JP2025083651A - 建物躯体構造 - Google Patents
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Abstract
Description
その一方で、例えば木造中高層建築物のように構造的な強度が必要となる建物の場合は鋼材も用いられる。特に従来のような耐力壁が組み込まれる場合には、その機能を有効に発揮するため、耐力壁の上下に位置する梁は鋼材で構成されていて、耐力壁の上端部及び下端部は、これら上下の鋼製梁に対して強固に固定される。
ところが、耐力壁を上下の鋼製梁に対して強固に固定すると、地震時や台風時の水平荷重が加わったときに、上下の鋼製梁と共に架構を形成している管柱の、鋼製梁に対する接合部に大きな引き抜き力が作用することになり、十分な耐震性を確保しにくくなる。
上下の鋼製梁2,3と、
前記上下の鋼製梁2,3間に設けられた一対の管柱4,5・40,50と、
前記上下の鋼製梁2,3と前記一対の管柱4,5・40,50とからなる架構1の内側に配置され、かつ、上端部が上側の前記鋼製梁2に固定されるとともに、下端部が下側の前記鋼製梁3に固定された耐力壁部10と、を備えており、
前記上下の鋼製梁2,3と前記一対の管柱4,5・40,50のそれぞれは、前記鋼製梁2,3と前記管柱4,5・40,50との間に亘って設けられた架構連結部材6・60によって連結されていることを特徴とする。
そして、上下の鋼製梁2,3と一対の管柱4,5・40,50とからなる架構1の内側に、耐力壁部10が配置され、この耐力壁部10の上端部が上側の鋼製梁2に固定されるとともに、下端部が下側の鋼製梁3に固定されているので、建物躯体に水平荷重が加わった際に、耐力壁部10によって架構1の変形を抑制しようとし、そのときに耐力壁部10に作用する力を、上下の鋼製梁2,3を介して、架構連結部材6・60によって当該上下の鋼製梁2,3に強固に連結された一対の管柱4,5・40,50に伝達できる。
これにより、建物躯体に加わった水平荷重を効果的に分散させることができるので、建物躯体は、十分な耐震性を確保することが可能となる。
前記上下の鋼製梁2,3は、ウェブ2a,3aと、前記一対の管柱4,5が接するフランジ2b,3bと、を有する形鋼材であり、
前記一対の管柱4,5は木製であり、
前記架構連結部材6は、
前記管柱4,5の上下の端面に形成された複数の差込穴4b,5bの各々に差し込まれる鋼棒6aと、
前記差込穴4b,5bと前記鋼棒6aとの間に充填された接着剤からなる接着剤層と、
前記鋼棒6aのうち前記管柱4,5の上下の端面から突出する先端部に設けられるナット6bと、を有しており、
前記上下の鋼製梁2,3における前記フランジ2b,3bには、前記複数の差込穴4b,5bに差し込まれた複数の前記鋼棒6aの前記先端部が挿通される複数の通孔が形成されていて、
前記ナット6bは、前記複数の通孔の各々に挿通された状態の前記鋼棒6aの前記先端部に設けられていることを特徴とする。
そして、管柱4,5に強固に接合固定された複数の鋼棒6aの先端部が、上下の鋼製梁2,3におけるフランジ2b,3bに形成された複数の通孔に挿通され、その先端部にナット6bが設けられているので、管柱4,5を上下の鋼製梁2,3に対して確実かつ強固に留め付けることができる。これにより、上下の鋼製梁2,3と一対の管柱4,5のそれぞれが、鋼製梁2,3と管柱4,5との間に亘って設けられた架構連結部材6によって強固に連結されるので、十分な耐震性の確保に貢献できる。
前記管柱4,5の上下の端部には鋼製の第一補強キャップ7が被されて固定され、
上下各々の前記第一補強キャップ7は、
前記管柱4,5の前記端面に接する平板部7aと、
前記平板部7aの外周縁部に沿って設けられるとともに前記平板部7aに一体形成されて前記管柱4,5の側面に接する側壁部7bと、を有し、
前記平板部7aには、複数の前記鋼棒6aの前記先端部が挿通される複数の通孔7cが形成されていることを特徴とする。
前記上下の鋼製梁2,3は、ウェブ2a,3aと、前記一対の管柱40,50が接するフランジ2b,3bと、を有する形鋼材であり、
前記一対の管柱40,50は鋼製であって、柱本体と、当該柱本体の上下の端面に接合されて前記フランジ2b,3bに接するベースプレート41,51と、を有しており、
前記架構連結部材60は、ボルト及びナットであり、
前記上下の鋼製梁2,3における前記フランジ2b,3bと、前記一対の管柱40,50における前記ベースプレート41,51の双方には、複数の前記ボルトが挿通される複数の通孔がそれぞれ形成されていて、前記ナットは、前記フランジ2b,3bと前記ベースプレート41,51の双方における前記複数の通孔の各々に挿通された状態の前記ボルトの先端部に設けられていることを特徴とする。
