JP2025111888A - 大梁・小梁接合構造 - Google Patents

大梁・小梁接合構造

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JP2025111888A JP2024005794A JP2024005794A JP2025111888A JP 2025111888 A JP2025111888 A JP 2025111888A JP 2024005794 A JP2024005794 A JP 2024005794A JP 2024005794 A JP2024005794 A JP 2024005794A JP 2025111888 A JP2025111888 A JP 2025111888A
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淳一 田村
Junichi Tamura
雅人 竹内
Masato Takeuchi
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Kentaro Suzuki
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Abstract

【課題】施工が容易な隅肉溶接を用いて大梁と小梁を剛接合し、小梁下フランジ側の溶接長を十分に確保することができる大梁・小梁接合構造を提供する。
【解決手段】本発明に係る大梁・小梁接合構造1は、小梁上フランジ5aを大梁上フランジ3aに剛接合、又は相対する小梁上フランジ5a同士を剛接合した小梁上フランジ接合部7と、小梁ウェブ5bを大梁ウェブ3bに接合された鉛直プレート19に剛接合した小梁ウェブ接合部9と、小梁下フランジ5cを、大梁下フランジ3cの下面に接合された下フランジ溶接プレート25に接合した小梁下フランジ接合部11とを有し、下フランジ溶接プレート25は、大梁下フランジ3cの両側端から延出する小梁下フランジ5cよりも幅広のプレートであり、小梁下フランジ接合部11は小梁下フランジ5cの材軸方向側端部5caが下フランジ溶接プレート25に隅肉溶接接合されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、鉄骨造における架構の大梁・小梁接合構造に関するものである。
従来、鉄骨造のコンクリート床を支える架構は、所定の間隔で平行に配された大梁と、該大梁同士を連結するように配置された小梁によって構成されている。
一般的な架構の大梁・小梁接合部は、大梁ウェブに設けられる取り合い部材に小梁ウェブがボルト接合され、小梁の上下フランジは接合しないピン接合として設計される。このように両端がピン接合となった小梁は単純梁と呼ばれ、床を支える際に小梁に生じる曲げモーメントが大梁に伝達しないため、小梁の長手方向中央部に曲げモーメントが集中する。したがって、小梁を大梁にピン接合する構造では、小梁中央部の曲げモーメントに抵抗するために小梁のサイズを大きくせざるをえず、小梁の重量が増加し、コスト増の要因となっていた。
ここで、小梁接合部を剛接合とし、端部にもモーメントを発生させることで、小梁の長手方向中央部に集中する曲げモーメントを低減することができる。このような例が例えば特許文献1、2に開示されており、これらは小梁を大梁にピン接合する場合と比べて小梁の重量を低減することができる。
なお、剛接合は、接合部において回転変位(角)を生じないと見做し得る、回転拘束力に富んだ接合であり、ピン接合は接合部において回転変位(角)が生じることを許容した、回転拘束力を発揮しないと見做し得る接合である。
特開2015-68005号公報 特開2009-52302号公報
