JP2025179894A - 制振構造 - Google Patents

制振構造

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翼 谷
Tsubasa Tani
祥希 柳坂
Yoshiki Yanagisaka
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Abstract

【課題】柱梁架構の剛性への影響を低減しつつ、高い制振性能を有するように、制振ダンパーを配置する。
【解決手段】制振構造1は、鋼製の柱梁架構2に対し、制振ダンパー13をシアリンク型に配したものであり、柱梁架構2は、隣り合う一対の柱3と、下部梁4と、上部梁5を備え、一対の柱3と下部梁4との接合部Jの各々に下端7dが接合され、上部梁5の中央部側に向けて傾斜して伸びるように設けられた、一対のブレース6と、一対のブレース6の上端9の各々が接合された接合部材11と、上部梁5の中間高さ位置で、接合部材11と上部梁5の間に連結して設けられた、制振ダンパー13と、を備え、接合部材11と制振ダンパー13は、上部梁5の幅方向Wで上部梁5を挟んで一対が設けられ、一対のブレース6の各々は、上端9において、幅方向Wに分岐して、一対の接合部材11の各々に接合されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、鋼製の柱梁架構の内部に、制振ダンパーをシアリンク型に配置した制振構造に関する。
建築構造物においては、柱梁架構に、例えばV字状にブレースを配することによって、制振性能を高めることが、広く行われている。
例えば、特許文献1には、RC造の複数の柱と、上下に間隔をあけて架設される複数の梁と、柱と梁とで形成される架構フレーム内に配置される斜めに延在するブレースとが備えられている制震構造物が記載されている。架構フレーム内には制震ダンパーからなる2本のブレースが斜めに配置されている。
また、特許文献2には、間隔をあけて立設される鉄筋コンクリート造の複数の柱と、隣り合う柱の間に上下に間隔をあけて架設される鉄筋コンクリート造の複数の梁と、隣り合う柱および上下で対向する梁によって形成された架構フレーム内に配置されるブレースとが備えられている制震構造物が開示されている。特許文献2においては、ブレースとして、鋼材系の制震ダンパーが使用されている。
更に、特許文献3には、鉄筋コンクリート造の構造物における構面内の開口部に、ブレース状に設置された制震ダンパーが対をなしてシンメトリーに設置されている、制震構造が開示されている。
特許文献1~3においては、制振ダンパーは、ブレースに含まれるように、構成されている。これに対し、例えば鋼製の柱梁架構において、制振ダンパーを、シアリンク型に配することがある。
図10は、従来の、制振ダンパーがシアリンク型に配された柱梁架構の正面図である。
図10に示される制振構造100においては、鋼製の柱梁架構102に対し、一対の制振ダンパー110が、シアリンク型に配されている。具体的には、柱梁架構102は、隣り合う一対の柱103と、下部梁105と、上部梁104を備えている。制振構造100は、一対のブレース106を備えている。一対のブレース106の各々は、一対の柱103と上部梁104との接合部Jの各々に、ブラケット107を介して、上端が接合され、下部梁105の中央に向けて傾斜して伸びるように設けられている。一対のブレース106の各々の下端は、下部梁105の上方に、下部梁105から離間して設けられた、接合部材108に接合されている。一対の制振ダンパー110の各々は、接合部材108に一端が、一対の柱103と下部梁105との接合部Jの各々に接合された取付部材109に他端が、それぞれ接合されている。
上記のような従来の構成においては、ブレース106や制振ダンパー110が、ブラケット107や取付部材109を介して、柱梁架構102に接合されている。これらのブラケット107や取付部材109は、柱梁架構102とブレース106や制振ダンパー110との間で応力を伝達させるために、一定の剛性を有している必要がある。このため、柱103の上端や下端が、ブラケット107や取付部材109によって、過剰に補強された状態となる。このような状態で、地震等が生じ、柱梁架構102が水平方向に変形しようとした場合には、柱103が変形できる範囲は、その全長HC2ではなく、全長HC2からブラケット107や取付部材109が設けられた部分を除いた高さHC1のみに限定される。したがって、図10の構成においては、柱103の変形性能が低減する可能性がある。
また、上記のような従来の構成においては、制振ダンパー110は、下部梁105よりも上方の、柱梁架構102の構面の内部に設けられ、上部梁104の高さ方向における中心から制振ダンパー110までの距離HC3は、階高HC4よりも小さくなっている。したがって、地震等が生じ、柱梁架構102が水平方向に変形した際における、上部梁104に対する制振ダンパー110が設けられた高さまでの、水平方向の変形量は、層間変形量よりも小さくなる。このため、制振ダンパー110が制振性能を発揮する範囲も、この限られた変形量に相応する、限定的なものとならざるを得ない。
このような構成に対し、より制振性能を高めるために、制振ダンパー110をより低い位置に設けることで、上部梁104と、制振ダンパー110の間の距離HC3を大きくすることが考えられる。このようにすれば、柱103が変形できる範囲HC1が大きくなるため、柱103の変形性能が高まる。また、上部梁104と、制振ダンパー110の間の距離HC3が大きくなることで、地震等が生じ、柱梁架構102が水平方向に変形した際における変形量もより大きくなるため、制振ダンパー110の性能が、より効率的に発揮される。このようにして、制振性能を高めることができる可能性がある。
しかし、制振ダンパー110をより低い位置に設けようとしても、梁105と制振ダンパー110が干渉するため、限度がある。仮に、制振ダンパー110を梁105と干渉する位置に設けようとすると、この干渉を回避するため、梁105を少なからず欠損させる必要が生じる。この場合には、柱梁架構の剛性が低減する可能性がある。
柱梁架構の剛性への影響を低減しつつ、高い制振性能を有するように、制振ダンパーを配置することができる、制振構造が望まれる。