前記耐力壁部10は、
柱状に形成された木製の一対の側材11と、
前記一対の側材11間に設けられて、当該一対の側材11に接合された耐力壁本体(12,20)と、
前記一対の側材11及び前記耐力壁本体における上下の端部に被せられて固定される鋼製の第二補強キャップ15と、を有しており、
上下各々の前記第二補強キャップ15は、
前記一対の側材11の端面と前記耐力壁本体の端面に接する平板部15aと、
前記平板部15aの外周縁部に沿って設けられるとともに前記平板部15aに一体形成されて前記一対の側材11及び前記耐力壁本体の側面に接する側壁部15bと、を有していることを特徴とする。
前記上下の鋼製梁2,3と前記耐力壁部10における前記一対の側材11のそれぞれが、前記鋼製梁2,3と前記側材11との間に亘って設けられた壁用連結部材13によって連結されており、
前記壁用連結部材13は、
前記側材11の上下の端面に形成された複数の差込穴11aの各々に差し込まれる鋼棒13aと、
前記差込穴11aと前記鋼棒13aとの間に充填された接着剤からなる接着剤層と、
前記鋼棒13aのうち前記側材11の上下の端面から突出する先端部に設けられるナット13bと、を有しており、
前記上下の鋼製梁2,3における前記フランジ2b,3bには、前記複数の差込穴11aに差し込まれた複数の前記鋼棒13aの前記先端部が挿通される複数の通孔が形成され、
前記第二補強キャップ15の前記平板部15aには、複数の前記鋼棒13aの前記先端部が挿通される複数の通孔15cが形成され、
前記ナット13bは、前記フランジ2b,3bと前記平板部15aの双方における前記複数の通孔15cの各々に挿通された状態の前記鋼棒13aの前記先端部に設けられていることを特徴とする。
また、第二補強キャップ15の平板部15aには、複数の鋼棒13aの先端部が挿通される複数の通孔15cが形成されているので、一対の側材11における上下の端面から複数の鋼棒13aを突出させた状態で、第二補強キャップ15を一対の側材11及び耐力壁本体における上下の端部に被せて固定することができる。
そして、一対の側材11に強固に接合固定された複数の鋼棒13aの先端部が、上下の鋼製梁2,3におけるフランジ2b,3bに形成された複数の通孔に挿通され、その先端部にナット13bに設けられているので、一対の側材11を上下の鋼製梁2,3に対して確実かつ強固に留め付けることができる。これにより、上下の鋼製梁2,3と耐力壁部10が、鋼製梁2,3と一対の側材11との間に亘って設けられた壁用連結部材13によって強固に連結されるので、十分な耐震性の確保に貢献できる。
前記耐力壁本体は、前記一対の側材11間に上下に亘って設けられた建築用木質パネル12によって構成されていることを特徴とする。
前記耐力壁本体は、
前記一対の側材11における上端部間と下端部間のそれぞれに架け渡されて設けられた上下の枠材16,17と、
前記一対の側材11と前記上下の枠材16,17とからなる矩形枠の内側に配置され、振動減衰手段を有する制振装置20と、を有しており、
前記制振装置20は、前記一対の側材11及び前記上下の枠材16,17に接合されていることを特徴とする。
前記耐力壁部10は、前記一対の側材11及び前記耐力壁本体における上端部に被せられて固定された前記第二補強キャップ15と上側の前記鋼製梁2との間に設けられ、振動減衰手段を有するダンパー装置30を更に有していることを特徴とする。
より詳細に説明すると、木造建物の躯体は、下鋼製梁3の上面に左右の管柱4,5が立設され、これら左右の管柱4,5の上端部間に上鋼製梁2が架け渡されて設けられることで構成されている。なお、1階の下鋼製梁3は、図示はしないが、基礎の上面に載せられ、基礎の上面から突出するアンカーボルトに対して固定されている。
なお、本実施形態の木造建物とは、例えば木造中高層建築物を指すが、これに限られるものではなく、低層建築物あるいは高層建築物であってもよい。また、本実施形態においては、木造建物は比較的規模の大きい建築物を指すものとするが、規模の小さい建築物であってもよい。
このような形鋼材である上鋼製梁2は、ウェブ2aと、上下のフランジ2bと、複数のスチフナ2cと、を備えている。
スチフナ2cは、ウェブ2aと上下のフランジ2bによって囲まれた凹部に設けられ、ウェブ2aと上下のフランジ2bに接合されている。また、複数のスチフナ2cは、上鋼製梁2の長さ方向に間隔を空けて配置されている。
