JP2026013513A - 自己組織化したフラーレンを含む複合材料、その製造方法、光温熱療法薬、光線力学療法薬、および、光音響造影剤 - Google Patents
自己組織化したフラーレンを含む複合材料、その製造方法、光温熱療法薬、光線力学療法薬、および、光音響造影剤Info
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Abstract
【課題】 自己組織化したフラーレンを含む複合材料、その製造方法、光温熱療法薬、光線力学療法薬、および、光音響造影剤を提供すること。
【解決手段】 本発明の複合材料は、フラーレンと脂肪族ジアミンとが架橋したフラーレン-脂肪族ジアミンの固体球と、固体球の表面に位置する金粒子とを備える。本発明の光温熱療法薬、光線力学療法薬、および、光音響造影剤は、上記複合材料を含む。本発明の複合材料の製造方法は、フラーレンと脂肪族ジアミンとが架橋したフラーレン-脂肪族ジアミンの固体球を調製することと、固体球と金粒子とを分散媒中で混合することとを包含する。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明の複合材料は、フラーレンと脂肪族ジアミンとが架橋したフラーレン-脂肪族ジアミンの固体球と、固体球の表面に位置する金粒子とを備える。本発明の光温熱療法薬、光線力学療法薬、および、光音響造影剤は、上記複合材料を含む。本発明の複合材料の製造方法は、フラーレンと脂肪族ジアミンとが架橋したフラーレン-脂肪族ジアミンの固体球を調製することと、固体球と金粒子とを分散媒中で混合することとを包含する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、自己組織化したフラーレンを含む複合材料、その製造方法、光温熱療法薬、光線力学療法薬、および、光音響造影剤に関する。
近年、液-液界面析出法(LLIP法)によって自己組織化したフラーレン-エチレンジアミン中空球体が製造され、スーパーキャパシタへの適用が期待されている(例えば、非特許文献1を参照)。
一方、近赤外線の照射によって発熱するナノ粒子と生体吸収性高分子とを含む複合多孔質材料を光熱療法に使用することが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
自己組織化したフラーレンの新たな用途への適用が期待されている。
Lok Kumar Shresthaら,Nanomaterials,2023,13,946
以上より、本発明の課題は、自己組織化したフラーレンを含む複合材料、その製造方法、光温熱療法薬、光線力学療法薬、および、光音響造影剤を提供することである。
本発明の複合材料は、フラーレンと脂肪族ジアミンとが架橋したフラーレン-脂肪族ジアミンの固体球と、前記固体球の表面に位置する金粒子とを備え、これにより上記課題を解決する。
前記金粒子は、球状、ロッド状、スター状、紡錘状、うに状、三角柱、直方体および立方体からなる群から選択される形状を有してもよい。
前記フラーレンは、C60フラーレン、C70フラーレン、C76フラーレン、C78フラーレン、C82フラーレン、C84フラーレン、C90フラーレン、C94フラーレン、および、これらの誘導体からなる群から選択されるフラーレンに基づいてもよい。
前記フラーレンは、C60フラーレンまたはその誘導体であってもよい。
前記固体球は、非晶質であってもよい。
前記脂肪族ジアミンは、*-NH-(CH2)m-NH2(mは1≦m≦10、*は結合部位である)で表されてもよい。
前記脂肪族ジアミンは、m=2のエチレンジアミンであってもよい。
前記固体球に対する前記金粒子の質量比は、0.5以上2.0以下の範囲を満たしてもよい。
前記複合材料の平均粒径は、320nm以上380nm以下の範囲であってもよい。
前記金粒子の平均粒径は、25nm以上55nm以下の範囲であってもよい。
紫外可視吸収スペクトルにおいて、波長436nm以上462nm以下の範囲、波長536nm以上539nm以下の範囲、および、波長675nm以上705nm以下の範囲のそれぞれにピークを有してもよい。
ゼータ電位の絶対値は、0mVより大きく20mV以下であってもよい。
本発明による複合材料を製造する方法は、フラーレンと脂肪族ジアミンとが架橋したフラーレン-脂肪族ジアミンの固体球を調製することと、前記固体球と金粒子とを分散媒中で混合することとを包含し、これにより上記課題を解決する。
前記固体球を調製することは、前記フラーレン、前記脂肪族ジアミン、および、芳香族炭化水素を用いた液液界面析出法によって調製してもよい。
前記芳香族炭化水素は、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、および、1,3,5-トリメチルベンゼンからなる群から選択されてもよい。
前記フラーレンに対する前記脂肪族ジアミンは、モル比で、0.9以上3以下の範囲を満たしてもよい。
500℃以上750℃以下の温度範囲でポストアニールすることをさらに包含してもよい。
本発明による光温熱療法薬は、上記複合材料を含み、これにより上記課題を解決する。
本発明による光線力学療法薬は、上記複合材料を含み、これにより上記課題を解決する。
本発明による光音響造影剤は、上記複合材料を含み、これにより上記課題を解決する。
前記金粒子は、球状、ロッド状、スター状、紡錘状、うに状、三角柱、直方体および立方体からなる群から選択される形状を有してもよい。
前記フラーレンは、C60フラーレン、C70フラーレン、C76フラーレン、C78フラーレン、C82フラーレン、C84フラーレン、C90フラーレン、C94フラーレン、および、これらの誘導体からなる群から選択されるフラーレンに基づいてもよい。
前記フラーレンは、C60フラーレンまたはその誘導体であってもよい。
前記固体球は、非晶質であってもよい。
