JP2025083651A - 建物躯体構造 - Google Patents

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Abstract

Figure 2025083651000001
【課題】耐力壁が組み込まれた上下の鋼製梁と共に架構を形成している管柱の、上下の鋼製梁に対する接合部の引き抜き抵抗力を向上させ、十分な耐震性を確保する。
【解決手段】建物躯体構造が、上下の鋼製梁2,3と、上下の鋼製梁2,3間に設けられた一対の管柱4,5と、上下の鋼製梁2,3と一対の管柱4,5とからなる架構1の内側に配置され、かつ、上端部が上側の鋼製梁2に固定されるとともに、下端部が下側の鋼製梁3に固定された耐力壁部10と、を備えており、上下の鋼製梁2,3と一対の管柱4,5のそれぞれは、鋼製梁2,3と管柱4,5との間に亘って設けられた架構連結部材6によって連結されている。
【選択図】図1

Description

新規性喪失の例外適用申請有り
本発明は、建物躯体構造に関する。
従来、建物には、地震時や台風時の水平荷重に抵抗するため、必要壁量を満たすように耐力壁が設けられる。このような耐力壁としては、例えば隣り合う柱材間の開口部に筋交いを架け渡したり、隣り合う柱材間の開口部全面を覆うように構造用合板を張り付けたりすることで構成されている。また、制振装置が組み込まれた壁部を、制振耐力壁とする場合もある。
特開2016-156249号公報 特開2021-028453号公報
近年、二酸化炭素の排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの推進による脱炭素社会の実現や、SDGs(Sustainable Development Goals)の目標達成が求められており、建築業界においても、建物を二酸化炭素排出量の少ない木造とする取り組みが進められている。そのため、建物を建築するにあたっては、極力、木材の使用量を増やすことができる技術、あるいは鋼材の使用量を減らすことができる技術が求められている。
その一方で、例えば木造中高層建築物のように構造的な強度が必要となる建物の場合は鋼材も用いられる。特に従来のような耐力壁が組み込まれる場合には、その機能を有効に発揮するため、耐力壁の上下に位置する梁は鋼材で構成されていて、耐力壁の上端部及び下端部は、これら上下の鋼製梁に対して強固に固定される。
ところが、耐力壁を上下の鋼製梁に対して強固に固定すると、地震時や台風時の水平荷重が加わったときに、上下の鋼製梁と共に架構を形成している管柱の、鋼製梁に対する接合部に大きな引き抜き力が作用することになり、十分な耐震性を確保しにくくなる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、耐力壁が組み込まれた上下の鋼製梁と共に架構を形成している管柱の、上下の鋼製梁に対する接合部の引き抜き抵抗力を向上させ、十分な耐震性を確保することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、例えば図1~図6に示すように、建物躯体構造であって、
上下の鋼製梁2,3と、
前記上下の鋼製梁2,3間に設けられた一対の管柱4,5・40,50と、
前記上下の鋼製梁2,3と前記一対の管柱4,5・40,50とからなる架構1の内側に配置され、かつ、上端部が上側の前記鋼製梁2に固定されるとともに、下端部が下側の前記鋼製梁3に固定された耐力壁部10と、を備えており、
前記上下の鋼製梁2,3と前記一対の管柱4,5・40,50のそれぞれは、前記鋼製梁2,3と前記管柱4,5・40,50との間に亘って設けられた架構連結部材6・60によって連結されていることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、上下の鋼製梁2,3と一対の管柱4,5・40,50のそれぞれは、鋼製梁2,3と管柱4,5・40,50との間に亘って設けられた架構連結部材6・60によって連結されているので、架構連結部材6・60によって鋼製梁2,3と管柱4,5・40,50とを強固に連結することができる。
そして、上下の鋼製梁2,3と一対の管柱4,5・40,50とからなる架構1の内側に、耐力壁部10が配置され、この耐力壁部10の上端部が上側の鋼製梁2に固定されるとともに、下端部が下側の鋼製梁3に固定されているので、建物躯体に水平荷重が加わった際に、耐力壁部10によって架構1の変形を抑制しようとし、そのときに耐力壁部10に作用する力を、上下の鋼製梁2,3を介して、架構連結部材6・60によって当該上下の鋼製梁2,3に強固に連結された一対の管柱4,5・40,50に伝達できる。
これにより、建物躯体に加わった水平荷重を効果的に分散させることができるので、建物躯体は、十分な耐震性を確保することが可能となる。
請求項2に記載の発明は、例えば図1~図3,図6に示すように、請求項1に記載の建物躯体構造において、
前記上下の鋼製梁2,3は、ウェブ2a,3aと、前記一対の管柱4,5が接するフランジ2b,3bと、を有する形鋼材であり、
前記一対の管柱4,5は木製であり、
前記架構連結部材6は、
前記管柱4,5の上下の端面に形成された複数の差込穴4b,5bの各々に差し込まれる鋼棒6aと、
前記差込穴4b,5bと前記鋼棒6aとの間に充填された接着剤からなる接着剤層と、
前記鋼棒6aのうち前記管柱4,5の上下の端面から突出する先端部に設けられるナット6bと、を有しており、
前記上下の鋼製梁2,3における前記フランジ2b,3bには、前記複数の差込穴4b,5bに差し込まれた複数の前記鋼棒6aの前記先端部が挿通される複数の通孔が形成されていて、
前記ナット6bは、前記複数の通孔の各々に挿通された状態の前記鋼棒6aの前記先端部に設けられていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、架構連結部材6は、管柱4,5の上下の端面に形成された複数の差込穴4b,5bの各々に差し込まれる鋼棒6aと、差込穴4b,5bと鋼棒6aとの間に充填された接着剤からなる接着剤層と、鋼棒6aのうち管柱4,5の上下の端面から突出する先端部に設けられるナット6bと、を有しているので、複数の鋼棒6aが、その先端部を管柱4,5の上下の端面から突出させた状態となるように、管柱4,5の上下の端面に埋め込まれて接着剤によって接合固定された状態となる。すなわち、差込穴4b,5bと鋼棒6aとの間に充填された接着剤の硬化により、応力を接着剤の付着力と鋼棒6aを介して伝達し、接合耐力を発生させることができる。これにより、管柱4,5と鋼棒6aとを強固に接合固定できるので、管柱4,5の引き抜き抵抗力を向上させることができる。
そして、管柱4,5に強固に接合固定された複数の鋼棒6aの先端部が、上下の鋼製梁2,3におけるフランジ2b,3bに形成された複数の通孔に挿通され、その先端部にナット6bが設けられているので、管柱4,5を上下の鋼製梁2,3に対して確実かつ強固に留め付けることができる。これにより、上下の鋼製梁2,3と一対の管柱4,5のそれぞれが、鋼製梁2,3と管柱4,5との間に亘って設けられた架構連結部材6によって強固に連結されるので、十分な耐震性の確保に貢献できる。
請求項3に記載の発明は、例えば図1,図2,図6に示すように、請求項2に記載の建物躯体構造において、
前記管柱4,5の上下の端部には鋼製の第一補強キャップ7が被されて固定され、
上下各々の前記第一補強キャップ7は、
前記管柱4,5の前記端面に接する平板部7aと、
前記平板部7aの外周縁部に沿って設けられるとともに前記平板部7aに一体形成されて前記管柱4,5の側面に接する側壁部7bと、を有し、
前記平板部7aには、複数の前記鋼棒6aの前記先端部が挿通される複数の通孔7cが形成されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、第一補強キャップ7は、管柱4,5の端面に接する平板部7aと、平板部7aの外周縁部に沿って設けられるとともに平板部7aに一体形成されて管柱4,5の側面に接する側壁部7bと、を有し、平板部7aには、複数の鋼棒6aの先端部が挿通される複数の通孔7cが形成されているので、管柱4,5の上下の端面から複数の鋼棒6aを突出させた状態で、第一補強キャップ7を管柱4,5の上下の端部に被せて固定することができる。そして、平板部7aに一体形成されて管柱4,5の側面に接する側壁部7bによって、管柱4,5の上下の端部を外側からカバーすることができるので、管柱4,5の上下の端部に大きな引き抜き力が作用した場合に、管柱4,5の上下の端部に割裂が生じることを抑制でき、十分な耐震性の確保に貢献できる。
請求項4に記載の発明は、例えば図4,図5に示すように、請求項1に記載の建物躯体構造において、