管柱4の上端部及び下端部には、第一補強キャップ7の側壁部7bが接する装着面4aが形成されている。装着面4aは、管柱4の端部外周を周方向に沿って所定の幅で所定の深さ削って形成されたものであり、管柱4のうち第一補強キャップ7が設けられない位置の外周面との間に所定の段差を有している。所定の段差は、第一補強キャップ7の側壁部7bの厚み分に相当する。
また、管柱4の上下の端面には、架構連結部材6における複数の鋼棒6aが差し込まれる複数の差込穴4bが形成されている。本実施形態においては、複数の差込穴4bは、管柱4の上下の端面における四隅に、管柱4の長さ方向に沿って形成されている。四隅の差込穴4bのうち正面側に位置する差込穴4bは、上下の鋼製梁2,3におけるウェブ2a,3aよりも正面側に位置し、四隅の差込穴4bのうち背面側に位置する差込穴4bは、上下の鋼製梁2,3におけるウェブ2a,3aよりも背面側に位置する。
なお、差込穴4bの深さは、鋼棒6aの長さよりも寸法が短く設定されている。そのため、差込穴4bに差し込まれた鋼棒6aの先端部は、管柱4の上下の端面から突出した状態となる。
平板部7aは、管柱4の端面形状に合わせて正方形とされている。この平板部7aには、架構連結部材6における複数の鋼棒6aの先端部が挿通される複数の通孔7cが形成されている。また、平板部7aには、複数のビス孔が形成されており、平板部7aは、管柱4の端面にビス止めされている(接着剤の併用可)。
側壁部7bは、このような正方形の平板部7aにおける各辺に一体形成されて、平板部7aに直交した状態に立ち上がっている。これにより、側壁部7bは、管柱4の上端部及び下端部に形成された装着面4aに接する。
また、管柱5の上端部及び下端部には、第一補強キャップ7の側壁部7bが接する装着面5aが形成されている。また、管柱5の上下の端面には、架構連結部材6における複数の鋼棒6aが差し込まれる複数の差込穴5bが形成されている。
なお、鋼棒6aは、少なくとも先端部が雄ネジとされている。すなわち、鋼棒6aの少なくとも先端部にネジ山が形成されて、ナット6bの雌ネジにねじ込むことが可能に形成されている。
また、鋼棒6aのうち、差込穴4b,5bに差し込まれる部分は雄ネジとされていなくてもよいが、接着剤の付着力を高めるため、外周面に凹凸が形成されていることが好ましい。
より詳細に説明すると、管柱4,5の上下の端面には、複数の鋼棒6aが、その先端部を管柱4,5の上下の端面から突出させた状態となるように埋め込まれて、接着剤によって接合固定されている。
このような管柱4,5と複数の鋼棒6aとの接合方法は、グルードインロッド(GIR:Glued in Rod)と呼ばれるものである。すなわち、差込穴4b,5bと鋼棒6aとの空隙に接着剤を充填し、その接着剤の硬化により、応力を接着剤の付着力と鋼棒6aを介して伝達し、接合耐力を発生させる方法である。このような接合方法によれば、管柱4,5と鋼棒6aとを強固に接合固定できるので、管柱4,5の引き抜き抵抗力を向上させることができる。
管柱4,5の上下の端面に設けられた複数の鋼棒6aは、フランジ2b,3bに形成された複数の通孔の各々に挿通されている。このとき、第一補強キャップ7は、平板部7aが、フランジ2b,3bに接している。
ナット6bは、フランジ2b,3bに形成された複数の通孔の各々に挿通された状態の鋼棒6aの先端部に設けられて結合されている。これにより、上下の鋼製梁2,3と左右一対の管柱4,5とを連結することができて架構1を形成することができる。
このような耐力壁部10は、柱状に形成された木製の左右一対の側材11と、一対の側材11間に設けられて、当該一対の側材11に接合された木製の耐力壁本体と、一対の側材11及び耐力壁本体における上下の端部に被せられて固定される鋼製の第二補強キャップ15と、を有している。
また、一対の側材11における上下の端面には、壁用連結部材13における複数の鋼棒13aが差し込まれる複数の差込穴11aが形成されている。本実施形態においては、複数の差込穴11aは、側材11の上下の端面における四隅に、側材11の長さ方向に沿って形成されている。
なお、差込穴11aの深さは、鋼棒13aの長さよりも寸法が短く設定されている。そのため、差込穴11aに差し込まれた鋼棒13aの先端部は、側材11の上下の端面から突出した状態となる。