前記脂肪族ジアミンは、*-NH-(CH2)m-NH2(mは1≦m≦10、*は結合部位である)で表されてもよい。
前記脂肪族ジアミンは、m=2のエチレンジアミンであってもよい。
前記固体球に対する前記金粒子の質量比は、0.5以上2.0以下の範囲を満たしてもよい。
前記複合材料の平均粒径は、320nm以上380nm以下の範囲であってもよい。
前記金粒子の平均粒径は、25nm以上55nm以下の範囲であってもよい。
紫外可視吸収スペクトルにおいて、波長436nm以上462nm以下の範囲、波長536nm以上539nm以下の範囲、および、波長675nm以上705nm以下の範囲のそれぞれにピークを有してもよい。
ゼータ電位の絶対値は、0mVより大きく20mV以下であってもよい。
本発明による複合材料を製造する方法は、フラーレンと脂肪族ジアミンとが架橋したフラーレン-脂肪族ジアミンの固体球を調製することと、前記固体球と金粒子とを分散媒中で混合することとを包含し、これにより上記課題を解決する。
前記固体球を調製することは、前記フラーレン、前記脂肪族ジアミン、および、芳香族炭化水素を用いた液液界面析出法によって調製してもよい。
前記芳香族炭化水素は、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、および、1,3,5-トリメチルベンゼンからなる群から選択されてもよい。
前記フラーレンに対する前記脂肪族ジアミンは、モル比で、0.9以上3以下の範囲を満たしてもよい。
500℃以上750℃以下の温度範囲でポストアニールすることをさらに包含してもよい。
本発明による光温熱療法薬は、上記複合材料を含み、これにより上記課題を解決する。
本発明による光線力学療法薬は、上記複合材料を含み、これにより上記課題を解決する。
本発明による光音響造影剤は、上記複合材料を含み、これにより上記課題を解決する。
本発明の複合材料は、フラーレンと脂肪族ジアミンとが架橋したフラーレン-脂肪族ジアミンの固体球と、その表面に位置する金粒子とを備える。このような複合材料とすることにより、近赤外線を照射した際に優れた光熱効果を奏する。このような複合材料は、光温熱療法薬、光線力学療法薬、および、光音響造影剤として機能する。
本発明の複合材料の製造方法は、フラーレンと脂肪族ジアミンとが架橋したフラーレン-脂肪族ジアミンの固体球と金粒子とを単に混合するだけでよいので、熟練の技術や高価な装置を不要とするため、有利である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。なお、同様の要素には同様の符号を付し、その説明を省略する。
図1は、本発明の複合材料を示す模式図である。
本発明の複合材料100は、フラーレンと脂肪族ジアミンとが架橋したフラーレン-脂肪族ジアミンの固体球110と、その固体球110の表面に位置する金粒子120とを備える。本願発明者らは、このような複合材料100に近赤外線を照射すると優れた光熱効果を示すことを見出した。各構成要素について詳述する。
複合材料100は、固体球110の形状を反映し、球状を有する。球状とは、電子顕微鏡等によって観察した際に、球と認識できればよく、詳細には、本願明細書では、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて算出された、複合材料100の最短径に対する最長径の比率(アスペクト比)が、1.0以上1.5以下の範囲であれば、球とする。
なお、アスペクト比は次のように算出される。電子顕微鏡像(例えば、1000倍)から100個の粒子を選択し、それらの最短径および最長径を測定する。100個の粒子それぞれのアスペクト比を算出し、その平均値を複合材料100のアスペクト比とする。
複合材料100の平均粒径は、好ましくは、300nm以上600nm以下の範囲である。複合材料100の平均粒径は、より好ましくは、320nm以上380nm以下の範囲である。この範囲であれば、複合材料100を光温熱療法薬として用いて体内に導入しやすい。なお、平均粒径は、電子顕微鏡像(例えば、5000倍)で観察される粒子100個の最長径の平均である。
固体球110は、その表面に脂肪族ジアミンを有する。これにより固体球110の表面が親水性を有し、生体分野での用途に適する。脂肪族ジアミンは、固体球110の自己組織化に伴い導入されるが、好ましくは、*-NH-(CH2)m-NH2(mは1≦m≦10、*は結合部位である)で表される。中でも、収率や安全性の観点から、m=2であるエチレンジアミンが好ましい。
固体球110を構成するフラーレンは、フラーレンに基づく炭素原子を主成分とする球状の化合物であれば特に制限はないが、例示的には、C60フラーレン、C70フラーレン、C76フラーレン、C78フラーレン、C82フラーレン、C84フラーレン、C90フラーレン、C94フラーレン、および、これらの誘導体からなる群から選択されるフラーレンに基づく。フラーレンは、好ましくは、C60フラーレンまたはその誘導体である。これにより、後述の方法により、固体球110が効率よく生成される。なお、フラーレン誘導体とは、フラーレンの少なくとも一部がエチレンジアミン以外の置換基によって修飾された化合物を意味する。
フラーレンと脂肪族ジアミンとが架橋し、自己組織化が進むと、固体球110となるが、このとき、フラーレンと脂肪族ジアミンとの間の架橋の程度によっては、固体球110は、非晶質であってもよい。当然に、固体球110は、非晶質と結晶性のフラーレンとの混合であってもよい。
金粒子120は、金を主成分とする限り任意の粒子を採用できる。金粒子120は、例示的には、球状、ロッド状、スター状、紡錘状、うに状、三角柱、直方体および立方体からなる群から選択される形状を有する。なお、主成分とする量は、金を50質量%以上含有することを意味する。これにより、本発明の複合材料は光熱効果を示す。
