JP2506953B2 - テトラヒドロフラン骨格を有するポリマ―の製造方法 - Google Patents

テトラヒドロフラン骨格を有するポリマ―の製造方法

Info

Publication number
JP2506953B2
JP2506953B2 JP16296188A JP16296188A JP2506953B2 JP 2506953 B2 JP2506953 B2 JP 2506953B2 JP 16296188 A JP16296188 A JP 16296188A JP 16296188 A JP16296188 A JP 16296188A JP 2506953 B2 JP2506953 B2 JP 2506953B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymer
producing
compound
polymer according
general formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP16296188A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0211622A (ja
Inventor
文雄 三田
繁 佐々木
光郎 松本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
Priority to JP16296188A priority Critical patent/JP2506953B2/ja
Publication of JPH0211622A publication Critical patent/JPH0211622A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2506953B2 publication Critical patent/JP2506953B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は各種透明性材料に、利用可能な、テトラヒド
ロフラン骨格を有するポリマーの新規な製造方法に関す
る。
[従来の技術] テトラヒドロフラン骨格を有するポリマーはフイルム
や成形品として、あるいは他のポリマーの改質剤等とし
て、また最近ではリチウム二次電池のセパレーターとし
て有用である。該ポリマーの製造方法としては、一般に
2,3−ジヒドロフラン誘導体体の開始剤の存在下でのカ
チオン重合が行なわれている。例えば、Journal of Che
mical Society、1954年、3766頁には、2,3−ジヒドロフ
ラン、2,3−ジヒドロ−5−メチルフラン、2,3−ジヒド
ロ−2,2−ジメチルフランなどをホウ素系開始剤の存在
下でカチオン重合することにより、テトラヒドロフラン
系骨格を有するポリマーが得られることが報告されてい
る。また、Journal of Polymer Science、1961年、49
巻、287頁には、2,3−ジヒドロ−5−メチルフランのホ
ウ素系開始剤によるカチオン重合について報告されてい
る。また、特開昭53−1299号公報には2,5−ジヒドロフ
ランの光の照射下、鉄ペンタカルボニルおよびカチオン
重合触媒による異性化重合について開示されている。
更に、日本化学会誌、1973年、3号、610頁には、2,3
−ジヒドロ−5−メチルフランが有機アルミニウム化合
物を開始剤としてカチオン重合され、ポリマーが得られ
ることが報告されている。
[発明が解決しようとする課題] このように、2,3−ジヒドロフラン誘導体のカチオン
重合によつて得られるテトラヒドロフラン骨格を有する
ポリマーは、種々の用途が期待できる有用な化合物であ
るにもかかわらず、従来提案されている重合方法には解
決すべきいくつかの問題点があり、該ポリマーの製造は
工業的に実施されるに至つてはいない。
すなわち、前述したホウ素系開始剤、例えば、三フツ
化ホウ素開始剤を用いる場合には、高重合度のポリマー
を得るためには、−78℃といつた極低温度下で反応を実
施する必要があり、更に、得られるポリマーの収率は低
く工業的には極めて不利である。更に、よく知られてい
るように、該開始剤による反応は系中を水分の影響を受
けやすいため、系中の水分をできる限り除去して行なう
必要がある。また、該開始剤は腐食性であるため、使用
する装置の材質にも耐腐食性のものを選定する必要があ
る。
また、特開昭53−1299号公報にも記載されているよう
に、室温付近での2,3−ジヒドロフランの重合は瞬間的
に進むため、その制御が困難である上に、生成物が着色
するなどの不都合がある。このため、反応温度を充分低
く保つ必要がある。
2,3−ジヒドロフラン誘導体を有機アルミニウム化合