特開2004-353258号公報 特開2005-036598号公報 特開2005-179981号公報
本発明が解決しようとする課題は、柱梁架構の剛性への影響を低減しつつ、高い制振性能を有するように、制振ダンパーを配置することができる、制振構造を提供することである。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。すなわち、本発明は、鋼製の柱梁架構に対し、制振ダンパーをシアリンク型に配した制振構造であって、前記柱梁架構は、隣り合う一対の柱と、下部梁と、上部梁を備え、一対の前記柱と前記下部梁との接合部の各々に下端が接合され、前記上部梁の中央部側に向けて傾斜して伸びるように設けられた、一対のブレースと、一対の前記ブレースの上端の各々が接合された接合部材と、前記上部梁の中間高さ位置で、前記接合部材と前記上部梁の間に連結して設けられた、前記制振ダンパーと、を備え、前記接合部材と前記制振ダンパーは、前記上部梁の幅方向で前記上部梁を挟んで一対が設けられ、一対の前記ブレースの各々は、前記上端において、前記幅方向に分岐して、一対の前記接合部材の各々に接合されていることを特徴とする制振構造を提供する。
上記のような構成によれば、制振構造は、一対の柱と下部梁との接合部の各々に下端が接合され、上部梁の中央付近(中央部側)に向けて傾斜して伸びるように設けられた、一対のブレースと、一対のブレースの上端の各々が接合された接合部材と、接合部材と柱梁架構(上部梁)の間に連結して設けられた、制振ダンパーと、を備えている。このように、制振ダンパーが、シアリンク型に配されている。
このような、柱梁架構内の上部梁側に制振ダンパーを設ける場合に、従来の構成においては、制振ダンパーが上部梁よりも下方の、柱梁架構の内側に設けられるため、制振ダンパーを取り付ける高さに、制振ダンパーを取り付けるための取付部材を、上部梁と柱との接合部に設ける必要が生じる。これに対し、上記のような構成においては、制振ダンパーは、上部梁の中間高さ位置で、接合部材と上部梁の間に連結して設けられている。すなわち、制振ダンパーは、上部梁と柱との接合部ではなく、上部梁に対して連結されるため、接合部に、制振ダンパーを取り付けるための取付部材を設ける必要がない。これにより、取付部材が設けられて柱が過剰に補強されることが回避され、上記のような従来の構成よりも、柱が変形できる範囲を、長くすることができる。したがって、柱の変形性能が向上する。
また、ブレースの下端が接合された下部梁と、ブレースの上端が連結された制振ダンパーとの間の高さは、制振ダンパーを上部梁よりも下方の、柱梁架構の内側に設けた従来の構成よりも、大きくなる。したがって、地震等が生じ、柱梁架構が水平方向に変形した際における、下部梁に対する制振ダンパーが設けられた高さまでの、水平方向の変形量を、従来の構成よりも大きくすることができる。したがって、制振ダンパーの制振性能を、より効率的に、発揮することができる。
以上のようにして、制振構造を、より高い制振性能を有するものとすることができる。
ここで、接合部材と制振ダンパーは、上部梁の幅方向で上部梁を挟んで一対が設けられ、一対のブレースの各々は、上端において、幅方向に分岐して、一対の接合部材の各々に接合されている。このように、制振ダンパーと、制振ダンパーが連結されてブレースの上端が接合される接合部材と、の双方が、上部梁を幅方向に避けるように設けられている。このため、制振ダンパーと上部梁との干渉が少なくなり、制振ダンパーを上部梁の中間高さ位置に設けるに際し、上部梁を欠損させる必要性が低減する。これにより、制振ダンパーを設けることに起因する、柱梁架構の剛性への影響を低減することができる。
このようにして、柱梁架構の剛性への影響を低減しつつ、高い制振性能を有するように、制振ダンパーを配置することができる、制振構造を提供することができる。
本発明の一態様においては、前記上部梁は、上側フランジ、下側フランジ、及びウェブを備え、前記下側フランジは、前記上部梁の軸線方向における中間部に切り欠きを備え、一対の前記接合部材と一対の前記制振ダンパーは、前記上側フランジと前記下側フランジの間の高さで、前記ウェブを挟んで互いに反対側の位置に設けられ、一対の前記ブレースの各々においては、前記上端の各々が、下方から前記切り欠きを通って、一対の前記接合部材の各々に接合されている。
上記のような構成によれば、一対の接合部材と一対の制振ダンパーの各々を設けるに際し、上部梁の、ウェブを挟んで互いに反対側の、上側フランジ、下側フランジ、及びウェブによって囲われた空間を、利用することができる。したがって、収まりを合理的なものとすることができる。
また、上記のように設けられた接合部材に対し、ブレースの上端を接合するためには、ブレースの上端と下側フランジとの間で干渉が生じる可能性がある。ここで、上記のような構成においては、下側フランジの、上部梁の軸線方向における中間部に、切り欠きが設けられており、一対のブレースの各々においては、上端の各々が、下方から切り欠きを通って、一対の接合部材の各々に接合されている。このようにすることで、上部梁の欠損部分を最低限に抑えつつ、ブレースと上部梁の干渉を回避することができる。
本発明の別の態様においては、一対の前記制振ダンパーは、オイルダンパーまたは摩擦ダンパーであり、前記上部梁は、前記上部梁の軸線方向に直交する平面内に沿うように設けられて、前記上側フランジ、前記下側フランジ、及び前記ウェブの各々に接合された、取付鋼板を備え、一対の前記制振ダンパーの各々は、前記軸線方向に延在して設けられ、一端が前記取付鋼板に、他端が前記接合部材に、それぞれ接合されている。
上記のような構成によれば、制振構造を、合理的かつ効率的な構成で実現することができる。
本発明によれば、柱梁架構の剛性への影響を低減しつつ、高い制振性能を有するように、制振ダンパーを配置することができる、制振構造を提供することができる。
本発明の実施形態における制振構造の正面図である。 図1のI-I部分の断面図である。 図1のII-II部分の断面図である。 図2のA矢視部分をブレースの上側フランジに直交する方向から視た図である。 上記実施形態と従来の構成の各々の、小振幅時の履歴ループを示すグラフである。 上記実施形態と従来の構成の各々の、大振幅時の履歴ループを示すグラフである。 上記実施形態の変形例における制振構造の正面図である。 図7のIII-III部分の断面図である。 図7のIV-IV部分の断面図である。 従来の、制振ダンパーがシアリンク型に配された柱梁架構の正面図である。