建築用木質パネル12とは、縦横の框材が矩形状に組み立てられるとともに、矩形枠の内部に補助桟材が縦横に組み付けられて枠体が構成され、この枠体の両面もしくは片面に、面材が貼設されたものであり、内部中空な構造となっている。本実施形態において面材は両面に貼設されている。また、内部中空部には、通常、グラスウールやロックウール等の断熱材(図示省略)が装填されている。ただし、耐力壁本体は、上記の建築用木質パネル12に限られるものではなく、合板釘打ちパネルやその他の木質パネルであってもよい。
そして、本実施形態の耐力壁本体は、正面上側の建築用木質パネル12と、正面下側の建築用木質パネル12と、背面上側の建築用木質パネル12と、背面下側の建築用木質パネル12によって構成されている。これら4枚の建築用木質パネル12は接着剤によって接合されている(ビス等の併用可)。
耐力壁本体を構成している複数の建築用木質パネル12は一対の側材11に対して接着されて接合されている。また、複数の建築用木質パネル12からなる耐力壁本体の正面と一対の側材11の正面は面一であり、耐力壁本体の背面と一対の側材11の背面は面一である。
平板部15aは、接合されて一体化している一対の側材11と耐力壁本体の端面に接するため、これら一対の側材11及び耐力壁本体の端面形状に合わせて長方形とされている。この平板部15aのうち一対の側材11の端面が接する位置には、壁用連結部材13における複数の鋼棒13aの先端部が挿通される複数の通孔15cが形成されている。また、平板部15aには、一対の側材11の端面が接する位置と耐力壁本体の端面が接する位置に複数のビス孔が形成されており、平板部15aは、一対の側材11と耐力壁本体の端面にビス止めされている(接着剤の併用可)。
側壁部15bは、このような長方形の平板部15aにおける各辺に一体形成されて、平板部15aに直交した状態に立ち上がっている。これにより、側壁部15bは、一対の側材11と耐力壁本体の上端部及び下端部における側面に接する。
なお、鋼棒13aは、少なくとも先端部が雄ネジとされている。すなわち、鋼棒13aの少なくとも先端部にネジ山が形成されて、ナット13bの雌ネジにねじ込むことが可能に形成されている。
また、鋼棒13aのうち、側材11の差込穴11aに差し込まれる部分は雄ネジとされていなくてもよいが、接着剤の付着力を高めるため、外周面に凹凸が形成されていることが好ましい。
より詳細に説明すると、一対の側材11における上下の端面には、複数の鋼棒13aが、その先端部を側材11における上下の端面から突出させた状態となるように埋め込まれて、接着剤によって接合固定されている。
このような側材11と複数の鋼棒13aとの接合方法は、グルードインロッドと呼ばれるものである。すなわち、差込穴11aと鋼棒13aとの空隙に接着剤を充填し、その接着剤の硬化により、応力を接着剤の付着力と鋼棒13aを介して伝達し、接合耐力を発生させる方法である。このような接合方法によれば、側材11と鋼棒13aとを強固に接合固定できるので、側材11の引き抜き抵抗力を向上させることができる。
また、ナット13bは、高ナット(長ナットともいう)とされており、全長が長く設定されていて、雌ネジ(ネジ山)が形成された孔部の一端と他端から別々の雄ネジをねじ込むことが可能となっている。
これら複数の通孔は、耐力壁部10側に位置するフランジ2b,3bのうちウェブ2a,3aの正面側と背面側に位置する部分にそれぞれ形成されている。
被固定部14は、ベースプレート14aと、複数の梁側固定ボルト14bと、を備えている。ベースプレート14aには、複数の梁側固定ボルト14bが挿通される複数の通孔が形成されている。また、複数の梁側固定ボルト14bは、ベースプレート14aに形成された複数の通孔に挿通され、頭部(ナットでもよい)はベースプレート14aに接した状態となる。
換言すれば、上側の壁用連結部材13におけるナット13bには、上側のフランジ2bを貫通している梁側固定ボルト14bの先端部と、壁用連結部材13の鋼棒13aの先端部が結合して、壁用連結部材13と被固定部14が連結された状態となっている。
そして、上鋼製梁2の上側のフランジ2bには被固定部14が設けられており、当該被固定部14における複数の梁側固定ボルト14bは、ベースプレート14aにおける複数の通孔に挿通されるとともに、上鋼製梁2の上側のフランジ2bに形成された複数の通孔に挿通され、その先端部は、壁用連結部材13のナット13bに結合された状態となっている。
換言すれば、下側の壁用連結部材13におけるナット13bには、下側のフランジ3bを貫通している梁側固定ボルト14bの先端部と、壁用連結部材13の鋼棒13aの先端部が結合して、壁用連結部材13と被固定部14が連結された状態となっている。