物を開始剤としてカチオン重合する方法についての本発
明者らの詳細な検討によると、高重合度であり、かつ分
子量分布が比較的小であるポリマーを得るためには−78
℃といつた極低温で反応を実施する必要があつた。すな
わち、室温付近で重合を実施した場合には得られたポリ
マーの重合度は低く、分子量分布が大であり、かつ黄色
に着色していることが明らかとなつた。更に−78℃と極
低温で反応を実施した場合には、一般の2,3−ジヒドロ
フラン誘導体、例えば2,3−ジヒドロフランでは得られ
たポリマーの収率は著しく低かつた。
このように、透明性材料として望ましい物性を有する
テトラヒドロフラン骨格からなるポリマーの有利な製造
方法が望まれていたが、十分に満足できていないのが現
状である。
本発明の第1の目的は常温付近においても得られた成
形品の力学的物性が十分である高重合度のポリマーを工
業的に有利に高収率で製造できる方法を提供することで
ある。
本発明の別の目的は着色がなく、透明材料としての使
用に好適なテトラヒドロフラン骨格を有するポリマーの
有利な製造方法を提供することである。
本発明の更に別の目的及び効果は以下の説明により、
より明らかとなるであろう。
[課題を解決するための手段] 本発明に従えば、下記の一般式Iで表わされる2,3−
ジヒドロフラン誘導体を (式中、R1、R2、R3、R4、R5およびRは、それぞれ、
同一または異なる水素原子または低級脂肪族炭化水素基
を表わす) 下記の一般式IIで表わされる有機アルミニウム化合物
からなる開始剤 X3-nAlYn II (式中Xは同一または異なる一価の有機基、Yはハロゲ
ン原子、nは0より大きく、3以下の数を表わす) および該アルミニウム化合物に対して少なくとも当量
以上のエーテル性、エステル性もしくはケトン性酸素原
子を有する有機化合物の存在下、カチオン重合を行なう
ことによるテトラヒドロフラン骨格を有するポリマーの
製造方法が提供される。
本発明において使用される2,3−ジヒドロフラン誘導
体は下記の一般式Iで表わされる。
ここでR1からR6は同一または異なる水素原子または低
級脂肪族炭化水素基であり、具体的にはメチル基、エチ
ル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などであ
る。R1からR6は、好ましくは水素原子、または、メチル
基である。上記誘導体の好ましい化合物の具体例として
は、以下の化合物が挙げられる。
なお、本発明の方法では、上記の1種の化合物だけで
なく、2種以上の化合物を混合して用いることもでき
る。
また本発明においては、一般式Iで表わされる2,3−
ジヒドロフラン誘導体に加えて、他のカチオン重合可能
な化合物、例えば、鎖状ビニルエーテル化合物等を一部
共存させることもできる。
本発明のカチオン重合は、一般式IIで表わされる有機
アルミニウム化合物からなる開始剤 X3-nAlYn II (式中、Xは同一または異なる一価の有機基、Yはハロ
ゲン原子、nは0より大きく、3以下の数を表わす) および該アルミニウム化合物に対して少なくとも当量
以上のエーテル性、エステル性およびはケトン性酸素原
子を有する化合物の存在下で実施される。このことによ
つて、従来のホウ素系化合物または単に有機アルミニウ
ム化合物を開始剤とする方法のように−78℃といつた極
低温ではなく0℃から室温程度の温度下においても高重
合度であり、かつ成形品にしたときに、透明性材料とし
てすぐれた物性を備えたポリマーを高収率で得ることが
できる。
一般式IIにおけるXは、同一または異なる1価の有機
基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル
基、イソプロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル
基、オクチル基等の炭素数1から12の低級脂肪族炭化水
素基、ビニル基、アリル基等の低級不飽和炭化水素基、
フエニル基、ナフチル基等のアリール基、メトキシ基、
エトキシ基等の低級アルコキシル基などであり、好まし
くはメチル基またはエチル基である。nは0より大き
く、3以下の数であり、好ましくは2である。
Yはハロゲン原子であり、好ましは塩素である。一般
式IIで表わされる有機アルミニウム化合物の具体例とし
ては、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミ
ニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジエ
チルアミニウムヨージド、ジ−n−プロピルアルミニウ
ムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、メチ
ルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセ
スキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミド、イ
ソブチルアルミニウムセスキクロリド、メチルアルミニ
ウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、エチ
ルアルミニウムジブロミド、エチルアルミニウムジヨー
ジド、イソブチルアルミニウムクロリド、n−オクチル
アルミニウムジクロリド、エトキシアルミニウムジクロ
リド、ビニルアルミニウムジクロリド、フエニルアルミ
ニウムジクロリド、アルミニウムトリクロリド、アルミ
ニウムトリブロミド等が挙げられる。これらの化合物は
二種以上を混合して用いることもできる。
一般式IIで表わされる有機アルミニウム化合物は、一
般式Iで表わされる2,3−ジヒドロフラン誘導体に対し
て0.01モル%から10モル%の範囲内、好ましくは0.05モ
ル%から2モル%の範囲内の量で用いられる。
本発明においては、一般式IIで表わされる有機アルミ
ニウム化合物に加えて、該化合物に対して少なくとも当
量倍、好ましくは10当量以上のエーテル性、エステル
性、もしくはケトン性の酸素原子を有する有機化合物を
共存させることが必要である。該化合物が共存しない場
合には所望の分子量を有するポリマーを得ることはでき
ない。該化合物の具体例としてはジエチルエーテル、ジ
ブチルエーテル、ジオクチルエーテル、エチレングリコ
ールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチル
エーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、酢酸
メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、安息香酸メチ
ルなどのエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、
メチルイソブチルケトンなどのケトン類を挙げることが
できる。なお、これらの化合物は二種以上を混合して用
いることもできる。
本発明においては、上記のエーテル性、エステル性も
しくはケトン性の酸素原子を有する有機化合物および2,
3−ジヒドロフラン誘導体からなる溶液のみで重合を行
なうことが、炭化水素系化合物を溶媒として用いると、
反応により生成する熱の除去が容易となり、また生成し
たポリマーの着色が少なくなり好ましい。
炭化水素化合物の具体例としてはベンゼン、トルエ
ン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素類、ヘ
プタン、ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類、
シクロヘキサン、シクロオクタンなどの脂環式炭化水素
類、塩化メチレン、クロロホルム、テトラクロロエチレ
ンなどのハロゲン化炭化水素類などを挙げることができ
る。溶媒として炭化水素化合物を用いる場合には、一般
式Iで表わされる2,3−ジヒドロフラン誘導体に対して
溶量比で1/10から100倍、好ましくは1/5から50倍の範囲
内の量から選ばれる。
本発明の重合反応は窒素雰囲気下、もしくはヘリウ
ム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、−30℃から100
℃の温度範囲、好ましくは0℃から60℃の温度範囲内で
実施される。低温で反応を実施する方が分子量分布の狭
いポリマーが得られる。−30℃より低い温度で反応を実
施することもできるが得られるポリマーの収率が低下
し、また、冷却のために多大のエネルギーが必要であ
り、好ましくない。100℃より高い温度では、所望の重
合度のポリマーが得られず、また、該ポリマーの分子量
分布が広くなり更に着色の程度が大となるので好ましく
ない。
反応は無撹拌下においても行なわれるが、通常は反応
によつて生成する熱の除去を容易にするために撹拌下に
おいて実施される。反応時間として通常1分から24時
間、好ましくは10分から2時間の範囲内から選ばれる。
本発明の反応は、通常の場合には適当な量の有機アル
ミニウム化合物を溶解するエーテル性、エステル性、も
しくはケトン性酸素原子を有する化合物および場合によ
り溶媒である炭化水素類化合物に原料化合物である2,3
−ジヒドロフラン誘導体を徐々に添加することにより行
なわれる。また、逆に、2,3−ジヒドロフラン誘導体、
エーテル性、エステル性もしくはケトン性酸素を有する
有機化合物および場合により炭化水素類化合物からなる
溶液に有機アルミニウム化合物を徐々に添加することに
よつても行なうことができる。
所望の重合度に達した後、反応系中にプロトン性化合