前記上下の鋼製梁2,3は、ウェブ2a,3aと、前記一対の管柱40,50が接するフランジ2b,3bと、を有する形鋼材であり、
前記一対の管柱40,50は鋼製であって、柱本体と、当該柱本体の上下の端面に接合されて前記フランジ2b,3bに接するベースプレート41,51と、を有しており、
前記架構連結部材60は、ボルト及びナットであり、
前記上下の鋼製梁2,3における前記フランジ2b,3bと、前記一対の管柱40,50における前記ベースプレート41,51の双方には、複数の前記ボルトが挿通される複数の通孔がそれぞれ形成されていて、前記ナットは、前記フランジ2b,3bと前記ベースプレート41,51の双方における前記複数の通孔の各々に挿通された状態の前記ボルトの先端部に設けられていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、上下の鋼製梁2,3におけるフランジ2b,3bと、一対の管柱40,50におけるベースプレート41,51の双方には、複数のボルトが挿通される複数の通孔がそれぞれ形成されていて、ナットは、フランジ2b,3bとベースプレート41,51の双方における複数の通孔の各々に挿通された状態のボルトの先端部に設けられているので、管柱40,50を上下の鋼製梁2,3に対して確実かつ強固にボルト留めすることができる。これにより、上下の鋼製梁2,3と一対の管柱40,50のそれぞれが、鋼製梁2,3と管柱40,50との間に亘って設けられた架構連結部材60によって強固に連結されるので、十分な耐震性の確保に貢献できる。
請求項5に記載の発明は、例えば図1~図6に示すように、請求項2から4のいずれか一項に記載の建物躯体構造において、
前記耐力壁部10は、
柱状に形成された木製の一対の側材11と、
前記一対の側材11間に設けられて、当該一対の側材11に接合された耐力壁本体(12,20)と、
前記一対の側材11及び前記耐力壁本体における上下の端部に被せられて固定される鋼製の第二補強キャップ15と、を有しており、
上下各々の前記第二補強キャップ15は、
前記一対の側材11の端面と前記耐力壁本体の端面に接する平板部15aと、
前記平板部15aの外周縁部に沿って設けられるとともに前記平板部15aに一体形成されて前記一対の側材11及び前記耐力壁本体の側面に接する側壁部15bと、を有していることを特徴とする。
請求項5に記載の発明によれば、耐力壁部10は、柱状に形成された木製の一対の側材11と、一対の側材11間に設けられて、当該一対の側材11に接合された耐力壁本体と、一対の側材11及び耐力壁本体における上下の端部に被せられて固定される鋼製の第二補強キャップ15を有しているので、第二補強キャップ15によって、一対の側材11及び耐力壁本体の一体性を高めることができる。特に、第二補強キャップ15は、一対の側材11の端面と耐力壁本体の端面に接する平板部15aと、平板部15aの外周縁部に沿って設けられるとともに平板部15aに一体形成されて一対の側材11及び耐力壁本体の側面に接する側壁部15bと、を有しているので、側壁部15bによって、一対の側材11及び耐力壁本体における上端部及び下端部を外側からカバーすることができる。これにより、耐力壁部10に大きな力が作用した場合に、一対の側材11の上端部及び下端部の割裂を抑制できるとともに、一対の側材11と耐力壁本体とが分離することを抑制でき、十分な耐震性の確保に貢献できる。
請求項6に記載の発明は、例えば図1~図4に示すように、請求項5に記載の建物躯体構造において、
前記上下の鋼製梁2,3と前記耐力壁部10における前記一対の側材11のそれぞれが、前記鋼製梁2,3と前記側材11との間に亘って設けられた壁用連結部材13によって連結されており、
前記壁用連結部材13は、
前記側材11の上下の端面に形成された複数の差込穴11aの各々に差し込まれる鋼棒13aと、
前記差込穴11aと前記鋼棒13aとの間に充填された接着剤からなる接着剤層と、
前記鋼棒13aのうち前記側材11の上下の端面から突出する先端部に設けられるナット13bと、を有しており、
前記上下の鋼製梁2,3における前記フランジ2b,3bには、前記複数の差込穴11aに差し込まれた複数の前記鋼棒13aの前記先端部が挿通される複数の通孔が形成され、
前記第二補強キャップ15の前記平板部15aには、複数の前記鋼棒13aの前記先端部が挿通される複数の通孔15cが形成され、
前記ナット13bは、前記フランジ2b,3bと前記平板部15aの双方における前記複数の通孔15cの各々に挿通された状態の前記鋼棒13aの前記先端部に設けられていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明によれば、壁用連結部材13は、側材11の上下の端面に形成された複数の差込穴11aの各々に差し込まれる鋼棒13aと、差込穴11aと鋼棒13aとの間に充填された接着剤からなる接着剤層と、鋼棒13aのうち側材11の上下の端面から突出する先端部に設けられるナット13bと、を有しているので、複数の鋼棒13aが、その先端部を一対の側材11における上下の端面から突出させた状態となるように、一対の側材11における上下の端面に埋め込まれて接着剤によって接合固定された状態となる。すなわち、差込穴11aと鋼棒13aとの間に充填された接着剤の硬化により、応力を接着剤の付着力と鋼棒13aを介して伝達し、接合耐力を発生させることができる。これにより、側材11と鋼棒13aとを強固に接合固定できるので、一対の側材11の引き抜き抵抗力が向上する。
また、第二補強キャップ15の平板部15aには、複数の鋼棒13aの先端部が挿通される複数の通孔15cが形成されているので、一対の側材11における上下の端面から複数の鋼棒13aを突出させた状態で、第二補強キャップ15を一対の側材11及び耐力壁本体における上下の端部に被せて固定することができる。
そして、一対の側材11に強固に接合固定された複数の鋼棒13aの先端部が、上下の鋼製梁2,3におけるフランジ2b,3bに形成された複数の通孔に挿通され、その先端部にナット13bに設けられているので、一対の側材11を上下の鋼製梁2,3に対して確実かつ強固に留め付けることができる。これにより、上下の鋼製梁2,3と耐力壁部10が、鋼製梁2,3と一対の側材11との間に亘って設けられた壁用連結部材13によって強固に連結されるので、十分な耐震性の確保に貢献できる。
請求項7に記載の発明は、例えば図1~図3に示すように、請求項6に記載の建物躯体構造において、
前記耐力壁本体は、前記一対の側材11間に上下に亘って設けられた建築用木質パネル12によって構成されていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明によれば、耐力壁本体は、一対の側材11間に上下に亘って設けられた建築用木質パネル12によって構成されているので、木製である一対の側材11に対して容易に接合できる。また、建築用木質パネル12は建築に使用されるものであることから、それ単体でもある程度の強度を有しており、このような建築用木質パネル12によって耐力壁本体が構成されているので、このような耐力壁本体が組み込まれた耐力壁部10の強度も向上することになる。これにより、建物躯体に水平荷重が加わった際に、耐力壁部10によって架構1の変形を抑制しやすくなる。
請求項8に記載の発明は、例えば図4,図5に示すように、請求項6に記載の建物躯体構造において、
前記耐力壁本体は、
前記一対の側材11における上端部間と下端部間のそれぞれに架け渡されて設けられた上下の枠材16,17と、
前記一対の側材11と前記上下の枠材16,17とからなる矩形枠の内側に配置され、振動減衰手段を有する制振装置20と、を有しており、
前記制振装置20は、前記一対の側材11及び前記上下の枠材16,17に接合されていることを特徴とする。
請求項8に記載の発明によれば、耐力壁本体は、一対の側材11における上端部間と下端部間のそれぞれに架け渡されて設けられた上下の枠材16,17と、一対の側材11と上下の枠材16,17とからなる矩形枠の内側に配置され、振動減衰手段を有する制振装置20と、を有しており、制振装置20は、一対の側材11及び上下の枠材16,17に接合されているので、例えば建物躯体に水平荷重が加わって、一対の側材11と上下の枠材16,17とからなる矩形枠が振動によって変形しようとする際に、制振装置20によって、その振動を減衰させることができ、結果的に、架構1の変形を抑制することができる。
請求項9に記載の発明は、例えば図6に示すように、請求項5に記載の建物躯体構造において、
前記耐力壁部10は、前記一対の側材11及び前記耐力壁本体における上端部に被せられて固定された前記第二補強キャップ15と上側の前記鋼製梁2との間に設けられ、振動減衰手段を有するダンパー装置30を更に有していることを特徴とする。