そして、下鋼製梁3の下側のフランジ3bには被固定部14が設けられており、当該被固定部14における複数の梁側固定ボルト14bは、ベースプレート14aにおける複数の通孔に挿通されるとともに、下鋼製梁3の下側のフランジ3bに形成された複数の通孔に挿通され、その先端部は、壁用連結部材13のナット13bに結合された状態となっている。
また、耐力壁部10のうち一対の側材11が、壁用連結部材13及び被固定部14を介して上下の鋼製梁2,3に固定されているため、耐力壁部10は、耐力壁本体の幅寸法の短いスパンで上下の鋼製梁2,3に固定されていることになる。そのため、上下の鋼製梁2,3と耐力壁部10との連結強度は極めて高い状態となっている。
仮に下階の耐力壁部10の上方に、上階の耐力壁部10が設けられるようにしたい場合は、被固定部14を省略し、上下階の耐力壁部10のための壁用連結部材13における高ナット13bを共通化する。すなわち、下階の耐力壁部10用の壁用連結部材13における鋼棒13aの上端部と、上階の耐力壁部10用の壁用連結部材13における鋼棒13aの下端部と、を共通の高ナット13bに結合するようにする。
このとき、耐力壁部10のうち上下の鋼製梁2,3に連結されている一方の側材11と他方の側材11には、上下に異なる向きの力(矢印A2,A3)が作用する。
そして、耐力壁部10のうち上下の鋼製梁2,3に連結されている一方の側材11と他方の側材11に作用する力は、上下の鋼製梁2,3を介して一対の管柱4,5に伝達されて上下に分散することとなる(矢印A4)。これにより、躯体は、十分な耐震性を確保できることとなる。
反対に、上下の鋼製梁2,3と一対の管柱4,5が架構連結部材6によって強固に連結されていないと、水平荷重(矢印A1)が加わったときに、一対の管柱4,5の、上下の鋼製梁2,3に対する接合部に大きな引き抜き力が作用することになる。そして、当該接合部がその大きな引き抜き力に抵抗しきれなくなってしまうと、耐力壁部10のうち上下の鋼製梁2,3に連結されている一方の側材11と他方の側材11に作用する力は、上下の鋼製梁2,3を介して一対の管柱4,5に伝達されなくなってしまうため、躯体は十分な耐震性を確保できなくなる。
要するに、本実施形態においては、上下の鋼製梁2,3と一対の管柱4,5が架構連結部材6によって強固に連結されていることによって、水平荷重に抗する耐力壁部10における一対の側材11の軸力を、上下の鋼製梁2,3を介して一対の管柱4,5に伝達できるので、水平荷重を効果的に分散できるようになる。
すなわち、上下の鋼製梁2,3と一対の管柱4,5のそれぞれは、鋼製梁2,3と管柱4,5との間に亘って設けられた架構連結部材6によって連結されているので、架構連結部材6によって鋼製梁2,3と管柱4,5とを強固に連結することができる。
そして、上下の鋼製梁2,3と一対の管柱4,5とからなる架構1の内側に、耐力壁部10が配置され、この耐力壁部10の上端部が上側の鋼製梁2に固定されるとともに、下端部が下側の鋼製梁3に固定されているので、建物躯体に水平荷重が加わった際に、耐力壁部10によって架構1の変形を抑制しようとし、そのときに耐力壁部10に作用する力を、上下の鋼製梁2,3を介して、架構連結部材6によって当該上下の鋼製梁2,3に強固に連結された一対の管柱4,5に伝達できる。
これにより、建物躯体に加わった水平荷重を効果的に分散させることができるので、建物躯体は、十分な耐震性を確保することが可能となる。
そして、管柱4,5に強固に接合固定された複数の鋼棒6aの先端部が、上下の鋼製梁2,3におけるフランジ2b,3bに形成された複数の通孔に挿通され、その先端部にナット6bが設けられているので、管柱4,5を上下の鋼製梁2,3に対して確実かつ強固に留め付けることができる。これにより、上下の鋼製梁2,3と一対の管柱4,5のそれぞれが、鋼製梁2,3と管柱4,5との間に亘って設けられた架構連結部材6によって強固に連結されるので、十分な耐震性の確保に貢献できる。
また、第二補強キャップ15の平板部15aには、複数の鋼棒13aの先端部が挿通される複数の通孔15cが形成されているので、一対の側材11における上下の端面から複数の鋼棒13aを突出させた状態で、第二補強キャップ15を一対の側材11及び耐力壁本体における上下の端部に被せて固定することができる。
そして、一対の側材11に強固に接合固定された複数の鋼棒13aの先端部が、上下の鋼製梁2,3におけるフランジ2b,3bに形成された複数の通孔に挿通され、その先端部にナット13bに設けられているので、一対の側材11を上下の鋼製梁2,3に対して確実かつ強固に留め付けることができる。これにより、上下の鋼製梁2,3と耐力壁部10が、鋼製梁2,3と一対の側材11との間に亘って設けられた壁用連結部材13によって強固に連結されるので、十分な耐震性の確保に貢献できる。
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下、変形例について説明する。以下に挙げる変形例は可能な限り組み合わせてもよい。また、以下の各変形例において、上述の実施形態と共通する要素については、共通の符号を付し、説明を省略又は簡略する。
本変形例の建物躯体においては、図4に示すように、一対の管柱40,50が鋼製とされており、角筒状に形成された柱本体と、当該柱本体の上下の端面に接合されて、上下の鋼製梁2,3におけるフランジ2b,3bに接するベースプレート41,51と、柱本体における上端部及び下端部の側面とベースプレート41,51との双方に固定されるリブプレート42,52と、を備えている。
そして、一対の管柱40,50と上下の鋼製梁2,3は、ボルト及びナットからなる架構連結部材60によって強固に連結されている。
その上、ベースプレート41,51は、管柱40,50の側面よりも左右方向及び正背方向に張り出している。すなわち、ベースプレート41,51は、管柱40,50に対して四方に張り出した状態となっている。そして、このようなベースプレート41,51の四隅には、架構連結部材60のボルトが挿通される通孔がそれぞれ形成されている。四隅の通孔のうち正面側に位置する通孔は、上下の鋼製梁2,3におけるウェブ2a,3aよりも正面側に位置し、四隅の通孔のうち背面側に位置する通孔は、上下の鋼製梁2,3におけるウェブ2a,3aよりも背面側に位置する。
なお、管柱40,50のうち下端部に設けられるリブプレート42,52は、左右に2枚ずつ、前後に2枚ずつ設けられている。一方、上端部に設けられるリブプレート42,52は、左右に2枚ずつ設けられている。ただし、リブプレート42,52の接合箇所や枚数は、これに限られるものではない。
このようなリブプレート42,52が、柱本体における上端部及び下端部の側面とベースプレート41,51の双方に固定されることで、柱本体に対するベースプレート41,51の接合強度を向上でき、管柱40,50における上端部及び下端部の剛性向上に寄与する。
そして、架構連結部材60のボルトは、管柱40,50のベースプレート41,51の四隅に形成された通孔と、フランジ2b,3bに形成された通孔に挿通され、その先端部にナットがねじ込まれて設けられる。これにより、管柱40,50を上下の鋼製梁2,3に強固に連結できるようになっている。
また、これら2つの制振装置20の厚さは、一対の側材11における正背方向の寸法の半分程度とされている。そして、このような制振装置20の後方(背側)には、例えば同一の厚さの建築用木質パネルが設けられてもよい。つまり、制振装置20と建築用木質パネルとを厚さ方向に重なるように並べて配置してもよい。
また、この縦フレームのうち外周板部は、側材11の内側面に接し、長さ方向に間隔を空けた複数の箇所が側材11に対してビス固定されている。
横フレームのうち外周板部は、上枠材16・下枠材17に接し、長さ方向に間隔を空けた複数の箇所が上枠材16・下枠材17に対してビス固定されている。
支持部22は、正面視において略台形状に形成された板材によって構成されており、矩形フレーム21の中央側に向かうにつれて先細りするように状態となっている。一対の支持部22は間隔を空けて配置されており、これら一対の支持部22間には上下に長尺な振り子部材23の中央部が架け渡されて支持されている。
このような振り子部材23は、一対の支持部22によって長手方向中央部が支持されており、地震等の振動によって矩形フレーム21が変形して一対の支持部22が変位した場合に、当該一対の支持部21間の略中央部を中心として振れるように構成されている。
これによって、振り子部材23は、一対の支持部22によって回転軸を介して支持されている。振り子部材23は、地震等の振動によって一対の支持部22が変位した場合に、一対の支持部22間の略中央部、換言すれば、双方の回転軸間の中央部を中心として振れるように構成されている。
プレート24cの一端部は、ボックス24aよりも矩形フレーム21の中央側に突出しており、この突出している一端部は、振り子部材23の長さ方向端部に連結されている。したがって、振り子部材23が、一対の支持部22間の略中央部を中心として振れた場合には、制振部材24bに対して運動エネルギーが伝わるようになっている。
なお、制振ボックス24のボックス24a、プレート24c等は鉄やアルミニウム等の金属で形成されている。
