JP2025072713A - 電子装置、及びトランジスタの駆動方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】正負のいずれか一方の極性のパルス電圧を用いて、興奮性シナプスと抑制性シナプスの両方の動作を実現できるようにすること。
【解決手段】第1のゲート電極と、第1のゲート絶縁膜と、第1のゲート絶縁膜の上に設けられた第1の導電型の第1の半導体膜と、第1のゲート絶縁膜の上に設けられ、一部が第1の半導体膜に接する第2の導電型の第2の半導体膜と、第1の半導体膜と第2の半導体膜の各々の上に設けられたメモリ膜と、メモリ膜の上に設けられた第2のゲート絶縁膜と、第2のゲート絶縁膜の上に設けられた第2のゲート電極とを備えたトランジスタと、トランジスタのドレイン電流を第1の期間において読み出す第1の回路と、ドレイン電流が流れるゲート電圧を第1の期間に第2のゲート電極に印加し、第2の期間に第2のゲート電極にパルス電圧を印加する第2の回路とを有する電子装置による。
【選択図】図6
【解決手段】第1のゲート電極と、第1のゲート絶縁膜と、第1のゲート絶縁膜の上に設けられた第1の導電型の第1の半導体膜と、第1のゲート絶縁膜の上に設けられ、一部が第1の半導体膜に接する第2の導電型の第2の半導体膜と、第1の半導体膜と第2の半導体膜の各々の上に設けられたメモリ膜と、メモリ膜の上に設けられた第2のゲート絶縁膜と、第2のゲート絶縁膜の上に設けられた第2のゲート電極とを備えたトランジスタと、トランジスタのドレイン電流を第1の期間において読み出す第1の回路と、ドレイン電流が流れるゲート電圧を第1の期間に第2のゲート電極に印加し、第2の期間に第2のゲート電極にパルス電圧を印加する第2の回路とを有する電子装置による。
【選択図】図6
Description
本発明は、電子装置、及びトランジスタの駆動方法に関する。
Internet of Things(IoT)社会、脱炭素社会の実現に向けて、情報を高速かつ低消費電力で処理することが可能な集積回路の開発が行われている。そのような集積回路の一つに神経細胞模倣コンピュータがある。プロセッサが命令を逐次実行して結果をメモリに書き込むノイマン型コンピュータでは、プロセッサとメモリとの間の通信がボトルネックになって高速化に限度がある。これに対し、神経細胞模倣コンピュータは、人工ニューラルネットワークを構成する複数のニューロンが独立して並列に動作するため高速動作が容易である。しかも、神経細胞模倣コンピュータは、複数のニューロンのうちシナプスで信号を受けたニューロンのみが独立して動作するため消費電力を抑えることもできる。
神経細胞模倣コンピュータは、メムリスタをはじめとした様々な方法で実現されている。また、電界効果トランジスタとフローティングゲートメモリとを組み合わせたアンチアンバイポーラトランジスタによって神経細胞模倣コンピュータを実現する技術も提案されている(非特許文献1)。
非特許文献1のアンチアンバイポーラトランジスタでは、ゲート電極の上にHfO2のゲート絶縁膜を形成し、そのゲート絶縁膜の一部領域にn型半導体のReS2膜とp型半導体の黒燐膜とをこの順に積層する。ゲート絶縁膜の一部領域の横にはReS2膜が存在せず、黒燐膜がその自然酸化膜を介してゲート絶縁膜の上に形成される。黒燐膜の自然酸化膜は電荷を溜めるフローティングゲートとして機能し、その電荷量によってトランジスタの閾値電圧が変化する。
例えば、ゲート電極に正のパルス電圧を繰り返し印加すると自然酸化膜に電子が蓄積され、これによりパルス電圧の印加回数と共にドレイン電流が増大する興奮性シナプスに対応した動作を実現できる。その後にゲート電極に負のパルス電圧を繰り返し印加すると、自然酸化膜に蓄積されていた電子が抜けて、パルスの印加数と共にドレイン電流が減少する抑制性シナプスに対応した動作を実現できる。このようなドレイン電流の変化を人工ニューラルネットワークの重み付け係数として用いることで、神経細胞模倣コンピュータを実現できる。
X.Xiong et al., "Reconfigurable Logic-in-Memory and Multilingual Artificial Synapses Based on 2D Heterostructures", Advanced Functional Materials, vol. 30, page 1909645, 2020
しかしながら、非特許文献1の技術では、興奮性シナプスと抑制性シナプスの両方の動作を実現するために正負の二つの極性のパルス電圧をゲート電極に印加する必要がある。そのため、パルス電圧を生成する電圧生成回路の回路構成が複雑になり、それに伴う回路遅延によってパルス電圧の生成間隔を短くするのが難しくなる。
一つの側面では、本発明は、正負のいずれか一方の極性のパルス電圧を用いて、興奮性シナプスと抑制性シナプスの両方の動作を実現できるようにすることを目的とする。
一つの側面によれば、電子装置は、第1のゲート電極と、前記第1のゲート電極の上に設けられた第1のゲート絶縁膜と、前記第1のゲート絶縁膜の上の第1の領域に設けられた第1の導電型の第1の半導体膜と、前記第1のゲート絶縁膜の上の第2の領域に設けられ、一部が前記第1の半導体膜に接する第2の導電型の第2の半導体膜と、前記第1の半導体膜と前記第2の半導体膜の各々の上に設けられ、内部電界が残留するメモリ膜と、前記メモリ膜の上に設けられた第2のゲート絶縁膜と、前記第2のゲート絶縁膜の上に設けられた第2のゲート電極とを備えたトランジスタと、前記第1の半導体膜と前記第2の半導体膜との間を流れるドレイン電流を第1の期間において読み出す第1の回路と、前記ドレイン電流が流れる程度のゲート電圧を前記第1の期間に前記第2のゲート電極に印加すると共に、前記第1の期間とは異なる第2の期間に前記第2のゲート電極にパルス電圧を印加する第2の回路と、を有する。
