JP2025082713A - 色糸を製造する方法、色糸、布、及び紡績機 - Google Patents
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Abstract
【課題】糸の製造時に色を容易に変更でき、且つ、芯繊維を含む色糸を製造する方法、色糸、布、及び紡績機を提供する。
【解決手段】モノフィラメント、マルチフィラメント、及び弾性繊維の少なくとも1つを含む芯繊維200に対して、芯繊維200とは異なる色のカバー繊維210を巻き付けることで、少なくとも2色を有する糸Yを製造する。
【選択図】図5
【解決手段】モノフィラメント、マルチフィラメント、及び弾性繊維の少なくとも1つを含む芯繊維200に対して、芯繊維200とは異なる色のカバー繊維210を巻き付けることで、少なくとも2色を有する糸Yを製造する。
【選択図】図5
Description
本発明は、色糸を製造する方法、色糸、布、及び紡績機に関する。
従来、例えば空気紡績装置における糸の製造について言及されている(特許文献1参照)。
色糸を製造する場合に、予め2色の繊維が混ぜられたスライバを用いて、特許文献1に記載された空気紡績装置により色糸が製造されていた。この場合、例えば、色を変更するためには、空気紡績装置に供給するスライバを変更する必要があり、作業に手間を要する。また、芯繊維を含む色糸の製造も望まれていた。
本発明は、糸の製造時に色を容易に変更でき、且つ、芯繊維を含む色糸を製造する方法、色糸、布、及び紡績機を提供することを目的とする。
[1]本発明の一態様に係る色糸を製造する方法では、モノフィラメント、マルチフィラメント、及び弾性繊維の少なくとも1つを含む芯繊維に対して、芯繊維とは異なる色のカバー繊維を巻き付けることで、少なくとも2色を有する色糸を製造する。
上記[1]の方法によれば、芯繊維を含む色糸を製造することができる。例えば、芯繊維のみを変更するだけで、色糸の色を変更することができる。なお、カバー繊維を変更してもよい。よって、色糸の製造時に色を容易に変更できる。メランジ調を呈する糸の多品種生産が可能である。
[2]上記[1]の方法において、芯繊維は、芯繊維が製造される段階で原着により着色されていてもよい。例えば、芯繊維が染色工程を経て製造される場合には、製造期間が長くなってしまう。また染色工程は環境負荷の観点でも好ましくない。原着による着色は、製造期間(納期)の短縮にもつながり、且つ、環境負荷の観点でも好ましい。
[3]上記[1]又は[2]の方法において、1台の紡績機において第一巻取ユニット及び第二巻取ユニットが設けられており、第一巻取ユニット及び第二巻取ユニットにおいて芯繊維の色が異なっていてもよい。この場合、1台の紡績機に設けられた複数の巻取ユニットの中で、異なる色の色糸を製造できる。つまり、第一巻取ユニットにおいて製造される色糸と、第二巻取ユニットにおいて製造される色糸とで、色を異ならせることができる。また、芯繊維の色を異ならせることは、芯糸供給装置にセットされる芯糸パッケージが異なることを意味する。本明細書において、単に「色」という場合、黒、白、赤、橙、青、黄、緑、茶、灰等の単色としての色を意味する場合もあり、また、濃度や見え方などの概念を含んだ「色合い」を意味する場合もある。
[4]上記[3]の方法において、第一巻取ユニット及び第二巻取ユニットにおいてカバー繊維の色は同じであってもよい。この場合、1台の紡績機に設けられた複数の巻取ユニットの中で、異なる色の色糸を容易に製造できる。同一種類のケンス(スライバ)を配置するだけでよく、作業効率も向上する。また、例えば第一巻取ユニットにおけるカバー繊維により生じる風綿が、第二巻取ユニットに付着しても問題が生じない。
[5]上記[1]~[4]の何れか一つの方法において、芯繊維に対するカバー繊維の重量比を変更することにより、色糸の色合いを変更してもよい。重量比の変更は容易である。よって、製造される色糸の色合いを容易に変更できる。
[6]上記[1]~[5]の何れか一つの方法において、芯繊維の本数、形状、及び太さの少なくとも1つを変更することにより、色糸の色合いを変更してもよい。芯繊維に関するこれらのスペックの変更は容易である。よって、製造される色糸の色合いを容易に変更できる。
[7]上記[1]~[6]の何れか一つの方法において、紡績速度を変化させることにより、色糸の色合いを変更してもよい。紡績速度の変更は容易である。よって、製造される色糸の色合いを容易に変更できる。
[8]上記[1]~[7]の何れか一つの方法において、速度比及び張力値の少なくとも1つを変更することにより、色糸の色合いを変更してもよい。これらの運転条件の変更は容易である。よって、製造される色糸の色合いを容易に変更できる。
[9]上記[1]~[8]の何れか一つの方法によって製造される色糸が提供されてもよい。
[10]上記[9]の色糸を含む布が提供されてもよい。
[11]本発明の別の態様に係る紡績機は、モノフィラメント、マルチフィラメント、及び弾性繊維の少なくとも1つを含む芯繊維からなる芯糸を供給する芯糸供給装置と、芯繊維とは異なる色を有する繊維束をドラフトするドラフト装置と、芯糸供給装置から供給された芯糸を芯としてドラフト装置でドラフトされた繊維束を紡績することにより、繊維束がカバー繊維として芯糸に巻き付けられた少なくとも2色を有する色糸を生成するエアジェット紡績装置と、色糸をパッケージに巻き取る巻取装置と、を備える。
上記[11]の紡績機によれば、芯糸供給装置にセットされる芯繊維のみを変更するだけで、色糸の色を変更することができる。なお、色糸の色を変更するために、カバー繊維を変更してもよい。よって、色糸の製造時に色を容易に変更できる。メランジ調を呈する糸の多品種生産が可能である。