本発明は、鋼製の柱梁架構内において、上部梁の梁せい内に水平方向に制振ダンパーが設置される制振構造である。制振ダンパーは、上部梁の梁材軸に配置する。具体的には、制振ダンパーは、上部梁の梁幅方向の梁芯軸(梁幅の中央1/2の梁幅位置、左右位置)を挟んで、梁幅方向に一対形式で設置する。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態における制振構造の正面図である。図2は、図1のI-I部分の断面図である。図3は、図1のII-II部分の断面図である。
本実施形態の制振構造1において、柱梁架構2は、隣り合う一対の柱3と、下部梁4と、上部梁5と、を備えている。一対の柱3は、水平方向Vに間隔を置いて設けられている。本実施形態において、柱3は鋼管柱により形成されている。柱3は、鋼管柱以外の構造によって構成されていても構わない。柱3には、後に説明する下部梁4と上部梁5が接合されている。柱3の、高さ方向Hにおいて下部梁4側の部分の内側には、水平面内に延在するように、ダイアフラム3dが接合されている。
下部梁4は、隣り合う一対の柱3どうしを、水平方向Vに連結している。下部梁4は、軸線方向が、隣り合う一対の柱3が離間する方向である水平方向Vに一致するように設けられている。下部梁4は、一対の柱3の各々に接合されている。
本実施形態において、下部梁4は、H形鋼である。すなわち、下部梁4は、上側フランジ4a、下側フランジ4b、及びウェブ4cを備えている。下部梁4の、柱3に近い位置には、水平方向Vに直交する面内に延在するように、補強板4dが設けられている。補強板4dは、上側フランジ4a、下側フランジ4b、及びウェブ4cの各々に接合されている。
下部梁4の上側には、例えば上側フランジ4aを含むように、図示されない床スラブが形成されている。
上部梁5は、下部梁4よりも上方の位置において、隣り合う一対の柱3どうしを、水平方向Vに連結している。上部梁5は、軸線方向が、隣り合う一対の柱3が離間する方向である水平方向Vに一致するように、下部梁4と平行に設けられている。上部梁5は、一対の柱3の各々に接合されている。
本実施形態において、上部梁5は、H形鋼である。すなわち、上部梁5は、上側フランジ5a、下側フランジ5b、及びウェブ5cを備えている。上部梁5の下側フランジ5bには、水平方向V、すなわち上部梁5の軸線方向における中間部に、切り欠き5dを備えている。ウェブ5cの幅方向Wにおける両側の空間は、この切り欠き5dを介して、下側フランジ5bよりも下側の空間と連通している。
上部梁5の上側には、例えば上側フランジ5aを含むように、図示されない床スラブが形成されている。
制振構造1は、一対のブレース6と、一対の接合部材11と、一対の制振ダンパー13と、を備えている。
一対のブレース6の各々は、ブレース本体7と、分岐部材8と、上端部9と、を備えている。一対のブレース6の各々においては、一対の柱3と下部梁4との接合部Jの各々に、後に説明するブラケット10を介して、ブレース6の下端としての、ブレース本体7の下端7dが接合されている。一対のブレース6の各々は、ブレース本体7と上端部9を含む全体が、上部梁5の中央付近(中央部側)に向けて傾斜して伸びるように設けられている。これにより、一対のブレース6は、上方に向かうにつれ、互いの間の間隔が漸次小さくなるように設けられている。ここでいう、上部梁5の中央付近とは、上部梁5の梁端部側(柱と接合される梁端面から梁の全長さの1/4までの区間)を除く、梁の中央部側の区間に対応する。上部梁5の中央付近とは、上部梁5の梁端部側(柱3と接合される梁端面から梁の全長さの1/4までの区間)を除いた、梁の中央部側の区間を指す。この上部梁5の中央付近に接合部材11を設け、接合部材11にブレース6の上端を接合させることで、ブレース6によって上部梁5の応力や変形を効率的に低減させることができる。
本実施形態において、ブレース本体7は、H形鋼である。すなわち、ブレース本体7は、上側フランジ7a、下側フランジ7b、及びウェブ7cを備えている。ブレース本体7は、ウェブ7cが、水平方向Vと高さ方向Hにより形成される平面内に延在するように設けられている。上側フランジ7aは、下側フランジ7bに対して、上側に位置づけられている。
ブレース6の下端、すなわちブレース本体7の下端7dは、ブラケット10に接合されている。ブラケット10は、上側フランジ10a、下側フランジ10b、ウェブ10c、及び補強板10dを備えている。ブラケット10は、ウェブ10cが、ブレース本体7のウェブ7cと同一平面内に位置するように設けられている。ウェブ10cは、ブレース本体7のウェブ7cが下斜め方向に延伸するように位置づけられている。ウェブ10cは、柱3の表面と、下部梁4の上側フランジ4aの上面と、に接合されている。
上側フランジ10aは、水平面内に延在するように設けられている。上側フランジ10aの一端は、ブレース本体7の上側フランジ7aの下端に接合されている。上側フランジ10aの他端は、柱3の表面に接合されている。柱3のダイアフラム3dは、上側フランジ10aと同一の高さとなるように設けられている。
下側フランジ10bは、水平方向Vに直交する面内に延在するように設けられている。下側フランジ10bの上端部は、ブレース本体7の下側フランジ7bの下端に接合されている。下側フランジ10bの下端は、下部梁4の上側フランジ4aの上面に接合されている。下部梁4の補強板4dは、水平方向Vにおいて下側フランジ10bと同じ位置となるように設けられている。
補強板10dは、ウェブ10cと直交するように設けられている。補強板10dは、上側フランジ10a、下側フランジ10b、ウェブ10cの各々に接合されている。
図4は、図2のA矢視部分をブレースの上側フランジに直交する方向から視た図である。
一対のブレース6の各々は、上端部9において、分岐部材8を介して、幅方向Wに、2つに分岐している。一対のブレース6の各々において、一対の上端部9は、幅方向Wに離間して設けられている。
ブレース6は、分岐した上端部9の部分においても、ブレース6の上端部9以外の部分、すなわちブレース本体7と同様に、H形鋼により形成されている。このため、上端部9は、上側フランジ9a、下側フランジ9b、及びウェブ9cを備えている。一対のブレース6の各々において、一対の上端部9の各々の、上側フランジ9aと下側フランジ9bの各々は、ブレース本体7の上側フランジ7aと下側フランジ7bの各々と、同一の平面内に位置づけられている。一対のブレース6の各々において、一対の上端部9の各々のウェブ9cは、ブレース本体7のウェブ7cと、平行に設けられている。一対のブレース6の各々において、ブレース6の軸線方向から視たときに、一対の上端部9のウェブ9cは、ブレース本体7のウェブ7cを挟んだ両側に位置するように、一対のウェブ9cは位置づけられている。
分岐部材8には、ブレース本体7が下側から接合され、分岐した一対の上端部9の各々が上側から接合されている。これにより、一対のブレース6の各々は、上端において、幅方向Wに分岐するように構成されている。
一対の分岐部材8の各々は、第1取付板8a、第2取付板8b、連結板8c、一対の内側分岐板8d、一対の側板8e、及び一対の外側分岐板8fを備えている。
第1取付板8aは、ブレース6の軸線方向に直交するように設けられている。第1取付板8aには、ブレース本体7の上側フランジ7a、下側フランジ7b、及びウェブ7cの各々が、下方から接合されている。
第2取付板8bも、第1取付板8aと同様、ブレース6の軸線方向に直交するように設けられている。第2取付板8bは、第1取付板8aから上端部9側に離間した位置に設けられている。第2取付板8bには、一対の上端部9の各々の、上側フランジ9a、下側フランジ9b、及びウェブ9cの各々が、上方から接合されている。
連結板8cは、ブレース本体7及び上端部9の、上側フランジ7a、9aと、下側フランジ7b、9bとの間の中間の位置に、これら上側フランジ7a、9a、下側フランジ7b、9bと平行となるように設けられている。連結板8cは、ブレース6の軸線方向に、第1取付板8aと第2取付板8bとを連結する。
一対の内側分岐板8dは、連結板8cに直交するように設けられている。一対の内側分岐板8dは、第1取付板8aの、ブレース本体7のウェブ7cの位置に、一端が接合されている。一対の内側分岐板8dの他端は、第2取付板8bの、一対の上端部9の各々の上側フランジ9aの幅方向Wにおける内側の位置に、接合されている。これにより、一対の内側分岐板8dは、上端部9側に向かうにつれ、互いの間の間隔が漸次大きくなるように、傾斜して設けられている。
一対の外側分岐板8fは、連結板8cに直交するように設けられている。一対の外側分岐板8fは、一端が、第1取付板8aの、ブレース本体7の上側フランジ7aの幅方向Wにおける双方の端部の位置に、接合されている。一対の外側分岐板8fの他端は、第2取付板8bの、一対の上端部9の各々のウェブ9cの位置に、接合されている。これにより、一対の外側分岐板8fは、上端部9側に向かうにつれ、互いの間の間隔が漸次大きくなるように、傾斜して設けられている。
一対の側板8eの各々は、連結板8cの幅方向Wにおける両端部に設けられている。一対の側板8eの各々は、第1取付板8a、第2取付板8b、及び連結板8cの各々に対して垂直に設けられて、これらに接合されている。
一対の接合部材11は、上部梁5の幅方向Wで、上部梁5を挟んで設けられている。一対の接合部材11は、上部梁5の上側フランジ5aと下側フランジ5bの間の高さで、ウェブ5cを挟んで互いに反対側の位置に設けられている。一対の接合部材11の各々は、上部梁5のウェブ5cから、幅方向Wに離間した位置に設けられている。一対の接合部材11は、上部梁5に対して、水平方向Vすなわち上部梁5の軸線方向に相対移動自在に設けられている。
一対の接合部材11の各々は、上側フランジ11a、下側フランジ11b、ウェブ11c、中央補強板11d、一対の側板11e、一対の補強板11f、及び一対の水平補強板11gを備えている。
一対の接合部材11の各々において、上側フランジ11aと下側フランジ11bは、水平面内に延在するように設けられている。上側フランジ11aと下側フランジ11bは、高さ方向Hに離間して設けられている。ウェブ11cは、上側フランジ11a、下側フランジ11bに対して垂直に設けられて、上側フランジ11a、下側フランジ11bに接合されている。
中央補強板11dは、上部梁5の軸線方向に直交するように設けられている。中央補強板11dは、上部梁5の軸線方向において、接合部材11の中央の位置に設けられている。中央補強板11dは、上側フランジ11a、下側フランジ11b、及びウェブ11cの各々に接合されている。中央補強板11dの下端は、下側フランジ11bから下方に突出するように設けられている。
一対の接合部材11の各々において、一対の側板11eは、ウェブ11cの、上部梁5の軸線方向における両端部に設けられている。一対の側板11eの各々は、上側フランジ11a、下側フランジ11b、及びウェブ11cの各々に対して垂直に設けられて、これらに接合されている。
一対の補強板11fは、一対の側板11eよりも上部梁5の軸線方向において内側の位置に、一対の側板11eと平行に設けられている。一対の側板11eの各々は、上側フランジ11a、下側フランジ11b、及びウェブ11cの各々に接合されている。
一対の水平補強板11gは、側板11eと補強板11fの間に、水平面内に延在するように設けられている。一対の水平補強板11gの各々は、ウェブ11cと交差するように設けられている。一対の水平補強板11gの各々は、ウェブ11c、側板11e、及び補強板11fの各々に接合されている。
一対のブレース6の各々の、分岐した上端部9の各々は、上部梁5の下側フランジ5bに形成された切り欠き5dを通って、下方から、上側フランジ5aと下側フランジ5bの間の空間へと侵入し、当該空間に位置づけられている一対の接合部材11の各々に対して、接合されている。一対の接合部材11の各々に対して、一対のブレース6の各々の、分岐して設けられた上端部9の一方が、接合されている。例えば、図1において紙面手前側に位置する接合部材11には、左側に位置するブレース6の、幅方向Wにおいて手前側に分岐した上端部9と、右側に位置するブレース6の、幅方向Wにおいて手前側に分岐した上端部9と、の各々が、接合されている。また、図1において紙面奥側に位置する接合部材11には、左側に位置するブレース6の、幅方向Wにおいて奥側に分岐した上端部9と、右側に位置するブレース6の、幅方向Wにおいて奥側に分岐した上端部9と、の各々が、接合されている。
このようにして、一対のブレース6の各々は、上端(上端部9)において、一対の接合部材11の各々に接合されている。一対のブレース6の各々においては、上端(上端部9)の各々が、下方から切り欠き5dを通って、一対の接合部材11の各々に接合されている。
より詳細には、各上端部9の上側フランジ9aは、接合部材11の下側フランジ11bの下面に接合されている。上端部9の上側フランジ9aは、下側フランジ11bの、補強板11fの下端の位置に接合されている。
各上端部9の下側フランジ9bは、接合部材11の中央補強板11dの、下側フランジ11bよりも下方へと突出した部分の表面に接合されている。
各上端部9のウェブ9cは、接合部材11の下側フランジ11bの下面と、接合部材11の中央補強板11dの、下側フランジ11bよりも下方へと突出した部分の表面と、の双方に接合されている。
上部梁5は、後に説明する制振ダンパー13が接合されるダンパー取付部12を備えている。ダンパー取付部12は、上部梁5の幅方向Wで、上部梁5を挟んで一対が設けられている。ダンパー取付部12は、幅方向Wの双方において、軸線方向すなわち水平方向Vの一方の側に偏って設けられている。ダンパー取付部12は、上部梁5の軸線方向において、接合部材11に対して同一の側に設けられている。本実施形態においては、ダンパー取付部12は、幅方向Wの双方で、図1において、接合部材11に対して左側に設けられている。ダンパー取付部12は、柱3と接合部材11との間に設けられている。
ダンパー取付部12は、取付鋼板12a、柱側補強板12b、水平補強板12c、及び一対の縦補強板12dを備えている。
取付鋼板12aは、上部梁5の軸線方向に直交する平面内に沿うように設けられている。取付鋼板12aは、上側フランジ5a、下側フランジ5b、及びウェブ5cの各々に接合されている。
柱側補強板12bは、上部梁5の軸線方向に直交する平面内に沿うように設けられている。柱側補強板12bは、取付鋼板12aよりも、接合部材11とは反対側に、すなわち柱3側に、取付鋼板12aから離間した位置に設けられている。柱側補強板12bは、上側フランジ5a、下側フランジ5b、及びウェブ5cの各々に接合されている。
図3に示されるように、取付鋼板12aと柱側補強板12bは、高さ方向における中間部の幅が、上端及び下端における幅よりも広くなるように、形成されている。取付鋼板12aと柱側補強板12bは、後に説明する制振ダンパー13が取付鋼板12aに取り付けられたときに、図3に示されるように上部梁5の軸線方向から視たときに、制振ダンパー13が取付鋼板12aと柱側補強板12bに含まれるように、取付鋼板12aと柱側補強板12bは形成されている。
水平補強板12cは、取付鋼板12aと柱側補強板12bの間で、水平面内に延在するように設けられている。水平補強板12cは、上部梁5の高さ方向Hにおける中央の位置に設けられている。水平補強板12cは、上部梁5のウェブ5c、取付鋼板12a、及び柱側補強板12bの各々に接合されている。
一対の縦補強板12dは、上部梁5の幅方向Wにおけるウェブ5cの双方の側において、取付鋼板12a、柱側補強板12b、及び水平補強板12cの各々に直交する鉛直面内に延在するように設けられて、取付鋼板12a、柱側補強板12b、及び水平補強板12cの各々に接合されている。一対の縦補強板12dの各々は、水平補強板12cと交差するように設けられている。
制振ダンパー13は、上部梁5の幅方向Wで、上部梁5のウェブ5cを挟んで、一対が設けられている。一対の制振ダンパー13の各々は、上部梁5の中間高さ位置に、より詳細には上部梁5の上側フランジ5aと下側フランジ5bの間の高さに、設けられている。一対の制振ダンパー13の各々は、幅方向Wの双方において、軸線方向すなわち水平方向Vの一方の側に偏って設けられている。制振ダンパー13は、上部梁5の軸線方向において、接合部材11に対して同一の側に設けられている。本実施形態においては、制振ダンパー13は、幅方向Wの双方で、図1において、接合部材11に対して左側に設けられている。制振ダンパー13は、接合部材11とダンパー取付部12との間に設けられている。
本実施形態において、一対の制振ダンパー13の各々は、オイルダンパーである。制振ダンパー13は、摩擦ダンパーであっても構わない。
一対の制振ダンパー13は、接合部材11と上部梁5の間に、より詳細には接合部材11と上部梁5のダンパー取付部12との間に、これらを連結するように設けられている。一対の制振ダンパー13の各々は、上部梁5の軸線方向すなわち水平方向Vに延在するように設けられている。各制振ダンパー13の一端13aは、ダンパー取付部12の取付鋼板12aに接合されている。特に、制振ダンパー13の一端13aは、取付鋼板12aの、水平補強板12cと縦補強板12dが交差した部分に対応する位置に接合されている。各制振ダンパー13の他端13bは、接合部材11の、ダンパー取付部12側に位置する側板11eの表面に接合されている。
このようにして、鋼製の柱梁架構2に対し、制振ダンパー13をシアリンク型に配した制振構造1が実現されている。
上記のような構成において、地震等により水平力が作用し、上部梁5が下部梁4に対して水平方向Vに相対変位しようとする場合について考える。
ブレース6と、ブレース6が接合された接合部材11は、ブラケット10を介して、下部梁4と柱3との接合部Jに接合されているため、ブレース6と接合部材11は、下部梁4と共に変位する。したがって、上部梁5が下部梁4に対して水平方向に相対変位する際には、上部梁5と、接合部材11との間が、水平方向Vに相対変位する。この相対変位は、一端13aが上部梁5のダンパー取付部12に、他端13bが接合部材11に、それぞれ接合された制振ダンパー13によって吸収され、減衰される。
このとき、制振ダンパー13の一端13a側においては、制振ダンパー13からの応力が、ダンパー取付部12へと作用する。ここで、制振ダンパー13の一端13aが接合された、ダンパー取付部12の取付鋼板12aの、制振ダンパー13とは反対側には、水平補強板12cと縦補強板12dが、これらが交差するように設けられて接合されている。したがって、一端13aが接合された、ダンパー取付部12の部分は、十分な剛性を有している。このため、制振ダンパー13からダンパー取付部12へと作用する応力は、ダンパー取付部12を介して上部梁5へと、十分に伝達される。
また、制振ダンパー13の他端13b側においては、制振ダンパー13からの応力が、接合部材11へと伝達される。ここで、制振ダンパー13の他端13bが接合された、接合部材11の側板11eの、制振ダンパー13とは反対側には、ウェブ11cと水平補強板11gが、これらが交差するように設けられて接合されている。したがって、他端13bが接合された、接合部材11の部分は、十分な剛性を有している。このため、制振ダンパー13から接合部材11へと作用する応力は、接合部材11を介してブレース6へと、十分に伝達される。
接合部材11からブレース6へと伝達した応力は、ブラケット10へと伝達される。ブラケット10の上側フランジ10aは柱3のダイアフラム3dと、及び下側フランジ10bは下部梁4の補強板4dと、それぞれ連続するように設けられている。このため、接合部材11からブレース6に作用する応力は、柱梁架構2にスムーズに伝達される。
上記のような制振構造1は、鋼製の柱梁架構2に対し、制振ダンパー13をシアリンク型に配した制振構造1であって、柱梁架構2は、隣り合う一対の柱3と、下部梁4と、上部梁5を備え、一対の柱3と下部梁4との接合部Jの各々に下端7dが接合され、上部梁5の中央付近(中央部側)に向けて傾斜して伸びるように設けられた、一対のブレース6と、一対のブレース6の上端(上端部9)の各々が接合された接合部材11と、上部梁5の中間高さ位置で、接合部材11と上部梁5の間に連結して設けられた、制振ダンパー13と、を備え、接合部材11と制振ダンパー13は、上部梁5の幅方向Wで上部梁5を挟んで一対が設けられ、一対のブレース6の各々は、上端(上端部9)において、幅方向Wに分岐して、一対の接合部材11の各々に接合されている。
上記のような構成によれば、制振構造1は、一対の柱3と下部梁4との接合部Jの各々に下端7dが接合され、上部梁5の中央付近(中央部側)に向けて傾斜して伸びるように設けられた、一対のブレース6と、一対のブレース6の上端(上端部9)の各々が接合された接合部材11と、接合部材11と柱梁架構2(上部梁5)の間に連結して設けられた、制振ダンパー13と、を備えている。このように、制振ダンパー13が、シアリンク型に配されている。
このような、柱梁架構2内の上部梁5側に制振ダンパー13を設ける場合に、従来の構成においては、制振ダンパー13が上部梁5よりも下方の、柱梁架構2の内側に設けられるため、制振ダンパー13を取り付ける高さに、制振ダンパー13を取り付けるための取付部材V1(図1参照)を、上部梁5と柱3との接合部Jに設ける必要が生じる。これに対し、上記のような構成においては、制振ダンパー13は、上部梁5の中間高さ位置で、接合部材11と上部梁5の間に連結して設けられている。すなわち、制振ダンパー13は、上部梁5と柱3との接合部Jではなく、上部梁5に対して連結されるため、接合部Jに、制振ダンパー13を取り付けるための取付部材V1を設ける必要がない。これにより、取付部材V1が設けられて柱3が過剰に補強されることが回避され、柱3が変形できる範囲HP2を、上記のような従来の構成における柱3が変形できる範囲HP1よりも、長くすることができる。したがって、柱3の変形性能が向上する。
また、ブレース6の下端7dが接合された下部梁4と、ブレース6の上端(上端部9)が連結された制振ダンパー13との間の高さHP4は、制振ダンパー13を上部梁5よりも下方の、柱梁架構2の内側に設けた従来の構成における高さHP3よりも、大きくなる。したがって、地震等が生じ、柱梁架構2が水平方向Vに変形した際における、下部梁4に対する制振ダンパー13が設けられた高さまでの、水平方向Vの変形量を、従来の構成よりも大きくすることができる。したがって、制振ダンパー13の制振性能を、より効率的に、発揮することができる。
以上のようにして、制振構造1を、より高い制振性能を有するものとすることができる。
ここで、接合部材11と制振ダンパー13は、上部梁5の幅方向Wで上部梁5を挟んで一対に設けられ、一対のブレース6の各々は、上端(上端部9)において、幅方向Wに分岐して、一対の接合部材11の各々に接合されている。このように、制振ダンパー13と、制振ダンパー13が連結されてブレース6の上端(上端部9)が接合される接合部材11と、の双方が、上部梁5を幅方向Wに避けるように設けられている。このため、制振ダンパー13と上部梁5との干渉が少なくなり、制振ダンパー13を上部梁5の中間高さ位置に設けるに際し、上部梁5を欠損させる必要性が低減する。これにより、制振ダンパー13を設けることに起因する、柱梁架構2の剛性への影響を低減することができる。
また、上部梁5上に制振ダンパー13が突出しないので、居室空間に制振構造1が現れることはなく、居室空間の自由度を確保することができる。更に、上部梁5の梁せい内に制振ダンパー13が配置されるので、層間変形がそのまま制振ダンパー13の剪断変形になり制震効率がよく、地震時の応答を小さくすることができる。
このようにして、柱梁架構2の剛性への影響を低減しつつ、高い制振性能を有するように、制振ダンパー13を配置することができる、制振構造1を提供することができる。
また、上部梁5は、上側フランジ5a、下側フランジ5b、及びウェブ5cを備え、下側フランジ5bは、上部梁5の軸線方向(水平方向V)における中間部に切り欠き5dを備え、一対の接合部材11と一対の制振ダンパー13は、上側フランジ5aと下側フランジ5bの間の高さで、ウェブ5cを挟んで互いに反対側の位置に設けられ、一対のブレース6の各々においては、上端(上端部9)の各々が、下方から切り欠き5dを通って、一対の接合部材11の各々に接合されている。
上記のような構成によれば、一対の接合部材11と一対の制振ダンパー13の各々を設けるに際し、上部梁5の、ウェブ5cを挟んで互いに反対側の、上側フランジ5a、下側フランジ5b、及びウェブ5cによって囲われた空間を、利用することができる。したがって、収まりを合理的なものとすることができる。