特許文献1では、小梁の上下フランジを大梁に溶接接合することで大梁と小梁が剛接合されている。この溶接部においては、特許文献1の図4を見ても分かるように突合わせ溶接(完全溶け込み溶接)が用いられているが、突合せ溶接は溶接工の技量が求められる工法であるため、現場での作業負荷が大きかった。また近年は、熟練工の高齢化に伴い、高い技術を有する溶接工が減少傾向にあるので、溶接工の技量に依存しない施工方法が望まれている。
これに対し、特許文献2では、小梁の上下フランジを隅肉溶接によって大梁に剛接合している。隅肉溶接は突合せ溶接と比べて溶接工の技量を必要としないので、現場での施工が容易である。
隅肉溶接による接合の場合、その接合強度は溶接長が長いほど向上する。したがって、小梁の上下フランジを隅肉溶接によって大梁に接合する場合には、小梁に曲げモーメントが生じた際に接合部に作用する応力に抵抗できるよう、十分な溶接長で隅肉溶接する必要がある。
この点、特許文献2では、小梁の上フランジに切欠きを形成することで、隅肉溶接長を長くする方法が提案されているが(特許文献2の図12参照)、これは小梁の上フランジを加工する必要があり、製造の手間がかかる。
また、特許文献2の構造は、大梁の両側に小梁を剛接合して、これら小梁を連梁として機能させる構造であるが、一方の小梁に生じた応力は大梁を介して他方の小梁に伝達されるため、大梁の降伏強度が小梁の降伏強度を下回る場合には適用が難しい場合がある。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、施工が容易な隅肉溶接を用いて大梁・小梁接合部を構成すると共に、必要溶接長を容易に確保することができる大梁・小梁接合構造を提供することを目的とする。
また、大梁の降伏強度が小梁の降伏強度を下回る場合にも適用が可能な、大梁・小梁接合構造を提供することを目的とする。
(1)本発明に係る大梁・小梁接合構造は、H形鋼を用いた大梁に、該大梁に直交する方向に該大梁を挟んで両側に前記大梁と同じ梁成のH形鋼を用いた一対の小梁を相対させて接合する大梁・小梁接合構造であって、
相対する小梁の小梁上フランジを大梁上フランジにそれぞれ剛接合、又は相対する小梁上フランジ同士を部材を介して剛接合した小梁上フランジ接合部と、
相対する小梁の小梁ウェブを、大梁ウェブに接合された鉛直プレートにそれぞれ剛接合した小梁ウェブ接合部と、
相対する小梁の小梁下フランジを、大梁下フランジの下面に接合された下フランジ溶接プレートに接合した小梁下フランジ接合部と、を有し、
前記下フランジ溶接プレートは、前記大梁下フランジの長手方向に直交し、前記大梁下フランジの両側端から延出する前記小梁下フランジよりも幅広のプレートであり、
前記小梁下フランジ接合部は、前記小梁下フランジの下面が前記下フランジ溶接プレートに接触した状態で前記小梁下フランジの材軸方向側端部が前記下フランジ溶接プレートに隅肉溶接接合されていることを特徴とするものである。
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記小梁下フランジの材軸方向先端部が前記下フランジ溶接プレートに隅肉溶接接合されていることを特徴とするものである。
(3)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記大梁上フランジの上面に、該大梁上フランジの長手方向に直交し、前記大梁上フランジの両側端から延出する上フランジ溶接プレートが配置され、
該上フランジ溶接プレートは、前記小梁上フランジよりも幅狭のプレートであり、
前記小梁上フランジ接合部は、相対する小梁の小梁上フランジを、前記上フランジ溶接プレートに接合したものであり、前記上フランジ溶接プレートの下面が前記小梁上フランジに接触した状態で該上フランジ溶接プレートの外周部が前記小梁上フランジに隅肉溶接接合されていることを特徴とするものである。
