JP2501102Y2 - 釣 竿 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は魚釣りに使用する釣
竿、詳しくは、穂先に対し最も手元側の手元側竿体に対
し補助竿体を進出及び後退させて長さを調節できるよう
にした釣竿に関する。

【０００２】

【従来技術】従来、此種釣竿として実開昭５６ー５７０
７２号公報に示されているように、穂先に対し最も手元
側の手元側竿体の外周に、補助竿体を前記手元側竿体に
対し後方に向かって進出可能に套嵌し、前記手元側竿体
の手元側端部外面と前記補助竿体の前端部内面とに、該
補助竿体の進出時に嵌合する嵌合部を設けると共に、前
記手元側竿体の前端部外面に、前記補助竿体の前端部内
径にほぼ等しい外径を有する円筒状の外側リングを固定
し、前記補助竿体の後退時、該補助竿体の前端部内面が
前記外側リングの外面と接触して、後退した補助竿体と
手元側竿体との相対移動を係止できるようにしたものが
提案されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】所が、以上の如く補助
竿体を設けた釣竿によると、多数の釣竿の全てに亘って
前記後退した補助竿体と手元側竿体との相対移動を良好
に係止するのが難しかったのである。即ち、前記手元側
竿体及び補助竿体は、中空の緩円錐形に成形された竿素
体の両端部を切断して所定長さに形成されるため、特に
補助竿体の前端側切断位置の誤差により、多数の補助竿
体の前端部内面に寸法のバラツキがある。従って、前記
手元側竿体の前端部外面に固定される外側リングの外面
寸法精度が出ていても、前記補助竿体の前端部内面に寸
法誤差があるため、後退した補助竿体と手元側竿体との
相対移動を良好に係止できなかったり、全く係止できな
かったりすることがあり、量産する釣竿の全てについて
均一な係止力を保つことができなくて、不良率が高くな
るのである。この不良率を少なくするには、嵌合外面又
は嵌合内面を研削して寸法合わせを行う必要があり、こ
の寸法合わせが行い難くて、釣竿の組立て作業性が悪
く、コスト高となるのである。また、以上のように研削
して寸法合わせを行う必要があるから、この研削面が露
出することになり、それだけ釣竿の外観が悪くなるので
ある。

【０００４】本考案は以上の点に鑑み考案したもので、
目的は、補助竿体の前端部内面及び手元側竿体の外周面
に寸法誤差があっても、寸法を簡単に変えることができ
て、寸法調整を容易にでき、釣竿の組立て作業性を向上
できて、コストを低減できると共に、嵌合面に弾性的に
嵌合することができ、更に、寸法調整を行った後におい
ても外観を良好にできるようにする点にある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本考案は、穂先に対し最
も手元側の手元側竿体（１）の外周に、補助竿体（２）
を前記手元側竿体（１）に対し後方に向かって進出可能
に套嵌し、前記手元側竿体（１）の手元側端部外面（１
ａ）と前記補助竿体（２）の前端部内面（２ａ）とに、
該補助竿体（２）の進出時に嵌合する嵌合部（Ａ）を設
けると共に、前記手元側竿体（１）の手元側端部に対し
前記穂先側外面に、該外面に塗料を塗布して肉盛部（１
１）を設け、該肉盛部（１１）外面に、前記補助竿体
（２）の後退時、前記前端部内面が接触して、補助竿体
（２）と手元側竿体（１）との相対移動を係止する嵌合
面（３）を設けたことを特徴とする釣竿である。

【０００６】

【作用】しかして、手元側竿体１の手元側端部に対し穂
先側に設ける嵌合面３は、塗料を塗布して形成する肉盛
部１１の外面に設けるのであるから、補助竿体２の前端
部内面及び手元側竿体１の外面に寸法誤差があって、後
退した補助竿体と手元側竿体との相対移動を係止するこ
とができない場合でも、前記肉盛部１１外面に塗料を塗
り直すことにより、前記嵌合面３の寸法を簡単に変える
ことができるのであり、従って、釣竿の組立て作業性を
向上でき、コストを低減できると共に、不良品をなくし
得るのである。しかも、塗料から成る肉盛部１１に弾性
を持たせることができて、この肉盛部１１の嵌合面３に
弾性的に嵌合することができるから、竿体内面との嵌合
を行わせ易いのであり、従って、頻繁に長さ調整を行う
場合、その長さ調整が行い易いのである。更に、塗料を
塗布して前記係止力を調整できるから、寸法調整を行っ
た後においても、嵌合面３を、塗装された表面とするこ
とができ、外観を良好にできるのである。

【０００７】

【実施例】図において、１は緩円錐形の中空に形成され
た手元側竿体であって、この手元側竿体１には、複数本
の中間竿体と穂先（何れも図示せず）とを振出可能に継
合及び収納できるようになっている。

【０００８】しかして、この手元側竿体１の外周に、該
手元側竿体１よりも大径とした中空の補助竿体２を前記
手元側竿体１に対し後方に向って進出可能に套嵌すると
共に、前記手元側竿体１の手元側端部外面１ａと前記補
助竿体２の前端部内面２ａとにより、前記補助竿体２の
進出時に嵌合する嵌合部Ａを形成すると共に、前記手元
側竿体１の手元側端部に対し前記穂先側外面に、該外面
に塗料を塗布して肉盛部１１を設け、該肉盛部１１外面
に、前記補助竿体２の後退時、前記前端部内面２ａが接
触して、補助竿体２と手元側竿体１との相対移動を係止
する嵌合面３を設けたのである。