金粒子120の平均粒径は、好ましくは、15nm以上80nm以下の範囲である。金粒子120の平均粒径は、より好ましくは、25nm以上55nm以下の範囲である。この範囲であれば、固体球110と複合化され、優れた光熱効果を示す。ここでも、平均粒径は、電子線顕微鏡像(例えば、20000倍~30000倍)で観察される粒子100個の最長径の平均である。
固体球110に対する金粒子120の質量比は、好ましくは、0.5以上2.0以下の範囲を満たす。この範囲であれば、優れた光熱効果を示す。質量比は、より好ましくは、1.0以上2.0以下の範囲を満たす。この範囲であれば、さらに優れた光熱効果を示す。質量比は、なお好ましくは、1.5以上2.0以下の範囲を満たす。この範囲であれば、なおさらに優れた光熱効果を示す。
固体球110と金粒子120とは、共役により複合化されていてよい。ここでいう共役とは、接触や接続等の物理的な結合状態であること、化学的な結合状態にあることのいずれであってもよいが、対象となる複合材料のX線光電子分光法(XPS)によるスペクトルにおいて、N-C=O結合状態(約401.7eV)、および、O=C結合状態(約531.6eV)が確認されれば、共役しているといえる。
本発明の複合材料100は、好ましくは、紫外可視吸収スペクトルにおいて、波長436nm以上462nm以下の範囲、波長536nm以上539nm以下の範囲、および、波長675nm以上705nm以下の範囲のそれぞれにピークを有する。これにより、固体球110と金粒子120とが共役し、優れた光熱効果を示す。
本発明の複合材料100は、好ましくは、絶対値で0mVより大きく20mV以下の範囲のゼータ電位を有する。金粒子120により表面電荷が抑えられるので、反対に帯電した粒子または分子を付着/積層させるのに有利である。本発明の複合材料100は、より好ましくは、絶対値で0mVより大きく15mV以下の範囲のゼータ電位を有する。これにより、反対に帯電した粒子や分子を付着させるのに有利である。
次に、本発明の複合材料100の製造方法について説明する。
図2は、本発明の複合材料を製造する工程を示すフローチャートである。
図2は、本発明の複合材料を製造する工程を示すフローチャートである。
本発明の複合材料100は次の工程により製造される。
ステップS210:フラーレンと脂肪族ジアミンとが架橋したフラーレン-脂肪族ジアミンの固体球を調製する。
ステップS220:固体球と金粒子とを分散媒中で混合する。
ステップS210:フラーレンと脂肪族ジアミンとが架橋したフラーレン-脂肪族ジアミンの固体球を調製する。
ステップS220:固体球と金粒子とを分散媒中で混合する。
各工程について詳細に説明する。
ステップS210において、上述の固体球110が得られる限り、調製方法に特に制限はないが、好ましくは、フラーレン、脂肪族ジアミンおよび芳香族炭化水素を用いた液液界面析出法(LLIP)を採用できる。
ステップS210において、上述の固体球110が得られる限り、調製方法に特に制限はないが、好ましくは、フラーレン、脂肪族ジアミンおよび芳香族炭化水素を用いた液液界面析出法(LLIP)を採用できる。
ここで、フラーレンは、上述したC60フラーレン、C70フラーレン、C76フラーレン、C78フラーレン、C82フラーレン、C84フラーレン、C90フラーレン、C94フラーレン、および、これらの誘導体からなる群から選択される。中でもC60フラーレンまたはその誘導体が好ましい。
脂肪族ジアミンは、好ましくは、NH2-(CH2)m-NH2(mは1≦m≦10である)で表される。中でも、脂肪族ジアミンは、m=2であるエチレンジアミンがよい。これにより、フラーレンの自己組織化が促進し、表面に脂肪族ジアミンを有する固体球が得られやすい。フラーレンに対する脂肪族ジアミンは、モル比で、0.9以上3以下の範囲を満たすように、混合される。この範囲であれば、フラーレンと脂肪族ジアミンとが架橋し、自己組織化が進行し、固体球が生成される。フラーレンに対する脂肪族ジアミンは、好ましくは、モル比で、0.5以上1.5以下の範囲を満たすように、混合される。これにより、固体球が効率よく生成される。フラーレンに対する脂肪族ジアミンは、より好ましくは、モル比で、0.8以上1.2以下の範囲を満たすように、混合される。これにより、固体球が効率よく生成される。
芳香族炭化水素は、好ましくは、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、および、1,3,5-トリメチルベンゼン(メシチレン)からなる群から選択される。これらの溶媒は、フラーレンの良溶媒となる。中でも、1,3,5-トリメチルベンゼンをエチレンジアミンと組み合わせると、フラーレンの自己組織化が促進し、固体球が得られやすい。
具体的な調製は次のように行うことができる。
まず、選択したフラーレン(フラーレン誘導体を含む)を上述の芳香族炭化水素に溶解させ、フラーレンの飽和溶液を得る。このとき超音波処理をしてもよい。次いで、脂肪族ジアミンと芳香族炭化水素とを混合した混合溶媒にフラーレンの飽和溶液を添加・混合し、インキュベートする。インキュベートは、室温(15℃以上30℃以下)において、30分以上10時間以下の時間行われてよい。これにより、フラーレンと脂肪族ジアミンとが架橋したフラーレン-脂肪族ジアミンの固体球が得られる。固体球を、遠心分離および洗浄、凍結乾燥によって粉末として得てもよい。
まず、選択したフラーレン(フラーレン誘導体を含む)を上述の芳香族炭化水素に溶解させ、フラーレンの飽和溶液を得る。このとき超音波処理をしてもよい。次いで、脂肪族ジアミンと芳香族炭化水素とを混合した混合溶媒にフラーレンの飽和溶液を添加・混合し、インキュベートする。インキュベートは、室温(15℃以上30℃以下)において、30分以上10時間以下の時間行われてよい。これにより、フラーレンと脂肪族ジアミンとが架橋したフラーレン-脂肪族ジアミンの固体球が得られる。固体球を、遠心分離および洗浄、凍結乾燥によって粉末として得てもよい。