(4)また、本発明に係る大梁・小梁接合構造は、H形鋼を用いた大梁に、該大梁に直交する方向に該大梁を挟んで両側にH形鋼を用いた一対の小梁を相対させて接合する大梁・小梁接合構造であって、
相対する小梁の小梁上フランジを、大梁上フランジの上面に配置された上フランジ溶接プレートに接合した小梁上フランジ接合部と、
相対する小梁の小梁ウェブを、大梁ウェブに接合された鉛直プレートにそれぞれ剛接合した小梁ウェブ接合部と、
相対する小梁の小梁下フランジを大梁下フランジにそれぞれ剛接合、又は相対する小梁下フランジ同士を部材を介して剛接合した小梁下フランジ接合部と、を有し、
前記上フランジ溶接プレートは、前記大梁上フランジの長手方向に直交し、前記大梁上フランジの両側端から延出する前記小梁上フランジよりも幅狭のプレートであり、
前記小梁上フランジ接合部は、前記上フランジ溶接プレートの下面が前記小梁上フランジに接触した状態で該上フランジ溶接プレートの外周部が前記小梁上フランジに隅肉溶接接合されていることを特徴とするものである。
本発明は、施工が容易な隅肉溶接を用いて接合部を構成するため、熟練の溶接工がいない現場でも施工が可能である。また、接合部に作用する応力に抵抗するために必要な溶接長を容易に確保できる。さらに、大梁の両側に接合された小梁間の応力伝達を、大梁を介さずに行うよう構成することも可能であるので、大梁の降伏強度が小梁の降伏強度を下回る場合にも好適である。
実施の形態1に係る大梁・小梁接合構造の説明図であり、図1(a)は小梁のウェブを正面に見た図、図1(b)は図1(a)のA-A断面矢視図である。 実施の形態1に係る大梁・小梁接合構造の他の態様の説明図(その1)であり、図2(a)は小梁のウェブを正面に見た図、図2(b)は図2(a)のB-B断面矢視図である。 実施の形態2に係る大梁・小梁接合構造の説明図であり、図3(a)は小梁のウェブを正面に見た図、図3(b)は図3(a)の上面図である。 図3(b)に示す小梁上フランジ接合部の他の態様の説明図である。 実施の形態3に係る大梁・小梁接合構造の説明図である。 実施の形態3に係る大梁・小梁接合構造の他の態様の説明図である。
[実施の形態1]
本発明の一実施の形態に係る大梁・小梁接合構造1は、建築鉄骨造の床組架構を構成する大梁に、該大梁を挟んで相対する一対の小梁を接合するものである。小梁と大梁の梁成が同じ場合を例に挙げ、以下、図1に基づいて説明する。
大梁・小梁接合構造1は、図1(a)に示すように、H形鋼を用いた大梁3に、大梁3に直交する方向に大梁3を挟んで両側にH形鋼を用いた一対の小梁5を相対させて接合するものである。大梁・小梁接合構造1は、小梁上フランジ接合部7と、小梁ウェブ接合部9と、小梁下フランジ接合部11とを備えている。
以下、各接合部について詳細に説明する。
<小梁上フランジ接合部>
小梁上フランジ接合部7は、大梁3を挟んで相対する小梁5(以下、単に「相対する小梁5」という)の小梁上フランジ5aを大梁3の大梁上フランジ3aにそれぞれ接合したものである。
相対する小梁5は、それぞれの小梁上フランジ5aが大梁3の大梁上フランジ3aと同一平面を形成する高さ位置に配置されており、小梁上フランジ5aの端部は開先加工されている。小梁上フランジ5aの端部下側には裏当て金17が取り付けられており、小梁ウェブ5bの材軸方向端部における小梁上フランジ5aとの境界部には、スカラップ13(切欠き)が形成されている。
そして、突合せ溶接部15により小梁上フランジ5aが大梁上フランジ3aに溶接接合されている。
上記のように相対する小梁5の小梁上フランジ5aは、大梁3の大梁上フランジ3aに溶接接合されることで、それぞれ大梁3に剛接合されている。
<小梁ウェブ接合部>