請求項9に記載の発明によれば、耐力壁部10は、一対の側材11及び耐力壁本体における上端部に被せられて固定された第二補強キャップ15と上側の鋼製梁2との間に設けられ、振動減衰手段を有するダンパー装置30を更に有しているので、例えば建物躯体に水平荷重が加わって、架構1が振動によって変形しようとする際に、耐力壁部10の上端部に設けられたダンパー装置30によって、その振動を減衰させることができる。
本発明によれば、耐力壁が組み込まれた上下の鋼製梁と共に架構を形成している管柱の、上下の鋼製梁に対する接合部の引き抜き抵抗力を向上させ、十分な耐震性を確保することができる。
建物躯体の一部を示す立面図である。 耐力壁部の構成を示す斜視図である。 建物躯体に水平荷重が加わった場合の力の伝達を説明する概略図である。 建物躯体の一部を示す立面図である。 振動減衰手段の構成を示す斜視図である。 建物躯体の一部を示す立面図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。なお、以下の実施形態及び図示例における方向は、あくまでも説明の便宜上設定したものである。
図1において符号1は、架構を示す。この架構1は、水平方向及び高さ方向に連続して設けられることで、木造建物の躯体を構成している。そして、このような架構1は、上鋼製梁2と、下鋼製梁3と、左側の管柱4と、右側の管柱5と、からなり、これら上下の鋼製梁2,3と左右一対の管柱4,5は、鋼製梁2,3と管柱4,5との間に亘って設けられた架構連結部材6によって連結されている。
より詳細に説明すると、木造建物の躯体は、下鋼製梁3の上面に左右の管柱4,5が立設され、これら左右の管柱4,5の上端部間に上鋼製梁2が架け渡されて設けられることで構成されている。なお、1階の下鋼製梁3は、図示はしないが、基礎の上面に載せられ、基礎の上面から突出するアンカーボルトに対して固定されている。
なお、本実施形態の木造建物とは、例えば木造中高層建築物を指すが、これに限られるものではなく、低層建築物あるいは高層建築物であってもよい。また、本実施形態においては、木造建物は比較的規模の大きい建築物を指すものとするが、規模の小さい建築物であってもよい。
上鋼製梁2は、いわゆる形鋼材によって構成されている。本実施形態においてはH形鋼によって構成されているものとするが、I型鋼や溝形鋼であってもよい。
このような形鋼材である上鋼製梁2は、ウェブ2aと、上下のフランジ2bと、複数のスチフナ2cと、を備えている。
スチフナ2cは、ウェブ2aと上下のフランジ2bによって囲まれた凹部に設けられ、ウェブ2aと上下のフランジ2bに接合されている。また、複数のスチフナ2cは、上鋼製梁2の長さ方向に間隔を空けて配置されている。
下鋼製梁3は、上鋼製梁2と同様の構成となっており、ウェブ3aと、上下のフランジ3bと、複数のスチフナ3cと、を備えている。
左側の管柱4は、木製柱であり、長さ方向(上下方向)と直交する断面視において正方形となる長尺材である。本実施形態の管柱4は、構造用集成材が採用されているが、無垢の角材やLVL(Laminated Veneer Lumber)、CLT(Cross Laminated Timber)等が採用されてもよい。すなわち、この管柱4は中実材である。
管柱4の上端部及び下端部には、図1及び図2(a)に示すように、鋼製の第一補強キャップ7が被せられて固定されている。
管柱4の上端部及び下端部には、第一補強キャップ7の側壁部7bが接する装着面4aが形成されている。装着面4aは、管柱4の端部外周を周方向に沿って所定の幅で所定の深さ削って形成されたものであり、管柱4のうち第一補強キャップ7が設けられない位置の外周面との間に所定の段差を有している。所定の段差は、第一補強キャップ7の側壁部7bの厚み分に相当する。
また、管柱4の上下の端面には、架構連結部材6における複数の鋼棒6aが差し込まれる複数の差込穴4bが形成されている。本実施形態においては、複数の差込穴4bは、管柱4の上下の端面における四隅に、管柱4の長さ方向に沿って形成されている。四隅の差込穴4bのうち正面側に位置する差込穴4bは、上下の鋼製梁2,3におけるウェブ2a,3aよりも正面側に位置し、四隅の差込穴4bのうち背面側に位置する差込穴4bは、上下の鋼製梁2,3におけるウェブ2a,3aよりも背面側に位置する。
なお、差込穴4bの深さは、鋼棒6aの長さよりも寸法が短く設定されている。そのため、差込穴4bに差し込まれた鋼棒6aの先端部は、管柱4の上下の端面から突出した状態となる。
第一補強キャップ7は、管柱4の端面に接する平板部7aと、平板部7aの外周縁部に沿って設けられた側壁部7bと、を有している。
平板部7aは、管柱4の端面形状に合わせて正方形とされている。この平板部7aには、架構連結部材6における複数の鋼棒6aの先端部が挿通される複数の通孔7cが形成されている。また、平板部7aには、複数のビス孔が形成されており、平板部7aは、管柱4の端面にビス止めされている(接着剤の併用可)。
側壁部7bは、このような正方形の平板部7aにおける各辺に一体形成されて、平板部7aに直交した状態に立ち上がっている。これにより、側壁部7bは、管柱4の上端部及び下端部に形成された装着面4aに接する。
右側の管柱5は、左側の管柱4と同様の構成となっており、上端部及び下端部に、鋼製の第一補強キャップ7が被せられて固定されている。
また、管柱5の上端部及び下端部には、第一補強キャップ7の側壁部7bが接する装着面5aが形成されている。また、管柱5の上下の端面には、架構連結部材6における複数の鋼棒6aが差し込まれる複数の差込穴5bが形成されている。
架構連結部材6は、管柱4,5の上下の端面に形成された複数の差込穴4b,5bの各々に差し込まれる鋼棒6aと、差込穴4b,5bと鋼棒6aとの間に充填された接着剤からなる接着剤層(図示省略)と、鋼棒6aのうち管柱4,5の上下の端面から突出する先端部に設けられるナット6bと、を有している。
なお、鋼棒6aは、少なくとも先端部が雄ネジとされている。すなわち、鋼棒6aの少なくとも先端部にネジ山が形成されて、ナット6bの雌ネジにねじ込むことが可能に形成されている。
また、鋼棒6aのうち、差込穴4b,5bに差し込まれる部分は雄ネジとされていなくてもよいが、接着剤の付着力を高めるため、外周面に凹凸が形成されていることが好ましい。
より詳細に説明すると、管柱4,5の上下の端面には、複数の鋼棒6aが、その先端部を管柱4,5の上下の端面から突出させた状態となるように埋め込まれて、接着剤によって接合固定されている。
このような管柱4,5と複数の鋼棒6aとの接合方法は、グルードインロッド(GIR:Glued in Rod)と呼ばれるものである。すなわち、差込穴4b,5bと鋼棒6aとの空隙に接着剤を充填し、その接着剤の硬化により、応力を接着剤の付着力と鋼棒6aを介して伝達し、接合耐力を発生させる方法である。このような接合方法によれば、管柱4,5と鋼棒6aとを強固に接合固定できるので、管柱4,5の引き抜き抵抗力を向上させることができる。
ここで、第一補強キャップ7は、複数の通孔7cに対し、管柱4,5の上下の端面に設けられた複数の鋼棒6aが挿通されるようにして、管柱4,5の上端部及び下端部に被せられて固定されている。第一補強キャップ7は、側壁部7bによって、管柱4,5の上端部及び下端部を外側からカバーしているため、管柱4,5の上端部及び下端部の割裂を抑制できるようになっている。
そして、上鋼製梁2及び下鋼製梁3におけるフランジ2b,3bには、管柱4,5における複数の差込穴4b,5bに差し込まれた複数の鋼棒6aの先端部が挿通される複数の通孔が形成されている。これら複数の通孔は、フランジ2b,3bのうちウェブ2a,3aの正面側と背面側に位置する部分にそれぞれ形成されている。
管柱4,5の上下の端面に設けられた複数の鋼棒6aは、フランジ2b,3bに形成された複数の通孔の各々に挿通されている。このとき、第一補強キャップ7は、平板部7aが、フランジ2b,3bに接している。
ナット6bは、フランジ2b,3bに形成された複数の通孔の各々に挿通された状態の鋼棒6aの先端部に設けられて結合されている。これにより、上下の鋼製梁2,3と左右一対の管柱4,5とを連結することができて架構1を形成することができる。
以上のように構成された架構1の内側には、図1に示すように、上端部が上鋼製梁2に固定されるとともに、下端部が下鋼製梁3に固定された耐力壁部10が配置されている。なお、耐力壁部10の、上下の鋼製梁2,3への固定は、後述する壁用連結部材13及び被固定部14によって行われる。
耐力壁部10は、架構1に組み込まれることによって、躯体に加わる垂直荷重と、自身や強風等による水平荷重に対抗して躯体を支えるための壁である。