[12]本発明の更に別の態様に係る色糸は、モノフィラメント、マルチフィラメント、及び弾性繊維の少なくとも1つを含む芯繊維と、芯繊維とは異なる色を有し芯繊維に巻き付けられたカバー繊維と、を含む。色糸は、少なくとも2色を有するメランジ調を呈する糸である。
上記[12]の色糸によれば、芯繊維のみを変更するだけで、色糸の色を変更することができる。なお、色糸の色を変更するために、カバー繊維を変更してもよい。よって、色糸の製造時に色を容易に変更できる。メランジ調を呈する糸の多品種生産が可能である。
本発明によれば、芯繊維を含む色糸を製造することができる。色糸の製造時に色を容易に変更できる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
図1に示されるように、紡績機1(空気紡績機)は、複数の紡績ユニット(巻取ユニット)2と、糸継台車3と、第1エンドフレーム4と、第2エンドフレーム5と、を備えている。複数の紡績ユニット2は、一列に配列されている。各紡績ユニット2は、糸(色糸)Yを生成し、当該糸YをボビンBに巻き取ってパッケージPを形成する。ある紡績ユニット2で糸Yが切断されたり、何らかの理由で糸Yが切れたりした場合、糸継台車3は、当該紡績ユニット2に対して糸継動作を行う。第1エンドフレーム4には、紡績ユニット2の各部において空気の旋回流等を発生させるための空気供給源及び/又は紡績ユニット2の各部において吸引流を発生させるための吸引源等が収容されている。
第2エンドフレーム5には、紡績ユニット2の各部に動力を供給するための駆動モータ等が収容されている。第2エンドフレーム5には、機台制御装置Eと、表示部Dと、入力キーGと、が設けられている。機台制御装置Eは、紡績機1の各部を集中的に管理及び制御する。表示部Dは、紡績ユニット2の設定内容及び/又は状態に関する情報等を表示することができる。オペレータが入力キーGを用いて適宜の操作を行うことにより、紡績ユニット2の設定作業を行うことができる。
以下の説明では、スライバS、繊維束F及び糸Yの走行経路において、スライバSが供給される側を上流側といい、糸Yが巻き取られる側を下流側という。紡績ユニット2に対して糸Yが走行する側を前側といい、その反対側を後側という。本実施形態では、複数の紡績ユニット2の配列方向に延在する作業通路(図示省略)が紡績機1の前側に設けられている。オペレータは、作業通路から各紡績ユニット2の操作及び監視等を行うことができる。
図1及び図2に示されるように、各紡績ユニット2は、上流側から順に、ドラフト装置6及び芯糸供給装置7と、空気紡績装置8と、糸監視装置9と、張力検出センサ10と、糸貯留装置11と、ワキシング装置12と、巻取装置13と、を備えている。これらの装置は、上流側が機台高さ方向において上側となるように(すなわち、下流側が機台高さ方向において下側となるように)、機台フレームによって直接的に又は間接的に支持されている。
ユニットコントローラ15は、所定数の紡績ユニット2ごとに設けられており、紡績ユニット2の動作を制御する。ユニットコントローラ15は、機台制御装置Eから出力される情報(信号)に基づいて、紡績ユニット2の動作を制御する。
ドラフト装置6は、スライバSをドラフトする。ドラフト装置6は、スライバSの走行方向において上流側から順に、バックローラ対16と、サードローラ対17と、ミドルローラ対18と、フロントローラ対19と、を有している。各ローラ対16,17,18,19は、ボトムローラと、トップローラと、を有している。ボトムローラは、第2エンドフレーム5に設けられた駆動モータ又は各紡績ユニット2に設けられた駆動モータにより回転駆動される。ミドルローラ対18のトップローラに対しては、エプロンベルト18aが設けられている。ミドルローラ対18のボトムローラに対しては、エプロンベルト18bが設けられている。
芯糸供給装置7は、芯糸パッケージCPから芯糸Cを解舒して、ドラフト装置6に芯糸Cを供給する。具体的には、芯糸供給装置7は、ミドルローラ対18とフロントローラ対19との間から、繊維束Fの走行経路上に芯糸Cを供給する。これにより、芯糸供給装置7から供給された芯糸Cが空気紡績装置8に供給される。
空気紡績装置8は、芯糸供給装置7から供給された芯糸Cを芯として、ドラフト装置6でドラフトされた繊維束Fに空気の旋回流によって撚りを与えて糸Yを生成する。より詳細には(ただし、図示省略)、空気紡績装置8は、紡績室と、繊維案内部と、旋回空気流発生ノズルと、中空ガイド軸体と、を有している。繊維案内部は、上流に配置された芯糸供給装置7から供給された芯糸Cとドラフト装置6から供給された繊維束Fとを紡績室内に案内する。旋回空気流発生ノズルは、芯糸C及び繊維束Fが走行する経路の周囲に配置されている。旋回空気流発生ノズルから空気が噴射されることにより、紡績室内に旋回空気流が発生する。この旋回空気流によって、繊維束Fを構成する複数の繊維の各繊維端が反転されて旋回させられる。中空ガイド軸体は、糸Yを紡績室内から空気紡績装置8の外部に案内する。
糸監視装置9は、空気紡績装置8と糸貯留装置11との間において、走行する糸Yの情報を監視して、監視した情報に基づいて糸欠陥の有無を検出する。糸監視装置9は、糸欠陥を検出した場合、糸欠陥検出信号をユニットコントローラ15に送信する。糸監視装置9は、糸欠陥として、例えば、糸Yの太さ異常及び/又は糸Yに含有されている異物を検出する。糸監視装置9は、糸切れ等も検出する。張力検出センサ10は、空気紡績装置8と糸貯留装置11との間において、走行する糸Yの張力を測定し、張力測定信号をユニットコントローラ15に送信する。糸監視装置9及び/又は張力検出センサ10の検出結果に基づきユニットコントローラ15が異常有りと判断した場合、紡績ユニット2において、糸Yが切断される。