そして、このように上下に並んで配置された制振装置20によって、架構1に生じた振動を抑えることができる。これによって、架構1を含んで構成された建物躯体のエネルギー吸収性能の向上を図ることができるので、例えば地震時や台風時の水平荷重に対して十分に抵抗できるようになり、比較的規模の大きい木造建物を構築する上で有利となる。
そして、上下の鋼製梁2,3と一対の管柱40,50とからなる架構1の内側に、耐力壁部10が配置され、この耐力壁部10の上端部が上側の鋼製梁2に固定されるとともに、下端部が下側の鋼製梁3に固定されているので、建物躯体に水平荷重が加わった際に、耐力壁部10によって架構1の変形を抑制しようとし、そのときに耐力壁部10に作用する力を、上下の鋼製梁2,3を介して、架構連結部材60によって当該上下の鋼製梁2,3に強固に連結された一対の管柱40,50に伝達できる。
これにより、建物躯体に加わった水平荷重を効果的に分散させることができるので、建物躯体は、十分な耐震性を確保することが可能となる。
本変形例の建物躯体においては、図6に示すように、耐力壁部10が、一対の側材11及び耐力壁本体における上端部に被せられて固定された第二補強キャップ15と上鋼製梁2との間に設けられ、振動減衰手段を有するダンパー装置30を更に有している。
なお、耐力壁本体は、一対の側材11間に上下に亘って設けられた複数の建築用木質パネル12によって構成されている。
一方、耐力壁部10の上端部は、ダンパー装置30に固定されている。そして、このダンパー装置30は、上鋼製梁2に対して強固に固定されている。
制振ボックス31は、下面が開口した箱状のボックスと、このボックス内に取り付けられた一対の制振部材と、これら一対の制振部材間に挿入されかつ当該一対の制振部材に固着されたプレート31aと、を有している。
なお、制振部材としては、例えば高減衰ゴムによって形成された粘弾性体を使用しており、振動減衰手段として機能する。
プレート31aの下端部は、ボックスよりも下方に突出しており、この突出している下端部は、連結フレーム32の上端部にボルト固定されている。
固定板部32aのうち一対の側材11の上方に位置する箇所には、一対の側材11の上端面から上方に突出する壁用連結部材13の複数の鋼棒13aが挿通される通孔が形成されている。そして、一対の側材11の上端面から上方に突出した複数の鋼棒13aは、固定板部32aに形成された複数の通孔に挿通され、その先端部にナット13bが設けられて結合している。これによって、連結フレーム32を一対の側材11及び耐力壁本体の上端部に強固に固定できるようになっている。
複数のプレート31aにおける下端部は、連結フレーム32の立ち上がり板部32bにボルト固定されているので、一対の側材11及び耐力壁本体における上端部は、ダンパー装置30を介して上鋼製梁2に固定された状態となる。
なお、一対の側材11の上端面から上方に突出した複数の鋼棒13aの先端部に設けられるナット13bは高ナットではない。
そして、上下の鋼製梁2,3と一対の管柱4,5とからなる架構1の内側に、耐力壁部10が配置され、この耐力壁部10の上端部が上側の鋼製梁2に固定されるとともに、下端部が下側の鋼製梁3に固定されているので、建物躯体に水平荷重が加わった際に、耐力壁部10によって架構1の変形を抑制しようとし、そのときに耐力壁部10に作用する力を、上下の鋼製梁2,3を介して、架構連結部材6によって当該上下の鋼製梁2,3に強固に連結された一対の管柱4,5に伝達できる。
これにより、建物躯体に加わった水平荷重を効果的に分散させることができるので、建物躯体は、十分な耐震性を確保することが可能となる。
2 上鋼製梁
2b フランジ
3 下鋼製梁
3b フランジ
4 管柱
4b 差込穴
5 管柱
5b 差込穴
6 架構連結部材
6a 鋼棒
6b ナット
7 第一補強キャップ
10 耐力壁部
11 側材
11a 差込穴
12 建築用木質パネル
13 壁用連結部材
13a 鋼棒
13b ナット
14 被固定部
15 第二補強キャップ
15a 平板部
15b 側壁部
15c 通孔
Claims (9)
- 上下の鋼製梁と、
前記上下の鋼製梁間に設けられた一対の管柱と、
前記上下の鋼製梁と前記一対の管柱とからなる架構の内側に配置され、かつ、上端部が上側の前記鋼製梁に固定されるとともに、下端部が下側の前記鋼製梁に固定された耐力壁部と、を備えており、
前記上下の鋼製梁と前記一対の管柱のそれぞれは、前記鋼製梁と前記管柱との間に亘って設けられた架構連結部材によって連結されていることを特徴とする建物躯体構造。 - 請求項1に記載の建物躯体構造において、