小梁ウェブ接合部9は、相対する小梁5の小梁ウェブ5bを大梁3の大梁ウェブ3bにそれぞれ剛接合したものである。
大梁3の大梁ウェブ3bの両面には、小梁5の小梁ウェブ5bと同一平面を形成するように配置された一対の鉛直プレート19が設けられている。鉛直プレート19は、大梁上フランジ3a、大梁ウェブ3b及び大梁下フランジ3cで囲われる領域と同形状の板状の部材であり、該領域を塞ぐように配置されて大梁上フランジ3a、大梁ウェブ3b及び大梁下フランジ3cに溶接接合されている。
小梁ウェブ5bと鉛直プレート19の両面には、両者に跨るようにして添板21が配置されており、添板21と小梁ウェブ5b、添板21と鉛直プレート19とがそれぞれ高力ボルト23によって締結されている。上記のように相対する小梁5の小梁ウェブ5bは、鉛直プレート19、添板21及び高力ボルト23を介して大梁3にそれぞれ剛接合されている。
<小梁下フランジ接合部>
小梁下フランジ接合部11は、相対する小梁5の小梁下フランジ5c同士を接合用部材を介して接合したものである。
大梁3の大梁下フランジ3cの下面には、上記接合用部材として下フランジ溶接プレート25が隅肉溶接(図示なし)により接合されている。
下フランジ溶接プレート25は、図1(b)に示すように、大梁下フランジ3cの長手方向に直交し、大梁下フランジ3cの両側端から延出する小梁下フランジ5cよりも幅広のプレートであり、予め工場または、鉄骨建方前に現場で大梁下フランジ3cの下面に取り付けられる。下フランジ溶接プレート25を大梁下フランジ3cに溶接する隅肉溶接部は、下フランジ溶接プレート25の取付けと座屈防止を目的としたものであり、小梁5に作用した応力に抵抗させるものではない。したがって、下フランジ溶接プレート25を大梁下フランジ3cに溶接する隅肉溶接部は断続溶接でもよい。
下フランジ溶接プレート25は、小梁下フランジ5cと耐力同等以上であることが好ましいため、小梁下フランジ5cと同厚、同強度材とするのが望ましい。下フランジ溶接プレート25の幅は小梁下フランジ5cの幅+100mm程度とし、小梁下フランジ5cを下フランジ溶接プレート25に溶接する際の隅肉溶接代を確保すると共に、製作・施工誤差の吸収代を確保する。もしくは、下フランジ溶接プレート25には降伏強度が小梁下フランジ5cよりも高い材料を用いることも有効である。この場合は、当該接合部の強度を向上させ、安全性を高めることができるほか、板厚を小梁下フランジ5cよりも薄くして作業性を向上させつつ接合部強度を確保することもできる。
小梁下フランジ5cは、下面が下フランジ溶接プレート25の上面に接触した状態で、当該接触部における小梁下フランジ5cの材軸方向側端部5caの全長に亘って、下フランジ溶接プレート25に隅肉溶接接合(隅肉溶接部27)されている。なおここでは「全長に亘って」との表現を用いているが、実際の溶接施工においては溶接端部の溶け落ち防止のため、側端部5caの溶接線は下フランジ溶接プレート25の縁端から10mm程度手前で止める。
図中の29は、小梁下フランジ5cを下フランジ溶接プレート25に接合する際の位置決めに用いる綴りボルトである。鉄骨建方時には、小梁下フランジ5cを下フランジ溶接プレート25の上面に配置し、綴りボルト29を用いて接合位置を決定する。その後、綴りボルト29を締付けて小梁下フランジ5cを下フランジ溶接プレート25に密着させ、小梁下フランジ5cの側端部5caを下フランジ溶接プレート25に隅肉溶接する。
小梁下フランジ5c及び下フランジ溶接プレート25には綴りボルト29を挿通するための綴りボルト孔が設けられるが、綴りボルト孔はボルト径よりも大きい拡大孔としてもよいし、スリット孔としてもよい。また、小梁5を大梁3に接合した後は綴りボルト29を取り外しても構わない。