物、例えば水、メタノール、エタノール等を添加するこ
とによつて重合反応は停止される。溶媒として、芳香族
炭化水素類を用いた場合には、生成したポリマーは均一
に溶解しているので、メタノール、エタノール、ヘキサ
ン等の該ポリマーは溶解しない溶媒中に再沈澱を行なう
ことによつて、該ポリマーが取得される。一方、追加の
溶媒を使用しない場合もしくは溶媒として脂肪族炭化水
素あるいは、脂環式炭化水素等を用いた場合には、重合
の進行に伴なつて、生成したポリマーは固体となつて析
出してくるので生成物の分離取得は容易である。
本発明の方法により、次式で表わされるくり返し単位
有するテトラヒドロフラン骨格を有するポリマーが得ら
れる。
該ポリマーの数平均分子量はゲルパーミユエーシヨン
クロマトグラフイーで測定した時に、ポリスチレン換算
で5,000から100,000の範囲内であり、分子量分布は1.1
から3.0の範囲内である。
本発明の方法により得られるテトラヒドロフラン骨格
を有するポリマーは全く着色しておらず無色であり、各
種透明材料として、従来提案されている方法により得ら
れるポリマーに較べて、すぐれた物性を有する。
特開昭62−257910号公報には有機アルミニウム化合物
を開始剤として、含酸素化合物の存在下で式CHR1=CH
(OR2)(式中R1は水素原子またはメチル基を示し、R2
は一価の有機基を表わす)で表わされるアルケニルエー
テルを重合することによるポリアルケニルエーテルの製
造方法が開示されている。しかしながら該公報はCH2=C
H(OR2)、もしくはCH3CH=CH(OR2)で表わされる鎖状
のビニルエーテル性化合物の重合方法を開示しているに
すぎず、該公報あるいは他のいかなる文献においても、
本発明の2,3−ジヒドロフラン誘導体のような環状ビニ
ルエーテル化合物が有機アルミニウム化合物を開始剤と
してエーテル性、エステル性もしくはケトン性の酸素原
子を有する有機化合物の存在下、開環することなく重合
し、透明材料としてすぐれた物性を有するテトラヒドロ
フラン骨格を有するポリマーが得られることは全く記載
されておらず、何ら示唆もされていない。また、後の比
較例において明らかなよう、該公報中に含酸素化合物の
具体例として例示されている酢酸を用いて、有機アルミ
ニウム化合物を開始剤として2,3−ジヒドロフラン誘導
体の重合反応を行なつた場合にはポリマーは全く得られ
ない。
本発明の方法により製造されるテトラヒドロフラン骨
格を有するポリマーは透明性であり、機械的性質、熱的
性質がすぐれているため、フイルム、あるいは種々の成
形体として使用可能である。更に、光の透過度が大で、
光弾性係数が著しく小であるため、光デイスク基板等と
光学用途にも使用可能である。
(実施例) 以下実施例により本発明を更に詳細に説明する。
実施例1 撹拌装置を備えた2のガラス製容器を乾燥した窒素
で充分に置換したのち、エチルアルミニウムジクロリド
の1モル/ n−ヘキサン溶液34ml、脱水したトルエン
1および脱水した酢酸エチル100mlを仕込み、氷水で
冷却した。
該溶液に、撹拌下、脱水した2,3−ジヒドロフラン185
gを1時間かけて徐々に添加した。その後、氷水での冷
却を停止し、室温にて更に2時間反応を続けた後、メタ
ノール34mlを加えて重合を停止させた。次いで該溶液を
メタノール20中に滴下し、常法に従い再沈により単離
し、180gの白色生成物を得た。該化合物の数平均分子量
をゲルパーミユエーシヨンクロマトグラフイーにより測
定したところ、ポリスチレン換算で24,000であり、分子
量分布は2.3であつた。
該化合物の固有粘度をクロロホルムを溶媒とし、30℃
で測定したところ0.61dl/gであつた。
該化合物を重クロロホルム溶液とし、500MHz 1H−NMR
(日本電子製JNM GX−500)にて測定したところ、1.9pp
mと3.8ppmとにスペクトル上で等面積を占める二つの吸
収が見られ、これらについてはそれぞれ後者を酸素に隣
接したメチンとメチレンのプロトンに、前者をそれ以外
のメチンとメチレンのプロトンに帰属させることができ
る。
該化合物をテフロンシート上、テトラヒドロフラン溶
液から厚さ8μmのフイルムに調製し、赤外線吸収スペ
クトル(島津製作所製IR−400)にて測定したところ、
赤外線吸収スペクトルからは、2,3−ジヒドロフランの
場合と同じく波数910cm-1と1060cm-1に−C−O−C−
に起因する吸収が見られ、かつ1630cm-1の二重結合によ
る吸収は消失していた。
これらの結果から、該化合物は次の繰り返し単位で表
わされるポリマーであり、五員環を開環することなく、
環内二重結合で重合していることが確認された。
該ポリマーの元素分析値は理論値がC:68.55%、H:8.6
3%であるのに対し、分析値はC:68.75%、H:8.74%でよ