ステップS220において、金粒子は、上述した金粒子を採用できるが、市販の金粒子を用いてもよいし、例えば、J.Liら,Nanoscale,8,7992-8007(2016)にしたがって合成してもよい。上述の方法で合成すれば、異なるサイズと形状(例えば、ロッド、スター等)とを有する金粒子を得ることができる。
ステップS220において、分散媒は、水または水を含有する溶媒であってよい。水は、水道水、蒸留水、精製水、超純水、脱イオン水等である。水を含有する溶媒としては、水を含有していればよく、他の溶媒を含有していてもよい。他の溶媒としては特に制限されないが、水と混和する溶媒が好ましく、アルコール(例えばエタノール等)が挙げられる。
ステップS220において、固体球に対する金粒子の質量比が、好ましくは、0.5以上2.0以下の範囲を満たすように、固体球と金粒子とが混合される。この範囲であれば、優れた光熱効果を有する複合材料100が得られる。より好ましくは、1.0以上2.0以下の範囲の質量比を満たすように、固体球と金粒子とが混合される。これにより、さらに優れた光熱効果を有する複合材料100が得られる。
ステップS220において、混合は、室温(15℃以上30℃以下)において、10分以上5時間以下の時間、超音波処理してよい。これにより、固体球と金粒子とが共役反応し、複合材料が得られる。複合材料を、遠心分離および洗浄、凍結乾燥によって粉末として得てもよい。
ステップS220に続いて、ステップS220で得られた生成物を500℃以上750℃以下の温度範囲でポストアニールしてもよい。これにより、表面の金粒子が互いに凝集し、成長し得る。加熱時間は特に制限はないが、例えば、0.5時間以上12時間以下の範囲であってよい。
次に、本発明の複合材料100の用途について説明する。
本発明の複合材料100は、光温熱療法薬として機能し得る。光温熱療法(PTT:Photothermal Therapy)とは、がん細胞が正常細胞に比べて熱に弱いという性質を利用し、がん細胞近傍で金粒子による光熱効果を発現させ、がん細胞を死滅させる治療法である。
本発明の複合材料100は、光温熱療法薬として機能し得る。光温熱療法(PTT:Photothermal Therapy)とは、がん細胞が正常細胞に比べて熱に弱いという性質を利用し、がん細胞近傍で金粒子による光熱効果を発現させ、がん細胞を死滅させる治療法である。
生体内に投与された本発明の複合材料100を含有する光熱療法薬を用いたがん治療方法(使用方法)は、以下のステップを包含する。
ステップS310:光熱療法薬を生体内に投与する。
ステップS320:生体に光を照射し、生体内で生じる発熱によってがん細胞を破壊する。
ステップS310:光熱療法薬を生体内に投与する。
ステップS320:生体に光を照射し、生体内で生じる発熱によってがん細胞を破壊する。
ステップS310において、生体とは、ヒト、または、ヒトを除く動物であってよい。投与の方法は、経口、静脈注射、あるいは、術後の患部への直接塗布であってよい。本発明の複合材料100の表面に細胞吸収を促進する物質(例えば、界面活性剤、シクロデキストリン、生体接着性ポリマー等)を付与すれば、経口投与の際に効率よく小腸で吸収される光熱療法薬として機能する。本発明の複合材料100の表面にがん細胞と結合する物質(例えば、抗体、リガンド、ペプチド等)を付与すれば、経口あるいは静脈注射すると、本発明の光熱療法薬は効率よくがん細胞に集まるため、ステップS320により効果的にがん細胞を破壊できる。
ステップS320において、光は、好ましくは、近赤外線であり、具体的には、700nm以上1500nm以下の範囲の波長を有し、より好ましくは、750nm以上1300nm以下の範囲を有する。これにより、本発明の光熱療法薬は、光の照射により、効果的に発熱し、がん細胞を破壊できる。
本発明の複合材料100は、光線力学療法薬として機能し得る。光線力学療法(PDT:Photodynamic Therapy)とは、活性酸素ががん細胞のDNAを損傷させる性質を利用し、がん細胞近傍で金粒子から活性酸素を生じさせ、がん細胞を死滅させる治療法である。
生体内に投与された本発明の複合材料100を含有する光線力学療法薬を用いたがん治療方法(使用方法)は、以下のステップを包含する。
ステップS410:光線力学療法薬を生体内に投与する。
ステップS420:生体に光を照射し、生体内で生じる活性酸素(一重項酸素)によってがん細胞を破壊する。
ステップS410:光線力学療法薬を生体内に投与する。
ステップS420:生体に光を照射し、生体内で生じる活性酸素(一重項酸素)によってがん細胞を破壊する。
ステップS410は、上述したステップS310と同様であるため、説明を省略する。
ステップS420において、光は、好ましくは、近赤外線であり、具体的には、700nm以上1500nm以下の範囲の波長を有し、より好ましくは、750nm以上1300nm以下の範囲を有する。これにより、本発明の光線力学療法薬は、光の照射により、効果的に活性酸素を生じ、がん細胞を破壊できる。
本発明の複合材料100は、光音響造影剤として機能し得る。光音響造影(PAI:Photoacousti Imaging)とは、金粒子の光音響効果を利用したがん、腫瘍等の部位の画像化である。
生体内に投与された本発明の複合材料100を含有する光音響造影剤を用いた、がん等の部位のイメージング方法(使用方法)は、以下のステップを包含する。
ステップS510:光音響造影剤を生体内に投与する。
ステップS520:生体に光を照射し、生体内で生じる光音響信号を検出する。
ステップS510:光音響造影剤を生体内に投与する。
ステップS520:生体に光を照射し、生体内で生じる光音響信号を検出する。
ステップS510は、上述したステップS310と同様であるため、説明を省略する。