小梁下フランジ5cの側端部5caを下フランジ溶接プレート25に隅肉溶接接合したことにより、相対する小梁下フランジ5c同士が下フランジ溶接プレート25を介して接合される。相対する小梁下フランジ5c同士を接合することで、一方の小梁5の小梁下フランジ5cに作用した応力(圧縮力)が他方の小梁5の小梁下フランジ5cに伝達される。
そこで、上記応力伝達を十分に行えるだけの接合強度となるように隅肉溶接部27の溶接長を設計する必要があるが、本実施の形態では下フランジ溶接プレート25の長さを長くすれば必要溶接長を確保できる。
また、本実施の形態は、小梁下フランジ5cを下フランジ溶接プレート25に隅肉溶接して相対する小梁下フランジ5c同士を接合しているため、小梁下フランジ5cを大梁下フランジ3cに突合せ溶接する場合と比べて現場労務を削減できる。具体的には、小梁下フランジ5cの開先加工や裏当て金の取付け、スカラップ加工などを不要にできる。
なお、図1は小梁下フランジ5cの側端部5caのみを下フランジ溶接プレート25に隅肉溶接したものであったが、他の態様として、図2に示す大梁・小梁接合構造31のように、小梁下フランジ5cの材軸方向先端部5cbにも隅肉溶接部27を設けてもよい。先端部5cbを隅肉溶接する場合、溶接スペース確保のため小梁ウェブ5bの小梁下フランジ5cとの境界部にスカラップ13を形成する必要があるが、溶接長を確保できるため、下フランジ溶接プレート25の長さを例えば50%~60%程度に縮小できる。下フランジ溶接プレート25の長さを縮小することで、物量の減、工場溶接時の“反り”の低減、及び輸送時の取り扱い易さの向上等が期待できる。なお、スカラップ13の加工が煩雑である場合は、先端部5cbの溶接を小梁ウェブ5bの手前で止めて分断することにより、スカラップ13を省略した(設けない)納まりとすることも可能である。
さらに、日本建築学会鋼構造接合部設計指針が定める下記式(1)によれば、先端部5cbに設けた隅肉溶接部27は、側端部5caに設けた隅肉溶接部27よりも溶接耐力を大きく評価できる。
wqy=(1+0.4cosθ)×a×(Fy/√3) ・・・(1)
ここで、wqy:隅肉溶接継目の単位長さ当たりの降伏耐力
θ:作用応力方向に対する隅肉溶接継目の角度
a:溶接継目の有効のど厚
Fy:接合される母材の降伏強さ
先端部5cbの隅肉溶接部27は、伝達する応力に対して溶接線が直交するためcosθ=1となり、側端部5caの隅肉溶接部27は、伝達する応力と溶接線が平行であるためcosθ=0となる。したがって、上記式(1)より、先端部5cbの隅肉溶接部27は側端部5caの隅肉溶接部27よりもwqyが大きくなり、図2の構造は図1の構造よりもより合理的であると言える。
なお本実施の形態は、小梁下フランジ接合部11の接合方法に特徴を有するものであり、小梁上フランジ接合部7及び小梁ウェブ接合部9の接合方法を限定するものではない。小梁上フランジ接合部7及び小梁ウェブ接合部9は、接合部としての回転剛性を発揮可能に剛接合されていれば良く、例えば下記のような方法で接合されていてもよい。
例えば小梁上フランジ接合部7の場合、図1、図2では小梁上フランジ5aを大梁上フランジ3aに突合せ溶接接合する例を示したが、これを、添板を介したボルト接合としてもよい。
また、小梁上フランジ5aと大梁上フランジ3aとを直接接合せず、相対する小梁上フランジ5aに跨るように配置された接合用部材を介して小梁上フランジ5a同士を接合するようにしてもよい。小梁上フランジ5a同士を接合する例としては、相対する小梁上フランジ5aに跨るようにプレートを配置し、該プレートと小梁上フランジ5aとを高力ボルト摩擦接合する方法がある。他には、小梁上フランジ5aの上面に小梁軸方向に立てた状態で接合された立プレートを設け、相対する立プレートに跨るように立プレートの両面に接合プレートを配置し、立プレートと2枚の接合プレートとを高力ボルト摩擦接合する方法もある。