く一致した。
該ポリマーのガラス転移温度を示差走査熱量測定装置
(メトラー製DSC20)により10℃/分の昇温速度で測定
したところ、125℃であつた。
該ポリマーを小型射出成形機(田端機械製TK14−1AP
型)にてシリンダー温度240℃、金型温度50℃、射出圧
力800kg/cm2の条件で射出成形を行ない、64×12.7×3.2
mmの大きさの見掛け上淡黄色透明の試験片を得た。該試
験片のノツチ無アイゾツト衝撃強度をJIS K7110に準じ
た方法により測定したところ34kgcm/cm2であつた。
該ポリマーを熱プレス成形機(神藤金属工業所製)に
て200℃、50kg/cm2で100×25×2mmの大きさの試験片に
成形し、自記分光光度計(日立製作所製HITACHI330)で
780nmでの光透過率を測定したところ90%であつた。
該試験片のリターデーシヨンをエリプソメーター(溝
尻光学工業所製DVA−36LS)で測定したところ−4.9nmで
あつた。
該試験片の光弾性係数を、ヘリウム−ネオンレーザを
光源として副島らの方法(高分子学会高分子実験学編集
委員会編「高分子実験学」第10巻、P.296(1983)共立
出版)に準じた方法により測定したところ、2.3×10-13
cm2/dynであつた。
該試験片の曲げ強度および曲げ弾性率をJIS K7203に
準じた方法により測定したところそれぞれ447kg/cm2
よび3.32×104kg/cm2であつた。
実施例2 実施例1において、トルエンに代えてn−ヘキサンを
用いたこと以外は、実施例1と同一の条件で重合を行な
つた。この場合には2,3−ジヒドロフランの添加後、直
ちに固体が析出してきたので、再沈することなく、過
することにより95%の収率でポリマーが得られた。ま
た、1H−NMRおよび赤外線吸収スペクトルの結果は実施
例1と同様であつた。本ポリマーの数平均分子量は23,0
00、分子量分布は2.8であつた。
本ポリマーからも熱プレス成形により透明な成形体が
得られ、実施例1の成形体と同様の物性値を示した。
実施例3 実施例1において、2,3−ジヒドロフランおよび酢酸
エチルに代えてそれぞれ2,3−ジヒドロ−2−メチルフ
ランおよび酢酸フエニルを用いたこと以外は、実施例1
と同一の条件で重合を行なつた。93%の収率でポリマー
が得られ、数平均分子量は29,000、分子量分布は1.5で
あつた。
本ポリマーも、実施例1と同様に、五員環を開環する
ことなく、環内二重結合で重合していることが1H−NMR
および赤外線吸収スペクトルから確認された。本ポリマ
ーからも熱プレス成形により透明な成形体が得られた。
実施例4 実施例1において、2,3−ジヒドロフランに代えて2,3
−ジヒドロ−2,2−ジメチルフランを用いたこと以外は
実施例1と同一の条件で重合を行なつた。98%の収率で
ポリマーが得られ、数平均分子量は31,000、分子量分布
は2.1であつた。本ポリマーも実施例1と同様に五員環
を開環することなく、環内二重結合で重合していること
1H−NMRおよび赤外線吸収スペクトルから確認され
た。
本ポリマーのガラス転移温度は175℃であり、熱プレ
ス成形することにより透明な成形体が得られた。成形体
のASTM D570に準拠した吸水率は0.3%であつた。
実施例5 実施例1において、エチルアルミニウムジクロリドお
よび酢酸エチルに代えてそれぞれジエチルアルミニウム
クロリドおよび安息香酸メチルを用いたこと以外は実施
例1と同一の条件で重合を行なつた。96%の収率でポリ
マーが得られ、数平均分子量は3,600、分子量分布は1.9
であつた。本ポリマーからも熱プレス成形により透明な
成形体が得られた。
比較例1 実施例1において酢酸エチルを用いなかつたことおよ
びエチルアルミニウムジクロリドに代えて三フツ化ホウ
素エーテラートを用いたこと以外は実施例1と全く同一
の条件で重合を行なつた。90%の収率でポリマーが得ら
れたが、黄色に着色しており、テトラヒドロフランには
不溶であつたため、ゲルパーミユエーシヨンクロマトグ
ラフイーで分子量を測定することはできなかつた。本ポ
リマーを熱プレス成形したところ、成形体は著しく黄色
に着色しており、非常にもろかつた。
比較例2 実施例1において酢酸エチルを用いなかつたこと、エ
チルアルミニウムジクロリドに代えて三フツ化ホウ素エ
ーテラートを用いたことおよび重合温度を室温から−78
℃に変えたこと以外は実施例1と全く同一の条件で重合
を行なつたが、ポリマーの収率は30%にすぎなかつた。
比較例3 実施例1において、酢酸エチルを用いなかつたこと以
外は実施例1と同一の条件で重合を行なつた。この場合
には98%の収率でポリマーが得られたが、本ポリマーは
著しく黄色に着色しており、数平均分子量は12,000にす
ぎず、また、分子量分布も4.1と広くなつた。