このような耐力壁部10は、柱状に形成された木製の左右一対の側材11と、一対の側材11間に設けられて、当該一対の側材11に接合された木製の耐力壁本体と、一対の側材11及び耐力壁本体における上下の端部に被せられて固定される鋼製の第二補強キャップ15と、を有している。
左右の側材11は、長さ方向(上下方向)と直交する断面視において正方形となる長尺材である。本実施形態の側材11は、構造用集成材が採用されているが、無垢の角材やLVL(Laminated Veneer Lumber)、CLT(Cross Laminated Timber)等が採用されてもよい。すなわち、これら一対の側材11は中実材である。
また、一対の側材11における上下の端面には、壁用連結部材13における複数の鋼棒13aが差し込まれる複数の差込穴11aが形成されている。本実施形態においては、複数の差込穴11aは、側材11の上下の端面における四隅に、側材11の長さ方向に沿って形成されている。
なお、差込穴11aの深さは、鋼棒13aの長さよりも寸法が短く設定されている。そのため、差込穴11aに差し込まれた鋼棒13aの先端部は、側材11の上下の端面から突出した状態となる。
耐力壁本体は、一対の側材11間に上下に亘って、かつ、厚み方向に複数枚重ねで設けられた建築用木質パネル12によって構成されている。本実施形態においては、複数の建築用木質パネル12によって構成されているものとする。
建築用木質パネル12とは、縦横の框材が矩形状に組み立てられるとともに、矩形枠の内部に補助桟材が縦横に組み付けられて枠体が構成され、この枠体の両面もしくは片面に、面材が貼設されたものであり、内部中空な構造となっている。本実施形態において面材は両面に貼設されている。また、内部中空部には、通常、グラスウールやロックウール等の断熱材(図示省略)が装填されている。ただし、耐力壁本体は、上記の建築用木質パネル12に限られるものではなく、合板釘打ちパネルやその他の木質パネルであってもよい。
そして、本実施形態の耐力壁本体は、正面上側の建築用木質パネル12と、正面下側の建築用木質パネル12と、背面上側の建築用木質パネル12と、背面下側の建築用木質パネル12によって構成されている。これら4枚の建築用木質パネル12は接着剤によって接合されている(ビス等の併用可)。
耐力壁本体を構成している複数の建築用木質パネル12は一対の側材11に対して接着されて接合されている。また、複数の建築用木質パネル12からなる耐力壁本体の正面と一対の側材11の正面は面一であり、耐力壁本体の背面と一対の側材11の背面は面一である。
第二補強キャップ15は、一対の側材11の端面と耐力壁本体の端面に接する平板部15aと、平板部15aの外周縁部に沿って設けられるとともに平板部15aに一体形成されて一対の側材11及び耐力壁本体の側面に接する側壁部15bと、を有している。
平板部15aは、接合されて一体化している一対の側材11と耐力壁本体の端面に接するため、これら一対の側材11及び耐力壁本体の端面形状に合わせて長方形とされている。この平板部15aのうち一対の側材11の端面が接する位置には、壁用連結部材13における複数の鋼棒13aの先端部が挿通される複数の通孔15cが形成されている。また、平板部15aには、一対の側材11の端面が接する位置と耐力壁本体の端面が接する位置に複数のビス孔が形成されており、平板部15aは、一対の側材11と耐力壁本体の端面にビス止めされている(接着剤の併用可)。
側壁部15bは、このような長方形の平板部15aにおける各辺に一体形成されて、平板部15aに直交した状態に立ち上がっている。これにより、側壁部15bは、一対の側材11と耐力壁本体の上端部及び下端部における側面に接する。
壁用連結部材13は、一対の側材11における上下の端面に形成された複数の差込穴11aの各々に差し込まれる鋼棒13aと、差込穴11aと鋼棒13aとの間に充填された接着剤からなる接着剤層(図示省略)と、鋼棒13aのうち側材11の上下の端面から突出する先端部に設けられるナット13bと、を有している。
なお、鋼棒13aは、少なくとも先端部が雄ネジとされている。すなわち、鋼棒13aの少なくとも先端部にネジ山が形成されて、ナット13bの雌ネジにねじ込むことが可能に形成されている。
また、鋼棒13aのうち、側材11の差込穴11aに差し込まれる部分は雄ネジとされていなくてもよいが、接着剤の付着力を高めるため、外周面に凹凸が形成されていることが好ましい。
より詳細に説明すると、一対の側材11における上下の端面には、複数の鋼棒13aが、その先端部を側材11における上下の端面から突出させた状態となるように埋め込まれて、接着剤によって接合固定されている。
このような側材11と複数の鋼棒13aとの接合方法は、グルードインロッドと呼ばれるものである。すなわち、差込穴11aと鋼棒13aとの空隙に接着剤を充填し、その接着剤の硬化により、応力を接着剤の付着力と鋼棒13aを介して伝達し、接合耐力を発生させる方法である。このような接合方法によれば、側材11と鋼棒13aとを強固に接合固定できるので、側材11の引き抜き抵抗力を向上させることができる。
また、ナット13bは、高ナット(長ナットともいう)とされており、全長が長く設定されていて、雌ネジ(ネジ山)が形成された孔部の一端と他端から別々の雄ネジをねじ込むことが可能となっている。
ここで、第二補強キャップ15は、複数の通孔15cに対し、一対の側材11における上下の端面に設けられた複数の鋼棒13aが挿通されるようにして、一対の側材11及び耐力壁本体における上端部及び下端部に被せられて固定されている。第二補強キャップ15は、側壁部15bによって、一対の側材11及び耐力壁本体における上端部及び下端部を外側からカバーしているため、一対の側材11の上端部及び下端部の割裂を抑制できるとともに、一対の側材11と耐力壁本体とが分離することを抑制できるようになっている。
そして、上鋼製梁2及び下鋼製梁3のうち耐力壁部10側に位置するフランジ2b,3bには、一対の側材11における複数の差込穴11aに差し込まれた複数の鋼棒13aの先端部が挿通される複数の通孔が形成されている。
これら複数の通孔は、耐力壁部10側に位置するフランジ2b,3bのうちウェブ2a,3aの正面側と背面側に位置する部分にそれぞれ形成されている。
また、上鋼製梁2及び下鋼製梁3のうち耐力壁部10とは反対側に位置するフランジ2b,3bには、壁用連結部材13が固定される被固定部14が設けられている。
被固定部14は、ベースプレート14aと、複数の梁側固定ボルト14bと、を備えている。ベースプレート14aには、複数の梁側固定ボルト14bが挿通される複数の通孔が形成されている。また、複数の梁側固定ボルト14bは、ベースプレート14aに形成された複数の通孔に挿通され、頭部(ナットでもよい)はベースプレート14aに接した状態となる。
上方の被固定部14におけるベースプレート14aは、上鋼製梁2の上側のフランジ2bにおける上面に設けられている。ベースプレート14a正背方向の寸法は、フランジ2bの幅(梁幅)と略等しく設定されている。そして、当該フランジ2bには、複数の梁側固定ボルト14bが挿通される複数の通孔が形成されている。すなわち、ベースプレート14aにおける複数の通孔に挿通された複数の梁側固定ボルト14bは、上鋼製梁2のフランジ2bにおける複数の通孔にも挿通されて、上鋼製梁2における下側のフランジ2bに向かって突出した状態となる。このような複数の梁側固定ボルト14bの先端部は、壁用連結部材13におけるナット13bにねじ込まれて結合されている。
換言すれば、上側の壁用連結部材13におけるナット13bには、上側のフランジ2bを貫通している梁側固定ボルト14bの先端部と、壁用連結部材13の鋼棒13aの先端部が結合して、壁用連結部材13と被固定部14が連結された状態となっている。
つまり、耐力壁部10の上端部に設けられた壁用連結部材13の複数の鋼棒13aは、第二補強キャップ15における複数の通孔15cに挿通されるとともに、上鋼製梁2の下側のフランジ2bに形成された複数の通孔に挿通され、その先端部にはナット13bが結合した状態となっている。
そして、上鋼製梁2の上側のフランジ2bには被固定部14が設けられており、当該被固定部14における複数の梁側固定ボルト14bは、ベースプレート14aにおける複数の通孔に挿通されるとともに、上鋼製梁2の上側のフランジ2bに形成された複数の通孔に挿通され、その先端部は、壁用連結部材13のナット13bに結合された状態となっている。