ステップS520において、光は、好ましくは、近赤外線であり、具体的には、700nm以上1500nm以下の範囲の波長を有し、より好ましくは、750nm以上1300nm以下の範囲を有する。これにより、本発明の光音響造影剤は、光音響効果を生じ、がん、腫瘍等の部位を造影できる。
なお、本発明の光熱療法薬、光線力学療法薬および光音響造影剤は、本発明の複合材料100とともに、分散媒を含んでもよい。分散媒は、例えば、生理食塩水、注射用蒸留水、リン酸緩衝液等であってよい。光熱療法薬、光線力学療法薬および光音響造影剤は、必要に応じて、薬理上許容可能な添加物をさらに含んでもよい。当然ながら、本発明の光熱療法薬、光線力学療法薬および光音響造影剤を組み合わせてもよい。例えば、光音響造影剤により患部を画像化した後、光音響造影剤と同じ材料である光線療法薬によりがん細胞を破壊してもよい。
次に、具体的な実施例を用いて本発明を詳述するが、本発明がこれら実施例に限定されないことに留意されたい。
[フラーレン-脂肪族ジアミンの固体球(FE-SS)の調製]
フラーレンと脂肪族ジアミンとが架橋したフラーレン-脂肪族ジアミンの固体球を、動的液液界面析出法(DLLIP)を用いて調製した(図2のステップS210)。
フラーレンと脂肪族ジアミンとが架橋したフラーレン-脂肪族ジアミンの固体球を、動的液液界面析出法(DLLIP)を用いて調製した(図2のステップS210)。
具体的には、原料のフラーレンとしてフラーレンC60粉末140mg(純度99.5%、MTR Ltd.製)を、1,3,5-トリメチルベンゼン(メシチレン)140mL(純度98.0%、富士フイルム和光純薬株式会社製)に溶解させ、60分間、超音波処理をし、フラーレン飽和溶液(以降では単位フラーレン溶液と称する)を調製した。フラーレン溶液中のフラーレン濃度は、1mg/mLであった。
芳香族ジアミンとしてエチレンジアミン0.55mL(EDA、純度99.0%、富士フイルム和光純薬株式会社製)と、芳香族炭化水素としてメシチレン5mLとをガラス瓶に入れ、30分間、超音波処理をし、EDA/メシチレン溶液5.55mLを調製した。エチレンジアミンは、NH2-(CH2)m-NH2においてm=2で表される。
フラーレン溶液5mLを、EDA/メシチレン溶液5.55mLに室温(25℃)で添加した。このとき、フラーレンC60に対するEDAのモル比は、1であった。次いで、この混合液を、10秒間、撹拌し、25℃で1時間インキュベートし、褐色の沈殿物として、フラーレンと脂肪族ジアミンとが架橋したフラーレン-脂肪族ジアミンの固体球(FE-SSと称する)を得た。この混合液を、3分間、遠心分離(3000rpm)し、イソプロパノール(IPA)で3回洗浄し、48時間、凍結乾燥し、FE-SS粉末を得た。FE-SS粉末を電界放出型走査電子顕微鏡(SEM、株式会社日立ハイテク製、S-4800)により観察した。観察結果を図3に示す。
図3は、フラーレン-脂肪族ジアミンの固体球のSEM像を示す図である。
図3によれば、液液界面析出法により、フラーレンC60がEDAと架橋し、球状に自己組織化し、固体球が得られたことが分かった。固体球のアスペクト比を算出したところ、1.0以上1.5以下の範囲であり、粒径はいずれも300nm~600nmを有し、その平均粒径は310nmであった。固体球のX線光電子分光法(XPS)によるスペクトルから、固体球は表面にエチレンジアミンを有することを確認した。
[金粒子(AuNS)の調製]
蒸留水3mLとHEPES緩衝液2mL(株式会社同仁化学研究所製、100mM、pH7.4)とを、ガラス瓶中で、10秒間混合した。次いで、この混合液と、塩化金(III)酸三水和物水溶液50μL(Sigma-Aldrich製、20mM)とを混合し、25℃で90分間、インキュベートし、金ナノスターである金粒子(AuNS)を含有する青黒い分散液を得た。AuNS分散液は4℃で保管した。
蒸留水3mLとHEPES緩衝液2mL(株式会社同仁化学研究所製、100mM、pH7.4)とを、ガラス瓶中で、10秒間混合した。次いで、この混合液と、塩化金(III)酸三水和物水溶液50μL(Sigma-Aldrich製、20mM)とを混合し、25℃で90分間、インキュベートし、金ナノスターである金粒子(AuNS)を含有する青黒い分散液を得た。AuNS分散液は4℃で保管した。
[例1~例4]
例1~例4は、調製した固体球(FE-SS)と金粒子(AuNS)とを分散媒中で混合し(図2のステップS220)、FE-SSに対するAuNSの質量比が、それぞれ、0.5、1、1.5および2である複合材料を得た。
例1~例4は、調製した固体球(FE-SS)と金粒子(AuNS)とを分散媒中で混合し(図2のステップS220)、FE-SSに対するAuNSの質量比が、それぞれ、0.5、1、1.5および2である複合材料を得た。
具体的には、表1に示すように、固体球(FE-SS)の粉末を蒸留水に添加し、15分間、超音波処理し、均一な固体球の分散液(1mg/mL)を得た。この固体球の分散液と、濃度調整した金粒子(AuNS)の分散液(0.5mg/mL、1mg/mL、1.5mg/mL、2mg/mL)とを混合し、30分間、超音波処理した。混合液中に生成した黒い生成物を、3分間、遠心分離(2000rpm)し、蒸留水で2回洗浄し、48時間、凍結乾燥させた。このようにして得られた生成物を、それぞれ、例1の試料(FE-SS/AuNS0.5)、例2の試料(FE-SS/AuNS1)、例3の試料(FE-SS/AuNS1.5)、例4の試料(FE-SS/AuNS2)と称する。
例1~例4の試料を、電界放出型走査電子顕微鏡(SEM、株式会社日立ハイテク製、S-4800)、および、電界放出形透過電子顕微鏡(TEM、日本電子株式会社製、JEM-2100F)により観察した。