本ポリマーの熱プレス成形を行なつたところ、成形体
は著しく黄色に着色しており、非常にもろかつた。
比較例4 実施例1において酢酸エチルを用いなかつたことおよ
び重合温度を室温から−78℃に変えたこと以外は実施例
1と全く同一の条件で重合を行なつたが、ポリマーの収
率は32%にすぎなかつた。
比較例5 実施例1において、酢酸エチルに代えて酢酸を用いた
こと以外は実施例1と同一の条件で重合を行なつたが、
ポリマーは全く得られなかつた。
[発明の効果] 本発明の方法により、温和な条件下で、2,3−ジヒド
ロフラン誘導体をカチオン重合することにより、テトラ
ヒドロフラン環を有するポリマーが得られる。本発明の
方法により得られるポリマーは高分子量であり、かつ分
子量分布が狭く、また、全く着色しておらず、光学用途
を中心として種々の用途に利用可能な透明性材料であ
る。

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の一般式Iで表わされる2,3−ジヒド
    ロフラン誘導体を (式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6、それぞれ、同一
    または異なる水素原子または低級脂肪族炭化水素基を表
    わす) 下記の一般式IIで表わされる有機アルミニウム化合物か
    らなる開始剤 X3-nAlYn II (式中Xは同一または異なる一価の有機基、Yはハロゲ
    ン原子、nは0より大きく、3以下の数を表わす) および該アルミニウム化合物に対して少なくとも当量以
    上のエーテル性、エステル性もしくはケトン性酸素原子
    を有する有機化合物の存在下、カチオン重合を行なうこ
    とによるテトラヒドロフラン骨格を有するポリマーの製
    造方法。
  2. 【請求項2】得られるポリマーの分子量がゲルパーミユ
    エーシヨンクロマトグラフイーで測定したときにポリス
    チレン換算の数平均分子量で5,000から100,000の範囲内
    である請求項1に記載のポリマーの製造方法。
  3. 【請求項3】一般式Iにおける低級脂肪族炭化水素基が
    メチル基である請求項1に記載のポリマーの製造方法。
  4. 【請求項4】一般式IIにおけるXがメチル基またはエチ
    ル基であり、同Yが塩素原子である請求項1に記載のポ
    リマーの製造方法。
  5. 【請求項5】該開始剤がエチルアルミニウムジクロリド
    である請求項1に記載のポリマーの製造方法。
  6. 【請求項6】カチオン重合を炭化水素系化合物からなる
    溶媒の存在下で行なう請求項1に記載のポリマーの製造
    方法。
  7. 【請求項7】該炭化水素系化合物が、芳香族炭化水素化
    合物である請求項6に記載のポリマーの製造方法。
  8. 【請求項8】該炭化水素系化合物が、脂肪族炭化水素化
    合物、脂環式炭化水素化合物およびハロゲン化炭化水素
    化合物から選ばれた少なくとも一種以上の化合物である
    請求項6に記載のポリマーの製造方法。
  9. 【請求項9】カチオン重合が−30℃から100℃の範囲内
    で行なわれる請求項1に記載のポリマーの製造方法。
  10. 【請求項10】カチオン重合が0℃から60℃の範囲内で
    行なわれる請求項1に記載のポリマーの製造方法。
  11. 【請求項11】一般式IIで表わされる有機アルミニウム
    化合物を一般式Iで表わされる2,3−ジヒドロフラン誘
    導体に対して0.01モル%から10モル%の範囲内の量で用
    いる請求項1に記載のポリマーの製造方法。
JP16296188A 1988-06-29 1988-06-29 テトラヒドロフラン骨格を有するポリマ―の製造方法 Expired - Fee Related JP2506953B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16296188A JP2506953B2 (ja) 1988-06-29 1988-06-29 テトラヒドロフラン骨格を有するポリマ―の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16296188A JP2506953B2 (ja) 1988-06-29 1988-06-29 テトラヒドロフラン骨格を有するポリマ―の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0211622A JPH0211622A (ja) 1990-01-16
JP2506953B2 true JP2506953B2 (ja) 1996-06-12

Family

ID=15764571