具体的には、空気紡績装置8への空気の供給が停止されて、糸Yの生成が中断されることにより、糸Yが切断される。或いは、別途設けられたカッターにより糸Yが切断されるようにしてもよい。空気紡績装置8による紡績の中断に関連して、ドラフト装置6によるドラフト動作(具体的には、バックローラ対16とサードローラ対17の回転)と、芯糸供給装置7による芯糸Cの供給動作が停止される。
ワキシング装置12は、糸貯留装置11と巻取装置13との間において、糸Yにワックスを付与する。
糸貯留装置11は、空気紡績装置8と巻取装置13との間において、糸Yを貯留する。糸貯留装置11は、外周面に糸Yが巻かれることにより糸Yを貯留する糸貯留ローラを備えている。糸貯留装置11は、空気紡績装置8から糸Yを安定して引き出す機能、糸継台車3による糸継動作時等に空気紡績装置8から送り出される糸Yを滞留させて糸Yが弛むのを防止する機能、及び糸貯留装置11よりも下流側の糸Yの張力の変動が空気紡績装置8に伝わるのを防止する機能を有している。
巻取装置13は、空気紡績装置8により生成された糸YをボビンBに巻き取ってパッケージPを形成する。巻取装置13は、クレードルアーム21と、巻取ドラム22と、トラバースガイド23と、を有している。クレードルアーム21は、ボビンBを回転可能に支持する。クレードルアーム21は、支軸24によって揺動可能に支持されており、ボビンBの表面又はパッケージPの表面を巻取ドラム22の表面に適切な圧力で接触させる。第2エンドフレーム5に設けられた駆動モータ(図示省略)が、複数の紡績ユニット2の巻取ドラム22を一斉に駆動する。これにより、各紡績ユニット2において、ボビンB又はパッケージPが巻取方向に回転させられる。各紡績ユニット2のトラバースガイド23は、複数の紡績ユニット2で共有されるシャフト25に設けられている。第2エンドフレーム5の駆動モータがシャフト25を巻取ドラム22の回転軸方向に往復駆動することによって、回転するボビンB又はパッケージPに対してトラバースガイド23が糸Yを所定幅でトラバースする。
糸継台車3は、ある紡績ユニット2において糸Yが切断されたり、何らかの理由で糸Yが切れたりした場合、当該紡績ユニット2まで走行して、糸継動作を行う。糸継台車3は、糸継装置26と、サクションパイプ27と、サクションマウス28と、を有している。サクションパイプ27は、支軸27aによって回動可能に支持されており、空気紡績装置8からの糸Yを捕捉して糸継装置26に案内する。サクションマウス28は、支軸28aによって回動可能に支持されており、巻取装置13からの糸Yを捕捉して糸継装置26に案内する。糸継装置26は、案内された糸Y同士の糸継ぎを行う。糸継装置26は、空気を用いるスプライサ、又は糸Yを機械的に継ぐノッター等である。
糸継台車3が糸継動作を行うとき、パッケージPを反巻取方向に回転(逆回転)させる。このときには、パッケージPが巻取ドラム22から離間するようにクレードルアーム21がエアシリンダ(図示省略)によって移動させられ、糸継台車3に設けられた逆回転用ローラ(図示省略)によってパッケージPが逆回転させられる。
続いて、芯糸供給装置7について詳細に説明する。図2に示されるように、芯糸供給装置7は、パッケージ支持部50と、芯糸供給ユニット51と、芯糸案内部52と、を備えている。
パッケージ支持部50は、芯糸パッケージCPの中心線が水平且つ前後方向に延在した状態で、芯糸パッケージCPを保持する。芯糸パッケージCPは、芯糸ボビン(図示省略)に芯糸Cが巻き付けられて形成されている。芯糸Cは、芯糸パッケージCPから解舒され、芯糸Cを案内するガイドローラ53を介して、芯糸供給ユニット51に供給される。
芯糸供給ユニット51は、供給された芯糸Cに張力を付与する機能、当該芯糸Cに弛みを付与する機能、及び当該芯糸C(当該芯糸Cの糸端)を送出する機能を有している。芯糸案内部52は、芯糸Cをドラフト装置6に案内する筒状の部材である。
図3に示されるように、芯糸供給ユニット51は、ユニットベース60と、張力付与機構70と、弛み付与機構80と、芯糸監視装置90と、芯糸送出機構100と、を備えている。以下の説明では、芯糸供給ユニット51における芯糸Cの走行経路において、芯糸パッケージCP側を上流側といい、芯糸案内部52側を下流側という。
ユニットベース60は、芯糸Cの供給方向の上流側から順に、張力付与機構70、弛み付与機構80、芯糸監視装置90及び芯糸送出機構100を支持している。ユニットベース60の最上流側には、芯糸Cを案内する芯糸ガイド61が設けられている。
張力付与機構70は、芯糸ガイド61よりも芯糸Cの供給方向の下流側において、芯糸Cに張力を付与する。図4に示されるように、張力付与機構70は、張力付与部71と、保持部72と、を有している。
張力付与部71は、図4(a)に示されるように、固定片(屈曲部)73と、可動片(屈曲部)74と、を有している。張力付与部71は、固定片73及び可動片74に芯糸Cが交互に掛けられることにより、芯糸Cを複数回屈曲させる。芯糸Cを屈曲させる回数は、例えば20回以下(好ましくは、2回~10回)とする。
固定片73は、ユニットベース60に固定されている。可動片74は、固定片73に設けられた支軸(図示省略)に支持され、固定片73に対して開閉(回動)可能である。可動片74は、固定片73に設けられたバネ(図示省略)によって、固定片73に対して開く方向に付勢されている。
より具体的な構成として、固定片73には、複数のシャフト73aが芯糸Cの供給方向において所定の間隔をあけて設けられている。可動片74には、固定片73側に突出した複数の突起74aが設けられている。この各突起74aは、固定片73に対して可動片74が閉じると(図4(b)の状態)、芯糸Cの供給方向において、各シャフト73aと交互に位置する。各突起74aの先端部分には、芯糸Cが通される孔74bが形成されている。芯糸Cは、各シャフト73aと各孔74bとに対して、交互に掛けられている。