上記電子装置において、前記ゲート電圧は、前記パルス電圧を印加した累積時間が増大するにつれて前記ドレイン電流が減少する第1のゲート電圧でもよい。
上記電子装置において、前記ゲート電圧は、前記パルス電圧を印加した累積時間が増大するにつれて前記ドレイン電流が増大する第2のゲート電圧でもよい。
上記電子装置において、前記ゲート電圧は、前記パルス電圧を印加した累積時間が増大するにつれて前記ドレイン電流が増加から減少に転じる第3のゲート電圧でもよい。
上記電子装置において、前記第2の回路は、前記ドレイン電流が増加から減少に転じる前の前記パルス電圧のパルス幅を、前記ドレイン電流が増加から減少に転じた後の前記パルス電圧のパルス幅と比較して狭くしてもよい。
上記電子装置において、前記第2の回路は、前記累積時間が増大するにつれて前記ドレイン電流が増加する期間の前に、前記パルス電圧とは極性が反対の電圧を印加してもよい。
上記電子装置において、前記第1の回路は、前記第1の期間に前記第1の半導体膜と前記第2の半導体膜との間に順方向の電圧を印加してもよい。
上記電子装置において、前記メモリ膜は、キャリアを蓄積するキャリア蓄積膜、又は強誘電体膜でもよい。
上記電子装置において、前記キャリア蓄積膜は、金属フタロシアニンにポリスチレンが結合したスターポリスチレンでもよい。
一つの側面によれば、トランジスタの駆動方法は、トランジスタの駆動方法であって、前記トランジスタは、第1のゲート電極と、前記第1のゲート電極の上に設けられた第1のゲート絶縁膜と、前記第1のゲート絶縁膜の上の第1の領域に設けられた第1の導電型の第1の半導体膜と、前記第1のゲート絶縁膜の上の第2の領域に設けられ、一部が前記第1の半導体膜に接する第2の導電型の第2の半導体膜と、前記第1の半導体膜と前記第2の半導体膜の各々の上に設けられ、内部電界が残留するメモリ膜と、前記メモリ膜の上に設けられた第2のゲート絶縁膜と、前記第2のゲート絶縁膜の上に設けられた第2のゲート電極とを備え、前記駆動方法は、前記第1の半導体膜と前記第2の半導体膜との間を流れるドレイン電流を第1の期間において読み出すことと、前記ドレイン電流が流れる程度のゲート電圧を前記第1の期間に前記第2のゲート電極に印加することと、前記第1の期間とは異なる第2の期間に前記第2のゲート電極にパルス電圧を印加することとを含む。
上記トランジスタの駆動方法において、前記ゲート電圧は、前記パルス電圧を印加した累積時間が増大するにつれて前記ドレイン電流が減少する第1のゲート電圧でもよい。
上記トランジスタの駆動方法において、前記ゲート電圧は、前記パルス電圧を印加した累積時間が増大するにつれて前記ドレイン電流が増大する第2のゲート電圧でもよい。
上記トランジスタの駆動方法において、前記ゲート電圧は、前記パルス電圧を印加した累積時間が増大するにつれて前記ドレイン電流が増加から減少に転じる第3のゲート電圧でもよい。
上記トランジスタの駆動方法において、前記ドレイン電流が増加から減少に転じる前の前記パルス電圧のパルス幅を、前記ドレイン電流が増加から減少に転じた後の前記パルス電圧のパルス幅と比較して狭くしてもよい。
上記トランジスタの駆動方法において、前記累積時間が増大するにつれて前記ドレイン電流が増加する期間の前に、前記パルス電圧とは極性が反対の電圧を印加することを更に含んでもよい。
本発明によれば、正負のいずれか一方の極性のパルス電圧を用いて、興奮性シナプスと抑制性シナプスの両方の動作を実現できる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。なお、同様の要素には同様の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態に係るアンチアンバイポーラトランジスタでは、下部ゲート電圧を調節することで、正負いずれかのパルス電圧のみで興奮性シナプスと抑制性シナプスの両方の動作を実現する。そのアンチアンバイポーラトランジスタについてその製造工程を追いながら説明する。
図1~図3は、本実施形態に係るアンチアンバイポーラトランジスタの製造途中の断面図である。
まず、図1(a)に示すように、第1のゲート電極11としてシリコン基板を用意し、そのシリコン基板の表面を熱酸化することにより下地絶縁膜12として酸化シリコン膜を90nm程度の厚さに形成する。
次に、図1(b)に示すように、トランジスタのチャネル領域R0における下地絶縁膜12の上に第1のゲート絶縁膜13として厚さが24nm程度の六方晶窒化ホウ素(h-BN)膜をドライ転写法で転写する。そのドライ転写法では、不図示のスタンプに付着した六方晶窒化ホウ素膜を下地絶縁膜12に押し当てることにより六方晶窒化ホウ素膜を下地絶縁膜12に転写する。スタンプとしては、例えば表面をPPC(polypropylene carbonate)膜でコーティングしたゲル状のPDMS(polydimethylsiloxane)スタンプがある。