一方、下方の被固定部14におけるベースプレート14aは、下鋼製梁3の下側のフランジ3bにおける下面に設けられている。そして、上方の被固定部14におけるベースプレート14aと同様に複数の通孔が形成されて、複数の梁側固定ボルト14bが挿通されるようになっている。下鋼製梁3のフランジ3bにも、複数の梁側固定ボルト14bが挿通される複数の通孔が形成されている。すなわち、ベースプレート14aにおける複数の通孔に挿通された複数の梁側固定ボルト14bは、下鋼製梁3のフランジ3bにおける複数の通孔にも挿通されて、下鋼製梁3における上側のフランジ3bに向かって突出した状態となる。このような複数の梁側固定ボルト14bの先端部は、壁用連結部材13におけるナット13bにねじ込まれて結合されている。
換言すれば、下側の壁用連結部材13におけるナット13bには、下側のフランジ3bを貫通している梁側固定ボルト14bの先端部と、壁用連結部材13の鋼棒13aの先端部が結合して、壁用連結部材13と被固定部14が連結された状態となっている。
つまり、耐力壁部10の下端部に設けられた壁用連結部材13の複数の鋼棒13aは、第二補強キャップ15における複数の通孔15cに挿通されるとともに、下鋼製梁3の上側のフランジ3bに形成された複数の通孔に挿通され、その先端部にはナット13bが結合した状態となっている。
そして、下鋼製梁3の下側のフランジ3bには被固定部14が設けられており、当該被固定部14における複数の梁側固定ボルト14bは、ベースプレート14aにおける複数の通孔に挿通されるとともに、下鋼製梁3の下側のフランジ3bに形成された複数の通孔に挿通され、その先端部は、壁用連結部材13のナット13bに結合された状態となっている。
要するに、耐力壁部10は、上下の鋼製梁2,3における耐力壁部10側のフランジ2b,3bのみに固定されるのではなく、壁用連結部材13及び被固定部14によって、上下の鋼製梁2,3における梁成の方向に亘って設けられている。そのため、耐力壁部10は、上下の鋼製梁2,3に対して強固に固定された状態となっている。
また、耐力壁部10のうち一対の側材11が、壁用連結部材13及び被固定部14を介して上下の鋼製梁2,3に固定されているため、耐力壁部10は、耐力壁本体の幅寸法の短いスパンで上下の鋼製梁2,3に固定されていることになる。そのため、上下の鋼製梁2,3と耐力壁部10との連結強度は極めて高い状態となっている。
なお、1階の下鋼製梁3は、上記のように基礎の上面に載せられているが、基礎の上面からは複数のアンカーボルトが突出した状態となっている。複数のアンカーボルトには、架構連結部材6の鋼棒6aに相当するアンカーボルトと、被固定部14の梁側固定ボルト14bに相当するアンカーボルトが含まれている。そのため、基礎の上面に1階の下鋼製梁3が載せられた場合、1階の下鋼製梁3は、架構連結部材6の鋼棒6aに相当するアンカーボルトによって基礎と強固に連結され、1階の耐力壁部10における下端部は、壁用連結部材13と被固定部14の梁側固定ボルト14bに相当するアンカーボルトによって基礎及び下鋼製梁3と強固に連結されることとなる。このとき、下鋼製梁3の下側のフランジ3bの下面に接する被固定部14のベースプレート14aは省略されるものとする。
また、本実施形態の被固定部14の場合、上鋼製梁2の上側のフランジ2bの上面にベースプレート14aが設けられ、更に梁側固定ボルト14bがベースプレート14aの上面から上方に突出した状態となる。そのため、下階の耐力壁部10の上方に、上階の耐力壁部10は設けられないこととなる。この場合、下階の耐力壁部10と上階の耐力壁部10は、上下に隣接する架構1内に配置される場合は、その位置が重ならない状態で設けられる。または、上下に隣接しない架構1のそれぞれに設けられることとなる。
仮に下階の耐力壁部10の上方に、上階の耐力壁部10が設けられるようにしたい場合は、被固定部14を省略し、上下階の耐力壁部10のための壁用連結部材13における高ナット13bを共通化する。すなわち、下階の耐力壁部10用の壁用連結部材13における鋼棒13aの上端部と、上階の耐力壁部10用の壁用連結部材13における鋼棒13aの下端部と、を共通の高ナット13bに結合するようにする。
以上のように構成された躯体構造は、図3に示すように、例えば地震や台風などによよって水平荷重(矢印A1)が加わった際に、上下の鋼製梁2,3と一対の管柱4,5からなる架構1は平行四辺形状に変形しようとする。すなわち、上鋼製梁2と下鋼製梁3が左右反対方向に移動しようとする。
このとき、耐力壁部10のうち上下の鋼製梁2,3に連結されている一方の側材11と他方の側材11には、上下に異なる向きの力(矢印A2,A3)が作用する。
そして、耐力壁部10のうち上下の鋼製梁2,3に連結されている一方の側材11と他方の側材11に作用する力は、上下の鋼製梁2,3を介して一対の管柱4,5に伝達されて上下に分散することとなる(矢印A4)。これにより、躯体は、十分な耐震性を確保できることとなる。
反対に、上下の鋼製梁2,3と一対の管柱4,5が架構連結部材6によって強固に連結されていないと、水平荷重(矢印A1)が加わったときに、一対の管柱4,5の、上下の鋼製梁2,3に対する接合部に大きな引き抜き力が作用することになる。そして、当該接合部がその大きな引き抜き力に抵抗しきれなくなってしまうと、耐力壁部10のうち上下の鋼製梁2,3に連結されている一方の側材11と他方の側材11に作用する力は、上下の鋼製梁2,3を介して一対の管柱4,5に伝達されなくなってしまうため、躯体は十分な耐震性を確保できなくなる。
要するに、本実施形態においては、上下の鋼製梁2,3と一対の管柱4,5が架構連結部材6によって強固に連結されていることによって、水平荷重に抗する耐力壁部10における一対の側材11の軸力を、上下の鋼製梁2,3を介して一対の管柱4,5に伝達できるので、水平荷重を効果的に分散できるようになる。
本実施形態によれば、以下のような優れた効果を奏する。
すなわち、上下の鋼製梁2,3と一対の管柱4,5のそれぞれは、鋼製梁2,3と管柱4,5との間に亘って設けられた架構連結部材6によって連結されているので、架構連結部材6によって鋼製梁2,3と管柱4,5とを強固に連結することができる。
そして、上下の鋼製梁2,3と一対の管柱4,5とからなる架構1の内側に、耐力壁部10が配置され、この耐力壁部10の上端部が上側の鋼製梁2に固定されるとともに、下端部が下側の鋼製梁3に固定されているので、建物躯体に水平荷重が加わった際に、耐力壁部10によって架構1の変形を抑制しようとし、そのときに耐力壁部10に作用する力を、上下の鋼製梁2,3を介して、架構連結部材6によって当該上下の鋼製梁2,3に強固に連結された一対の管柱4,5に伝達できる。
これにより、建物躯体に加わった水平荷重を効果的に分散させることができるので、建物躯体は、十分な耐震性を確保することが可能となる。
また、架構連結部材6は、管柱4,5の上下の端面に形成された複数の差込穴4b,5bの各々に差し込まれる鋼棒6aと、差込穴4b,5bと鋼棒6aとの間に充填された接着剤からなる接着剤層と、鋼棒6aのうち管柱4,5の上下の端面から突出する先端部に設けられるナット6bと、を有しているので、複数の鋼棒6aが、その先端部を管柱4,5の上下の端面から突出させた状態となるように、管柱4,5の上下の端面に埋め込まれて接着剤によって接合固定された状態となる。すなわち、差込穴4b,5bと鋼棒6aとの間に充填された接着剤の硬化により、応力を接着剤の付着力と鋼棒6aを介して伝達し、接合耐力を発生させることができる。これにより、管柱4,5と鋼棒6aとを強固に接合固定できるので、管柱4,5の引き抜き抵抗力を向上させることができる。
そして、管柱4,5に強固に接合固定された複数の鋼棒6aの先端部が、上下の鋼製梁2,3におけるフランジ2b,3bに形成された複数の通孔に挿通され、その先端部にナット6bが設けられているので、管柱4,5を上下の鋼製梁2,3に対して確実かつ強固に留め付けることができる。これにより、上下の鋼製梁2,3と一対の管柱4,5のそれぞれが、鋼製梁2,3と管柱4,5との間に亘って設けられた架構連結部材6によって強固に連結されるので、十分な耐震性の確保に貢献できる。
また、第一補強キャップ7は、管柱4,5の端面に接する平板部7aと、平板部7aの外周縁部に沿って設けられるとともに平板部7aに一体形成されて管柱4,5の側面に接する側壁部7bと、を有し、平板部7aには、複数の鋼棒6aの先端部が挿通される複数の通孔7cが形成されているので、管柱4,5の上下の端面から複数の鋼棒6aを突出させた状態で、第一補強キャップ7を管柱4,5の上下の端部に被せて固定することができる。そして、平板部7aに一体形成されて管柱4,5の側面に接する側壁部7bによって、管柱4,5の上下の端部を外側からカバーすることができるので、管柱4,5の上下の端部に大きな引き抜き力が作用した場合に、管柱4,5の上下の端部に割裂が生じることを抑制でき、十分な耐震性の確保に貢献できる。