図4(a)に示されるように、固定片73に対して可動片74が開くと、芯糸Cは複数回屈曲させられる。これにより、芯糸Cに張力が付与される。このときの張力付与部71の状態を、張力付与状態とする。図4(b)に示されるように、固定片73に対して可動片74が閉じると、芯糸Cが略直線状となる。これにより、芯糸Cに張力が付与されなくなる。このときの張力付与部71の状態を、張力非付与状態とする。
保持部72は、固定片73に対して可動片74を開閉させる。図4(a)及び図4(b)に示されるように、保持部72は、保持部材75と、エアシリンダ76と、を有している。
保持部材75は、エアシリンダ76によって、可動片74に対して当接及び離間させられる。より具体的には、保持部材75には、固定片73の反対側から可動片74に当接する先端部75aが設けられている。先端部75aは、エアシリンダ76に空気が供給されると、下側(固定片73に対して可動片74が閉じる方向)に移動させられる。先端部75aは、エアシリンダ76への空気の供給が停止されると、可動片74から離間して上側(固定片73に対して可動片74が開く方向)に移動させられる。
先端部75aが下側に移動すると、可動片74は先端部75aに押圧されて固定片73に対して閉じる。このため、張力付与部71は張力非付与状態となる。先端部75aが上側に移動すると、可動片74はバネの付勢力によって固定片73に対して開く。このため、張力付与部71は張力付与状態となる。
弛み付与機構80は、張力付与機構70よりも芯糸Cの供給方向の下流側において、芯糸Cに弛みを付与する。図3に示されるように、弛み付与機構80は、弛み付与部81と、エアシリンダ82と、を有している。弛み付与部81は、ユニットベース60に取り付けられた支軸81cによって回動可能に支持されたアームである。この弛み付与部81は、エアシリンダ82によって回動させられる。
より具体的な構成として、弛み付与部81の先端部分には、芯糸Cが通る孔部83が設けられている。孔部83は、エアシリンダ82に空気が供給されると、芯糸Cの走行経路から離れた位置(図3における二点鎖線の位置)に移動させられる。孔部83は、エアシリンダ82への空気の供給が停止されると、芯糸Cの走行経路(図3における実線の位置)に移動させられる。
孔部83が芯糸Cの走行経路(図3における実線の位置)から芯糸Cの走行経路から離れた位置(図3における二点鎖線の位置)に移動させられると、芯糸Cは孔部83の縁に掛かりながら上側に引き上げられる。引き上げられた分だけ芯糸パッケージCPから芯糸Cが解舒されるので、芯糸Cには弛みが付与される。このように、芯糸Cの走行経路から孔部83が離れて位置するときの弛み付与部81の状態(図3における二点鎖線の状態)を、弛み付与状態とする。芯糸Cの走行経路に孔部83が位置するときの弛み付与部81の状態(図3における実線の状態)を、弛み非付与状態とする。
芯糸監視装置90は、弛み付与機構80よりも芯糸Cの供給方向の下流側において、芯糸Cの有無を検出する。芯糸監視装置90の上流側及び下流側のそれぞれには、芯糸Cを案内する芯糸ガイド62及び63が配置されている。芯糸監視装置90を設ける箇所は上記箇所に限定されず、芯糸ガイド61よりも下流であれば、張力付与部71よりも上流に設けられていてもよい。
芯糸送出機構100は、芯糸Cをドラフト装置6に送出する機能、芯糸Cをクランプする機能、及び芯糸Cを切断する機能を有している。芯糸送出機構100の下流端(出口)は、芯糸案内部52を介して、ドラフト装置6のミドルローラ対18とフロントローラ対19の間の位置に対向するように設けられている。芯糸送出機構100は、クランプ部と、カッターと、エアシリンダと、を有している(何れも図示省略)。
芯糸送出機構100は、芯糸走行方向における張力付与機構70及び弛み付与機構80よりも下流において芯糸Cをドラフト装置6に送出する。クランプ部は、芯糸送出機構100内において芯糸C(芯糸Cの糸端)をクランプする。カッターは、クランプ部がクランプした芯糸Cを切断する機能を有している。エアシリンダに空気が供給されると、クランプ部は、芯糸Cをクランプする。
カッターは、芯糸走行方向におけるクランプ部よりも下流において、芯糸Cを切断する。カッターは、エアシリンダによって、クランプ部と連動して稼動させられる。カッターは、クランプ部が非クランプ状態からクランプ状態に切り換えられるときに、芯糸Cを切断する。
芯糸供給装置7としては、例えば、特開2016-79540号公報に記載された構成が採用されるが、それに代えて、他の公知の構成を採用することができる。
芯糸供給装置7の動作について説明する。芯糸Cが供給されているときには、張力付与部71は張力付与状態に保持され、弛み付与部81は弛み非付与状態に保持され、芯糸送出機構100のクランプ部は非クランプ状態に保持されている。これにより、芯糸供給装置7は、張力を付与しながらドラフト装置6に芯糸Cを供給する。
糸監視装置9、張力検出センサ10、及び/又は芯糸監視装置90によって糸欠陥が検出されると、ユニットコントローラ15は、まず、クランプ部をクランプ状態に切り換えて、芯糸Cの供給を停止する。このとき、クランプ部に連動してカッター部が動作し、クランプ部より下流側の芯糸Cが切断される。次いで、ユニットコントローラ15は、張力付与部71を張力非付与状態に切り換え、その後、弛み付与部81を弛み付与状態に切り換える。