更に、第1の領域R1における第1のゲート絶縁膜13の上にn型の第1の半導体膜15として厚さが11nm程度のReS2膜を転写する。そして、第2の領域R2における第1のゲート絶縁膜13と第1の半導体膜15の上に第2の半導体膜16として厚さが13nm程度のWSe2膜を転写する。各半導体膜15、16はいずれも二次元層状化合物であって、下地絶縁膜12と同様にPDMSスタンプを用いたドライ転写によって転写される。なお、n型は第1導電型の一例であり、p型は第2導電型の一例である。
また、各領域R1、R2は、チャネル領域R0の一部で相互に重複するように設定される。そのため、第2の半導体膜16の一部16aが第1の半導体膜15の上面に接するように形成され、これにより各半導体膜15、16の界面にpn接合が形成される。
なお、各半導体膜15、16は上記に限定されず有機半導体膜であってもよい。また、この例では第1の半導体膜15の上に第2の半導体膜16の一部16aが積層されているが、積層順はこれに限定されない。例えば、最初に第1のゲート絶縁膜13の上に第2の半導体膜16を形成し、その後に第1のゲート絶縁膜13の上に第1の半導体膜15を形成することで、第2の半導体膜16の上に第1の半導体膜15の一部を積層してもよい。
次に、図2(a)に示すように、第1の半導体膜15の上にクロム膜と金膜とをこの順に電子線加熱蒸着により積層し、更にその積層膜を電子線リソグラフィによりパターニングしてドレイン電極18dとして残す。また、第2の半導体膜16の上にパラジウム膜と金膜とをこの順に電子線加熱蒸着により積層し、更にその積層膜を電子線リソグラフィによりパターニングしてソース電極18sとして残す。
次いで、図2(b)に示すように、各半導体膜15、16と各電極18d、18sの上にスピンコート法によりメモリ膜19としてZnPc-PS4膜を20nm程度の厚さに形成する。メモリ膜19は、電圧印加によって各半導体膜15、16から移動してきたキャリアを蓄積することで、印加電圧を取り去った後でもキャリアに起因した内部電界が残留するキャリア蓄積膜である。キャリア蓄積膜の材料であるZnPc-PS4は、以下の一般式における金属元素Mとして亜鉛を採用した材料であり、金属フタロシアニンがキャリアを蓄積する役割を担う。
上記の一般式に示されるように、ZnPc-PS4は、金属フタロシアニン錯体の四つのベンゼン環にポリスチレンが結合したスターポリスチレン(MPc-PS4)において、中心金属Mとして亜鉛を採用した材料である。メモリ膜19の材料はZnPc-PS4に限定されず、中心金属Mとして銅、ニッケル、コバルト、鉄、及びマンガンのいずれかの遷移金属を採用したMPc-PS4でもよい。
次に、図3に示すように、前述の転写法によりメモリ膜19の上に第2のゲート絶縁膜20として六方晶窒化ホウ素膜を転写する。なお、第2のゲート絶縁膜20の材料は六方晶窒化ホウ素に限定されず、アルミナ(Al2O3)や酸化ハフニウム(HfO2)でもよい。更に、下地絶縁膜12の上側全面に電子線加熱蒸着により酸化シリコン膜を100nm程度の厚さに形成し、その酸化シリコン膜を電子線リソグラフィによりパターニングしてチャネル領域R0の周囲に絶縁性サイドウォール21として残す。その絶縁性サイドウォール21により、メモリ膜19がチャネル領域R0の周囲に溶出するのを防止することができる。
その後、第2のゲート絶縁膜20の上に電子線加熱蒸着によりチタン膜と金膜とをこの順に積層し、更にその積層膜を電子線リソグラフィによりパターニングして第2のゲート電極22とする。
以上により、本実施形態に係るアンチアンバイポーラトランジスタ10の基本構造が完成する。
このアンチアンバイポーラトランジスタ10は、p型のMOSトランジスタTRpとn型のMOSトランジスタTRnとを並列接続したインバータ回路と等価である。
このうち、MOSトランジスタTRnは、n型の第1の半導体膜15をチャネルとするトランジスタであり、第1のゲート電極11と第2のゲート電極22の各々の電圧によってチャネルのオンオフが制御される。
また、MOSトランジスタTRpは、p型の第2の半導体膜16をチャネルとするトランジスタであり、第2の半導体膜16の一部16aにおいてn型のMOSトランジスタTRnのチャネルに接続される。そして、MOSトランジスタTRpのチャネルのオンオフは、第1のゲート電極11と第2のゲート電極22の各々の電圧によって制御される。
図4(a)、(b)は、本実施形態の製造途中のアンチアンバイポーラトランジスタ10を上から撮影して得られた光学顕微鏡像である。
このうち、図4(a)は、メモリ膜19を形成する前の光学顕微鏡像である。図4(a)に示すように、第1のゲート絶縁膜13として形成した六方晶窒化ホウ素膜は上面視でフレーク状であり、その上に上面視で長尺状の各半導体膜15、16が設けられる。また、この例では、ソース電極18sとドレイン電極18dをそれぞれ二本形成する。
一方、図4(b)は、第2のゲート電極22を形成した後の光学顕微鏡像である。図4(b)に示すように、第2のゲート絶縁膜20として形成した六方晶窒化ホウ素膜も上面視でフレーク状であり、その上に上面視で矩形状の第2のゲート電極22が設けられる。
更に、メモリ層19は絶縁性サイドウォール21の外側には存在せず、メモリ層19の周囲への溶出が絶縁性サイドウォール21によって防止されることが確認できる。
次に、本実施形態に係るアンチアンバイポーラトランジスタ10の動作について説明する。