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP16296188A Expired - Fee Related JP2506953B2 (ja) 1988-06-29 1988-06-29 テトラヒドロフラン骨格を有するポリマ―の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2506953B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4902286B2 (ja) * 2006-07-25 2012-03-21 株式会社アマダ パンチ組立体
CN113582824B (zh) * 2021-08-26 2024-01-30 江苏清泉化学股份有限公司 一种高纯度环丙基甲基酮的制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0211622A (ja) 1990-01-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4311768B2 (ja) 単分散重合体の製造方法、並びに、環状モノマーの連続重合方法及びそれによる重合体
KR101685664B1 (ko) 혼성 담지 촉매 및 이를 이용하는 올레핀계 중합체의 제조방법
CN1185164A (zh) 可阳离子聚合的单体的均聚物和共聚物及其制备方法
EP0579058B1 (en) Butyl rubber with a bimodal molecular weight distribution
JP3969115B2 (ja) 環状オレフィン系(共)重合体、その組成物、およびそれらの架橋体
US3230208A (en) Three-component alkyl aluminum halide catalysts for olefin polym-erization
JP2506953B2 (ja) テトラヒドロフラン骨格を有するポリマ―の製造方法
US5439996A (en) Synthesis of polymers of vinyl ethers, 1,5-hexadiene and N-vinylcarbazole
Matyjaszewski Anionic ring‐opening polymerization of cyclotetrasilanes
EP4010388A1 (fr) Polymère bloc diénique riche en éthylène ayant un bloc statistique et un bloc polyéthylène
JPH0570584A (ja) 脂環式ポリカーボネートおよびその製造方法
JP2004277473A (ja) 環状オレフィン系共重合体の製造方法
KR20170121156A (ko) 지방족 폴리카보네이트 및 시클릭 카보네이트로부터 지방족 폴리카보네이트를 제조하는 방법
JP3140752B2 (ja) 樹脂状シクロオレフィン単量体の製法および重合体を製造する方法
JPH01108203A (ja) ポリアルケニルエーテルの製造法
JPS63264626A (ja) 開環重合体およびその製造方法
JPH0686483B2 (ja) 末端修飾プロピレン重合体及びその製造法
US3245974A (en) Linearly fused polycyclic polymers and process
US6969751B2 (en) Method for preparing homo-and co-polymers of cyclic olefin compounds
Aliev et al. Asymmetric Reactions During the Polymerization of (RS)-Propylene Sulfide by n-Butyllithium-Lithium (-)-Menthoxide
JP2795693B2 (ja) 樹脂組成物
US20230312775A1 (en) Palladium catalysts for forming vinyl addition polymers having improved film forming properties
EP0532804B1 (en) An ethylene polymer and a process for its production
CS213367B2 (en) Method of preparation of the triblock copolymeres
JPH01108202A (ja) ポリアルケニルエーテルの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees