JP2025159409A - 多孔質炭素複合材料、その製造方法およびそれを用いた触媒 - Google Patents

多孔質炭素複合材料、その製造方法およびそれを用いた触媒

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JP2025159409A JP2024061904A JP2024061904A JP2025159409A JP 2025159409 A JP2025159409 A JP 2025159409A JP 2024061904 A JP2024061904 A JP 2024061904A JP 2024061904 A JP2024061904 A JP 2024061904A JP 2025159409 A JP2025159409 A JP 2025159409A
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Abstract

【課題】 金属粒子を担持した多孔質炭素材料、その製造方法およびそれを用いた触媒を提供すること。
【解決手段】 本発明の多孔質炭素複合材料は、フラーレンナノチューブに基づく多孔質炭素ナノチューブと、多孔質炭素ナノチューブの表面に位置し、金属粒子を含有し、ゼオライト様イミダゾレート構造体(ZIF)に基づく多孔質炭素構造体とを含有し、多孔質炭素ナノチューブおよび多孔質炭素構造体を構成する炭素(C)に対する金属粒子(M)の原子百分率の比は、0.015以上0.03以下である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、多孔質炭素複合材料、その製造方法およびそれを用いた触媒に関する。
金属粒子を多孔質炭素材料に担持させた触媒が知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1によれば、組成に、亜鉛と、1000℃を超える融点および沸点の金属元素と、を含む、炭素元素、亜鉛元素、金属元素、水素元素、酸素元素からなる有機化合物の前駆体を調製し、当該前駆体を900~1000℃の温度で焼成することにより、亜鉛を昇華させて細孔を作るとともに、金属元素を分散および粒子化させ、前駆体を多孔質炭素材料にすると同時に、当該多孔質炭素材料に分散および粒子化させた金属粒子を担持させることを特徴とする金属粒子担持多孔質炭素材料の製造方法が開示される。しかしながら、金属粒子の粒径の制御には至っておらず、触媒のさらなる機能の向上が期待される。
特開2024-20082号公報
以上より、本発明の課題は、金属粒子を担持した多孔質炭素複合材料、その製造方法およびそれを用いた触媒を提供することである。
本発明による多孔質炭素複合材料は、フラーレンナノチューブに基づく多孔質炭素ナノチューブと、前記多孔質炭素ナノチューブの表面に位置し、金属粒子を含有し、ゼオライト様イミダゾレート構造体(ZIF)に基づく多孔質炭素構造体とを含有し、前記多孔質炭素ナノチューブおよび前記多孔質炭素構造体を構成する炭素(C)に対する前記金属粒子(M)の原子百分率の比は、0.015以上0.03以下であり、これにより上記課題を解決する。
前記金属粒子は、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、および、白金(Pt)からなる群から選択される金属からなってもよい。
シェラーの式によりX線回折の半値幅から算出される前記金属粒子の粒径は、3.5nm以上9.0nm以下の範囲であってもよい。
前記原子百分率の比は、0.018以上0.03以下の範囲を満たしてもよい。
前記多孔質炭素ナノチューブおよび/または前記多孔質炭素構造体は、窒素(N)をさらに含有してもよい。
前記多孔質炭素ナノチューブおよび/または前記多孔質炭素構造体は、酸素(O)をさらに含有してもよい。
前記炭素(C)、前記金属粒子(M)、前記酸素(O)、前記窒素(N)の原子百分率(%)(ただし、C、M、OおよびNの合計が100%である)は、それぞれ、
75≦C≦85
1.3≦M≦3.0
12≦O≦20
2.0≦N≦2.5
を満たしてもよい。
前記ゼオライト様イミダゾレート構造体は、ZIF-7、ZIF-22、ZIF-8、ZIF-67、ZIF-69、ZIF-71、ZIF-78、ZIF-90、および、ZIF-95からなる群から選択されてもよい。
BET法比表面積は、370m/g以上800m/g以下の範囲を満たしてもよい。
BET法比表面積は、380m/g以上450m/g以下の範囲を満たしてもよい。
全細孔容積は、0.65cm/g以上1.0cm/g以下の範囲を満たし、細孔径1nm以下のマイクロポア細孔容積は、前記全細孔容積の53.5%以上60%以下の範囲を満たしてもよい。
本発明による多孔質炭素複合材料を製造する方法は、フラーレンナノチューブを酸処理することと、前記酸処理されたフラーレンナノチューブと、イミダゾールまたはその誘導体と、金属元素の塩とを溶媒中で混合し、反応させることと、前記混合し、反応させることによって得られた生成物を洗浄し、乾燥させることと、前記乾燥させることによって得られた生成物を焼成することとを包含し、前記金属元素の塩に対する前記フラーレンナノチューブのモル比は、0.5より大きく2.0より小さく、これにより上記課題を解決する。
前記フラーレンナノチューブを構成するフラーレンは、C60フラーレン、C70フラーレン、C76フラーレン、C78フラーレン、C82フラーレン、C84フラーレン、C90フラーレン、C94フラーレン、および、これらの誘導体からなる群から選択されてもよい。
酸処理することは、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、および、フッ酸からなる群から選択される酸を使用してもよい。
前記金属元素の塩は、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、および、白金(Pt)からなる群から選択される金属元素の無機酸塩、または、無機ハロゲン化物塩であってもよい。
前記混合し、反応させることにおいて、前記酸処理されたフラーレンナノチューブと、前記イミダゾールまたはその誘導体と、前記金属元素の塩とは、1~5:10~50:1~5のモル比を満たしてもよい。
前記焼成することは、前記生成物を、窒素雰囲気中、750℃以上1200℃以下の温度範囲で焼成してもよい。
本発明による触媒は、上記多孔質炭素複合材料を含有し、これにより上記課題を解決する。
ニトロ多環芳香族炭化水素を還元してもよい。
本発明の多孔質炭素複合材料は、フラーレンナノチューブに基づく多孔質炭素ナノチューブと、その上に位置する金属粒子を含有し、ゼオライト様イミダゾレート構造体(ZIF)に基づく多孔質炭素構造体とを含有し、炭素(C)に対する金属粒子(M)の原子百分率の比は、0.015以上0.03以下である。本発明の多孔質炭素材料は、ニトロ多環芳香族炭化水素を還元する触媒として機能する。
本発明の多孔質炭素複合材料を示す模式図 本発明の多孔質炭素複合材料を製造する工程を示すフローチャート MOFOF-0.5、MOFOF-1.0、MOFOF-1.5およびMOFOF-2.0のSEM像を示す図 Co@HC-1.0のSEM像等の電子線画像を示す図 Co@HC-0.5~2.0のXRDパターンおよびラマンスペクトルを示す図 Co@HC-1.0のXPSスペクトルを示す図 Co@HC-0.5~2.0の窒素吸脱着等温線を示す図 Co@HC-1.0~1.5の4-ニトロフェノールの還元率の反応時間依存性を示す図 図8の擬一次動力学プロットを示す図 Co@HC-1.0の種々のニトロ多環芳香族炭化水素の還元率の反応時間依存性を示す図 図10の擬一次動力学プロットを示す図 Co@HC-1.0の4-ニトロフェノールの還元のサイクル試験を示す図 還元試験前後のCo@HC-1.0の窒素吸脱着等温線を示す図
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。なお、同様の要素には同様の符号を付し、その説明を省略する。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
図1は、本発明の多孔質炭素複合材料を示す模式図である。
本発明の多孔質炭素複合材料100は、フラーレンナノチューブに基づく多孔質炭素ナノチューブ110と、その表面に位置し、金属粒子120を含有し、ゼオライト様イミダゾレート構造体(ZIF:Zeolitic Imidazolate Framefork)に基づく多孔質炭素構造体130とを含有する。なお、以降では、ゼオライトイミダゾレート構造体を単にZIFと称する場合がある。本発明の多孔質炭素複合材料100は、階層構造を有する多孔質炭素材料を母体として、それに金属粒子が担持されて構成される。
本発明の多孔質炭素複合材料100において、多孔質炭素ナノチューブ110および多孔質炭素構造体130を構成する炭素(C)に対する金属粒子120の原子百分率の比は、0.015以上0.03以下を満たす。これにより、本発明の多孔質炭素複合材料100は、触媒として機能する。この範囲を外れると、触媒としての機能が低下し得る。より好ましくは、上記比は、0.018以上0.03以下の範囲を満たす。これにより、本発明の多孔質炭素複合材料100の触媒性能がさらに向上し得る。
フラーレンナノチューブに基づく多孔質炭素ナノチューブ110は、後述する製造方法により、グラファイト状(詳細には、sp混成炭素および無秩序sp混成炭素)の壁を有する多孔質炭素ナノチューブである。図1に示すように、多孔質炭素ナノチューブ110は中空構造を有しており、その断面形状が円形や楕円形等である。多孔質炭素ナノチューブ110の表面とは、外側の表面に加えて、中空構造内の表面も意図する。
ここで、フラーレンナノチューブは、フラーレンを主成分としており、置換基を有する、および/または、有しない、炭素原子を含有する球状の分子であれば、特に制限はない。
フラーレンナノチューブを構成するフラーレンは、例示的には、C60フラーレン、C70フラーレン、C76フラーレン、C78フラーレン、C82フラーレン、C84フラーレン、C90フラーレン、C94フラーレン、および、これらの誘導体からなる群から選択されてよい。なお、フラーレン誘導体とは、フラーレンの少なくとも一部が修飾された化合物を意味する。
多孔質炭素ナノチューブ110は、好ましくは、以下の大きさを有する。
長手方向の長さが、1μm以上10μm以下の範囲である。
壁厚が、100nm以上300nm以下の範囲である。
直径が、450nm以上1.5μm以下の範囲である。
この大きさは、フラーレンナノチューブの大きさを好適に反映している。
ZIFに基づく多孔質炭素構造体130は、後述する製造方法により、有機成分が除去され、構造が再配列されたグラファイト状(詳細には、sp混成炭素および無秩序sp混成炭素)粒子である多孔質炭素構造体である。図1に示すように、多孔質炭素構造体130は、ZIFの構造を反映し、粒子状の形状を有する。
ZIFは、金属有機構造体(MOF:Metal-Organic Frameworks)を骨格とする材料の一種であり、金属イオンを架橋する有機架橋配位子がイミダゾール置換基からなるゼオライトのような3次元ミクロポーラス材料である。
ZIFは、細孔径の違い、イミダゾール置換基の種類等によって、ZIF-7、ZIF-22、ZIF-8、ZIF-67、ZIF-69、ZIF-71、ZIF-78、ZIF-90、ZIF-95等が知られている。中でも、細孔径および収率の観点から、ZIF-67、すなわち、金属イオンを2-メチルイミダゾールが架橋したソーダライト型結晶構造が好ましい。
このようなZIFに基づく多孔質炭素構造体130は、好ましくは、50nm以上300nm以下の範囲の粒径を有する。多孔質炭素構造体130は、より好ましくは、75nm以上150nm以下の範囲の粒径を有する。これにより、本発明の多孔質炭素複合材料100の機能性が向上し得る。なお、本願明細書において、多孔質炭素構造体130の粒径は、15,000倍の電子線顕微鏡像で観察される粒子100個の最長径の平均である。
多孔質炭素構造体130に担持された金属粒子120は、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、および、白金(Pt)からなる群から選択される。これにより、本発明の多孔質炭素複合材料100の触媒性能が向上し得る。
金属粒子120は、ナノオーダの極めて小さな粒子である。好ましくは、金属粒子120は、3.5nm以上9.0nm以下の範囲の粒径を有する。これにより、本発明の多孔質炭素複合材料100の触媒性能が向上し得る。より好ましくは、金属粒子120は、5nm以上8nm以下の範囲の粒径を有する。これにより、本発明の多孔質炭素複合材料100の触媒性能がさらに向上し得る。なお、本願明細書において、金属粒子120の粒径は、シェラーの式によりX線回折の半値幅から算出される。
金属粒子120がコバルトの場合、金属粒子120は面心立方結晶構造(FCC)を有してよい。
多孔質炭素ナノチューブ110および多孔質炭素構造体130は、窒素(N)をさらに含有してもよい。これにより、構造が安定化する。多孔質炭素ナノチューブ110および多孔質炭素構造体130は、さらに、酸素(O)を含有してもよい。これにより、構造がさらに安定化する。
本発明の多孔質炭素複合材料100が、炭素(C)、金属粒子(M)、酸素(O)および窒素(N)からなる場合、好ましくは、これらの原子百分率(%)は、以下を満たす。ただし、C、M、OおよびNの合計が100%である。
75≦C≦85
1.3≦M≦3.0
12≦O≦20
2.0≦N≦2.5
これにより、本発明の多孔質炭素複合材料100の構造が安定化し、触媒性能が向上し得る。
本発明の多孔質炭素複合材料100は、好ましくは、370m/g以上800m/g以下の範囲のBET法比表面積を満たす。これにより、多孔質炭素複合材料100は安定化する。本発明の多孔質炭素複合材料100は、より好ましくは、380m/g以上450m/g以下の範囲のBET法表面積を満たす。これにより、多孔質炭素複合材料100の触媒性能が向上し得る。
本発明の多孔質炭素複合材料100は、好ましくは、0.65cm/g以上1.0cm/g以下の全細孔容積を満たし、かつ、細孔径1nm以下のマイクロポア細孔容積が、全細孔容積の53.5%以上60%以下の範囲を満たす。これにより、多孔質炭素複合材料100の触媒性能が向上し得る。本発明の多孔質炭素複合材料100は、より好ましくは、0.65cm/g以上0.8cm/g以下の全細孔容積を満たし、かつ、細孔径1nm以下のマイクロポア細孔容積が、全細孔容積の53.5%以上57%以下の範囲を満たす。これにより、多孔質炭素複合材料100の触媒性能がさらに向上し得る。
本発明の多孔質炭素複合材料100は、金属粒子120の種類によって種々の触媒性能を発現するが、金属粒子120がコバルトである場合、本発明の多孔質炭素複合材料100は、ニトロ多環芳香族炭化水素を還元する触媒として特に有利である。金属粒子120がニッケルである場合、本発明の多孔質炭素複合材料100は、エネルギー変換用の触媒として特に有利である。金属粒子120が鉄である場合、本発明の多孔質炭素複合材料100は、酸素および硝酸塩の電気化学還元用の触媒として特に有利である。金属粒子120が白金である場合、本発明の多孔質炭素複合材料100は、酸素還元反応用の電極触媒として特に有利である。なお、金属粒子は一種であってもよいし、用途に応じて二種以上の組み合わせであってもよい。
次に、本発明の多孔質炭素複合材料100の製造方法について説明する。
図2は、本発明の多孔質炭素複合材料を製造する工程を示すフローチャートである。
本発明の多孔質炭素複合材料100は次のステップにより製造される。
ステップS210:フラーレンナノチューブを酸処理する。
ステップS220:ステップS210で酸処理されたフラーレンナノチューブと、イミダゾールまたはその誘導体と、金属元素の塩とを溶媒中で混合し、反応させる。
ステップS230:ステップS220で混合し、反応させることによって得られた生成物を洗浄し、乾燥させる。
ステップS240:ステップS230で乾燥された生成物を焼成する。
ただし、ステップS220において、金属元素の塩に対するフラーレンナノチューブのモル比が0.5より大きく2.0より小さくなるように、フラーレンナノチューブと金属元素の塩とは混合される。
各工程について詳細に説明する。
ステップS210において、フラーレンナノチューブは上述の特徴を有するフラーレンナノチューブを採用できる。このようなフラーレンナノチューブは、例えば、C60フラーレン、C70フラーレン、C76フラーレン、C78フラーレン、C82フラーレン、C84フラーレン、C90フラーレン、C94フラーレン、および、これらの誘導体からなる群から選択されたフラーレンを用い、特開2022-18133号公報に記載の液液界面析出法によって製造されてもよい。
ステップS210において、酸処理することにより、フラーレンナノチューブの表面が親水性となり、均一にZIFを成長させることができる。酸処理は、フラーレンナノチューブの表面がオキシ官能化される限り任意の酸を使用できるが、例示的には、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、および、フッ酸からなる群から選択される酸を使用する。酸は組み合わせて用いてもよい。
ステップS210において、酸処理することは、フラーレンナノチューブを酸水溶液中で超音波処理し、洗浄し、乾燥すればよい。乾燥は、真空中、50℃以上100℃以下の温度範囲で5時間以上24時間以下の時間行ってよい。
ステップS220において、イミダゾールまたはその誘導体とは、置換基を有するまたは有しないイミダゾール、イミダゾール上の2、4または5位の少なくとも1つ以上の炭素原子上で炭素数が1~6個(例えば、炭素数が1~4個、1~3個)のアルキル基、ハロゲン基およびニトロ基からなる群から選ばれる1~3個の置換基を有するか、または、イミダゾール上の4および5位の隣接する置換基が一緒になって、置換基を有していてもよい縮合環式の5もしくは6員の芳香族炭素環または芳香族ヘテロ環を形成していてもよい、イミダゾールを意味する。
炭素数が1~6個のアルキル基は、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、ネオブチル、t-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシルなどである。中でも、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピルがより好ましく、メチル、エチルがより一層好ましく、メチルが特に好ましい。ハロゲン基としては、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードがあり、クロロが好ましい。
縮合環式の5もしくは6員の芳香族炭素環は、例えば、ベンゾ基がある。縮合環式の5もしくは6員の芳香族ヘテロ環は、例えば、酸素、窒素および硫黄原子からなる群から少なくとも1種選択されるヘテロ原子を含有した、フロ基、チオフェノ基、ピロロ基、イミダゾロ基、ピラゾロ基、イソオキサゾロ基、テトラゾロ基、ピリド基、ピラジノ基、ピリミジノ基、ピリダジノ基等がある。
中でも、イミダゾールまたはその誘導体は、好ましくは、2-メチルイミダゾールである。市販されており、入手が容易であり、既存の方法によって合成も可能である。
ステップS220において、金属元素の塩は、金属元素の無機塩または有機塩を使用でき、好ましくは、金属元素の無機塩である。金属元素の無機塩は、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、および、白金(Pt)からなる群から選択される金属元素の無機酸塩、または、無機ハロゲン化物塩であってよい。
ステップS220において、溶媒は、超純水、イオン交換水、蒸留水等であってよい。
ステップS220において、金属元素の塩に対するフラーレンナノチューブを構成するフラーレンのモル比は、0.5より大きく2.0より小さくなるように、フラーレンナノチューブと金属元素の塩とは混合される。これにより、触媒性能を有する多孔質炭素複合材料100を提供できる。
上記モル比は、より好ましくは、0.75以上1.75以下の範囲を満たす。これにより、本発明の多孔質炭素複合材料100の触媒性能が向上し得る。上記モル比は、なおさらに好ましくは、1.0以上1.5以下の範囲を満たす。これにより、本発明の多孔質炭素複合材料100の触媒性能がさらに向上し得る。
ステップS220において、上記モル比に加えて、ステップS210で酸処理されたフラーレンナノチューブを構成するフラーレンと、イミダゾールまたはその誘導体と、金属元素の塩とは、1~5:10~50:1~5のモル比を満たすように混合されてもよい。この比を満たせば、反応が促進する。
ステップS220において、反応促進剤として、トリエチルアミン、水酸化ナトリウム等を添加するとよい。添加量は、金属イオンに対して1.0以上8.0以下の範囲であってよい。
ステップS220において、反応は、15℃以上40℃以下の温度範囲で撹拌するだけでよい。撹拌には、5分以上60分以下の超音波処理を用いてもよい。なお、反応の進行は、茶色等の有色の固体結晶の析出で確認できる。
ステップS230において、洗浄は、超純水、イオン交換水、蒸留水等の水、次いで、イソプロパノール、エタノール等のアルコールを用いて、ステップS220の生成物から未反応の物質を除去してよい。
ステップS230において、乾燥は溶媒を除去できる限り特に制限はないが、乾燥を、真空中、50℃以上100℃以下の温度範囲で5時間以上24時間以下の時間行ってよい。
ステップS210~ステップS230により、フラーレンナノチューブと、その表面に位置し、金属イオンを含有するゼオライト様イミダゾレート構造体(ZIF)とを含有する前駆複合材料が得られる。このような工程で得られるZIFは、上述したように、ZIF-7、ZIF-22、ZIF-8、ZIF-67、ZIF-69、ZIF-71、ZIF-78、ZIF-90、ZIF-95等である。中でも、細孔径および収率の観点から、ZIF-67、すなわち、金属イオンを2-メチルイミダゾールが架橋したソーダライト型結晶構造が好ましい。
ここでも、フラーレンナノチューブは、好ましくは、以下の大きさを有する。
長手方向の長さが、1μm以上10μm以下の範囲である。
壁厚が、100nm以上300nm以下の範囲である。
直径が、450nm以上1.5μm以下の範囲である。
また、ZIFは、好ましくは、50nm以上300nm以下の範囲の粒径を有する。
前駆複合材料は、好ましくは、200m/g以上500m/g以下の範囲のBET法比表面積を満たす。これにより、本発明の多孔質炭素複合材料100が得られやすい。前駆複合材料は、より好ましくは、300m/g以上420m/g以下の範囲のBET法表面積を満たす。これにより、多孔質炭素複合材料100が安定化し得る。
前駆複合材料は、好ましくは、0.5cm/g以上1.0cm/g以下の全細孔容積を満たし、かつ、細孔径1nm以下のマイクロポア細孔容積が、全細孔容積の40%以上60%以下の範囲を満たす。これにより、多孔質炭素複合材料100が得られやすい。前駆複合材料は、より好ましくは、0.6cm/g以上0.7cm/g以下の全細孔容積を満たし、かつ、細孔径1nm以下のマイクロポア細孔容積が、全細孔容積の40%以上52%以下の範囲を満たす。これにより、多孔質炭素複合材料100が安定化し得る。
ステップS240において、ステップS230で得た生成物、すなわち前駆複合材料を焼成し、炭化する。炭化できる限り特に条件に制限はないが、好ましくは、窒素雰囲気中、750℃以上1200℃以下の温度範囲で焼成するとよい。これにより、多孔質炭素複合材料100の炭化が促進する。より好ましくは、窒素雰囲気中750℃以上850℃以下の温度範囲で1時間以上10時間以下の時間焼成するとよい。これにより、歩留まりよく多孔質炭素複合材料100が得られる。
なお、ステップS240に続いて、得られた生成物を酸処理してもよい。これにより、表面がエッチングされ、不純物が除去され、触媒の性能が向上し得る。ここでも、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、および、フッ酸からなる群から選択される酸を使用できる。また、酸処理は、40℃以上80℃以下の温度範囲で、1時間以上24時間以下の時間行ってもよい。これにより、ニトロアレーン還元用の触媒に好適な多孔質炭素複合材料100が得られる。
次に、具体的な実施例を用いて本発明を詳述するが、本発明がこれら実施例に限定されないことに留意されたい。
[フラーレンナノチューブの調製]
フラーレンC60を用い、特開2022-18133号公報を参照し、液液界面析出法によりフラーレンナノチューブの製造をした。
フラーレンC60粉末(純度99.5%、MTR Ltd.製)を、良溶媒として1,3,5-トリメチルベンゼン(純度98.0%、富士フイルム和光純薬株式会社製)に分散させ、1時間超音波処理をし、フラーレン分散液を調製した。フラーレン分散液中のフラーレン濃度は、1.4mg/mLであった。
フラーレン分散液(1mL)を13.5mLの洗浄したガラス瓶に入れ、これを超音波浴に配置し、超音波処理した。次いで、貧溶媒としてメタノール(5mL、純度99.7%、ナカライテスク株式会社製)をフラーレン分散液に迅速(約2秒)に添加した。超音波処理を1分間行い、ガラス瓶を超音波浴から取り出し、25℃で5分間保持した。
エチレンジアミン(EDA、純度99.0%、富士フイルム和光純薬株式会社製)を先のフラーレン分散液に添加した。次いで、超音波浴にて10分間超音波処理をした。この混合液を、25℃、24時間、インキュベーションし、フラーレンナノチューブ(FNT)を得た。
得られたフラーレンナノチューブは、走査透過電子顕微鏡により中空構造を有し、以下の大きさを有することを確認した。
長手方向の長さ;1μm以上10μm以下
壁厚;100nm以上300nm以下
直径;450nm以上1.5μm以下
また、フラーレンナノチューブは、六方最密充填構造(hcp)を有することをX線回折より確認した。
[例1~例4]
例1~例4では、調製したフラーレンナノチューブ(FNT)を用い、多孔質炭素複合材料を製造した。
調製したフラーレンナノチューブを酸処理した(図2のステップS210)。具体的には、硝酸および硫酸(体積比で1:1)を混合した酸溶液にフラーレンナノチューブを浸漬させ、20分間超音波処理した。次いで、フラーレンナノチューブを蒸留水で洗浄し、真空中、80℃、12時間乾燥させた。
酸処理されたフラーレンナノチューブ(FNTox)と、イミダゾールまたはその誘導体と、金属元素の塩とを溶媒中で混合し、反応させた(図2のステップS220)。表1に示すように、酸処理されたフラーレンナノチューブ、2-メチルイミダゾール(東京化成工業株式会社製)および硝酸塩コバルト六水和物(富士フイルム和光純薬株式会社製)を秤量し、蒸留水中で混合し、反応させた。ここで、例2および例3におけるコバルトの塩に対するFNTのモル比は、0.5より大きく2.0より小さかったが、例1および例4におけるモル比は、この範囲を満たさなかった。
具体的には、酸処理されたフラーレンを2-メチルイミダゾールおよびトリエチルアミンの水溶液に添加し、10分間、超音波処理した。次いで、硝酸塩コバルト六水和物を添加し、さらに30分間、超音波処理したところ、紫~茶色の固体結晶(生成物)が生成した。
生成物を洗浄し、乾燥させ、前駆複合材料を得た(図2のステップS230)。具体的には、前駆複合材料を蒸留水、次いで、イソプロパノールで洗浄し、真空中、80℃、12時間乾燥させた。
乾燥して得られた例1~例4の前駆複合材料を、フラーレンナノチューブを構成するC60と硝酸塩コバルト六水和物中のコバルトとのモル比(C60/Co)に応じて、それぞれ、MOFOF-0.5、MOFOF-1.0、MOFOF-1.5、MOFOF-2.0と称する。
例1~例4の前駆複合材料を焼成した(図2のステップS240)。具体的には、MOFOF-0.5~2.0を、窒素雰囲気中、800℃で4時間焼成した。焼成後の生成物を、60℃で、12時間、フッ酸(HF、0.2M)で酸処理し、可溶性の不純物を除去した。
焼成後の例1~例4の生成物を、フラーレンナノチューブを構成するC60と硝酸塩コバルト六水和物中のコバルトとのモル比(C60/Co)に応じて、それぞれ、Co@HC-0.5、Co@HC-1.0、Co@HC-1.5、Co@HC-2.0と称する。
MOFOF-0.5~2.0、および、Co@HC-0.5~2.0を、電界放出形走査電子顕微鏡(SEM、株式会社日立ハイテク製、S-4800)、および、電界放出形透過電子顕微鏡(TEM、日本電子株式会社製、JEM-2100F)により観察した。MOFOF-0.5~2.0、および、Co@HC-0.5~2.0を、X線回折装置(XRD、株式会社リガク製、RINT-Ultima III)を用いて評価した。
Co@HC-0.5~2.0のラマンスペクトルを、トリプルレーザラマン分光測定装置(Jobin Yvon社製、T64000)を用いて測定した。測定には、0.01mW出力の波長514.5nmのレーザを用いた。
Co@HC-0.5~2.0のX線光電子スペクトルを、シータプローブ分光計(サーモエレクトロン社製)を用いて測定した。測定には、Al-Kα単色線(エネルギー15keV)を用いた。コアレベルXPSのC1s(Cの1s軌道のエネルギーピーク位置)、O1s(Oの1s軌道のエネルギーピーク位置)、N1s(Nの1s軌道のエネルギーピーク位置)、および、Co2p(Coの2p軌道のエネルギーピーク位置)を0.05eVステップで記録した。測定用試料に電荷が蓄積するのを避けるため、測定には、ビルトイン式エレクトロフラッドガンを用いた。
MOFOF-0.5~2.0、および、Co@HC-0.5~2.0の窒素吸着等温線を、自動吸着装置(Quantachrome Instruments社製、Autosorb-1)を用いて測定した。各試料(20mg)を測定前に120℃、24時間、デガスし、測定用試料とした。測定は、液体窒素温度の77.35Kで行った。得られた窒素吸着等温線から、BET法(Brunauer-Emmett-Teller)による比表面積、BJH法(Barrett-Joyner-Halend)による細孔容積、DFT法(Density Functional Theory)による細孔分布、1nm以下の細孔径を有するマイクロポアの表面積、1nm以下の細孔径を有すウルマイクロポアの細孔容積、平均細孔径Dp、および、半孔幅Wpを、装置付属のソフトウェア(BETツール)により算出した。
例1~例4の生成物(Co@HC-0.5~2.0)の触媒性能について調べた。具体的には、Co@HC-0.5~2.0を用いて、ニトロ多環芳香族炭化水素として、4-ニトロフェノール(4-NP)、ニトロベンゼン(NB)、2-ニトロフェノール(2-NP)、4-メチルニトロベンゼン(4Me-NB)、4-クロロニトロベンゼン(4Cl-NB)の還元を石英セル(4mL)中で行った。
まず、NaBH水溶液(0.5mL、0.3M)を種々のニトロ多環芳香族炭化水素の水溶液(3mL、5mM)と石英セル内で混合した。次いで、Co@HC-0.5~2.0の水溶液(1mgmL-1)50μLを混合液に導入し、反応させた。導入後、1分間隔で反応混合物のUV吸光度(波長400nm)を分、光光度計(島津株式会社製、UV2550)を用いて測定した。Co@HC-1.0については、サイクル試験(5回)を行った。また、4回サイクル試験を行った試料について窒素吸着等温線を測定した。
以上の結果を図3~図13および表2~表5に示し、まとめて説明する。
図3は、MOFOF-0.5、MOFOF-1.0、MOFOF-1.5およびMOFOF-2.0のSEM像を示す図である。
図3には、酸処理前のフラーレンナノチューブ(FNT)および酸処理後のフラーレンナノチューブ(FNTox)のSEM像も併せて示す。図3(a)~(f)は、それぞれ、FNT、FNTox、MOFOF-0.5、MOFOF-1.0、MOFOF-1.5、および、MOFOF-2.0のSEM像である。
図3(a)および(b)によれば、酸処理によってもフラーレンナノチューブの表面のモルフォロジは維持されており、FNToxは平滑な表面を有することが分かった。
図3(c)~(f)によれば、FNToxの表面に、ZIFが均一に分布し、固着したMOFOFが得られたことを確認した。また、ZIFは、FNToxの中空構造内の表面にも位置していた。粒子状のZIFの粒径は、50nm以上200nm以下の範囲であった。粒子の量は、C60/Coのモル比が大きくなるにつれて、増大する傾向を示した。
表2は、窒素吸脱着等温線より算出した前駆複合材料(MOFOF-0.5~2.0)の細孔特性が示される。表2によれば、MOFOF-1.0およびMOFOF-1.5は、200m/g以上500m/g以下の範囲、詳細には、300m/g以上420m/g以下の範囲のBET法比表面積を満たした。また、MOFOF-1.0およびMOFOF-1.5は、0.6cm/g以上0.7cm/g以下の全細孔容積を満たし、かつ、細孔径1nm以下のマイクロポア細孔容積が、全細孔容積の40%以上52%以下の範囲を満たした。
図4は、Co@HC-1.0のSEM像等の電子線画像を示す図である。
図4(a)~(f)は、それぞれ、Co@HC-1.0のSEM像、STEM像、TEM像、HAADF像、HR-TEM像およびSAEDパターンである。図4(a)および(b)と図3とを比較すると、Co@HC-1.0は、MOFOF-1.0の熱処理後も、その後の酸処理後も、チューブ状の構造と、その表面に位置する粒子状の構造とからなる複合体を維持していることが分かった。
チューブ状の構造は、FNTの大きさを好適に反映し、以下の大きさを有することを確認した。
長手方向の長さが、1μm以上10μm以下の範囲であった。
壁厚が、100nm以上300nm以下の範囲であった。
直径が、450nm以上1.5μm以下の範囲であった。
粒子状の構造は、ZIFの大きさを好適に反映し、50nm以上300nm以下、詳細には、75nm以上150nm以下の粒径を有した。図示しないが、Co@HC-1.5のSEM像およびSTEM像も同様であった。
図4(c)の黒い点、および、(d)の白い点は、粒子状の構造内にあるコバルト粒子であり、チューブの外側の表面、および、中空構造内の表面にも位置し、全体に均一に分布していた。
図4(e)の結晶格子の強度プロファイルから算出された面間隔d値は、0.349nmおよび0.205nmであり、図4(f)から算出された面間隔d値は、0.346nmおよび0.205nmであり、互いによく一致した。これらの値は、それぞれ、グラファイト状炭素の002面のd値(0.336nm)、および、面心立方結晶構造(FCC)のコバルト結晶の111面のd値(0.206nm)に一致した。図示しないが、Co@HC-0.5、Co@HC-1.5およびCo@HC-2.0も同様のd値であった。
図5は、Co@HC-0.5~2.0のXRDパターンおよびラマンスペクトルを示す図である。
図5(a)は、FNT、FNTox、pZIF-67およびMOFOF-1.0のXRDパターンを示す。FNTおよびFNT-oxのXRDパターンによれば、酸処理によっても結晶相に変化がなかった。MOFOF-1.0のXRDパターンは、FNT-oxのXRDパターンに加えて、ZIF-67のピークを有した。ここからも、MOFOF-1.0は、フラーレンナノチューブと、その表面に位置する金属イオンを含有するゼオライト様イミダゾレート構造体(ZIF)とを含有する、前駆複合材料であった。
図5(b)は、Co@HC-0.5~2.0のXRDパターンを示す。図5(b)のXRDパターンは、図5(a)のそれとはまったく異なり、26.0°、44.2°およお51.6°に新たなピークを有した。26.0°のピークは、グラファイト状炭素の002面のピークであり、44.2°および51.6°のピークは、それぞれ、FCCのコバルト結晶の111面および200面のピークであった。
図4および図5(b)から、前駆複合材料を熱処理することによって得られたCo@HC-0.5~2.0は、フラーレンナノチューブに基づく炭素ナノチューブと、その表面に位置し、コバルト粒子を含有し、ZIFに基づく炭素構造体とを含有する炭素複合材料であることが示された。特に、燃焼後の炭素は、sp混成グラファイト状炭素および無秩序sp混成炭素であり、コバルト粒子は、面心立方結晶構造(FCC)を有することが分かった。
図5(b)において、シェラーの式によりX線回折の半値幅からコバルト粒子の粒径を算出したところ、Co@HC-0.5~2.0の粒径は、3.3nm、5.8nm、7.3nmおよび9.6nmであった。このことは、金属粒子の粒径は、C60/Coのモル比が大きくなるにつれて、増大する傾向を示した。
図5(c)は、Co@HC-0.5~2.0のラマンスペクトルを示す。いずれのラマンスペクトルも、1353cm-1および1587cm-1に特徴的なバンドを有した。これらのバンドは、それぞれ、無秩序sp混成の炭素原子に係るDバンド、および、sp混成の炭素原子に係るGバンドに相当した。