また、耐力壁部10は、柱状に形成された木製の一対の側材11と、一対の側材11間に設けられて、当該一対の側材11に接合された耐力壁本体と、一対の側材11及び耐力壁本体における上下の端部に被せられて固定される鋼製の第二補強キャップ15を有しているので、第二補強キャップ15によって、一対の側材11及び耐力壁本体の一体性を高めることができる。特に、第二補強キャップ15は、一対の側材11の端面と耐力壁本体の端面に接する平板部15aと、平板部15aの外周縁部に沿って設けられるとともに平板部15aに一体形成されて一対の側材11及び耐力壁本体の側面に接する側壁部15bと、を有しているので、側壁部15bによって、一対の側材11及び耐力壁本体における上端部及び下端部を外側からカバーすることができる。これにより、耐力壁部10に大きな力が作用した場合に、一対の側材11の上端部及び下端部の割裂を抑制できるとともに、一対の側材11と耐力壁本体とが分離することを抑制でき、十分な耐震性の確保に貢献できる。
また、壁用連結部材13は、側材11の上下の端面に形成された複数の差込穴11aの各々に差し込まれる鋼棒13aと、差込穴11aと鋼棒13aとの間に充填された接着剤からなる接着剤層と、鋼棒13aのうち側材11の上下の端面から突出する先端部に設けられるナット13bと、を有しているので、複数の鋼棒13aが、その先端部を一対の側材11における上下の端面から突出させた状態となるように、一対の側材11における上下の端面に埋め込まれて接着剤によって接合固定された状態となる。すなわち、差込穴11aと鋼棒13aとの間に充填された接着剤の硬化により、応力を接着剤の付着力と鋼棒13aを介して伝達し、接合耐力を発生させることができる。これにより、側材11と鋼棒13aとを強固に接合固定できるので、一対の側材11の引き抜き抵抗力が向上する。
また、第二補強キャップ15の平板部15aには、複数の鋼棒13aの先端部が挿通される複数の通孔15cが形成されているので、一対の側材11における上下の端面から複数の鋼棒13aを突出させた状態で、第二補強キャップ15を一対の側材11及び耐力壁本体における上下の端部に被せて固定することができる。
そして、一対の側材11に強固に接合固定された複数の鋼棒13aの先端部が、上下の鋼製梁2,3におけるフランジ2b,3bに形成された複数の通孔に挿通され、その先端部にナット13bに設けられているので、一対の側材11を上下の鋼製梁2,3に対して確実かつ強固に留め付けることができる。これにより、上下の鋼製梁2,3と耐力壁部10が、鋼製梁2,3と一対の側材11との間に亘って設けられた壁用連結部材13によって強固に連結されるので、十分な耐震性の確保に貢献できる。
また、耐力壁本体は、一対の側材11間に上下に亘って設けられた建築用木質パネル12によって構成されているので、木製である一対の側材11に対して容易に接合できる。また、建築用木質パネル12は建築に使用されるものであることから、それ単体でもある程度の強度を有しており、このような建築用木質パネル12によって耐力壁本体が構成されているので、このような耐力壁本体が組み込まれた耐力壁部10の強度も向上することになる。これにより、建物躯体に水平荷重が加わった際に、耐力壁部10によって架構1の変形を抑制しやすくなる。
そして、本実施形態の建物躯体を備えた建物は、一対の管柱4,5及び耐力壁部10を木製とすることができるので、カーボンニュートラルの推進による脱炭素社会の実現や、SDGsの目標達成に貢献できる。
〔変形例〕
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下、変形例について説明する。以下に挙げる変形例は可能な限り組み合わせてもよい。また、以下の各変形例において、上述の実施形態と共通する要素については、共通の符号を付し、説明を省略又は簡略する。
〔変形例1〕
本変形例の建物躯体においては、図4に示すように、一対の管柱40,50が鋼製とされており、角筒状に形成された柱本体と、当該柱本体の上下の端面に接合されて、上下の鋼製梁2,3におけるフランジ2b,3bに接するベースプレート41,51と、柱本体における上端部及び下端部の側面とベースプレート41,51との双方に固定されるリブプレート42,52と、を備えている。
そして、一対の管柱40,50と上下の鋼製梁2,3は、ボルト及びナットからなる架構連結部材60によって強固に連結されている。
管柱40,50の柱本体は、左右方向の寸法と正背方向の寸法が等しく、かつ、正背方向の寸法は、上下の鋼製梁2,3における梁幅よりも短く設定されている。すなわち、柱本体は、上下の鋼製梁2,3に比して細く形成されている。なお、この柱本体は、耐力壁部10を構成する一対の側材11や、上記の実施形態における一対の管柱4,5よりも細く形成されているものとする。
ベースプレート41,51は、四角形の鋼板であり、左右方向の寸法及び正背方向の寸法が、管柱40,50における左右方向の寸法及び正背方向の寸法よりも長く設定されている。
その上、ベースプレート41,51は、管柱40,50の側面よりも左右方向及び正背方向に張り出している。すなわち、ベースプレート41,51は、管柱40,50に対して四方に張り出した状態となっている。そして、このようなベースプレート41,51の四隅には、架構連結部材60のボルトが挿通される通孔がそれぞれ形成されている。四隅の通孔のうち正面側に位置する通孔は、上下の鋼製梁2,3におけるウェブ2a,3aよりも正面側に位置し、四隅の通孔のうち背面側に位置する通孔は、上下の鋼製梁2,3におけるウェブ2a,3aよりも背面側に位置する。
リブプレート42,52は、直交する二辺と斜辺とを有する略三角形状の鋼板であり、直交する二辺のうち一辺は柱本体の側面に接合固定され、直交する二辺のうち他辺はベースプレート41,51に接合固定されている。
なお、管柱40,50のうち下端部に設けられるリブプレート42,52は、左右に2枚ずつ、前後に2枚ずつ設けられている。一方、上端部に設けられるリブプレート42,52は、左右に2枚ずつ設けられている。ただし、リブプレート42,52の接合箇所や枚数は、これに限られるものではない。
このようなリブプレート42,52が、柱本体における上端部及び下端部の側面とベースプレート41,51の双方に固定されることで、柱本体に対するベースプレート41,51の接合強度を向上でき、管柱40,50における上端部及び下端部の剛性向上に寄与する。
また、上下の鋼製梁2,3における管柱40,50側のフランジ2b,3bのうち、管柱40,50のベースプレート41,51が接する箇所には、架構連結部材60のボルトが挿通される通孔が形成されている。
そして、架構連結部材60のボルトは、管柱40,50のベースプレート41,51の四隅に形成された通孔と、フランジ2b,3bに形成された通孔に挿通され、その先端部にナットがねじ込まれて設けられる。これにより、管柱40,50を上下の鋼製梁2,3に強固に連結できるようになっている。
本変形例の耐力壁部10における耐力壁本体は、図4,図5に示すように、一対の側材11における上端部間と下端部間のそれぞれに架け渡されて設けられた上下の枠材16,17と、一対の側材11と上下の枠材16,17とからなる矩形枠の内側に配置され、振動減衰手段を有する制振装置20と、を有している。そして、制振装置20は、一対の側材11及び上下の枠材16,17に接合されている。
上下の枠材16,17は木製であり、左右方向に長尺に形成され、左側端部が左側の側材11に接合固定され、右側端部が右側の側材11に接合固定されている。これにより、上下の枠材16,17は、一対の側材11と共に、木製の矩形枠を形成している。
制振装置20は、本変形例においては上下に2つ並んで配置されている。そして、これら上下の制振装置20は同一構成とされている。
また、これら2つの制振装置20の厚さは、一対の側材11における正背方向の寸法の半分程度とされている。そして、このような制振装置20の後方(背側)には、例えば同一の厚さの建築用木質パネルが設けられてもよい。つまり、制振装置20と建築用木質パネルとを厚さ方向に重なるように並べて配置してもよい。
各制振装置20は、矩形枠状の矩形フレーム21と、この矩形フレーム21に対向して設けられた一対の支持部22と、この一対の支持部22間に配置され、かつ当該一対の支持部22によって支持された上下に長尺な振り子部材23と、矩形フレーム21の上下端部に設けられた制振ボックス24と、を備えている。
矩形フレーム21は、左右一対の縦フレームと、上下一対の横フレームとを矩形枠状に組み立てて形成されたものであり、縦フレームの端部と横フレームの端部はピン結合されている。したがって、矩形フレーム21は左右方向に力が作用すると平行四辺形を形成するようにして変形可能となっている。なお、縦フレーム及び横フレームは鉄やアルミニウム等の金属で形成されている。