図5(a)、(b)は、本実施形態に係るアンチアンバイポーラトランジスタ10の動作について説明するための模式断面図である。以下では、第1のゲート電極11に印加する電圧を下部ゲート電圧Vbgと書き、第2のゲート電極22に印加する電圧を上部ゲート電圧Vtgと書く。
図5(a)は、Vtg-Vbgが負の場合の模式断面図である。図5(a)に示すように、この場合は、各半導体膜15、16からメモリ膜19のMPc-PS4にホールが移動し、チャネル領域R0のほぼ全領域におけるメモリ膜19にホールが蓄積する。
図5(b)は、Vtg-Vbgが正の場合の模式断面図である。図5(b)に示すように、この場合は、第1の半導体膜15からメモリ膜19のMPc-PS4に電子が移動し、ドレイン電極18d寄りのメモリ膜19に電子が蓄積する。一方、第2の半導体膜16からメモリ膜19には電子が殆ど移動せず、ソース電極18s寄りのメモリ膜19には殆ど電子が蓄積しない。
これは、各ゲート電極11、22(図3参照)に電圧を印加した直後では、第2の半導体膜16からソース電極18s寄りのメモリ膜19にも電子が移動するものの、第2の半導体膜16を構成するWSe2の作用によって、時間の経過と共に第2の半導体膜16近傍の電子がメモリ膜19の外部に移動するためと考えられる。
アンチアンバイポーラトランジスタ10では、このようにVtg-Vbgの値の正のときに、メモリ膜19に蓄積される電子に偏りが生じる。
なお、メモリ膜19の材料は、キャリアを蓄積することで内部電界が残留する材料であればMPc-PS4に限定されない。例えば、絶縁膜と金属膜とをこの順に積層した積層膜をメモリ膜19として採用し、その金属膜にキャリアを蓄積させてもよい。その積層膜の絶縁膜は、各電極18s、18dと各半導体膜15、16とを金属膜から絶縁する役割を担う。
更に、メモリ膜19として強誘電体膜を形成してもよい。この場合、下部ゲート電圧Vbgと上部ゲート電圧Vtgとの電位差に応じた分極がメモリ膜19に生じ、その分極によって内部電界が残留する。
図6は、本実施形態に係るアンチアンバイポーラトランジスタ10を備えた電子装置の模式図である。
図6に示すように、この電子装置40は、アンチアンバイポーラトランジスタ10、読み出し回路41、上部ゲート電圧印加回路42、及び下部ゲート電圧印加回路43を備える。
読み出し回路41は、ソース電極18sが接地された状態でドレイン電極18dにドレイン電圧Vdを印加することにより、第1の半導体膜15と第2の半導体膜16との間を流れるドレイン電流Idを読み出す回路である。また、読み出し回路41は、ドレイン電圧Vdの値と、ドレイン電圧Vdを印加する期間とを設定する。なお、読み出し回路41は第1の回路の一例である。
上部ゲート電圧印加回路42は、第2の回路の一例であって、第2のゲート電極22に上部ゲート電圧Vtgを印加する回路である。更に、上部ゲート電圧印加回路42は、上部ゲート電圧Vtgの値と、上部ゲート電圧Vtgを印加する期間とを設定する。
また、下部ゲート電圧印加回路43は、第3の回路の一例であって、第1のゲート電極11に下部ゲート電圧Vbgを印加する回路である。更に、下部ゲート電圧印加回路43は、下部ゲート電圧Vbgの値と、下部ゲート電圧Vbgを印加する期間とを設定する。
図7は、各回路41~43を用いてアンチアンバイポーラトランジスタ10の電流電圧特性を調査して得られた図である。この調査では、上部ゲート電圧Vtgとドレイン電流Idとの関係を調査した。ドレイン電流Idを読み出す際の下部ゲート電圧Vbgは-10Vとし、ドレイン電圧Vdは-0.5Vとした。
図7における実線は、メモリ膜19にホールや電子が蓄積されていない初期状態での電流電圧特性を示すグラフである。初期状態では、上部ゲート電圧Vtgの増大と共にドレイン電流Idも増大し、Vtg=-0.05V付近にドレイン電流Idのピークが位置した。上部ゲート電圧Vtgが-0.05Vを超えるとドレイン電流Idは減少に転じ、Vtg=1.5V付近でゼロとなった。
前述のように、アンチアンバイポーラトランジスタ10は、各MOSトランジスタTRn、TRpを並列接続したインバータ回路に等価である。図7のように上部ゲート電圧Vtgが負の領域でドレイン電流がピーク高さよりも低いのは、p型のMOSトランジスタTRpはオン状態であるものの、n型のMOSトランジスタTRnがオフ状態に近いためである。これとは逆に、上部ゲート電圧Vtgが正の領域でドレイン電流がピーク高さよりも低いのは、n型のMOSトランジスタTRnはオン状態であるものの、p型のMOSトランジスタTRpがオフ状態に近いためである。
また、図7における点線は、パルス幅が10秒間でVtg=-16Vのパルス電圧を第2のゲート電極22に10回印加した後に測定した電流電圧特性を示すグラフである。この場合は、ドレイン電流Idのピーク高さは初期状態とほぼ同じであった。但し、ドレイン電流Idのピーク位置がVtg=-1.05Vとなり、初期状態と比較してVtgが負の方向にピーク位置がシフトした。これは、図5(a)のようにチャネル領域R0のほぼ全領域に蓄積したホールによってメモリ膜19に内部電界が残留しており、その内部電界が第2のゲート電極22の周囲の電界を弱め、これによりMOSトランジスタTRn、TRpの両方の閾値電圧が低下したためと考えられる。