芯糸Cの供給再開時には、ユニットコントローラ15は、クランプ部を非クランプ状態に切り換え、次いで、張力付与部71を張力付与状態に切り換え、その後、弛み付与部81を弛み非付与状態に切り換える。その後、芯糸送出機構100によって芯糸Cがドラフト装置6に送出される。これにより、芯糸Cの供給が再開される。
本実施形態の紡績機1は、各紡績ユニット2において、少なくとも2色を有する色糸である糸Yを生成する。芯糸供給装置7に保持される芯糸Cは、長繊維である芯繊維からなる。芯糸Cは、例えば、マルチフィラメントである。この場合、芯糸Cは、複数のフィラメント単糸を束にして形成されている。芯糸Cは、モノフィラメントであってもよい。芯糸Cは、弾性繊維であってもよい。弾性繊維は、伸縮性をもった糸であり、例えばポリウレタンなどが挙げられる。またドラフト装置6に供給されるスライバSは、短繊維からなる。スライバSの原料は、例えば、綿、ポリエステル、ビスコース、アクリル、ウール、リヨセル、ナイロン、麻、絹の少なくとも1つを含む。スライバSの原料は、天然繊維及び化学繊維の少なくとも一方を含む。
図5は、本実施形態の糸Yの模式図である。糸Yは、糸Yの径方向における略中央部に配置された芯繊維200と、芯繊維200とは異なる色を有し芯繊維200に巻き付けられたカバー繊維210と、を含む。芯繊維200は芯糸Cに由来(対応)し、カバー繊維210はスライバSに由来(対応)する。「異なる色」とは、例えば、芯繊維200が赤色であり、カバー繊維210が白色である場合、芯繊維200が青色であり、カバー繊維210が白色である場合、芯繊維200が赤色であり、カバー繊維210が黒色である場合、芯繊維200が青色であり、カバー繊維210が黒色である場合などである。ただし、これらはあくまでも例示であり、異なる色の組合せは特に限定されない。また、糸Yの原料は、メランジ調を呈するスライバと芯繊維200の組み合わせでもよい。メランジ調を呈するスライバは、スライバの製造段階において、異なる色の繊維を混ぜることにより準備できる。「異なる糸」とは、例えば、白と黒とからなるメランジ調を呈するスライバと赤色の芯繊維200である場合などである。カバー繊維210は、例えば、芯繊維200の周囲において比較的真っすぐに延びる平行繊維211と、芯繊維200の周囲においてらせん状に延びる巻付き繊維212とを含む。芯繊維200の色とカバー繊維210の色は異なるため、糸Yは、少なくとも2色を有するメランジ調を呈する糸(メランジ糸)である。
カバー繊維210が白色である場合には、糸Y(及び後述する編生地KF等の布)において、芯繊維200の色が支配的になり得る。例えば、カバー繊維210が白色であり、芯繊維200が赤色である場合には、糸Y(及びその糸Yからなる布)は赤系のメランジ調を呈する。カバー繊維210が白色であり、芯繊維200が青色である場合には、糸Y(及びその糸Yからなる布)は青系のメランジ調を呈する。「(ある色が)支配的である」ことは、「(ある色が)目立つ」ことと同意である。
なお、図5では、見やすさのために、平行繊維211の色と巻付き繊維212の色を若干異ならせている。平行繊維211と巻付き繊維212は1つの繊維束F(スライバS)に由来する繊維であるから、平行繊維211の色と巻付き繊維212の色は同一である。
芯糸Cを構成する芯繊維200がマルチフィラメントである場合、マルチフィラメントは、例えば仮撚りされている。マルチフィラメントには、マルチフィラメントの製造時に仮撚り加工が行われている。なお、マルチフィラメントは、仮撚りされていなくてもよい。芯糸Cは、延伸されていてもよく、延伸されていなくてもよい。
芯糸Cを構成する芯繊維200がモノフィラメントである場合、モノフィラメントは、1本の細いフィラメント単糸(例えば、30デニール又はそれよりも細い単糸)で形成されている。
図6は、芯繊維200としてマルチフィラメントを用いて作製した糸Yの拡大写真である。この糸Yは、36本のフィラメント単糸からなる30デニールの黒い糸と、白いカバー繊維210とからなる。芯繊維200に対するカバー繊維210の重量比(カバー率)は、70%である。なお、メランジ調を呈する糸Yを形成するには、芯繊維200に対するカバー繊維210の重量比が50%以上であることが好ましい。図6に示されるように、カバー繊維210の隙間(又は間隔)から芯繊維200が露出しており、全体としてメランジ調を呈する糸Yが形成されている。
芯糸Cを構成する芯繊維200は、例えば、芯繊維200が製造される段階で、原着により着色されている。原着による着色は、染色工程による着色とは異なり、製造期間(納期)の短縮にもつながり、且つ、環境負荷の観点でも好ましい。
上述した紡績ユニット2(紡績機1)は、以下のように記述できる。各紡績ユニット2は、モノフィラメント、マルチフィラメント、及び弾性繊維の少なくとも1つを含む芯繊維200からなる芯糸Cを供給する芯糸供給装置7と、芯繊維200とは異なる色を有する繊維束Fをドラフトするドラフト装置6と、芯糸供給装置7から供給された芯糸Cを芯としてドラフト装置6でドラフトされた繊維束Fを紡績することにより、繊維束Fがカバー繊維210として芯糸Cに巻き付けられた少なくとも2色を有する糸Yを生成する空気紡績装置8と、糸YをパッケージPに巻き取る巻取装置13と、を備える。
色糸である糸Yを製造する方法では、モノフィラメント、マルチフィラメント、及び弾性繊維の少なくとも1つを含む芯繊維200に対して、芯繊維200とは異なる色のカバー繊維210を巻き付けることで、少なくとも2色を有する糸Yを製造する。