次に、小梁ウェブ接合部9の場合、図1、図2では小梁ウェブ5bと鉛直プレート19とを、添板21を介してボルト接合する例を示したが、添板21を用いず、鉛直プレート19を小梁ウェブ5b側に張り出させ、小梁ウェブ5bに直接ボルト接合してもよい。
[実施の形態2]
本実施の形態の大梁・小梁接合構造33は、実施の形態1で説明した小梁下フランジ接合部11の構成を小梁上フランジ接合部7に適用した例である。以下、本実施の形態の大梁・小梁接合構造33の小梁上フランジ接合部7について図3を用いて説明する。なお、大梁・小梁接合構造33の小梁ウェブ接合部9及び小梁下フランジ接合部11は、実施の形態1の小梁ウェブ接合部9及び小梁上フランジ接合部7と同様に、具体的な接合方法を限定するものではないので、図1と同一符号を付して説明を省略する。
<小梁上フランジ接合部>
本実施の形態の小梁上フランジ接合部7では、大梁3の大梁上フランジ3aの上面に、大梁上フランジ3aの長手方向に直交し、大梁上フランジ3aの両側端から延出する上フランジ溶接プレート35が配置されている。そして、この上フランジ溶接プレート35を介して、相対する小梁5の小梁上フランジ5a同士が接合されている。
上フランジ溶接プレート35は、図3(b)に示すように、小梁上フランジ5aよりも幅狭のプレートであり、建設現場にて相対する小梁5の小梁ウェブ5bを大梁3に接合したのち、大梁上フランジ3aの上面に配置される。上フランジ溶接プレート35は、相対する小梁5の小梁上フランジ5a同士の応力伝達部材であるため、大梁上フランジ3aとの接触部分の溶接は特段不要であるが、位置決めのための組立溶接を行っても構わない。
上フランジ溶接プレート35は、小梁上フランジ5aと耐力が同等以上となるように断面設計を行う。プレート幅は小梁上フランジ5aの幅-100mm程度とし、上フランジ溶接プレート35を小梁上フランジ5aに溶接する際の隅肉溶接代を確保すると共に、製作・施工誤差の吸収代を確保する。プレート板厚については、小梁5と同強度材とする場合は小梁上フランジ5aよりも厚く設定して小梁上フランジ5aと同等の耐力を確保する。小梁5よりも高強度の材料を採用する場合は、その降伏強度に応じて板厚を低減可能である。
上フランジ溶接プレート35は、下面が小梁上フランジ5aの上面に接触した状態で、当該接触部における上フランジ溶接プレート35の外周部の全周に亘って小梁上フランジ5aに隅肉溶接接合(隅肉溶接部27)されている。
なお、鉄骨建方時には、実施の形態1の小梁下フランジ接合部11と同様に綴りボルト29を用いて上フランジ溶接プレート35の接合位置を決める。そして、綴りボルト29を締付けて上フランジ溶接プレート35を小梁上フランジ5aに密着させ、上フランジ溶接プレート35の外周部を小梁上フランジ5aに隅肉溶接する。
上フランジ溶接プレート35を小梁上フランジ5aに接合したことにより、相対する小梁上フランジ5a同士が上フランジ溶接プレート35を介して接合される。相対する小梁上フランジ5a同士を接合することで、一方の小梁5の小梁上フランジ5aに作用した応力(引張力)が他方の小梁5の小梁上フランジ5aに伝達される。
本実施の形態の小梁上フランジ接合部7は、実施の形態の1の小梁下フランジ接合部11と同様に、上フランジ溶接プレート35の長さを長くすることで必要溶接長を確保できる。これは、小梁上フランジ5aを大梁上フランジ3aに直接隅肉溶接する従来例と比べて、小梁上フランジ5aを加工する必要がないので、効率的である。
また、小梁上フランジ5aを大梁上フランジ3aに突合せ溶接する場合と比べて現場労務を削減できる。