例1~例4の試料の表面官能基を、全反射式フーリエ変換赤外分光高度計(ATR-FTIR、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社、Nexus 670)を用いて特定した。例1~例4の試料の紫外可視光(UV-vis)スペクトルを、分光光度計(日本分光株式会社製、V-670)を用いて測定した。
例1~例4の試料のラマンスペクトルを、トリプルレーザラマン分光測定装置(Jobin Yvon社製、T64000)を用いて測定した。測定には、0.01mW出力の波長514.5nmのレーザを用いた。例1~例4の試料を、X線回折装置(XRD、株式会社リガク製、RINT-Ultima III)を用いて同定した。
例1~例4の試料のX線光電子スペクトルを、シータプローブ分光計(サーモエレクトロン社製)を用いて測定した。測定には、Al-Kα単色線(エネルギー15keV)を用いた。コアレベルXPSのC1s(Cの1s軌道のエネルギーピーク位置)、O1s(Oの1s軌道のエネルギーピーク位置)、N1s(Nの1s軌道のエネルギーピーク位置)、および、Au4f(Auの4f軌道のエネルギーピーク位置)を0.05eVステップで記録した。測定用試料に電荷が蓄積するのを避けるため、測定には、ビルトイン式エレクトロフラッドガンを用いた。
例1~例4の試料の熱重量分析を、熱重量測定装置(NETZSCH-Geratebau GmbH、STA2500 Regulus)を用いて測定した。また、熱重量分析の測定後の例1~例4の試料のSEM像を観察した。
例1~例4の試料のゼータ電位を、ゼータ電位測定装置(マルバーン社製、Zetasizer Nano-ZS ZEN 3600)を用いて測定した。例1~例4の試料の光熱効果を測定した。詳細には、近赤外レーザ(波長808nm、出力0.8mW)を、例1~例4の試料(1.0mg)に4分照射し、照射前後の温度を測定した。
以上の結果を図4~図13に示し、まとめて説明する。
図4は、例1~例4の試料のSEM像を示す図である。
図5は、例1~例4の試料のSTEM像を示す図である。
図6は、例3の試料のTEM像を示す図である。
図5は、例1~例4の試料のSTEM像を示す図である。
図6は、例3の試料のTEM像を示す図である。
図4(A)~(D)は、それぞれ、例1の試料(FE-SS/AuNS0.5)、例2の試料(FE-SS/AuNS1)、例3の試料(FE-SS/AuNS1.5)、および、例4の試料(FE-SS/AuNS2)のSEM像である。
図5(A)~(D)は、それぞれ、例1の試料(FE-SS/AuNS0.5)、例2の試料(FE-SS/AuNS1)、例3の試料(FE-SS/AuNS1.5)、および、例4の試料(FE-SS/AuNS2)のSTEM像である。
図6(A)および(C)、ならびに、(B)および(D)は、それぞれ固体球(FE-SS)および例3の試料(FE-SS/AuNS1.5)のTEM像である。
図4、図5および図6(B)によれば、例1~例4の試料は、いずれも、表面に粒子を有する球体であった。図3および図6(A)と、図4、図5および図6(B)とを比較すると、固体球(FE-SS)と金粒子(AuNS)とを混合することによって、固体球の表面に金粒子が付着した複合材料となることを示唆する。図4によれば、固体球に対する金粒子の質量比が大きくなるにつれて、金粒子の付着量が増大することが分かった。しかしながら、図4(D)の例4の試料(FE-SS/AuNS2)に、矢印で示すように、金粒子の凝集が確認されたため、固体球に対する金粒子の質量比は2.0以下が好ましいことが示唆される。
図6(B)に示す例3の試料の粒径は350nmであり、その平均粒径は、340nmであった。例1、例2および例4の試料の平均粒径も320nm以上380nm以下の範囲を満たした。図6(D)によれば、例3の試料の表面の金粒子(AuNS)は、突起を複数有するスター状の形状を有しており、その平均粒径は31.2nmであった。
図7は、例1~例4の試料のATR-FTIRスペクトル(A)、UV-visスペクトル(B)、ラマン散乱スペクトル(C)、および、XRDパターン(D)を示す図である。
図7(A)には、原料に用いたフラーレンC60、固体球(FE-SS)および金粒子(AuNS)のATR-FTIRスペクトルも併せて示す。固体球(FE-SS)のATR-FTIRスペクトルは、フラーレンC60のそれとは異なり、3100cm-1~3500cm-1の幅広いN-H伸縮振動バンド、2867cm-1~2922cm-1のC-H伸縮振動バンド、1635cm-1および1450cm-1のN-H変角振動、および、1103cm-1のC-N伸縮振動バンドを示した。
図7(A)の例1~例4の試料のスペクトルに着目すれば、固体球に対する金粒子の質量比が大きくなるにつれて、C-N伸縮振動バンドの強度が増大し、質量比が1.5でもっとも強度が大きかった。
また、例1~例4の試料のスペクトルでは、3299cm-1のN-H伸縮振動、1658cm-1のN-H変角振動等の金粒子(AuNS)の特徴的なピークは、固体球(FE-SS)に特徴的なピークと重なっていた。
図7(B)には、固体球(FE-SS)および金粒子(AuNS)のUV-visスペクトルも併せて示す。固体球(FE-SS)のUV-visスペクトルは、407nmに顕著な吸収ピークを示した。このピークは、フラーレンC60の電子振動構造、および、周辺環境の影響に起因する。一方、金粒子(AuNS)のUV-visスペクトルは、533nmのコアに関連する高周波プラズモンモードと、638nmのスター状の先端に関連する低周波プラズモンモードとを示した。
しかしながら、例1~例4の試料のUV-visスペクトルは、これら固体球(FE-SS)および金粒子(AuNS)のそれとは異なり、3つのピーク(407nm、533nm、638nm)を示した。このことは、固体球と金粒子とが単なる複合化ではなく、共役していることを示唆する。さらに、新たな3つのピークの強度に着目すると、例3の試料(FE-SS/AuNS1.5)のピーク強度がもっとも高かった。