本実施形態の糸Yの製造方法によれば、例えば、芯繊維200のみ(芯糸C)を変更するだけで、糸Yの色を変更することができる。例えば、紡績ユニット2(紡績機1)において糸Yの生成が停止されている状態において、パッケージ支持部50に保持されている赤色の芯糸パッケージCPを青色の芯糸パッケージCPに置き換える。従来、ある紡績ユニットにおいて色糸を製造する場合、有色の風綿が他の紡績ユニット(又は隣接する他の繊維機械)の糸に混入する可能性があったため、色糸を製造する紡績ユニット(又は繊維機械)をカバーなどで囲み、有色の風綿が飛散しないような対策が必要であった。また、紡績ユニット(又は繊維機械)において、それまでとは異なる色の糸の製造を開始する場合、変更前の有色の風綿が紡績ユニット(又は繊維機械)に残らないように、徹底的な清掃が求められていた。本実施形態では、芯繊維200(芯糸C)のみを変更するだけでよいため、糸Yの色を変更する手間が低減される。よって、糸Yの製造時に色を容易に変更できる。メランジ調を呈する糸の多品種生産が可能である。
なお、糸Yの色を変更するために、カバー繊維210(スライバS)を変更してもよい。例えば、紡績ユニット2(紡績機1)において糸Yの生成が停止されている状態において、白色のスライバSが格納されているケンスを、黒色のスライバSが格納されているケンスに置き換える。
本明細書における「多品種生産」とは、1台の紡績機1において、同時に異なる色の糸Yを生成する形態、同時に同じ色の糸Yを生成するが、短期間のうちに違う色の糸Yを生成する形態などが含まれる。なお、外側に巻き付いているカバー繊維210を除去することで、芯繊維200とカバー繊維210とを分離することも可能である。
カバー繊維210は、風綿として回収された場合でも、芯繊維200と混ざっていないため、再利用が可能である。特に、1台の紡績機1において用いられるスライバSの種類(色)が同じである場合に有効である。
紡績機1において、各種の製造方法(具体的には、運転条件の変更等)が行われ得る。例えば、1台の紡績機1における異なる2つの紡績ユニット2において、芯繊維200(芯糸C)の色を異ならせてもよい。この場合、複数の紡績ユニット2の中で、異なる色の糸Yを製造できる。つまり、ある紡績ユニット2において製造される糸Yと、別の紡績ユニット2において製造される糸Yとで、色を異ならせることができる。また、芯繊維200の色を異ならせることは、芯糸供給装置7にセットされる芯糸パッケージCPが異なることを意味する。紡績機1全体が共有のシャフト25等で駆動される場合でも、複数種類の糸Yを容易に製造可能である。なお、紡績機1全体が共有のシャフト25等で駆動される場合だけに限られず、後述する紡績ユニット2の各部(例えば、ドラフト装置6、空気紡績装置8、巻取装置13等)が紡績ユニット2ごとに独立して駆動されてもよい。この場合、各紡績ユニット2を異なる条件で駆動できるため、多品種生産に柔軟に対応できる。
1台の紡績機1における異なる2つの紡績ユニット2において、カバー繊維210の色は同じであってもよい。この場合、複数の紡績ユニット2の中で、異なる色の糸Yを容易に製造できる。複数の紡績ユニット2に対して同一種類のケンス(スライバS)を配置するだけでよく、作業効率も向上する。また、例えばある紡績ユニット2におけるカバー繊維により生じる風綿が、別の紡績ユニット2に付着しても問題が生じない。
また、芯繊維200に対するカバー繊維210の重量比を変更することにより、糸Yの色合いを変更することができる。芯繊維200に対するカバー繊維210の重量比が大きいほど、カバー繊維210の色が目立つ。芯繊維200に対するカバー繊維210の重量比が小さいほど、芯繊維200の色が目立つ。重量比の変更は容易である。よって、製造される糸Yの色合いを容易に変更できる。
また、芯繊維200の本数、形状、及び太さの少なくとも1つを変更することにより、糸Yの色合いを変更することができる。芯繊維200の本数とは、例えば、(1)芯繊維200がモノフィラメントである場合はフィラメント単糸の本数(すなわち1本)、(2)芯繊維200がマルチフィラメントである場合はフィラメント単糸の本数、(3)芯繊維200が弾性繊維である場合は弾性単繊維の本数、(4)芯繊維200がモノフィラメント、マルチフィラメント、及び弾性繊維の少なくとも何れか2つの組み合わせである場合は、組み合わせに含まれる本数である。芯繊維200の本数が多いほど、芯繊維200の色が目立つ。芯繊維200の形状とは、例えば、芯繊維200における仮撚りの有無、及び、芯繊維200における延伸の有無の少なくとも一方を意味する。あるいは、芯繊維200として、特殊な形状を有するように生成された糸を用いてもよい。芯繊維200の形状が複雑であるほど、又は特殊であるほど、芯繊維200の色が目立つ。芯繊維200の太さが太いほど、芯繊維200の色が目立つ。芯繊維200に関するこれらのスペックの変更は容易である。よって、製造される糸Yの色合いを容易に変更できる。
また、紡績速度を変化させることにより、糸Yの色合いを変更することができる。紡績速度は、糸貯留装置11による糸Yの引出し速度によって規定及び制御され得る。紡績機1がデリベリローラによって糸Yを空気紡績装置8から引き出す構成の場合は、紡績速度は、デリベリローラによる糸Yの引出し速度によって規定及び制御され得る。紡績速度が速いほど、芯繊維200の色が目立つ。紡績速度の変更は容易である。よって、製造される糸Yの色合いを容易に変更できる。