【０００９】図１、２に示した実施例では、プリプレグ
を巻回して一般的な製造法で製造した前記手元側竿体１
の手元側端部に対し前記穂先側外面に塗料を厚目に塗布
して肉盛りし、この肉盛部１１外面を研磨し、仕上げ塗
装して、その外面を前記嵌合面３としている。尚、図
１、２に示した実施例では断面半円形状に肉盛して、こ
の半円形状肉盛部の頂部を嵌合面３としている。また、
記嵌合面３は、図１、２の如く長さ方向に所定間隔を置
いて２つ設けてもよい。この場合、補助竿体２の手元側
竿体１に対する安定性をより一層良好にできるのであ
る。

【００１０】又、前記補助竿体２は、緩円錐形に形成す
るのであって、その後端部外周には、補助竿体２に対し
後方に向かって突出するねじ環２１を設け、このねじ環
２１の後端部外面に椀形の尻栓６を螺着している。

【００１１】尚、図１、２において、４は前記補助竿体
２の後退時、前記手元側竿体１の手元側端部外面１ａと
係合して補助竿体２と手元側竿体１との相対移動を補助
竿体２の後端側で阻止する複数のスリットをもった筒状
のロック体であって、前記尻栓６の回転操作により前記
ロック体４を前記手元側端部外面１ａに対し係脱させ得
るようにしている。また、５は前記ロック体４の前端部
と接触して、該ロック体４のスリット部分を半径方向内
方に変位させるテーパ状の係合部である。

【００１２】しかして、前記手元側竿体１の手元側端部
に対し穂先側外面に設ける嵌合面３は、前記手元側竿体
１の外面に塗料を塗布して形成する肉盛部１１の外面に
設けるのであるから、釣竿を量産する場合、多数の補助
竿体２の前端側切断位置の誤差により、前端部内面２ａ
に寸法のバラツキがあって、前記補助竿体２を後退した
とき、前記前端部内面２ａと前記嵌合面３とが接触しな
くて、補助竿体２と手元側竿体１との相対移動を係止で
きない場合でも、前記肉盛部１１外面に塗料を塗り直す
ことにより、前記嵌合面３の寸法を、前記前端部内面２
ａに対応した寸法に簡単に変えることができるのであ
る。従って、釣竿の組立て作業性を向上でき、コストを
低減できると共に、不良品をなくし得るのである。しか
も、塗料から成る肉盛部１１に弾性を持たせることがで
きて、この肉盛部１１の嵌合面３に弾性的に嵌合するこ
とができるから、竿体内面との嵌合を行わせ易いのであ
り、従って、頻繁に長さ調整を行う場合、その長さ調整
が行い易いのである。更に、塗料を塗布して前記係止力
を調整できるから、寸法調整を行った後においても、嵌
合面３を、塗装された表面とすることができ、外観を良
好にできるのである。

【００１３】また、以上の如く構成した釣竿は、図２の
如く補助竿体２を手元側竿体１に対し後方に進出させて
釣竿の長さを長くした状態から、釣竿の長さを短くする
場合、前記補助竿体２を手元側竿体１に対し後退させる
のであって、この後退により補助竿体２の前端部内面２
ａが手元側竿体１の嵌合面３と接触するため、後退した
補助竿体２と手元側竿体１との相対移動を係止できるの
である。

【００１４】又、釣竿の長さを長くする場合は、前記補
助竿体２を手元側竿体１に対し後方に進出させるのであ
って、この進出により補助竿体２の前端部内面２ａが手
元側竿体１の手元側端部外面１ａと接触して補助竿体２
の進出状態を維持できるのである。

【００１５】

【考案の効果】以上の如く本考案によれば、補助竿体２
を手元側竿体１に対し進退させることにより、釣竿の長
さを変更することができながら、手元側竿体１の手元側
端部に対し穂先側に設ける嵌合面３は、塗料を塗布して
形成する肉盛部１１の外面に設けるのであるから、補助
竿体２の前端部内面に寸法誤差があって、後退した補助
竿体と手元側竿体との相対移動を係止することができな
い場合でも、前記肉盛部１１外面に塗料を塗り直すこと
により、前記嵌合面３の寸法を簡単に変えることができ
るのであり、従って、釣竿の組立て作業性を向上でき、
コストを低減できると共に、不良品をなくし得るのであ
る。しかも、塗料から成る肉盛部１１に弾性を持たせる
ことができて、この肉盛部１１の嵌合面３に弾性的に嵌
合することができるから、竿体内面との嵌合を行わせ易
いのであり、従って、頻繁に長さ調整を行う場合、その
長さ調整が行い易いのである。更に、塗料を塗布して前
記係止力を調整できるから、寸法調整を行った後におい
ても、嵌合面３を、塗装された表面とすることができ、
外観を良好にできるのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案釣竿の一部を省略した切欠側面図。

【図２】補助竿体を後方に進出させた状態の説明図。

【符号の説明】

１ 手元側竿体 ２ 補助竿体 ３ 嵌合面 １１ 肉盛部 Ａ 嵌合部

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】穂先に対し最も手元側の手元側竿体（１）
   の外周に、補助竿体（２）を前記手元側竿体（１）に対
   し後方に向かって進出可能に套嵌し、 前記手元側竿体（１）の手元側端部外面（１ａ）と前記
   補助竿体（２）の前端部内面（２ａ）とに、該補助竿体
   （２）の進出時に嵌合する嵌合部（Ａ）を設けると共
   に、 前記手元側竿体（１）の手元側端部に対し前記穂先側外
   面に、該外面に塗料を塗布して肉盛部（１１）を設け、 該肉盛部（１１）外面に、前記補助竿体（２）の後退
   時、前記前端部内面が接触して、補助竿体（２）と手元
   側竿体（１）との相対移動を係止する嵌合面（３）を設
   けたことを特徴とする釣竿。