また、上記のように設けられた接合部材11に対し、ブレース6の上端(上端部9)を接合するためには、ブレース6の上端(上端部9)と下側フランジ5bとの間で干渉が生じる可能性がある。ここで、上記のような構成においては、下側フランジ5bの、上部梁5の軸線方向における中間部に、切り欠き5dが設けられており、一対のブレース6の各々においては、上端(上端部9)の各々が、下方から切り欠き5dを通って、一対の接合部材11の各々に接合されている。このようにすることで、上部梁5の欠損部分を最低限に抑えつつ、ブレース6と上部梁5の干渉を回避することができる。
原理的には、図1に示される構成を上下に逆転させ、接合部材11と制振ダンパー13を下部梁4の上側フランジ4aと下側フランジ4bの間の高さに設けて、下部梁4の上側フランジ4aに切り欠きを形成し、上端が柱3と上部梁5の接合部Jに接合されたブレース6が、上方から切り欠きを通って、下部梁4の高さ位置に設けられた接合部材11に接合するようにすることも、可能ではある。
しかし、上側フランジ4aの上には、図示されない床スラブが形成されるため、ブレース6は、下部梁4の切り欠きを挿通するに際し、床スラブをも貫通して設ける必要がある。このような構成は、床スラブに挿通孔を設ける必要があるため床スラブの剛性が低減すること、床スラブを含む各部材とブレース6との間のクリアランスを十分に確保することが難しいこと、等の理由により、現実的ではない。このような理由に基づき、本実施形態においては、図1に示されるような、上部梁5の下側からブレース6が上方に下側フランジ5bを横切るような構成としている。
また、一対の制振ダンパー13は、オイルダンパーまたは摩擦ダンパーであり、上部梁5は、上部梁5の軸線方向(水平方向V)に直交する平面内に沿うように設けられて、上側フランジ5a、下側フランジ5b、及びウェブ5cの各々に接合された、取付鋼板12aを備え、一対の制振ダンパー13の各々は、軸線方向(水平方向V)に延在して設けられ、一端13aが取付鋼板12aに、他端13bが接合部材11に、それぞれ接合されている。
上記のような構成によれば、制振構造1を、合理的かつ効率的な構成で実現することができる。
また、一対の制振ダンパー13は、上部梁5の軸線方向(水平方向V)において、接合部材11に対して同一の側に設けられている。
上記のような構成によれば、一対の制振ダンパー13は、上部梁5の軸線方向(水平方向V)において、接合部材11に対して同一の側に設けられているため、これに伴い、ダンパー取付部12も、接合部材11に対して同一の側に設けられる構成となる。これにより、ダンパー取付部12を、ウェブ5cを挟んで対称な構成とすることができる。したがって、ダンパー取付部12を上部梁5上の一か所に集約させて、簡潔な構成とすることができる。
(解析結果)
次に、上記実施形態の制振構造1と、図10に示されるような従来の制振構造100に対する解析結果について説明する。
解析として、ダッシュポットに強制変位を与えたときの復元力ループの比較を行った。
解析条件は、最大減衰力を2000kN、リリーフ減水力を1600kN、リリーフ速度を3.2kine、最大速度を30kineとした。
具体的には、変位は、周期4秒の正弦波で、上記実施形態の制振構造1においてはダッシュポットの変位を強制変位の100%とし、従来の制振構造1においてはダッシュポットの変位を強制変位の80%とした。ダッシュポットは、速度に応じてリリーフするようにしており、初期の減衰係数は50kNs/mm、リリーフ後は3.39kNs/mm、リリーフ時の速度は32mm/s、荷重は1600kNとした。これらは、一般的な制振ダンパーの値に相当する。
図5は、上記実施形態と従来の構成の各々の、小振幅時の履歴ループを示すグラフである。図6は、上記実施形態と従来の構成の各々の、大振幅時の履歴ループを示すグラフである。これらいずれの図においても、従来の構成の履歴ループは線L1で、上記実施形態の履歴ループは線L2で、それぞれ結果が示されている。
ループの面積が、ダンパーのエネルギー吸収効率となる。従来の構成に対し、上記実施形態の構成においては、面積が、小振幅時では56%、大振幅時では31%増加しており、上記実施形態が有効であることがわかる。
(実施形態の変形例)
なお、本発明の制振構造は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において他の様々な変形例が考えられる。
図7は、上記実施形態の変形例における制振構造の正面図である。図8は、図7のIII-III部分の断面図である。図9は、図7のIV-IV部分の断面図である。
本変形例の制振構造21は、上記実施形態の制振構造1とは、ブレース26、ブラケット30、接合部材31、及び制振ダンパー33の構造が異なっている。以下においては、これらの異なる部分についてのみ説明する。
制振構造21は、一対のブレース26と、一対の接合部材31と、一対の制振ダンパー33と、を備えている。
一対のブレース26の各々は、ブレース本体27と、上端部29と、を備えている。一対のブレース26の各々においては、一対の柱3と下部梁4との接合部Jの各々に、ブラケット30を介して、ブレース26の下端としての、ブレース本体27の下端27dが接合されている。
ブレース本体27は、H形鋼である。すなわち、ブレース本体27は、一対のフランジ27aとウェブ27cを備えている。ブレース本体27は、一対のフランジ27aの各々が、水平方向Vと高さ方向Hにより形成される平面内に延在するように設けられている。
ブレース26の下端、すなわちブレース本体27の下端27dは、ブラケット30に接合されている。ブラケット30は、鋼板であり、ブレース本体27のフランジ27aに対応して、一対が設けられている。ブラケット30は、水平方向Vと高さ方向Hにより形成される鉛直面内に延在するように設けられている。ブラケット30は、柱3の表面と、下部梁4の上側フランジ4aの上面と、に接合されている。
一対のブレース26の各々は、上端部29において、幅方向Wに、2つに分岐している。一対のブレース26の各々において、一対の上端部29は、幅方向Wに離間して設けられている。