Co@HC-0.5~2.0のDバンドおよびGバンドの強度比(I/I)は、それぞれ、1.28、1.32、1.37および1.42であった。このことは、ZIF-67が多いほど、グラファイト状炭素が多くなることを示す。
図6は、Co@HC-1.0のXPSスペクトルを示す図である。
図6には、MOFOF-1.0のXPSスペクトルも併せて示す。図6(a)によれば、MOFOF-1.0は、炭素原子、酸素原子、金属(ここではコバルト)原子および窒素原子からなり、それらの原子百分率(%)は、それぞれ、78.3%、14.8%、1.0%および5.9%であった。Co@HC-1.0も、MOFOF-1.0に基づき、炭素原子、酸素原子、コバルト原子および窒素原子からなり、それらの原子百分率(%)は、それぞれ、80.1%、16.2%、1.5%および2.2%であった。
図示しないが、Co@HC-1.5のXPSスペクトルも、Co@HC-1.0のそれと同様であり、表3に示す組成を有した。このことから、図2に示す製造工程によって得られる生成物は、炭素原子(C)、酸素原子(O)、金属(ここではコバルト)原子(M)および窒素原子(N)からなり、原子百分率(%)で
75≦C≦85
12≦O≦20
1.5≦M≦3.0
2.0≦N≦2.5
を満たすことが分かった。
図6(b)~(e)は、Co@HC-1.0のXPSコアレベルスペクトルを示す。MOFOF-1.0のC1sスペクトル(図6(b)の下図)は、284.1eV、285.6eV、および、286.4eVのピークを有し、それぞれ、C=C(sp)、C-C(sp)、および、C-OHまたはC-N結合に対応する。Co@HC-1.0のC1sスペクトル(図6(b)の上図)は、284.3eV、285.6eV、286.3eV、および、288.7eVのピークを有し、それぞれ、C-V、C-OH、C-O/C-N、および、O-C=O結合に対応する。
MOFOF-1.0およびCo@HC-1.0のO1sスペクトル(図6(c))は、いずれも、C-OHおよびC-O-C結合状態を有した。
MOFOF-1.0のN1sスペクトル(図6(d)の下図)は、400.05eV、401.0eV、および、401.96eVのピークを有し、それぞれ、N-H、C-N、および、C=N結合に対応する。Co@HC-1.0のN1sスペクトル(図6(d)の上図)は、398.2eV、400.2eV、および、401.4eVのピークを有し、それぞれ、ピリジン型窒素(N-6)、ピロール型窒素(N-5)、および、四級窒素(N-Q)に対応する。
MOFOF-1.0のCo2pスペクトル(図6(e)の下図)は、ZIF-67に由来する、781.1eVのCo-N結合、および、785.4eVのサテライトピークを示した。一方、Co@HC-1.0のCo2pスペクトル(図6(e)の上図)は、782.4eVのCo-N結合状態に加えて、780.35eVおよび795.95eVに特徴的なピークを有する金属コバルトの2p3/2および2p1/2準位を示した。
図7は、Co@HC-0.5~2.0の窒素吸脱着等温線を示す図である。
図7によれば、Co@HC-0.5~2.0の等温線は、いずれも、IUPAC分類のタイプI/タイプIVの混合型に分類され、Co@HC-0.5~2.0は、階層的なミクロ/メソ多孔質炭素構造であることが分かった。
図4、図5および図7によれば、Co@HC-0.5~2.0は、フラーレンナノチューブに基づく多孔質炭素ナノチューブと、その表面に位置するゼオライト様イミダゾレート構造体(ZIF)に基づく多孔質炭素構造体との階層構造をなしており、コバルト粒子は多孔質炭素構造体内に位置していることが分かった。
図7より算出した、BET法比表面積、BJH法細孔容積、DFT法細孔分布等を表4に示す。
表4によれば、Co@HC-1.0~1.5は370m/g以上800m/g以下の範囲のBET法表面積を満たし、0.65cm/g以上1.0cm/g以下の全細孔容積を満たし、かつ、細孔径1nm以下のマイクロポア細孔容積が、全細孔容積の53.5%以上60%以下の範囲を満たした。このような金属粒子を伴い多孔質材料は、不均一系触媒反応に有利である。
図8は、Co@HC-1.0~1.5の4-ニトロフェノールの還元率の反応時間依存性を示す図である。
図9は、図8の擬一次動力学プロットを示す図である。
図8および図9には、調製したフラーレンナノチューブ(FNT)を、窒素雰囲気中、800℃、4時間焼成して得られた炭化物(FDCと称する)、および、ZIF-67を、窒素雰囲気中、800℃、4時間焼成して得られた炭化物(Co@ZDCと称する)の触媒試験の結果も併せて示す。
表5に示すように、相関係数Rは1に近い値となり、Co@HC-1.0~1.5、FDCおよびCo@ZDCを用いた4-ニトロフェノール(4-NP)の還元反応に対して、擬一次動力学モデルの使用が有効であることが確認された。
図8および図9によれば、Co@HC-1.0およびCo@HC-1.5は、4-NPの還元に有効であることが分かった。特に、表5の動力学定数および触媒頻度に着目すると、Co@HC-1.0は、Co@ZDCよりも優れた触媒性能を有することが分かった。
図10は、Co@HC-1.0の種々のニトロ多環芳香族炭化水素の還元率の反応時間依存性を示す図である。
図11は、図10の擬一次動力学プロットを示す図である。
図10および図11によれば、Co@HC-1.0は、種々のニトロ多環芳香族炭化水素を還元する触媒として機能することが分かった。特に、Co@HC-1.0は、ニトロベンゼン(NB)、4-ニトロフェノール(4-NP)、2-ニトロフェノール(2-NP)、4-メチルニトロベンゼン(4Me-NB)、4-クロロニトロベンゼン(4Cl-NB)の順に優れた触媒性能を示した。
図12は、Co@HC-1.0の4-ニトロフェノールの還元のサイクル試験を示す図である。
図12によれば、Co@HC-1.0の触媒性能は、5回繰り返した後も維持され、優れた触媒であることが示された。
図13は、還元試験前後のCo@HC-1.0の窒素吸脱着等温線を示す図である。
還元試験後のリサイクル試料は、4回還元試験を行ったCo@HC-1.0を、エタノールで洗浄し、真空乾燥させることによって調製された。図13によれば、製造直後のCo@HC-1.0も、リサイクル後のCo@HC-1.0も、同等の窒素吸脱着等温線を示していた。