一方、図7における破線は、パルス幅が10秒間でVtg=+15Vのパルス電圧を第2のゲート電極22に10回印加した後に測定した電流電圧特性を示すグラフである。この場合は、ドレイン電流Idのピーク高さが初期状態よりも低くなった。これは、図5(b)のようにドレイン電極18d寄りのメモリ膜19に蓄積した電子によってn型のMOSトランジスタTRnの閾値電圧が初期状態よりも増加するのに対し、電子が蓄積していないp型のMOSトランジスタTRpの閾値電圧は初期状態とほぼ同じであるためと考えられる。
このように、このアンチアンバイポーラトランジスタ10によれば、上部ゲート電圧Vtgとして負のパルス電圧を繰り返し印加すると、ドレイン電流Idがピークとなる上部ゲート電圧Vtgが負の方向にシフトする。一方、上部ゲート電圧Vtgとして正のパルス電圧を繰り返し印加すると、ドレイン電流Idがピークとなる上部ゲート電圧Vtgが正の方向にシフトし、かつピーク高さが低くなる。このようなピーク位置のシフトを利用すると、以下のように興奮性シナプスや抑制性シナプスに類似の動作を実現できる。
図8(a)~(c)は、興奮性シナプスや抑制性シナプスに類似の動作が実現できることを調査して得られた図(その1)である。
図8(a)は、正のパルス電圧を第2のゲート電極22に印加することで抑制性シナプスの動作を実現するための上部ゲート電圧Vtgと下部ゲート電圧Vbgの各波形を示す図である。
図8(a)に示すように、この例では、第1の期間T1において下部ゲート電圧印加回路43(図6参照)が下部ゲート電圧Vbgを-10Vに設定した。第1の期間T1における下部ゲート電圧Vbgは、第1の半導体層15と第2の半導体層16の各々のチャネルをオン状態にするオン電圧の一例である。これについては後述の図8(b)、図9(a)、図9(b)、図10(a)、及び図10(b)でも同様である。
また、第1の期間T1は、読み出し回路41がドレイン電流Idを読み出す期間であり、ここでは0.5秒とした。更に、読み出し回路41は、第1の期間T1におけるドレイン電圧Vdを-0.5Vに設定した。これにより、各半導体膜15、16との間に順方向の電圧が印加されることになる。
そして、第1の期間T1における上部ゲート電圧Vtgは、第1のゲート電圧の一例であり、上部ゲート電圧印加回路42によって-4Vに設定された。
更に、第1の期間T1とは異なる第2の期間T2において、上部ゲート電圧印加回路42(図6参照)が上部ゲート電圧Vtgとして+15Vのパルス電圧を印加した。第2の期間T2は、そのパルス電圧が持続しているパルス幅であって、ここでは50ミリ秒とした。
この例では、第1の期間T1と第2の期間T2とを含む2秒間を1サイクルとし、そのサイクルを複数繰り返すことでドレイン電流Idの読み出しとパルス電圧の印加とを繰り返した。一例として、1サイクルの始めから0.5秒~1.0秒の期間を第1の期間T1とし、1サイクルの最後の50ミリ秒を第2の期間T2とした。
図8(b)は、負のパルス電圧を第2のゲート電極22に印加することで興奮性シナプスの動作を実現するための上部ゲート電圧Vtgと下部ゲート電圧Vbgの各波形を示す図である。
この場合の各期間T1、T2の開始時期と期間の長さ、及び下部ゲート電圧Vbgの値は図8(a)の場合と同じである。また、第2の期間T2においてパルス電圧として印加する上部ゲート電圧Vtgの値は-16Vとした。第1の期間T1における上部ゲート電圧Vtgは、図8(a)と同様に-4Vとした。
図8(c)は、図8(a)と図8(b)のそれぞれの電圧で実現されるアンチアンバイポーラトランジスタ10の特性を調査して得られた図である。
この例では、期間Aにおいて図8(a)のサイクルを100サイクル繰り返した後、期間Bにおいて図8(b)のサイクルを100サイクル繰り返した。図8(c)の横軸は、パルス電圧を印加した第2の期間T2の累積時間を示す。また、図8(c)の縦軸は、第1の期間T1において読み出し回路41が読み出したドレイン電流Idの値を示す。
図8(c)に示すように、上部ゲート電圧Vtgとして正のパルス電圧を印加した期間Aにおいては、累積時間が増大するにつれドレイン電流Idが減少した。これは、図7に示したように、読み出し時の上部ゲート電圧Vtg(-4.0V)が初期状態のピーク位置よりも左側に位置しているため、正のパルス電圧の印加に伴ってピーク位置が右に移動すると、Vtg=-4.0Vにおけるドレイン電流Idが減少したためである。
この場合、シナプスが受容した神経伝達物質にパルス電圧を対応させ、そのシナプスのシナプス電位にドレイン電流Idを対応させると、期間Aにおいては興奮性シナプスに類似の動作が実現されていることになる。
一方、上部ゲート電圧Vtgとして負のパルス電圧を印加した期間Bにおいては、累積時間の経過と共にドレイン電流Idが増加した。これは、前述のように読み出し時の上部ゲート電圧Vtg(-4.0V)が初期状態のピーク位置の左側に位置していることで(図7参照)、負のパルス電圧の印加に伴ってピーク位置が左に移動すると、Vtg=-4.0Vにおけるドレイン電流Idが増加したためである。
この場合に上記と同様にシナプスが受容した神経伝達物質にパルス電圧を対応させ、そのシナプスのシナプス電位にドレイン電流Idを対応させると、期間Bにおいては興奮性シナプスに類似の動作が実現されていることになる。
図9(a)~(c)は、興奮性シナプスや抑制性シナプスに類似の動作が実現できることを示す図(その2)である。
図9(a)は、正のパルス電圧を第2のゲート電極22に印加することで興奮性シナプスの動作を実現するための上部ゲート電圧Vtgと下部ゲート電圧Vbgの各波形を示す図である。
