリコースエーテル、ポリオキシエチレンメチル
グルコースエーテル等の親水性油剤、パラペン、グルコ
ン酸クロルヘキシジン、トリクロサン等の殺菌防腐剤、
ｌ−メントール等の清涼感剤、ビタミン、生薬、紫外線
吸収剤、酸化防止剤、エタノール、イソプロパノールな
どの溶剤、色素、香料等を挙げることができる。

また、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキ
サン、ポリアルキルアリールシロキサン等の低粘度ポリ
シロキサンを高分子ジメチルポリシロキサンと併用する
こともできる。

本発明の毛髪化粧料は、泡沫生成エアゾール型に調製
するため、噴射剤を配合するが、噴射剤としては例えば
フロン12、フロン114、液化石油ガス等を使用すること
ができ、上記成分のうち水溶性成分と油溶性成分とを別
々に溶解混合し、これらと噴射剤とを共に密閉容器に充
填するという通常のエアゾールタイプ化粧料と同様の方
法で調製して利用することができる。この場合、油溶性
成分としてはジメチルポリシロキサン、香料、他のシリ
コーン油、油溶性活性剤などがあり、水溶性成分として
はカチオン性高分子物質、アニオン界面活性剤、グルコ
ン酸クロルヘキシジン等の殺菌剤、水溶性香料などがあ
る。

発明の効果 以上説明したように、本発明の泡沫生成エアゾール型
毛髪化粧料は、泡の安定性が良好であり、しかも潤滑性
向上効果が高く、毛髪につるつる感に優れた良好な仕上
りを与えることができる。

以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説
明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではな
い。

各例の説明に先立って、各例で採用した試験法につい
て説明する。

（１） 泡の安定性 第１表に示す種類と量の噴射剤とともに密封容器に充
填された試験原液を広口の円筒ガラス容器中に噴射し
て、一定量の泡を発生させ、この泡について20名のパネ
ラーによる官能試験を行い、その安定性を評価した。安
定性の評価は、手でつぶしたときのこわれにくさを下記
の基準で判定することにより行った。

◎：安定でこわれにくい ○：わずかにこわれるが、製品上問題なし △：ややこわれやすい ×：すぐこわれる （２） 仕上りのつるつる感 長さ25cm、重さ10gの毛髪からなる毛束に上記（１）
と同様にして噴射させた泡（あるいは液体）0.5gを塗布
し、櫛入れを十分に行なった後、つるつる感を下記基準
により評価した。

◎：毛髪化粧料を使用しない場合に比べ、つるつる感が
非常に優れている。

○：毛髪化粧料を使用しない場合に比べ、つるつる感が
優れている。

△：毛髪化粧料を使用しない場合に比べ、つるつる感が
やや良好である。

×：毛髪化粧料を使用しない場合に比べ、つるつる感が
わずかしか向上していない。

××：毛髪化粧料を使用しない場合に比べ、つるつる感
が同等である。

〔実施例１〜13、比較例１〜６〕 第１〜３表に示す組成の原液を調製し、噴射剤ととも
に密封容器に充填して、泡沫生成エアゾール型毛髪化粧
料を得た。なお、表中の配合単位は重量％である。

得られた毛髪化粧料の泡の安定性と仕上りのつるつる
感を上記試験法により評価した。

結果を第１〜３表に併記する。

なお、第１〜３表における＊１〜＊４の物質は下記の
商品名のものを用いた。

＊１ レオガードＧ（ライオン社製） ＊２ GAFQUAT 755（GAF社性） ＊３ MERQUAT 550（メルク社製） ＊４ ユカフォーマーAM−75W（ダイヤケムコ社製） 第１〜３表の結果より、本発明に係る高分子量ジメチ
ルポリシロキサンとカチオン性高分子化合物とアニオン
性界面活性剤とを併用した毛髪化粧料（実施例１〜13）
は、泡が安定でかつ仕上りのつるつる感に優れているこ
とが確認された。これに対し、上記三成分のいずれかを
含有しない毛髪化粧料（比較例１〜3,5,6）や粘度が30,
000センチストークスに満たないジメチルポリシロキサ
ンを配合した毛髪化粧料（比較例４）は、いずれも泡の
安定性や毛髪のつるつる感に劣るものであった。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】25℃における粘度が30,000センチストーク
   ス以上である高分子量ジメチルポリシロキサンとカチオ
   ン性高分子化合物とアニオン性界面活性剤とを併用して
   なることを特徴とする泡沫生成エアゾール型毛髪化粧
   料。