また、小梁5の梁幅が例えば300mm以上ある場合など、上フランジ溶接プレート35の幅を広くとれるような場合には、図4に示すように、上フランジ溶接プレート35にスリット35aを設け、スリット35aの内周部を隅肉溶接接合するとよい。このようにすることで溶接長をさらに確保できるので、上フランジ溶接プレート35の長さを縮小できる。そして、上フランジ溶接プレート35の長さ縮小により、物量の減、工場溶接時の“反り”の低減、及び輸送時の取り扱い易さの向上等が期待できる。
[実施の形態3]
上述したように、本発明の特徴は、相対する小梁5に跨るように配置されたプレートに、両小梁5のフランジを隅肉溶接接合する点にある。
実施の形態1では、小梁下フランジ接合部11に本発明の特徴を備えた例、実施の形態2では、小梁上フランジ接合部7に本発明の特徴を備えた例を示したが、本実施の形態では、小梁上フランジ接合部7、小梁下フランジ接合部11の両方に本発明の特徴を備えた例を説明する。本実施の形態の大梁・小梁接合構造37を図5に示す。
大梁・小梁接合構造37の小梁上フランジ接合部7は実施の形態2の小梁上フランジ接合部7(図3参照)と同様のものであり、小梁下フランジ接合部11は実施の形態1の小梁下フランジ接合部11(図1参照)と同様のものである。また、小梁ウェブ接合部9は実施の形態1、2の小梁ウェブ接合部9と同様のものである。
大梁・小梁接合構造37は、小梁上フランジ接合部7と小梁下フランジ接合部11の両方において、相対する小梁5同士を接合している。これにより、一方の小梁5の小梁上フランジ5aに生じる引張力、及び小梁下フランジ5cに生じる圧縮力は、大梁3を介することなく、他方の小梁5に伝達される。
図5の構造は、相対する小梁5間の応力伝達において大梁3の耐力を考慮する必要がないため、大梁3のフランジ(3a、3c)の降伏強度が小梁5のフランジ(5a、5c)の降伏強度を下回る場合にも好適である。
なお、上記では、大梁3と小梁5の梁成が同じ場合を例に挙げて説明したが、大梁3の両側に大梁3よりも梁成が小さい小梁5を接合する場合の態様を図6に示す。
図6の大梁・小梁接合構造37は、図5と同様の小梁上フランジ接合部7、小梁ウェブ接合部9を備えたものであるが、小梁下フランジ接合部11の態様が図5とは異なる。
大梁3よりも小梁5の梁成が小さい場合、相対する小梁下フランジ5cに跨るように下フランジ溶接プレート25を配置することができないので、図6に示すように、下フランジ溶接プレート25が2枚の分割片39に分割される。
2枚の分割片39にはそれぞれスリットが形成されており、該スリットに大梁3の垂直プレート19を挿入した状態で、小梁下フランジ5cの下面に沿う高さ位置に配置され、大梁ウェブ3bの両側に溶接接合されている。
そして、小梁下フランジ5cは、図2の例と同様に、下面が分割片39(下フランジ溶接プレート25)に接触した状態で、側端部5ca及び先端部5cbが分割片39(下フランジ溶接プレート25)に隅肉溶接接合(隅肉溶接部27)されている。
図6の例は、垂直プレート19と分割片39の交差部において垂直プレート19を勝たせた納まりであるが、図6の網掛け部分をなくして分割片39を勝たせた納まりとしてもよい。分割片39を勝たせた納まりは、材料を低減できると共に分割片39にスリットを形成する必要もないので、より合理的である。
図6の例においても、小梁上フランジ接合部7、小梁下フランジ接合部11の両方で隅肉溶接を用いているので、図5の例と同様に熟練工がいない現場においても施工が容易である。もっとも、図6の例は小梁下フランジ5cに作用する応力(圧縮力)が大梁3にも伝達されるので、大梁3の降伏強度が小梁5の降伏強度よりも同等以上であるときに好適な構造である。
1 大梁・小梁接合構造(実施の形態1)
3 大梁
3a 大梁上フランジ
3b 大梁ウェブ
3c 大梁下フランジ
5 小梁
5a 小梁上フランジ