前記上下の鋼製梁は、ウェブと、前記一対の管柱が接するフランジと、を有する形鋼材であり、
前記一対の管柱は木製であり、
前記架構連結部材は、
前記管柱の上下の端面に形成された複数の差込穴の各々に差し込まれる鋼棒と、
前記差込穴と前記鋼棒との間に充填された接着剤からなる接着剤層と、
前記鋼棒のうち前記管柱の上下の端面から突出する先端部に設けられるナットと、を有しており、
前記上下の鋼製梁における前記フランジには、前記複数の差込穴に差し込まれた複数の前記鋼棒の前記先端部が挿通される複数の通孔が形成されていて、
前記ナットは、前記複数の通孔の各々に挿通された状態の前記鋼棒の前記先端部に設けられていることを特徴とする建物躯体構造。 - 請求項2に記載の建物躯体構造において、
前記管柱の上下の端部には鋼製の第一補強キャップが被されて固定され、
上下各々の前記第一補強キャップは、
前記管柱の前記端面に接する平板部と、
前記平板部の外周縁部に沿って設けられるとともに前記平板部に一体形成されて前記管柱の側面に接する側壁部と、を有し、
前記平板部には、複数の前記鋼棒の前記先端部が挿通される複数の通孔が形成されていることを特徴とする建物躯体構造。 - 請求項1に記載の建物躯体構造において、
前記上下の鋼製梁は、ウェブと、前記一対の管柱が接するフランジと、を有する形鋼材であり、
前記一対の管柱は鋼製であって、柱本体と、当該柱本体の上下の端面に接合されて前記フランジに接するベースプレートと、を有しており、
前記架構連結部材は、ボルト及びナットであり、
前記上下の鋼製梁における前記フランジと、前記一対の管柱における前記ベースプレートの双方には、複数の前記ボルトが挿通される複数の通孔がそれぞれ形成されていて、前記ナットは、前記フランジと前記ベースプレートの双方における前記複数の通孔の各々に挿通された状態の前記ボルトの先端部に設けられていることを特徴とする建物躯体構造。 - 請求項2から4のいずれか一項に記載の建物躯体構造において、
前記耐力壁部は、
柱状に形成された木製の一対の側材と、
前記一対の側材間に設けられて、当該一対の側材に接合された耐力壁本体と、
前記一対の側材及び前記耐力壁本体における上下の端部に被せられて固定される鋼製の第二補強キャップと、を有しており、
上下各々の前記第二補強キャップは、
前記一対の側材の端面と前記耐力壁本体の端面に接する平板部と、
前記平板部の外周縁部に沿って設けられるとともに前記平板部に一体形成されて前記一対の側材及び前記耐力壁本体の側面に接する側壁部と、を有していることを特徴とする建物躯体構造。 - 請求項5に記載の建物躯体構造において、
前記上下の鋼製梁と前記耐力壁部における前記一対の側材のそれぞれが、前記鋼製梁と前記側材との間に亘って設けられた壁用連結部材によって連結されており、
前記壁用連結部材は、
前記側材の上下の端面に形成された複数の差込穴の各々に差し込まれる鋼棒と、
前記差込穴と前記鋼棒との間に充填された接着剤からなる接着剤層と、
前記鋼棒のうち前記側材の上下の端面から突出する先端部に設けられるナットと、を有しており、
前記上下の鋼製梁における前記フランジには、前記複数の差込穴に差し込まれた複数の前記鋼棒の前記先端部が挿通される複数の通孔が形成され、
前記第二補強キャップの前記平板部には、複数の前記鋼棒の前記先端部が挿通される複数の通孔が形成され、
前記ナットは、前記フランジと前記平板部の双方における前記複数の通孔の各々に挿通された状態の前記鋼棒の前記先端部に設けられていることを特徴とする建物躯体構造。 - 請求項6に記載の建物躯体構造において、
前記耐力壁本体は、前記一対の側材間に上下に亘って設けられた建築用木質パネルによって構成されていることを特徴とする建物躯体構造。 - 請求項6に記載の建物躯体構造において、
前記耐力壁本体は、
前記一対の側材における上端部間と下端部間のそれぞれに架け渡されて設けられた上下の枠材と、
前記一対の側材と前記上下の枠材とからなる矩形枠の内側に配置され、振動減衰手段を有する制振装置と、を有しており、
前記制振装置は、前記一対の側材及び前記上下の枠材に接合されていることを特徴とする建物躯体構造。 - 請求項5に記載の建物躯体構造において、
前記耐力壁部は、前記一対の側材及び前記耐力壁本体における上端部に被せられて固定された前記第二補強キャップと上側の前記鋼製梁との間に設けられ、振動減衰手段を有するダンパー装置を更に有していることを特徴とする建物躯体構造。
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