この場合、読み出し回路41は、第1の期間T1におけるドレイン電圧Vdを-0.5Vに設定した。そして、第1の期間T1における上部ゲート電圧Vtgは、第2のゲート電圧の一例であり、上部ゲート電圧印加回路42によって+1.5Vに設定された。これ以外は図8(a)と同様である。
図9(b)は、負のパルス電圧を第2のゲート電極22に印加することで抑制性シナプスの動作を実現するための上部ゲート電圧Vtgと下部ゲート電圧Vbgの各波形を示す図である。
この場合も上部ゲート電圧印加回路42が第1の期間T1における上部ゲート電圧Vtgを+1.5Vに設定した。これ以外は図8(b)と同様である。
図9(c)は、図9(a)と図9(b)のそれぞれの電圧で実現されるアンチアンバイポーラトランジスタ10の特性を調査して得られた図である。
図8(c)と同様に、この例でも期間Aにおいて図9(a)のサイクルを100サイクル繰り返した後、期間Bにおいて図9(b)のサイクルを100サイクル繰り返した。図9(c)の横軸と縦軸の意味は図8(c)における意味と同様なのでその説明は省略する。
図9(c)に示すように、上部ゲート電圧Vtgとして正のパルス電圧を印加した期間Aにおいては、累積時間の経過と共にドレイン電流Idが増加している。これは、図7に示したように、読み出し時の上部ゲート電圧Vtg(+1.5V)が初期状態のピーク位置よりも右側に位置しているため、正のパルス電圧の印加に伴ってピーク位置が右に移動すると、Vtg=+1.5Vにおけるドレイン電流Idが増加するためである。
これにより、期間Aにおいては、アンチアンバイポーラトランジスタ10が興奮性シナプスに類似の動作を示すことが分かった。
一方、上部ゲート電圧Vtgとして負のパルス電圧を印加した期間Bにおいては、累積時間の経過と共にドレイン電流Idが減少している。これは、前述のように読み出し時の上部ゲート電圧Vtg(+1.5V)が初期状態のピーク位置の右側に位置していることで(図7参照)、負のパルス電圧の印加に伴ってピーク位置が左に移動すると、Vtg=+1.5Vにおけるドレイン電流Idが減少するためである。
これにより、期間Bにおいては、アンチアンバイポーラトランジスタ10が抑制性シナプスに類似の動作を示すことが分かった。
図10(a)~(c)は、興奮性シナプスと抑制性シナプスの両方に類似の動作が実現できることを示す図(その3)である。
図10(a)は、正のパルス電圧を第2のゲート電極22に印加することで、抑制性シナプスと興奮性シナプスの両方の動作を実現するための上部ゲート電圧Vtgと下部ゲート電圧Vbgの各波形を示す図である。
この例では、読み出し回路41は、第1の期間T1におけるドレイン電圧Vdを-0.5Vに設定した。そして、第1の期間T1における上部ゲート電圧Vtgは、第3のゲート電圧の一例であり、上部ゲート電圧印加回路42によって-0.3Vに設定された。
また、上部ゲート電圧印加回路42(図6参照)は、第2の期間T2において上部ゲート電圧Vtgとして+13Vのパルス電圧を印加した。第2の期間T2は、図8(a)と図9(a)のいずれよりも短い5ミリ秒とした。
図10(b)は、第2の期間T2の長さを図10(a)における長さよりも長い20ミリ秒とした場合の上部ゲート電圧Vtgと下部ゲート電圧Vbgの各波形を示す図である。第2の期間T2の長さ以外は図10(a)におけるのと同じである。
図10(c)は、図10(a)と図10(b)のそれぞれの電圧で実現されるアンチアンバイポーラトランジスタ10の特性を調査して得られた図である。
この例では、期間Aにおいて図10(a)のサイクルを100サイクル繰り返した後、期間Bにおいて図10(b)のサイクルを75サイクル繰り返した。図10(c)の横軸と縦軸の意味は図8(c)及び図9(c)における意味と同様なのでその説明は省略する。
なお、ここでは、期間Aの前に、上部ゲート電圧印加回路42が、正のパルス電圧とは極性が反対の負の電圧を第2のゲート電極22に印加した。その負の電圧の電圧値は-16Vであり、印加期間は10秒である。また、負の電圧を印加した回数は10回である。なお、このように負の電圧を複数回印加するのに代えて、上部ゲート電圧印加回路42が第2のゲート電極22に負の電圧を一回だけ印加してもよい。このように上部ゲート電圧印加回路42は正のパルス電圧の他に負の電圧を生成するが、期間Aや期間Bにおける正のパルス電圧と比較して負の電圧の印加期間は長い。そのため、上部ゲート電圧印加回路42が負の電圧のオンオフを高速に切り替える必要はなく、上部ゲート電圧印加回路42の回路構成が大きく複雑化することはない。
図10(c)に示すように、期間Aにおいては、期間の初期では累積時間の増加と共にドレイン電流Idが増加しているものの、累積時間が増大するにつれドレイン電流Idが増加から減少に転じた。期間の初期でドレイン電流Idが増加しているのは、上記した負のパルス電圧の印加によって図7の点線のように初期状態よりもピーク位置が負側に予めシフトし、そのピーク位置よりも読み出し時の上部ゲート電圧Vtg(-0.3V)が右側に位置しているためである。この場合は、正のパルス電圧の印加に伴ってピーク位置が右に移動することで、Vtg=-0.3Vにおけるドレイン電流Idが増加する。