5b 小梁ウェブ
5c 小梁下フランジ
5ca 側端部
5cb 先端部
7 小梁上フランジ接合部
9 小梁ウェブ接合部
11 小梁下フランジ接合部
13 スカラップ
15 突合せ溶接部
17 裏当て金
19 鉛直プレート
21 添板
23 高力ボルト
25 下フランジ溶接プレート
27 隅肉溶接部
29 綴りボルト
31 大梁・小梁接合構造(実施の形態1の他の態様)
33 大梁・小梁接合構造(実施の形態2)
35 上フランジ溶接プレート
35a スリット
37 大梁・小梁接合構造(実施の形態3)
39 分割片

Claims (4)

  1. H形鋼を用いた大梁に、該大梁に直交する方向に該大梁を挟んで両側に前記大梁と同じ梁成のH形鋼を用いた一対の小梁を相対させて接合する大梁・小梁接合構造であって、
    相対する小梁の小梁上フランジを大梁上フランジにそれぞれ剛接合、又は相対する小梁上フランジ同士を部材を介して剛接合した小梁上フランジ接合部と、
    相対する小梁の小梁ウェブを、大梁ウェブに接合された鉛直プレートにそれぞれ剛接合した小梁ウェブ接合部と、
    相対する小梁の小梁下フランジを、大梁下フランジの下面に接合された下フランジ溶接プレートに接合した小梁下フランジ接合部と、を有し、
    前記下フランジ溶接プレートは、前記大梁下フランジの長手方向に直交し、前記大梁下フランジの両側端から延出する前記小梁下フランジよりも幅広のプレートであり、
    前記小梁下フランジ接合部は、前記小梁下フランジの下面が前記下フランジ溶接プレートに接触した状態で前記小梁下フランジの材軸方向側端部が前記下フランジ溶接プレートに隅肉溶接接合されていることを特徴とする大梁・小梁接合構造。
  2. 前記小梁下フランジの材軸方向先端部が前記下フランジ溶接プレートに隅肉溶接接合されていることを特徴とする請求項1に記載の大梁・小梁接合構造。
  3. 前記大梁上フランジの上面に、該大梁上フランジの長手方向に直交し、前記大梁上フランジの両側端から延出する上フランジ溶接プレートが配置され、
    該上フランジ溶接プレートは、前記小梁上フランジよりも幅狭のプレートであり、
    前記小梁上フランジ接合部は、相対する小梁の小梁上フランジを、前記上フランジ溶接プレートに接合したものであり、前記上フランジ溶接プレートの下面が前記小梁上フランジに接触した状態で該上フランジ溶接プレートの外周部が前記小梁上フランジに隅肉溶接接合されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の大梁・小梁接合構造。
  4. H形鋼を用いた大梁に、該大梁に直交する方向に該大梁を挟んで両側にH形鋼を用いた一対の小梁を相対させて接合する大梁・小梁接合構造であって、
    相対する小梁の小梁上フランジを、大梁上フランジの上面に配置された上フランジ溶接プレートに接合した小梁上フランジ接合部と、
    相対する小梁の小梁ウェブを、大梁ウェブに接合された鉛直プレートにそれぞれ剛接合した小梁ウェブ接合部と、
    相対する小梁の小梁下フランジを大梁下フランジにそれぞれ剛接合、又は相対する小梁下フランジ同士を部材を介して剛接合した小梁下フランジ接合部と、を有し、
    前記上フランジ溶接プレートは、前記大梁上フランジの長手方向に直交し、前記大梁上フランジの両側端から延出する前記小梁上フランジよりも幅狭のプレートであり、
    前記小梁上フランジ接合部は、前記上フランジ溶接プレートの下面が前記小梁上フランジに接触した状態で該上フランジ溶接プレートの外周部が前記小梁上フランジに隅肉溶接接合されていることを特徴とする大梁・小梁接合構造。
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