縦フレームは、矩形フレーム21の外周面を構成する帯板状の外周板部と、この外周板部の内面に直角に形成されて矩形フレーム21の中央側に延出する帯板状の内側板部と、この内側板部の延出方向側端部に一体形成されて更に矩形フレーム21の中央側に延出する帯板状の延出板部と、から構成されている。
また、この縦フレームのうち外周板部は、側材11の内側面に接し、長さ方向に間隔を空けた複数の箇所が側材11に対してビス固定されている。
横フレームは、矩形フレーム21の外周面を構成する帯板状の外周板部と、この外周板部における両端部の内面にそれぞれ直角に形成されて、縦フレームの内側板部の端部にピン結合される一対の内側板部と、を備えている。そして、一対の内側板部間には制振ボックス24が一体に取り付けられている。
横フレームのうち外周板部は、上枠材16・下枠材17に接し、長さ方向に間隔を空けた複数の箇所が上枠材16・下枠材17に対してビス固定されている。
矩形フレームにおける左右一対の縦フレームのそれぞれには、支持部22が一体に固定されている。
支持部22は、正面視において略台形状に形成された板材によって構成されており、矩形フレーム21の中央側に向かうにつれて先細りするように状態となっている。一対の支持部22は間隔を空けて配置されており、これら一対の支持部22間には上下に長尺な振り子部材23の中央部が架け渡されて支持されている。
振り子部材23は、板状でかつ、縦長の多角形状に形成されており、長手方向を上下に向けて配置されている。振り子部材23の長さ方向中央部の左半分は、左側の支持部22に対して回転可能に取り付けられており、右半分は、右側の支持部22に対して回転可能に取り付けられている。なお、振り子部材23は鉄やアルミニウム等の金属によって形成されている。
このような振り子部材23は、一対の支持部22によって長手方向中央部が支持されており、地震等の振動によって矩形フレーム21が変形して一対の支持部22が変位した場合に、当該一対の支持部21間の略中央部を中心として振れるように構成されている。
一対の支持部22における矩形フレーム21の中央側に位置する各々の端部と、振り子部材23は、回転軸(例えばボルト)によって回転可能に連結されている。
これによって、振り子部材23は、一対の支持部22によって回転軸を介して支持されている。振り子部材23は、地震等の振動によって一対の支持部22が変位した場合に、一対の支持部22間の略中央部、換言すれば、双方の回転軸間の中央部を中心として振れるように構成されている。
制振ボックス24は、図5に示すように、上下面が開口した箱状のボックス24a(図5においてはボックス24aの正面板24a1と背面板24a2のみ表示し、左右の板は省略)と、このボックス24a内に取り付けられた一対の制振部材24bと、これら制振部材24b間に挿入されかつ当該一対の制振部材24bに固着されたプレート24cとを備えている。制振部材24bとしては、例えば高減衰ゴムによって形成された粘弾性体を使用しており、振動減衰手段として機能する。
プレート24cの一端部は、ボックス24aよりも矩形フレーム21の中央側に突出しており、この突出している一端部は、振り子部材23の長さ方向端部に連結されている。したがって、振り子部材23が、一対の支持部22間の略中央部を中心として振れた場合には、制振部材24bに対して運動エネルギーが伝わるようになっている。
なお、制振ボックス24のボックス24a、プレート24c等は鉄やアルミニウム等の金属で形成されている。
以上のように構成された制振装置20は、一対の側材11間において上下に並んで配置されているが、下側の制振装置20の矩形フレーム21における上側の横フレームと、上側の制振装置20の矩形フレーム21における下側の横フレームと、は互いに強固に接合されているものとする。
そして、このように上下に並んで配置された制振装置20によって、架構1に生じた振動を抑えることができる。これによって、架構1を含んで構成された建物躯体のエネルギー吸収性能の向上を図ることができるので、例えば地震時や台風時の水平荷重に対して十分に抵抗できるようになり、比較的規模の大きい木造建物を構築する上で有利となる。
本変形例によれば、上下の鋼製梁2,3と一対の管柱40,50のそれぞれは、鋼製梁2,3と管柱40,50との間に亘って設けられた架構連結部材60によって連結されているので、架構連結部材60によって鋼製梁2,3と管柱40,50とを強固に連結することができる。
そして、上下の鋼製梁2,3と一対の管柱40,50とからなる架構1の内側に、耐力壁部10が配置され、この耐力壁部10の上端部が上側の鋼製梁2に固定されるとともに、下端部が下側の鋼製梁3に固定されているので、建物躯体に水平荷重が加わった際に、耐力壁部10によって架構1の変形を抑制しようとし、そのときに耐力壁部10に作用する力を、上下の鋼製梁2,3を介して、架構連結部材60によって当該上下の鋼製梁2,3に強固に連結された一対の管柱40,50に伝達できる。
これにより、建物躯体に加わった水平荷重を効果的に分散させることができるので、建物躯体は、十分な耐震性を確保することが可能となる。
また、上下の鋼製梁2,3におけるフランジ2b,3bと、一対の管柱40,50におけるベースプレート41,51の双方には、複数のボルトが挿通される複数の通孔がそれぞれ形成されていて、ナットは、フランジ2b,3bとベースプレート41,51の双方における複数の通孔の各々に挿通された状態のボルトの先端部に設けられているので、管柱40,50を上下の鋼製梁2,3に対して確実かつ強固にボルト留めすることができる。これにより、上下の鋼製梁2,3と一対の管柱40,50のそれぞれが、鋼製梁2,3と管柱40,50との間に亘って設けられた架構連結部材60によって強固に連結されるので、十分な耐震性の確保に貢献できる。
また、耐力壁本体は、一対の側材11における上端部間と下端部間のそれぞれに架け渡されて設けられた上下の枠材16,17と、一対の側材11と上下の枠材16,17とからなる矩形枠の内側に配置され、振動減衰手段を有する制振装置20と、を有しており、制振装置20は、一対の側材11及び上下の枠材16,17に接合されているので、例えば建物躯体に水平荷重が加わって、一対の側材11と上下の枠材16,17とからなる矩形枠が振動によって変形しようとする際に、制振装置20によって、その振動を減衰させることができ、結果的に、架構1の変形を抑制することができる。
〔変形例2〕
本変形例の建物躯体においては、図6に示すように、耐力壁部10が、一対の側材11及び耐力壁本体における上端部に被せられて固定された第二補強キャップ15と上鋼製梁2との間に設けられ、振動減衰手段を有するダンパー装置30を更に有している。
なお、耐力壁本体は、一対の側材11間に上下に亘って設けられた複数の建築用木質パネル12によって構成されている。
耐力壁部10の下端部は、壁用連結部材13及び被固定部14によって下鋼製梁3に対して強固に固定されている。
一方、耐力壁部10の上端部は、ダンパー装置30に固定されている。そして、このダンパー装置30は、上鋼製梁2に対して強固に固定されている。
ダンパー装置30は、上鋼製梁2にボルト固定される制振ボックス31と、一対の側材11及び耐力壁本体の上端部に固定される連結フレーム32と、を備えている。
制振ボックス31は、下面が開口した箱状のボックスと、このボックス内に取り付けられた一対の制振部材と、これら一対の制振部材間に挿入されかつ当該一対の制振部材に固着されたプレート31aと、を有している。
なお、制振部材としては、例えば高減衰ゴムによって形成された粘弾性体を使用しており、振動減衰手段として機能する。
制振ボックス31における箱状のボックスは、左右及び正面の側壁部と、これら側壁部の上端部に設けられた天板部と、を備えている。そして、天板部に形成された複数の通孔と、上鋼製梁2の下側のフランジ2bに形成された複数の通孔にボルトが挿通されて、そのボルトの先端部にナットが設けられて結合している。これによって、制振ボックス31における箱状のボックスを、上鋼製梁2の下側のフランジ2bに強固に固定できるようになっている。
本変形例における一対の制振部材及びプレート31aは複数セット用いられており、これら複数セットの一対の制振部材及びプレート31aは、左右方向に間隔を空けて配置されている。
プレート31aの下端部は、ボックスよりも下方に突出しており、この突出している下端部は、連結フレーム32の上端部にボルト固定されている。
連結フレーム32は、一対の側材11及び耐力壁本体の上端部に設けられた第二補強キャップ15の上面に接して固定される固定板部32aと、固定板部32aに直角に設けられて上方に突出する立ち上がり板部32bと、を有している。