なお、図10(c)の例では、期間Aにおけるピーク高さが約-28.5nAであり、図7の点線のピーク高さ(約-24.5nA)よりも高くなっている。これは、図7ではパルス電圧のパルス幅が10秒と長くキャリアの移動が落ち着いた状態を測定しているのに対し、図10(c)の例ではパルス幅が5ミリ秒と短く過渡的な状態を測定しているためと考えられる。
そして、累積時間が更に増大してゲート電圧Vtg(-0.3V)がピーク位置の左側に位置するようになるとドレイン電流Idが減少に転じる。
特に、この例では、図5(b)に示したようにドレイン電極18d寄りのメモリ膜19に電子が蓄積されることで、図7の破線のように正のパルス電圧を印加したときのピーク電圧が初期状態(実線)よりも低くなる。これにより、累積時間の増大と共に確実にドレイン電流Idを減少させることができる。
また、期間Bにおいては、図8(c)と同じ理由によって累積時間が増大するにつれドレイン電流Idが減少した。
このように、ドレイン電流Idを読み出すときの上部ゲート電圧Vtgを-0.3Vとすると、期間Aの初期において興奮性シナプスに類似した動作が実現され、期間Aの終期とその後の期間Bにおいて抑制性シナプスに類似した動作が実現された。
特に、この例では、上部ゲート電圧印加回路42が、期間Aにおいてドレイン電流Idが増加から減少に転じる前の第2の期間T2の長さを5ミリ秒とし、ドレイン電流Idが増加から減少に転じた後の期間Bにおける第2の期間T2の長さ(20ミリ秒)よりも短くした。これにより、期間Aにおいてドレイン電流Idが増加から減少に転じる前に一回のパルス電圧でメモリ膜19に蓄積される電子を減らすことができ、ドレイン電流Idが増加する期間が電子の急激な蓄積によって短くなってしまうのを防止できる。
以上説明した電子装置40によれば、上部ゲート電圧印加回路42が、ドレイン電流Idが流れる程度のゲート電圧を第1の期間T1に第2のゲート電極22に印加すると共に、第2の期間T2に第2のゲート電極22にパルス電圧を印加する。これにより、パルス電圧を印加した累積時間に応じた量のキャリアがメモリ層19に蓄積されて閾値電圧が変調され、ゲート電圧の値に応じてドレイン電流Idの挙動を制御できる。
その結果、正負の極性のうちの一方の正のパルス電圧のみであっても、抑制性シナプス(図8(c)の期間A)、興奮性シナプス(図9(c)の期間A)、及び興奮性シナプスと抑制性シナプスの両方(図10(c))に類似したドレイン電流Idの挙動を実現できる。そのため、正負のパルス電圧のうち正のパルス電圧のみを発生するように上部ゲート電圧印加回路42(図6参照)を簡易化でき、回路遅延によってパルス電圧の生成間隔が短くなるのを抑制できる。
なお、負のパルス電圧のみを用いて興奮性シナプス(図8(c)の期間B)と抑制性シナプス(図9(c)の期間B)を実現してもよい。
しかも、図8(a)、図9(a)、及び図10(a)のいずれにおいても、第1の期間T1に下部ゲート電圧印加回路43(図6参照)が第1のゲート電極11にオン電圧を印加する。更に、読み出し回路41が、第1の期間T1において各半導体膜15、16の間に順方向の電圧が印加されるようなドレイン電圧Vdを印加する。これにより、1の期間T1にドレイン電流Idが流れるようになり、読み出し回路41がそのドレイン電流Idを読み出すことができる。
図11(a)~(c)は、本実施形態に係るアンチアンバイポーラトランジスタ10を人工ニューラルネットワークに応用し得ることを示す模式図である。
このうち、図11(a)は、興奮性シナプスの挙動を示す模式図である。図11(a)においては、シナプス前部61からシナプス後部62にシグナル伝達をする場合を例示している。興奮性シナプスにおいては、シナプス前部61から放出された神経伝達物質64をシナプス後部62の受容体63が受容すると、シナプス後部62のシナプス電位が上昇する。
図11(b)は、抑制性シナプスの挙動を示す模式図である。図11(b)に示すように、抑制性シナプスにおいては、神経伝達物質64を受容体63が受容すると、シナプス後部62のシナプス電位が下降する。
図11(c)は、アンチアンバイポーラトランジスタ10によってシグナル伝達が模擬できることを示す模式図である。前述のように、アンチアンバイポーラトランジスタ10のドレイン電流Idは、読み出し時の上部ゲート電圧Vtgの値に応じて、パルス電圧の印加と共に増加する挙動と減少する挙動とを示す。そのため、ドレイン電流Idをシナプス電位に対応させることで、興奮性シナプスと抑制性シナプスの両方を模擬することができる。
このような特徴を活かして、本実施形態に係るアンチアンバイポーラトランジスタ10を人工ニューラルネットワークに適用することができる。例えば、人工ニューラルネットワークの重み付け係数にドレイン電流Idを用い、逆誤差伝搬法により重み付け係数を更新することで、複数のアンチアンバイポーラトランジスタ10の各々の重み付け係数の最適な組み合わせを導き出すことができる。このとき、正負のうちの一方の極性のパルス電圧のみで抑制性と興奮性とを切り替えることができるため、重み付け係数の最適な組み合わせに短時間で到達できる。
11…第1のゲート電極、12…下地絶縁膜、13…第1のゲート絶縁膜、15…第1の半導体膜、16…第2の半導体膜、16a…一部、18s…ソース電極、18d…ドレイン電極、19…メモリ膜、21…絶縁性サイドウォール、22…第2のゲート電極、40…電子装置、41…読み出し回路、42…上部ゲート電圧印加回路、43…下部ゲート電圧印加回路、61…シナプス前部、62…シナプス後部、63…受容体、64…神経伝達物質、R0…チャネル領域、R1…第1の領域、R2…第2の領域、Vtg…上部ゲート電圧、Vbg…下部ゲート電圧、Vd…ドレイン電圧、TRn…n型のMOSトランジスタ、TRp…p型のMOSトランジスタ。