図7(C)には、固体球(FE-SS)および金粒子(AuNS)のラマン散乱スペクトルも併せて示す。例1~例4の試料のラマン散乱スペクトルは、固体球(FE-SS)に基づく1350cm-1付近のDバンドと、1588cm-1付近のGバンドとを有するとともに、金粒子(AuNS)に基づく1465cm-1付近のピークとを示した。1465cm-1付近のピークの強度は、固体球に対する金粒子の質量比が大きくなるにつれて増大した。詳細には、表面プラズモン効果は、質量比が1以上で増大し始め、質量比が1.5で安定した。
これらからも、固体球(FE-SS)と金粒子(AuNS)とを混合することによって、固体球の表面に金粒子が共役した複合材料が得られたことを示唆する。
図7(D)は、例3の試料(FE-SS/AuNS1.5)および固体球(FE-SS)のXRDパターンを示す。固体球(FE-SS)のXRDパターンは、8.32°および18.58°にピークを有したが、これらのピークは、面心立方構造を有するフラーレンC60のピークに一致しなかった。このことから、固体球(FE-SS)は、非晶質であることが示された。
一方、例3の試料(FE-SS/AuNS1.5)のXRDパターンは、38.2°、44.4°および77.7°に金の結晶構造の(111)、(200)および(311)格子面に対応するピークを示し、それ以外は、固体球(FE-SS)のXRDパターンと同様(8.32、18.58)であった。このことからも、例3の試料(FE-SS/AuNS1.5)は、フラーレンC60とEDAとが架橋し、非晶質な固体球に金粒子が結合した複合材料であることが分かった。なお、図示しないが、例1、例2および例4の試料のXRDパターンは、いずれも、38.2°、44.4°、64.7°および77.7°に金のピークを示し、フラーレンC60のピークを示すものもあった。
図8は、例3の試料および固体球のXPSスペクトルを示す図である。
図9は、例3の試料および固体球のXPSコアレベルスペクトルを示す図である。
図9は、例3の試料および固体球のXPSコアレベルスペクトルを示す図である。
図9(A)~(D)は、それぞれ、例3の試料および固体球のC1sスペクトル、N1sスペクトル、O1sスペクトルおよびAu4fスペクトルを示す。図8の固体球(FE-SS)のXPSスペクトルによれば、284eV、400eVおよび532eVに主要なピークを示した。これらのピークは、それぞれ、固体球の表面の炭素、窒素および酸素に対応した。一方、例3の試料(FE-SS/AuNS1.5)のXPSスペクトルは、上記3つの主要なピークに加えて、Au4fの84eV、Au4dの335eVおよび353eV、Au4p3/2の546eV、Au4p1/2の642eV、および、Au4sの764eVのピークを示した。
図9(A)の固体球(FE-SS)のXPSコアスペクトルは、C=C(sp2)結合状態の284.5eV、C-C(sp3)結合状態の284.8eV、および、C=O結合状態の288.3eVのピークを示した。一方、図9(A)の例3の試料(FE-SS/AuNS1.5)のXPSコアスペクトルは、上記3つの炭素の結合状態に加えて、C-C結合状態の284.5eVのピークを示した。
図9(B)の固体球(FE-SS)のXPSコアスペクトルは、NH2結合状態の399.6eV、および、正に帯電した窒素状態の400.3eVのピークを示した。一方、図9(B)の例3の試料(FE-SS/AuNS1.5)のXPSコアスペクトルは、上記2つの窒素の結合状態に加えて、N-C=O結合状態の401.7eVのピークを示した。
図9(C)の固体球(FE-SS)のXPSコアスペクトルは、C-OH結合状態の531.9eV、および、C-O-C結合状態の532.2eVのピークを示した。一方、図9(C)の例3の試料(FE-SS/AuNS1.5)のXPSコアスペクトルは、上記2つの酸素の結合状態に加えて、O=C結合状態の531.6eVのピークを示した。
図9(D)の例3の試料(FE-SS/AuNS1.5)のXPSコアスペクトルは、Au4f7/2の83.7eV、および、Au4f5/2の87.7eVのピークを示した。
図9(A)~(D)によれば、例3の試料は、フラーレンC60とEDAとが架橋し、表面にEDAを有した固体球に、金粒子が共役し、安定化した複合材料であることが分かった。
図10は、例3の試料の熱重量変化を示す図である。
図11は、例3の試料の熱重量測定後のSEM像を示す図である。
図11は、例3の試料の熱重量測定後のSEM像を示す図である。
図10には、固体球(FE-SS)および金粒子(AuNS)の熱重量変化も併せて示す。図11(A)~(B)は、固体球(FE-SS)の熱重量測定後のSEM像であり、図11(C)~(D)は、例3の試料(FE-SS/AuNS1.5)の熱重量測定後のSEM像である。
固体球(FE-SS)の熱重量変化において、100℃以下で観察された質量損失は、自己組織化中にフラーレン構造内に取り込まれた分散媒(ここでは水)の蒸発に起因し、200℃近傍で観察された質量損失は、メシチレンおよび未反応のEDAの蒸発に起因し、750℃以上で観察された顕著な質量損失は、C-C結合の破壊およびアモルファスカーボンの形成に起因した。金粒子(AuNS)の熱重量変化において、250℃以上500℃以下で観察された質量損失は、金粒子を被覆する有機層(HEPES緩衝液に基づく)の焼失に起因する。
一方、例3の試料(FE-SS/AuNS1.5)の熱重量変化の傾向は、固体球(FE-SS)および金粒子(AuNS)のそれに類似したが、全体の質量損失は少なかった。驚くべきことに、例3の試料を750℃以上に加熱しても、その質量損失を20%に抑えられたことは、例3の試料が熱安定性に優れることを示す。これは、フラーレンC60とEDAとが架橋したC60-EDAの固体球の表面に金粒子(AuNS)が共役することにより、金粒子がバリア層としても機能し、固体球の熱による分解を効果的に抑制したと考える。