また、速度比及び張力値の少なくとも1つを変更することにより、糸Yの色合いを変更することができる。速度比は、フロントローラ対19と糸貯留装置11(又はデリベリローラ)の速度比によって調整及び制御され得る。また、芯糸供給装置7の張力付与機構70における可動片74の開度を調整することにより、芯糸Cの張力を調整し、それによって張力値が調整及び制御され得る。速度比の調整とは、フロントローラ対19のボトムローラの周速度に対して糸貯留装置11(具体的には糸貯留ローラ)又はデリベリローラの周速度を遅くするほど(すなわち、速度比を小さくするほど)、芯繊維200の色が目立ち、フロントローラ対19のボトムローラの周速度に対して糸貯留装置11(具体的には糸貯留ローラ)又はデリベリローラの周速度を速くするほど(すなわち、速度比を大きくするほど)、カバー繊維210の色が目立つように調整することである。張力値が小さいほど、芯繊維200の色が目立ち、張力値が大きいほど、カバー繊維210の色が目立つ。これらの運転条件の変更は容易である。よって、製造される糸Yの色合いを容易に変更できる。
その他、紡績機1の運転において、ロットチェンジの(運転条件が変更される)際に、例えば芯繊維200(の色の)交換の際には、糸監視装置9の設定がリセットされる。特に糸監視装置9において反射光を使用する場合は、芯繊維200の色により反射光の光量が変わるため、設定を変更する必要がある。
本実施形態の別の態様として、上記の方法で製造された糸Yを含む布が提供されてもよい。図7は、モノフィラメントからなる芯繊維200を用いて製造した糸Yを編成することによって得られた編生地(布)KFの拡大写真である。また図8は、マルチフィラメントからなる芯繊維200を用いて製造した糸Yを編成することによって得られた編生地(布)KFの拡大写真である。何れの編生地KFにおいても、黒い芯繊維200と、白いカバー繊維210が用いられており、メランジ調の布が実現されている。図7に示される編生地KFでは、糸Yにおける芯繊維200は30デニールである。図8に示される編生地KFでも、糸Yにおける芯繊維200は30デニールである。図8に示される、マルチフィラメントからなる芯繊維200を用いて製造した糸Yを含む編生地KFの方が、図7に示される、モノフィラメントからなる芯繊維200を用いて製造した糸Yを含む編生地KFよりも黒色が目立っており、より明確なメランジ調を示している。なお、上記の方法で製造された糸Yによって(糸Yを織ることにより)織生地が製造されてもよい。
本実施形態の更に別の態様として、1つの芯糸パッケージCPにおいて、長さ方向に芯糸Cの色を異ならせることで、図9に示されるような縞模様の編生地KFを製造することもできる。そのような芯糸C(多色コア等とも呼ばれる)は、例えば、特開2004-156186号公報に開示された方法および装置を用いて製造することができる。または、紡績ユニット2において色が異なる芯糸Cをセットしてやり、所定の長さ毎に供給する芯糸Cを変えることで、芯糸パッケージCPにおいて、長さ方向に芯糸Cの色を異ならせてもよい。所定の長さとは、一定の長さであってもよいし、供給動作毎に異なる長さでもよい。なお、長さ方向に芯糸Cの色を異ならせる態様に限られず、複数色のフィラメントが束ねられることにより、(長さ方向における同じ位置において)複数色を有する芯繊維200が用いられてもよい。また、芯糸パッケージCPではなく、複数色を有する繊維束Fを用いてもよい。その場合、カバー繊維210が複数色を有する。芯糸パッケージCPと繊維束Fの両方が、複数色を有してもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られない。上記実施形態と以下の変形例は、適宜組み合わせてもよい。例えば、芯繊維は、染色工程により着色されていてもよい。紡績機1のすべての紡績ユニット2において、同一の色を有する芯糸Cが各芯糸供給装置7にセットされてもよい。紡績機1の何れか少なくとも2つの紡績ユニット2において、スライバS(繊維束F)の色が異なっていてもよい。芯繊維200に対するカバー繊維210の重量比を一定にして(固定して)もよい。芯繊維200の本数、形状、及び太さの全部又は一部を一定にして(固定して)もよい。この場合、他の条件も同じであれば、紡績機1のすべての紡績ユニット2において、製造される糸Yの色合いは一定である。紡績速度を一定にして(固定して)もよい。この場合、他の条件も同じであれば、紡績機1のすべての紡績ユニット2において、製造される糸Yの色合いは一定である。速度比及び張力値を一定にして(固定して)もよい。この場合、他の条件も同じであれば、紡績機1のすべての紡績ユニット2において、製造される糸Yの色合いは一定である。
2本の異なる色のスライバSが供給されてもよい。言い換えれば、糸Yが、2色以上の芯繊維200を含んでもよい。糸Yが、2色以上の芯繊維200と、2色以上のカバー繊維210の少なくとも一方を含んでもよい。この場合、ドラフト装置6は、それぞれのスライバSに対してバックローラ対16と、サードローラ対17と、ミドルローラ対18と、フロントローラ対19と、を備えていてもよい。
紡績機1(例えば空気紡績装置8と糸貯留装置11(又はデリベリローラ)の間)に糸Yの張力値を検知できるセンサを設け、張力値が一定となるように速度比及び/又は張力付与機構70を制御してもよい。この場合、一定のメランジ調を呈する糸Yを製造することができる。
色糸は、空気紡績装置8(エアジェット紡績装置)によって生成された紡績糸に限らず、リング精紡機によって生成された紡績糸であってもよい。
上記実施形態では、ドラフト装置6が、バックローラ対16と、サードローラ対17と、ミドルローラ対18と、フロントローラ対19と、を備える形態を一例に説明した。しかし、バックローラ対16よりも上流にローラ対が1つ以上設けられていてもよい。また、フロントローラ対(繊維束Fの搬送経路において空気紡績装置8に最も近い位置に配置されるローラ対)は、他の装置の一部として構成されていてもよい。例えば、紡績ユニット2は、ドラフト装置6でドラフトされた繊維束Fを空気紡績装置8に供給する供給装置を備え、フロントローラ対19は、供給装置の一部に含まれていてもよい。フロントローラ対19は、繊維束Fをドラフトするドラフト装置6又は繊維束Fを空気紡績装置8に供給する供給装置に含まれていてもよいし、他の装置に含まれずに単独で設けられていてもよい。