図8~図13によれば、フラーレンナノチューブに基づく多孔質炭素ナノチューブと、その表面に位置し、金属粒子(ここではコバルト)を含有し、ゼオライト様イミダゾレート構造体(ZIF)に基づく多孔質炭素構造体との階層構造からなる多孔質炭素複合材料の中でも、多孔質炭素ナノチューブおよび多孔質炭素構造体を構成する炭素(C)に対する金属粒子(ここではコバルト粒子)(M)の原子百分率の比が0.015以上0.03以下の範囲を満たす多孔質炭素複合材料は、ニトロ多環芳香族炭化水素を還元する触媒として機能することが示された。
また、表1を参照すれば、上記原子百分率の比を満たす本発明の多孔質炭素複合材料は、金属元素(ここではコバルト)の塩に対するフラーレンナノチューブのモル比が0.5より大きく2.0より小さくなるように、フラーレンナノチューブと、イミダゾールまたはその誘導体と、金属元素の塩とを混合し、図2に示す製造工程によって製造されることが示された。
本発明の多孔質炭素複合材料は、ニトロ多環芳香族炭化水素を還元する触媒に適用される。
100 多孔質炭素複合材料
110 多孔質炭素ナノチューブ
120 金属粒子
130 多孔質炭素構造体

Claims (19)

  1. フラーレンナノチューブに基づく多孔質炭素ナノチューブと、
    前記多孔質炭素ナノチューブの表面に位置し、金属粒子を含有し、ゼオライト様イミダゾレート構造体(ZIF)に基づく多孔質炭素構造体と
    を含有し、
    前記多孔質炭素ナノチューブおよび前記多孔質炭素構造体を構成する炭素(C)に対する前記金属粒子(M)の原子百分率の比は、0.015以上0.03以下である、多孔質炭素複合材料。
  2. 前記金属粒子は、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、および、白金(Pt)からなる群から選択される金属からなる、請求項1に記載の多孔質炭素複合材料。
  3. シェラーの式によりX線回折の半値幅から算出される前記金属粒子の粒径は、3.5nm以上9.0nm以下の範囲である、請求項1または2に記載の多孔質炭素複合材料。
  4. 前記原子百分率の比は、0.018以上0.03以下の範囲を満たす、請求項1~3のいずれかに記載の多孔質炭素複合材料。
  5. 前記多孔質炭素ナノチューブおよび/または前記多孔質炭素構造体は、窒素(N)をさらに含有する、請求項1~4のいずれかに記載の多孔質炭素複合材料。
  6. 前記多孔質炭素ナノチューブおよび/または前記多孔質炭素構造体は、酸素(O)をさらに含有する、請求項5に記載の多孔質炭素複合材料。
  7. 前記炭素(C)、前記金属粒子(M)、前記酸素(O)、前記窒素(N)の原子百分率(%)(ただし、C、M、OおよびNの合計が100%である)は、それぞれ、
    75≦C≦85
    1.3≦M≦3.0
    12≦O≦20
    2.0≦N≦2.5
    を満たす、請求項6に記載の多孔質炭素複合材料。
  8. 前記ゼオライト様イミダゾレート構造体は、ZIF-7、ZIF-22、ZIF-8、ZIF-67、ZIF-69、ZIF-71、ZIF-78、ZIF-90、および、ZIF-95からなる群から選択される、請求項1~7のいずれかに記載の多孔質炭素複合材料。
  9. BET法比表面積は、370m/g以上800m/g以下の範囲を満たす、請求項1~8のいずれかに記載の多孔質炭素複合材料。
  10. BET法比表面積は、380m/g以上450m/g以下の範囲を満たす、請求項9に記載の多孔質炭素複合材料。
  11. 全細孔容積は、0.65cm/g以上1.0cm/g以下の範囲を満たし、
    細孔径1nm以下のマイクロポア細孔容積は、前記全細孔容積の53.5%以上60%以下の範囲を満たす、請求項1~10のいずれかに記載の多孔質炭素複合材料。
  12. フラーレンナノチューブを酸処理することと、
    前記酸処理されたフラーレンナノチューブと、イミダゾールまたはその誘導体と、金属元素の塩とを溶媒中で混合し、反応させることと、
    前記混合し、反応させることによって得られた生成物を洗浄し、乾燥させることと、
    前記乾燥させることによって得られた生成物を焼成することと
    を包含し、
    前記金属元素の塩に対する前記フラーレンナノチューブのモル比は、0.5より大きく2.0より小さい、請求項1~11のいずれかに記載の多孔質炭素複合材料を製造する方法。
  13. 前記フラーレンナノチューブを構成するフラーレンは、C60フラーレン、C70フラーレン、C76フラーレン、C78フラーレン、C82フラーレン、C84フラーレン、C90フラーレン、C94フラーレン、および、これらの誘導体からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
  14. 酸処理することは、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、および、フッ酸からなる群から選択される酸を使用する、請求項12または13に記載の方法。
  15. 前記金属元素の塩は、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、および、白金(Pt)からなる群から選択される金属元素の無機酸塩、または、無機ハロゲン化物塩である、請求項12~14のいずれかに記載の方法。
  16. 前記混合し、反応させることにおいて、前記酸処理されたフラーレンナノチューブと、前記イミダゾールまたはその誘導体と、前記金属元素の塩とは、1~5:10~50:1~5のモル比を満たす、請求項12~15のいずれかに記載の方法。
  17. 前記焼成することは、前記生成物を、窒素雰囲気中、750℃以上1200℃以下の温度範囲で焼成する、請求項12~16のいずれかに記載の方法。
  18. 請求項1~11のいずれかに記載の多孔質炭素複合材料を含有する触媒。
  19. ニトロ多環芳香族炭化水素を還元する、請求項18に記載の触媒。
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