Claims (15)
- 第1のゲート電極と、
前記第1のゲート電極の上に設けられた第1のゲート絶縁膜と、
前記第1のゲート絶縁膜の上の第1の領域に設けられた第1の導電型の第1の半導体膜と、
前記第1のゲート絶縁膜の上の第2の領域に設けられ、一部が前記第1の半導体膜に接する第2の導電型の第2の半導体膜と、
前記第1の半導体膜と前記第2の半導体膜の各々の上に設けられ、内部電界が残留するメモリ膜と、
前記メモリ膜の上に設けられた第2のゲート絶縁膜と、
前記第2のゲート絶縁膜の上に設けられた第2のゲート電極とを備えたトランジスタと、
前記第1の半導体膜と前記第2の半導体膜との間を流れるドレイン電流を第1の期間において読み出す第1の回路と、
前記ドレイン電流が流れる程度のゲート電圧を前記第1の期間に前記第2のゲート電極に印加すると共に、前記第1の期間とは異なる第2の期間に前記第2のゲート電極にパルス電圧を印加する第2の回路と、
を有する電子装置。 - 前記ゲート電圧は、前記パルス電圧を印加した累積時間が増大するにつれて前記ドレイン電流が減少する第1のゲート電圧であることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
- 前記ゲート電圧は、前記パルス電圧を印加した累積時間が増大するにつれて前記ドレイン電流が増大する第2のゲート電圧であることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
- 前記ゲート電圧は、前記パルス電圧を印加した累積時間が増大するにつれて前記ドレイン電流が増加から減少に転じる第3のゲート電圧であることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
- 前記第2の回路は、前記ドレイン電流が増加から減少に転じる前の前記パルス電圧のパルス幅を、前記ドレイン電流が増加から減少に転じた後の前記パルス電圧のパルス幅と比較して狭くすることを特徴とする請求項4に記載の電子装置。
- 前記第2の回路は、前記累積時間が増大するにつれて前記ドレイン電流が増加する期間の前に、前記パルス電圧とは極性が反対の電圧を印加することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の電子装置。
- 前記第1の回路は、前記第1の期間に前記第1の半導体膜と前記第2の半導体膜との間に順方向の電圧を印加することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の電子装置。
- 前記メモリ膜は、キャリアを蓄積するキャリア蓄積膜、又は強誘電体膜であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の電子装置。
- 前記キャリア蓄積膜は、金属フタロシアニンにポリスチレンが結合したスターポリスチレンであることを特徴とする請求項8に記載の電子装置。
- トランジスタの駆動方法であって、
前記トランジスタは、
第1のゲート電極と、
前記第1のゲート電極の上に設けられた第1のゲート絶縁膜と、
前記第1のゲート絶縁膜の上の第1の領域に設けられた第1の導電型の第1の半導体膜と、
前記第1のゲート絶縁膜の上の第2の領域に設けられ、一部が前記第1の半導体膜に接する第2の導電型の第2の半導体膜と、
前記第1の半導体膜と前記第2の半導体膜の各々の上に設けられ、内部電界が残留するメモリ膜と、
前記メモリ膜の上に設けられた第2のゲート絶縁膜と、
前記第2のゲート絶縁膜の上に設けられた第2のゲート電極とを備え、
前記駆動方法は、
前記第1の半導体膜と前記第2の半導体膜との間を流れるドレイン電流を第1の期間において読み出すことと、
前記ドレイン電流が流れる程度のゲート電圧を前記第1の期間に前記第2のゲート電極に印加することと、
前記第1の期間とは異なる第2の期間に前記第2のゲート電極にパルス電圧を印加することとを含む、
トランジスタの駆動方法。 - 前記ゲート電圧は、前記パルス電圧を印加した累積時間が増大するにつれて前記ドレイン電流が減少する第1のゲート電圧であることを特徴とする請求項10に記載のトランジスタの駆動方法。
- 前記ゲート電圧は、前記パルス電圧を印加した累積時間が増大するにつれて前記ドレイン電流が増大する第2のゲート電圧であることを特徴とする請求項10に記載のトランジスタの駆動方法。
- 前記ゲート電圧は、前記パルス電圧を印加した累積時間が増大するにつれて前記ドレイン電流が増加から減少に転じる第3のゲート電圧であることを特徴とする請求項10に記載のトランジスタの駆動方法。
- 前記ドレイン電流が増加から減少に転じる前の前記パルス電圧のパルス幅を、前記ドレイン電流が増加から減少に転じた後の前記パルス電圧のパルス幅と比較して狭くすることを特徴とする請求項13に記載のトランジスタの駆動方法。
- 前記累積時間が増大するにつれて前記ドレイン電流が増加する期間の前に、前記パルス電圧とは極性が反対の電圧を印加することを更に含むことを特徴とする請求項13又は請求項14に記載のトランジスタの駆動方法。
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