紡績ユニット2では、糸貯留装置11が空気紡績装置8から糸Yを引き出す機能を有していたが、デリベリローラとニップローラとで空気紡績装置8から糸Yが引き出されてもよい。デリベリローラとニップローラとで空気紡績装置8から糸Yを引き出す場合、糸貯留装置11の代わりに、あるいは糸貯留装置11に加えて、吸引空気流を用いたスラックチューブ及び/又は機械的なコンペンセータ等を設けてもよい。
紡績ユニット2では、糸継装置26により2つの糸端を接続する構成に代えて、パッケージPからの糸Yを空気紡績装置8に挿入し、ドラフト装置6のドラフト動作と空気紡績装置8の紡績動作を開始することにより、空気紡績装置8からの糸YとパッケージPの糸Yとを接続(ピーシング)してもよい。
紡績機1では、機台高さ方向において、上側で供給された糸Yが下側で巻き取られるように各装置が配置されていた。しかし、下側で供給された糸が上側で巻き取られるように各装置が配置されていてもよい。
紡績機1では、ドラフト装置6のボトムローラの少なくとも一つ及びトラバースガイド23が、第2エンドフレーム5からの動力によって(すなわち、複数の紡績ユニット2共通で)駆動されていた。しかし、紡績ユニット2の各部(例えば、ドラフト装置6、空気紡績装置8、巻取装置13等)が紡績ユニット2ごとに独立して駆動されてもよい。
糸Yの走行方向において、張力検出センサ10が糸監視装置9よりも上流に配置されてもよい。ユニットコントローラ15は、1つの紡績ユニット2ごとに設けられてもよい。紡績ユニット2において、ワキシング装置12、張力検出センサ10及び糸監視装置9の少なくとも何れかは、省略されてもよい。糸Yにワックスを付与しない場合には、ワキシング装置12を省略せずに、ワキシング装置12からワックスのみを取り外してもよい。
図1では、紡績機1は、チーズ形状のパッケージPを巻き取るように図示されているが、コーン形状のパッケージを巻き取ることも可能である。コーン形状のパッケージの場合、糸Yのトラバースにより糸Yの弛みが発生するが、当該弛みは、糸貯留装置11で吸収することができる。各構成の材料及び形状には、上述した材料及び形状に限らず、様々な材料及び形状を採用することができる。
1…紡績機、2…紡績ユニット(巻取ユニット)、6…ドラフト装置、7…芯糸供給装置、8…空気紡績装置(エアジェット紡績装置)、13…巻取装置、15…ユニットコントローラ、Y…糸(色糸)。
Claims (12)
- 色糸を製造する方法であって、
モノフィラメント、マルチフィラメント、及び弾性繊維の少なくとも1つを含む芯繊維に対して、前記芯繊維とは異なる色のカバー繊維を巻き付けることで、少なくとも2色を有する色糸を製造する、方法。 - 前記芯繊維は、前記芯繊維が製造される段階で原着により着色されている、請求項1に記載の方法。
- 1台の紡績機において第一巻取ユニット及び第二巻取ユニットが設けられており、
前記第一巻取ユニット及び前記第二巻取ユニットにおいて前記芯繊維の色が異なる、請求項1又は2に記載の方法。 - 前記第一巻取ユニット及び前記第二巻取ユニットにおいて前記カバー繊維の色は同じである、請求項3に記載の方法。
- 前記芯繊維に対する前記カバー繊維の重量比を変更することにより、前記色糸の色合いを変更する、請求項1~4の何れか一項に記載の方法。
- 前記芯繊維の本数、形状、及び太さの少なくとも1つを変更することにより、前記色糸の色合いを変更する、請求項1~5の何れか一項に記載の方法。
- 紡績速度を変化させることにより、前記色糸の色合いを変更する、請求項1~6の何れか一項に記載の方法。
- 速度比及び張力値の少なくとも1つを変更することにより、前記色糸の色合いを変更する、請求項1~7の何れか一項に記載の方法。
- 請求項1~8の何れか一項に記載の方法によって製造される色糸。
- 請求項9に記載の色糸を含む布。
- モノフィラメント、マルチフィラメント、及び弾性繊維の少なくとも1つを含む芯繊維からなる芯糸を供給する芯糸供給装置と、
前記芯繊維とは異なる色を有する繊維束をドラフトするドラフト装置と、
前記芯糸供給装置から供給された前記芯糸を芯として前記ドラフト装置でドラフトされた繊維束を紡績することにより、前記繊維束がカバー繊維として前記芯糸に巻き付けられた少なくとも2色を有する色糸を生成するエアジェット紡績装置と、
前記色糸をパッケージに巻き取る巻取装置と、を備える、紡績機。 - モノフィラメント、マルチフィラメント、及び弾性繊維の少なくとも1つを含む芯繊維と、
前記芯繊維とは異なる色を有し前記芯繊維に巻き付けられたカバー繊維と、を含み、
少なくとも2色を有するメランジ調を呈する糸である、色糸。
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| JP2023196233A JP2025082713A (ja) | 2023-11-17 | 2023-11-17 | 色糸を製造する方法、色糸、布、及び紡績機 |
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| JP2023196233A Pending JP2025082713A (ja) | 2023-11-17 | 2023-11-17 | 色糸を製造する方法、色糸、布、及び紡績機 |
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2023
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