固定板部32aのうち一対の側材11の上方に位置する箇所には、一対の側材11の上端面から上方に突出する壁用連結部材13の複数の鋼棒13aが挿通される通孔が形成されている。そして、一対の側材11の上端面から上方に突出した複数の鋼棒13aは、固定板部32aに形成された複数の通孔に挿通され、その先端部にナット13bが設けられて結合している。これによって、連結フレーム32を一対の側材11及び耐力壁本体の上端部に強固に固定できるようになっている。
複数のプレート31aにおける下端部は、連結フレーム32の立ち上がり板部32bにボルト固定されているので、一対の側材11及び耐力壁本体における上端部は、ダンパー装置30を介して上鋼製梁2に固定された状態となる。
なお、一対の側材11の上端面から上方に突出した複数の鋼棒13aの先端部に設けられるナット13bは高ナットではない。
以上のようにしてダンパー装置30が組み込まれると、例えば建物躯体に水平荷重が加わって架構1が振動によって平行四辺形状に変形しようとする際に、ダンパー装置30によってその振動を減衰することができるので、架構1の変形を抑制することができる。すなわち、上鋼製梁2が左に向かって変位すると、それに伴ってダンパー装置30の制振ボックス31も左に向かって変位し、下鋼製梁3が右に向かって変位すると、それに伴って連結フレーム32も右に変位するので、制振ボックス31と連結フレーム32との間に設けられた振動減衰手段によって、架構1に生じている振動を抑制することができる。
本変形例によれば、上下の鋼製梁2,3と一対の管柱4,5のそれぞれは、鋼製梁2,3と管柱4,5との間に亘って設けられた架構連結部材6によって連結されているので、架構連結部材6によって鋼製梁2,3と管柱4,5とを強固に連結することができる。
そして、上下の鋼製梁2,3と一対の管柱4,5とからなる架構1の内側に、耐力壁部10が配置され、この耐力壁部10の上端部が上側の鋼製梁2に固定されるとともに、下端部が下側の鋼製梁3に固定されているので、建物躯体に水平荷重が加わった際に、耐力壁部10によって架構1の変形を抑制しようとし、そのときに耐力壁部10に作用する力を、上下の鋼製梁2,3を介して、架構連結部材6によって当該上下の鋼製梁2,3に強固に連結された一対の管柱4,5に伝達できる。
これにより、建物躯体に加わった水平荷重を効果的に分散させることができるので、建物躯体は、十分な耐震性を確保することが可能となる。
また、耐力壁部10は、一対の側材11及び耐力壁本体における上端部に被せられて固定された第二補強キャップ15と上側の鋼製梁2との間に設けられ、振動減衰手段を有するダンパー装置30を更に有しているので、例えば建物躯体に水平荷重が加わって、架構1が振動によって変形しようとする際に、耐力壁部10の上端部に設けられたダンパー装置30によって、その振動を減衰させることができる。
1 架構
2 上鋼製梁
2b フランジ
3 下鋼製梁
3b フランジ
4 管柱
4b 差込穴
5 管柱
5b 差込穴
6 架構連結部材
6a 鋼棒
6b ナット
7 第一補強キャップ
10 耐力壁部
11 側材
11a 差込穴
12 建築用木質パネル
13 壁用連結部材
13a 鋼棒
13b ナット
14 被固定部
15 第二補強キャップ
15a 平板部
15b 側壁部
15c 通孔

Claims (9)

  1. 上下の鋼製梁と、
    前記上下の鋼製梁間に設けられた一対の管柱と、
    前記上下の鋼製梁と前記一対の管柱とからなる架構の内側に配置され、かつ、上端部が上側の前記鋼製梁に固定されるとともに、下端部が下側の前記鋼製梁に固定された耐力壁部と、を備えており、
    前記上下の鋼製梁と前記一対の管柱のそれぞれは、前記鋼製梁と前記管柱との間に亘って設けられた架構連結部材によって連結されていることを特徴とする建物躯体構造。
  2. 請求項1に記載の建物躯体構造において、
    前記上下の鋼製梁は、ウェブと、前記一対の管柱が接するフランジと、を有する形鋼材であり、
    前記一対の管柱は木製であり、
    前記架構連結部材は、
    前記管柱の上下の端面に形成された複数の差込穴の各々に差し込まれる鋼棒と、
    前記差込穴と前記鋼棒との間に充填された接着剤からなる接着剤層と、
    前記鋼棒のうち前記管柱の上下の端面から突出する先端部に設けられるナットと、を有しており、
    前記上下の鋼製梁における前記フランジには、前記複数の差込穴に差し込まれた複数の前記鋼棒の前記先端部が挿通される複数の通孔が形成されていて、
    前記ナットは、前記複数の通孔の各々に挿通された状態の前記鋼棒の前記先端部に設けられていることを特徴とする建物躯体構造。
  3. 請求項2に記載の建物躯体構造において、
    前記管柱の上下の端部には鋼製の第一補強キャップが被されて固定され、
    上下各々の前記第一補強キャップは、
    前記管柱の前記端面に接する平板部と、
    前記平板部の外周縁部に沿って設けられるとともに前記平板部に一体形成されて前記管柱の側面に接する側壁部と、を有し、
    前記平板部には、複数の前記鋼棒の前記先端部が挿通される複数の通孔が形成されていることを特徴とする建物躯体構造。
  4. 請求項1に記載の建物躯体構造において、
    前記上下の鋼製梁は、ウェブと、前記一対の管柱が接するフランジと、を有する形鋼材であり、
    前記一対の管柱は鋼製であって、柱本体と、当該柱本体の上下の端面に接合されて前記フランジに接するベースプレートと、を有しており、
    前記架構連結部材は、ボルト及びナットであり、
    前記上下の鋼製梁における前記フランジと、前記一対の管柱における前記ベースプレートの双方には、複数の前記ボルトが挿通される複数の通孔がそれぞれ形成されていて、前記ナットは、前記フランジと前記ベースプレートの双方における前記複数の通孔の各々に挿通された状態の前記ボルトの先端部に設けられていることを特徴とする建物躯体構造。
  5. 請求項2から4のいずれか一項に記載の建物躯体構造において、
    前記耐力壁部は、
    柱状に形成された木製の一対の側材と、
    前記一対の側材間に設けられて、当該一対の側材に接合された耐力壁本体と、
    前記一対の側材及び前記耐力壁本体における上下の端部に被せられて固定される鋼製の第二補強キャップと、を有しており、
    上下各々の前記第二補強キャップは、
    前記一対の側材の端面と前記耐力壁本体の端面に接する平板部と、
    前記平板部の外周縁部に沿って設けられるとともに前記平板部に一体形成されて前記一対の側材及び前記耐力壁本体の側面に接する側壁部と、を有していることを特徴とする建物躯体構造。
  6. 請求項5に記載の建物躯体構造において、
    前記上下の鋼製梁と前記耐力壁部における前記一対の側材のそれぞれが、前記鋼製梁と前記側材との間に亘って設けられた壁用連結部材によって連結されており、
    前記壁用連結部材は、
    前記側材の上下の端面に形成された複数の差込穴の各々に差し込まれる鋼棒と、
    前記差込穴と前記鋼棒との間に充填された接着剤からなる接着剤層と、
    前記鋼棒のうち前記側材の上下の端面から突出する先端部に設けられるナットと、を有しており、
    前記上下の鋼製梁における前記フランジには、前記複数の差込穴に差し込まれた複数の前記鋼棒の前記先端部が挿通される複数の通孔が形成され、
    前記第二補強キャップの前記平板部には、複数の前記鋼棒の前記先端部が挿通される複数の通孔が形成され、
    前記ナットは、前記フランジと前記平板部の双方における前記複数の通孔の各々に挿通された状態の前記鋼棒の前記先端部に設けられていることを特徴とする建物躯体構造。
  7. 請求項6に記載の建物躯体構造において、
    前記耐力壁本体は、前記一対の側材間に上下に亘って設けられた建築用木質パネルによって構成されていることを特徴とする建物躯体構造。
  8. 請求項6に記載の建物躯体構造において、
    前記耐力壁本体は、
    前記一対の側材における上端部間と下端部間のそれぞれに架け渡されて設けられた上下の枠材と、
    前記一対の側材と前記上下の枠材とからなる矩形枠の内側に配置され、振動減衰手段を有する制振装置と、を有しており、
    前記制振装置は、前記一対の側材及び前記上下の枠材に接合されていることを特徴とする建物躯体構造。
  9. 請求項5に記載の建物躯体構造において、
    前記耐力壁部は、前記一対の側材及び前記耐力壁本体における上端部に被せられて固定された前記第二補強キャップと上側の前記鋼製梁との間に設けられ、振動減衰手段を有するダンパー装置を更に有していることを特徴とする建物躯体構造。
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