熱重量測定後の図11(A)~(B)と、熱重量測定前の図3とを比較すると、加熱によっても、固体球(FE-SS)の大きさに変化は見られなかった。一方、熱重量測定後の図11(C)~(D)と、熱重量測定前の図4とを比較すると、加熱によっても、固体球(FE-SS)の大きさに変化は見られなかったが、金粒子(AuNS)の大きさは大きくなった。具体的には、金粒子の平均粒径は、加熱によって、31.2nmから49.1nmまで増大した。これは、加熱により、金粒子が互いに結合し、大きな金粒子になったためである。金粒子が大きくなると、表面積の増大と光吸収の改善とにより光熱効果が向上し、より効率的な発熱とがん細胞の破壊とにつながり得る。
図12は、例1~例4の試料のゼータ電位を示す図である。
図12によれば、固体球(FE-SS)に対する金粒子(AuNS)の質量比が大きくなるにつれて、ゼータ電位の絶対値は減少し、0mVより大きく20mV以下の範囲を満たし、-11.0mVで安定化した。ゼータ電位の絶対値が上記範囲となることにより、反対に帯電した粒子や分子を付着させるのに有利である。
図13は、例1~例4の試料の光熱効果を示す図である。
図13には、ガラス基板(アズワン株式会社製、25mm×75mm、1.0~1.2mm厚)、固体球(FE-SS)および金粒子(AuNS)の光熱効果も併せて示す。図13によれば、近赤外線を照射しない場合には、いずれの試料も温度変化を示さなかった。また、ガラス基板は、近赤外線を照射時も温度変化を示さなかった。
一方、固体球(FE-SS)および金粒子(AuNS)は、近赤外線を照射時に温度上昇し、光熱効果を示した。固体球(FE-SS)に金粒子(AuNS)が共役した例1~例4の試料は、近赤外線を照射時に温度上昇し、光熱効果を示したが、いずれも、固体球(FE-SS)および金粒子(AuNS)の光熱効果よりも大きな光熱効果を示した。特に、固体球(FE-SS)に対する金粒子(AuNS)の質量比が1.5以上2.0以下の範囲において、顕著な光熱効果を示した。このことから、本発明の複合材料は、近赤外線を照射すると光熱効果を生じるため、熱に弱いがん細胞を死滅させることができ、光温熱療法薬として機能し得る。
本発明の複合材料は、近赤外線を照射すると光熱効果、活性酸素、および、光音響効果を生じるため、光温熱療法薬、光線力学療法薬、および、光音響造影剤に応用される。
100 複合材料
110 固体球
120 金粒子
110 固体球
120 金粒子
Claims (20)
- フラーレンと脂肪族ジアミンとが架橋したフラーレン-脂肪族ジアミンの固体球と、
前記固体球の表面に位置する金粒子と
を備える、複合材料。 - 前記金粒子は、球状、ロッド状、スター状、紡錘状、うに状、三角柱、直方体および立方体からなる群から選択される形状を有する、請求項1に記載の複合材料。
- 前記フラーレンは、C60フラーレン、C70フラーレン、C76フラーレン、C78フラーレン、C82フラーレン、C84フラーレン、C90フラーレン、C94フラーレン、および、これらの誘導体からなる群から選択されるフラーレンに基づく、請求項1または2に記載の複合材料。
- 前記フラーレンは、C60フラーレンまたはその誘導体である、請求項3に記載の複合材料。
- 前記固体球は、非晶質である、請求項1~4のいずれかに記載の複合材料。
- 前記脂肪族ジアミンは、*-NH-(CH2)m-NH2(mは1≦m≦10、*は結合部位である)で表される、請求項1~5のいずれかに記載の複合材料。
- 前記脂肪族ジアミンは、m=2のエチレンジアミンである、請求項6に記載の複合材料。
- 前記固体球に対する前記金粒子の質量比は、0.5以上2.0以下の範囲を満たす、請求項1~7のいずれかに記載の複合材料。
- 前記複合材料の平均粒径は、320nm以上380nm以下の範囲である、請求項1~8のいずれかに記載の複合材料。
- 前記金粒子の平均粒径は、25nm以上55nm以下の範囲である、請求項1~9のいずれかに記載の複合材料。
- 紫外可視吸収スペクトルにおいて、波長436nm以上462nm以下の範囲、波長536nm以上539nm以下の範囲、および、波長675nm以上705nm以下の範囲のそれぞれにピークを有する、請求項1~10のいずれかに記載の複合材料。
- ゼータ電位の絶対値は、0mVより大きく20mV以下である、請求項1~11のいずれかに記載の複合材料。
- フラーレンと脂肪族ジアミンとが架橋したフラーレン-脂肪族ジアミンの固体球を調製することと、
前記固体球と金粒子とを分散媒中で混合することと
を包含する、請求項1~12のいずれかに記載の複合材料を製造する方法。 - 前記固体球を調製することは、前記フラーレン、前記脂肪族ジアミン、および、芳香族炭化水素を用いた液液界面析出法によって調製する、請求項13に記載の方法。
- 前記芳香族炭化水素は、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、および、1,3,5-トリメチルベンゼンからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
- 前記フラーレンに対する前記脂肪族ジアミンは、モル比で、0.9以上3以下の範囲を満たす、請求項14または15に記載の方法。
- 500℃以上750℃以下の温度範囲でポストアニールすることをさらに包含する、請求項14~16のいずれかに記載の方法。
- 請求項1~12のいずれかに記載の複合材料を含む光温熱療法薬。
- 請求項1~12のいずれかに記載の複合材料を含む光線力学療法薬。
- 請求項1~12のいずれかに記載の複合材料を含む光音響造影剤。
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