本変形例におけるブレース26の、一対の上端部29の各々は、フランジ29aとウェブ29cを備えている。フランジ29aは、ブレース本体27のフランジ27aが上方に延伸するように形成されている。ウェブ29cは、ブレース本体27のウェブ27cの幅方向Wにおける外側の部分のみが、上方に延伸するように形成されている。ウェブ29cの幅方向Wにおける外側の端辺は、フランジ29aに接合されている。
一対の接合部材31は、上部梁5の幅方向Wで、上部梁5を挟んで設けられている。一対の接合部材31は、上部梁5の上側フランジ5aと下側フランジ5bの間の高さで、ウェブ5cを挟んで互いに反対側の位置に設けられている。一対の接合部材31の各々は、上部梁5のウェブ5cから、幅方向Wに離間した位置に設けられている。一対の接合部材31は、上部梁5に対して、水平方向Vすなわち上部梁5の軸線方向に相対移動自在に設けられている。
本変形例において、一対の接合部材31の各々は、上部梁5のウェブ5cと平行に設けられた一枚の鋼板である。
一対のブレース26の各々の、分岐した上端部29の各々は、上部梁5の下側フランジ5bに形成された切り欠き5dを通って、下方から、上側フランジ5aと下側フランジ5bの間の空間へと侵入し、当該空間に位置づけられている一対の接合部材31の各々に対して、接合されている。一対の接合部材31の各々に対して、一対のブレース26の各々の、分岐して設けられた上端部29の一方が、接合されている。例えば、図7において紙面手前側に位置する接合部材31には、左側に位置するブレース26の、幅方向Wにおいて手前側に分岐した上端部29と、右側に位置するブレース26の、幅方向Wにおいて手前側に分岐した上端部29と、の各々が、接合されている。また、図7において紙面奥側に位置する接合部材31には、左側に位置するブレース26の、幅方向Wにおいて奥側に分岐した上端部29と、右側に位置するブレース26の、幅方向Wにおいて奥側に分岐した上端部29と、の各々が、接合されている。
このようにして、一対のブレース26の各々は、上端(上端部29)において、一対の接合部材31の各々に接合されている。一対のブレース26の各々においては、上端(上端部29)の各々が、下方から切り欠き5dを通って、一対の接合部材31の各々に接合されている。
一対のブレース26の各々は、上端部29のフランジ29aが、接合部材31に沿うように設けられて、高力ボルト31aにより接合部材31に接合されている。
制振ダンパー33は、上部梁5の幅方向Wで、上部梁5のウェブ5cを挟んで、一対が設けられている。一対の制振ダンパー33の各々は、上部梁5の中間高さ位置に、より詳細には上部梁5の上側フランジ5aと下側フランジ5bの間の高さに、設けられている。一対の制振ダンパー33の各々は、幅方向Wの双方において、軸線方向すなわち水平方向Vの一方の側に偏って設けられている。制振ダンパー33は、上部梁5の軸線方向において、接合部材31に対して同一の側に設けられている。
一対の制振ダンパー33は、接合部材31と上部梁5の間に、より詳細には接合部材31と上部梁5のダンパー取付部12との間に、これらを連結するように設けられている。一対の制振ダンパー33の各々は、上部梁5の軸線方向すなわち水平方向Vに延在するように設けられている。各制振ダンパー33の一端33aは、ダンパー取付部12の取付鋼板12aに接合された接続鋼板33dに対し、ピン接合されている。各制振ダンパー33の他端33bは、接合部材31にピン接合されている。
このようにして、鋼製の柱梁架構2に対し、制振ダンパー33をシアリンク型に配した制振構造21が実現されている。
これ以外にも、上記実施形態及び変形例で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
1、21 制振構造 8 分岐部材
2 柱梁架構 9、29 上端部(上端)
3 柱 11、31 接合部材
4 下部梁 12 ダンパー取付部
5 上部梁 12a 取付鋼板
5a 上側フランジ 13、33 制振ダンパー
5b 下側フランジ 13a、33a 一端
5c ウェブ 13b、33b 他端
5d 切り欠き W 幅方向
6、26 ブレース H 高さ方向
7、27 ブレース本体 V 水平方向(軸線方向)
7d、27d 下端

Claims (3)

  1. 鋼製の柱梁架構に対し、制振ダンパーをシアリンク型に配した制振構造であって、
    前記柱梁架構は、隣り合う一対の柱と、下部梁と、上部梁を備え、
    一対の前記柱と前記下部梁との接合部の各々に下端が接合され、前記上部梁の中央部側に向けて傾斜して伸びるように設けられた、一対のブレースと、
    一対の前記ブレースの上端の各々が接合された接合部材と、
    前記上部梁の中間高さ位置で、前記接合部材と前記上部梁の間に連結して設けられた、前記制振ダンパーと、
    を備え、
    前記接合部材と前記制振ダンパーは、前記上部梁の幅方向で前記上部梁を挟んで一対が設けられ、
    一対の前記ブレースの各々は、前記上端において、前記幅方向に分岐して、一対の前記接合部材の各々に接合されている
    ことを特徴とする制振構造。
  2. 前記上部梁は、上側フランジ、下側フランジ、及びウェブを備え、前記下側フランジは、前記上部梁の軸線方向における中間部に切り欠きを備え、
    一対の前記接合部材と一対の前記制振ダンパーは、前記上側フランジと前記下側フランジの間の高さで、前記ウェブを挟んで互いに反対側の位置に設けられ、
    一対の前記ブレースの各々においては、前記上端の各々が、下方から前記切り欠きを通って、一対の前記接合部材の各々に接合されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の制振構造。
  3. 一対の前記制振ダンパーは、オイルダンパーまたは摩擦ダンパーであり、
    前記上部梁は、前記上部梁の軸線方向に直交する平面内に沿うように設けられて、前記上側フランジ、前記下側フランジ、及び前記ウェブの各々に接合された、取付鋼板を備え、
    一対の前記制振ダンパーの各々は、前記軸線方向に延在して設けられ、一端が前記取付鋼板に、他端が前記接合部材に、それぞれ接合されている
    ことを特徴とする請求項2に記載の制振構造。
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